JP3389205B2 - 口腔内速崩壊錠 - Google Patents
口腔内速崩壊錠Info
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腔内速崩壊錠に関し、更に詳細には、苦味低減成分を配
合することで、苦味を有する医薬成分、特にアセトアミ
ノフェンを被覆することなく配合することができる口腔
内速崩壊錠に関する。
e)向上のため嚥下能力の低い高齢者や小児にとって服
用しやすい剤形として、口腔内速崩壊錠が注目されてい
る。しかし、苦味を有する医薬成分を口腔内速崩壊錠に
配合した場合には、錠剤が口腔内で直ちに崩壊するため
に苦味を有する医薬成分が口腔内に暴露されてしまう。
しかもこの際、水無しで服用されることから一般の内服
錠よりも苦味を長時間に亘って強く感じることになり、
服用し易いことが特徴である口腔内速崩壊錠の大きなデ
メリットとなっている。上記の問題を解決するため、口
腔内速崩壊錠に配合される苦味を有する医薬成分を、エ
チルセルロース、オイドラギット等の高分子で被覆し、
錠剤が口腔内で崩壊しても該医薬成分が直接暴露されな
いようにする方法(特表平6−502194号公報)が
提案されている。しかし、上記方法において、水系のコ
ーティング剤で苦味を有する医薬成分を被覆しても、そ
の膜の強度が弱いため充分な被覆効果が得られない。こ
れに対して有機溶剤でのコーティングは充分な被覆効果
が得られるが、被覆物の残留溶媒や製造時の作業環境、
例えば作業者の有機溶媒の吸入、作業時の発火および爆
発の危険性等が問題となる。また、これらの被覆には長
時間の作業と設備を要するというデメリットもある。更
に、苦味を充分に抑制し打錠時の膜の破損を防止するた
めに被覆層を厚くすると医薬成分の溶出が遅延し、例え
ば溶出試験において、60分後でもわずかに30%程度
しか医薬成分が溶出しない製剤となってしまう。
ても、従来から苦味を低減する技術が開発されている。
例えば、苦味を低減するために、いわゆる高甘味度甘味
剤に分類されるステビア(特開平10−101582号
公報)或いはアスパルテーム(特開平2−56416号
公報)を配合するもの、香料と甘味剤とを組合せて配合
するもの(例えば、特開平10−273435号公
報)、糖アルコールと高甘味度甘味剤の一つであるソー
マチンを配合するもの(例えば、特開平10−3060
38号公報)、糖アルコールによるもの(例えば、特開
平10−53538号公報)、精油または精油成分によ
るもの(例えば、特開平5−255126号公報)、酸
性リン脂質によるもの(例えば、特開昭62−2652
34号公報、特開平8−9897号公報、特開平7−6
7552号公報等)など、多数の提案がなされている。
しかし、これらはあくまでも水と共に服用されることを
前提とした一般的な製剤における苦味低減の技術であ
り、水無しで服用されることを予定する口腔内速崩壊錠
にこれらの技術をそのまま適用しても、その苦味の低減
効果が十分ではなく、実用的な口腔内速崩壊錠を得るこ
とができなかった。
に、苦味を有する医薬成分、特にアセトアミノフェンを
被覆することなく、水無しで服用してもその苦味を殆ど
感じずに容易に服用できる口腔内速崩壊錠を提供するこ
とを課題とする。
鋭意検討した結果、本発明者らは、従来から苦味を低減
することが知られている精油と、高甘味度甘味剤また
は、高甘味度甘味剤および酸性リン脂質もしくはそのリ
ゾ体との組合せが、特異的に顕著な苦味低減効果を発揮
することを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成
するに至った。
ミノフェンと、精油、精油および高甘味度甘味剤、また
は精油、高甘味度甘味剤および酸性リン脂質もしくはそ
のリゾ体からなる苦味低減成分とを含有することを特徴
とする口腔内速崩壊錠、 (2)苦味低減成分が精油および高甘味度甘味剤からな
る上記(1)に記載の口腔内速崩壊錠、 (3)苦味低減成分が精油、高甘味度甘味剤および酸性
リン脂質もしくはそのリゾ体からなる上記(1)に記載
の口腔内速崩壊錠、 (4)アセトアミノフェンが被覆されていないことを特
徴とする上記(1)に記載の口腔内速崩壊錠。 (5)精油がハッカ油である上記(1)に記載の口腔内
速崩壊錠。 (6)高甘味度甘味剤がステビアおよびアスパルテーム
から選択される一または二である上記(1)に記載の口
腔内速崩壊錠。 (7)酸性リン脂質またはそのリゾ体が大豆レシチンで
ある上記(1)に記載の口腔内速崩壊錠を提供するもの
である。
明するが、本願明細書において口腔内速崩壊錠とは、口
腔内で唾液の存在下、咀嚼無しに約90秒、好ましくは
約60秒より短い時間で崩壊する固形医薬製剤をいう。
アミノフェンは、その結晶粒子径が約100〜500μ
mの範囲にあるものを選択する。アセトアミノフェンの
結晶粒子径が上記の範囲にある場合、特に苦味の低減効
果が著しい。アセトアミノフェンの配合量に特に制限は
なく、その投与目的に応じて適宜選択することができる
が、一般には製剤100重量部に対して約0.01〜8
0重量部、好ましくは約0.05〜70重量部、特に好
ましくは約0.1〜60重量部の範囲とすることができ
る。
分として精油、精油および高甘味度甘味剤、または精
油、高甘味度甘味剤および酸性リン脂質もしくはそのリ
ゾ体が配合される。本発明で使用することのできる精油
としては、ハッカ油、ユーカリ油、ケイヒ油、ウイキョ
ウ油、チョウジ油、オレンジ油、レモン油、ローズ油が
挙げられ、好ましくはハッカ油、ケイヒ油、ウイキョウ
油、チョウジ油であり、特に好ましくはハッカ油であ
る。これら精油の配合量は、アセトアミノフェンの配合
量やその苦味の強さの程度、併せて配合される高甘味度
甘味剤や酸性リン脂質もしくはそのリゾ体の配合量によ
って適宜選択することができるが、一般には、製剤10
0重量部に対して約0.01〜10重量部、好ましくは
約0.02〜8重量部、特に好ましくは約0.05〜5
重量部の範囲とすることができる。
剤は、人工的に合成された甘味剤のうち、その甘味度が
砂糖の数倍以上のもの、好ましくは約100倍以上のも
のをいい、具体的にはアスパルテーム、ステビア、サッ
カリン、グリチルリチン二カリウム、ソーマチン、スク
ラロース、アセスルファームK等が挙げられるが、アス
パルテーム、ステビア等が特に好ましい。これらの高甘
味度甘味剤の配合量は、アセトアミノフェンの配合量や
その苦味の強さの程度、併せて配合される精油や酸性リ
ン脂質もしくはそのリゾ体の配合量によって適宜選択す
ることができるが、一般には、製剤100重量部に対し
て約0.01〜20重量部、好ましくは約0.05〜1
5重量部、特に好ましくは約0.1〜10重量部の範囲
とすることができる。
のリゾ体は、それ自体苦味低減化作用を有することが知
られており(特開平7-67552号公報)、ホスファ
チジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノ
シトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピ
ン等の酸性リン脂質ならびにリゾホスファチジルセリ
ン、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルイノシ
トール、リゾホスファチジルグリセロール等のリゾ体で
ある。これらの酸性リン脂質またはそのリゾ体は、大豆
レシチン、卵黄レシチン等として、各種の動植物から、
特開平8-9896号公報に記載の方法に準じて抽出、
分離することにより得ることができる。また、本発明で
用いられる酸性リン脂質またはそのリゾ体としては、例
えばベネコ−トBMI-60(商品名、花王)として市販され
ているものを用いることもできる。この酸性リン脂質ま
たはそのリゾ体の配合量は、アセトアミノフェンの配合
量やその苦味の程度、併せて配合される精油や高甘味度
甘味剤の配合量によって適宜選択することができるが、
一般には、製剤100重量部に対して約0.01〜20
重量部、好ましくは約0.05〜15重量部、特に好ま
しくは約0.1〜10重量部の範囲とすることができ
る。
明の必須構成成分であるアセトアミノフェン、精油、精
油および高甘味度甘味剤、または精油、高甘味度甘味剤
およ び酸性リン脂質もしくはそのリゾ体を配合する点を
除き、一般に口腔内速崩壊錠を製造する方法で製造する
ことができ、具体的には例えば特開平10−18243
6号公報に記載される方法、即ち上記本発明の必須構成
成分に加えてエリスリトール、結晶セルロースおよび崩
壊剤を配合する方法に従って製造することができる(以
下の実施例1〜4を参照)。また、本発明の口腔内速崩
壊錠には、その発明の効果に支障のない限り、一般の固
形製剤の製造に用いられる種々の添加剤を配合すること
もできる。
び高甘味度甘味剤、または精油、高甘味度甘味剤および
酸性リン脂質もしくはそのリゾ体を同時に配合する場合
には、その錠剤の硬度低下を防ぐために多孔性ケイ酸カ
ルシウムを配合することもできる。この場合の多孔性ケ
イ酸カルシウムの配合量は、本発明の口腔内速崩壊錠1
00重量部に対して約0.5〜30重量部の範囲で配合
することが好ましい。ここで用いられる多孔性ケイ酸カ
ルシウムは、フローライトRE(商品名、徳山曹達)と
して市販のものを容易に入手することができる。
油)は、未包装形態で放置すると、保存期間中に揮発し
ていまう。精油(例えば、ハッカ油)の量が少なくなる
と、本発明の苦味マスキング効果は減少し、苦味を感じ
るようになる。また、本発明の錠剤は、高湿度下にさら
されて保存されると、吸湿硬度低下を起こす。そこで、
本発明の口腔内速崩壊錠の包装形態は、ストリップ包
装、ブリスター包装、瓶包装などの気密容器が好まし
く、とりわけ気密性の高いアルミストリップ包装やブリ
スター包装を内袋(例えば、アルミニウム箔、ポリエチ
レンフィルム)に入れた包装が特に好ましい。
試験を挙げて、更に具体的に本発明を説明する。 実施例1:精油+高甘味度甘味剤+大豆レシチン+多孔
性ケイ酸カルシウムエリスリトール30g、結晶セルロ
ース(セオラスKG801)8.41g、クロスポビド
ン2.45g、大豆レシチン(ベネコ−トBMI−6
0)1.0g、多孔性ケイ酸カルシウム(フローライト
RE)2g、ステビア0.25g、アスパルテーム0.
5gを乳鉢にとり、薄荷油100μlを添加して、乳棒
で展延させる。得られた粉末にアセトアミノフェン15
gとステアリン酸マグネシウム0.3gを混合し、13
mmの臼と平面の杵を用い、打錠圧1400kg/杵で
オートグラフ(AG−5000B、島津製作所)にて、
錠剤重量600mgで製錠した。
801)9.91g、クロスポビドン2.45g、大豆
レシチン(ベネコ−トBMI−60)1.5g、ステビ
ア0.25g、アスパルテーム0.5gを乳鉢にとり、
薄荷油100μlを添加し、乳棒で展延させる。得られ
た粉末にアセトアミノフェン15gとステアリン酸マグ
ネシウム0.3gを混合し、13mmの臼と平面の杵を
用い、打錠圧1400kg/杵でオートグラフ(AG−
5000B、島津製作所)にて、錠剤重量600mgで
製錠した。
g、結晶セルロース(セオラスKG801)7.16
g、クロスポビドン2g、ステビア0.25g、アスパ
ルテーム0.5gを乳鉢にとり、薄荷油100μlを添
加し、乳棒で展延させる。その後、精製水を適量加え、
練合後、40℃で16時間真空乾燥した。得られた造粒
末を16メッシュにて整粒後、その整粒末6.47gに
対して、ステアリン酸マグネシウムを0.03g混合
し、13mmの臼と平面の杵を用い、打錠圧1400k
g/杵でオートグラフ(AG−5000B、島津製作
所)にて、錠剤重量650mgで製錠した。
ウム エリスリトール900g、結晶セルロース(セオラスK
G801)160.5g、クロスポビドン72g、多孔
性ケイ酸カルシウム(フローライトRE)18g、黄色
5号アルミニウムレーキ0.36gを流動層造粒機(F
D−3SN、パウレック)にて、精製水を噴霧すること
により造粒し、その後、流動層乾燥し、造粒末を得る。
パワーミル(昭和機械工作所)にて整粒後、整粒末を得
る。別に結晶セルロース(セオラスKG801)54.
98g、ステビア2.5g、アスパルテーム5gを乳鉢
にとり、薄荷油1mlを添加して乳棒で展延させて薄荷
油倍散末を得る。この薄荷油倍散末に、整粒末383.
62g、アセトアミノフェン150gとステアリン酸マ
グネシウム3gを混合し、混合末を得る。この混合末
を、ロータリー式打錠機にて、13mmの臼と平面の杵
を用い、打錠圧1400kg/杵で、錠剤重量600m
gで製錠した。
晶セルロース(セオラスKG801)1.15g、クロ
スポビドン2.5g、ステビア0.25g、アスパルテ
ーム0.5g、ステアリン酸マグネシウムを0.3gを
混合し、13mmの臼と平面の杵を用い、打錠圧140
0kg/杵でオートグラフ(AG−5000B、島津製
作所)にて、錠剤重量600mgで製錠した。
801)12.16g、クロスポビドン2.45gを乳
鉢にとり、薄荷油100μlを添加し、乳棒に展延させ
る。得られた粉末にアセトアミノフェン15gとスアリ
テン酸マグネシウムを0.3g混合し、13mmの臼と
平面の杵を用い、打錠圧1400kg/杵でオートグラ
フ(AG−5000B、島津製作所)にて、錠剤重量6
00mgで製錠した。
ならびに比較製剤1および2の口腔内速崩壊錠のそれぞ
れの硬度、口溶け時間を調べ、苦味を評価した。苦味の
評価には下記スコアを用い、服用後10秒後の苦味と服
用後60秒後の苦味とに分けて評価した。 苦味の評価スコア 苦味をほとんど感じない:0 苦味をわずかに感じる:1 苦味を感じる:2 苦味を強く感じる:3 スコアが0〜1である場合は、苦味について服用に問題
ない程度であり、2〜3である場合は、苦味のため服用
しずらい程度である。結果を、下記表1に示す。
味剤のいずれか一方のみを配合した口腔内速崩壊錠(比
較例1および2)における苦味低減効果は十分ではない
のに対して、本発明の口腔内速崩壊(実施例1〜4)に
おいてはその苦味が現実の服用に全く問題のない程度ま
で低減された。特に、服用の60秒後における苦味を低
減している点で、本発明の口腔内速崩壊錠の優れた効果
が明らかである。
℃、相対湿度75%で6ヶ月保存した錠剤の硬度、口溶
け時間、苦味を評価した。苦味の評価は表1におけると
同様である。
℃、相対湿度75%で6ヶ月保存した錠剤の硬度、口溶
け時間、苦味を評価した。苦味の評価は表1におけると
同様である。実施例5および比較例3の評価結果を表2
に示す。
速崩壊錠はアルミストリップ包装のような気密性の高い
包装形態とすることが好ましい。
ミノフェンを被覆していないにも関わらず、水無しで服
用してもその苦味を殆ど感じずに服用することができ
る。そのため、アセトアミノフェンを被覆する場合に比
べて低コストで製造できるばかりでなく、時と場所を選
ばないで必要な医薬成分を服用できるという点で、医療
分野において極めて有用な製剤となるものである。
Claims (7)
- 【請求項1】 結晶粒子径が約100〜約500μmの
アセトアミノフェンと、精油、精油および高甘味度甘味
剤、または精油、高甘味度甘味剤および酸性リン脂質も
しくはそのリゾ体からなる苦味低減成分とを含有するこ
とを特徴とする口腔内速崩壊錠。 - 【請求項2】 苦味低減成分が精油および高甘味度甘味
剤からなる請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。 - 【請求項3】 苦味低減成分が精油、高甘味度甘味剤お
よび酸性リン脂質もしくはそのリゾ体からなる請求項1
に記載の口腔内速崩壊錠。 - 【請求項4】 アセトアミノフェンが被覆されていない
ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。 - 【請求項5】 精油がハッカ油である請求項1に記載の
口腔内速崩壊錠。 - 【請求項6】 高甘味度甘味剤がステビアおよびアスパ
ルテームから選択される一または二である請求項1に記
載の口腔内速崩壊錠。 - 【請求項7】 酸性リン脂質またはそのリゾ体が大豆レ
シチンである請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
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Cited By (1)
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2000
- 2000-06-22 JP JP2000187822A patent/JP3389205B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
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