JP7262705B2 - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、還元剤を排気通路内に噴射する還元剤インジェクタと、この還元剤を用いてNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、還元剤インジェクタから還元剤を噴射させる制御を行う制御器と、を有するエンジンの排気浄化装置に関する。
従来から、還元剤としての尿素を排気通路中に噴射する尿素インジェクタと、この尿素インジェクタから噴射された尿素から生成されたアンモニアを吸着し、この吸着したアンモニアを排気ガス中のNOxと反応(還元)させて浄化する、選択還元型NOx触媒としてのSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒と、を有するエンジンの排気浄化装置が知られている。例えば、特許文献1には、SCR触媒からのアンモニアのスリップの発生を回避するように、尿素インジェクタからの尿素噴射量を制御する技術が開示されている。特に、この特許文献1に開示された技術では、エンジンの運転状態が加速運転状態である場合に、アンモニアのスリップが発生すると判定して、尿素噴射量を低減させている。
特開2014-70566号公報
一般的に、SCR触媒は、内部に吸着するアンモニアの量(以下では「アンモニア吸着量」と呼ぶ。)が多いほど、NOx浄化率が高くなる。したがって、NOx浄化率を向上させるためには、尿素噴射量を増加させてアンモニア吸着量を大きくすることが望ましいと言える。しかしながら、アンモニア吸着量を大きくしようとすると、SCR触媒からアンモニアがスリップする可能性がある。すなわち、アンモニア吸着量を大きくすべく尿素噴射量を増加させると、SCR触媒がアンモニアを吸着しきれなくなることで、換言するとアンモニア吸着量がSCR触媒におけるアンモニア吸着限界を超えることで、アンモニアがスリップしてしまう。
ここで、SCR触媒のアンモニア吸着限界は、SCR触媒の温度(詳しくはSCR触媒の担体温度である。以下では単に「SCR温度」と呼ぶ。)により変化する。具体的には、SCR温度が高くなるほど、アンモニア吸着限界が小さくなる。そのため、SCR温度が高くなるほど、アンモニア吸着量が少なくなるように、尿素を噴射する必要がある。上記した特許文献1に記載された技術では、車両の加速時には、SCR温度が高くなるため、アンモニア吸着量を少なくするように尿素噴射量を低減させることで、アンモニアのスリップを抑制している。
一方で、車両の加速時には、排気ガスに含まれるNOx量が多くなる。このようにNOx量が多いときには、SCR触媒のNOx浄化率が低下する傾向にある。加えて、加速時には排気ガス流量も多くなるが、SCR触媒は、排気ガス流量が多いときにもNOx浄化率が低下する傾向にある。よって、車両の加速時には、SCR触媒のNOx浄化率を確保しにくくなる。上記の特許文献1に記載された技術のように、車両の加速時に、アンモニアのスリップを抑制すべく尿素噴射量を低減させると、NOxと反応させるためのアンモニアが不足して、SCR触媒のNOx浄化率を十分に確保することができなくなる。
このようなことから、車両の加速時において、アンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒のNOx浄化率を確保することは困難であると言える。ただし、SCR触媒を大型に構成すれば、つまりSCR触媒の容量を大きく構成すれば、SCR触媒が吸着可能なアンモニアの絶対量が大きくなるので、加速時において、アンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒のNOx浄化率を確保できるものと考えられる。しかしながら、SCR触媒を大型に構成すると、圧損が生じたり、コストが増加したりする。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、排気ガス流量が所定量以上となるエンジンの運転状態、例えば車両の加速時において、適切に増加させた目標還元剤吸着量に基づき還元剤インジェクタから還元剤を噴射させることで、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを抑制しつつ、選択還元型NOx触媒によるNOx浄化率を改善することができるエンジンの排気浄化装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、還元剤としてのアンモニア又はアンモニアの前駆体を、エンジンの排気通路内に噴射する還元剤インジェクタと、還元剤インジェクタにより噴射された還元剤を用いて、排気ガス中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、選択還元型NOx触媒の温度である触媒温度に基づき、選択還元型NOx触媒に吸着させるべき還元剤の量である目標還元剤吸着量を設定し、この目標還元剤吸着量に基づき、還元剤インジェクタから還元剤を噴射させる制御を行う制御器と、を有するエンジンの排気浄化装置であって、制御器は、排気ガス流量が所定量以上である状態にてエンジンが運転しているか否かを判定し、エンジンが当該状態にて運転していると判定された場合には、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の触媒温度において目標還元剤吸着量が大きくなるように、触媒温度に基づき目標還元剤吸着量を設定し、選択還元型NOx触媒に現在吸着されている還元剤の量である推定還元剤吸着量を算出し、目標還元剤吸着量及び推定還元剤吸着量に基づき、還元剤インジェクタから噴射させるべき還元剤の量である還元剤噴射量を設定し、還元剤インジェクタから還元剤噴射量を噴射させる制御を行うように構成されている、ことを特徴とする。
このように構成された本発明では、制御器は、例えば回路により構成されており、排気ガス流量が所定量以上である状態にてエンジンが運転している場合に、排気ガス流量が所定量未満である状態にてエンジンが運転している場合よりも、同一の触媒温度において目標還元剤吸着量が大きくなるように、触媒温度に基づき目標還元剤吸着量を設定する。その結果、典型的には車両が加速しているときに、大きな量に設定された目標還元剤吸着量に応じて還元剤噴射量が増加されることで、選択還元型NOx触媒によるNOx浄化率を改善することができる。すなわち、還元剤噴射量の増加により、選択還元型NOx触媒における表面の部分(通過する排気ガスが接し易い部分)に吸着する還元剤量を多くして、この表面の部分に吸着した還元剤をNOxとの反応に主に用いられるようにすることで、NOx浄化率を改善することができる。また、還元剤噴射量の増加により、選択還元型NOx触媒の還元剤吸着量が増加することによっても、NOx浄化率が改善する。他方で、本発明では、排気ガス流量が所定量以上となったタイミングにおいて還元剤噴射量を増加させるので、すなわち典型的には加速時において還元剤噴射量を一時的に増加させるだけなので、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを適切に抑制することができる。以上より、本発明によれば、車両の加速時などにおいて、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを抑制しつつ、選択還元型NOx触媒によるNOx浄化率を改善することができる。
他の観点では、上記の目的を達成するために、本発明は、還元剤としてのアンモニア又はアンモニアの前駆体を、エンジンの排気通路内に噴射する還元剤インジェクタと、還元剤インジェクタにより噴射された還元剤を用いて、排気ガス中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、選択還元型NOx触媒の温度である触媒温度に基づき、選択還元型NOx触媒に吸着させるべき還元剤の量である目標還元剤吸着量を設定し、この目標還元剤吸着量に基づき、還元剤インジェクタから還元剤を噴射させる制御を行う制御器と、を有するエンジンの排気浄化装置であって、制御器は、排気ガス流量が所定量以上である状態にてエンジンが運転しているか否かを判定し、エンジンが当該状態にて運転していると判定された場合には、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の触媒温度において目標還元剤吸着量が大きくなるように、触媒温度に基づき設定された目標還元剤吸着量を増加させる補正を行い、選択還元型NOx触媒に現在吸着されている還元剤の量である推定還元剤吸着量を算出し、目標還元剤吸着量及び推定還元剤吸着量に基づき、還元剤インジェクタから噴射させるべき還元剤の量である還元剤噴射量を設定し、還元剤インジェクタから還元剤噴射量を噴射させる制御を行うように構成されている、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によっても、車両の加速時などにおいて、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを抑制しつつ、選択還元型NOx触媒によるNOx浄化率を改善することができる。
本発明において、好ましくは、制御器は、エンジンが上記の状態にて運転していると判定された場合には、選択還元型NOx触媒の還元剤の吸着限界を超えない範囲内において、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の触媒温度において目標還元剤吸着量を大きくするように構成されている。
このように構成された本発明によれば、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを確実に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、排気ガス中のNOx量に応じて出力値が変化するNOxセンサを更に有し、制御器は、NOxセンサの出力値に基づいて、選択還元型NOx触媒に対する異常判定を行い、エンジンが上記の状態にて運転していると判定された場合には、異常判定の実行性を確保するように定められた、選択還元型NOx触媒の還元剤の吸着量における最大値を超えない範囲内において、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の触媒温度において目標還元剤吸着量を大きくするように構成されている。
このように構成された本発明によれば、還元剤のスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を実現しつつ、選択還元型NOx触媒の異常判定の実行頻度を適切に確保することができる。
本発明において、好ましくは、触媒温度が所定温度以上の高温域にあるときには、エンジンが上記の状態にて運転していると判定された場合に適用される目標還元剤吸着量と、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合に適用される目標還元剤吸着量とが同じ量である。
このように構成された本発明によれば、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを確実に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、触媒温度が所定温度未満の低温域にあるときには、エンジンが上記の状態にて運転していると判定された場合に適用される目標還元剤吸着量と、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合に適用される目標還元剤吸着量との差が、触媒温度によらずに一定である。
このように構成された本発明によれば、還元剤のスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
本発明において、好ましくは、触媒温度が低温域を超える中温域にあるときには、エンジンが上記の状態にて運転していると判定された場合に適用される目標還元剤吸着量と、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合に適用される目標還元剤吸着量との差が、触媒温度が高くなるにつれて大きくなる。
このように構成された本発明によれば、還元剤のスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
本発明において、好ましくは、触媒温度が中温域を超える高温域にあるときには、エンジンが上記の状態にて運転していると判定された場合に適用される目標還元剤吸着量と、エンジンが当該状態にて運転していないと判定された場合に適用される目標還元剤吸着量との差が、触媒温度が高くなるにつれて小さくなる。
このように構成された本発明によれば、還元剤のスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
本発明において、好ましくは、制御器は、還元剤インジェクタによる還元剤の噴射により選択還元型NOx触媒に吸着された還元剤の量、及び、選択還元型NOx触媒に吸着された還元剤のうちで、NOxの還元により消費された還元剤の量に基づき、推定還元剤吸着量を算出し、目標還元剤吸着量と推定還元剤吸着量との差分、及び、NOxの還元により消費された還元剤の量に基づき、還元剤噴射量を設定するように構成されている。
このように構成された本発明によれば、還元剤インジェクタからの還元剤噴射量の噴射によって、所望の量の還元剤を選択還元型NOx触媒に正確に吸着させることができる。
本発明において、好ましくは、排気ガス流量が所定量以上である状態とは、エンジンの排気浄化装置が搭載された車両が加速しているときの状態に相当する。
このように構成された本発明によれば、特に車両の加速時において、還元剤のスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
本発明に係るエンジンの排気浄化装置によれば、排気ガス流量が所定量以上となるエンジンの運転状態、例えば車両の加速時において、適切に増加させた目標還元剤吸着量に基づき還元剤インジェクタから還元剤を噴射させることで、選択還元型NOx触媒からの還元剤のスリップを抑制しつつ、選択還元型NOx触媒によるNOx浄化率を改善することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンシステムの制御系を示すブロック図である。 尿素噴射量の増加によりNOx浄化率が改善する理由についての説明図である。 本発明の第1実施形態による尿素噴射制御において用いられる目標アンモニア吸着量のマップである。 本発明の第1実施形態による尿素噴射制御を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態による尿素噴射制御を行ったときの結果を示すタイムチャートである。 本発明の第2実施形態による尿素噴射制御において用いられる目標アンモニア吸着量を補正するためのマップについての説明図である。 本発明の第2実施形態による尿素噴射制御を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態において、排気ガス流量に応じてアンモニア吸着量補正量を変化させるためのマップについての説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置について説明する。
<システム構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの排気浄化装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図であり、図2は、本発明の実施形態によるエンジンシステムの制御系を示すブロック図である。
図1に示すように、エンジンシステム200は、ディーゼルエンジンとしてのエンジンEと、エンジンEに吸気を供給する吸気系INと、エンジンEに燃料を供給するための燃料供給系FSと、エンジンEの排気ガスを排出するEXと、エンジンシステム200に関する各種の状態を検出するセンサ100~119とを有する。また、エンジンシステム200には、該エンジンシステム200の制御を行うコントローラ60(図2参照)が設けられている。このエンジンシステム200は車両に設けられるシステムであり、エンジンEは該車両の駆動源として用いられる。
吸気系INは、吸気が通過する吸気通路1を有する。この吸気通路1には、上流側から順に、エアクリーナ3と、第1ターボ過給機5のコンプレッサと、第2ターボ過給機6のコンプレッサと、インタークーラ8と、スロットルバルブ7と、サージタンク12とが設けられている。また、吸気通路1には、第2ターボ過給機6のコンプレッサをバイパスする吸気バイパス通路1aと、吸気バイパス通路1aを開閉する吸気バイパスバルブ6aとが設けられている。
吸気通路1におけるエアクリーナ3の直下流側の通路には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ101及び吸気温度を検出する第1吸気温度センサ102が設けられている。吸気通路1における第1ターボ過給機5と第2ターボ過給機6との間の通路には、吸気の圧力を検出する第1吸気圧センサ103が設けられている。吸気通路1におけるインタークーラ8の直下流側の通路には、インタークーラ8を通過した吸気の温度を検出する第2吸気温度センサ106が設けられている。スロットルバルブ7には、該スロットルバルブ7の開度を検出するポジションセンサ105が設けられている。サージタンク12には、吸気マニホールドにおける吸気の圧力を検出する第2吸気圧センサ108が設けられている。
エンジンEは、吸気通路1の吸気マニホールドから供給された吸気を燃焼室17内に導入するための吸気バルブ15と、燃焼室17に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁20と、通電により発熱する発熱部を燃焼室17内に備えたグロープラグ21と、燃焼室17内での混合気の燃焼により往復運動するピストン23と、燃焼室17内での混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路41に排出するための排気バルブ27とを有する。ピストン23は、コンロッド24を介してクランクシャフト25と連結されている。クランクシャフト25は、ピストン23の往復運動により回転される。
エンジンEには、クランクシャフトの回転角を検出するクランク角センサ100が設けられている。コントローラ60(図2参照)は、クランク角センサ100からの検出信号に基づいて、エンジン回転数を取得する。
燃料供給系FSは、燃料を貯蔵する燃料タンク30と、燃料タンク30から燃料噴射弁20に燃料を供給するための燃料供給通路38とを有する。燃料供給通路38には、上流側から順に、低圧燃料ポンプ31と、高圧燃料ポンプ33と、コモンレール35とが設けられている。
排気系EXは、排気ガスが通路する排気通路41を有する。排気通路41には、上流側から順に、第2ターボ過給機6のタービンと、第1ターボ過給機5のタービンと、NOx触媒45(吸蔵還元型NOx触媒)と、DPF(Diesel Particulate Filter)46と、DPF46の下流側の排気通路41中に尿素を噴射する尿素インジェクタ51と、尿素インジェクタ51から噴射された尿素を用いてNOxを浄化するSCR触媒47(選択還元型NOx触媒)と、SCR触媒47から排出された未反応のアンモニア(NH3)を酸化させて浄化するスリップ触媒48と、が設けられている。また、排気通路41には、第2ターボ過給機6のタービンをバイパスする排気バイパス通路41aと、この排気バイパス通路41aを開閉する排気バイパスバルブ6bとが設けられている。さらに、排気通路41には、第1ターボ過給機5のタービンをバイパスするウェストゲート通路41bと、このウェストゲート通路41bを開閉するウェストゲートバルブ5aとが設けられている。
NOx触媒45は、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりも大きいリーンな状態(空気過剰率λがλ>1)において排気ガス中のNOxを吸蔵し、吸蔵したNOxを、排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍である状態(λ≒1)あるいは理論空燃比よりも小さいリッチな状態(λ<1)において還元する、NOx吸蔵還元型触媒(NSC:NOx Storage Catalyst)である。また、NOx触媒45は、NSCとしての機能だけでなく、排気ガス中の酸素を用いて炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)などを酸化して水と二酸化炭素に変化させるディーゼル触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)としての機能も有するように構成されている。詳しくは、NOx触媒45は、DOCの触媒層の表面に、NSCの触媒材がコーティングされることで形成されている。
DPF46は、排気中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するフィルタである。DPF46に捕集されたPMは、高温に晒されかつ酸素の供給を受けることで燃焼し、DPF46から除去されるようになっている。
SCR触媒47は、尿素インジェクタ51から噴射された尿素から生成されたアンモニアを吸着し、この吸着したアンモニアを排気ガス中のNOxと反応(還元)させて浄化する。このことから、SCR触媒47は、供給される還元剤によりNOxを還元する選択還元型NOx触媒に相当し、尿素インジェクタ51は、還元剤としての、アンモニアの前駆体である尿素を供給可能な還元剤インジェクタに相当する。例えば、SCR触媒47は、アンモニアによってNOxを還元する触媒金属を、アンモニアをトラップするゼオライトに担持させて構成されている。SCR触媒47は、尿素インジェクタ51が噴射した尿素水から生成されるアンモニアを吸着し、このアンモニアを還元剤として用いた化学反応(アンモニアの還元作用)により、排気ガス中のNOxをN2やH2Oに変換させる。なお、本実施形態では、圧損の抑制や低コスト化を図るために、例えば比較的小型のSCR触媒47が適用される。
尿素インジェクタ51は、高純度の尿素を純水で水溶化してなる尿素水を排気通路41内に供給する噴射弁である。尿素インジェクタ51には、尿素水を供給する供給管52の下流端が接続されている。供給管52の上流端には、尿素水を貯留する尿素タンク53が接続されている。また、供給管52には、尿素水を尿素インジェクタ51へ供給するポンプ54が組み入れられている。尿素インジェクタ51から排気通路41内に尿素水が噴射されると、この尿素水に含まれる尿素は、高温下での加水分解によりアンモニアに変換されて、下流側のSCR触媒47に吸着される。ポンプ54は、加圧式のポンプであり、加圧力を発生することで、供給管52を通して、尿素タンク53に貯留された尿素水を尿素インジェクタ51へ供給する。
NOx触媒45とSCR触媒47とは、いずれもNOxを浄化可能な触媒であるが、NOxの浄化率(NOx浄化効率)が高くなる温度が互いに異なっている。詳しくは、NOx触媒45のNOx浄化率は、NOx触媒45の温度が比較的低温のときに高くなる一方、SCR触媒47のNOx浄化率は、SCR触媒47の温度(SCR温度)が比較的高温のときに高くなる。
排気通路41における第2ターボ過給機6よりも上流側の通路には、排気ガスの圧力を検出する排気圧センサ109及び排気ガスの温度を検出する第1排気温度センサ110が設けられている。排気通路41における第1ターボ過給機5の直下流側の通路には、排気ガスの酸素濃度を検出するO2センサ111が設けられている。排気通路41におけるNOx触媒45の周辺には、NOx触媒45の直上流側の通路における排気ガスの温度を検出する第2排気温度センサ112と、NOx触媒45とDPF46との間の通路における排気ガスの温度を検出する第3排気温度センサ113と、DPF46の直上流側の通路とDPF46の直下流側の通路との圧力差を検出する差圧センサ114と、DPF46の直下流側の通路における排気ガスの温度を検出する第4排気温度センサ115と、DPF46の直下流側の通路でかつ尿素インジェクタ51よりも上流側の位置におけるNOxの濃度を検出する第1NOxセンサ116と、が設けられている。また、排気通路41におけるSCR触媒47の周辺には、SCR温度を検出する触媒温度センサ117と、SCR触媒47の直下流側の通路におけるNOxの濃度を検出する第2NOxセンサ118と、が設けられている。さらに、排気通路41には、スリップ触媒48の直上流側の通路における排気ガス中のPMを検出するPMセンサ119が設けられている。詳しくは後述するが、少なくとも第2NOxセンサ118は、排気ガス中のNOx量だけでなく、アンモニア量に応じても出力値が変化するNOxセンサである。
本実施形態におけるエンジンシステム200は、排気ガスの一部を吸気に還流させるEGR装置43を更に有する。EGR装置43は、排気通路41における排気バイパス通路41aの上流端よりも上流側の通路と、吸気通路1におけるスロットルバルブ7とサージタンク12との間の通路とを接続するEGR通路43aと、EGR通路43aを通過する排気ガスを冷却するためのEGRクーラ43bと、EGR通路43aを開閉する第1EGRバルブ43cとを有する。また、EGR装置43は、EGRクーラ43bをバイパスするEGRクーラバイパス通路43dと、EGRクーラバイパス通路43dを開閉する第2EGRバルブ43eとを有する。
図2に示すように、本実施形態のエンジンシステム200は、コントローラ60によって制御される。コントローラ60は、回路により構成されており、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラである。コントローラ60は、プログラムを実行する中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)としての1以上のマイクロプロセッサ60aと、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)により構成されてプログラム及びデータを格納するメモリ60bと、電気信号の入出力をする入出力バス等を備えている。コントローラ60は、本発明における「制御器」の一例である。
なお、コントローラ60は、単一のプロセッサである必要はなく、電気的に接続された複数のプロセッサを含んでいても良い。例えば、コントローラ60は、主にエンジンEを制御するための第1のプロセッサ(典型的には「PCM(Power-train Control Module)」)と、尿素インジェクタ51及びポンプ54等のドージング制御のための第2のプロセッサ(典型的には「DCU(Dosing Control Unit)」)とを含んでいても良い。
コントローラ60には、各種センサ100~119の検出信号が入力される。また、コントローラ60には、上記車両のアクセルペダル(図示省略)の操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ150、及び、上記車両の車速を検出する車速センサ151のそれぞれが出力した検出信号が入力される。コントローラ60は、入力された信号に基づいて、主に、スロットルバルブ7、燃料噴射弁20、グロープラグ21、第1EGRバルブ43c、第2EGRバルブ43e、及び、尿素インジェクタ51の作動を制御する。特に、本実施形態では、コントローラ60は、SCR温度に基づき、SCR触媒47に吸着させるべきアンモニアの量(目標アンモニア吸着量)を設定し、この目標アンモニア吸着量に応じた尿素噴射量を尿素インジェクタ51から噴射させる制御(以下では「尿素噴射制御」と呼ぶ。)を行う。
<本実施形態の基本概念>
次に、本発明の実施形態においてコントローラ60が行う尿素噴射制御の基本概念について説明する。
一般的に、SCR触媒47は、内部に吸着するアンモニアの量(アンモニア吸着量)が多いほど、NOx浄化率が高くなる。したがって、NOx浄化率を向上させるためには、尿素インジェクタ51からの尿素噴射量を増加させてアンモニア吸着量を大きくすることが望ましいと言える。しかしながら、アンモニア吸着量を大きくしようとすると、SCR触媒47からアンモニアがスリップする可能性がある。つまり、アンモニア吸着量を大きくすべく尿素噴射量を増加させると、SCR触媒47がアンモニアを吸着しきれなくなることで、換言するとアンモニア吸着量がSCR触媒47におけるアンモニア吸着限界(SCR触媒47が吸着可能な最大のアンモニア吸着量を意味する。以下同様とする。)を超えることで、アンモニアがスリップしてしまう。そのため、コントローラ60は、原則、このアンモニア吸着限界を超えない範囲内で目標アンモニア吸着量を設定して、この目標アンモニア吸着量に応じた尿素噴射量を尿素インジェクタ51から噴射させる。
特に、SCR触媒47のアンモニア吸着限界は、SCR温度により変化する。したがって、コントローラ60は、アンモニア吸着限界を確実に超えないようにすべく、SCR温度に応じて目標アンモニア吸着量を設定する。具体的には、SCR温度が高くなるほど、アンモニア吸着限界が小さくなるので、コントローラ60は、SCR温度が高くなるほど、設定する目標アンモニア吸着量を小さくする(換言すると、SCR温度が低くなるほど、設定する目標アンモニア吸着量を大きくする)。こうすることで、車両の加速時には、SCR温度が高くなるため、目標アンモニア吸着量が小さい量に設定されて、尿素噴射量が低減される傾向にある。
他方で、車両の加速時には、排気ガスに含まれるNOx量が多くなる。このようにNOx量が多いときには、SCR触媒47のNOx浄化率が低下する傾向にある。加えて、加速時には排気ガス流量も多くなるが、SCR触媒47は、排気ガス流量が多いときにもNOx浄化率が低下する傾向にある。よって、車両の加速時には、SCR触媒47のNOx浄化率を確保しにくくなる。上述したように、車両の加速時に、アンモニアのスリップを抑制するために、目標アンモニア吸着量を小さい量に設定して尿素噴射量を低減させると、NOxと反応させるためのアンモニアが不足して、NOx浄化率が十分に確保されなくなる傾向にある。
このようなことから、車両の加速時において、アンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒47のNOx浄化率を確保することは困難であると言える。ただし、SCR触媒47を大型に構成すれば、つまりSCR触媒47の容量を大きく構成すれば、SCR触媒47が吸着可能なアンモニアの絶対量が大きくなるので、加速時において、アンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒47のNOx浄化率を確保できるものと考えられる。しかしながら、SCR触媒47を大型に構成すると、圧損が生じたり、コストが増加したりする。
そこで、本発明者らは、圧損の抑制や低コスト化のために比較的小型のSCR触媒47を用いても、車両の加速時において、SCR触媒47からのアンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒47によるNOx浄化率の改善を図ることを考えた。これを実現すべく、本実施形態では、コントローラ60は、(1)車両の加速を判断すべく、エンジンEの排気ガス流量と事前に設定された所定量とを比較する判定を行い、(2)排気ガス流量が所定量以上である場合に、排気ガス流量が所定量未満である場合よりも、同一のSCR温度において目標アンモニア吸着量を大きな量に設定して、(3)こうして設定された目標アンモニア吸着量に応じた尿素噴射量を尿素インジェクタ51から噴射させる。つまり、本実施形態では、コントローラ60は、加速時において一時的に、SCR触媒47の目標アンモニア吸着量を大きくして、尿素インジェクタ51からの尿素噴射量を増加させるようにする。
ここで、図3を参照して、上述したように尿素噴射量を一時的に増加させることでNOx浄化率が改善する理由について説明する。図3は、横軸にアンモニア吸着量を示し、縦軸にNOx浄化率を示している。また、グラフG11は、尿素インジェクタ51から尿素を噴射させているときの、SCR触媒47によるアンモニア吸着量に応じたNOx浄化率を示し、グラフG12は、尿素インジェクタ51から尿素を噴射させていないときの、SCR触媒47によるアンモニア吸着量に応じたNOx浄化率を示している。
グラフG11とグラフG12とを比較すると、同じアンモニア吸着量であっても、尿素を噴射させているときのほうが、尿素を噴射させていないときよりも、NOx浄化率が高くなることがわかる。これは、尿素を噴射させているときには、SCR触媒47における表面の部分(通過する排気ガスが接し易い部分)に吸着するアンモニア量が多くなり、この表面の部分に吸着したアンモニアがNOxとの反応に主に用いられることで、NOx浄化率が比較的高くなるのである。これに対して、尿素を噴射させていないときには、SCR触媒47における表面の部分ではアンモニア量が少ないため、SCR触媒47における奥の部分(通過する排気ガスが接しにくい部分)に吸着したアンモニアがNOxとの反応に主に用いられるため、NOx浄化率が比較的低くなるのである。
このような理由により、本実施形態において、加速時に目標アンモニア吸着量を大きくして尿素噴射量を増加させることにより、この加速時におけるNOx浄化率の改善効果が得られるのである。加えて、尿素噴射量を増加させると、SCR触媒47のアンモニア吸着量が増加するため、これによっても、NOx浄化率が改善する。他方で、本実施形態では、加速時において尿素噴射量を一時的に増加させるだけなので、SCR触媒47からのアンモニアのスリップは発生しない。
<第1実施形態>
次に、上述した基本概念のもとで実施される本発明の第1実施形態による尿素噴射制御について説明する。概説すると、第1実施形態では、コントローラ60は、排気ガス流量が所定量以上である場合には、排気ガス流量が所定量未満である場合よりも、同一のSCR温度において目標アンモニア吸着量が大きくなるように、SCR温度に基づき目標アンモニア吸着量を設定して、当該目標アンモニア吸着量に応じた尿素噴射量を尿素インジェクタ51から噴射させる制御を行う。具体的には、コントローラ60は、(1)排気ガス流量が所定量未満である場合には、SCR温度と目標アンモニア吸着量との関係が規定された第1マップを用いて、現在のSCR温度に対応する目標アンモニア吸着量を設定し、(2)排気ガス流量が所定量以上である場合には、SCR温度と目標アンモニア吸着量との関係が規定されたマップであって、同一のSCR温度において第1マップよりも大きな目標アンモニア吸着量が規定された第2マップを用いて、現在のSCR温度に対応する目標アンモニア吸着量を設定する。
図4を参照して、本発明の第1実施形態による尿素噴射制御において用いられる目標アンモニア吸着量のマップについて具体的に説明する。図4は、横軸にSCR温度を示し、縦軸にアンモニア吸着量を示している。また、符号G21は、排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される第1マップを示し、符号G22は、排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される第2マップを示している。これら第1マップG21及び第2マップG22は、SCR温度に応じて設定すべき目標アンモニア吸着量を規定している。他方で、符号G23は、SCR温度に応じたアンモニア吸着限界(SCR触媒47が吸着可能な最大のアンモニア吸着量であり、これ以上のアンモニア量を吸着させようとするとアンモニアのスリップが生じる量である)を示している。
図4に示すように、基本的には、排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される第2マップG22は、排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される第1マップG21よりも、同一のSCR温度において大きな目標アンモニア吸着量が規定されている。また、第2マップG22は、アンモニア吸着限界G23を超えない範囲内において、第1マップG21よりも大きな目標アンモニア吸着量が規定されている。このアンモニア吸着限界G23は、SCR温度が高くなるほど、低くなっている。そのため、第1マップG21及び第2マップG22の両方とも、SCR温度が高くなるほど、目標アンモニア吸着量が小さくなるように規定されている。特に、SCR温度が第1高温域R24(例えば320~600℃程度の領域)にあるときには、アンモニア吸着限界G23がかなり低くなるため、第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量が、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量よりも大きくなっていない、具体的には、第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量が、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量と同じ量になっている。
他方で、SCR温度が、低温域R21(例えば170~210℃程度の領域)、低温域R21よりも高い中温域R22(例えば190~250℃程度の領域)、及び、中温域R22と第1高温域R24との間の第2高温域R23(例えば230~340℃程度の領域)にあるときには、第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量が、同一のSCR温度で見たときに、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量よりも大きくなっている。詳しくは、SCR温度が低温域R21にあるときには、第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量と、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量との差が、SCR温度によらずに一定である。また、SCR温度が中温域R22にあるときには、第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量と、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量との差が、SCR温度が高くなるにつれて大きくなる。また、SCR温度が第2高温域R23にあるときには、第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量と、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量との差が、SCR温度が高くなるにつれて小さくなる。
更に、第1及び第2マップG21、G22(特に第2マップG22)の目標アンモニア吸着量は、SCR触媒47の異常判定の実行性を確保する観点から定められたアンモニア吸着量の最大値Maxを超えないように規定されている。このSCR触媒47の異常判定は、第1NOxセンサ116及び第2NOxセンサ118の出力値に基づきSCR触媒47によるNOx浄化率を求め、こうして求められたNOx浄化率に基づきSCR触媒47を診断するものである(NOx浄化率が低い場合にSCR触媒47が異常であると診断される)。アンモニア吸着限界G23を超えないアンモニア吸着量であっても、目標アンモニア吸着量を大きくし過ぎると、SCR触媒47の異常判定の実行条件が成立しにくくなり、異常判定の実行頻度が低下する可能性がある。そのため、本実施形態では、SCR触媒47の異常判定の実行頻度がある程度確保されるように、目標アンモニア吸着量に制限(最大値Max)を設け、この最大値Maxを超えない範囲内で、第1及び第2マップG21、G22の目標アンモニア吸着量を規定している。
なお、SCR温度が第1高温域R24にある場合には、第2マップG22が第1マップG21に一致するため、第2マップG22を規定せずに、第1マップG21のみを規定してもよい。この場合には、排気ガス流量が所定量以上であっても、第1マップG21を適用すればよい。
次に、図5を参照して、本発明の第1実施形態による尿素噴射制御の全体的な流れについて説明する。図5は、本発明の第1実施形態による尿素噴射制御を示すフローチャートである。このフローチャートは、コントローラ60によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS11では、コントローラ60は、上述した各種センサ100~119、150、151(図1及び図2参照)などから各種情報を取得する。代表的には、コントローラ60は、エアフローセンサ101や、第4排気温度センサ115や、触媒温度センサ117などによる検出情報を取得する。
次いで、ステップS12では、コントローラ60は、現在の排気ガス流量が事前に定められた所定量未満であるか否かを判定する。この場合、コントローラ60は、エアフローセンサ101により検出された吸気流量や、EGR装置43により還流されるEGRガス量(第1EGRバルブ43cの開度などから求められる)などに基づき、排気ガス流量を求める。排気ガス流量の判定に適用される所定量には、車両の加速時に生じる排気ガス流量、例えば比較的大きな加速時に生じる排気ガス流量が用いられる。
ステップS12の結果、現在の排気ガス流量が所定量未満であると判定された場合(ステップS12:Yes)、コントローラ60は、ステップS13に進む。この場合には、コントローラ60は、車両が加速していないものと判断して、若しくは車両の加速度合いが比較的小さいと判断して、目標アンモニア吸着量の設定に用いるマップとして第1マップG21を選択する。これに対して、現在の排気ガス流量が所定量未満であると判定されなかった場合(ステップS12:No)、つまり排気ガス流量が所定量以上である場合、コントローラ60は、ステップS14に進む。この場合には、コントローラ60は、車両が加速していると判断して、若しくは車両の加速度合いが比較的大きいと判断して、目標アンモニア吸着量の設定に用いるマップとして第2マップG22を選択する。
次いで、上記のステップS13、S14の後、コントローラ60は、ステップS15に進む。ステップS15では、コントローラ60は、第1マップG21又は第2マップG22を参照して、現在のSCR温度に対応する目標アンモニア吸着量を設定する。この場合、1つの例では、コントローラ60は、触媒温度センサ117によって検出された温度をSCR温度として用いる。他の例では、コントローラ60は、第4排気温度センサ115によって検出された排気温度などからSCR温度を推定し、推定した当該SCR温度を用いる。
次いで、ステップS16では、コントローラ60は、尿素インジェクタ51による尿素の噴射によりSCR触媒47に吸着されたアンモニア量(吸着アンモニア量)と、SCR触媒47に吸着されたアンモニアのうちで、NOxの還元により消費されたアンモニア量(消費アンモニア量)に基づき、SCR触媒47に現在吸着されているアンモニア量である推定アンモニア吸着量を算出する。コントローラ60は、現在のSCR温度と、現在の排気ガス流量と、尿素インジェクタ51からの前回の尿素噴射量に対応するアンモニア量(尿素量をアンモニア量に換算した量)と、前回の推定アンモニア吸着量とに基づき、所定の演算式やマップを用いて、吸着アンモニア量を算出する。この場合、コントローラ60は、SCR触媒47から脱離したアンモニア量も加味して吸着アンモニア量を算出する、つまり脱離したアンモニア量を差し引いたアンモニア量を算出する。他方で、コントローラ60は、現在のSCR温度と、現在の排気ガス流量と、SCR触媒47に導入されたNOx量(エンジンEの運転状態などから求められる)と、前回の推定アンモニア吸着量とに基づき、所定の演算式やマップを用いて、消費アンモニア量を算出する。そして、コントローラ60は、吸着アンモニア量から消費アンモニア量を減算した量を推定アンモニア吸着量として用いる。
次いで、ステップS17では、コントローラ60は、ステップS15で設定された目標アンモニア吸着量とステップS16で算出された推定アンモニア吸着量との差分、具体的には「目標アンモニア吸着量-推定アンモニア吸着量」を算出する。次いで、ステップS18では、コントローラ60は、ステップS17で算出されたアンモニア吸着量の差分に対してステップS16で算出された消費アンモニア量を加算し、加算により得られたアンモニア量を尿素量に換算し、当該尿素量を尿素インジェクタ51からの尿素噴射量として設定する。次いで、ステップS19では、コントローラ60は、ステップS18で設定された尿素噴射量を尿素インジェクタ51から噴射させる制御を行う。
次に、図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る尿素噴射制御による作用について説明する。図6は、本発明の第1実施形態による尿素噴射制御を行ったときの結果を示すタイムチャートである。図6は、上から順に、車速、SCR温度、排気ガス流量、アンモニア吸着量、尿素噴射量を示している。
車両が加速しているときに、矢印A31、A32に示すように、排気ガス流量(実線で示す)が一時的に所定量(破線で示す)以上となる。こうして排気ガス流量が所定量以上となったタイミングにおいて、矢印A33、A34に示すように、目標アンモニア吸着量(実線で示す)が、推定アンモニア吸着量(破線で示す)を一時的に超える。これは、排気ガス流量が所定量以上である場合には、第2マップG22が選択されることで、第1マップG21が選択される場合(排気ガス流量が所定量未満である場合)よりも、設定される目標アンモニア吸着量が大きくなるからである。その結果、矢印A35、A36に示すように、目標アンモニア吸着量の増加に応じて尿素噴射量が一時的に立ち上がり、この尿素噴射量を尿素インジェクタ51から噴射させる制御が行われることとなる。なお、図6から明らかなように、所定量以上であった排気ガス流量が所定量未満になると、目標アンモニア吸着量が速やかに推定アンモニア吸着量よりも低下し、その結果、尿素噴射量が速やかに立ち下がることとなる(つまり尿素インジェクタ51からの尿素噴射が終了する)。
以上説明した第1実施形態によれば、コントローラ60は、排気ガス流量が所定量以上である場合に、排気ガス流量が所定量未満である場合よりも、同一のSCR温度において目標アンモニア吸着量が大きくなるように、SCR温度に基づき目標アンモニア吸着量を設定する。その結果、典型的には車両が加速しているときに、大きな量に設定された目標アンモニア吸着量に応じて尿素噴射量が増加されることで、SCR触媒47によるNOx浄化率を改善することができる。すなわち、尿素噴射量の増加により、SCR触媒47における表面の部分(通過する排気ガスが接し易い部分)に吸着するアンモニア量を多くして、この表面の部分に吸着したアンモニアをNOxとの反応に主に用いられるようにすることで、NOx浄化率を改善することができる。また、尿素噴射量の増加により、SCR触媒47のアンモニア吸着量が増加することによっても、NOx浄化率が改善する。他方で、第1実施形態では、排気ガス流量が所定量以上となったタイミングにおいて尿素噴射量を増加させるので、すなわち典型的には加速時において尿素噴射量を一時的に増加させるだけなので、SCR触媒47からのアンモニアのスリップを適切に抑制することができる。このようなことから、第1実施形態によれば、車両の加速時などにおいて、SCR触媒47からのアンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒47によるNOx浄化率を改善することができる。
また、第1実施形態によれば、コントローラ60は、排気ガス流量が所定量以上である場合に、SCR触媒47のアンモニア吸着限界G23を超えない範囲内において、目標アンモニア吸着量を大きくするので、SCR触媒47からのアンモニアのスリップを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態によれば、コントローラ60は、排気ガス流量が所定量以上である場合に、SCR触媒47の異常判定の実行性を確保する観点から定められたアンモニア吸着量の最大値Maxを超えない範囲内において、目標アンモニア吸着量を大きくするので、アンモニアのスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を実現しつつ、SCR触媒47の異常判定の実行頻度を適切に確保することができる。
また、第1実施形態によれば、コントローラ60は、SCR温度が第1高温域R24にあるときには、アンモニア吸着限界G23がかなり低くなるため、排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される目標アンモニア吸着量を、排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される目標アンモニア吸着量と同じ量に設定する。これにより、SCR触媒47からのアンモニアのスリップを確実に抑制することができる。
また、第1実施形態によれば、コントローラ60は、SCR温度が低温域R21にあるときには、排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される目標アンモニア吸着量と、排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される目標アンモニア吸着量との差を、SCR温度によらずに一定にする。これにより、アンモニアのスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
また、第1実施形態によれば、コントローラ60は、SCR温度が中温域R22にあるときには、排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される目標アンモニア吸着量と、排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される目標アンモニア吸着量との差を、SCR温度が高くなるにつれて大きくする。これによっても、アンモニアのスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
また、第1実施形態によれば、コントローラ60は、SCR温度が第2高温域R23にあるときには、排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される目標アンモニア吸着量と、排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される目標アンモニア吸着量との差を、SCR温度が高くなるにつれて小さくする。これによっても、アンモニアのスリップ抑制及びNOx浄化率の改善を適切に実現することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による尿素噴射制御について説明する。第2実施形態では、コントローラ60は、上述した第1マップG21のみを用いて、現在のSCR温度に対応する目標アンモニア吸着量を設定し、排気ガス流量が所定量以上である場合に、この第1マップG21により設定された当該目標アンモニア吸着量を増加させる補正を行う。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成(制御、処理、作用及び効果を含む)のみを説明し、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。よって、ここで特に説明しない構成については、第1実施形態と同様であるものとする。
図7を参照して、本発明の第2実施形態による尿素噴射制御において用いられる目標アンモニア吸着量を補正するための補正量のマップについて説明する。以下では、この補正量を「アンモニア吸着量補正量」と呼び、補正量のマップを「補正量マップ」と呼ぶ。図7は、横軸にSCR温度を示し、縦軸にアンモニア吸着量補正量を示している。コントローラ60は、まず、第1マップG21(図4)を参照して、現在のSCR温度に対応する目標アンモニア吸着量を設定し、排気ガス流量が所定量以上である場合に、図7の補正量マップを参照して、現在のSCR温度に対応するアンモニア吸着量補正量を決定し、このアンモニア吸着量補正量を第1マップG21により設定された目標アンモニア吸着量に加算することで、最終的に適用すべき目標アンモニア吸着量を設定する。
図7に示すように、補正量マップでは、SCR温度に応じてアンモニア吸着量補正量が変化するようになっている。このアンモニア吸着量補正量は、第1マップG21に規定された目標アンモニア吸着量と第2マップG22に規定された目標アンモニア吸着量との差分(第2マップG22の目標アンモニア吸着量-第1マップG21の目標アンモニア吸着量)に相当する。したがって、SCR温度に応じたアンモニア吸着量補正量の変化の態様は、第1及び第2マップG21、G22に規定された目標アンモニア吸着量に応じたものとなる。まず、補正量マップは、アンモニア吸着量補正量が適用された目標アンモニア吸着量(つまり排気ガス流量が所定量以上である場合に適用される目標アンモニア吸着量)が、アンモニア吸着限界G23(図4)を超えないように規定されている。また、補正量マップは、アンモニア吸着量補正量が適用された目標アンモニア吸着量が、SCR触媒47の異常判定の実行性を確保する観点から定められたアンモニア吸着量の最大値Max(図4)を超えないように規定されている。
また、補正量マップは、SCR温度の第1高温域R24において、アンモニア吸着量補正量が0になるように規定され、これにより、アンモニア吸着量補正量が適用された目標アンモニア吸着量と、アンモニア吸着量補正量が適用されていない目標アンモニア吸着量(つまり排気ガス流量が所定量未満である場合に適用される目標アンモニア吸着量)とが同じ量になるようになっている。また、補正量マップは、SCR温度の低温域R21において、アンモニア吸着量補正量がSCR温度によらずに一定値となるように規定され、これにより、アンモニア吸着量補正量が適用された目標アンモニア吸着量と、アンモニア吸着量補正量が適用されていない目標アンモニア吸着量との差が、SCR温度によらずに一定になるようになっている。
また、補正量マップは、SCR温度の中温域R22において、SCR温度が高くなるほどアンモニア吸着量補正量が大きくなるように規定され、これにより、アンモニア吸着量補正量が適用された目標アンモニア吸着量と、アンモニア吸着量補正量が適用されていない目標アンモニア吸着量との差が、SCR温度が高くなるにつれて大きくなるようになっている。また、補正量マップは、SCR温度の第2高温域R23において、SCR温度が高くなるほどアンモニア吸着量補正量が小さくなるように規定され、これにより、アンモニア吸着量補正量が適用された目標アンモニア吸着量と、アンモニア吸着量補正量が適用されていない目標アンモニア吸着量との差が、SCR温度が高くなるにつれて小さくなるようになっている。
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による尿素噴射制御の全体的な流れについて説明する。図8は、本発明の第2実施形態による尿素噴射制御を示すフローチャートである。このフローチャートも、コントローラ60によって所定の周期で繰り返し実行される。図8のステップS21、S25~S28の処理は、それぞれ、図5のステップS11、S16~S19の処理と同様であるため、その説明を省略する。ここでは、ステップS22~S24の処理のみを説明する。
まず、ステップS22では、コントローラ60は、第1マップG21を読み出して、この第1マップG21を参照して、現在のSCR温度に対応する目標アンモニア吸着量を設定する。次いで、ステップS23では、コントローラ60は、現在の排気ガス流量が事前に定められた所定量以上であるか否かを判定する。
ステップS23の結果、現在の排気ガス流量が所定量以上であると判定された場合(ステップS23:Yes)、コントローラ60は、ステップS24に進む。この場合には、コントローラ60は、車両が加速していると判断して、若しくは車両の加速度合いが比較的大きいと判断して、ステップS22で設定された目標アンモニア吸着量を補正する。具体的には、コントローラ60は、補正量マップ(図7)を参照して、現在のSCR温度に対応するアンモニア吸着量補正量を決定し、このアンモニア吸着量補正量をステップS22で設定された目標アンモニア吸着量に加算することで、最終的に適用すべき目標アンモニア吸着量を設定する。この後、コントローラ60は、ステップS25以降の処理にて、補正された目標アンモニア吸着量に基づき尿素インジェクタ51の尿素噴射量を設定し、尿素噴射量を噴射させる制御を行う。
他方で、現在の排気ガス流量が所定量以上であると判定されなかった場合(ステップS23:No)、つまり排気ガス流量が所定量未満である場合、コントローラ60は、上記のステップS24の処理を行わずに、ステップS25に進む。この場合には、コントローラ60は、車両が加速していないものと判断して、若しくは車両の加速度合いが比較的小さいと判断して、ステップS22で設定された目標アンモニア吸着量を補正せずに、当該目標アンモニア吸着量をステップS25以降の処理にてそのまま適用することとする。
以上説明した第2実施形態によれば、コントローラ60は、排気ガス流量が所定量以上である場合に、排気ガス流量が所定量未満である場合よりも、同一のSCR温度において目標アンモニア吸着量が大きくなるように、SCR温度に基づき設定された目標アンモニア吸着量を増加させる補正を行う。これによっても、上述した第1実施形態と同様に、車両の加速時などにおいて、SCR触媒47からのアンモニアのスリップを抑制しつつ、SCR触媒47によるNOx浄化率を改善することができる。
なお、排気ガス流量が所定量以上であるときと排気ガス流量が所定量未満であるときとで、適用するアンモニア吸着量補正量をステップ状に変化させることに限定はされない。つまり、排気ガス流量が所定量を跨ぐときに、アンモニア吸着量補正量を0と補正量マップにより決まる補正量(SCR温度に応じた量)との間で切り替えることに限定はされない。他の例では、排気ガス流量が所定量付近にあるときに、アンモニア吸着量補正量を0と補正量マップにより決まる補正量との間で連続的に変化させてもよい。これについて、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第2実施形態において、排気ガス流量に応じてアンモニア吸着量補正量を変化させるためのマップについての説明図である。図9は、横軸に排気ガス流量を示し、縦軸にアンモニア吸着量補正量を示している。図9に示すマップによれば、(1)排気ガス流量が所定量Q1以上であるときには、上述した補正量マップ(図7)により定まる、SCR温度に応じた補正量C1が、アンモニア吸着量補正量として適用され、(2)排気ガス流量が所定量Q1よりも小さい量Q2以上で且つ所定量Q1未満であるときに、0と補正量C1との間の排気ガス流量に応じた量(詳しくは排気ガス流量に応じて線形に変化する量)が、アンモニア吸着量補正量として適用され、(3)排気ガス流量が量Q2未満である場合には、アンモニア吸着量補正量が0に設定される。
<変形例>
以下では、上述した実施形態の変形例について説明する。
上述した実施形態では、コントローラ60は、エアフローセンサ101により検出された吸気流量などに基づき排気ガス流量を求め、この排気ガス流量を直接的に用いて、排気ガス流量が所定量以上である状態にてエンジンEが運転しているか否かを判定していた。他の例では、排気ガス流量を用いずに、エンジン回転数や、エンジン負荷や、燃料噴射量や、アクセル開度や、排気ガス中のNOx濃度などに基づき、排気ガス流量が所定量以上である状態にてエンジンEが運転しているか否かを判定してもよい。要は、車両の加速状態を判定する(車両が加速しているか否かの判定だけでなく、加速度合いの判定も含む)ことができるパラメータを用いればよい。
上述した実施形態では、アンモニアの前駆体である尿素を尿素インジェクタ51から噴射させていたが、他の例では、所定のインジェクタからアンモニアを直接噴射させるようにしてもよい。
上述した実施形態では、SCR触媒47に加えてNOx触媒45を具備する排気浄化システムに本発明を適用する例を示したが、本発明は、NOx触媒45を具備しない排気浄化システムにも適用可能である。例えば、本発明は、NOx触媒45の代わりに酸化触媒を用いた排気浄化システムにも適用可能である。
41 排気通路
45 NOx触媒
47 SCR触媒
48 スリップ触媒
51 尿素インジェクタ
53 尿素タンク
60 コントローラ
101 エアフローセンサ
115 第4排気温度センサ
117 触媒温度センサ
200 エンジンシステム
E エンジン
EX 排気系

Claims (10)

  1. 還元剤としてのアンモニア又はアンモニアの前駆体を、エンジンの排気通路内に噴射する還元剤インジェクタと、
    前記還元剤インジェクタにより噴射された前記還元剤を用いて、排気ガス中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、
    前記選択還元型NOx触媒の温度である触媒温度に基づき、前記選択還元型NOx触媒に吸着させるべき前記還元剤の量である目標還元剤吸着量を設定し、この目標還元剤吸着量に基づき、前記還元剤インジェクタから前記還元剤を噴射させる制御を行う制御器と、
    を有するエンジンの排気浄化装置であって、
    前記制御器は、
    排気ガス流量が所定量以上である状態にて前記エンジンが運転しているか否かを判定し、
    前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合には、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の前記触媒温度において前記目標還元剤吸着量が大きくなるように、前記触媒温度に基づき前記目標還元剤吸着量を設定し、
    前記選択還元型NOx触媒に現在吸着されている前記還元剤の量である推定還元剤吸着量を算出し、
    前記目標還元剤吸着量及び前記推定還元剤吸着量に基づき、前記還元剤インジェクタから噴射させるべき前記還元剤の量である還元剤噴射量を設定し、
    前記還元剤インジェクタから前記還元剤噴射量を噴射させる制御を行うように構成されている、
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  2. 還元剤としてのアンモニア又はアンモニアの前駆体を、エンジンの排気通路内に噴射する還元剤インジェクタと、
    前記還元剤インジェクタにより噴射された前記還元剤を用いて、排気ガス中のNOxを還元する選択還元型NOx触媒と、
    前記選択還元型NOx触媒の温度である触媒温度に基づき、前記選択還元型NOx触媒に吸着させるべき前記還元剤の量である目標還元剤吸着量を設定し、この目標還元剤吸着量に基づき、前記還元剤インジェクタから前記還元剤を噴射させる制御を行う制御器と、
    を有するエンジンの排気浄化装置であって、
    前記制御器は、
    排気ガス流量が所定量以上である状態にて前記エンジンが運転しているか否かを判定し、
    前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合には、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の前記触媒温度において前記目標還元剤吸着量が大きくなるように、前記触媒温度に基づき設定された前記目標還元剤吸着量を増加させる補正を行い、
    前記選択還元型NOx触媒に現在吸着されている前記還元剤の量である推定還元剤吸着量を算出し、
    前記目標還元剤吸着量及び前記推定還元剤吸着量に基づき、前記還元剤インジェクタから噴射させるべき前記還元剤の量である還元剤噴射量を設定し、
    前記還元剤インジェクタから前記還元剤噴射量を噴射させる制御を行うように構成されている、
    ことを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
  3. 前記制御器は、前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合には、前記選択還元型NOx触媒による前記還元剤の吸着限界を超えない範囲内において、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の前記触媒温度において前記目標還元剤吸着量を大きくするように構成されている、請求項1又は2に記載のエンジンの排気浄化装置。
  4. 前記排気ガス中のNOx量に応じて出力値が変化するNOxセンサを更に有し、
    前記制御器は、
    前記NOxセンサの出力値に基づいて、前記選択還元型NOx触媒に対する異常判定を行い、
    前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合には、前記異常判定の実行性を確保するように定められた、前記選択還元型NOx触媒の前記還元剤の吸着量における最大値を超えない範囲内において、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合よりも、同一の前記触媒温度において前記目標還元剤吸着量を大きくするように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化装置。
  5. 前記触媒温度が所定温度以上の高温域にあるときには、前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量と、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量とが同じ量である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化装置。
  6. 前記触媒温度が所定温度未満の低温域にあるときには、前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量と、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量との差が、前記触媒温度によらずに一定である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化装置。
  7. 前記触媒温度が前記低温域を超える中温域にあるときには、前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量と、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量との差が、前記触媒温度が高くなるにつれて大きくなる、請求項6に記載のエンジンの排気浄化装置。
  8. 前記触媒温度が前記中温域を超える高温域にあるときには、前記エンジンが前記状態にて運転していると判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量と、前記エンジンが前記状態にて運転していないと判定された場合に適用される前記目標還元剤吸着量との差が、前記触媒温度が高くなるにつれて小さくなる、請求項7に記載のエンジンの排気浄化装置。
  9. 前記制御器は、
    前記還元剤インジェクタによる前記還元剤の噴射により前記選択還元型NOx触媒に吸着された前記還元剤の量、及び、前記選択還元型NOx触媒に吸着された前記還元剤のうちで、前記NOxの還元により消費された前記還元剤の量に基づき、前記推定還元剤吸着量を算出し、
    前記目標還元剤吸着量と前記推定還元剤吸着量との差分、及び、前記NOxの還元により消費された前記還元剤の量に基づき、前記還元剤噴射量を設定するように構成されている、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化装置。
  10. 前記排気ガス流量が前記所定量以上である前記状態とは、前記エンジンの排気浄化装置が搭載された車両が加速しているときの状態に相当する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエンジンの排気浄化装置。
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