JP7262931B2 - 減塩カレールウ及び減塩カレーソース - Google Patents

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Description

本発明は、減塩カレールウ及び減塩カレーソースに関しており、特に減塩であってもコクがあり、かつ風味のバランスも良い減塩カレールウ及び減塩カレーソースに関する。
健康志向の高まりを受けて、生活習慣病の一因となり得る食塩の摂取量を減らすことが望まれているが、食塩含有量の低い減塩食品では、食品本来の風味が損なわれがちである。満足のいく美味しさを有する減塩食品はあまり知られていないが、特許文献1には、ジメチルプロピルピラジンを添加することにより減塩食品の呈味を増強することが記載されている。
特開2017-121236号公報
一方、上記ジメチルプロピルピラジンは、焙煎したオニオンや焙煎したガーリックなどの香りの強い食材中の成分として添加されるため、これらの使用量を多くすると、オニオンやガーリックなどの香りが強くなりすぎてしまい、かえって食品全体の風味が損なわれるという問題が生じた。そこで、本発明は、食塩相当量が少なくてもコクがあり、かつ食品全体の風味のバランスが良好な減塩カレールウ及び減塩カレーソースを提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び、5’-イノシン酸二ナトリウムを配合することで、意外なことに減塩カレールウ及び減塩カレーソースのコクを増強し、かつ風味のバランスも向上できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す減塩ルウ及び減塩カレーソースを提供するものである。
〔1〕アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを含む減塩カレールウであって、
前記減塩カレールウに対して、食塩相当量が、10g/100g以下であり、前記アラニンの量が、0.07~1質量%であり、前記ジメチルプロピルピラジンの量が、5×10-8~8×10-7質量%であり、前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量が、0.02~1質量%であることを特徴とする、減塩カレールウ。
〔2〕前記アラニンの量が、0.1~0.7質量%である、前記〔1〕に記載の減塩カレールウ。
〔3〕前記ジメチルプロピルピラジンの量が、7×10-8~7×10-7質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の減塩カレールウ。
〔4〕前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量が、0.03~0.5質量%である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の減塩カレールウ。
〔5〕アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを含む減塩カレーソースであって、
具材を含まない状態で、前記減塩カレーソースに対して、食塩相当量が、2.5g/100g以下であり、前記アラニンの量が、0.01~0.25質量%であり、前記ジメチルプロピルピラジンの量が、8×10-9~2×10-7質量%のジメチルプロピルピラジンであり、前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量が、0.003~0.25質量%であることを特徴とする、減塩カレーソース。
本発明に従えば、アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び、5’-イノシン酸二ナトリウムを配合することにより、減塩カレールウ及び減塩カレーソースの味全体のバランスを向上しつつコクを増強することができる。したがって、強いコクを有し、かつ風味のバランスも良好な減塩カレールウ及び減塩カレーソースを提供することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、特定の量でアラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを含む減塩カレールウに関するものである。本明細書に記載の「減塩カレールウ」とは、通常のカレールウと比較して食塩相当量が低減されているカレールウのことをいい、本発明の減塩カレールウでは、食塩相当量が、当該減塩カレールウに対して10g/100g以下であり、好ましくは8g/100g以下である。本明細書に記載の「食塩相当量」とは、食品100gあたりに含まれているナトリウム量から計算される食塩の量のことをいい、誘導結合プラズマ発光分析法又は原子吸光光度法などで定量した食品中のナトリウム含量に基づき、次の計算式:
食塩相当量(g/100g)=食品中のナトリウム含量(mg/100g)×2.54/1000
によって計算される。例えば、食品100g中のナトリウム量が100mgであれば、食塩相当量は0.254g/100g(=100×2.54÷1000)と計算される。
また別の態様では、本発明は、特定の量でアラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを含む減塩カレーソースに関する。本明細書に記載の「減塩カレーソース」とは、通常のカレーソースと比較して食塩相当量が低減されているカレーソースのことをいい、本発明の減塩カレーソースでは、具材を含まない状態での食塩相当量が、当該減塩カレーソースに対して2.5g/100g以下であり、好ましくは2g/100g以下である。本発明の減塩カレーソースは、前述の減塩カレールウを使用して調製してもよい。
本発明の減塩カレールウ又は減塩カレーソースに含まれるアラニンは、その化合物自体若しくはその飲食品用途に許容される塩又はそれらを含む組成物として、当該減塩カレールウ又は減塩カレーソースに添加され得るものである。前記飲食品用途に許容される塩としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩など)、及びアルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩など)などが挙げられる。前記減塩カレールウ中の前記アラニンの量は、前記減塩カレールウに対して約0.07~約1質量%であり、好ましくは約0.1~約0.7質量%、さらに好ましくは約0.12~約0.5質量%である。また、前記減塩カレーソース中の前記アラニンの量は、前記減塩カレーソースに対して約0.01~約0.25質量%であり、好ましくは約0.015~約0.18質量%、さらに好ましくは約0.02~約0.13質量%である。このような範囲の量でアラニンが含まれていると、前記減塩カレールウで作製したカレーソース又は前記減塩カレーソースを口に入れたときに最初に感じる味(先味)が増強され、減塩による味の物足りなさを補うことが可能となる。前記減塩カレールウ又は前記減塩カレーソース中のアラニンの量は、当技術分野で通常使用され得る任意の方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)によって、測定することができる。
本発明の減塩カレールウ又は減塩カレーソースに含まれるジメチルプロピルピラジンは、その化合物自体若しくはその飲食品用途に許容される塩又はそれらを含む組成物として、当該減塩カレールウ又は減塩カレーソースに添加され得るものである。前記飲食品用途に許容される塩としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、有機アミン塩、有機酸塩、無機酸塩、スルホン酸塩、及びハロゲン化物塩などが挙げられる。前記ジメチルプロピルピラジン又はその飲食品用途に許容される塩を含む組成物としては、特に制限されないが、例えば焙煎したオニオン(ローストオニオン)、焙煎したガーリック(ローストガーリック)、及び各種スパイスなどが挙げられる。前記減塩カレールウ中の前記ジメチルプロピルピラジンの量は、前記減塩カレールウに対して約5×10-8~約8×10-7質量%であり、好ましくは約7×10-8~約7×10-7質量%、さらに好ましくは約1×10-7~約5×10-7質量%である。また、前記減塩カレーソース中の前記ジメチルプロピルピラジンの量は、前記減塩カレーソースに対して約8×10-9~約2×10-7質量%であり、好ましくは約1.2×10-8~約1.8×10-7質量%、さらに好ましくは約1.7×10-8~約1.3×10-7質量%である。このような範囲の量でジメチルプロピルピラジンが含まれていると、前記減塩カレールウで作製したカレーソース又は前記減塩カレーソースを口に入れたときの先味に続いて感じる味(中味)が増強され、減塩による味の物足りなさを補うことが可能となる。前記減塩カレールウ又は前記減塩カレーソース中のジメチルプロピルピラジンの量は、当技術分野で通常使用され得る任意の方法、例えば、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー質量分析法(SPME-GCMS法)によって、測定することができる。
本発明の減塩カレールウ又は減塩カレーソースに含まれる5’-イノシン酸二ナトリウムは、それ自体又はそれを含む組成物として、当該減塩カレールウ又は減塩カレーソースに添加され得るものである。前記減塩カレールウ中の前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量は、前記減塩カレールウに対して約0.02~約1質量%であり、好ましくは約0.03~約0.5質量%、さらに好ましくは約0.05~約0.1質量%である。また、前記減塩カレーソース中の前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量は、前記減塩カレーソースに対して約0.003~約0.25質量%であり、好ましくは約0.005~約0.125質量%、さらに好ましくは約0.008~約0.025質量%である。このような範囲の量でジメチルプロピルピラジンが含まれていると、前記減塩カレールウで作製したカレーソース又は前記減塩カレーソースを口に入れたときの最後に感じる味(後味)が増強され、減塩による味の物足りなさを補うことが可能となる。前記減塩カレールウ又は前記減塩カレーソース中の5’-イノシン酸二ナトリウムの量は、当技術分野で通常使用され得る任意の方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)によって、測定することができる。
ある態様では、本発明の減塩カレールウ及び減塩カレーソースは、有機酸をさらに含んでもよい。前記有機酸は、その化合物自体若しくはその飲食品用途に許容される塩又はそれらを含む組成物として、前記減塩カレールウ又は減塩カレーソースに添加され得るものである。前記飲食品用途に許容される塩としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩など)、及びアルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩など)などが挙げられる。前記有機酸としては、当技術分野で通常使用される有機酸を特に制限されることなく使用することができるが、例えば、前記有機酸は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、及びコハク酸などであってもよい。前記有機酸を追加で配合することで、前記減塩カレールウで作製したカレーソース又は前記減塩カレーソースの風味や香りをさらに際立たせることができる。
前記減塩カレールウ中の前記クエン酸の量は、特に制限されないが、例えば、前記減塩カレールウに対して約0.22~約1質量%であってもよく、好ましくは約0.25~約0.5質量%である。そして、前記減塩カレーソース中の前記クエン酸の量は、特に制限されないが、例えば、前記減塩カレーソースに対して約0.03~約0.25質量%であってもよく、好ましくは約0.04~約0.125質量%である。また、前記減塩カレールウ中の前記乳酸の量は、特に制限されないが、例えば、前記減塩カレールウに対して約0.025~約0.5質量%であってもよく、好ましくは約0.035~約0.2質量%である。そして、前記減塩カレーソース中の前記乳酸の量は、特に制限されないが、例えば、前記減塩カレーソースに対して約0.004~約0.125質量%であってもよく、好ましくは約0.006~約0.05質量%である。前記減塩カレールウ又は前記減塩カレーソース中の有機酸の量は、当技術分野で通常使用され得る任意の方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)によって、測定することができる。
本発明の減塩カレールウ及び減塩カレーソースの製造方法は、特に制限されず、当技術分野で使用される任意の方法を採用することができる。また、本発明の減塩カレールウ及び減塩カレーソースは、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤をさらに含んでもいいし、減塩食品の呈味を改善するのに有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明の減塩カレールウ及び減塩カレーソースにおいて、コクが増強され、かつ風味のバランスも向上する機序については、特定の理論に拘束されるものではないが、例えば、アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムが特定の量で含まれていることで、前記減塩カレールウで作製したカレーソース又は前記減塩カレーソースの先味、中味、及び後味がバランス良く増強されるのに加えて、それらの成分が互いに干渉し合うことで味の複雑さや広がりも増強されてコクが向上するものと考えられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1及び2並びに比較例1~7〕
牛脂38質量部及び小麦粉20質量部を加熱釜に投入して加熱撹拌し、50分かけて120℃まで昇温して、小麦粉ルウを製造した。この小麦粉ルウに、カレー粉8質量部、オニオンパウダー4質量部、ローストガーリック0.1質量部、アラニン0.08質量部、5’-イノシン酸二ナトリウム0.03質量部、クエン酸0.14質量部、乳酸0.05質量部、砂糖11質量部、食塩5質量部、コーンスターチ8質量部、カラメル2質量部、エキス類(畜肉エキス、野菜エキス)3.6質量部を添加して加熱撹拌した。そして、冷却工程、充填工程、固化工程、及び包装工程を経て、実施例1の減塩カレールウを作製した。また、ローストガーリック、アラニン、5’-イノシン酸二ナトリウム、及び食塩の配合量を変えたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1及び2の減塩ではないカレールウ、並びに、実施例2及び比較例3~7の減塩カレールウを作製した(各種成分の含有量については後掲の表1を参照)。
〔試験例1〕
実施例1及び2並びに比較例1~7のカレールウについて、アラニン、ジメチルプロピルピラジン(DPピラジン)、及び5’-イノシン酸二ナトリウム(IMP・2Na)の含有量測定、並びに、各カレールウから調製したカレーソースの官能試験を、以下の方法で実施した。また、カレールウ中の食塩相当量は、誘導結合プラズマ発光分析法によって測定したナトリウム含量に基づいて計算した。これらの試験結果は、後掲の表1に示す。
1.カレールウ中のアラニンの測定方法
(1)検量線の作成
アラニン(アミノ酸混合標準液、H型:和光純薬工業株式会社)を2.5μmol/mL(アラニンは222.7ppm)含有する試料を標準物質として使用した。標準物質を段階的に希釈したものを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、保持時間21.5分のピークエリアの面積を利用して、検量線を作成した。
(2)測定試料の調製
予めルウ試料をソックスレー抽出(65℃、16時間、ジエチルエーテル)で脱脂操作を行い、脱脂試料を作製した。脱脂試料1gをビーカーに測り取り、蒸留水を20mL加え、60℃で10分加温後、スターラーで10分間撹拌抽出した。そして、スターラーで撹拌しながら99.5%エタノール60mLを徐々に添加し、均一にして、75%エタノールでビーカーの壁面を洗いながら、100mLに定容した。上澄み液を5Bろ紙(ADVANTEC社製)でろ過し、0.45フィルター(TITAN3-17 PTFE)に通して、前試料液を調製した。この前試料液とアラニン標準液とを、AccQ・FluorTM Reagent Kit(Waters)を用いて誘導体化し、測定試料を調製した。
(3)HPLC分析
測定試料をHPLCにて分析することにより、アラニンを定量した。分析には、Waters社製のAliance(Waters2475)を使用した。
HPLC分析は以下の条件で行った。
流速:1.0mL/分
移動相A:AccQ・TagTM Eluent A Concentrate for hydrolysate amino acid analysisと蒸留水との1:10混合溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相C:蒸留水
送液グラジエント:1) 0.00分 A100%/B 0%/C 0%
2) 0.50分 A 99%/B 1%/C 0%
3) 18.00分 A 95%/B 5%/C 0%
4) 19.00分 A 91%/B 9%/C 0%
5) 29.50分 A 83%/B17%/C 0%
6) 33.00分 A 0%/B60%/C40%
7) 36.00分 A100%/B 0%/C 0%
8) 65.00分 A 0%/B60%/C40%
使用カラム:AccQ・TagTM For Hydrolysate Amino Analysis 3.9×150mmカラム
カラム温度:37℃
注入量:10μL
検出器:蛍光検出器(励起波長250nm、蛍光波長395nm)
2.カレールウ中のDPピラジンの測定方法
(1)検量線の作成
本測定方法では、DPピラジンの含有量を、2-プロピル-3,5-ジメチルピラジン及び2-プロピル-3,6-ジメチルピラジンの合計量として測定する。2-プロピル-3,5-ジメチルピラジンと2-プロピル-3,6-ジメチルピラジンを1:1で含有する試料を標準物質とし、内部標準物質には、2,3-ジメチル-5-イソプロピルピラジンを使用した。100ppbの内部標準物質水溶液を用いて標準物質を段階的に希釈した溶液を検量線試料とした。SPME-GCMS用の20mL容ガラス製バイアルに試料1mLを加えて密閉し、SPME-GCMS分析に供した。保持時間15.8分の2,3-ジメチル-5-イソプロピルピラジンのピークエリアと、保持時間16.8分の2-プロピル-3,5-ジメチルピラジン及び2-プロピル-3,6-ジメチルピラジンのピークエリアの比を利用して検量線を作成した。
(2)測定試料の調製
ルウを粉砕し、粉砕したルウ10gを、ガラス製遠心チューブに移した。ここへジエチルエーテル30mLと内部標準物質2μgを加えて均一になるまで混合し、その後、遠心分離して上澄み液を得た。上澄み液に0.5N塩酸を加えた後に水層を回収し、さらにNaOH水溶液を加えて中和して中和液を得た。中和液にジクロロメタンを加えた後に有機層を三角フラスコに回収した。回収した有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過して、そのろ液をエバポレーターにより減圧濃縮した。濃縮物を窒素ブローで乾固させ、蒸留水を1mL加えて測定試料とした。
(3)SPME-GCMS分析
測定試料をSPME-GCMSにて分析することにより、DPピラジンを定量した。分析には、Agilent Technologies社製のGCMS(7890A GC System、5975C inert XL MSD)とGestel社製のオートサンプラーを使用した。SPMEファイバーとしては、SUPELCO社製のDivinylbenzene/Carboxe/Polydimethylsiloxane(2cm)を使用した。ファイバーを、密閉したバイアル内で60℃、15分間暴露して、揮発成分を吸着させた後に、GCMSへインジェクションした。
GCMS分析は以下の条件で行った。
使用カラム:Agilent VF-5MS(60m×0.25mm、0.25μm)
カラムオーブン昇温条件:(i)40℃から昇温開始→(ii)10℃/分の条件で7分間加熱し110℃まで昇温→(iii)2℃/分の条件で35分間加熱し180℃まで昇温→(iv)15℃/分の条件で8分間加熱し300℃まで昇温させて終了(昇温開始から50分経過)。
3.IMP・2Naの測定方法
(1)検量線の作成
IMP・2Naを100mg/L含有する試料を標準物質として使用した。標準物質を段階的に希釈したものを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、保持時間12.2分のピークエリアの面積を利用して検量線を作成した。
(2)測定試料の調製
予めルウ試料をソックスレー抽出(65℃、16時間、ジエチルエーテル)で脱脂操作を行い、脱脂試料を作製した。脱脂試料1gをビーカーに測り取り、50mMリン酸二水素カリウム溶液(pH2.00)を約40mL加え、30分間撹拌抽出し、イオン交換水で50mL定量した。さらに、5Bろ紙(ADVANTEC社製)でろ過し、0.45フィルター(TITAN3-17)を通して測定試料とした。必要に応じて希釈した。
(3)HPLC分析
測定試料をHPLCにて分析することにより、IMP・2Naを定量した。分析には、島津製作所社製の高速液体クロマトグラフ(LCsolution,SCL-10AVP,SPD-10AV,CTO-10ACVP,SIL-10ADVP)を使用した。
HPLC分析は以下の条件で行った。
流速:0.5mL/分
移動相:50mMリン酸二水素カリウム水溶液
使用カラム:CAPCELLPAK UG80 5μm(φ4.6×250)
カラム温度:35℃
注入量:10μL
検出器:UV検出器(検出波長254nm)
4.官能試験方法
実施例1、2及び比較例1~7のいずれかのカレールウを使用してカレーソースを作製し、味のバランス及びコクの強さを、以下の基準で評価した。なお、カレーソースは、具体的には、50質量部のカレールウ、及び300質量部の湯を加熱釜に投入し、沸騰させて作製した。
[評価基準(味のバランス)]
比較例1の減塩ではないカレールウから作製した味のバランスの良好なカレーソースを「3」、カレールウの作製時にアラニンを添加していない比較例3のカレールウから作製した味のバランスの悪いカレーソースを「1」として、各カレーソースの味のバランスを3段階で評価した。
3:味のバランスが良好
2:味のバランスがやや悪い
1:味のバランスが悪い
[評価基準(コクの強さ)]
比較例1の減塩ではないカレールウから作製したコクの強いカレーソースを「3」、カレールウの作製時にアラニンを添加していない比較例3のカレールウから作製したコクの弱いカレーソースを「1」として、各カレーソースのコクを3段階で評価した。
3:コクが強い
2:コクがやや弱い
1:コクが弱い
Figure 0007262931000001
比較例1及び2のように食塩相当量が通常のカレールウで作製したカレーソースは、味のバランスもコクの強さも良好なものであったが、食塩の配合量を減らすと味のバランスもコクの強さも失われ、アラニン、DPピラジン、及びIMP・2Naのいずれかを添加しても味のバランスを整えることはできず、十分なコクも得られなかった(比較例3~7)。一方、アラニン、DPピラジン、及びIMP・2Naを併せて配合すると、味のバランスが良好なものとなり、かつコクの強さも向上した(実施例1及び2)。
〔実施例3及び4〕
クエン酸の配合量を減らしたこと(実施例3)、又は、乳酸の配合量を減らしたこと(実施例4)以外は実施例1と同様にして、カレールウを作製した(各種成分の含有量については後掲の表2を参照)。
〔試験例2〕
実施例1、3、及び4のカレールウについて、クエン酸又は乳酸の含有量を後述する方法により追加で測定した以外は試験例1と同様にして、各成分の含有量測定、並びに、各カレールウから調製したカレーソースの官能試験を実施した。各成分の含有量測定の結果を、以下の表2に示す。
Figure 0007262931000002
実施例3の減塩カレールウで作製したカレーソース及び実施例4の減塩カレールウで作製したカレーソースは、どちらも良好な味のバランスと十分なコクを有していた。そして、実施例3の減塩カレールウで作製したカレーソースの風味は、幾分穏やかなものであったが、クエン酸を多く含む実施例1の減塩カレールウで作製したカレーソースの風味は、より際立ったものであった。また、実施例4の減塩カレールウで作製したカレーソースの香り立ちは、幾分やわらかいものであったが、乳酸を多く含む実施例1の減塩カレールウで作製したカレーソースの香り立ちは、より際立ったものであった。
参考:クエン酸及び乳酸の測定方法
(1)検量線の作成
クエン酸(特級:和光純薬工業株式会社)を1000mg/L含有する試料、及び、乳酸(特級:和光純薬工業株式会社)を1000mg/L含有する試料を、それぞれの標準物質として使用した。標準物質を段階的に希釈したものを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、クエン酸を含有する試料については、保持時間21.5分のピークエリアの面積を利用して検量線を作成し、乳酸を含有する試料については、保持時間16.5分のピークエリアの面積を利用して検量線を作成した。
(2)測定試料の調製
ルウを粉砕し、粉砕したルウ10gを、蓋付き遠沈管に入れた。ここへ蒸留水を20mL加え、60℃で15分間、時々攪拌しながら加温抽出した。これを3000回転で10分間遠心分離し、上澄み液をNo.101ろ紙(ADVANTEC社製)でろ過した。そして、ろ液を4mL採取して蒸留水で10mLに定容した。この定容液1mLを1.5mL容マイクロチューブに入れ、1M過塩素酸溶液を0.5mL加えて、14500回転で4℃で10分間遠心分離した。上澄み液を0.45μmフィルター(TITAN3-17)に通して、測定試料を調製した。
(3)HPLC分析
測定試料をHPLCにて分析することにより、クエン酸又は乳酸を定量した。分析には、島津製作所社製の高速液体クロマトグラフ(LCsolution,SCL-10AVP,SPD-10AV,CTO-10ACVP,SIL-10ADVP)を使用した。
HPLC分析は以下の条件で行った。
流速:(移動相)0.7mL/分、(反応液)0.675mL/分
移動相:5mM過塩素酸水溶液
反応液:0.2mMブロモチモールブルー水溶液(ブロモチモールブルー0.125g/L、リン酸水素二ナトリウム十二水和物5.37g/L、水酸化ナトリウム0.08~0.1g/L)
使用カラム:Intersil ODS-3(5μm、φ4.6×250mm)+Intersil ODS-3(5μm、φ4.6×250mm)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
検出器:UV検出器(検出波長445nm)
以上より、アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを配合すると、減塩カレールウ及び減塩カレーソースの風味のバランスを向上しつつコクを増強することができることがわかった。したがって、強いコクを有し、かつ風味のバランスも良好な減塩カレールウ及び減塩カレーソースを提供することが可能となる。

Claims (9)

  1. アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを含む減塩カレールウであって、
    前記減塩カレールウに対して、食塩相当量が、10g/100g以下であり、前記アラニンの量が、0.07~1質量%であり、前記ジメチルプロピルピラジンの量が、5×10-8~8×10-7質量%であり、前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量が、0.02~1質量%であることを特徴とする、減塩カレールウ。
  2. 前記アラニンの量が、0.1~0.7質量%である、請求項1に記載の減塩カレールウ。
  3. 前記ジメチルプロピルピラジンの量が、7×10-8~7×10-7質量%である、請求項1又は2に記載の減塩カレールウ。
  4. 前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量が、0.03~0.5質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の減塩カレールウ。
  5. 有機酸をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の減塩カレールウ。
  6. 前記有機酸が、クエン酸及び/又は乳酸を含む、請求項5に記載の減塩カレールウ。
  7. アラニン、ジメチルプロピルピラジン、及び5’-イノシン酸二ナトリウムを含む減塩カレーソースであって、
    具材を含まない状態で、前記減塩カレーソースに対して、食塩相当量が、2.5g/100g以下であり、前記アラニンの量が、0.01~0.25質量%であり、前記ジメチルプロピルピラジンの量が、8×10-9~2×10-7質量%のジメチルプロピルピラジンであり、前記5’-イノシン酸二ナトリウムの量が、0.003~0.25質量%であることを特徴とする、減塩カレーソース。
  8. 有機酸をさらに含む、請求項7に記載の減塩カレーソース。
  9. 前記有機酸が、クエン酸及び/又は乳酸を含む、請求項7又は8に記載の減塩カレーソース。
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