以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本発明の実施の形態による貨幣処理システムの構成等を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理システムは、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20から構成される貨幣釣銭機2(貨幣処理装置)と、これらの硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の制御を行う制御装置30とを組み合わせたものである。ここで、図1に示すように、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20は左右に並ぶよう配置されている。硬貨釣銭機10は、商品の代金としての硬貨の入金処理および釣銭としての硬貨の出金処理を行うようになっている。紙幣釣銭機20は、商品の代金としての紙幣の入金処理および釣銭としての紙幣の出金処理を行うようになっている。また、制御装置30は、例えば店舗の店員が携帯可能なタブレット端末(具体的には、タブレットPC)等から構成されており、この制御装置30は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20のうちいずれか一方(本実施の形態では硬貨釣銭機10)に無線(具体的には、例えばWi-Fi)により通信可能に接続されている。また、制御装置30は、POS装置(Point-Of-Sales、販売時点情報管理装置)として機能する。なお、制御装置30として、店舗の店員が携帯可能なタブレット端末以外に、店舗の店員が携帯可能なスマートフォン等の携帯情報端末や、POSレジスタ(すなわち、販売時点情報管理レジスタ)等が用いられてもよい。このような制御装置30は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の管理を行う管理装置として機能するとともに、顧客が購入しようとする商品の登録処理を行うようになっている。また、制御装置30には店舗サーバ(図示せず)が無線により通信可能に接続されている。そして、制御装置30から店舗サーバに売上金情報や商品情報等が送信されるようになっている。また、各種設定情報が、店舗サーバから制御装置30に配信されるようになっている。
このような貨幣処理システム1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の商業施設の店舗に設置されている。そして、顧客が商品の精算を行う際に、店舗の店員は制御装置30によって、顧客が購入しようとする商品の登録処理を行う。具体的には、制御装置30に通信可能に接続されたバーコードスキャナ(図示せず)やハンディスキャナ(図示せず)により、顧客が購入しようとする商品に取り付けられているバーコード等から商品情報の読み取りを行う。また、商品を購入しようとする顧客が商品の代金としての硬貨や紙幣を店員に手渡すと、店員は顧客から手渡された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に入金する。また、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に入金された硬貨および紙幣の合計金額が、制御装置30において登録処理が行われた商品の合計金額よりも多い場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において釣銭としての硬貨や紙幣の出金処理が行われる。硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金された硬貨や紙幣は店員により顧客に手渡される。
以下、このような貨幣処理システム1における硬貨釣銭機10、紙幣釣銭機20および制御装置30の構成について図1乃至図4を用いて説明する。
まず、硬貨釣銭機10の構成について説明する。図1および図2に示すように、硬貨釣銭機10は、略直方体形状の筐体10aと、筐体10aの前面側に設けられた硬貨受入部12と、筐体10aの前面側において硬貨受入部12の下方に設けられた硬貨払出部14と、筐体10aの内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の硬貨収納部15とを備えている。
硬貨受入部12は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体10a内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部12には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構(図示せず)が設けられており、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨が検知されると硬貨繰出機構が駆動されることにより当該硬貨繰出機構によって硬貨が筐体10aの内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、図2に示すように、硬貨受入部12には、当該硬貨受入部12により筐体10aの内部に繰り出された硬貨を搬送する第1硬貨搬送部16a(入金硬貨搬送部)が接続されている。また、硬貨受入部12には硬貨検知センサ(図示せず)が設けられており、硬貨投入口を介して筐体10aの外部から硬貨受入部12に硬貨が投入されたときにこの投入された硬貨が硬貨検知センサにより検知されるようになっている。また、硬貨受入部12に投入された硬貨が全て硬貨繰出機構により筐体10aの内部に繰り出されると、硬貨検知センサは硬貨を検知しない状態となる。このような硬貨受入部12は、筐体10aの外部から内部に硬貨を取り込む取込部として機能する。また、硬貨払出部14は、硬貨収納部15から繰り出された硬貨を筐体10aの外部に排出する排出部として機能する。
図2に示すように、第1硬貨搬送部16aの途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う硬貨識別部16bと、分岐部16dとがそれぞれ設けられている。分岐部16dは、硬貨識別部16bによる硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部14から払い出されるべき硬貨を第1硬貨搬送部16aから分岐させて第2硬貨搬送部16c(出金硬貨搬送部)へ案内するようになっている。
一方、正常硬貨等の筐体10a内に収納されるべき硬貨は第1硬貨搬送部16aにより各硬貨収納部15へ搬送されるようになっている。各硬貨収納部15は、硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を後述する第2硬貨搬送部16cに繰出可能となるよう構成されている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの硬貨収納部15が設けられており、第1硬貨搬送部16aの上流側(すなわち、図2における下側)から低額順に各硬貨収納部15に硬貨が金種毎に収納されるようになっている。また、硬貨収納部15には、当該硬貨収納部15に収納された硬貨を1枚ずつ第2硬貨搬送部16cに繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
第2硬貨搬送部16cは、各硬貨収納部15から繰り出された硬貨を硬貨払出部14へ搬送するようになっている。また、第2硬貨搬送部16cは、分岐部16dにより第1硬貨搬送部16aから分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部14へ搬送するようになっている。
また、図1に示すように、硬貨釣銭機10の上面にはタッチパネル等の操作表示部19が設けられている。操作表示部19には、操作者が操作するための操作画面や、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の各々に収納されている硬貨や紙幣の在高に係る情報が表示されるようになっている。また、このような操作表示部19において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって後述する制御部11に様々な指令を入力することができるようになっている。
次に、紙幣釣銭機20の構成について説明する。図1および図3に示すように、紙幣釣銭機20は、略直方体形状の筐体20aと、筐体20aの前面側にそれぞれ設けられた紙幣受入部22および紙幣払出部24と、筐体20aの内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数(具体的には、3つ)の紙幣収納部25とを備えている。
図3に示すように、紙幣釣銭機20の筐体20aの内部には、紙幣を1枚ずつ搬送する紙幣搬送部26aが設けられている。紙幣搬送部26aは、筐体20aの中央位置に配置された周回搬送部26cおよび複数の接続搬送部26dから構成されている。また、紙幣受入部22、紙幣払出部24、出金リジェクト部27、収納カセット29aを着脱自在に装着可能なカセット装着部29および3つの紙幣収納部25が、それぞれ、周回搬送部26cを取り囲むよう配置されている。また、図3に示すように、複数の接続搬送部26dの各々により、紙幣受入部22、紙幣払出部24、出金リジェクト部27、カセット装着部29および3つの紙幣収納部25の各々と、周回搬送部26cとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部26cには紙幣識別部26bが設けられており、この紙幣識別部26bは、周回搬送部26cにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行うようになっている。
周回搬送部26cは、図3における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、紙幣搬送部26aにおいて、周回搬送部26cと各接続搬送部26dとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部26cに沿って配置されている。
図1および図3に示すように、筐体20aの前面には、紙幣受入部22の紙幣受入口と、紙幣払出部24の紙幣取出口とが左右に並ぶよう配置されている。また、カセット装着部29の前面側には扉が設けられており、この扉を開くことにより収納カセット29aをカセット装着部29に装着させたりこのカセット装着部29から収納カセット29aを取り出したりすることができるようになっている。
紙幣受入部22には紙幣繰出機構(図示せず)が設けられており、紙幣受入口に1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると紙幣繰出機構が駆動されることにより紙幣が接続搬送部26dを介して周回搬送部26c側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、紙幣受入部22には紙幣検知センサ(図示せず)が設けられており、紙幣受入口を介して筐体20aの外部から紙幣受入部22に紙幣が投入されたときにこの投入された紙幣が紙幣検知センサにより検知されるようになっている。また、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が全て紙幣繰出機構により筐体20aの内部に繰り出されると、紙幣検知センサは紙幣を検知しない状態となる。このような紙幣受入部22は、筐体20aの外部から内部に紙幣を取り込む取込部として機能する。
紙幣払出部24は、各紙幣収納部25から周回搬送部26cに繰り出された紙幣を紙幣取出口により筐体20aの外部へ放出するようになっている。このような紙幣払出部24は、紙幣収納部25から繰り出された紙幣を筐体20aの外部に排出する排出部として機能する。
出金リジェクト部27は、出金処理時において各紙幣収納部25から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により紙幣識別部26bで識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣受入部22から筐体20aの内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により紙幣識別部26bで識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部24に返却されるようになっている。
各紙幣収納部25は、紙幣識別部26bの識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。これらの紙幣収納部25には、紙幣釣銭機20に入金された商品の代金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納されるようになっている。具体的には、例えば3つの紙幣収納部25のうち左側の紙幣収納部25には千円札が収納され、中央に位置する紙幣収納部25には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、右側の紙幣収納部25には一万円札が収納されるようになっている。また、各紙幣収納部25にはそれぞれ紙幣繰出機構(図示せず)が設けられており、これらの紙幣収納部25に収納されている紙幣は各紙幣繰出機構により接続搬送部26dを介して周回搬送部26c側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
次に、制御装置30の構成について図4を用いて簡単に説明する。制御装置30は、CPU等の制御部32と、タッチパネル等の操作表示部34と、記憶部36とを有している。操作表示部34は操作者が操作することができるようになっており、操作者は操作表示部34により制御部32に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、操作表示部34は、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における硬貨や紙幣の処理状況を表示するようになっている。また、操作表示部34には、顧客が購入しようとする商品の登録情報が表示されるようになっている。また、記憶部36には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における硬貨や紙幣の処理履歴や、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に収納されている硬貨や紙幣の在高等の情報が記憶されるようになっている。また、記憶部36には、顧客が購入した商品の登録情報が記憶されるようになっている。なお、操作表示部34には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に収納されている硬貨や紙幣の在高等の情報が表示されるようにしてもよい。
次に、本実施の形態による貨幣処理システム1の制御系の構成について図4を用いて説明する。図4に示すように、硬貨釣銭機10の筐体10aの内部にはCPU等の制御部11が設けられている。制御部11には、操作表示部19、硬貨受入部12、硬貨払出部14、硬貨収納部15、第1硬貨搬送部16a、硬貨識別部16b、第2硬貨搬送部16c、分岐部16d等の各々が接続されている。そして、制御部11からこれらの構成要素の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、制御部11には通信部18が接続されており、この通信部18を介して硬貨釣銭機10の制御部11は制御装置30の制御部32や紙幣釣銭機20の制御部21(後述)に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。また、制御部11には記憶部17が接続されている。記憶部17は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20の各々に収納されている硬貨および紙幣の在高に係る情報や、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20における硬貨および紙幣の処理履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、制御部11には算出部13が接続されている。算出部13は、制御装置30から送られた決済額に関する情報と、硬貨受入部12により筐体10aの内部に取り込まれた硬貨の金額および紙幣受入部22により筐体20aの内部に取り込まれた紙幣の金額とに基づいて、釣銭としての貨幣の金額を算出するようになっている。このような算出部13の機能については後述する。
また、図4に示すように、紙幣釣銭機20の筐体20aの内部にはCPU等の制御部21が設けられている。制御部21には、紙幣受入部22、紙幣払出部24、紙幣収納部25、紙幣搬送部26aおよび紙幣識別部26b等の各々が接続されている。そして、制御部21からこれらの構成要素の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、制御部21には通信部28が接続されており、この通信部28を介して紙幣釣銭機20の制御部21は硬貨釣銭機10の制御部11に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
また、図4に示すように、制御装置30は通信部38を有しており、制御部32は、通信部38を介して硬貨釣銭機10の制御部11に通信可能に接続されている。また、制御部32は、通信部38を介して店舗サーバに通信可能に接続されていてもよい。そして、制御部32は、通信部38を介して硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に指令信号を送ることにより、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に対して硬貨や紙幣の入金処理および出金処理を行わせるようになっている。また、制御部32は、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21から、通信部38を介して硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け付けるようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作、具体的には硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において釣銭としての硬貨や紙幣が出金されるときの動作について図5に示す説明図を用いて説明する。なお、以下に示す貨幣釣銭機2の動作は、制御装置30の制御部32が硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に指令信号を送ることにより、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21が硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の各構成要素を制御することにより行われる。
本実施の形態の貨幣処理システム1では、貨幣釣銭機2と制御装置30とが通信可能に接続されている場合には、制御装置30の制御部32は通信部38を介して硬貨釣銭機10の制御部11に状態確認信号を所定の間隔(例えば、10秒間隔)で断続的に送信する。また、硬貨釣銭機10の制御部11は、制御装置30の制御部32から状態確認信号を受信すると、通信部18を介して受信確認信号を制御装置30の制御部32に送信する。制御装置30の制御部32は、硬貨釣銭機10の制御部11から受信確認信号を所定の間隔で受信している場合には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間で通信が確保されていると判断する。一方、制御装置30の制御部32は、所定の間隔が経過しても硬貨釣銭機10の制御部11から受信確認信号を受信しない場合には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されていると判断する。また、硬貨釣銭機10の制御部11は、所定の間隔が経過しても制御装置30の制御部32から状態確認信号を受信しない場合には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されていると判断する。
本実施の形態による貨幣処理システム1が設置された精算所において顧客が商品の精算を行うにあたり、店舗の店員は制御装置30により顧客が購入しようとする商品の登録処理を行う。制御装置30において商品の登録処理が完了すると、制御装置30の制御部32から硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に入金処理開始指示に係る信号が送られる。この際に、制御装置30の制御部32から硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に決済額(具体的には、登録処理が行われた商品の合計金額)に係る情報が送られる。制御装置30の制御部32から硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に入金処理開始指示に係る信号が送られると、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20は入金処理モードとなり、これらの硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において硬貨や紙幣の入金処理が可能となる。すなわち、硬貨釣銭機10の硬貨受入部12や紙幣釣銭機20の紙幣受入部22は、硬貨や紙幣を受入可能状態となる。
その後、商品を購入しようとする顧客が商品の代金としての硬貨や紙幣を店員に手渡すと、店員は顧客から手渡された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に入金する。具体的には、店員は、商品の代金としての硬貨や紙幣を硬貨釣銭機10の硬貨受入部12や紙幣釣銭機20の紙幣受入部22に投入する。このことにより、硬貨釣銭機10において、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨が筐体10a内に繰り出されて硬貨識別部16bにより識別された後に各硬貨収納部15に搬送され、各硬貨収納部15に金種毎に収納される。また、紙幣釣銭機20において、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が筐体20a内に繰り出されて紙幣識別部26bにより識別された後に各紙幣収納部25に搬送され、各紙幣収納部25に金種毎に収納される。また、硬貨釣銭機10の硬貨識別部16bによる硬貨の計数結果および紙幣釣銭機20の紙幣識別部26bによる紙幣の計数結果に基づいて、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20に入金された硬貨や紙幣の計数額に係る情報が硬貨釣銭機10の制御部11から制御装置30の制御部32に送信される。
硬貨釣銭機10において硬貨受入部12に受け入れられた硬貨が全て各硬貨収納部15や硬貨払出部14に送られるとともに、紙幣釣銭機20において紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が全て各紙幣収納部25や紙幣払出部24に送られると、制御装置30の操作表示部34には、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20に入金された硬貨や紙幣の計数額が表示される。また、入金確定を操作者に求めるガイダンスが操作表示部34に表示される。そして、操作者が操作表示部34により入金確定の指令を制御部32に入力すると、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21は入金確定の処理を行う。その後、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20に入金された硬貨や紙幣の計数額に係る情報が硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21から制御装置30の制御部32に再び送信される。このことにより、貨幣釣銭機2において商品の代金としての貨幣の入金処理モードが完了する。
また、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20に入金された硬貨および紙幣の合計金額が、制御装置30において登録処理が行われた商品の合計金額よりも多い場合には、制御装置30の制御部32は差額を算出する。そして、制御装置30の制御部32は、この差額分の硬貨や紙幣を釣銭として硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金するよう、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21に対して硬貨や紙幣の出金処理開始指令に係る信号を送信する。このことにより、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において釣銭としての硬貨や紙幣の出金処理が行われる。具体的には、硬貨釣銭機10において、釣銭として出金されるべき硬貨が硬貨収納部15から繰り出されて第2硬貨搬送部16cにより硬貨払出部14に搬送され、この硬貨払出部14に集積される。この際に、硬貨払出部14に集積された硬貨は筐体10aの外部に露出するようになり、店員によって硬貨払出部14から硬貨が取り出し可能となる。また、紙幣釣銭機20において、釣銭として出金されるべき紙幣が紙幣収納部25から繰り出されて紙幣搬送部26aにより紙幣払出部24に搬送され、この紙幣払出部24に保留される。この際に、紙幣払出部24に保留された紙幣の一部は筐体20aの外部に露出するようになり、このため店員によって紙幣払出部24から紙幣が取り出し可能となる。その後、硬貨払出部14や紙幣払出部24から硬貨や紙幣が店員によって取り出され、この取り出された硬貨や紙幣は店員から顧客に手渡される。また、硬貨払出部14や紙幣払出部24から硬貨や紙幣が取り出されると、硬貨釣銭機10の制御部11や紙幣釣銭機20の制御部21は制御装置30の制御部32に対して出金完了通知を送信する。このことにより、貨幣釣銭機2における釣銭としての貨幣の出金処理モードが完了し、よって貨幣処理システム1における一連の取引が完了する。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1では、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できない場合に、貨幣釣銭機2単体でも、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20において所定の金額の硬貨や紙幣を硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出する出金処理を実行可能となっている。言い換えると、貨幣釣銭機2はスタンドアローンの運用を行うことができる。このような出金処理について図6および図7を用いて説明する。
上述したように、制御装置30の制御部32は通信部38を介して硬貨釣銭機10の制御部11に状態確認信号を所定の間隔(例えば、10秒間隔)で断続的に送信し、また、硬貨釣銭機10の制御部11は、制御装置30の制御部32から状態確認信号を受信すると、通信部18を介して受信確認信号を制御装置30の制御部32に送信する。そして、制御装置30の制御部32は、所定の間隔が経過しても硬貨釣銭機10の制御部11から受信確認信号を受信しない場合には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されていると判断する。また、硬貨釣銭機10の制御部11は、所定の間隔が経過しても制御装置30の制御部32から状態確認信号を受信しない場合には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されていると判断する。
本実施の形態による貨幣処理システム1が設置された精算所において顧客が商品の精算を行うにあたり、店舗の店員は制御装置30により顧客が購入しようとする商品の登録処理を行う。そして、硬貨釣銭機10の制御部11は、制御装置30の制御部32から入金処理開始指示の指令を受け付けた後、制御装置30の制御部32から入金確定の指令を受け付けるまでの間に、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと判断した場合には、図6に示すような出金処理を行う。言い換えると、硬貨釣銭機10の制御部11は、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において入金処理モードが継続している状態で、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと判断した場合には、図6に示すような出金処理を行う。
具体的には、硬貨釣銭機10の制御部11により、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと判断された場合には、硬貨受入部12や紙幣受入部22が空状態になっているかどうかが検知される。このような検知は、硬貨受入部12に設けられた硬貨検知センサや紙幣受入部22に設けられた紙幣検知センサにより行われる。そして、硬貨受入部12および紙幣受入部22がそれぞれ空状態になっていると検知されると、硬貨釣銭機10の制御部11は入金確定指示を行う。このことにより、貨幣釣銭機2における商品の代金としての貨幣の入金処理モードが完了する。
その後、硬貨釣銭機10の制御部11は出金処理開始指示を行う。具体的には、硬貨釣銭機10に設けられた算出部13は、制御装置30から送られた決済額に関する情報と、硬貨受入部12により筐体10aの内部に取り込まれた硬貨の金額および紙幣受入部22により筐体20aの内部に取り込まれた紙幣の金額とに基づいて、釣銭としての貨幣の金額を算出する。算出部13により算出された、釣銭としての貨幣の金額が0円である場合には、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20において硬貨や紙幣の出金処理は行われない。その後、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復すると、硬貨釣銭機10の制御部11は取引を自動で終了させた旨を制御装置30の制御部32に通知する。このようにして、貨幣処理システム1における一連の取引が完了する。
一方、算出部13により算出された、釣銭としての貨幣の金額が1円以上である場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において、算出部13により算出された金額分の硬貨や紙幣の出金処理が行われる。その後、硬貨払出部14や紙幣払出部24から硬貨や紙幣が店員によって取り出され、この取り出された硬貨や紙幣は店員から顧客に手渡される。そして、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復すると、硬貨釣銭機10の制御部11は取引を自動で終了させた旨を制御装置30の制御部32に通知する。この際に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金された硬貨や紙幣に係る情報も硬貨釣銭機10の制御部11から制御装置30の制御部32に送信されるようになっていてもよい。また、その場合には、制御装置30の記憶部36に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金された硬貨や紙幣に係る情報が記憶される。この際に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における出金処理が、貨幣釣銭機2と制御装置30との間で通信が遮断された状態で行われた旨の情報も関連づけられて記憶部36に記憶される。このようにして、貨幣釣銭機2における釣銭としての貨幣の出金処理モードが完了し、よって貨幣処理システム1における一連の取引が完了する。
また、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復した後、通信が遮断される前に制御装置30の制御部32が計数額に係る信号を受信していたことにより制御装置30の制御部32から硬貨釣銭機10の制御部11に出金処理開始指示が送信された場合には、硬貨釣銭機10の操作表示部19には釣銭としての硬貨や紙幣が既に出金済である可能性がある旨の表示がなされる。また、この場合には、硬貨釣銭機10の制御部11は、制御装置30の制御部32から出金処理開始指示を受け付けると、釣銭としての硬貨や紙幣が既に出金済である可能性がある旨の通知を制御装置30の制御部32に送信する。このことにより、制御装置30の操作表示部34にも、釣銭としての硬貨や紙幣が既に出金済である可能性がある旨の表示がなされる。このようにすることによって、通信回復時に制御装置30から貨幣釣銭機2に対して、誤って出金処理開始指示が送信されることを防止することができるため、2重に出金処理を行うことを防止することができる。また、この場合には、操作者は、硬貨釣銭機10の操作表示部19や制御装置30の操作表示部34により、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において硬貨や紙幣の更なる出金が必要であるか否かを入力することができるようになっていてもよい。
また、硬貨釣銭機10の制御部11は、計数額を制御装置30の制御部32に送信することにより入金処理モードが完了した後、出金処理開始指示を受け付けるまでの間に、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと判断した場合には、図7に示すような出金処理を行う。具体的には、硬貨釣銭機10の制御部11は、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと判断した場合には、出金処理開始指示を行う。そして、算出部13により算出された、釣銭としての貨幣の金額が0円である場合には、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20において硬貨や紙幣の出金処理は行われない。一方、算出部13により算出された、釣銭としての貨幣の金額が1円以上である場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において、算出部13により算出された金額分の硬貨や紙幣の出金処理が行われる。その後、硬貨払出部14や紙幣払出部24から硬貨や紙幣が店員によって取り出され、この取り出された硬貨や紙幣は店員から顧客に手渡される。そして、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復すると、硬貨釣銭機10の制御部11は取引を自動で終了させた旨を制御装置30の制御部32に通知する。この際に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金された硬貨や紙幣に係る情報も硬貨釣銭機10の制御部11から制御装置30の制御部32に送信されるようになっていてもよい。また、その場合には、制御装置30の記憶部36に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20から出金された硬貨や紙幣に係る情報が記憶される。この際に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における出金処理が、貨幣釣銭機2と制御装置30との間で通信が遮断された状態で行われた旨の情報も記憶部36に記憶される。このようにして、貨幣釣銭機2における釣銭としての貨幣の出金処理モードが完了し、よって貨幣処理システム1における一連の取引が完了する。
なお、本実施の形態では、計数額を制御装置30の制御部32に送信することにより入金処理モードが完了した後、出金処理開始指示を受け付けるまでの間に、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと硬貨釣銭機10の制御部11が判断した場合に、釣銭としての貨幣が出金されるのではなく、硬貨受入部12や紙幣受入部22により筐体10a、20aの内部に取り込まれた硬貨や紙幣と同額の硬貨や紙幣が硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出されてもよい。このようにすることにより、入金処理モードが完了した後、出金処理開始指示を受け付けるまでの間に、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されたと硬貨釣銭機10の制御部11が判断した場合に、他の貨幣処理機を使用するなどして一連の取引を終了させることができる。この場合は、硬貨受入部12や紙幣受入部22により筐体10a、20aの内部に取り込まれた硬貨や紙幣と金種毎の同数の硬貨や紙幣が硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出されることが好ましい。また、硬貨受入部12や紙幣受入部22により筐体10a、20aの内部に取り込まれた硬貨や紙幣と同額の硬貨や紙幣が硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出される場合には、排出された硬貨や紙幣が釣銭ではないことを操作者に知らせるため、ブザーや音声、画面等による報知が行われてもよい。
そして、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復した後、通信が遮断される前に制御装置30の制御部32が計数額に係る信号を受信していたことにより制御装置30の制御部32から硬貨釣銭機10の制御部11に出金処理開始指示が送信された場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の筐体10a、20a内に投入された硬貨や紙幣が既に出金済である可能性がある旨が硬貨釣銭機10の操作表示部19に表示される。また、この場合には、硬貨釣銭機10の制御部11は、制御装置30の制御部32から出金処理開始指示を受け付けると、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の筐体10a、20a内に投入された硬貨や紙幣が既に出金済である可能性がある旨の通知を制御装置30の制御部32に送信する。このことにより、制御装置30の操作表示部34にも、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の筐体10a、20a内に投入された硬貨や紙幣が既に出金済である可能性がある旨の表示がなされる。このようにすることによって、通信回復時に制御装置30から貨幣釣銭機2に対して、誤って出金処理開始指示が送信されることを防止することができるため、2重に出金処理を行うことを防止することができる。また、この場合には、操作者は、硬貨釣銭機10の操作表示部19や制御装置30の操作表示部34により、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において硬貨や紙幣の更なる出金が必要であるか否かを入力することができるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理システム1によれば、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できない場合に、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において所定の金額の貨幣(具体的には、釣銭の金額分の貨幣)を硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出する出金処理を実行可能となっている。この場合には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されている間でも、貨幣釣銭機2において貨幣の処理を行うことができるようになる。より詳細には、従来の貨幣処理システムでは、貨幣釣銭機と制御装置とを通信可能に接続していても、通信環境の変化等によりこの通信が断絶してしまった場合には、貨幣釣銭機において貨幣の処理は行われなかった。そして、外部との通信が遮断されている間の売上から、理論的な貨幣釣銭機の貨幣の在高を算出して制御装置の記憶部に記憶させ、通信が再開された場合にこの理論的な在高に係る情報を制御装置から貨幣釣銭機に送信していた。しかしながら、このような従来の貨幣処理システムでは、貨幣釣銭機は制御装置との通信が遮断されている間は貨幣の実際の処理を行うことができないため、不便であるという問題があった。これに対し、本実施の形態の貨幣処理システム1では、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が遮断されている間でも、貨幣釣銭機2において貨幣の処理を行うことができるため、顧客を待たせることなく貨幣釣銭機2から釣銭としての貨幣の払い出しを行うことができ、利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、上述したように、制御装置30の制御部32から硬貨釣銭機10の制御部11に状態確認信号が所定の間隔で断続的に送られるとともに硬貨釣銭機10の制御部11は状態確認信号を受けると制御装置30の制御部32に受信確認信号を送るようになっている。そして、硬貨釣銭機10の制御部11が状態確認信号を所定期間だけ受信しない場合、または制御装置30の制御部32が受信確認信号を所定期間だけ受信しない場合に、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できないと判断されるようになっている。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、上述したように、制御装置30は、商品情報を登録する販売時点情報管理装置である。なお、上述したように、制御装置30は、例えば店舗の店員が携帯可能なタブレット端末(具体的には、タブレットPC)等から構成されており、この制御装置30は、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20のうちいずれか一方(本実施の形態では硬貨釣銭機10)に無線(具体的には、例えばWi-Fi)により通信可能に接続されている。また、制御装置30として、店舗の店員が携帯可能なタブレット端末以外に、店舗の店員が携帯可能なスマートフォン等の携帯情報端末や、POSレジスタ(すなわち、販売時点情報管理レジスタ)等が用いられてもよい。また、貨幣釣銭機2と制御装置30とが無線ではなく有線(具体的には、例えばLANケーブル)で接続されていてもよい。この場合でも、貨幣釣銭機2と制御装置30とを接続する有線が接触不良になったりノイズが発生したりすることによりこのような有線で通信不可となったしたときに、貨幣釣銭機2において貨幣の処理を行うことができるため、顧客を待たせることなく貨幣釣銭機2から釣銭としての貨幣の払い出しを行うことができ、利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、上述したように、硬貨釣銭機10の制御部11は、制御装置30から決済額に関する情報を受信した後に貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できなくなった場合に、硬貨受入部12や紙幣受入部22により筐体10a、20aの内部に取り込まれた硬貨や紙幣のうち決済額を超える金額分の硬貨や紙幣を硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出するようになっている。また、硬貨釣銭機10は、制御装置30から送信された決済額に関する情報と、硬貨受入部12や紙幣受入部22により筐体10a、20aの内部に取り込まれた硬貨や紙幣の金額とに基づいて上述した所定の金額を算出する算出部13を更に有している。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1の他の例として、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できなくなった場合に、操作者が硬貨釣銭機10の操作表示部19(操作部)により決済額を入力できるようになっていてもよい。この場合には、操作者によって硬貨釣銭機10の操作表示部19により決済額が入力されると、算出部13は、操作表示部19により入力された決済額に関する情報と、硬貨受入部12により筐体10aの内部に取り込まれた硬貨の金額および紙幣受入部22により筐体20aの内部に取り込まれた紙幣の金額とに基づいて、釣銭としての貨幣の金額を算出する。また、操作者が硬貨釣銭機10の操作表示部19により決済額が入力されると、硬貨釣銭機10の制御部11は出金処理開始指示を行う。この際に、算出部13により算出された、釣銭としての貨幣の金額が0円である場合には、硬貨釣銭機10および紙幣釣銭機20において硬貨や紙幣の出金処理は行われない。一方、算出部13により算出された、釣銭としての貨幣の金額が1円以上である場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において、算出部13により算出された金額分の硬貨や紙幣の出金処理が行われる。その後、硬貨払出部14や紙幣払出部24から硬貨や紙幣が店員によって取り出され、この取り出された硬貨や紙幣は店員から顧客に手渡される。そして、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復すると、硬貨釣銭機10の制御部11は取引を自動で終了させた旨を制御装置30の制御部32に通知する。このようにして、貨幣釣銭機2における釣銭としての貨幣の出金処理モードが完了し、よって貨幣処理システム1における一連の取引が完了する。
また、更に他の例として、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できない場合に、操作者が硬貨釣銭機10の操作表示部19により決済額ではなく釣銭額を入力できるようになっていてもよい。この場合には、操作者によって硬貨釣銭機10の操作表示部19により釣銭額が入力されると、硬貨釣銭機10の制御部11は出金処理開始指示を行う。そして、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において、操作表示部19により入力された金額分の硬貨や紙幣の出金処理が行われる。その後、硬貨払出部14や紙幣払出部24から硬貨や紙幣が店員によって取り出され、この取り出された硬貨や紙幣は店員から顧客に手渡される。そして、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が回復すると、硬貨釣銭機10の制御部11は取引を自動で終了させた旨を制御装置30の制御部32に通知する。このようにして、貨幣釣銭機2における釣銭としての貨幣の出金処理モードが完了し、よって貨幣処理システム1における一連の取引が完了する。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、上述したように、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できなくなった後、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が再び確立されたときに、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20において所定の金額の硬貨や紙幣が硬貨払出部14や紙幣払出部24により筐体10a、20aの外部に排出されていた場合には、硬貨釣銭機10の制御部11から制御装置30の制御部32に対して取引が終了した旨の情報(すなわち、図6や図7における取引を自動で終了させた旨の通知)が送信可能になる。
また、本実施の形態の貨幣処理システム1においては、上述したように、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20による処理内容を記憶する記憶部36が設けられており、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できない場合の硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20による処理内容は、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できる場合の硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20による処理内容とは異なる態様で記憶部36に記憶されるようになっている。具体的には、上述したように、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できない場合には、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20における出金処理の内容が、貨幣釣銭機2と制御装置30との間で通信が遮断された状態で行われた旨の情報に関連付けられて記憶部36に記憶される。
なお、本実施の形態による貨幣処理システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、貨幣釣銭機2のそばに、包装硬貨を収納する包装硬貨収納装置や、損券や商品券等を収納するキャッシュドロア等が設けられている場合に、以下のような処理が行われるようになっていてもよい。具体的には、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できない場合に、包装硬貨収納装置やキャッシュドロアが自動で開くことにより、これらの包装硬貨収納装置やキャッシュドロアの内部にアクセス可能となってもよい。この場合には、包装硬貨収納装置やキャッシュドロアに収納されている包装硬貨や貨幣により取引を続けることができるようになる。
また、制御装置30は、貨幣釣銭機2が設置された商業施設の店舗の内部に設けられる必要はない。インターネット回線により制御装置30と貨幣釣銭機2とが接続され、商業施設の店舗の外部から制御装置30により貨幣釣銭機2を遠隔操作することができるようになっていてもよい。
また、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できなくなった場合に、硬貨釣銭機10の算出部13は、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の筐体10a、20a内に投入された硬貨や紙幣の金額から釣銭額の最大値を予測してもよい。例えば、硬貨釣銭機10や紙幣釣銭機20の筐体10a、20a内に投入された硬貨や紙幣の合計金額が1,000円である場合には、釣銭額の最大値は999円であると算出部13により予測される。この場合には、硬貨釣銭機10から4枚の1円硬貨、1枚の5円硬貨、4枚の10円硬貨、1枚の50円硬貨、4枚の100円硬貨および1枚の500円硬貨が硬貨払出部14に払い出される。その後、店舗の店員は硬貨払出部14に払い出された硬貨を取り出して顧客に釣銭としての硬貨を支払った後、手元に残った硬貨を硬貨受入部12に投入する。その後、操作者が硬貨釣銭機10の操作表示部19における決済終了ボタンを押下すると、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨は筐体10aの内部に繰り出されて各硬貨収納部15に収納される。このようにして、貨幣釣銭機2と制御装置30との間の通信が確立できなくなった場合でも、釣銭としての貨幣を顧客に迅速に手渡すことができるようになる。