JP7260264B2 - 感光性樹脂積層体、感光性樹脂積層体を用いたパターン製造方法及び装置 - Google Patents
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他方で、保護膜パターンを形成したロール状基板を打ち抜く工程において、保護膜のクラック(ひび割れ)や浮き、又は剥離が発生してしまう問題があった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
支持体と、感光層と、保護フィルムとがこの順に積層された感光性樹脂積層体であって、上記保護フィルムは、上記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が、20個を超えて50個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含む、感光性樹脂積層体。
[2]
上記保護フィルムは、酸化防止剤を含有する、項目1に記載の感光性樹脂積層体。
[3]
上記保護フィルムは、上記感光層と接しない面において、算術平均高さSaが80nm以下である、項目1又は2に記載の感光性樹脂積層体。
[4]
上記感光層の膜厚が15μm未満である、項目1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[5]
上記感光層の硬化前における粘度の最小値が1,000Pa・s以下である、項目1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[6]
上記感光層が、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂
(B)光重合性化合物、及び
(C)光重合性開始剤
を含有する、項目1~5のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[7]
上記(B)光重合性化合物は、分子量が430以下の化合物を少なくとも含む、項目1~6のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[8]
金属膜、又は金属酸化物膜のいずれかを保護するために使用される、項目1~7のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[9]
タッチパネル用保護膜、又はフォースセンサ用保護膜のいずれかに使用される、項目1~8のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[10]
上記保護フィルムは、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの平均個数が、上記保護フィルムの上記感光層と接する面の1m2あたり20個を超えて50個未満である、項目1~9のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[11]
上記保護フィルムは、上記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ上記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が、25個以上45個以下となる縦10m×横0.1mの領域を含む、項目1~10のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
[12]
項目1~11のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体の上記保護フィルムを剥して、真空雰囲気下で基材上に上記感光層をラミネートし、露光し、そして現像することによりパターンを作製することを含む、パターン製造方法。
[13]
項目12に記載のパターン製造方法により製造されたパターンを有するタッチパネル表示装置又はタッチセンサを有する、装置。
本実施形態の感光性樹脂積層体は、支持体と、感光層と、保護フィルムとがこの順に積層された感光性樹脂積層体である。
保護フィルムは、感光層と接する面において、フィルム中に存在する面積が2,000μm2以上、かつ、フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が20個を超えて50個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含むことが好ましい。ここで、「縦」は、感光性樹脂積層体の機械方向(MD)を意味し、「横」は、MDに垂直な横断方向(TD)を意味する。
また、保護フィルムは、面積が2,000μm2以上かつフィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの平均個数が、保護フィルムの感光層と接する面の1m2あたり20個を超えて50個未満であることが好ましい。
一般的に、感光性樹脂積層体を製造する方法は、長尺の支持体を長手方向に連続的に搬送し、塗工手段により該支持体上に感光性樹脂を塗工、乾燥し、保護フィルムを貼り合せることを含む。図1(a)に示すように、通常、保護フィルム(1)を所望の方向へと案内しながら搬送するために、複数のガイドロール(5)が用いられる。ガイドロールは、一般的に、保護フィルムと接触する円筒状の外周面を有し、保護フィルムを搬送する。図1(b)に示すように、この外周面と保護フィルムとの間に空気が入り込む(2)と、保護フィルムがこの外周面から浮上してしまい、空隙(3)が生じることがある。このような空隙は、ガイドロールの空転、保護フィルムの蛇行及びばたつきにより保護フィルムに傷がつくなど、搬送状態に悪影響を及ぼすという問題がある。特に平滑性の高い保護フィルムは当該問題が顕著であることがわかった。これに対して、本実施形態の保護フィルムは、図1(c)に示すように、フィッシュアイ(4)が20個を超える縦10m×横0.1mの領域を含むことにより、搬送状態の悪影響を抑制することができる。その理由としては、フィッシュアイの凸部がガイドロールの外周面と接触することにより、ガイドロールの空転を抑制し、保護フィルムの蛇行及びばたつきによる保護フィルムへの傷つきを抑制することができるからであると考えられる。
一方、フィッシュアイが50個未満である縦10m×横0.1mの領域を含むことにより、図3(b)に示すように、そのような保護膜の凹部の数を低減することができ、応力は保護膜全体に掛かるため、剥がれやクラックの問題を効果的に抑制することができると考えられる。
保護フィルムは、感光層と接する面において、フィッシュアイの個数が、例えば、49個以下、45個以下、40個以下、35個以下、30個以下である、縦10m×横0.1mの領域を含んでもよい。
保護フィルムの感光層と接する面積全体で平均した場合のフィッシュアイの平均個数は、例えば、21個/m2以上、25個/m2以上、30個/m2以上、35個/m2以上、40個/m2以上、45個/m2以上であってもよい。
また、フィッシュアイの平均個数は、例えば、49個/m2以下、45個/m2以下、40個/m2以下、35個/m2以下、30個/m2以下であってもよい。
フィッシュアイは、原料配合、混練条件、及び溶融条件などを調整することにより、また溶融後に濾過を行うことにより、フィルム中に形成される数や大きさを制御することができる。例えば、濾過によってフィッシュアイとなる異物を全て取り除いた後に、異物となる粒子を添加することによって、フィッシュアイが本実施形態の範囲内である保護フィルムを作製できる。
フィッシュアイの最大高さは、レーザ顕微鏡を用いて倍率50倍にて測定する。フィッシュアイの干渉縞が強く、測定が難しい場合は、フィッシュアイを含むサンプルを予め金により蒸着してから測定しても良い。同様の方法で、フィッシュアイの個数を測定対象の保護フィルム全体の面積で平均したフィッシュアイの平均個数を測定することができる。
現像残渣の抑制について推定されるメカニズムを、図4を参照しながら以下に説明する。保護フィルムは、フィッシュアイを少なくし、フィッシュアイの個数を本実施形態の所定の範囲内に調整するために、適当量の酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤を含有する保護フィルムを感光層に積層することによって、保護フィルム中の酸化防止剤の一部は、感光層内に移行すると推定される。ここで、ロール式熱真空ラミネーターを用いて感光性樹脂積層体を長手方向にラミネートするような条件下では、光重合開始剤が熱によりラジカルを発生する。大気下であれば酸素がそのラジカルを捕捉するが、真空環境下では酸素が無いため、発生したラジカルは酸素の阻害を受けず、不飽和二重結合を有する重合性化合物の重合反応を引き起こす。重合反応生成物は、その後の現像工程において、図4(a)に示すように、現像除去部(15)の金属配線(16)上に現像残渣(17)を発生させる。これに対して、酸化防止剤を含有する保護フィルムを積層した感光性樹脂積層体を用いた場合、保護フィルムから感光層へ移行した酸化防止剤が、発生したラジカルを捕捉することで重合反応の開始を阻害し、図4(b)に示すように、現像残渣の発生を抑止することができると考えられる。
支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、記感光層から剥離可能であり、かつ、光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムとしては、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。支持体のヘーズは5以下であることが好ましい。支持体の膜厚は、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10~30μmのものが好ましく用いられる。
感光層は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合性開始剤を含み、必要に応じて適宜選択した重合禁止剤や、その他の成分を含んでいてもよい。
本発明において用いる(A)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を含有する高分子体であれば制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等のアクリル系共重合体、ポリイミド前駆体、カルボキシル基含有ポリイミド、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、酸変性エポキシ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
ポンプ:Gulliver、PU-1580型
カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF-807、KF-806M、KF-806M、KF-802.5)4本直列、
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン標準サンプルを用いて規定された検量線{ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105)による検量線使用}
なお、水酸基価は次式により算出できる。
水酸基価=(A-B)×f×28.05/試料(g)+酸価
式中、Aは空試験に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)を示し、fはファクターを示す。
本実施形態に係る光重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物、例えば、その構造中にエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、(b1)分子中に重合性基を3つ以上有する化合物を含むことが好ましく、更にかつ/又は、(b2)分子中に重合性基を1つ有する化合物を含むことがより好ましい。また、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、上記以外の化合物を組み合わせて使用することが出来る。
本実施形態に係る(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物などを重合することができる化合物である。本実施形態に係る(C)光重合開始剤は、活性光線によりラジカルを発生し、エチレン性不飽和基含有化合物等を重合することができる化合物である。(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N-フェニルグリシン等のN-フェニルグリシン誘導体;クマリン化合物;オキサゾール化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。光重合開始剤は、単独で、又は2種以上混合して用いることもできる。
感光性樹脂組成物には、より高い防錆性能を発現させるという観点から、(D)熱架橋剤を更に配合することが好ましい。(D)熱架橋剤とは、熱により(A)アルカリ可溶性樹脂、並びに同時に添加する(D)熱架橋剤と付加反応、又は縮合重合反応を起こす化合物を意味する。付加反応又は縮合重合反応を起こす温度としては、100℃~150℃が好ましい。付加反応又は縮合反応は、現像によりパターン形成をした後の加熱処理の際に生じる。
ジオール化合物の具体例としては、ポリテトラメチレンジオール(例えば、三菱ケミカル(株)製P4TMG650、PTMG850、PTMG1000、PTMG1300、PTMG1500、PTMG1800、PTMG2000、及びPTMG3000など)、ポリブタジエンジオール(例えば、日本曹達(株)製G-1000、G-2000、及びG-3000など)、水添ポリブタジエンジオール(例えば、日本曹達(株)製GI-1000、GI-2000、及びGO-3000など)、ポリカーボネートジオール(例えば、旭化成(株)製デュラノールT5651、デュラノールT5652、デュラノールT4671、デュラノールG4672、デュラノールG3452、及びデュラノールG3450J、並びにクラレ(株)製クラレポリオールC-590、クラレポリオールC-1090、クラレポリオールC-2090、及びクラレポリオールC-3090など)、ポリカプロラクトンジオール(例えば、ダイセル(株)製プラクセル205PL、プラクセル210、プラクセル220、及びプラクセル220PLなど)、ポリエステルジオール(例えば、クラレ(株)製クラレポリオールP-530、クラレポリオールP-2030、及びクラレポリオールP-2050、並びに豊国製油(株)製HS2N-220Sなど)、ビスフェノール類(例えば、三菱ケミカル(株)製ビスフェノールAなど)、及び水添ビスフェノール類(例えば、新日本理化(株)製リカビノールHBなど)が挙げられる。これらのジオール化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
感光性樹脂組成物には、より低透水性を発現させるという観点から、(E)ロジンエステル化合物を更に配合することが好ましい。本実施形態に係る(E)ロジンエステル化合物とは、松脂の不揮発性分である炭素数20の三環式ジテルペノイドであるロジン酸、ロジン酸の二量体、ロジン酸の水素添加物、及びロジン酸の不均化物から成る群から選ばれる化合物(以下、総称として「ロジン酸誘導体」と呼ぶ)とヒドロキシル化合物、フェノール化合物、グリシジル化合物のいずれかを反応させてたことによりエステル結合を有する化合物、ロジン酸誘導体をグリシジル化し、カルボキシル化合物、フェノール化合物のいずれかを反応させたことによりエステル結合を有する化合物である。
本実施形態に係る防錆剤とは、防錆効果を有する化合物をいい、例えば、金属表面に被膜を形成して金属の腐食又は錆を防止する物質等である。
トリアゾール、例えば、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール等;
トリアゾール誘導体、例えば、3-メルカプトトリアゾール、3-アミノ-5-メルカプトトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-アセトニトリル、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-(2-ジ-n-ブチルアミノメチル)-5-カルボキシベンゾトリアゾール、1-(2-ジ-n-ブチルアミノメチル)-6-カルボキシベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-1-メタノール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、5-ニトロベンゾトリアゾール等;
イミダゾリン;イミダゾリン誘導体、例えば、2-ウンデシルイミダゾリン、2-プロピル-2-イミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等;
チアゾール;チアゾール誘導体、例えば、2-アミノ-4-メチルチアゾール、5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾール、ベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、(2-ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸等;
チアジアゾール、例えば、1,2,3-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール等;チアジアゾール誘導体、例えば、4-アミノ-2,1,3-ベンゾチアジアゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノ-5-メチル-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノ-1,3,4-チアジアゾール、5-アミノ-1,2,3-チアジアゾール、2-メルカプト-5-メチル-1,3,4-チアジアゾール等;
チオフェン;チオフェン誘導体、例えば、2-チオフェンカルボン酸、3-アミノ-2-チオフェンカルボン酸メチル、3-メチルベンゾチオフェン等。
一方で、(F)成分として導体の防錆性と硬化膜の基材との密着性の観点から、テトラゾール及びその誘導体、トリアゾール及びその誘導体、インダゾール及びその誘導体並びにチアジアゾール及びその誘導体が好ましい。
本実施形態において、成分(A)~(F)に加えて、その他の成分(G)として、カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するオリゴマー、ニトロソフェニルヒドロキシルアミンが3モル付加したアルミニウム塩等の重合禁止剤、酸化防止剤、密着助剤、レベリング剤、充填剤、消泡剤、及び難燃剤等も感光性樹脂組成物に含有させることが出来、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
溶剤は、支持体上に塗布する感光性樹脂組成物の溶液の粘度が、25℃で3mPa・s~3,000mPa・sとなるように、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂積層体を用いたパターンの形成は、以下の工程:
本実施形態の感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥して、真空雰囲気下で基材上に感光層をラミネートする工程;露光する工程;及び現像する工程を含む。より詳細には、基材上に、上記で説明された感光性樹脂積層体をラミネートする真空ラミネート工程;該ラミネートされた感光層に露光する露光工程;及び該露光された感光層を現像する現像工程;を含む方法によって、樹脂パターンを製造することができる。更に、樹脂パターンを導体部の保護膜として用いるために、現像工程後に、樹脂パターンを後露光処理及び/又は加熱処理に供して、硬化膜パターンを形成することが好ましい。
銅層の厚みは50nm~2μmであることが好ましい。銅層の均一性の観点から、銅層の厚みは100nm以上であることがより好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂積層体の硬化膜をタッチパネル用基材に形成することで、感光層の硬化膜を有するタッチパネル表示装置、及び転写フィルムの硬化膜とタッチセンサ及び/又はフォースセンサとを有する装置を提供することができる。
タッチパネル用基材としては、一般に、タッチパネル、タッチセンサ又はフォースセンサのために用いられる基材、例えば、ガラス板、プラスチック板、プラスチックフィルム、セラミック板等が挙げられる。この基材上には、保護膜を形成する対象となるITO、Cu、Al、Ag、Ni、Mo及びこれらの少なくとも2種を含む合金等のタッチパネル用電極又は金属配線が設けられ、基材と電極との間に絶縁層が設けられていてもよい。
実施例1~4、及び比較例1~4における感光性樹脂積層体は次のように作製した。
以下の表1に示す化合物を用意し、以下の表2に示す組成割合(表中の値は質量部)の
感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)と混ぜ
合わせてよく攪拌し、混合して、均一な溶液の感光性樹脂組成物調合液を得た。支持体としての膜厚16μm、幅600mmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、ダイコーターを用いて該感光性樹脂組成物調合液を均一に塗布して乾燥し、感光層を形成した。感光層の膜厚は8μmであった。
保護フィルムの浮上量は以下のようにして評価した。
レーザ変位計(キーエンス社製、LT-9000)を用い、停止状態におけるガイドロールA上の保護フィルム位置と、運転状態における位置とを比較し、3μm以上の変位があれば浮きが発生していると判断した。3μmとは、一般的なガイドロールの回転精度を考慮した測定誤差である。
ガイドロールAと保護フィルムとの接触状態を目視により確認した。
得られた感光性樹脂積層体を100mm×100mmの大きさに裁断、試験片を作成した。その試験片の、ガイドロールと接触した側から、ポラリオンライト(ポラリオン社製、NP-1)を用いて可視光線を照射し、その反射状態を目視により評価することにより、傷の有無の評価を行った。
<サンプル作製法>
樹脂、ITO及びスパッタ銅がこの順に積層された、サイズ:5cm×10cmの基板上へ、本発明に記載の感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥しながら、ホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III)を用いてラミネートした。その際、ロール温度は100℃、エアー圧力は0.4MPaとし、ラミネート速度は2.0m/分とした。そして30分静置後、支持フィルム側から平行光露光機((株)オーク製作所社製、HMW―801)によって各組成の最適露光量を全面露光した。最適露光量はストゥーファー21段ステップタブレット(光学密度0.00を1段目とし、1段毎に光学密度が0.15ずつ増加するステップタブレット)を用いて決定した。30分静置した後、支持体を剥がし、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて現像スプレー圧0.12MPaで、28~33℃の1質量%Na2CO3水溶液を45秒間スプレーして現像し、感光層の未露光部分を溶解除去した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.12MPaで、現像工程と同時間に亘って行い、水洗されたサンプルをエアーブローにより乾燥させた。その後、散乱光露光機にて感光層側から300mJ/cm2の露光量で露光し、続いて、熱風循環式オーブンにて150℃で30分間、大気下にて処理したことによって、打ち抜き加工性評価用のサンプルを作製した。
上記手法にて作製した、打ち抜き加工性評価用のサンプルの保護膜面に、マスキングテープ(日東電工(株)製、エレップマスキングN-380)を貼り合せた。次いで、保護膜とは反対面に、膜厚100μmのPETフィルムを積層し、トムソン打ち抜き機(オペックスジャパン合同会社製、ハンディトムソン‐DSC)を用いて30mm×40mmのトムソン刃によって、マスキングテープ面側から打ち抜いた。次いで、打ち抜いたサンプルの四隅における裁断部近傍を顕微鏡で50倍に拡大して観察し、以下のように判定した。
4:保護膜にクラックや浮き、又は剥離が確認されない。
3:浮き、又は剥離は確認されないが、微小なクラックが確認される。
2:微小な浮きや剥離が確認される。
1:大きいクラックや浮き、又は剥離が確認される。
打ち抜き加工性評価においては、四隅の判定結果を合計した値が、13以上ならばタッチパネル製造プロセスにおいて、実用上良好な結果であると考えられる。
<サンプル作製法>
感光層の厚みが40μmの感光性樹脂積層体を4枚用意し、そのうち2枚の保護フィルムを剥がし、感光層同士を合わせてホットロールラミネーター(大成ラミネーター(株)製、VA-400III)を用いてラミネートした。片面側の支持体を剥がして露出した感光層に、3枚目の感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がし、感光層同士を合わせて同様にラミネートした。さらに、片面側の支持体を剥がして露出した感光層に、4枚目の感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がし、感光層同士を合わせて同様にラミネートした。このようにして、感光層の厚みが160μmの感光性樹脂積層体を得た。ロール温度は100℃、エアー圧力は0.2MPaとし、ラミネート速度は0.5m/分とした。得られた積層体の両面の支持体を剥がして粘度測定のサンプルとした。作製したサンプルは23℃、RH50%に一日調湿した後、試験を行った。
上記方法で作製したサンプルを、動的粘弾性測定装置(レオメータ)(DHR-2、ティー・エイ・インスツルメント社製)により以下の条件で粘度測定を行い、得られた粘度曲線から、値が減少から増加に変わる点を極小値として読み取った。また、極小値が2つ以上ある場合はそれぞれの値を読み取った。
(測定条件)
サンプルサイズ:2.5cmφ、厚み160μm
測定温度条件:30~200℃
昇温速度:5℃/分
周波数:1Hz
荷重:0.2N
ひずみ:1.0%
2 空気の流入
3 空隙
4 フィッシュアイ
5 ガイドロール
6 トムソン刃
7 保護膜パターン
8 マスキングテープ
9 基板
10 PEフィルム
11 PETフィルム
12 凹部
13 凹部
15 現像除去部
16 金属配線
17 現像残渣
Claims (13)
- 支持体と、感光層(ただし、2.0以上の屈折率を有する無機酸化物粒子を含む感光層を除く)と、保護フィルムとがこの順に積層された感光性樹脂積層体であって、前記保護フィルムは、前記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ前記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が、20個を超えて50個未満となる縦10m×横0.1mの領域を含み、
前記保護フィルムは、面積2,000μm 2 以上かつ前記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの平均個数が、前記保護フィルムの前記感光層と接する面の1m 2 あたり20個を超えて50個未満である、感光性樹脂積層体。 - 前記保護フィルムは、酸化防止剤を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
- 前記保護フィルムは、前記感光層と接しない面において、算術平均高さSaが80nm以下である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂積層体。
- 前記感光層の膜厚が15μm未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
- 前記感光層の硬化前における粘度の最小値が1,000Pa・s以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
- 前記感光層が、以下の成分:
(A)アルカリ可溶性樹脂
(B)光重合性化合物、及び
(C)光重合性開始剤
を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。 - 前記(B)光重合性化合物は、分子量が430以下の化合物を少なくとも含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
- 金属膜、又は金属酸化物膜のいずれかを保護するために使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
- タッチパネル用保護膜、又はフォースセンサ用保護膜のいずれかに使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
- 前記保護フィルムは、前記感光層と接する面において、面積2,000μm2以上かつ前記保護フィルム表面からの最大高さが1μm以上のフィッシュアイの個数が、25個以上45個以下となる縦10m×横0.1mの領域を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体の前記保護フィルムを剥して、真空雰囲気下で基材上に前記感光層をラミネートし、露光し、そして現像することによりパターンを作製することを含む、パターン製造方法。
- 請求項11に記載のパターン製造方法により製造されたパターンを有するタッチパネル表示装置又はタッチセンサを有する、装置。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の感光性樹脂積層体が捲回された、捲回体。
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