以下に、一つの実施形態について、図1乃至図9を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、一つの実施形態のシート装置10を概略的に示す側面図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、シート12とを有する。シート12は、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに対して回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の左右方向に沿う。Y軸は、車両1の前後方向に沿う。Z軸は、車両1の上下方向に沿う。
図2は、実施形態のスライドレール装置11を概略的に示す斜視図である。図3は、実施形態のスライドレール装置11を概略的に示す平面図である。図4は、実施形態のスライドレール装置11を概略的に示す側面図である。
スライドレール装置11は、二つのロアレール21と、二つのアッパレール22と、二つのロック機構23と、二つの前方解除機構24と、二つの後方解除機構25とを有する。ロック機構23は、ロック装置の一例である。
以下の記載では、一方のロアレール21、アッパレール22、ロック機構23、前方解除機構24、及び後方解除機構25について代表して説明する。なお、他方のロアレール21、アッパレール22、ロック機構23、前方解除機構24、及び後方解除機構25は、以下の説明に対し左右方向において対称となる形状を有する。
ロアレール21は、Y軸方向(車両1の前後方向)に延びるように、図1の車両1のフロア1aに取り付けられる。すなわち、本実施形態において、ロアレール21の長手方向は、車両1の前後方向に等しい。
二つのロアレール21は、X軸方向(車両1の左右方向)に互いに離間して配置される。本実施形態において、ロアレール21の幅方向は、車両1の左右方向に等しい。
アッパレール22は、Y軸方向に延びるとともに、Y軸方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。二つのアッパレール22は、図1のシート12を支持する。
図5は、実施形態のスライドレール装置11を概略的に示す断面図である。図5に示すように、ロアレール21は、曲げ加工された一つの板金により作られ、略C字状の断面を有する。なお、ロアレール21はこの例に限られない。ロアレール21は、底壁21aと、二つの外側壁21bと、二つの連結壁21cと、二つの内側壁21dとを有する。
底壁21aは、X‐Y平面上に広がる板状の部分であり、Y軸方向に延びる。二つの外側壁21bは、X軸方向における底壁21aの両端から、Z軸の正方向(Z軸の矢印が示す方向、車両1の上方向)に延びる。二つの内側壁21dは、二つの外側壁21bの間に位置し、Z軸方向に延びる。X軸方向において、二つの内側壁21dは、互いに離間するとともに、二つの外側壁21bからも離間する。連結壁21cは、外側壁21bの上端と、内側壁21dの上端とを連結する。内側壁21dの下端は、底壁21aから離間する。
図2に示すように、一方の外側壁21bに、複数のロック孔21eが設けられる。各図面のロアレール21において、ロック孔21eが設けられた一方の外側壁21bは、他方の外側壁21bに対してX軸の正方向(X軸の矢印が示す方向、車両1の左方向)に位置する。複数のロック孔21eは、Y軸方向に略等間隔に設けられる。
図5に示すように、アッパレール22は、曲げ加工された一つの板金により作られる。なお、アッパレール22はこの例に限られない。アッパレール22は、上壁22aと、二つの挿通壁22bと、二つの曲壁22cとを有する。
上壁22aは、X‐Y平面上に広がる板状の部分であり、Y軸方向に延びる。上壁22aは、ロアレール21の外に位置する。図5の断面において、二つの挿通壁22bは、X軸方向における上壁22aの両端から、Z軸の負方向(Z軸の矢印の反対方向、車両1の下方向)に延びる。
二つの挿通壁22bは、ロアレール21の二つの内側壁21dの間の隙間を通される。曲壁22cは、挿通壁22bの下端から大よそ、ロアレール21の連結壁21cに向かって延びるよう曲げられる。曲壁22cは、ロアレール21の内部において、例えば、外側壁21bと内側壁21dとの間に配置される。
一方の曲壁22cに、複数のロック溝22dが設けられる。ロック溝22dが設けられた一方の曲壁22cは、他方の曲壁22cに対して左方向に位置する。ロック溝22dは、曲壁22cの上端に開き、下方向に延びる切欠きである。複数のロック溝22dは、Y軸方向に略等間隔に設けられる。複数のロック溝22dの間隔は、ロアレール21のロック孔21eの間隔と略等しい。
図3に示すように、上壁22aに、前方ボルト31と、後方ボルト32とが設けられる。前方ボルト31及び後方ボルト32は、上壁22aから上方向に突出する。前方ボルト31は、上壁22aの前方向の端部に設けられる。本実施形態において、端部は、部材や部分の端のみならず、当該端の近傍の部分を含む。後方ボルト32は、上壁22aの後方向の端部に設けられる。このため、後方ボルト32は、前方ボルト31に対して後方向に離間する。
上壁22aの上に、図1のシートクッション12aが配置される。前方ボルト31及び後方ボルト32は、例えば、シートクッション12aのフレームに固定される。シートクッション12aのフレームは、シートクッション12aを上下方向に移動させるとともに、シートクッション12aを傾斜させることが可能な、シートリフタの一部であっても良い。
さらに、上壁22aの後方向の端部に、アンカーブラケット35が設けられる。アンカーブラケット35は、例えば、後方ボルト32に取り付けられ、又は後方ボルト32の近傍で上壁22aに取り付けられる。このため、アンカーブラケット35は、上壁22aの上に配置される。
アンカーブラケット35に、ベルトアンカー36が取り付けられる。ベルトアンカー36は、連結ボルト37によって、X軸方向に延びる回転中心まわりに回動可能にアンカーブラケット35に取り付けられる。
ロック機構23は、ロックレバーブラケット41と、オープンロッド42と、ロックレバー43と、第1のバネ44とを有する。オープンロッド42は、回転部の一例である。ロックレバー43は、ロック部の一例である。
図2に示すように、ロックレバーブラケット41は、取付壁41aと、覆壁41bと、二つの支持壁41cとを有する。取付壁41aは、前方ボルト31と後方ボルト32との間において、例えばボルトによって上壁22aに取り付けられる。図5に示すように、覆壁41bは、左方向における取付壁41aの一方の端から下方向に延び、左方向の外側壁21bの一部を覆う。図2に示すように、二つの支持壁41cは、Y軸方向における取付壁41aの両端から略上方向に突出する。二つの支持壁41cにそれぞれ、支持孔41dが設けられる。
図5に示すように、覆壁41bに、複数の挿通孔41eが設けられる。挿通孔41eは、Y軸方向に略等間隔に設けられる。複数の挿通孔41eの間隔は、ロック孔21eの間隔と略等しく、且つロック溝22dの間隔と略等しい。このため、複数の挿通孔41eと、ロック孔21eと、ロック溝22dとは、向かい合い、連通することができる。
図3に示すように、オープンロッド42は、軸部42aと、前方曲げ部42bと、後方曲げ部42cとを有する。軸部42aは、Y軸方向に略直線状に延び、支持孔41dに通される。ロックレバーブラケット41の支持壁41cは、軸部42aを、第1の回転中心Ax1まわりに回転可能に支持する。支持壁41cは、X軸方向において、アッパレール22から左方向に離間した位置で、軸部42aを支持する。
第1の回転中心Ax1は、軸部42aの中心軸であり、軸部42aの一方の端と他方の端との間で仮想的に延びる。第1の回転中心Ax1は、Y軸方向に沿って延びる。Y軸方向は、車両1の前後方向であり、アッパレール22の長手方向である。本実施形態では、第1の回転中心Ax1は、Y軸方向に延びる。
Y軸方向に沿う第1の回転中心Ax1は、Y軸方向と異なる方向に延びても良い。例えば、第1の回転中心Ax1が延びる方向は、Y軸方向に対して若干傾いても良い。この場合、Y軸方向における第1の回転中心Ax1の長さは、X軸方向における第1の回転中心Ax1の長さよりも長く、且つZ軸方向における第1の回転中心Ax1の長さよりも長い。すなわち、第1の回転中心Ax1のX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各方向における成分のうち、アッパレール22の長手方向であるY軸方向における成分が、他の方向の成分よりも長い。
前方曲げ部42bは、前方向における軸部42aの端から、第1の回転中心Ax1と略直交する方向に延びる。後方曲げ部42cは、後方向における軸部42aの端から、第1の回転中心Ax1と略直交する方向に延びる。前方曲げ部42bと後方曲げ部42cとは、略左方向に延びる。
図5に示すように、ロックレバー43は、上壁43aと、下壁43bと、中壁43cとを有する。上壁43aは、ロックレバーブラケット41の取付壁41aの上に位置する。下壁43bは、複数の爪43dを有する。中壁43cは、上壁43aと下壁43bとを接続する。
爪43dは、ロックレバーブラケット41の挿通孔41eに向かって延びる。複数の爪43dは、Y軸方向に略等間隔に設けられる。複数の爪43dの間隔は、複数の挿通孔41e、ロック孔21e、及びロック溝22dのそれぞれの間隔と略等しい。
上壁43aは、ロックレバーブラケット41の二つの支持壁41cの間に位置する。上壁43aは、オープンロッド42の軸部42aに取り付けられる。例えば、上壁43aは、軸部42aの上を横切る部分と、軸部42aの下を横切る部分とを有し、これらの部分で軸部42aを弾性的に挟み込む。
図4に示すように、中壁43cの一部は、後方向の支持壁41cよりも後方向に突出する。中壁43cの当該一部に、係止溝43eが設けられる。係止溝43eは、後方向における中壁43cの端から、Y軸方向に延びる切欠きである。係止溝43eに、オープンロッド42の後方曲げ部42cが嵌められる。これにより、オープンロッド42とロックレバー43とが、回転(トルク)を互いに伝達可能となる。
図5に示すように、ロックレバー43は、ロック位置P1と、二点鎖線で示されるアンロック位置P2とに移動可能である。本実施形態において、ロックレバー43は、ロック位置P1とアンロック位置P2との間で、第1の回転中心Ax1まわりに回動する。なお、ロックレバー43は、ロック位置P1とアンロック位置P2との間で、例えば平行移動しても良い。
ロック位置P1において、ロックレバー43の爪43dが、挿通孔41e、ロック孔21e、及びロック溝22dに嵌められる。これにより、ロック位置P1のロックレバー43は、ロアレール21とアッパレール22との相対的な移動を制限(ロック)する。
一方、アンロック位置P2において、ロックレバー43の爪43dが、挿通孔41e、ロック孔21e、及びロック溝22dの外に位置する。このため、アンロック位置P2のロックレバー43は、ロックを解除し、ロアレール21とアッパレール22との相対的な移動を許容する。
オープンロッド42の回動に伴い、トルクが後方曲げ部42cから中壁43cに伝達され、ロックレバー43も第1の回転中心Ax1まわりに回動する。このため、オープンロッド42は、第1の回転中心Ax1まわりに回転することで、ロックレバー43をロック位置P1からアンロック位置P2に移動させることができる。
図3に示すように、第1のバネ44は、例えば、トーションスプリングである。第1のバネ44のコイル状の部分は、二つの支持壁41cの間で、軸部42aの周りに巻かれている。第1のバネ44の一方の端部は、ロックレバーブラケット41に当接する。第1のバネ44の他方の端部は、ロックレバー43に当接し、ロックレバー43をロック位置P1に向かって付勢する。
前方解除機構24は、オープンレバーブラケット51と、オープンレバー52と、第2のバネ53と、上述のオープンロッド42とを有する。オープンレバー52は、第1の解除部材の一例である。
オープンレバーブラケット51は、取付壁51aと、二つの支持壁51bと、二つの保持壁51cとを有する。取付壁51aは、前方ボルト31とロックレバーブラケット41との間において、例えばボルトによって上壁22aに取り付けられる。二つの支持壁51bは、Y軸方向における取付壁51aの両端から略上方向に突出する。二つの支持壁51bにそれぞれ、支持孔51dが設けられる。
オープンロッド42の軸部42aは、支持孔51dに通される。オープンレバーブラケット51の支持壁51bは、軸部42aを、第1の回転中心Ax1まわりに回転可能に支持する。
二つの保持壁51cは、Y軸方向に互いに離間した位置で、取付壁51aから略下方向に突出する。保持壁51cは、アッパレール22及び支持壁51bから左方向に離間した位置に設けられる。二つの保持壁51cにそれぞれ、保持孔51eが設けられる。
オープンレバー52は、保持孔51eに通され、保持壁51cにより保持される。オープンレバー52は、ロックレバー43に対して前方向に位置する。例えば、オープンレバー52は、オープンレバーブラケット51から前方向に離間したハンドル52aを有する。ハンドル52aは、ロックレバー43に対しても前方向に離間する。ハンドル52aは、一方の前方解除機構24のオープンレバー52と、他方の前方解除機構24のオープンレバー52とが接続された部分であり、X軸方向に延びる。
オープンロッド42の前方曲げ部42bは、オープンレバーブラケット51よりも前方向において、オープンレバー52に接触する。前方曲げ部42bは、オープンレバー52の上に位置する。
図4に二点鎖線で示すように、例えばハンドル52aが引き上げられることにより、オープンレバー52は、X軸方向に延びる回転中心まわりに回動可能である。なお、オープンレバー52の回動に伴って、当該回転中心が移動しても良い。保持孔51eは、Z軸方向に延びる長穴であり、オープンレバー52の回動を許容する。
図6は、実施形態のロックレバー43がアンロック位置P2に位置するスライドレール装置11の一部を示す側面図である。図6に示すように、回動するオープンレバー52は、前方曲げ部42bを上方向に押し上げ、オープンロッド42を第1の回転中心Ax1まわりに回転させる。
オープンロッド42の回動に伴い、ロックレバー43も第1の回転中心Ax1まわりにロック位置P1からアンロック位置P2に回動する。このように、オープンレバー52は、ロックレバー43がアンロック位置P2に移動するようにオープンロッド42を回動させることができる。このように、前方解除機構24は、シート12の前方から操作可能なハンドル52aを操作することで、ロック機構23によるロックを解除することができる。
第2のバネ53は、例えば、トーションスプリングである。第2のバネ53のコイル状の部分は、二つの支持壁51bの間で、軸部42aの周りに巻かれている。第2のバネ53の一方の端部は、オープンレバーブラケット51に当接する。第2のバネ53の他方の端部は、オープンレバー52に当接し、オープンレバー52を前方曲げ部42cに向かって付勢する。
第2のバネ53に付勢されたオープンレバー52が前方曲げ部42cを押す力は、ロックレバー43を介して第1のバネ44に付勢されたオープンロッド42の前方曲げ部42cがオープンレバー52を押す力よりも弱い。このため、第2のバネ53は、オープンレバー52の振動を抑制するとともに、オープンロッド42が不意に回転させられることも抑制する。
図7は、実施形態の後方解除機構25を概略的に示す斜視図である。図8は、実施形態の後方解除機構25を概略的に示す平面図である。図9は、実施形態の後方解除機構25を概略的に示す背面図である。
図7に示すように、後方解除機構25は、オープンシャフトブラケット61と、オープンシャフト62と、ケーブル63と、第3のバネ64とを有する。オープンシャフトブラケット61は、支持部材の一例である。オープンシャフト62は、第2の解除部材の一例である。
オープンシャフトブラケット61は、取付壁71と、第1の支持壁72と、第2の支持壁73と、保持壁74とを有する。第2の支持壁73は、支持壁の一例である。
取付壁71は、Y軸方向において、ロックレバーブラケット41と、アッパレール22の後方向の端との間に位置する。取付壁71は、前方取付部71aと、後方取付部71bと、凸部71cと、延出部71dとを有する。
前方取付部71aは、例えばボルトによって上壁22aに取り付けられる。後方取付部71bは、前方取付部71aから後方向に離間し、例えば後方ボルト32によって上壁22aに取り付けられる。このように、オープンシャフトブラケット61は、アッパレール22に取り付けられる。
前方取付部71a及び後方取付部71bにより、後方解除機構25は、ロック機構23に対して後方向の位置で、アッパレール22に取り付けられる。このため、オープンシャフトブラケット61、オープンシャフト62、ケーブル63、及び第3のバネ64は、例えば、ロックレバー43に対して後方向に位置する。なお、後方解除機構25は、ロックレバー43に対して後方向に位置する部分を有すれば、ロックレバー43に対して前方向に位置する部分を有しても良い。
凸部71cは、前方取付部71aと後方取付部71bとの間に位置し、上方向に突出するように曲げられた取付壁71の一部である。凸部71cは、例えば、上壁22aから突出する部品を避けるように曲げられる。
延出部71dは、前方取付部71aから略左方向に突出する。延出部71dに、溝75が設けられる。溝75は、第1の部分75aと、複数の第2の部分75bとを有する。第1の部分75aは、Y軸方向に延びる。複数の第2の部分75bは、第1の部分75aから略左方向に延びる。複数の第2の部分75bは、Y軸方向に間隔を介して並べられる。
第1の支持壁72は、前方向における延出部71dの端から、略上方向に突出する。図8に示すように、第1の支持壁72に、第1の支持孔72aが設けられる。第2の支持壁73は、後方向における延出部71dの端から、略上方向に突出する。このため、第2の支持壁73は、第1の支持壁72から後方向に離間する。第2の支持壁73と凸部71cの一部とは、互いに連続する。第2の支持壁73に、第2の支持孔73aが設けられる。
保持壁74は、第2の支持孔73aから略左方向に離間した位置で、第2の支持壁73から後方向に突出する。保持壁74に、保持溝74aが設けられる。保持溝74aは、保持部の一例である。保持溝74aは、上方向における保持壁74の端部から略下方向に延びる切欠きである。保持壁74及び保持溝74aは、第2の支持壁73に対してY軸方向(車両1の前後方向)にずれた位置に設けられる。
オープンシャフト62は、シャフト部材81と、解除レバー82と、入力レバー83とを有する。解除レバー82は、解除部とも称され得る。入力レバー83は、入力部の一例である。
シャフト部材81は、軸81aと、フランジ81bとを有する。フランジ81bは、突出部の一例である。軸81aとフランジ81bとは、一体に形成される。なお、軸81aとフランジ81bとは、異なる部材であっても良い。
軸81aは、Y軸方向に略直線状に延び、第1の支持孔72a及び第2の支持孔73aに通される。これにより、第1の支持壁72と第2の支持壁73とは、オープンシャフト62を、第2の回転中心Ax2まわりに回転可能に支持する。
第2の回転中心Ax2は、軸81aの中心軸であり、軸81aの一方の端と他方の端との間で仮想的に延びる。第2の回転中心Ax2は、Y軸方向に沿って延びる。本実施形態では、第2の回転中心Ax2は、Y軸方向に延びる。
Y軸方向に沿う第2の回転中心Ax2は、Y軸方向と異なる方向に延びても良い。例えば、第2の回転中心Ax2が延びる方向は、Y軸方向に対して若干傾いても良い。第2の回転中心Ax2のX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各方向における成分のうち、アッパレール22の長手方向であるY軸方向における成分が、他の方向の成分よりも長い。
図5に示すように、本実施形態では、第2の回転中心Ax2と第1の回転中心Ax1とは、互いの延長線上に位置する同一軸である。このため、第2の回転中心Ax2と第1の回転中心Ax1とは平行である。なお、第2の回転中心Ax2及び第1の回転中心Ax1は、平行且つ異なる位置に配置されても良いし、異なる方向に延びても良い。
図3に示すように、第1の回転中心Ax1及び第2の回転中心Ax2は、X軸方向において、アッパレール22から左方向に離間する。第2の回転中心Ax2は、アンカーブラケット35からも、X軸方向において左方向に離間する。
図8に示すように、フランジ81bは、第2の支持壁73に対して後方向に位置する。フランジ81bは、軸81aから、第2の回転中心Ax2と略直交する方向(以下、第2の回転中心Ax2の径方向と称する)に突出する。第2の回転中心Ax2の径方向は、第2の回転中心と交差する方向の一例である。フランジ81bは、略円盤状に形成される。フランジ81bは、シャフト部材81が第2の支持壁73に対して前方向に移動することを制限する。
解除レバー82は、第1の支持壁72に対して前方向に位置し、前方向におけるシャフト部材81の端部に接続される。解除レバー82は、例えば、カシメによってシャフト部材81に取り付けられる。なお、解除レバー82は、シャフト部材81と一体に形成されても良い。
解除レバー82は、基部82aと、当接部82bと、ストッパ82cとを有する。基部82aは、シャフト部材81から、第2の回転中心Ax2の径方向に突出する。当接部82bは、第2の回転中心Ax2から当該第2の回転中心Ax2の径方向に離間した位置で、基部82aから略前方向に突出する。ストッパ82cは、当接部82bよりも第2の回転中心Ax2に近い位置で、基部82aから略後方向に突出する。
図7に示すように、オープンシャフトブラケット61の第1の支持壁72は、曲縁72bと、第1の係止縁72cと、第2の係止縁72dとを有する。曲縁72bは、第2の回転中心Ax2まわりに延びる略円弧状の縁である。第1の係止縁72cは、第2の回転中心Ax2まわりの曲縁72bの一方の端部から、第2の回転中心Ax2と略直交する方向に突出する。第2の係止縁72dは、第2の回転中心Ax2まわりの曲縁72bの他方の端部から、第2の回転中心Ax2と略直交する方向に突出する。
解除レバー82のストッパ82cは、第2の回転中心Ax2まわりにおいて、第1の係止縁72cと第2の係止縁72dとの間に位置する。解除レバー82は、第2の回転中心Ax2まわりに、ストッパ82cが第1の係止縁72cに当接する位置と、ストッパ82cが第2の係止縁72dに当接する位置と、の間で回動可能である。
図8に示すように、入力レバー83は、第2の支持壁73に対して後方向に位置し、後方向におけるシャフト部材81の端部に接続される。入力レバー83は、例えば、カシメによってシャフト部材81に取り付けられる。なお、入力レバー83は、シャフト部材81と一体に形成されても良い。
上述のように、シャフト部材81は、解除レバー82及び入力レバー83にカシメによって取り付けられる。これにより、シャフト部材81は、解除レバー82と入力レバー83とに、第2の回転中心Ax2まわりに一体的に回転可能に接続される。
図9に示すように、入力レバー83は、シャフト部材81から、第2の回転中心Ax2の径方向に突出する。入力レバー83に、連結孔83aが設けられる。連結孔83aは、シャフト部材81から第2の回転中心Ax2の径方向に離間した位置に設けられる。
図8に示すように、シャフト部材81のフランジ81bは、第2の支持壁73と入力レバー83との間に位置する。フランジ81bは、入力レバー83が第2の支持壁73に近づくことを制限する。フランジ81bは、Y軸方向において、入力レバー83の位置と保持溝74aの位置とが一致し又は近接するように、入力レバー83を位置決めする。このため、Y軸方向において、入力レバー83と保持溝74aとの間の距離は、第2の支持壁73と保持溝74aとの間の距離よりも短い。
ケーブル63の一方の端部63aが、連結孔83aに例えばネジにより取り付けられ、入力レバー83に接続される。ケーブル63の他方の端部は、例えば、図1のシートバック12bの上端から出たストラップに接続される。当該ストラップは、シート12の後から操作可能である。ストラップが引っ張られると、ケーブル63は、入力レバー83を引っ張ることで、オープンシャフト62を第2の回転中心Ax2まわりに回転するよう操作する。
ケーブル63のアウターケーシング63bが、保持壁74の保持溝74aに嵌め込まれる。これにより、保持壁74の保持溝74aは、第2の支持壁73に対して車両1の前後方向にずれた位置で、ケーブル63を保持する。フランジ81bは、Y軸方向においてケーブル63の端部63aと保持溝74aとが略同一位置に配置されるように位置決めする。
第3のバネ64は、例えば、トーションスプリングである。第3のバネ64は、コイル状に巻かれたコイル部64aと、第1の端部64bと、第2の端部64cとを有する。コイル部64aは、第1の支持壁72と第2の支持壁73との間で、軸81aの周りに巻かれている。コイル部64aは、第2の支持壁73よりも、第1の支持壁72に近い位置に設けられる。
第1の端部64bは、コイル部64aから延びて、溝75の第2の部分75bに挿入される。第1の端部64bは、溝75の縁に当接し、第3のバネ64がY軸方向に移動することを制限する。
図7に示すように、第2の端部64cは、第1の支持壁72を越えて前方向に延び、解除レバー82に当接する。第2の端部64cは、解除レバー82に設けられた凹部82dに嵌められる。凹部82dは、ストッパ82cに隣接する切欠きであり、第2の端部64cを保持する。
第3のバネ64は、解除レバー82のストッパ82cが第1の支持壁72の第1の係止縁72cに近づくように、オープンシャフト62を第2の回転中心Ax2まわりに付勢する。ストッパ82cが第1の係止縁72cに当接することで、オープンシャフト62のさらなる回動が抑制される。
図4に示すように、当接部82bの上に、オープンロッド42の後方曲げ部42cが位置する。上述のストラップが引っ張られると、ケーブル63が入力レバー83を引っ張る。入力レバー83に入力されたトルク(操作力)は、オープンシャフト62を第2の回転中心Ax2まわりに回転させる。このため、解除レバー82が第2の回転中心Ax2まわりに回動し、当接部82bが後方曲げ部42cに近づく。
回動する解除レバー82の当接部82bは、オープンロッド42の後方曲げ部42cを上方向に押し上げ、オープンロッド42を第1の回転中心Ax1まわりに回転させる。オープンロッド42の回動に伴い、ロックレバー43も第1の回転中心Ax1まわりにロック位置P1からアンロック位置P2に回動する。このように、オープンシャフト62の解除レバー82は、ロックレバー43がアンロック位置P2に移動するようにオープンロッド42を回動させることができる。このように、後方解除機構25は、シート12の後方から操作可能なケーブル63を操作することで、ロック機構23によるロックを解除することができる。
入力レバー83に入力された操作力が解除されると、第3のバネ64が、解除レバー82を、第2の回転中心Ax2まわりの反対方向に回動させ、オープンロッド42の後方曲げ部42cから離間させる。オープンロッド42は、ロックレバー43を介した第1のバネ44の付勢力により第1の回転中心Ax1まわりの反対方向に回動させられる。これにより、ロック機構23のロックレバー43は、アンロック位置P2からロック位置P1に移動し、ロアレール21とアッパレール22との相対的な移動を制限する。
第2の回転中心Ax2の径方向において、第2の回転中心Ax2とケーブル63の端部63aとの間の距離は、第2の回転中心Ax2と当接部82bとの間の距離よりも長い。このため、入力レバー83に入力される操作力が比較的小さくても、当接部82bがオープンロッド42を第1の回転中心Ax1まわりに回転させることができる。
後方解除機構25は、スライドレール装置11に選択的に設けることができる。すなわち、シート12の後方からの操作によるロックの解除が可能な車両1と、シート12の後方からの操作によるロックの解除が不要な車両1とで、ロアレール21、アッパレール22、ロック機構23、及び前方解除機構24を共通化することができる。
以上説明された実施形態に係るシート装置10において、ロック機構23のオープンロッド42は、車両1の前後方向に沿う第1の回転中心Ax1まわりに回転することでロックレバー43をロック位置P1からアンロック位置P2に移動させることが可能である。オープンシャフト62は、ロックレバー43に対して後方向に位置し、第2の回転中心Ax2まわりに回転することでロックレバー43をアンロック位置P2に移動するようにオープンロッド42を回転させることが可能である。ロックレバー43に対して後方向では、アッパレール22の上に、例えば、シートクッション12aのフレームやアンカーブラケット35のような他の部材が設けられる。もし第2の回転中心Ax2が左右方向に延びる場合、オープンシャフト62のレバー(腕)のような回動する部分がアッパレール22の上に突出し、アッパレール22の上にある他の部材と干渉するおそれがある。また、第2の回転中心Ax2が上下方向に延びる場合、第2の回転中心Ax2に沿って延びるオープンシャフト62の軸がアッパレール22の上に突出し、アッパレール22の上にある他の部材と干渉するおそれがある。一方、本実施形態では、オープンロッド42の第1の回転中心Ax1とオープンシャフト62の第2の回転中心Ax2とが同じく前後方向に沿うため、上下方向において、オープンシャフト62は、ロックレバー43が設けられるスペースから上方向に大きく突き出る必要が無い。このため、オープンシャフト62がアッパレール22の上にある他の部材と干渉することが抑制される。
第1の回転中心Ax1と第2の回転中心Ax2とは平行である。これにより、第1の回転中心Ax1と第2の回転中心Ax2とが異なる方向に延びる場合に比べ、上下方向において、オープンシャフト62が設けられるスペースを、ロックレバー43が設けられるスペースに収めることが容易になる。従って、オープンシャフト62がアッパレール22の上にある他の部材と干渉することが抑制される。
第1の回転中心Ax1と第2の回転中心Ax2とは、互いの延長線上に位置する同一軸である。これにより、上下方向において、オープンシャフト62が設けられるスペースを、ロックレバー43が設けられるスペースに収めることが容易になる。従って、オープンシャフト62がアッパレール22の上にある他の部材と干渉することが抑制される。さらに、操作効率が変化しないため、操作性が向上する。
オープンシャフト62のフランジ81bは、軸81aから第2の回転中心Ax2と交差する方向に突出する。フランジ81bは、第2の支持壁73に当接することで前方向への軸81aの移動を制限する抜け止めとして機能する。さらに、フランジ81bは、第2の支持壁73と入力レバー83との間に位置する。第2の回転中心Ax2が延びる方向において、入力レバー83と保持溝74aとの間の距離は、第2の支持壁73と保持溝74aとの間の距離よりも短い。すなわち、フランジ81bは、第2の回転中心Ax2が延びる方向において、入力レバー83と保持溝74aとの位置を近づけるスペーサとしても機能する。これにより、ケーブル63がオープンシャフト62を回転するよう操作するときの、力のロスを低減することができる。
オープンシャフト62は、第2の回転中心Ax2まわりに回転することでロックレバー43がアンロック位置P2に移動するようにオープンロッド42を回転させることが可能である。これにより、オープンシャフト62が、ロックレバー43を直接操作するために大型化することが抑制される。
第3のバネ64のコイル部64aは、第2の支持壁73よりも、第1の支持壁72に近い。このため、コイル部64aがアンカーブラケット35のような他の部材と干渉することが抑制される。
以上の実施形態において、オープンシャフト62は、オープンロッド42を回転させることで、ロックレバー43をロック位置P1からアンロック位置P2に移動させた。しかし、オープンシャフト62は、ロックレバー43に当接し、ロックレバー43を直接的にロック位置P1からアンロック位置P2に移動させても良い。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。