JP7262324B2 - 成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法 - Google Patents

成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7262324B2
JP7262324B2 JP2019121621A JP2019121621A JP7262324B2 JP 7262324 B2 JP7262324 B2 JP 7262324B2 JP 2019121621 A JP2019121621 A JP 2019121621A JP 2019121621 A JP2019121621 A JP 2019121621A JP 7262324 B2 JP7262324 B2 JP 7262324B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorine
compound
porous layer
molded article
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019121621A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021008045A (ja
Inventor
秀樹 冨澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2019121621A priority Critical patent/JP7262324B2/ja
Publication of JP2021008045A publication Critical patent/JP2021008045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7262324B2 publication Critical patent/JP7262324B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本開示は、成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法に関する。
雪が物体に付着する現象は、例えば、構造物(例えば、信号機、標識、看板、及び電光掲示板)の視認性の低下を招くことがある。例えば、消費電力が低い発光ダイオード(LED)式の信号機は発熱量が少ないため、上記信号機に付着した雪は溶けにくい。
撥水性を有する材料については、種々の材料が提案されている。撥水性を有する材料として、例えば、ナノ構造を有する材料が知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2018/065094号
しかしながら、ナノ構造を有する材料(例えば、特許文献1参照)を用いることによっても、雪が付着することを防止することは困難である。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものである。
本開示の一態様は、優れた着雪防止性を有する成形体を提供することを課題とする。
本開示の他の一態様は、優れた着雪防止性を有する成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本開示の他の一態様は、優れた着雪防止性を有する成形体を形成可能な組成物を提供することを課題とする。
本開示の他の一態様は、優れた着雪防止性を有する成形体を形成可能な組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本開示は、以下の態様を含む。
<1> アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するフッ素含有重合体と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む多孔質層を有する成形体。
<2> 上記多孔質層の平均厚さが、1μm~150μmである<1>に記載の成形体。
<3> 上記多孔質層の少なくとも一方の面に、接着層、又は基材を有する<1>又は<2>に記載の成形体。
<4> 上記接着層の破断伸度が、50%以上である<3>に記載の成形体。
<5> 上記基材が、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレン、又はポリエチレンである<3>又は<4>に記載の成形体。
<6> 上記フッ素含有化合物が、フッ素含有オイルである<1>~<5>のいずれか1つに記載の成形体。
<7> 上記フッ素含有化合物が、パーフルオロポリエーテルである<1>~<6>のいずれか1つに記載の成形体。
<8> 上記フッ素含有化合物の分子量が、1,000以上である<1>~<7>のいずれか1つに記載の成形体。
<9> 上記フッ素含有化合物の含有量が、上記多孔質層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%である<1>~<8>のいずれか1つに記載の成形体。
<10> 上記フッ素含有重合体の含有量に対する上記フッ素含有化合物の含有量の比が、質量基準で、0.05~0.1である<1>~<9>のいずれか1つに記載の成形体。
<11> 着雪防止シートである、<1>~<10>のいずれか1つに記載の成形体。
<12> フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤と、相溶化剤と、を含む組成物に対して紫外線を照射することによって多孔質層を形成する工程と、上記多孔質層とアルコールとを接触させる工程と、上記多孔質層を乾燥させる工程と、上記多孔質層の表面を摩耗させる工程と、をこの順で含む成形体の製造方法。
<13> フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤と、相溶化剤と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む組成物。
<14> 上記フッ素含有化合物が、フッ素含有オイルである<13>に記載の組成物。
<15> 上記フッ素含有化合物が、パーフルオロポリエーテルである<13>又は<14>に記載の組成物。
<16> 上記フッ素含有化合物の分子量が、1,000以上である<13>~<15>のいずれか1つに記載の組成物。
<17> 上記フッ素含有化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、0.5質量%~5質量%である<13>~<16>のいずれか1つに記載の組成物。
<18> 上記光硬化性化合物の含有量に対する上記フッ素含有化合物の含有量の比が、質量基準で、0.05~0.1である<13>~<17>のいずれか1つに記載の組成物。
<19> フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤と、相溶化剤と、を混合する工程を含む組成物の製造方法。
本開示の一態様によれば、優れた着雪防止性を有する成形体を提供することができる。
本開示の他の一態様によれば、優れた着雪防止性を有する成形体の製造方法を提供することができる。
本開示の他の一態様によれば、優れた着雪防止性を有する成形体を形成可能な組成物を提供することができる。
本開示の他の一態様によれば、優れた着雪防止性を有する成形体を形成可能な組成物の製造方法を提供することができる。
本開示に係る成形体の一例を示す概略断面図である。
以下、本開示の実施形態について説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されず、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<成形体>
本開示に係る成形体は、アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するフッ素含有重合体(以下、単に「フッ素含有重合体」ともいう。)と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物(以下、単に「フッ素含有化合物」ともいう。)と、を含む多孔質層を有する。本開示に係る成形体は、上記構成を備えることで、優れた着雪防止性を示すことができる。本開示において、「着雪防止性」とは、雪の付着を抑制する性質を意味する。
本開示に係る成形体が上記効果を奏する理由は、以下のように推察される。フッ素含有重合体と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む多孔質層は、雪との親和性が低く、そして、成形体の表面に付着した雪を容易に滑落させることができる。よって、本開示に係る成形体は、優れた着雪防止性を示すことができると推察される。
以下、本開示に係る成形体の構成要素について具体的に説明する。
[多孔質層]
多孔質層は、アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するフッ素含有重合体と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む。多孔質層は、上記構成を備えることで、雪との親和性が低くなり、そして、成形体の表面に付着した雪を容易に滑落させることができる。
(フッ素含有重合体:成分A)
多孔質層は、アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するフッ素含有重合体を含む。フッ素含有重合体は、多孔質層に含まれるフッ素含有化合物との親和性が高いため、着雪防止性を向上させることができる。また、多孔質層がフッ素含有重合体を含むことで、多孔質層の耐摩耗性を向上させることもできる。以下、アクリレート化合物、及びメタクリレート化合物を総称して「(メタ)アクリル化合物」ということがある。
本開示において、「フッ素含有」とは、フッ素原子を含むことを意味する。
本開示において、「アクリレート化合物」とは、アクリロイルオキシ基(CH=CH-COO-)を有する化合物を意味する。アクリレート化合物は、1つのアクリロイルオキシ基を有する化合物であってもよく、2つ以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物であってもよい。
本開示において、「メタクリレート化合物」とは、メタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)-COO-)を有する化合物を意味する。メタクリレート化合物は、1つのメタクリロイルオキシ基を有する化合物であってもよく、2つ以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物であってもよい。
本開示において、「構成単位」との用語は、モノマー単位と同義である。
アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位は、それぞれ、フッ素含有重合体の主鎖に配置されていてもよく、フッ素含有重合体の側鎖に配置されていてもよい。フッ素含有重合体は、アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を主鎖に有することが好ましい。
本開示において、「主鎖」とは、重合体において相対的に最も長い鎖状骨格を形成する構造部分を意味する。本開示において、「側鎖」とは、主鎖から分岐している原子団を意味する。
アクリレート化合物は、着雪防止性の向上の観点から、フッ素含有アクリレート化合物であることが好ましく、分子内にフルオロアルキル基を有するアクリレート化合物、及び分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート化合物であることが特に好ましい。
メタクリレート化合物は、着雪防止性の向上の観点から、フッ素含有メタクリレート化合物であることが好ましく、分子内にフルオロアルキル基を有するメタクリレート化合物、及び分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するメタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するメタクリレート化合物であることが特に好ましい。
フルオロアルキル基は、炭素数1~10のフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数4~10のフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数6~10のフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
フルオロアルキル基、及びパーフルオロポリエーテル基は、それぞれ、本開示の趣旨を逸脱しない限り、フッ素原子の一部が他の元素に置換されていてもよい。
アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位の含有量の上限は、制限されず、フッ素含有重合体の全質量に対して、例えば、100質量%以下の範囲で適宜決定すればよい。
フッ素含有重合体は、着雪防止性の向上の観点から、パーフルオロポリエーテル構造を有することが好ましい。
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、1H,4H,4H,5H,5H-オクタフルオロヘキシルジメタクリレート、及びヘキサフルオロブチルメタクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル化合物は、例えば、フルオロリンク(登録商標)MD700(ソルベイ社)、及びフルオロリンクAD1700(ソルベイ社)として入手可能である。
多孔質層は、1種単独のフッ素含有重合体を含んでいてもよく、2種以上のフッ素含有重合体を含んでいてもよい。
フッ素含有重合体の含有量は、着雪防止性、及び多孔質層の耐摩耗性の観点から、多孔質層の全質量に対して、90質量%~99.9質量%であることが好ましく、92質量%~98質量%であることがより好ましく、92質量%~96質量%であることが特に好ましい。
(フッ素含有化合物:成分B)
多孔質層は、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物を含む。多孔質層が、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物を含むことで、雪の滑落性を向上させることができるため、着雪防止性を向上させることができる。融点が2℃以下であるフッ素含有化合物は、上記したフッ素含有重合体(成分A)を含まない。
「融点が2℃以下である」とは、大気圧(101.325kPa)下、2℃において液体である性質を意味する。フッ素含有化合物の融点が2℃以下であることで、フッ素含有化合物とフッ素含有重合体との親和性が高くなるため、着雪防止性を向上させることができる。融点は、示差走査熱量計(例えば、DSC7200、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温速度10℃/分で測定する。
フッ素含有化合物としては、例えば、パーフルオロポリエーテル、クロロトリフルオロエチレン、及びポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
フッ素含有化合物は、着雪防止性の向上の観点から、フッ素含有オイルであることが好ましく、パーフルオロポリエーテルであることがより好ましく、パーフルオロポリオキセタンであることが特に好ましい。パーフルオロポリエーテルは、本開示の趣旨を逸脱しない限り、フッ素原子の一部が他の元素に置換されていてもよい。
フッ素含有化合物は、例えば、デムナム(登録商標)S-20(ダイキン工業株式会社)として入手可能である。
フッ素含有化合物の分子量は、着雪防止性の向上の観点から、1,000以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましく、2,000以上であることが特に好ましい。
フッ素含有化合物の分子量は、多孔質構造の形成性の観点から、4,000以下であることが好ましく、3,500以下であることがより好ましく、3,000以下であることが特に好ましい。
フッ素含有化合物が分子量分布を有する場合(例えば、フッ素含有化合物が重合体である場合)、「フッ素含有化合物の分子量」とは、フッ素含有化合物の重量平均分子量を意味する。
多孔質層は、1種単独のフッ素含有化合物を含んでいてもよく、2種以上のフッ素含有化合物を含んでいてもよい。
フッ素含有化合物の含有量は、着雪防止性の向上の観点から、多孔質層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、3質量%~8質量%であることがより好ましく、4質量%~8質量%であることが特に好ましい。
フッ素含有重合体の含有量に対するフッ素含有化合物の含有量の比([フッ素含有化合物の含有量]/[フッ素含有重合体の含有量])は、着雪防止性の向上の観点から、質量基準で、0.01~0.5であることが好ましく、0.05~0.1であることがより好ましく、0.04~0.08であることが特に好ましい。
(他の成分)
多孔質層は、上記した成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、下記「組成物」の項において説明する光硬化性化合物、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤、相溶化剤、光重合開始剤、及び溶剤が挙げられる。
(厚さ)
多孔質層の平均厚さは、耐摩耗性の向上の観点から、1μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。多孔質層の平均厚さが1μm以上であることで、多孔質層の耐摩耗性を向上させることができる。
多孔質層の平均厚さは、着雪防止性の向上の観点から、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。多孔質層の平均厚さが250μm以下であることで、多孔質層の表面近傍における空気の乱流が増大するため、着雪防止性を向上させることができる。
多孔質層の平均厚さは、断面観察によって測定される5箇所の厚さの算術平均である。断面観察は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行うことができる。
(構造)
多孔質層は、多孔質構造を有する層である。ここで、「多孔質構造」とは、複数の細孔を有する構造を意味する。複数の細孔の一部又は全部は、互いに連通することによって、連続的な空隙(連通孔ともいう。)を形成していてもよい。層が多孔質構造を有することは、断面観察によって確認することができる。断面観察は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行うことができる。
多孔質層の表面は、凹凸構造を有することが好ましい。多孔質層の表面が凹凸構造を有することで、着雪防止性を向上させることができる。多孔質層の表面が凹凸構造を有することは、断面観察によって確認することができる。断面観察は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて行うことができる。凹凸構造は、例えば、多孔質層の表面を摩耗させることによって形成してもよい。
[他の層]
多孔質層以外の層(以下、「他の層」という。)を有していてもよい。他の層としては、例えば、接着層、及び基材が挙げられる。
(接着層)
本開示に係る成形体は、多孔質層に加えて、接着層を有することが好ましい。本開示に係る成形体が接着層を有することで、多孔質層に加わる外力を軽減できるため、多孔質層の耐摩耗性を向上させることができる。また、本開示に係る成形体を被着体(例えば、信号機)の表面に設ける場合、成形体と被着体との密着性を向上させることもできる。
接着層は、多孔質層の少なくとも一方の面に配置されることが好ましい。本開示に係る成形体が、多孔質層に加えて、接着層、及び基材を有する場合、接着層は、多孔質層と基材との間に配置されることが好ましい。接着層が多孔質層と基材との間に配置されることで、多孔質層と基材との密着性を向上させることができる。
接着層は、化学的な作用、及び物理的な作用の少なくとも一方の作用によって接着性を有する層であれば制限されず、公知の接着層を利用できる。
接着層は、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、及びシリコーン樹脂が挙げられる。
本開示において、「アクリル樹脂」とは、アクリル酸エステルに由来の構成単位、及びメタクリル酸エステルに由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有する重合体を意味する。
接着層は、例えば、パナクリーン(登録商標)PD-S1(パナック株式会社)として入手可能である。
接着層の破断伸度は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、120%以上であることが特に好ましい。接着層の破断伸度が50%以上であることで、多孔質層の耐摩耗性を向上できる。
接着層の破断伸度の上限は、制限されず、例えば、300%以下の範囲で適宜決定すればよい。
接着層の破断伸度は、以下の方法によって測定する。成形体を3cm×5mmの大きさに切断し、次いで、接着層を取り出す。得られた試験片(接着層)に対して、引張試験機(テンシロン:A&D Company社製)を用いて、温度23.0℃、湿度50.0%の環境下、50mm/分の速度で引張試験を行うことによって破断伸度を測定する。破断伸度は、以下の式(1)に従って破断伸度を求める。上記操作を3つの試験片を用いて行い、測定値の算術平均を接着層の破断伸度とする。
式(1):破断伸度(%)=[(D2-D1)/D1]×100
式(1)中、D1は、チャック間の距離(mm)を表し、D2は、破断時のチャック間の距離(mm)を表す。
接着層の平均厚さは、接着性、及び多孔質層の耐摩耗性の観点から、10μm~300μmあることが好ましく、30μm~200μmであることがより好ましく、50μm~150μmであることが特に好ましい。接着層の平均厚さは、多孔質層の平均厚さの測定方法に準ずる方法によって測定する。
(基材)
本開示に係る成形体は、多孔質層に加えて、基材を有することが好ましい。本開示に係る成形体が基材を有することで、耐久性を向上できる。
基材は、多孔質層の少なくとも一方の面に配置されることが好ましい。本開示に係る成形体が、多孔質層に加えて、接着層、及び基材を有する場合、基材は、接着層を介して多孔質層上に配置されることが好ましい。
基材としては、制限されず、公知の基材を利用できる。基材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレン、及びポリエチレンが挙げられる。
基材は、耐久性、及び視認性の観点から、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレン、又はポリエチレンであることが好ましく、アクリル樹脂であることがより好ましい。
基材は、耐久性、及び視認性の観点から、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリエチレンフィルムであることが好ましく、アクリル樹脂フィルムであることがより好ましい。
基材の形状は、平板状であることが好ましい。ここで、「平板状」とは、互いに対向する2つの主平面を有することを意味する。
基材の平均厚さは、耐久性、及び視認性の観点から、25μm~350μmであることが好ましく、50μm~300μmであることがより好ましく、100μm~200μmであることが特に好ましい。基材の平均厚さは、多孔質層の平均厚さの測定方法に準ずる方法によって測定する。
[層構成]
本開示に係る成形体は、単層構造を有していてもよく、複層構造を有していてもよい。
本開示に係る成形体は、多孔質層の少なくとも一方の面に、接着層、又は基材を有することが好ましい。本開示に係る成形体は、多孔質層の少なくとも一方の面に、接着層、及び基材をこの順で有することがより好ましい。
本開示に係る成形体は、多孔質層の一方の面に、接着層、又は基材を有することが好ましい。本開示に係る成形体は、多孔質層の一方の面に、接着層、及び基材をこの順で有することがより好ましい。
多孔質層の両面に、接着層若しくは基材、又は接着層及び基材の両方が配置されている場合、多孔質層の一方の面を露出させること(すなわち、多孔質層の一方の面に配置されている、接着層若しくは基材、又は接着層及び基材の両方を除去すること)によって、多孔質層による着雪防止効果を発現することができる。
多孔質層の少なくとも一方の面に基材が配置されている場合(多孔質層の少なくとも一方の面に接着層を介して基材が配置されている場合を含む。)、必要に応じて、基材上にさらに接着層が配置されていてもよい。
本開示に係る成形体の層構成について、図面を参照して説明する。図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
図1は、本開示に係る成形体の一例を示す概略断面図である。図1に示す成形体100は、基材10と、接着層20と、多孔質層30と、を有する。
図1に示すように、接着層20は、基材10上に配置されている。具体的に、接着層20は、基材10と多孔質層30との間に配置されている。
図1に示すように、多孔質層30は、接着層20上に配置されている。
図1に示す成形体100は、基材10の接着層20と接する面とは反対側の面(基材10の下面)に、接触層(不図示)をさらに有していてもよい。
[ヘイズ]
本開示に係る成形体のヘイズは、視認性の向上の観点から、90%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、50%以下であることが特に好ましい。例えば、本開示に係る成形体を高い視認性が要求される被着体(例えば、標識、看板、及び電光掲示板)の表面に設ける場合、被着体の視認性を向上させることができる。
本開示に係る成形体のヘイズは、光散乱性の観点から、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることが特に好ましい。
本開示に係る成形体のヘイズは、ヘイズメーター(例えば、NDH5000、日本電色工業株式会社)を用いて測定する。
[形状]
本開示において、「成形体」とは、所定の形状を有する物品を意味する。本開示に係る成形体の形状は、制限されず、目的に応じて適宜決定すればよい。本開示に係る成形体の形状は、平板状であることが好ましい。
[用途]
本開示に係る成形体は、優れた着雪防止性を有するため、例えば、種々の構造物(例えば、信号機、標識、看板、監視カメラ、デジタルサイネージ、屋根、太陽電池のフロント部、及び電光掲示板)の表面に設けられることで、上記構造物に雪が付着することを抑制できる。具体的に、本開示に係る成形体は、シートであることが好ましく、着雪防止シートであることがより好ましい。ここで、「シート」とは、平板状の物品を意味する。
<成形体の製造方法>
本開示に係る成形体の製造方法としては、例えば、フッ素含有重合体の原材料(例えば、モノマー、及びオリゴマー)と、フッ素含有化合物と、を含む組成物を硬化させる方法が挙げられる。
本開示に係る成形体の製造方法は、フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤と、相溶化剤と、を含む組成物に対して紫外線を照射することによって多孔質層を形成する工程(以下、「硬化工程」ともいう。)と、上記多孔質層とアルコールとを接触させる工程(以下、「溶剤交換工程」ともいう。)と、上記多孔質層を乾燥させる工程(以下、「乾燥工程」ともいう。)と、上記多孔質層の表面を摩耗させる工程(以下、「摩耗工程」ともいう。)と、をこの順で含むことが好ましい。本開示に係る成形体の製造方法は、上記各工程を備えることで、優れた着雪防止性を有する成形体を製造することができる。
以下、本開示に係る成形体の製造方法の好ましい実施形態について具体的に説明する。
[硬化工程]
本開示に係る成形体の製造方法は、フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤と、相溶化剤と、を含む組成物に対して紫外線を照射することによって多孔質層を形成する工程(硬化工程)を含むことが好ましい。
硬化工程において、組成物に対して紫外線を照射することによって、光硬化性化合物を硬化させることができる。光硬化性化合物の硬化過程においては、光硬化性化合物、及び上記光硬化性化合物の硬化物を多く含む領域(以下、「領域(A)」という。)と、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤を多く含む領域(以下、「領域(B)」という。)とがそれぞれ形成されると推察される。領域(A)は、多孔質層の骨格を形成する。領域(B)は、多孔質層の細孔領域に対応する。露光工程において形成される多孔質層の細孔には、例えば、組成物の成分(例えば、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤)が残存していてもよい。多孔質層の細孔に残存する成分は、後述する溶剤交換工程において除去することができる。
本開示に係る成形体の製造方法において用いられる組成物については、下記「組成物」の項において説明する。本開示に係る成形体の製造方法において用いられる組成物の好ましい実施形態は、下記「組成物」の項において説明する組成物の好ましい実施形態と同様である。
紫外線(UV)の光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及びメタルハライドランプが挙げられる。
紫外線の波長は、光硬化性化合物を硬化させることができれば制限されない。紫外線は、波長360nmを含むことがより好ましい。
紫外線の照度は、5mW/cm~200mW/cmであることが好ましく、20mW/cm~100mW/cmであることがより好ましく、40mW/cm~60mW/cmであることが特に好ましい。
紫外線の露光量は、0.2J/cm~10J/cmであることが好ましく、0.5J/cm~8J/cmであることがより好ましく、1J/cm~5J/cmであることが特に好ましい。
硬化工程においては、平面状の組成物に対して紫外線を照射することが好ましい。平面状の組成物に対して紫外線を照射することで、形成される多孔質層の厚さを容易に調節することができる。例えば、支持体(例えば、ガラス板)上に組成物を塗布することによって、平面状の組成物を形成することができる。支持体は、上記した他の層(例えば、基材)であってもよい。また、2つの支持体の間に組成物を配置し、そして、2つの支持体間の距離を調節することによって、組成物の厚さを調節することもできる。
[溶剤交換工程]
本開示に係る成形体の製造方法は、多孔質層とアルコールとを接触させる工程(溶剤交換工程)を含むことが好ましい。多孔質層とアルコールとを接触させることで、多孔質層(特に細孔領域)に残存する原材料(例えば、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤、及び相溶化剤)をアルコールで置換することができる。アルコールによる溶剤交換によって、多孔質層に残存する原材料を容易に除去することができる。
アルコールとしては、制限されず、公知のアルコールを利用できる。アルコールとしては、例えば、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール(2-プロパノール)、及びブタノールが挙げられる。
アルコールは、炭素数が2~6のアルコールであることが好ましく、炭素数が2~4のアルコールであることがより好ましく、イソプロパノールであることが特に好ましい。
溶剤交換工程においては、1種単独のアルコールが用いられてもよく、2種以上のアルコールが用いられてもよい。
多孔質層とアルコールとを接触させる方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。多孔質層とアルコールとを接触させる方法としては、例えば、多孔質層に対してアルコールをシャワー状に吹きつける方法、及び多孔質層をアルコールに浸漬させる方法が挙げられる。多孔質層とアルコールとを接触させる方法は、多孔質層をアルコールに浸漬させる方法であることが好ましい。多孔質層をアルコールに浸漬させることによって、多孔質層に残存する原材料の除去性を向上させることができる。
多孔質層をアルコールに浸漬させる場合、浸漬時間は、除去性の観点から、1時間以上であることが好ましく、8時間以上であることがより好ましく、20時間以上であることが特に好ましい。浸漬時間の上限は、制限されず、例えば、48時間以下の範囲で適宜決定すればよい。
アルコールの温度は、制限されず、アルコールの沸点、及び使用環境に応じて適宜決定すればよい。アルコールの温度は、例えば、15℃~30℃の範囲で適宜決定すればよい。
[乾燥工程]
本開示に係る成形体の製造方法は、多孔質層を乾燥させる工程(乾燥工程)を含むことが好ましい。多孔質層を乾燥させることで、多孔質層(特に細孔領域)に残存するアルコール等を除去することができる。
乾燥方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。乾燥方法としては、例えば、多孔質層に風を吹きつける方法、及び多孔質層を加熱する方法が挙げられる。乾燥方法は、加熱によって多孔質層を乾燥させる方法であることが好ましい。
加熱温度は、制限されず、例えば、アルコールの沸点に応じて適宜決定すればよい。加熱温度は、20℃~150℃であることが好ましく、50℃~130℃であることがより好ましく、70℃~90℃であることが特に好ましい。加熱温度は、雰囲気温度を指す。
加熱時間は、制限されず、例えば、加熱温度に応じて適宜決定すればよい。加熱時間は、0.5時間~12時間であることが好ましく、1時間~6時間であることがより好ましく、1時間~2時間であることが特に好ましい。
[摩耗工程]
本開示に係る成形体の製造方法は、多孔質層の表面を摩耗させる工程(摩耗工程)を含むことが好ましい。多孔質層の表面を摩耗させることで、多孔質層の表面に凹凸構造を露出させることができるため、着雪防止性を向上させることができる。
摩耗面は、多孔質層の片面であってもよく、多孔質層の両面であってもよい。
多孔質層の表面を摩耗させる方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。多孔質層の表面を摩耗させる方法としては、例えば、摩耗部材を用いる方法が挙げられる。
摩耗工程においては、摩耗部材を用いることによって、多孔質層の表面を摩耗させることが好ましい。例えば、摩耗部材を用いて多孔質層の表面を擦ることによって、多孔質層の表面を摩耗させることができる。
摩耗部材としては、例えば、紙、布、ブラシ、及び研磨紙が挙げられる。
[他の工程]
本開示に係る成形体の製造方法は、摩耗工程後に、多孔質層の少なくとも一方の面に他の層を配置する工程を含んでいてもよい。本開示に係る成形体の製造方法が上記工程を含むことによって、多孔質層、及び他の層を有する成形体を製造することができる。他の層については、上記「成形体」の項において説明したとおりである。
<組成物>
本開示に係る組成物は、フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤と、相溶化剤と、を含む。本開示に係る組成物は、上記構成を備えることで、優れた着雪防止性を有する物品(例えば、シート)を形成することができる。
以下、本開示に係る組成物の構成要素について説明する。
[光硬化性化合物:成分A’]
本開示に係る組成物は、フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物を含む。
本開示において、「光硬化性」とは、光によって硬化する性質を意味する。ここで、「硬化する」とは、重合反応によって硬化することに限られず、架橋反応によって硬化することを含む。
光硬化性化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよい。
フッ素含有アクリレート化合物は、着雪防止性の向上の観点から、分子内にフルオロアルキル基を有するアクリレート化合物、及び分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート化合物であることがより好ましい。
フッ素含有メタクリレート化合物は、着雪防止性の向上の観点から、分子内にフルオロアルキル基を有するメタクリレート化合物、及び分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するメタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するメタクリレート化合物であることがより好ましい。
フルオロアルキル基は、炭素数1~10のフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数4~10のフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数6~10のフルオロアルキル基であることが特に好ましい。
フルオロアルキル基、及びパーフルオロポリエーテル基は、それぞれ、本開示の趣旨を逸脱しない限り、フッ素原子の一部が他の元素に置換されていてもよい。
光硬化性化合物の分子量は、多孔質構造の形成性の観点から、3,500以下であることが好ましく、3,000以下であることがより好ましく、2,500以下であることが特に好ましい。
光硬化性化合物の分子量は、多孔質構造の形成性の観点から、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、1,500以上であることが特に好ましい。
光硬化性化合物が分子量分布を有する場合(例えば、光硬化性化合物がオリゴマーである場合)、「光硬化性化合物の分子量」とは、光硬化性化合物の重量平均分子量を意味する。
光硬化性化合物としては、例えば、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート、1H,4H,4H,5H,5H-オクタフルオロヘキシルジメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、及びヘキサフルオロブチルメタクリレートが挙げられる。
光硬化性化合物は、例えば、フルオロリンク(登録商標)MD700(ソルベイ社)、及びフルオロリンクAD1700(ソルベイ社)として入手可能である。
組成物は、1種単独の光硬化性化合物を含んでいてもよく、2種以上の光硬化性化合物を含んでいてもよい。
光硬化性化合物の含有量は、硬化性、及び多孔質構造の形成性の観点から、組成物の全質量に対して、40質量%~60質量%であることが好ましく、42.5質量%~57.5質量%であることがより好ましく、45質量%~55質量%であることが特に好ましい。
(フッ素含有化合物:成分B)
本開示に係る組成物は、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物を含む。本開示に係る組成物が、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物を含むことで、雪の滑落性を向上させることができるため、優れた着雪防止性を有する物品を形成することができる。
本開示に係る組成物に含まれる融点が2℃以下であるフッ素含有化合物は、上記「多孔質層」の項において説明した融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と同義であり、好ましい種類、及び分子量も同様である。本開示に係る組成物における融点が2℃以下であるフッ素含有化合物は、上記した光硬化性化合物(成分A’)、後述する光硬化性化合物とは相溶しない溶剤(成分C)、及び後述する相溶化剤(成分D)を含まない。
組成物は、1種単独のフッ素含有化合物を含んでいてもよく、2種以上のフッ素含有化合物を含んでいてもよい。
フッ素含有化合物の含有量は、着雪防止性の向上の観点から、組成物の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましく、1.5質量%~4.5質量%であることがさらに好ましく、1.5質量%~4質量%であることが特に好ましい。
光硬化性化合物の含有量に対するフッ素含有化合物の含有量の比([フッ素含有化合物の含有量]/[光硬化性化合物の含有量])は、着雪防止性の向上の観点から、質量基準で、0.01~0.5であることが好ましく、0.05~0.1であることがより好ましく、0.04~0.08であることが特に好ましい。
[光硬化性化合物とは相溶しない溶剤:成分C]
本開示に係る組成物は、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤(以下、「非相溶性溶剤」ともいう。)を含む。本開示に係る組成物が非相溶性溶剤を含むことで、多孔質構造を形成することができる。
本開示において、「光硬化性化合物とは相溶しない」とは、光硬化性化合物と相分離する性質を意味する。相分離現象(濁りの発生を含む。)は、室温(25℃)において、光硬化性化合物、及び非相溶性溶剤を含む混合物を目視で観察することによって確認する。具体的に、光硬化性化合物、及び非相溶性溶剤を10分間混合した後、120分間静置する。静置後の混合物を目視で観察し、相分離現象(濁りの発生を含む。)の有無を確認する。混合物における光硬化性化合物、及び非相溶性溶剤の質量比は、1:1とする。
非相溶性溶剤としては、例えば、1,4-ブタンジオール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、及びシクロオクタノールが挙げられる。
非相溶性溶剤は、脂環式アルコールであることが好ましく、炭素数が5~8の脂環式アルコールであることがより好ましく、シクロヘキサノールであることが特に好ましい。
組成物は、1種単独の非相溶性溶剤を含んでいてもよく、2種以上の非相溶性溶剤を含んでいてもよい。
非相溶性溶剤の含有量は、多孔質構造の形成性の観点から、組成物の全質量に対して、5質量%~60質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~25質量%であることが特に好ましい。
光硬化性化合物の含有量に対する非相溶性溶剤の含有量の比([非相溶性溶剤の含有量]/[光硬化性化合物の含有量])は、多孔質構造の形成性の観点から、質量基準で、0.05~1であることが好ましく、0.1~0.8であることがより好ましく、0.2~0.6であることが特に好ましい。
[相溶化剤:成分D]
本開示に係る組成物は、相溶化剤を含む。相溶化剤は、光硬化性化合物と、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤(非相溶性溶剤)とを相溶させることができる化合物である。
本開示において、「光硬化性化合物と、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤とを相溶させる」とは、光硬化性化合物と、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤とを相分離させないことを意味する。相分離現象(濁りの発生を含む。)は、室温(25℃)において、光硬化性化合物、非相溶性溶剤、及び相溶化剤を含む混合物で観察することによって確認する。具体的に、光硬化性化合物、非相溶性溶剤、及び相溶化剤を10分間混合した後、120分間静置する。静置後の混合物を目視で観察し、相分離現象(濁りの発生を含む。)の有無を確認する。混合物における光硬化性化合物、非相溶性溶剤、及び相溶化剤の質量比は、1:1:1とする。
相溶化剤としては、例えば、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール(「2-(ペルフルオロヘキシル)エタノール」ともいう。)、及びN-メチル-2-ピロリドンが挙げられる。
相溶化剤は、フルオロアルコールであることが好ましく、炭素数が6~10のフルオロアルコールであることがより好ましく、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノールであることが特に好ましい。
組成物は、1種単独の相溶化剤を含んでいてもよく、2種以上の相溶化剤を含んでいてもよい。
相溶化剤の含有量は、光硬化性化合物と、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤との相溶性の観点から、組成物の全質量に対して、5質量%~60質量%であることが好ましく、20質量%~55質量%であることがより好ましく、35質量%~45質量%であることが特に好ましい。
光硬化性化合物の含有量に対する相溶化剤の含有量の比([相溶化剤の含有量]/[光硬化性化合物の含有量])は、多孔質構造の形成性の観点から、質量基準で、0.05~1であることが好ましく、0.1~0.8であることがより好ましく、0.4~0.8であることが特に好ましい。
非相溶性溶剤の含有量に対する相溶化剤の含有量の比([相溶化剤の含有量]/[非相溶性溶剤の含有量])は、多孔質構造の形成性の観点から、質量基準で、0.1~5であることが好ましく、0.5~3であることがより好ましく、1~2であることが特に好ましい。
[他の成分]
本開示に係る組成物は、上記した各成分に加えて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、光重合開始剤、及び溶剤(光硬化性化合物とは相溶しない溶剤を除く。)が挙げられる
(光重合開始剤:成分E)
本開示に係る組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。本開示に係る組成物が光重合開始剤を含むことで、光硬化性化合物の硬化反応を促進することができる。
例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、及び光アニオン重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、制限されず、公知の光ラジカル重合開始剤を利用できる。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸、p-ベンゾイル安息香酸、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン、4,4’-ジメトキシベンジル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-エトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、2-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-(ヒドロキシイミノ)プロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-イソプロポキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、p,p’-テトラメチルジアミノベンゾフェノン、及びアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
組成物は、1種単独の光重合開始剤を含んでいてもよく、2種以上の光重合開始剤を含んでいてもよい。
光重合開始剤の含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.1質量%~2質量%であることがより好ましく、0.1質量%~1質量%であることが特に好ましい。
(溶剤:成分F)
本開示に係る組成物は、光硬化性化合物とは相溶しない溶剤以外の溶剤(以下、単に「溶剤」ともいう。)を含んでいてもよい。
溶剤としては、非相溶性溶剤以外の溶剤であれば制限されず、公知の溶剤を利用できる。溶剤としては、例えば、アセトン、エタノール、プロパノール、及びテトラヒドロフランが挙げられる。
組成物は、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、2種以上の溶剤を含んでいてもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.1質量%~2質量%であることがより好ましく、0.1質量%~1質量%であることが特に好ましい。
<組成物の製造方法>
本開示に係る組成物の製造方法は、制限されず、例えば、上記各成分を混合する方法が挙げられる。
本開示に係る組成物の製造方法は、フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物(成分A’)と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物(成分B)と、上記光硬化性化合物とは相溶しない溶剤(成分C)と、相溶化剤(成分D)と、を混合する工程(以下、「混合工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
混合工程において、組成物は、必要に応じて、上記した他の成分(例えば、光重合開始剤(成分E)、及び溶剤(成分F))をさらに含んでいてもよい。
混合工程において、各成分の添加順序は、制限されない。例えば、任意の一成分に対して、上記一成分以外の成分を順番に又は同時に添加してもよく、複数の成分を含む混合物を事前に調製した後、上記混合物に上記複数の成分以外の成分を順番に又は同時に添加してもよい。また、複数の混合物を事前に調製した後、上記複数の混合物を互いに混合してもよい。
混合方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。混合方法としては、例えば、混合機を用いる方法が挙げられる。
混合時間は、制限されず、例えば、0.5時間~2時間の範囲で適宜決定すればよい。
混合工程における温度は、制限されず、例えば、20℃~30℃の範囲で適宜決定すればよい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに制限されるものではない。
<比較例1>
フルオロリンクMD700(PFPE(パーフルオロポリエーテル)ジウレタンメタクリレート、分子量2,000、ソルベイ社製)50質量部に、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)30質量部を混合し、次いで、シクロヘキサノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)20質量部を混合することによって、液(A)を作製した。
アセトン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(富士フイルム和光純薬株式会社製)の濃度を50質量%に希釈した液(B)を作製した。
液(A)に液(B)を1質量部添加することによって、比較例1の組成物を作製した。
テンパックスガラス(厚さ1.1mm、30cm×30cm)の上に、上記組成物、及びテンパックスガラス(厚さ1.1mm、30cm×30cm)をこの順で配置することによって、2つのテンパックスガラスの間に上記組成物を配置した。2つのテンパックスガラスの間にアルミ金属板(厚さ250μm)を配置することによって、組成物の厚さを調整した。
UV露光機(UVライトハンマー10コンベアシステム、ヘレウス社製)を用いて、2つのテンパレクックスガラスの間に配置された組成物を露光した。波長360nmの照度を57mW/cm、積算露光量を2.0J/cmにそれぞれ設定した。得られた硬化膜をイソプロパノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)1Lに浸漬し、そして、常温で24時間放置した。イソプロパノールから取り出した硬化膜を、80℃で1.5時間乾燥させることによって多孔質構造を形成した。キムワイプ(登録商標)を用いて、乾燥後の硬化膜の一方の面を摩耗させることにより、表面に凹凸構造を露出させた。硬化膜(多孔質層)の厚さは、250μmであった。
一方の面に配置された軽剥離フィルム(セパレーター)を剥離したパナクリーンPD-S1(パナック株式会社製、破断伸度130%)を、硬化膜の摩耗面とは反対側の面に貼り付けた。以上の手順によって、比較例1の成形体(層構成:多孔質層/粘着層(PD-S1)/軽剥離フィルム)を作製した。
<比較例2>
シクロヘキサノールを添加しないこと以外は、比較例1と同様の手順によって、比較例2の成形体を作製した。
<比較例3>
1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノールを添加しないこと以外は、比較例1と同様の手順によって、比較例3の成形体を作製した。
<比較例4>
シクロヘキサノール、及び1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノールを添加しないこと以外は、比較例1と同様の手順によって、比較例4の成形体を作製した。
<実施例1>
フルオロリンクMD700(PFPEジウレタンメタクリレート、分子量2,000、ソルベイ製)50質量部に、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)30質量部を混合し、次いで、シクロヘキサノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)20質量部を混合した後、デムナムS-20(パーフルオロポリエーテル油、融点:≦2℃、ダイキン工業株式会社製)0.5質量部を混合することによって、液(C)を作製した。
アセトン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を用いて、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(富士フイルム和光純薬株式会社製)の濃度を50質量%に希釈した液(B)を作製した。
液(C)に液(B)を1質量部添加することによって、実施例1の組成物を作製した。
比較例1の組成物に代えて実施例1の組成物を用いたこと以外は、比較例1と同様の手順によって、実施例1の成形体を作製した。
<実施例2~4>
デムナムS-20の添加量を変えたこと以外は、実施例1と同様の手順によって、実施例2~4の成形体をそれぞれ作製した。
<実施例5>
2つのテンパックスガラスの間に配置されたアルミ金属板の厚さを150μmに変更したこと以外は、実施例3と同様の手順によって、実施例5の成形体を作製した。
<実施例6>
2つのテンパックスガラスの間に配置されたアルミ金属板の厚さを100μmに変更したこと以外は、実施例3と同様の手順によって、実施例6の成形体を作製した。
<実施例7>
2つのテンパックスガラスの間に配置されたアルミ金属板の厚さを50μmに変更したこと以外は、実施例3と同様の手順によって、実施例7の成形体を作製した。
<実施例8>
パナクリーンPD-S1の他方の面に配置された軽剥離フィルムを剥離した後、テクノロイ(登録商標)S001G(アクリルフィルム、住友アクリル販売株式会社製、厚さ125μm)を積層したこと以外は、実施例7と同様の手順によって、実施例8の成形体(層構成:多孔質層/粘着層(PD-S1)/基材(アクリルフィルム))を作製した。
<評価>
実施例1~8、及び比較例1~4の各成形体を用いて、着雪防止性、及び耐摩耗性について評価した。評価方法を以下に示す。
[着雪防止性]
テンパックスガラス(10cm×10cm、厚さ1.1m)に成形体(10cm×10cm)を貼り付ける。実施例1~7、及び比較例1~4の各成形体については、軽剥離フィルムを剥がした後、テンパックスガラスに貼り付けた。実施例8の成形体については、基材(アクリルフィルム)上にパナクリーンPD-S1を貼り付けた後、パナクリーンPD-S1を介して基材とテンパックスガラスとを貼り付けた。
テンパックスガラスに貼り付けた成形体を水平方向に対して90°に設置した。氷削機(Cygne SI-150C、池永鉄工株式会社製)を用いて削った氷を、送風機(SJF-250RS-1(株式会社スイデン製))から送り出される風(風速:5.0m/s)を利用して成形体の多孔質面に飛ばした。実験環境における温度は、1.5℃±0.5℃に調節した。また、実験環境における湿度は、95%±5%に調節した。
試験開始から成形体の多孔質層の全面(10cm×10cm)に氷が付着するまでに要した時間(t)を計測し、以下の基準に従って、着雪防止性を評価した。
5:5分<t≦6分
4:4分<t≦5分
3:3分<t≦4分
2:2分<t≦3分
1:t≦2分
[耐摩耗性]
以下の条件で、成形体の多孔質面に対して往復運動の摩擦を繰り返すことによって、摩耗試験を行った。
・装置:摩擦摩耗試験機(TYPE:40、新東科学株式会社製)
・移動速度:3000mm/秒
・測定荷重:200gf
・測定移動距離:100mm
・測定布:カナキン3号
摩擦回数(往復回数)、及び多孔質層の摩耗状態に基づき、以下の基準に従って、耐摩耗性を評価した。
5:1000往復摩擦しても、多孔質層が無くならない。
4:900往復を超え、1000往復摩擦するまでに、多孔質層が無くなる。
3:800往復を超え、900往復摩擦するまでに、多孔質層が無くなる。
2:700往復を超え、800往復摩擦するまでに、多孔質層が無くなる。
1:700往復摩擦するまでに、多孔質層が無くなる。
Figure 0007262324000001
表1より、実施例1~8は、比較例1~4に比べて、着雪防止性に優れることがわかった。
10:基材
20:接着層
30:多孔質層
100:成形体

Claims (20)

  1. 分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するアクリレート化合物に由来の構成単位、及び分子内にパーフルオロポリエーテル基を有するメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するフッ素含有重合体と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む多孔質層を有する成形体。
  2. 前記多孔質層の平均厚さが、1μm~150μmである請求項1に記載の成形体。
  3. 前記多孔質層の少なくとも一方の面に、接着層、又は基材を有する請求項1又は請求項2に記載の成形体。
  4. 前記接着層の破断伸度が、50%以上である請求項3に記載の成形体。
  5. 前記基材が、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリプロピレン、又はポリエチレンである請求項3又は請求項4に記載の成形体。
  6. 前記フッ素含有化合物が、フッ素含有オイルである請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の成形体。
  7. 前記フッ素含有化合物が、パーフルオロポリエーテルである請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の成形体。
  8. 前記フッ素含有化合物の分子量が、1,000以上である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の成形体。
  9. 前記フッ素含有化合物の含有量が、前記多孔質層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の成形体。
  10. 前記フッ素含有重合体の含有量に対する前記フッ素含有化合物の含有量の比が、質量基準で、0.05~0.1である請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の成形体。
  11. 着雪防止シートである、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の成形体。
  12. フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、パーフルオロポリエーテル、クロロトリフルオロエチレン、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種である、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、脂環式アルコールと、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール及びN-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種である化合物と、を含む組成物に対して紫外線を照射することによって多孔質層を形成する工程と、
    前記多孔質層とアルコールとを接触させる工程と、
    前記多孔質層を乾燥させる工程と、
    前記多孔質層の表面を摩耗させる工程と、
    をこの順で含む成形体の製造方法。
  13. フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、脂環式アルコールと、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール及びN-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種である化合物と、パーフルオロポリエーテル、クロロトリフルオロエチレン、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種である、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む組成物。
  14. 前記フッ素含有化合物が、フッ素含有オイルである請求項13に記載の組成物。
  15. 前記フッ素含有化合物が、パーフルオロポリエーテルである請求項13又は請求項14に記載の組成物。
  16. 前記フッ素含有化合物の分子量が、1,000以上である請求項13~請求項15のいずれか1項に記載の組成物。
  17. 前記フッ素含有化合物の含有量が、組成物の全質量に対して、0.5質量%~5質量%である請求項13~請求項16のいずれか1項に記載の組成物。
  18. 前記光硬化性化合物の含有量に対する前記フッ素含有化合物の含有量の比が、質量基準で、0.05~0.1である請求項13~請求項17のいずれか1項に記載の組成物。
  19. フッ素含有アクリレート化合物、及びフッ素含有メタクリレート化合物からなる群より選択される少なくとも1種の光硬化性化合物と、パーフルオロポリエーテル、クロロトリフルオロエチレン、及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種である、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、脂環式アルコールと、1H,1H,2H,2H-パーフルオロ-1-オクタノール及びN-メチル-2-ピロリドンからなる群から選択される少なくとも1種である化合物と、を混合する工程を含む組成物の製造方法。
  20. アクリレート化合物に由来の構成単位、及びメタクリレート化合物に由来の構成単位からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位を有するフッ素含有重合体と、融点が2℃以下であるフッ素含有化合物と、を含む多孔質層を有し、
    着雪防止シートである、成形体。
JP2019121621A 2019-06-28 2019-06-28 成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法 Active JP7262324B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019121621A JP7262324B2 (ja) 2019-06-28 2019-06-28 成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019121621A JP7262324B2 (ja) 2019-06-28 2019-06-28 成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021008045A JP2021008045A (ja) 2021-01-28
JP7262324B2 true JP7262324B2 (ja) 2023-04-21

Family

ID=74199189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019121621A Active JP7262324B2 (ja) 2019-06-28 2019-06-28 成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7262324B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012130885A (ja) 2010-12-22 2012-07-12 Asahi Glass Co Ltd 撥油防水性通気フィルタおよびその製造方法
WO2018065094A1 (de) 2016-10-06 2018-04-12 Karlsruher Institut für Technologie Hochfluorierte nanostrukturierte polymerschäume zur herstellung superabweisender oberflächen
WO2019103537A1 (ko) 2017-11-24 2019-05-31 주식회사 엘지화학 불소계 수지 다공성 막 및 그 제조방법
JP2021511204A (ja) 2018-07-12 2021-05-06 エルジー・ケム・リミテッド 多孔性フッ素系樹脂複合膜およびその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05229402A (ja) * 1992-02-19 1993-09-07 Railway Technical Res Inst 着雪氷防止体
JPH10183049A (ja) * 1996-11-08 1998-07-07 Daikin Ind Ltd 被膜形成組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012130885A (ja) 2010-12-22 2012-07-12 Asahi Glass Co Ltd 撥油防水性通気フィルタおよびその製造方法
WO2018065094A1 (de) 2016-10-06 2018-04-12 Karlsruher Institut für Technologie Hochfluorierte nanostrukturierte polymerschäume zur herstellung superabweisender oberflächen
WO2019103537A1 (ko) 2017-11-24 2019-05-31 주식회사 엘지화학 불소계 수지 다공성 막 및 그 제조방법
JP2021511204A (ja) 2018-07-12 2021-05-06 エルジー・ケム・リミテッド 多孔性フッ素系樹脂複合膜およびその製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
DEMNUM TECHNICAL DATASHEET,[オンライン],日本,DAIKIN INDUSTRIES, LTD.,2018年,1頁、表,[検索日 2022.04.20], インターネット<URL:https://www.daikinchemicals.com/library/pb_common/pdf/tds/Specialty_products/DEMNUM_fluorinated_oil_and_grease/tds-demnum-E_ver01_Mar-2018.pdf>

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021008045A (ja) 2021-01-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI433882B (zh) 活性能量線硬化性樹脂組成物與使用該組成物之奈米凹凸構造體及其製造方法、以及具備奈米凹凸構造體的撥水性物品
TWI529065B (zh) 積層體的製造方法、積層體、微細凹凸結構體及薄膜
JP6451321B2 (ja) 光学物品及びその製造方法
JP5958338B2 (ja) 微細凹凸構造体、撥水性物品、モールド、及び微細凹凸構造体の製造方法
JP5725184B2 (ja) 積層体
KR20120139703A (ko) 다층 필름을 형성하기 위한 연속 공정 및 그러한 방법에 의해 제조되는 다층 필름
CN103534619A (zh) 具有特定表面形状的结构体和该结构体的制造方法
WO2013005769A1 (ja) 微細凹凸構造を表面に有する物品、およびこれを備えた映像表示装置
TW201634281A (zh) 硬化塗佈層積薄膜
JP6686284B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む物品
TW201323205A (zh) 光學膜、包括其的背光單元和包括其的光學顯示設備
JP2013197083A (ja) 光学機能部材支持用複層フィルム、プリズムシート、光源ユニット及び表示装置
JP7262324B2 (ja) 成形体、成形体の製造方法、組成物、及び組成物の製造方法
JPH0812787A (ja) ハードコート層を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂成形品及びその製造方法
TW201514257A (zh) 可金屬化之抗刮且抗溶劑之薄膜
JP2010275525A (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品
JP2010196026A (ja) Uvインプリント用アクリルフィルム、その積層体及びuvインプリント用アクリルフィルムの製造方法
JP2016210150A (ja) 積層体およびその製造方法と、物品
CN106832373B (zh) 一种光学用预涂聚酯膜及其制备方法及一种增亮膜
TW201932566A (zh) 基於矽氧烷之雙重固化透明轉移膜
JP6442602B2 (ja) ナノパターンを含む光学シート及びその製造方法
JP2014076556A (ja) 微細凹凸構造を有する物品およびその製造方法
TW201641577A (zh) 活性能量線硬化性樹脂組成物及物品
JP7135439B2 (ja) コーティング液およびその利用品
TW201825583A (zh) 樹脂片材製造用硬化型組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220510

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230314

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7262324

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150