JP7258672B2 - 魚釣用電動リールのモータ駆動制御装置及びそれを備えた魚釣用電動リール、モータ駆動制御方法、及びモータ駆動制御プログラム - Google Patents
魚釣用電動リールのモータ駆動制御装置及びそれを備えた魚釣用電動リール、モータ駆動制御方法、及びモータ駆動制御プログラム Download PDFInfo
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Description
また、釣糸の巻き上げと停止とを繰り返すことで魚を誘うシャクリ釣りにおいて、釣糸の巻き上げと停止とに応じたモータの駆動と停止のパターンを記憶し、記憶したパターンに従ってモータを駆動する釣用リールの自動シャクリ制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、スプールを回転駆動するモータは、回転子等の慣性により、停止時にオーバーランが発生する。このため、上記のように釣糸の巻き上げの急峻な停止を含むさそいのパターンをモータの駆動により行おうとしても、オーバーランの発生により釣糸の巻き上げが急停止することにはならず、要求されるさそいのパターンが得られにくい。
上記構成によれば、スプールを回転駆動するモータの回転を停止させるにあたり、モータの回路を短絡させることで、モータを負荷、あるいは発電機として機能させることになる。この結果、モータの回転を急峻に停止させて、釣糸の巻き上げも急停止させることが可能になる。
上記構成によれば、スプールについての所定の回転駆動パターンを示す駆動制御情報に基づいてスプールを回転駆動させることで、仕掛けにさそいとしての動きを自動で与える自動さそい動作が得られる。そのうえで、自動さそい動作のもとで要求される仕掛けの動きを得るために釣糸の巻き上げを急停止させることが求められる場合に対応して、モータの回転を急峻に停止させることが可能となる。
上記構成によれば、釣糸の巻き上げを急停止させることが求められる場合であっても、モータの実際の回転速度が低いことで、回路を短絡させなくともモータの回転を急峻に停止させることが可能な場合には、回路の短絡を伴うことなくモータの回転を停止させるようにできる。これにより、回路の短絡により急停止されることによりモータに負担を与える機会を減らし、モータの劣化を有効に抑制できる。
以下、図面を参照して、本実施形態のモータ駆動制御装置としての魚釣用電動リール1について説明する。
本実施形態において、スプールの駆動とは、モータを駆動して得られる動力によりスプールを回転させることをいう。
また、本実施形態において、スプールの駆動制御とは、スプールの駆動に関する制御をいう。このようなスプールの駆動制御には、スプールを回転させる制御、スプールの回転を停止させる制御、スプールの回転速度を変更する制御等が含まれる。
また、以降の説明において、スプールの「駆動」について、回転の動作を与えることを明確にすることなどを目的として「回転駆動」と記載する場合がある。
なお、以下の説明では、魚釣用電動リール1が両軸受リールである場合を例に挙げる。なお、図1、図2において、各構成部材を視認可能な大きさとするために必要に応じて各構成部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
図1及び図2は、魚釣用電動リール1の外観例を示している。図1及び図2に示される魚釣用電動リール1は、外部電源から供給された電力により駆動されるとともに、手巻きの両軸受リールとして使用するときの電源を内部に有している。
また、魚釣用電動リール1は、クラッチ機構5を備える。クラッチ機構5は、スプール3とハンドル20とを連結する連結クラッチオン状態と、スプール3とハンドル20とを遮断する遮断(クラッチオフ)状態とで切り替え可能なようにされた機構部位である。クラッチオン状態とクラッチオフ状態との切り替えは、ユーザがクラッチ操作部材50を操作することによって可能とされている。
図1は魚釣用電動リール1を上斜め後方から見た斜視図であり、図2は魚釣用電動リール1を下斜め前方から見た斜視図である。
本体フレーム21は、例えば合成樹脂または金属製の一体形成された部材である。本体フレーム21は、左右方向L1でスプール3を挟んでハンドル20側となる右側板21Aと、右側板21Aと反対側に位置する左側板21Bと、右側板21Aと左側板21Bとを連結する複数の連結部材21Cと、を有している。
右側板21Aと左側板21Bは、互いに左右方向L1に間隔を隔てて配置されている。また、それぞれの側板21A、21Bには、スプール3やモータ4を支持する支持部、及びクラッチ機構5等の回転駆動機構が配置されている。
また、図示は省略するが、右側板21Aの前方下部には、外部からの給電ケーブルを接続するためのコネクタが設けられている。
表示操作パネル部23は、右側板21Aと左側板21Bとの間に配置されている。表示操作パネル部23は、操作部101と表示部102とを備える。
操作部101は、ユーザによるボタン操作が行われる部位である。同図の例では、操作部101において、ボタン操作が行われるボタン(操作子)として、第1ボタンBT-1、第2ボタンBT-2、第3ボタンBT-3の3つのボタンが配置されている。
なお、以降の説明にあたり、第1ボタンBT-1、第2ボタンBT-2、第3ボタンBT-3について特に区別しない場合には、ボタンBTと記載する。
ハンドル20からのトルクは、クラッチ機構5がクラッチオンされた状態においてスプール3に直接伝達される。
スプール3は、モータ4から図示しないスプール駆動機構を介して回転駆動され、クラッチ操作部材50によって駆動されるクラッチ機構5が連動している。スプール回転軸は、右側カバー22A及び左側カバー22Bに軸受を介して回転自在に各別に支持されている。
クラッチ操作部材50は、リール本体2の後部において、右側板21Aと左側板21Bとの間でリール本体2の後部に釣り竿装着部24に対して接近及び離反する方向に移動可能に設けられている。クラッチ操作部材50は、本実施形態において、スプール回転軸回りに揺動可能に設けられる。
ドラグ27は、ハンドル20のハンドルアーム25と右側カバー22Aとの間においてハンドル軸に同軸に設けられている。スプール駆動機構は、図示しないローラクラッチの形態の逆転防止部によって糸巻取方向の回転が禁止された上記のモータ4と、モータ4の回転を減速してスプール3に伝達したり、ハンドル20の回転を増速してスプール3に伝達する回転伝達機構と、を備えている。
本実施形態の魚釣用電動リール1は、ユーザの操作により予め設定されたスプール3の駆動パターンを示す駆動制御情報に基づいてスプール3の駆動制御を行って釣糸を巻き上げることで、自動さそい動作を行うことができる。
そのうえで、本実施形態の魚釣用電動リール1は、第1自動さそい動作と第2自動さそい動作との2つの自動さそい動作が可能とされている。第1自動さそい動作と第2自動さそい動作とでは、駆動制御情報における駆動制御パラメータの構成が異なる。
回転速度は、スプール3が回転する速度である。スプール3が回転する速度は、スプールの回転状態の1つである。駆動時間は、回転速度によるスプール3の回転駆動を継続させる時間である。停止時間は、駆動時間が終了してからスプール3の回転を停止させた状態で次の駆動時間が開始されるまでの時間である。
第1自動さそい動作においては、第1駆動制御情報が示すスプール回転速度、駆動時間、停止時間に従ったスプール駆動制御が周期的に繰り返される。
ユーザは、第2自動さそい動作に対応するスプール3の駆動パターンを魚釣用電動リール1に設定する場合、まず操作部101に対して所定の操作(第2自動さそい動作対応の学習指示操作)を行って、第2自動さそい動作対応の学習モードを設定する。
学習モードが設定中の状態において、ユーザは、自分が意図する自動さそい動作でのスプール3の挙動を再現するように、ハンドル20やスプール駆動レバー28を用いたさそい操作(さそい操作)を行う。ユーザは、さそい操作として、自分が意図しているさそいのパターンにより、スプール3を回転させたり、スプール3の回転を停止させたり、スプール3の回転速度を変化させたりする。
第2自動さそい動作対応の学習モードは、例えば学習モードの開始から所定時間が経過するか、所定時間が経過する前に操作部101に対して学習モードの終了を指示する操作(学習モード終了操作)が行われたことに応じて終了される。
その一方で、第2自動さそい動作では、以下のような事象が生じる可能性がある。例えば学習モードにおいて、ユーザは、或るタイミングでスプールの回転速度に急峻な変化を与えるようにしてさそい操作を行った。しかしながら、第2自動さそい動作における学習では、あくまでも単位時間おけるスプール回転数として検出される。この場合、単位時間における急峻な回転速度の変化は、スプール回転数として平滑化されてしまう。
このため、第2自動さそい動作のもとでは、学習モードにおいてユーザがスプール3の回転速度について急峻な変化を与えることを意図して操作を行ったとしても、さそい動作を実行させた際には、さほど急峻な変化を生じないという結果が生じ得る。この場合、実際に生じるスプール3の挙動(即ち、さそいの動き)がユーザの意図と異なっていることになる。そこで、次に説明する第1自動さそい動作では、ユーザの意図に適うようにしてスプール3の回転について急峻な変化を与えることが可能なようにされる。
第1自動さそい動作のもとでは、ユーザは、操作部101に対する操作によって、第2駆動制御情報における駆動制御パラメータの設定操作を行うことができる。前述のように、第2駆動制御情報に含まれる駆動制御パラメータは、回転速度、駆動時間、及び停止時間の3つである。
ユーザは、第1自動さそい動作の実行が可能なモード(第1自動さそい動作実行モード)のもとでスプール3の回転を停止させている状態において、操作部101に対してパラメータ変更モードへの遷移を指示する所定操作(パラメータ変更モード遷移操作)を行うことができる。
パラメータ変更モードに移行したことに応じて、魚釣用電動リール1は、表示部102にパラメータ変更画面を表示する。
水深表示エリアAR2は、現在において仕掛けが位置している水深を表示するエリアである。
パラメータ表示エリアAR22においては、回転速度表示エリアAR22-1、駆動時間表示エリアAR22-2、停止時間表示エリアAR22-3が含まれる。
回転速度表示エリアAR22-1は、回転速度のパラメータ値が表示されるエリアである。駆動時間表示エリアAR22-2は、駆動時間のパラメータ値が表示されるエリアである。停止時間表示エリアAR22-3は、停止時間のパラメータ値が表示されるエリアである。
具体的に同図の場合、ボタン機能指示アイコンicn-1は、第1ボタンBT-1について、パラメータ値増加の機能が割り当てられていることを示す。ボタン機能指示アイコンicn-2は、第2ボタンBT-2に対してパラメータ値減少の機能が割り当てられていることを示す。ボタン機能指示アイコンicn-3は、第3ボタンBT-3に対して確定(エンター)の機能が割り当てられていることを示す。
つまり、同図の例では、第1自動さそい動作に対応するパラメータ変更モードに移行した際には、まず、駆動制御パラメータ(回転速度、駆動時間、停止時間)のうち、回転速度のパラメータ値が変更可能な状態となる態様例が示されている。
なお、ユーザが第1ボタンBT-1を長押ししたことに応じて、第1ボタンBT-1の押圧が解除されるまで、回転速度のパラメータ値が連続的にインクリメントされてよい。また、ユーザが第2ボタンBT-2を長押ししたことに応じて、第2ボタンBT-2の押圧が解除されるまで、回転速度のパラメータ値が連続的にデクリメントされてよい。
また、上記のように第1ボタンBT-1または第2ボタンBT-2に対する操作が行われて回転速度のパラメータ値が変更されることに応じて、回転速度表示エリアAR22-1においては、変更(指定)されたパラメータ値が反映されるように表示が変更される。
ユーザは、図5(B)に示されるパラメータ変更画面が表示された状態のもとで、図5(A)の場合と同様に、第1ボタンBT-1または第2ボタンBT-2に対する操作を行って、駆動時間のパラメータ値を自分が意図するとおりに変更することができる。ユーザは、駆動時間のパラメータ値が意図したとおりの値であることを確認すると、第3ボタンBT-3を操作して、駆動時間のパラメータ値を確定させる。魚釣用電動リール1は、この場合の第3ボタンBT-3の操作に応じて、第1自動さそい動作に対応する駆動制御パラメータにおける駆動時間のパラメータ値を更新する。
また、第3ボタンBT-3が操作されたことに応じて、パラメータ変更画面は、図5(C)に示される状態に遷移する。
ユーザは、図5(C)に示されるパラメータ変更画面が表示された状態のもとで、第1ボタンBT-1または第2ボタンBT-2に対する操作を行って、停止時間のパラメータ値を変更して、自分が意図する停止時間を入力することができる。そして、ユーザは、第3ボタンBT-3を操作して、停止時間のパラメータ値を確定させるようにする。魚釣用電動リール1は、この場合の第3ボタンBT-3の操作に応じて、第1自動さそい動作に対応する駆動制御パラメータにおける停止時間のパラメータ値を更新する。
そして、この場合には、第3ボタンBT-3が操作されたことに応じて、パラメータ変更モードが終了され、第1自動さそい動作実行モードに戻される。第1自動さそい動作実行モードに移行したことに応じて、表示部102の表示は、これまでのパラメータ変更画面の表示から、第1自動さそい動作実行モードに対応する表示に遷移する。
本実施形態において、ユーザは、第1自動さそい動作における駆動制御パラメータが、回転速度、駆動時間、停止時間であることを把握している。つまり、ユーザは、駆動制御パラメータとして設定された回転速度によりスプール3が回転と停止とを繰り返すことを理解しているものであり、この理解に基づいて、自分の意図するさそい動作が得られるように駆動制御パラメータを設定する。
このため、第1自動さそい動作が実行されているときには、駆動時間の開始タイミングにて、スプール3が、ユーザの意図に適った回転速度で回転を開始する。このような第1自動さそい動作では、ユーザの意図に適うようにしてスプール3の回転速度が変化する。つまり、第1自動さそい動作では、ユーザの意図に適ったスプール3の挙動とすることができる。
また、第1自動さそい動作に対応する駆動制御パラメータ(回転速度、駆動時間、停止時間)については、それぞれ、図5により説明したように、操作部101に対する操作によって簡易に変更することが可能である。
そのうえで、本実施形態の魚釣用電動リール1は、第1自動さそい動作にも対応して学習モードを設定可能とされている。
例えば工場出荷時に対応して設定されている駆動制御パラメータのデフォルトのパラメータ値が、ユーザが意図する第1自動さそい動作でのスプール3の駆動パターンと大きく相違しているような場合がある。このような場合、図5にて例示したように具体的な数値を確認しながら行う操作では、かえってユーザが意図するスプール3の駆動パターンとなるようにパラメータ値を設定するのに時間がかかることがある。
このような場合には、例えばユーザは、まず、第1自動さそい動作に対応する学習モードを設定してさそい動作を行うことで、魚釣用電動リール1に駆動制御パラメータ(回転速度、駆動時間、停止時間)を設定する。これにより、ユーザは、第1自動さそい動作に対応する駆動制御パラメータについて、まずは自分の意図にある程度近いパラメータ値を設定することができる。その後、ユーザは、図5に例示した操作部101に対する操作によって、具体的な数値を確認しながら、各駆動制御パラメータのパラメータ値を、自分の意図に合わせるように変更することができる。このような手順を踏むことで、ユーザは、自分の意図に沿ったスプール3の挙動となる駆動制御パラメータを手軽に素早く設定できる。
魚釣用電動リール1は、学習モードの設定中におけるさそい操作に応じたスプールの回転速度を一定時間ごとに検出し、検出された回転速度を記録する。
魚釣用電動リール1は、学習モードにおいて検出された一定時間ごとの回転速度に基づいて、駆動制御パラメータとしての回転速度、駆動時間、停止時間をそれぞれ算出する。
魚釣用電動リール1は、上記のように算出された1つの回転速度、駆動時間、停止時間により、第1自動さそい動作に対応する駆動制御パラメータのパラメータ値を更新する。
図6を参照して、魚釣用電動リール1の機能構成例について説明する。同図において、図1、図2と同一部分には、同一符号を付して適宜説明を省略する。
同図の魚釣用電動リール1は、操作部101、表示部102、制御部103、記憶部104、モータ駆動回路105、モータ4、スプール3、及びモータ回転センサ107を備える。
制御部103は、パラメータ設定部131、及び駆動制御部132を備える。
パラメータ設定部131は、操作部101に対して行われた操作に応じて、駆動制御パラメータ(回転速度、駆動時間、停止時間)を、第1駆動制御情報として設定する。
駆動制御部132は、駆動制御情報に基づいて、スプール3の駆動制御を実行する。ここで、スプール3はモータによって駆動されるので、駆動制御部132がスプール3を駆動制御することは、スプール3を駆動するモータ4を駆動制御することに相当する。
第1駆動制御情報記憶部141は、第1駆動制御情報を記憶する。第1駆動制御情報は、第1自動さそい動作においてスプール3を駆動制御するのに利用される情報である。第1駆動制御情報には、パラメータ変更モードまたは第1自動さそい動作対応の学習モードによって設定された駆動制御パラメータ(回転速度、駆動時間、停止時間)が含まれる。
第2駆動制御情報記憶部142は、第2駆動制御情報を記憶する。第2駆動制御情報は、第2自動さそい動作においてスプール3を駆動制御するのに利用される情報である。
前述のように、第2自動さそい動作では、単位時間における急峻な回転速度の変化がスプール回転数として平滑化されることから、ユーザが行ったさそい操作が再現されない場合がある。これに対して、第1自動さそい動作では、回転速度、駆動時間、停止時間の3つの駆動制御パラメータの設定に従ってモータ4が駆動されることから、ユーザの意図に適ったスプール3の挙動を得ることが可能である。
しかしながら、第1自動さそい動作のもとでのスプール3(モータ4)の回転の急停止に関して、例えば単に電流の印加を瞬間的に停止してモータ4の回転を停止させたとしても、スプール3やモータ4の慣性によりオーバーランが発生する。この場合、実際のスプール3の回転速度の変化は、パターンpt11のようにはならず、例えばパターンpt12のようになる。この場合、スプール3を駆動するモータ4の回転速度も、パターンpt12と同様の変化を示す。パターンpt12から理解されるように、スプール3(モータ4)の回転は、停止時間Tsの開始タイミングからある程度の時間幅において速度が低下し、或るタイミングで停止する状態となる。
第1自動さそい動作は、スプール3の回転速度の急峻な変化について第2自動さそい動作の場合のように平滑化されることなく、ユーザの意図に適ったスプール3の挙動が得られることが利点の1つである。このため、スプール3(モータ4)の回転の停止に関すれば、実際にスプール3(モータ4)の回転が停止されるタイミングは、停止時間Tsの開始タイミングからできるだけ遅延しないようにすることが求められる。
これまでに回転状態にあったモータ4の回路が短絡されることで、モータ4は、負荷あるいは発電機として機能する状態に変化する。この場合、モータ4は、単に電流の印加が停止された場合と異なり、慣性に抗して停止しようとする。この結果、スプール3(モータ4)は、例えば図4のパターンpt13として示すように、停止時間Tsの開始から回転が停止するのに要するオーバーランの時間が、パターンpt12よりも短縮される。これにより、本実施形態によっては、ユーザの意図により適ったスプール3の挙動を得ることができる。
なお、図4に示される釣糸の巻き上げ量に関すると、従来の制御に対応するパターンpt22と、本実施形態の制御に対応するパターンpt23とでは、パターンpt22のほうが理想のパターンpt21に近いものとなっている。
従来においては、モータ4の回転子の慣性や、モータ4がブラシレスモータである場合における位相検出シーケンスによって生じる起動時の「遅れ」等に起因して生じるオーバーランによって、釣糸の巻き上げ量が補われていた。これに対して、本実施形態においては、モータ4の回転が従来よりも急峻に停止可能となることで、釣糸の巻き上げ量を補うことが行われなくなったことにより巻き上げ量が減少する。このために、釣糸の巻き上げ量については、パターンpt23よりもパターンpt22のほうがパターンpt21に近い結果となる。
ただし、本実施形態における制御は、ユーザが自動さそい動作としてメリハリのある仕掛けの動きを求めることに応えようとするものであることから、巻き上げ量が理想に近づかないことについては問題にならない。本実施形態のもとで、釣糸の巻上量を理想に近づけたい場合には、モータ4の回転の急停止が可能となったことにより、モータ4の実効的な停止時間が延びた分に応じて駆動時間も延長させるように制御すればよい。
第2自動さそい動作では、前述のように、学習に際して検出した単位時間ごとのスプール3の回転数を再現するようにモータ4の駆動制御を行うことから、急峻なスプール3の回転速度の変化は平滑化される。このため、第2自動さそい動作のもとで、スプール3の回転を急峻に停止させたとしても、急停止されるタイミングがユーザの意図に適っているとは限らない。この点で、第2自動さそい動作のもとでスプール3の回転を急峻に停止させることの必要性は低いということがいえる。そこで、本実施形態のもとでは、モータ4の停止に際して回路を短絡させる制御は、第2自動さそい動作のもとでは実行しないようにされる。
図8は、上記のようにしてモータ4の回路を短絡させる構成の一例を示している。同図においては、モータ4がブラシ付きモータである場合の例を示している。以下の説明にあたっては、モータ4がブラシ付きモータである場合を例に挙げて説明する。
スイッチSW1は、端子tm11に対して端子tm12、tm13のいずれかが接続されるように切り替えが行われる。スイッチSW2は、端子tm21に対して端子tm22、tm23のいずれかが接続されるように切り替えが行われる。
スイッチSW1において、端子tm11はモータ4の正極と接続され、端子tm12はモータ駆動回路105の電流出力端子の正極と接続され、端子tm13はスイッチSW2の端子tm23と接続される。
スイッチSW2において、端子tm21はモータ4の負極と接続され、端子tm22はモータ駆動回路105の電流出力端子の負極と接続され、端子tm23はスイッチSW1の端子tm13と接続される。
つまり、スイッチSW1において端子tm11が端子tm12に接続されるとき、スイッチSW2においては端子tm21が端子tm22に接続されるように連動する。この状態では、モータ4の回路がモータ駆動回路105と接続された状態である。
一方、スイッチSW1において端子tm11が端子tm13に接続されるとき、スイッチSW2においては端子tm21が端子tm23に接続されるように連動する。この状態では、モータ4の回路において正極と負極とが短絡した状態となる。
つまり、本実施形態のモータ4の回路は、モータ駆動回路105が駆動可能なようにモータ駆動回路105と接続される状態と、短絡される状態とで切り替えが可能なようにされている。
図9のフローチャートを参照して、本実施形態の魚釣用電動リール1が、第1自動さそい動作に対応して実行する処理手順例について説明する。同図は、魚釣用電動リール1の駆動制御部132が、第1自動さそい動作に対応する第1駆動制御情報の駆動制御パラメータ(回転速度、駆動時間Td、停止時間Ts)に基づいて、単位駆動時間Tp(図4)を繰り替えし実行する場合の処理手順例を示している。
この際、駆動制御部132は、例えば回転速度を指定してモータ駆動回路105にモータ4への電流印加の開始を指示する。電流印加の開始の指示を受けたモータ駆動回路105は、モータ4とモータ駆動回路105とが接続される状態となるようにスイッチSW1、SW2を制御する。つまり、モータ駆動回路105は、スイッチSW1においては端子tm11に端子tm12が接続され、スイッチSW2においては端子tm21に端子tm22が接続されるように、切替信号Scを出力する。そのうえで、モータ駆動回路105は、指定された回転速度となるようにモータ4に電流を印加する。
ステップS103:駆動時間Tdが終了すると、駆動制御部132(回転速度検出部の一例)は、モータ回転センサ107の出力に基づいてモータ4の回転速度を検出する。駆動制御部132は、検出された回転速度が一定以上であるか否かについて判定する。
なお、スプール3とモータ4の回転速度には相関がある。そこで、スプール3の回転について検出するスプール回転センサを設け、駆動制御部132は、スプール回転センサの出力に基づいてモータ4の回転速度を検出するようにされてもよい。
この場合、例えば駆動制御部132は、モータ駆動回路105に対してモータ4の回路の短絡を指示する。モータ4の回路の短絡の指示を受けたモータ駆動回路105は、スイッチSW1においては端子tm11に端子tm13が接続されるように切り替え、スイッチSW2においては端子tm21に端子tm23が接続されるように切り替えるための切替信号Scを出力する。これにより、モータ4の回路が短絡され、モータ4のオーバーランを短くして、急峻に停止させることができる。
そこで、ステップS103にてモータ4の回転速度が一定未満であると判定された場合、駆動制御部132は、モータ4を回路の短絡によらずに駆動を停止させる制御を実行する。この場合、駆動制御部132は、回路の短絡によらないモータ4の回転の停止をモータ駆動回路105に指示する。指示を受けたモータ駆動回路105は、スイッチSW1、SW2については、モータ駆動回路105とモータ4とが接続され状態のままとしたうえで、モータ4への電流の印加を停止する。
しかしながら、回路の短絡によっては慣性に対抗して強制的にモータ4を停止させる力が加わることから、モータ4の構造や回路に負担がかかりやすい。このため、例えば回路の短絡による停止が常に行われるようにされると、モータ4の劣化を促進させる可能性がある。
そこで、本実施形態においては、モータ4の回転速度が一定未満であって、回路の短絡によらなくとも許容される時間内でモータ4の回転を停止できる場合には、ステップS105により、回路の短絡によらず、例えば単に電流印加を停止することによるモータ4の駆動の停止を行うようにされている。このようにして、ステップS103~S105の処理によっては、駆動時間Tdの終了に伴うスプール3の回転停止に際して、モータ4の回転速度の状態に応じて、モータ4の回路を短絡させるか否かを決定するようにしている。これにより、本実施形態では、モータ4が急停止される状態が得られるようにしたうえで、モータ4にかかる負担の軽減も図られるようにしている。
終了トリガは、例えば第1自動さそい動作を停止させる操作に応じて発生させる。
第1自動さそい動作としてのスプール3の回転駆動させるにあたり、ユーザは、例えば表示操作パネル部23(図3)の第2ボタンBT-2([CHANGE]ボタン)に対する所定操作により第1自動さそい動作モードを設定する。そのうえで、ユーは、第1ボタンBT-1([PICK UP]ボタン)を1回押圧する操作を行う。第1ボタンBT-1が操作されたことに応じて、第1自動さそい動作に応じたスプール3の駆動(モータ4の駆動)が開始される。そして、ユーザは、第1自動さそい動作を停止させたい場合には、再度、第1ボタンBT-1を1回押圧する操作を行う。このように第1自動さそい動作の停止を指示する第1ボタンBT-1に対する操作が行われたことに応じて終了トリガが発生し、モータ4の回転の停止とともに同図の処理が終了される。
また、終了トリガは、例えば第1自動さそい動作の実行中において、クラッチ機構5をオフとする操作が行われた場合にも発生するようにされてよい。この場合、ユーザは、例えば第1自動さそい動作を停止させて仕掛けを落下させたい場合に、一旦第1自動さそい動作を停止させる第1ボタンBT-1に対する操作を行わなくとも、クラッチ機構5をオフとすることにより、ただちに仕掛けを落下させることができる。
また、終了トリガは、竿から仕掛けまでの長さ(水深)が一定以内になったと検出されたことに応じて発生されるようにしてよい。
以下、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態として図8に例示した回路は、モータ4がブラシ付きモータである場合に対応し、図9のフローチャートの説明にあっては、モータ4がブラシ付きモータである場合を例に挙げた。
本実施形態におけるモータ4は、ブラシレスモータであってもよい。ブラシレスモータは、ブラシ付きモータとの比較では慣性が小さいのであるが、例えば大径のものでは慣性が大きくなり、オーバーランの時間も長くなる。従って、モータ4がブラシレスモータであっても、回路の短絡により回転を停止させることが有効な場合がある。ブラシレスモータの回路を短絡させる態様としては、例えば、ブラシレスモータが備える複数のコイルごとに、コイルの両端の端子を短絡させるようにしてよい。あるいは、ブラシレスモータが備える複数のコイルごとの端子同士を短絡させるようにしてもよい。
そのうえで、上記のようなモータ4の回転を停止させる操作が行われたタイミングでのモータ4の回転速度が一定以上の場合には、回路の短絡によりモータ4を停止させるように制御してよい。
また、この場合の魚釣用電動リール1は、スプール駆動レバー28とともにスプール3の回転速度を変更するスイッチや感圧センサが設けられる構成であってもよいし、スイッチや感圧センサを備えたうえでスプール駆動レバー28が省略された構成であってもよい。
この場合、駆動制御部132は、スプール3の回転を停止させるごとにモータ4の回路を短絡させる制御を行ってもよい。あるいは、駆動制御部132は、モータ4の回転速度が一定以上の場合にモータ4の回路を短絡させ、モータ4の回転速度が一定未満の場合には回路の短絡によらずにモータ4を停止させるように制御してよい。
例えば、第1駆動制御情報のパラメータにおける回転状態再現パラメータは、スプール3の回転速度に代えて、スプール3の回転加速度であってもよい。
この場合の継続時間パラメータは、継続時間として、回転状態再現パラメータが示す回転加速度でスプールを継続して回転駆動させる継続時間を示すものであってよい。また、この場合の停止時間パラメータは、停止時間として、1つの継続時間が終了して次の継続時間が開始されるまでの間においてスプールの回転が停止されるべき時間を示すものであってよい。
このような第1駆動制御情報のパラメータによっては、駆動時間において回転状態再現パラメータが示すのと同じ一定の回転加速度で回転速度が変化していくようにスプール3が駆動され、続く停止時間においてスプール3の回転が停止される、というスプール3の挙動が再現される。なお、加速度に対応する上記の継続時間(加速度継続時間)とともに、加速終了後に定速を維持させる速度維持時間をさらに設定できるようにしてもよい。
この場合の継続時間パラメータは、継続時間として、回転状態再現パラメータが示す電流量でモータ4に電流を継続して印加させる継続時間を示すものであってよい。また、この場合の停止時間パラメータは、停止時間として、1つの継続時間が終了して次の継続時間が開始されるまでの間においてモータ4への電流の印加が停止されるべき時間を示すものであってよい。
このような第1駆動制御情報のパラメータによっては、継続時間において回転状態再現パラメータが示す電流量による電流の印加によりモータ4が駆動される。この際、スプール3は、回転状態再現パラメータが示す電流量に従ったモータ4の回転トルクに応じて定まる回転トルクで駆動される。そして、継続時間に続く停止時間において電流の印加が停止することによりスプール3の回転が停止される、というスプール3の挙動が再現される。
そのうえで、本実施形態の自動さそい動作に対応する駆動制御情報は、外部の端末装置に記憶されるようにしてもよい。この場合、第1自動さそい動作に対応するパラメータ変更モードに関連する操作や、第1自動さそい動作及び第2自動さそい動作に対応の学習モードの設定、終了に関する操作が、外部の端末装置に対して可能なようにされてよい。
このように自動さそい動作に対応する駆動制御情報を外部の端末装置が記憶する場合、自動さそい動作を実行させるためには、外部の端末装置の制御によって魚釣用電動リール1に駆動制御情報が設定される。魚釣用電動リール1は、設定された駆動制御情報に基づいてスプール3を駆動制御することで、自動さそい動作を行う。
Claims (5)
- スプールを回転駆動するモータの回転を停止させる際に、前記モータの回路を短絡させる駆動制御部と、
前記モータの回転速度を検出する回転速度検出部とを備え、
前記駆動制御部は、前記回転速度検出部により検出された回転速度に基づいて、前記モータの回転を停止させる際に前記モータの回路を短絡させるか否かを決定する
魚釣用電動リールのモータ駆動制御装置。 - 前記駆動制御部は、前記スプールについての所定の回転駆動パターンを示す駆動制御情報に基づいてスプールを回転駆動させる場合において前記モータの回転を停止させる際に、前記モータの回路を短絡させる
請求項1に記載のモータ駆動制御装置。 - スプールと、
前記スプールを回転駆動するモータと、
前記モータの回転を停止させるにあたり、前記モータの回路を短絡させる駆動制御部と、
前記モータの回転速度を検出する回転速度検出部とを備え、
前記駆動制御部は、前記回転速度検出部により検出された回転速度に基づいて、前記モータの回転を停止させる際に前記モータの回路を短絡させるか否かを決定する
魚釣用電動リール。 - スプールを回転駆動するモータの回転を停止させる際に、前記モータの回路を短絡させる駆動制御ステップと、
前記モータの回転速度を検出する回転速度検出ステップとを備え、
前記駆動制御ステップは、前記回転速度検出ステップにより検出された回転速度に基づいて、前記モータの回転を停止させる際に前記モータの回路を短絡させるか否かを決定する
魚釣用電動リールのモータ駆動制御方法。 - 魚釣用電動リールのモータ駆動制御装置としてのコンピュータを、
スプールを回転駆動するモータの回転を停止させる際に、前記モータの回路を短絡させる駆動制御部、
前記モータの回転速度を検出する回転速度検出部
として機能させるためのプログラムであって、
前記駆動制御部は、前記回転速度検出部により検出された回転速度に基づいて、前記モータの回転を停止させる際に前記モータの回路を短絡させるか否かを決定する
モータ駆動制御プログラム。
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