JP7261897B2 - クリップデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、クリップデバイス、より詳しくは、組織を結紮するクリップユニットを備えたクリップデバイスに関する。
内視鏡を用いて行う処置として、クリップユニットを使った結紮が知られている。クリップユニットは一対のアームを備えている。一対のアームが組織を挟んだ状態で一対のアームを所定量牽引すると、一対のアームが組織を強く締め付けた状態でロックされる。
クリップユニットは、アプリケータに装着された状態で体内に導入される。クリップユニットは組織を結紮した状態で体内に留置されるため、一対のアームがロックされた後にアプリケータから切り離す必要がある。
アプリケータとクリップユニットとの連結を解除する態様がいくつか知られている。特許文献1に記載の構成では、アプリケータのクリップがクリップユニットの後端部を挟み込むことによりアプリケータとクリップユニットとが連結されている。アプリケータのクリップが後退して拡大チャンバ内に移動すると、クリップが開いてアプリケータとクリップユニットとの連結が解除される。
日本国特表2008-526376公報
操作者は、一対のアームを閉じさせて対象組織を締め付け、把持位置などを確認しながら結紮が十分であることを確認する。結紮が不十分であると判断した場合には、一対のアームを開かせて対象組織の締め付けを解除し、再度結紮操作を行う。そして、結紮が十分であると判断した場合には、アームをロックする。この時、クリップユニットのアームをロックするために必要な操作力量(ロック力量)が、対象組織を結紮するために必要な力量よりも大幅に大きいことで、操作者は力量のギャップを認識することができ、誤ってアームをロックしてしまうことなく操作を行うことができる。
クリップユニットのアームをロックするために必要な操作力量(ロック力量)の大きさは、アームが挟んだ対象組織から受ける反力により変化する。対象組織が硬いと、ロック力量は大きくなる。
変形による連結解除をクリップユニットに適用する場合、ロックが完了する前に連結が解除されると、組織を結紮できない。したがって、連結解除に必要な操作力量(解除力量)は、通常、ロック力量よりも大きく設定される。また、上述したギャップを確保する観点から、ロック力量が更に大きく設定されることもある。ここで、アームが平均的な硬さの組織を挟んだ場合のロック力量を基準にして解除力量を設定すると、硬い組織を挟んだ場合にロックが完了していないにもかかわらず連結が解除される可能性がある。アームが硬い組織を挟んだ場合のロック力量を基準にして解除力量を設定するとこのような可能性をなくせるが、解除力量が非常に大きくなり、操作しにくくなる可能性がある。
他に、操作感の問題がある。変形による連結解除の後、操作力量が変化しなかったり、増加したりすると、操作者は、連結が解除されたことを知覚できない。その結果、不必要に操作を継続するなど、操作が煩雑になる。
上記事情を踏まえ、本発明は、硬い組織を確実に結紮でき、かつ連結が解除されたことを容易に検知できる医療機器を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るクリップデバイスは、開閉可能なアームを有するクリップユニットと、爪部を有し、前記クリップユニットと解除可能に連結されるフックと、前記クリップユニットを操作可能に構成され、前記フックに接続されるワイヤと、前記フックが挿通可能に構成されるとともに、先端側の内径に対して、内径の寸法が小さい小径部が基端側に形成された、筒状部材と、を備え、前記フックが前記クリップユニットに連結された第一状態の場合は、前記爪部における前記内径の方向の最大寸法は、前記小径部の前記内径よりも大きく、前記フックと前記クリップユニットの連結が解除され、前記クリップユニットが前記小径部よりも先端側に位置し、前記フックが前記小径部に位置する第二状態の場合は、前記爪部は、前記前記筒状部材の径方向に延びる第一方向と、前記筒状部材の軸方向に交差する第二方向との2つの方向に変位し、前記爪部における前記内径の方向の最大寸法は、前記小径部の内径以下となるように構成される
本発明によれば、硬い組織を確実に結紮でき、かつ連結が解除されたことを容易に検知できる。
本発明の第一実施形態に係る結紮装置の全体構成図である。 同結紮装置のクリップユニットを示す図である。 同クリップユニットの断面図である。 同クリップユニットの断面図であり、図3と異なる方向における断面を示す。 同結紮装置におけるクリップ装着部位の拡大断面図である。 フックの拡大図である。 図6のI-I線における断面図である。 図6のII-II線における断面図である。 同結紮装置においてアームとフックとの連結が解除される動作の一過程を示す模式図である。 アームおよびフックの連結解除動作の一過程を示す模式図である。 第二状態においてフックの爪部が接近した状態を示す図である。 アームおよびフックの連結解除動作の一過程を示す模式図である。 アームおよびフックの連結解除動作の一過程を示す模式図である。 連結解除動作における操作ワイヤの牽引量と力量の値との関係を示すグラフである。 第一状態における変形例のフックを示す断面図である。 第二状態における同変形例のフックを示す断面図である。
本発明の一実施形態について、図1から図14を参照して説明する。
図1は、本実施形態の医療機器である結紮装置1の外観を示す図である。結紮装置1は、体内に留置されるクリップユニット10と、クリップユニット10を操作するためのアプリケータ50とを備えている。クリップユニット10は、アプリケータ50の先端(遠位端)に装着される。
図2は、クリップユニット10の外観を示す図である。図3は、クリップユニット10の断面図である。図2に示すように、クリップユニット10は、アーム部20と、アーム部20の一部が収容された押さえ管30とを備えている。
アーム部20は、第一アーム21および第二アーム22の一対のアームを有する。第一アーム21および第二アーム22は、それぞれ先端部に爪21aおよび22aを有する。図3に示すように、アーム部20の基端部20aにおいて、第一アーム21と第二アーム22とが接続されている。基端部20aは、U字状に形成されている。
アーム部20は、合金を含む金属で形成されている。アーム部20の材質としては、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金などを例示できる。
第一アーム21および第二アーム22は、図2に示す初期状態において拡開している。第一アーム21および第二アーム22は、初期状態から互いに接近すると、材料の弾性力により、初期状態に戻ろうとする付勢力が生じる。
押さえ管30は、金属や樹脂等で形成された筒状の部材である。図3に示すように、アーム部20の基端部20aは、押さえ管30内に収容されている。アーム部20の先端部は、押さえ管の先端開口30aから突出している。押さえ管30の基端開口30bは、先端開口30aよりも小さい。
図4は、押さえ管30の内部を図3と異なる方向から見た図である。図4に示すように、アーム部20の各アームの中間部には、係止部23が設けられており、係止部23において各アーム21、22の幅方向の寸法が大きくなっている(図4には第一アーム21のみ見えている)。各係止部23は、第一アーム21と第二アーム22とが接近することにより、基端開口30bを通過することができる。基端開口30bを通過後に第一アーム21と第二アーム22とが離間すると、係止部23は、基端開口30bを通過できなくなる。その結果、アーム部20は、一対のアームが閉じた状態でロックされる。
押さえ管30の内部には、コイルバネ31が配置されている。コイルバネ31の前端は、第一アーム21および第二アーム22の後面に接触できる。コイルバネ31の後端は、基端開口30bを有する押さえ管の後端面32と接触できる。
上述したアーム部20および押さえ管30の基本構造は公知であり、例えば、PCT国際公開2014/181676に開示されている。
アプリケータ50は、図1に示すように、細長の挿入部51と、挿入部51に通された操作ワイヤ(ワイヤ)52と、挿入部51に接続された操作部60とを備える。
挿入部51としては、例えばコイルで形成されたシースを使用できる。
操作部60は、挿入部51と接続された本体61と、本体61に対して摺動可能に取り付けられたスライダ62とを有する。
操作ワイヤ52としては、たとえば金属素線からなる撚線ワイヤを使用できる。操作ワイヤ52の基端部は、スライダ62と接続されている。スライダ62を本体61に対して移動させると、挿入部51内で操作ワイヤ52を進退させることができる。
図5は、クリップユニット10が装着されたアプリケータ50先端部の拡大断面図である。
操作ワイヤ52の先端には、クリップユニット10と係合するフック70が固定されている。図5に示すように、操作ワイヤ52の先端部は押さえ管30内に進入し、フック70とアーム部20の基端部20aとが係合している。フック70の外形寸法は、コイルバネ31の内径よりわずかに小さく、コイルバネと干渉せずにコイルバネ31内を通過できる。
図6は、フック70の拡大図である。フック70は、操作ワイヤ52と接続される後部71と、基端部20aと係合する前部72とを有する。
後部71は、前後方向両端に近づくにつれて徐々に縮小する紡錘状に形成され、後端に開口する有底の穴71a(図5参照)を有する。操作ワイヤ52の先端部は、穴71a内に進入している。操作ワイヤ52とフック70とは、例えばロウ付け等により接続されている。本実施形態においてはフック70と操作ワイヤ52とは、同軸の状態を保持して接続されている。
前部72は、一対の係合アーム73および74を有する。係合アーム73および74は、アーム部20の開閉方向と直交する方向からアーム部20を挟み込んでいる。係合アーム73は、アーム部20と接触する爪部75と、爪部75と後部71とを接続する板状部76とを有する。係合アーム74は、係合アーム73と同様に、爪部77および板状部78を有し、係合アーム73と同一の形状を有する。係合アーム73および74は、フック70の中心軸線X1に対して線対称となる位置に設けられている。
アーム部20とフック70とが連結した状態(第一状態)において、爪部75と爪部77とは離間しており、アーム部20がなければ互いに接近できる位置関係にある。
爪部75は、アーム部20の基端部20aと接触する係合面751を有する。係合面は、中心軸線X1に対して直角をなす方向に延びる平坦な面である。爪部77も、係合面751と同様の係合面771を有する。
爪部75と爪部77とがアーム部20を挟んで保持した図5に示す状態において、爪部75および爪部77により構成される前部72の前側の外形は、後部71よりも大きい。
図7は、図6のI-I線における断面図であり、フック70の正面側から見た図である。板状部76および78は、概ね断面が長方形の板状であるが、爪部と接続される先端部において面取りが施されており、中心軸線X1に近い面に、それぞれ斜面761、781が形成されている。斜面761は、板状部76の幅方向中央から上方に延びている。斜面781は、板状部78の幅方向中央から下方に延びている。すなわち、斜面761、781は、板状部の幅方向端部に近づくにつれて、中心軸線X1から離れている。
板状部76および78の幅方向において、斜面761、781の起点と中心軸線X1とは概ね同一位置にある。
図8は、図6のII-II線における断面図である。爪部75、77において、係合面よりも前側で互いに対向する面(対向面)には面取りが施されており、それぞれ斜面752、772が形成されている。斜面752は、爪部75の幅方向中央から上方に延びている。斜面772は、爪部77の幅方向中央から下方に延びている。斜面752、772は、斜面761、781と同じ方向に傾斜しており、爪部の幅方向端部に近づくにつれて、中心軸線X1から離れている。対向面のうち、斜面752、772が形成されていない部位は、左右方向に延びかつ互いに平行な平行部753、773となっている。斜面752、772の終点からは、それぞれ平行部753、773と平行な受け面754、774が延びている。
爪部75の前部は、正面視において斜面752のない右側が小さくなっており、爪部77の前部は、正面視において斜面772のない左側が小さくなっている。
爪部75、77の後端部は、図6に示すように外周面が曲面状になっており、後端に近づくにつれて外形寸法が減少している。
図5に示すように、挿入部51の先端には、硬質のガイドパイプ55が取り付けられている。ガイドパイプ55の先端側領域の内径は、押さえ管30の外径よりも大きく、押さえ管30が進入できる。ガイドパイプ55は、基端に近づくにつれて内径が徐々に小さくなる縮径部55aを有し、縮径部55aよりも基端側の小径部55bの内径は、縮径部55aの最小内径と同一である。フック70の後部71の外形寸法は、小径部55bの内径より小さく、爪部75、77によって規定される前部72の最大外形寸法は、小径部55bの内径より大きい。
操作ワイヤ52には、ストッパ56が取り付けられている。ストッパ56の形状や寸法は、ガイドパイプ55内に進入できないように設定されているため、ストッパ56がガイドパイプ55の後端と接触すると、操作ワイヤ52はそれ以上前進できない。
上記のように構成された結紮装置1の使用時の動作について説明する。結紮装置1は、内視鏡のチャンネルを経由して体内に導入される。結紮装置1を内視鏡に挿入する際、使用者はスライダ62を所定量後退させて、アーム部20が閉じ、かつロックされていない状態で挿入する。アーム部20が閉じたクリップユニット10および挿入部51の先端部を、別途準備したアウターシース内に収容した状態で内視鏡に挿入してもよい。
結紮装置1を内視鏡先端部のチャンネル開口から突出させて、スライダを引く力を小さくしたりアウターシースを後退させたりすると、アーム部20は、自身の弾性復元力と、コイルバネ31の弾性復元力とにより、押さえ管30に対して前進する。その結果、一対のアーム21、22が開いた開形態となる。ストッパ56がガイドパイプ55の後端と接触すると、アーム部20は、押さえ管30に対して前進できなくなるため、アーム部20は押さえ管30から脱落せずに開形態を保持する。
使用者が、スライダ62を本体61に対して後退させると、操作ワイヤ52が牽引されてアーム部20が押さえ管30に対して後退する、その結果、一対のアーム21、22が閉じた閉形態となる。使用者は、一対のアーム21、22間に組織を位置させて一対のアーム21、22を閉じることにより、組織を結紮できる。後述するロック操作を行うまでは、スライダ62を本体61に対して前進させることにより、一対のアーム21、22を閉形態から再び開形態に遷移させることができる。したがって、結紮装置1においては、ロック操作を行うまでは、操作ワイヤ52によりクリップユニット10を操作して組織のつかみ直しを行える。
図5に示すように、ガイドパイプ55内には、基端部20aとフック70との意図しない連結解除を防止する規制部材57が配置されている。規制部材57は、フック70の外径よりもわずかに大きい内径の規制部58を有する。基端部20aとフック70との係合が解除されるためには、係合アーム73、74が一定距離以上離れる必要があるが、規制部58内には、係合アーム73と係合アーム74とが十分に離間できる程度の空間が存在しない。その結果、フック70と基端部20aとの係合は、係合アーム73、74が規制部58を通過するまでは解除されず、係合状態が好適に保持される。
一対のアーム21、22間に位置する組織を結紮してよいと判断したら、使用者はアーム部20を閉形態に固定するためのロック操作を行う。ロック操作において、使用者は、つかみ直しができる範囲を超えて、さらにスライダ62を本体61に対して後退させる。スライダ62が後退すると、操作ワイヤ52が牽引され、一対のアーム21、22は、組織を挟んだまま略平行となって押さえ管30内に進入する。さらに、一対のアーム21、22に設けられた係止部23が互いに接近し、押さえ管30の基端開口30bを通過可能な位置関係となる。
基端開口30bを通過して押さえ管30外に移動した一対の係止部23は、操作ワイヤ52から受ける力が弱まると再び離間し、基端開口30bを通過できない位置関係となる。その結果、基端開口30bの縁に一対の係止部23が当接することでアーム部20の押さえ管30からの突出が防止され、アーム部20はロックされて閉形態が保持される。
ロック操作の過程で、基端部20aおよびフック70は基端開口30bを通って押さえ管30外に移動するが、基端部20aとフック70との係合状態は規制部材57により好適に保持される。
アーム部20がロックされた後、使用者がさらにスライダ62を後退させると、基端部20aとフック70との係合が解除され、クリップユニット10がアプリケータ50から切り離される。以下、連結解除時におけるフック70の動作について、模式図を用いて詳細に説明する。
アーム部20がロックされた後にスライダ62が後退されると、操作ワイヤ52が牽引される。その結果、図9に示すように、爪部75、77の後端部が縮径部55aの内面に接触する。操作ワイヤ52が牽引されると、爪部75、77の後端部は、縮径部55aの内面に沿って移動し、小径部55b内に進入する。
爪部の後側が小径部55b内に進入するにつれて、爪部75、77は、それぞれ板状部との接続部位を中心として回動する。その結果、図10に示すように、爪部75、77の先端側は、互いに離間する方向に移動し、アーム部の基端部20aから離れる。こうして、フック70とアーム部20との連結が解除され、一対の爪部75、77は、間にアーム部20が存在しない第二状態に移行する。
連結解除後にさらに操作ワイヤ52が牽引されると、板状部76および板状部78の先端部が、互いに接近する方向に移動する。接近して接触した板状部76、78は、斜面761と斜面781を接触させ、それぞれ対向する斜面に沿って移動し始める。
板状部76、78の移動に伴い、爪部75、77も移動する。爪部75、77の対向面は、正面視において、左右方向に変位しながら互いに接近する。爪部75、77が変位する左右方向は、爪部75、77がアーム部20を挟む開閉方向と交差している。爪部75の対向面は、板状部76が斜面781に沿って移動するのに伴って、右に変位する。爪部77の対向面は、板状部78が斜面761に沿って移動するのに伴って、左に変位する。
爪部75、77が左右方向に変位しながら互いに接近すると、斜面752と斜面772とが接触する。その後、爪部75、77は、それぞれ対向する斜面に沿って移動し、均衡状態となったところで相対移動を停止する。
図11に、均衡状態における爪部75および77を正面から見た状態を示す。この状態において、フック70の前部72の径方向最大寸法(軸線X1と直交する方向における最大寸法)D2は、フック70とアーム部20とが連結された状態における前部72(図7に破線で示す)の径方向最大寸法D1よりも小さく、かつ小径部55bの内径よりも小さい。したがって、爪部75および77の相対移動が停止した均衡状態の前部72は、図12に示すように小径部55b内を通過することができる。
使用者がさらにスライダ62を後退させると、フック70は変形しながら小径部55b内を通過し、図13に示すように、ガイドパイプ55の基端開口から抜ける。フック70がガイドパイプ55から抜けると、操作ワイヤ52の牽引に抗する外力がフック70に作用しなくなるため、スライダ62を後退させるために必要な力量が大きく減少し、スライダ62の操作が軽くなる。したがって、使用者は、クリップユニット10がアプリケータ50から切り離されたことを容易に知覚することができる。
使用者が内視鏡およびアプリケータ50を抜去すると、一連の手技が終了する。
以上説明したように、本実施形態の結紮装置1によれば、規制部材57と爪部75、77との寸法関係により、硬い組織を結紮する場合であってもクリップユニット10のアームがロックされる前にクリップユニット10とアプリケータ50との連結が解除されることが防止される。
また、爪部75、77の後端部をガイドパイプ55の縮径部55aに押し付けるだけで、爪部が開いてクリップユニット10とアプリケータ50との連結が解除される。したがって、使用者は、スライダ62を後退させ続けるだけで連結を解除でき、その際に必要な力量を、アームをロックする際に必要とされる力量よりも小さくできる。
さらに、連結解除後のフック70は、爪部75、77が連結時よりも接近することにより、ガイドパイプ55の小径部55b内を通ってガイドパイプ55から抜けることができる。その結果、上述のように、スライダ62の操作が著しく軽くなり、クリップユニット10がアプリケータ50から切り離されたことを容易に知覚できる。
上述した各作用により、結紮装置1においては、硬い組織を挟んだ状態でクリップユニット10を確実に留置することと、操作のしやすさとを両立できる。
図14に操作ワイヤの牽引量と発生する力量の関係を示す。アーム部が組織を挟んだ後、スライダ62を操作して操作ワイヤを牽引すると、アーム部のほぼ全体が押さえ管内に引き込まれるまでの領域R1においては、挟んだ組織から受ける反力により力量Nが徐々に増加する。
続いて、アーム部の基端部が押さえ管の基端開口に到達するまでの領域R2においては、アーム部と押さえ管の内面とがほぼ平行であるため、力量Nは徐々に低下する。
続いて、アーム部がロックされるまでの領域R3において、係止部23が基端開口を乗り越えるためにアーム部を変形させる必要があるため、再び力量Nが増加する。ロックが完了すると、力量Nはいったん低下する。
続いて、アーム部とフックとの連結が解除されるまでの領域R4において、再び力量Nが増加する。力学的には、領域R4における最大力量値N2が領域R3における最大力量値N1以下であると、アーム部がロックされる前にフックとの連結が解除されてしまい、組織を結紮できない可能性がある。しかし、本実施形態では、規制部材57と爪部75、77との寸法関係により、物理的に連結解除を抑制し、かつ爪部75、77の後端部をガイドパイプ55の縮径部55aに押し付ける動作により爪部を開くことにより、最大力量値N2を最大力量値N1以下としつつ、アーム部がロックされる前にフックとの連結が解除されることを、爪部の剛性のみに依存せずに防止している。
続いて、爪部75、77が小径部55b内に進入するまでの領域R5において、力量Nは漸増する。爪部75、77がガイドパイプ55から抜けた後の領域R6において、力量Nは急速に減少する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
例えば、爪部がガイドパイプの小径部を通る際に、左右方向に変位しなくてもよい。図15Aおよび図15Bに示す変形例では、連結解除により、爪部175、177間にアーム部20が存在しなくなると、爪部175、177が互いに接近して、爪部の径方向最大寸法D4が連結時の径方向最大寸法D3よりも小さくなる。径方向最大寸法D4を小径部55bの内径以下とすることで、連結解除後のフックを小径部に進入させてガイドパイプから抜くことができる。
結紮装置の長手方向における一対の爪部の断面積は、小径部の内腔(ルーメン)の断面積以下であることが好ましい。これにより、爪部を変位させるだけで容易に小径部を通過させることができる。変位後における一対の爪部の断面積形状が小径部の内腔と同様であると、爪部が小径部を通過する際に両者が変形せず、操作力量が増加しにくい。
一対の爪部は、小径部を通る際に、必ずしも接触しなくてもよい。
本発明において、規制部材やガイドパイプは必須ではない。例えば、ガイドパイプの一部に規制部を設けてもよいし、挿入部を構成するシースの先端部を成型加工することにより、縮径部や小径部を形成してもよい。
小径部の内腔の断面形状は円形に限られず、例えば正方形等の多角形でもよい。この場合、第二状態において接近した爪部の径方向最大寸法が小径部の径方向最小寸法以下となるように爪部を構成すると、爪部を接近させてスムーズに小径部を通過させることができる。小径部の径方向最小寸法と径方向最大寸法との差が小さい(例えば0.1mm以下)場合は、第二状態において接近した爪部の径方向最大寸法が小径部の径方向最大寸法以下となるように爪部を構成すると、爪部および小径部の少なくとも一方を若干変形させながら爪部を通過させることにより、同様の効果を奏することができる。
本発明は、クリップユニットを切り離して使用する医療機器に適用することができる。
1 結紮装置(医療機器)
10 クリップユニット
20 アーム部
20a 基端部
21 第一アーム
22 第二アーム
50 アプリケータ
51 挿入部
52 操作ワイヤ(ワイヤ)
55a 縮径部
55b 小径部
70 フック
75、77 爪部
752、772 斜面

Claims (12)

  1. 開閉可能なアームを有するクリップユニットと、
    爪部を有し、前記クリップユニットと解除可能に連結されるフックと、
    前記クリップユニットを操作可能に構成され、前記フックに接続されるワイヤと、
    前記フックが挿通可能に構成されるとともに、先端側の内径に対して、前記内径の寸法が小さい小径部が基端側に形成された、筒状部材と、
    を備え、
    前記フックが前記クリップユニットに連結された第一状態の場合は、前記爪部における前記内径の方向の最大寸法は、前記小径部の前記内径よりも大きく、
    前記フックと前記クリップユニットの連結が解除され、前記クリップユニットが前記小径部よりも先端側に位置し、前記フックが前記小径部に位置する第二状態の場合は、
    前記爪部は、前記筒状部材の径方向に延びる第一方向と、前記筒状部材の軸方向に交差する第二方向との2つの方向に変位し、
    前記爪部における前記内径の方向の最大寸法は、前記小径部の内径以下となるように構成される、
    リップデバイス。
  2. 前記フックは、前記第二状態の際、前記第一状態の際よりも前記筒状部材の長手軸に近づく方向に変形することにより、前記爪部の前記径方向の寸法が前記筒状部材の前記内径以下となるように構成される、請求項1に記載のクリップデバイス。
  3. 前記フックは、複数の前記爪部を有し、
    複数の前記爪部が前記クリップユニットを挟むことにより、前記クリップユニットと前記フックとが解除可能に連結され、
    前記フックは、前記第二状態の際、複数の前記爪部が前記第一状態の際よりも互いに近づく方向に変形することにより、前記爪部の前記径方向の寸法が前記筒状部材の前記内径以下となるように構成される、
    請求項1に記載のクリップデバイス。
  4. 前記筒状部材は、前記小径部の先端側の位置に、前記基端側に位置する前記小径部に向かって前記内径が縮小する縮径部をさらに有し、
    前記爪部は、前記フックが前記第二状態の時、前記小径部を挿通可能に構成される、
    請求項1に記載のクリップデバイス。
  5. 前記爪部は、前記フックが前記第一状態の際、前記小径部よりも先端側に配置される、請求項1に記載のクリップデバイス。
  6. 前記爪部は、前記第二方向に対して傾斜する斜面を有し、
    前記爪部は、前記フックが前記第二状態の時、前記斜面に沿って移動することにより、前記爪部の前記径方向の寸法が前記小径部の前記内径以下となるよう構成される、
    請求項1に記載のクリップデバイス。
  7. 前記フックは、一対の前記爪部を備え、
    一対の前記爪部は、
    前記フックの長手方向に直交し、一対の前記爪部が開閉する前記第一方向において、前記クリップユニットを挟んだ位置に配置され、
    かつ
    互いに対向する一対の前記爪部の各面の形状が、前記長手方向から見た正面視において、前記フックの中心軸線を通り、前記第一方向と交差する左右方向である前記第二方向に延びる線に対して非対称である、
    請求項1に記載のクリップデバイス。
  8. 一対の前記爪部のそれぞれは、前記クリップユニットと係合する第一面と、前記第一方向において前記第一面よりも他方の前記爪部から離れる方向に傾斜した第二面と、を有する、請求項7に記載のクリップデバイス。
  9. 一対の前記爪部がそれぞれ有する前記第二面は、平行に配される、請求項8に記載のクリップデバイス。
  10. 前記フックは、
    前記クリップユニットに連結された第一状態の際、一対の前記爪部の前記第二面同士は、互いに離れた第一位置に配置され、
    前記クリップユニットに連結されない第二状態の際、一対の前記爪部の前記第二面同士は、接触する第二位置に配置可能に構成される、
    請求項8に記載のクリップデバイス。
  11. 一対の前記爪部は、前記第一位置から前記第二位置に遷移する時、前記第二方向に変位するように構成される、
    請求項10に記載のクリップデバイス。
  12. 前記第一方向において、一対の前記爪部が前記第二位置に配置される際の、前記径方向における前記爪部の最大寸法は、一対の前記爪部が前記第一位置に配置される際の、前記径方向における前記爪部の最大寸法よりも小さい、
    請求項10に記載のクリップデバイス。
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