JP7263151B2 - 経口組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、トラネキサム酸及びアセトアミノフェンを含有する経口組成物に関する。また、本発明は、これら両成分の併用物が固有に有する不快味を改善する方法に関する。
従来より、医療分野では、作用やそのメカニズムが異なる複数の薬効成分を組み合わせることで、より有効な治療効果が得られることが知られている。例えば、風邪に罹患した際の炎症や発熱を伴う痛みの緩和(鎮痛・解熱)には、解熱・鎮痛成分であるアセトアミノフェンに抗炎症成分であるトラネキサム酸を組み合わせた処方がよく用いられる。特に、アセトアミノフェンおよびトラネキサム酸は、いずれも安全性が高い薬物であるため、小児用の風邪薬や解熱鎮痛薬の有効成分としても汎用される薬物である。
しかし、アセトアミノフェン及びトラネキサム酸は、いずれも固有の苦味を有し、両者を組み合わせた製剤はさらに苦味が増す、固有の不快味を呈するという問題がある。このため、従来は、各成分または最終製剤をコーティングするなど、製剤化するうえで何某かのマスキング技術を施すことが必要とされるが、その実施には手間とコストがかかるという問題がある。
一方で、アセトアミノフェンの苦味をマスキングする方法として、例えば、メントールと、ステビア抽出物,アスパルテーム,グリチルリチン酸,サッカリン及びスクラロースからなる群より選ばれる1種以上の甘味料とを併用する方法(特許文献1);スクラロースとカルボニル基を有する香料成分を併用する方法(特許文献2);アセトアミノフェンをコーティング剤で被覆して粒子状にしたものと、糖アルコールとデンプンを含有する造粒粒子とを併用する方法(特許文献3);スクラロースを含む液体賦形剤ベースにアセトアミノフェンを溶解または懸濁させてpH2~5に調整する方法(特許文献4)等が知られている。また、トラネキサム酸の苦味をマスキングする方法として、例えば、甘味剤として還元麦芽糖水飴とスクラロースをトラネキサム酸に配合する方法(特許文献5)等が知られている。しかしながら、アセトアミノフェンとトラネキサム酸とを組み合わせた場合に生じる固有の不快味を有効に改善する方法は知られていない。
特開2000-159691号公報 特開2001-106639号公報 特開2013-136537号公報 特開2010-90142号公報 特開2009-114142号公報
本発明は、アセトアミノフェンとトラネキサム酸を含有する経口組成物の問題である、両成分を組み合わせた際に生じる固有の不快味を改善する方法を提供することを目的とする。つまり、当該不快味が改善されてなるアセトアミノフェン及びトラネキサム酸含有経口組成物を提供することを課題とする。
本発明者等は、前記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、アセトアミノフェンとトラネキサム酸を含有する経口組成物に、アスパルテームとスクラロースを配合することで、アセトアミノフェン及びトラネキサム酸が個々に有する苦味が低減するだけでなく、アセトアミノフェンとトラネキサム酸を組み合わせた際に生じる固有の不快味が有意に抑えられて、バランスのよい良好な呈味が得られることを見出した。特にその効果は、アスパルテームとスクラロースの配合量を調整することで、より一層向上し、アセトアミノフェンとトラネキサム酸を含有する経口組成物を、水なしでも抵抗なく服用できることを見出した。こうした不快味改善効果は、アセトアミノフェンとトラネキサム酸にアスパルテームやスクラロースを単独で配合しても得られないだけでなく、アスパルテームやスクラロースに、他の甘味料(アセスルファムカリウム、ステビア抽出物、及びサッカリンNa等の高甘味度甘味料、キシリトール等の糖アルコールなど)を併用しても得ることはできず、アスパルテームとスクラロースとを併用したことによって得られる特有の効果であることを確認して、本発明を完成するに至った。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含する。
項1.(A)トラネキサム酸、(B)アセトアミノフェン、(C)アスパルテーム、及び(D)スクラロースを含有する、経口組成物。
項2.(A)及び(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分を0.1~3.5質量部、及び(D)成分を0.25~5質量部の割合で含有する、項1に記載する経口組成物。
項3.(A)トラネキサム酸及び(B)アセトアミノフェンの併用物に、(C)アスパルテーム及び(D)スクラロースを配合する、前記併用物の不快味改善方法。
本発明によれば、アセトアミノフェンとトラネキサム酸の両方を含む経口組成物が有する苦味を低減するだけでなく、両成分を含む際に生じる固有の不快味をアスパルテームとスクラロースを組み合わせることでバランスよくマスキングすることができ、その結果、程よい呈味を有して良好な服用感を得ることができる。このため、この技術を用いた本発明の経口組成物は、アセトアミノフェンとトラネキサム酸の両方を含む際に生じる不快味が有意に改善されてなることを特徴・効果とする。
特に、アセトアミノフェンとトラネキサム酸の総量100質量部に対して、アスパルテームを0.1~3.5質量部、及びスクラロースを0.25~5質量部の割合で配合することで、より高い効果を得ることができる。このため、この技術を用いた本発明の経口組成物は、不快味による抵抗がなく、水なしでも服用することが可能である。
(I)経口組成物
本発明の経口組成物は、(A)トラネキサム酸、及び(B)アセトアミノフェンに加えて、(C)アスパルテーム、及び(D)スクラロースを含有することを特徴とする。以下、各成分とその含有量などについて説明する。
(A)トラネキサム酸
トラネキサム酸は、タンパク質を構成する成分である必須アミノ酸リシンを元に人工合成されたアミノ酸の一種であり、炎症を引き起こす生体内の酵素「プラスミン」を抑制する「抗プラスミン作用」を有する化合物である。このため、抗炎作用(消炎作用)を有し、扁桃炎、咽喉頭炎及び口内炎などの炎症を抑える抗炎症剤の有効成分として使用される。また、その抗アレルギー作用に基づいて抗アレルギー剤の有効成分として、また止血作用に基づいて止血剤の有効成分としても使用されている。
本発明の経口組成物100質量%あたりに配合されるトラネキサム酸の割合は、1日服用量が13歳以上の成人の場合750~2000mg(1~14歳の小児は75~1000mg)になるように、例えば2~65質量%の範囲で適宜設定することができる。好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~50質量%を例示することができる。
(B)アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、主として中枢に作用して鎮痛・解熱作用を発揮するアニリン誘導体である。比較的安全性の高い薬物であり、従来より、(1)頭痛、耳痛、症候性神経痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、捻挫痛、月経痛、分娩後痛、癌による疼痛、歯痛、歯科治療後の疼痛、変形壊死関節症の鎮痛;(2)急性上気道炎の解熱・鎮痛;(3)小児科領域の解熱・鎮痛等に広く適用されている。
本発明の経口組成物100質量%あたりに配合されるアセトアミノフェンの割合は、1日服用量が、前記(1)の症例に対しては4000mg以下、前記(2)及び(3)の症例に対しては1500mg以下になるように、例えば3~75質量%の範囲で適宜設定することができる。好ましくは10~70質量%、より好ましくは15~70質量%を例示することができる。
(C)アスパルテーム
アスパルテーム(N-(L-α-Aspartyl)-L-phenylalanine, 1-methyl ester)は、フェニルアラニンのメチルエステルと、アスパラギン酸とがペプチド結合した構造を持つジペプチドのメチルエステル(L-フェニルアラニン化合物)である。アミノ酸由来の高甘味度甘味料であり、ショ糖の約200倍の甘味を有することが知られている。当該高甘味度甘味料は、例えば味の素株式会社などから商業的に入手可能である。
本発明の経口組成物100質量%あたりに配合されるアスパルテームの割合は、本発明の効果が得られる範囲であればよく、例えば0.02~3.5質量%の範囲で適宜設定することができる。好ましくは0.1~3.5質量%、より好ましくは0.2~3.5質量%を例示することができる。特に、本発明の効果をより有効に発揮するために、本発明の経口組成物に含まれる(A)及び(B)成分の総量100質量部に対して、アスパルテームを0.1~3.5質量部の割合で配合することが好ましい。より好ましくは0.3~3質量部であり、さらに好ましくは0.3~1質量部、特に好ましくは0.3~0.8質量部である。このように、後述するスクラロースとともにアスパルテームを配合することで、(A)及び(B)に起因する苦味が低減するとともに、両成分を含む際に生じる固有の不快味をバランスよくマスキングすることができ、その結果、調和のとれたバランスのよい呈味を有することで良好な服用感を得ることができる。
(D)スクラロース
スクラロース(1,6-Dichloro-1,6-dideoxy-β-D-fructofuranosyl-4-chloro-4-deoxy-α-D-galactopyranoside)は、ショ糖と構造類似の高甘味度甘味料であり、ショ糖の約600倍の甘味を有することが知られている。当該高甘味度甘味料は、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社などから商業的に入手可能である。
本発明の経口組成物100質量%あたりに配合されるスクラロースの割合は、本発明の効果が得られる範囲であればよく、例えば0.02~5質量%の範囲で適宜設定することができる。好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.2~5質量%を例示することができる。また上記効果を発揮するために、本発明の経口組成物に含まれる(A)及び(B)成分の総量100質量部に対して、スクラロースを0.25~5質量部の割合で配合することが好ましい。より好ましくは0.4~3質量部であり、さらに好ましくは0.5~2質量部、特に好ましくは0.5~1.2質量部である。また、本発明の経口組成物に含まれる(C)成分との割合は、本発明の効果を奏することを限度として、制限されないものの、(C)成分1質量部に対する(D)スクラロースの割合として0.004~300質量部の範囲を挙げることができる。好ましくは0.2~50質量部、より好ましくは0.5~5質量部、特に好ましくは0.5~2質量部である。このように、前述するアスパルテームとともにスクラロースを配合することで、(A)及び(B)に起因する苦味が低減するとともに、両成分を含む際に生じる固有の不快味をバランスよく調和させることができ、その結果、調和のとれたバランスのよい呈味を有することで、良好な服用感を得ることができる。
(E)その他の成分
本発明の経口組成物は、前記の成分を含む組成物を、経口的に服用する形態に製剤化して調製することができるが、その際に、当業界の技術常識に従って、上記成分に加えて、定法に従って、任意の薬効成分、及び製剤化に必要な担体や添加剤を配合することができる。
薬効成分としては、前述する(A)及び(B)の薬効を妨げないものであればよく、例えば、解熱鎮痛消炎剤、抗炎症剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、ビタミン類、ミネラル、アミノ酸類、制酸剤、健胃薬、消化剤、止瀉剤、及び粘膜修復剤などを挙げることができる。また、カフェイン類、生薬や漢方薬などを併用することもできる。
製剤化に必要な担体としては、制限されないものの、賦形剤、可塑剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、乳化剤、及び流動改善剤等を例示することができる。また、添加剤としては、防腐剤、界面活性剤、酸味剤、矯味剤、矯臭剤、及び着色料等を挙げることができる。
(F)形態、製造方法、用量・用法など
本発明の経口組成物は、経口的に投与・服用する形態(内服製剤)に成形することができる。内服製剤としては、錠剤、粉末剤(散剤)、及び顆粒剤を挙げることができる。好ましくは、フィルムコーティングや糖衣などによってマスキングすることが容易でない内服固形剤であり、例えば、口腔内速崩壊錠、口腔内速溶解錠、チュアブル錠、トローチ錠、ドロップ剤、散剤、顆粒剤を挙げることできる。錠剤、散剤及び顆粒剤は、水とともに服用するものであってもよいし、水なしでそのまま服用するものでもよく、さらに水や温湯に溶解または分散させて服用するタイプのもの(例えば、ドライシロップ剤)であってもよい。さらに、薬物の味のマスキングが困難とされる内服液として調製することもできる。
本発明の経口組成物は、その形態に応じて、当業界で採用される通常の方法で製剤化することができる。例えば、前述する(A)~(D)成分を、カルメロースカルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロタルサイト、無水リン酸水素カルシウム、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、結晶セルロース、乳糖水和物等の賦形剤、及びカルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン類、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)等のセルロース類、グアーガム、アジピン酸、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、クロスポビドン、ベントナイト等の崩壊剤とともに混合し、例えば水や含水エタノールを用いて造粒することで顆粒剤として調製することもできるし、また調製した顆粒剤を、さらに圧縮成形することで錠剤等の固形剤(口腔内速崩壊錠、口腔内速溶解錠、チュアブル錠、及びトローチ錠等を含む)として調製することもできる。
本発明の経口組成物の服用量は、当業界の技術常識に基づいて、それを適用する患者の症状やその重篤度、年齢、及び体重等に応じて、適宜設定することができる。具体的には、トラネキサム酸の1日服用量が13歳以上の成人の場合750~2000mg(1~14歳の小児は75~1000mg)になるように;またアセトアミノフェンの1日服用量が、前述する各種疼痛の鎮痛には4000mg以下、急性上気道炎や小児領域の解熱・鎮痛には1500mg以下になるように設定することができる。4~6時間の投与間隔をあけて、1日に3~4回に分けて分服することもできる。
本発明の経口組成物は、前述するように(C)アスパルテームと(D)スクラロースを配合することで、(A)トラネキサム酸、及び(B)アセトアミノフェンを含む場合の苦味が低減されてなることを特徴とする。(A)と(B)成分に起因する苦味が低減しているかどうかは、呈味について訓練した専門パネルによる官能試験により評価することができる。例えば、(A)トラネキサム酸、及び(B)アセトアミノフェンを含む経口組成物の味と、これに(C)アスパルテームと(D)スクラロースを配合した経口組成物の味とを対比し、前者と比べて、後者の経口組成物の苦味が低減している場合、後者の経口組成物は、本発明の効果を有する経口組成物であると判断することができる。なお、前記の苦味の「低減」には、苦味の低下,減弱,マスキング、及び苦味の消失の両方の意味が包含される。好ましくはマスキングによる苦味の低下または減弱である。
また本発明の経口組成物は、(C)アスパルテームと(D)スクラロースを配合することで、(A)トラネキサム酸、及び(B)アセトアミノフェンの苦味だけでなく、両者を組み合わせた際に生じる固有の不快味が、バランスよくマスキングされることで、味のバランスがよく、良好な服用感を有することを特徴とする。当該不快味のマスキングによる味のバランス(呈味バランス)改善効果も、前述するように、呈味について訓練した専門パネルによる官能試験により評価することができる。なお、本発明で「不快味改善」とは、(A)と(B)成分を組み合わせることで生じる苦味を含む不快味がマスキングされて、味のバランスが良好になること、調和のとれた呈味を有するように味が改善されることを意味する。
(II)不快味改善方法
本発明は、(A)トラネキサム酸及び(B)アセトアミノフェンを併用することによって生じる不快味の改善方法に関する。当該方法は、前記(A)及び(B)成分の併用物に、(C)アスパルテーム及び(D)スクラロースを配合することで実施することができる。本発明の方法で使用する(A)トラネキサム酸、(B)アセトアミノフェン、(C)アスパルテーム及び(D)スクラロースは、その配合量や配合割合とともに、いずれも(I)で説明した通りであり、その記載はこの欄においても援用することができる。
ここで対象とする不快味とは、主として、前述する(A)及び(B)成分に起因する苦味を含めた服用に際し障害となる味のことである。この場合、「不快味改善」の意味には、苦味低減及び苦味マスキングの意味が含まれる。また本発明の方法によれば、(A)及び(B)成分に起因する不快味を、(C)及び(D)成分が有する味によりバランスよくマスキングすることができ、その結果、良好な服用感を得ることができる。つまり、この場合、「不快味改善」の意味には、味の調和、呈味バランス改善、嗜好性の向上、服用感向上、等の意味が含まれる。なお、これらの評価も、前述するように、呈味について訓練した専門パネルによる官能試験により実施することができる。
以上、本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
以下、本発明の構成及び効果について、実施例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、下記の実施例で使用した各種成分は下記の通りである。なお、下記に記載する甘味度は、ショ糖(標準物質)の甘味度を1とした場合に対する各甘味料の甘味の程度(相対比)を示す。
トラネキサム酸:旭化成ファインケム株式会社製
アセトアミノフェン:八代製薬株式会社製
アスパルテーム(甘味度200):味の素株式会社製
スクラロース(甘味度600):三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
アセスルファムカリウム(甘味度200):昭和化工株式会社製
キシリトール(甘味度0.65):東和化成工業株式会社製
ステビア抽出物(甘味度150):商品名「SG95」物産フードサイエンス株式会社製
サッカリンナトリウム(甘味度500):大和化成株式会社製
実験例 呈味評価試験
表1に記載する成分を用いて、トラネキサム酸とアセトアミノフェンを含有する顆粒剤形態を有する経口組成物を調製し、その味を評価した。味の評価は、呈味について訓練した専門のパネル2名で行った。なお、これらのパネルは、予めトラネキサム酸とアセトアミノフェンを含有する顆粒剤の味を確認したうえで、パネル間で評価の基準を確認し、各自が有する内的基準を共通化(統一)した後に、評価を実施した。
(1)顆粒剤の調製方法
表1に記載する成分を用いて、含水エタノールを用いて造粒して顆粒剤を調製した。具体的には、高速撹拌造粒機(VG-05:パウレック社製)に造粒成分を投入し、3分間混合後、さらに含水エタノールを添加し、5分間撹拌造粒を行った。これを、流動層造粒乾燥機(MP-01:パウレック社製)にて乾燥し、目開き710μmのふるいで篩過後、篩上物のみ整粒機(コーミル:パウレック社製)で整粒し、篩過物と合わせ良く混合することで顆粒剤を得た。
(2)服用感の評価
調製した顆粒剤1.5gを、パネル2名に、水なしで口に含んでもらい、下記の基準に従って、口腔内で感じる苦味、及び味のバランス(呈味バランス)の服用感を評価してもらった。
[苦味]
スコア5:苦味をほとんど感じない
スコア4:苦味をあまり感じない
スコア3:苦味をやや感じる
スコア2:苦味を感じる
スコア1:苦味を強く感じる
[呈味バランス]
スコア5:非常に良好
スコア4:良好
スコア3:やや良好
スコア2:不良
スコア1:非常に不良
各評価について各パネルのスコア平均を求め、下記基準に従って最終評価とした。
◎:スコア平均が4以上
○:スコア平均が3以上
△:スコア平均が4以上
×:スコア平均が2未満
結果を表1に併せて示す。
Figure 0007263151000001
表1に示すように、(A)トラネキサム酸と(B)アセトアミノフェンに起因する苦味は、(C)アスパルテーム単独、(D)スクラロース単独では、十分に低減することができなかったのに対して、両者を併用することで、苦味を低減し、かつ呈味バランスが良くなり、服用しやすい味になることが確認された(実施例1~3、比較例1~3参照)。一方、アスパルテームに、アセスルファムカリウム、キシリトール、ステビア抽出物、またはサッカリンナトリウムを組み合わせても、前記(A)と(B)の苦味は十分に低減することができなかったことに加えて、(A)と(B)成分の組み合わせ固有の不快味が感じられ、呈味バランスが悪く、非常に服用しにくい味となることが判明した。またスクラロースに、アセスルファムカリウムを組み合わせた場合も、前記と同様に、(A)と(B)の苦味は十分に低減することができず、さらに(A)と(B)成分の組み合わせ固有の不快味が感じられ、呈味バランスが悪く、非常に服用しにくい味となることが判明した。従来、苦味のマスキングという観点では、味の立ち上がりが早い甘味成分と遅い甘味成分とを組み合わせることにより、優れた効果が得られることが知られている。味の立ち上がりが早い成分としては、糖アルコール、サッカリン、アセスルファムカリウムが挙げられ、遅い成分としては、アスパルテーム、スクラロース、ステビア抽出物が挙げられる。上記のように、(A)と(B)成分の苦味を含めた不快味のマスキングには、前記のような従来知られた技術では十分な効果は得られず、また、甘味の発現が遅い物同士を組み合わせた場合も十分な効果は得られなかった(比較例7)。このことは、(A)と(B)成分の苦味、並びに両者を組み合わせた時に生じる固有の不快味の改善(呈味バランス改善による服用感の向上)には、アスパルテームとスクラロースとを組み合わせときにのみ有効であることを示している。
処方例1~6
表2及び表3に記載する処方からなる顆粒剤1~6を、前記実験例1と同様に、湿式造粒法により製造した。なお、表に記載する量(mg)は、顆粒剤の1日服用量である。これらの顆粒剤はいずれもトラネキサム酸とアセトアミノフェンの苦味が低減されているだけでなく、両成分を併用することによって生じる不快味も有意に抑制されて呈味バランスがよく、服用感が良好であることが確認された。
Figure 0007263151000002
Figure 0007263151000003

Claims (3)

  1. (A)トラネキサム酸、(B)アセトアミノフェン、(C)アスパルテーム、及び(D)スクラロースを含有する、経口組成物。
  2. (A)及び(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分を0.1~3.5質量部、及び(D)成分を0.25~5質量部の割合で含有する、請求項1に記載する経口組成物。
  3. (A)トラネキサム酸及び(B)アセトアミノフェンの併用物に、(C)アスパルテーム及び(D)スクラロースを配合する、前記併用物の不快味改善方法。
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