JP2010006281A - 車両用シート装置 - Google Patents

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貴紀 佐藤
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Abstract

【課題】応答性に優れ、且つ作動端におけるガタを抑制できる車両用シート装置を提供する。
【解決手段】ヘッドレスト移動手段30は、シートバックフレーム20に上下移動可能に支持されステー14を保持するステーサポート部材31と、シートバックフレームに設けられた上下方向に延びるガイド孔43を有するガイド部材26と、ステーサポート部材に設けられガイド部材のガイド孔に摺動可能に係合された摺動部材37と、ステーサポート部材をシートバックフレームに対して上方へ付勢するテンションスプリング32と、テンションスプリングによるステーサポート部材の上方への移動をロックするロック機構33と、ガイド部材に対する摺動部材の上昇途中における摺動抵抗を軽減するとともに作動端におけるガタを抑制する摺動抵抗制限手段44とを備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両が後突された際に、乗員の頭部を拘束して首部を保護するように機能する車両用シート装置に関するものである。
車両の後方から前方へ大きな衝撃力を受けた際、すなわち、車両が後突された際に、乗員の頭部を拘束して首部を保護するように機能する車両用シートとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された車両用シートは、衝突時に乗員がシートバックに押付けられると、乗員の入力荷重によって受圧部材(70)がばねの付勢力に抗して後方に移動され、これにより、増速ユニットを介してケーブルが引張られることにより、ヘッドレストを斜め前方へ上昇させ、ヘッドレストによって乗員の頭部を拘束して首部を保護するようにしたものである。
具体的には、シートバックフレームのアッパフレーム部材の両端部にガイド孔を有する長孔ブラケットが設けられ、この長孔ブラケットのガイド孔に、サブフレームの両端部に設けたスライド部材が上下方向に移動可能に係合されている。サブフレームはヘッドレストのステーが挿入されたサポートブラケットの下部に固定され、サブフレームの上昇により、ヘッドレスト本体が乗員の頭部を拘束する位置に移動される。
特許文献1に記載の車両用シートにおいては、衝突による衝撃的な荷重によって乗員がシートバックに押し付けられると、図2に示す実施形態においては、U字状に湾曲されたケーブルの一端が引っ張られ、このケーブルの他端に連結されたスライド部材がガイド孔に沿って上方に移動され、サブフレームを介してヘッドレスト本体が乗員の頭部を拘束する位置に上昇されるようになっている。
一方、図8に示す実施形態においては、アッパフレーム部材とサブフレームとの間に、スライド部材を引き上げる方向に付勢するテンションばねを設け、通常は長孔ブラケットに支持した係止部材のフック部をスライド部材に係脱可能に係止して、テンションばねによるスライド部材の上昇を阻止している。そして、衝突による衝撃的な荷重によって乗員がシートバックに押し付けられると、係止部材のフック部がスライド部材より離脱され、これによって、スライド部材がテンションばねの付勢力によって引き上げられ、ヘッドレスト本体が乗員の頭部を拘束する位置に移動されるようになっている。
特開2006−56359号公報
上記した特許文献1に記載の車両用シートにおいては、ケーブルによってスライド部材をガイド孔に沿って上方に移動させる構成のものでは、ケーブルの引っ張り量によってヘッドレストの上方移動量が制約を受ける恐れがあった。また、テンションばねの付勢力によってスライド部材をガイド孔に沿って上方に移動させる構成のものでは、衝突時にテンションばねのばね力によってヘッドレストを速やかに上昇させるためには、ヘッドレストとともに上昇する部材の摺動抵抗を小さくする必要がある。しかしながら、摺動抵抗を小さくするためには、摺動部に遊びを設けなければならず、遊びを設けるとヘッドレストががたつく恐れがある。このため、ヘッドレストの応答性と安定性を両立させることが難しい問題があった.
本発明は、上述した従来の問題を解消するためになされたもので、応答性に優れ、且つ作動端におけるガタを抑制できる車両用シート装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、車両用シートのシートバックの上方に配置されるヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を前記シートバックに支持するステーと、前記シートバック内に配設され、前記車両用シートに着座する乗員の入力荷重によりばね力に抗して作動される受圧部材と、前記シートバック内に配設され、前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用され且つ前記受圧部材が作動された際に、該受圧部材の作動力を伝達する作動力伝達機構と、該作動力伝達機構によって作動され、前記ヘッドレスト本体を頭部拘束位置に移動するヘッドレスト移動手段とを備えた車両用シート装置において、前記ヘッドレスト移動手段は、前記シートバックのシートバックフレームに上下移動可能に支持され、前記ステーを保持するステーサポート部材と、前記シートバックフレームに設けられた上下方向に延びるガイド孔を有するガイド部材と、前記ステーサポート部材に設けられ、前記ガイド部材のガイド孔に摺動可能に係合された摺動部材と、前記ステーサポート部材を前記シートバックフレームに対して上方へ付勢するテンションスプリングと、該テンションスプリングによる前記ステーサポート部材の上方への移動をロックし且つ前記作動力伝達機構によってロックを解除されるロック機構と、前記ガイド部材と前記摺動部材との間に設けられ前記ガイド部材に対する前記摺動部材の上昇途中における摺動抵抗を軽減するとともに作動端におけるガタを抑制する摺動抵抗制限手段とを備えたことである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記摺動抵抗制限手段は、前記ガイド部材のガイド孔の両端部を除く中央部の幅寸法を、前記摺動部材の摺動幅寸法より大きくしたことである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、前記摺動部材は、鍔部を有する摺動ピンからなり、前記ガイド部材に前記摺動ピンの鍔部に当接する案内部を備え、該案内部は、前記ガイド孔の両端部を除く中央部において前記摺動ピンの鍔部との間に隙間ができるように形成されていることである。
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記作動力伝達手段は、前記受圧部材の作動によって回動される入力リンク部材と、前記ヘッドレスト移動手段に連結され、前記入力リンク部材の回動によって前記ヘッドレスト移動手段を作動させる出力リンク部材と、前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって初期位置から作動位置に作動され、前記出力リンク部材を前記入力リンク部材に従動可能とする作動リンク部材とを備えていることである。
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、ガイド部材と摺動部材との間に設けた摺動抵抗制限手段によって、ガイド部材に対する摺動部材の上昇途中における摺動抵抗を軽減するとともに、作動端におけるガタを抑制するように構成したので、後突時におけるヘッドレストの上昇スピードをアップすることができ、ヘッドレストを頭部拘束位置に迅速に作動させることができる。しかも、ヘッドレストの作動端位置(初期位置、頭部拘束位置)においては、ガイド部材とスライド部材とのガタを抑制することができるため、ヘッドレストのガタツキをなくし、頭部を安定的に保持することができる。
請求項2に係る発明によれば、摺動抵抗制限手段は、ガイド部材のガイド孔の両端部を除く中央部の幅寸法を、摺動部材の摺動幅寸法より大きくしたので、ガイド部材のガイド孔の幅寸法を変えるだけの簡単な構成によって、ヘッドレストの応答性と安定性の両立を図ることができる。
請求項3に係る発明によれば、摺動部材は、鍔部を有する摺動ピンからなり、ガイド部材に摺動ピンの鍔部に当接する案内部を備え、案内部は、ガイド孔の両端部を除く中央部において摺動ピンの鍔部との間に隙間ができるように形成されているので、ガイド部材と摺動部材との間のガタを、より確実に抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、シートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって初期位置から作動位置に作動され、出力リンク部材を入力リンク部材に従動可能とする作動リンク部材を備えているので、衝撃荷重が作用された状態で乗員からの入力荷重によってシートバックが強く押付けられたとき、入力リンク部材の回動に従動して出力リンク部材が回動し、ヘッドレスト移動手段が作動されてヘッドレスト本体が頭部拘束位置に作動される。このため、乗員の着座時の挙動によってヘッドレスト本体が誤って頭部拘束位置に移動されてしまうといった誤動作を確実に防止することできる。
以下本発明の実施の形態に係る車両用シート装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における左右方向とは、車両(車両用シート)の左右方向をいい、同様に前後方向とは、車両(車両用シート)の前後方向をいう。
図1において、車両用シート装置10は、シートクッション11と、シートバック12と、ヘッドレスト13を備えている。ヘッドレスト13は、略上下方向に移動可能な左右一対のステー14と、ステー14の上端に取付けられたヘッドレスト本体15とを有している。
シートバック12は、図2、図3および図4に示すように、内部にシートバックフレーム20を有している。シートバックフレーム20は、左右一対のサイドパネル21、22と、サイドパネル21、22の上端を連結する逆U字形のアッパパイプ23と、サイドパネル21、22の下端を連結するロアフレーム24とを備え、これらサイドパネル21、22、アッパパイプ23およびロアフレーム24が溶接によって互いに結合された構成となっている。シートバックフレーム20のアッパパイプ23には、左右方向に延在するアッパパネル25の両端部が固定されている。アッパパネル25は、アッパパイプ23と平行に、且つ下方に所定量オフセットして配置されている。アッパパネル25の前面には、左右一対のガイド部材26が固定されている。
アッパパイプ23には、左右一対の保持ブラケット27が固定され、これら保持ブラケット27とアッパパイプ23との各間に、上下方向に平行に延びる略矩形状のパイプ材からなる左右一対の摺動筒部材28が上下方向に移動可能に保持されている。保持ブラケット27には、図6に示すように、摺動筒部材28を挟んでアッパパイプ23と対向する面に、円弧凸部27aが形成され、摺動筒部材28の前後両面は、アッパパイプ23の円弧部と保持ブラケット27の円弧凸部27aに挟持され、これによって、摺動筒部材28は、上下方向に移動可能であるとともに、前後方向に傾動可能となっている。
シートバックフレーム20には、車両の衝突(後突)時に、ヘッドレスト13をシートバック12に対して頭部拘束位置に移動させるヘッドレスト移動手段30が配設されている。ヘッドレスト移動手段30は、図3および図4に詳細図示するように、ヘッドレスト13を保持するステーサポート部材31と、ステーサポート部材31を上方向に付勢するテンションスプリング32と、テンションスプリング32によるヘッドレスト13の上方向への移動を規制するロック機構33と、ロック機構33に一端が連結され、下方向への引っ張りによってロック機構33をロック解除するケーブル34を備えている。
ステーサポート部材31は、左右一対の摺動筒部材28と、これら摺動筒部材28にそれぞれ嵌装固定されたサポートブラケット35と、これらサポートブラケット35の下部に両端を固定された横架部36とによって構成されている。横架部36は、左右方向に延在され、アッパパネル25と略平行に配置されている。ステーサポート部材31は、左右一対のガイド部材26の間に配置され、シートバック12に後突による衝撃荷重が作用された際に、ガイド部材26および保持ブラケット27に案内されながら略上下方向に移動できるようになっている。なお、サポートブラケット35の各上端には、ステー14(図1、図2参照)が上下方向に摺動可能に挿入され、周知のノッチ機構によって、所定の高さ位置に保持されるようになっている。
ステーサポート部材31の各サポートブラケット35の下部には、摺動ピン37が左右方向の互いに外向きに、すなわち、アッパパイプ23と互いに平行にそれぞれ取付けられ、これら摺動ピン37は、ガイド部材26に形成された後述するガイド孔43に摺動可能に係合されている。ガイド部材26は、アッパパネル25に固定される左右一対のガイドブラケット41と、これらガイドブラケット41に一体的に取付けられた樹脂製の摺動ガイド42とによって構成されている。摺動ガイド42は、図6および図11に示すように、一定の厚みを有する基部42a上に、ガイドブラケット41に形成された取付孔41aに嵌合する嵌合突起部42bを突設した形状となっている。嵌合突起部42bには、摺動ピン37が摺動可能に係合する略円弧状あるいは直線状の長孔からなるガイド孔43が、略上下方向に沿って且つ上方に向かうにつれて斜め後方に偏移するように形成されている。
図7に示すように、ガイド孔43の長手方向の両端部の幅寸法aは、摺動ピン37のピン径dとほぼ等しくされているのに対し、ガイド孔43の両端部を除く中央部の幅寸法bは、摺動ピン37のピン径dより大きくされている。このように、ガイド孔43の寸法幅をガイド孔43の長手方向で変化させることにより、摺動ピン37がガイド孔43の長手方向の両端部に位置している状態においては、摺動ピン37とガイド孔43(ガイド部材26)との間の摺動ピン37の径方向のガタを除去し、且つ摺動ピン37がガイド孔43に沿って摺動する途中では、ガタによって摺動抵抗を軽減できるようにしている。すなわち、ガイド孔43の長手方向の両端部においては摺動ピン37とのクリアランスを積極的に小さくする一方、ガイド孔43の中央部においては摺動ピン37とのクリアランスを積極的に大きくすることにより、両者間のガタの低減と摺動性(動作性)の確保とが図られている。上記したガイド部材26のガイド孔43とサポートブラケット35の摺動ピン37とによって、摺動抵抗制限手段44を構成している。
なお、ヘッドレスト13の通常使用位置(初期位置)においては、摺動ピン37とガイド孔43の下方端部との間に僅かな隙間cが設けられている。この隙間cは、後述するように、後突等によって頭部拘束位置に移動されたヘッドレスト13を初期位置に復帰させる際に必要なものである。
また、摺動ガイド42は、図11に示すように、その基部42aをガイドブラケット41とサポートブラケット35との間に挟み込まれるようにして配置されている。基部42aの両端部には、サポートブラケット35に摺動可能に当接する円弧状凸部42a1、42a2が形成され、これら円弧状凸部42a1、42a2による当接によって、サポートブラケット35が摺動する際の摺動抵抗が増加するのを防止している。さらに、摺動ガイド42は、摺動ピン37の鍔部37aに接触する凹形状の案内面42cを備えている。凹形状の案内面42cにより、摺動ピン37がガイド孔43の両端部に位置している状態においては、案内面42cを摺動ピン37の鍔部37aに接触させて、摺動ピン37とガイド部材26との間の摺動ピン37の軸線方向のガタを除去している。しかるに、摺動ピン37がガイド孔43の中央部に位置している状態においては、案内面42cを摺動ピン37の鍔部37aに接触させないようにして、摺動抵抗が小さくなるようにしている。かかる摺動ガイド42の凹形状の案内面42cおよび摺動ピン37の鍔部37a等によっても、上記した摺動抵抗制限手段44を構成している。
なお、摺動抵抗制限手段44は、上記したアッパパイプ23と保持ブラケット27との間を摺動する摺動筒部材28にも施されている。すなわち、図12に示すように、摺動筒部材28には、通常時(下降端)のみ保持ブラケット27の内面に当接する凸部28aと、摺動筒部材28の作動端(上昇端)でのみ保持ブラケット27に当接する凸部28bが設けられている。これによって、摺動筒部材28の下降端および上昇端におけるガタを除去するとともに、作動途中での摺動抵抗を小さくできるようにしている。
テンションスプリング32は、図3に示すように、左右一対の保持ブラケット27と横架部36との間に左右2つ配設されており、左右2つのテンションスプリング32は、シートバックフレーム20の左右方向の中心位置より等距離だけ隔てた位置に配置されている。テンションスプリング32のそれぞれ一端(上端)は保持ブラケット27に係止され、他端(下端)は横架部36に係止されて、横架部36(ステーサポート部材31)をアッパパイプ23に対して上方向に付勢している。
なお、横架部36の背面側には、図9に示すように、ガイド部材26のガイド孔43の長手方向に略平行な傾斜面36aと、この傾斜面36aの上部に連続して、サポートブラケット35の移動方向に略垂直、すなわち、ガイド孔43の長手方向に略垂直な係合面36bとが形成され、この係合面36bに後述するロック機構33のポール47が当接するようになっている。
ロック機構33は、アッパパネル25と横架部36との間の前後方向隙間に配設され、アッパパネル25の前面側に取付けられている。ロック機構33は、図9に示すように、アッパパネル25の左右中央部に固定されたロックブラケット45と、ロックブラケット45に第1支軸46の回りに回動可能に支持され、横架部36の係合面36bに係脱可能に係合するポール47と、ロックブラケット45に第2支軸48の回りに回動可能に支持されたカム49とを有している。第1および第2支軸46、48は、アッパパイプ23と互いに平行に、且つ上下方向に所定の間隔を有して、シートバックフレーム20の左右方向の中央部に配置されている。すなわち、ロック機構33を構成するポール47およびカム49は、シートバックフレーム20の左右方向の中央部に重合配置され、常に2つのテンションスプリング32の中間部でステーサポート部材31をロック保持するようになっている。
ポール47とカム49との間には、引張りばね50が設けられ、この引張りばね50のばね力によって、カム49は第2支軸48を中心にして反時計回りに回動付勢され、通常ロックブラケット45のストッパ部45aに係合する角度位置に保持されている。一方、ポール47は、引張りばね50のばね力によって、第1支軸46を中心にして時計回りに回動付勢され、カム49の当接面49aにポール47の当接面47aが当接する角度位置に保持され、その角度位置で横架部36の係合面36bに当接し、横架部36の上方向への移動を規制している。この際、横架部36の係合面36bに対して第1支軸46は、係合面36bの法線方向または法線方向に近似した方向に配置されている。これによって、テンションスプリング32のばね力が横架部36を介してポール47に作用しても、ポール47には何ら回転モーメントが作用しない。その結果、テンションスプリング32のばね力を大きくすることができるとともに、横架部36の上方向への移動を確実に規制することができる。
カム49には、係合孔49bが形成され、この係合孔49bにケーブル34のインナワイヤ51の一端(上端)が連結されている。そして、カム49がケーブル34によって、引張りばね50のばね力に抗して下方に引っ張られると、カム49の係合孔49bがケーブル34の引っ張り方向と同じ方向に移動される。これによって、カム49は第2支軸48を中心にして時計回りに回動され、当接面49a、47aを介してポール47が第1支軸46を中心にして反時計回りに回動される。かかるポール47の反時計回りの回動により、横架部36の係合面36bとの係合が解除され、横架部36はテンションスプリング32のばね力によって上方向に移動される。
このように、カム49を設けたことにより、ケーブル34を下方向に引っ張るだけで、ポール47を横架部36の係合面36bとの係合を解除する反時計回りに回動させることが可能となり、ケーブル34を湾曲等させる必要がなく、ケーブル34の構成を単純化することができる。
上記した構成のロック機構33によれば、シートバック12の前後方向に回動可能なポール47が、横架部36の係合面36bに係脱可能に係合され、シートバック12の左右方向の中央部で、横架部36の上方への移動をロック保持しているので、2つのテンションスプリング32のばね力をステーサポート部材31に常に左右均等に作用させることができる。これにより、ステーサポート部材31が左右で傾くことがなく、ヘッドレスト13の初期位置での保持および頭部拘束位置への移動をバランスよく行うことができる。
図2、図13および図14に示すように、シートバックフレーム20には、車両用シート装置10に着座する乗員の入力荷重によって作動される受圧部材60が、シートバック12の前後方向に移動可能に設けられている。また、シートバックフレーム20の下部中央部には、シートバック12に後突による衝撃荷重が作用され且つ受圧部材60が作動された際に、受圧部材60の作動力をヘッドレスト13側に伝達する作動力伝達機構61が配設されている。
受圧部材60は、例えば、丸棒を屈曲して構成したもので、図略のばねによってシートバック12の前方に向かって付勢されており、乗員からの入力荷重がばねのばね力に打ち勝つと、受圧部材60がばね力に抗してシートバック12の後方に移動される。
作動力伝達機構61は、図14に詳細図示するように、主として、入力リンク部材63と、出力リンク部材64と、作動リンク部材65と、支持ブラケット67によって構成されている。支持ブラケット67は、シートバックフレーム20のロアフレーム24に固定されている。
支持ブラケット67には、支持軸68がロアフレーム24に平行な水平な軸線に沿って取付けられている。支持軸68には、入力リンク部材63の下端および出力リンク部材64の一端が回動可能に支持されている。入力リンク部材63の上端には、受圧部材60に係合する連結部63aが設けられ、入力リンク部材63は受圧部材60の後方への移動によって、支持軸68を中心にして図14の時計回りに回動される。
出力リンク部材64の他端には、インナワイヤ51の一端が連結される連結孔64aが形成され、インナワイヤ51は支持ブラケット67に一端を固定されたアウタチューブ71内に挿通されて、上方向に延在され、その先端(上端)に上記したロック機構33のカム49の係合孔49bが連結されている。これらインナワイヤ51およびアウタチューブ71によってケーブル34が構成されている。
出力リンク部材64と支持ブラケット67との間には引張りばね69が設けられ、この引張りばね69のばね力によって、インナワイヤ51に連結された連結孔64aを下方向に移動させるように出力リンク部材64を支持軸68を中心にして図14の時計回りに付勢するようになっている。引張りばね69のばね力は、上記したロック機構33の引張りばね50のばね力より弱くされており、引張りばね69のばね力によってロック機構33をロック解除することはないが、ケーブル34に所定のテンションを付与できるようになっている。これにより、作動力伝達機構61とロック機構33との間の遊び代をなくし、作動ロスの抑制とガタ異音対策の役目を果たしている。
作動リンク部材65は、下端を支持軸68と平行な支軸73によって出力リンク部材64に回動可能に支持されている。支軸73は支持軸68と連結孔64aとの中間位置に配置されている。作動リンク部材65は、後突による衝撃荷重によって車両用シート装置10に慣性力が作動されると、支軸73を中心にして図14の時計回りに回動されるようになっている。作動リンク部材65には、L字状の係合溝74が形成され、係合溝74は略上下方向に延びるキャンセル溝74aと、キャンセル溝74aに接続する略水平方向に延びる伝達溝74bからなっている。入力リンク部材63の中央部には、作動リンク部材65の係合溝74にスライド可能に係合する係合突部63bが設けられている。作動リンク部材65は、出力リンク部材64との間に介挿された引張りばね66によって、支軸73を中心にして図14の反時計回りに付勢され、通常図略のストッパによって図14に示す角度位置に保持されている。これによって、係合突部63bを、係合溝74の中心部、すなわち、キャンセル溝74aと伝達溝74bとの接続部に保持している。
作動リンク部材65は通常図14に示す初期位置に保持されており、この作動リンク部材65の初期位置において、受圧部材60のシートバック12の後方への移動によって、入力リンク部材63が支持軸68を中心にして図14の時計回りに回動されると、図15(A)に示すように、係合突部63bは作動リンク部材65のキャンセル溝74aに沿ってスライドする。この状態においては、入力リンク部材63の回動に出力リンク部材64が従動せず、入力リンク部材63が回動されてもインナワイヤ51は作動されない。
これに対し、作動リンク部材65が慣性力によって、支軸73を中心にして引張りばね66のばね力に抗して図14の時計回りに回動されると、図15(B)に示すように、入力リンク部材63の係合突部63bが作動リンク部材65の伝達溝74b内に突入される。従って、その状態で、入力リンク部材63が支持軸68を中心にして図14の時計回りに回動されると、係合突部63bと伝達溝74bとの係合によって、作動リンク部材65を介して出力リンク部材64が入力リンク部材63と一体的に回動され、インナワイヤ51が下方に引張られるようになる。
次に、上記した実施の形態における動作について説明する。乗員がシートバック12に荒っぽく着座したり、あるいは乗員の膝や肘でシートバック12が強く押されると、乗員からの入力荷重によって受圧部材60が図略のばねのばね力に抗してシートバック12の後方に移動される。これにより、受圧部材60に連結部63aを介して係合された入力リンク部材63が、支持軸68を中心にして図14の時計回りに回動される。
しかしながら、通常作動リンク部材65は、引張りばね66のばね力によって、図14に示す初期位置に保持されているため、受圧部材60のシートバック後方への移動によって、入力リンク部材63の係合突部63bは、図15(A)に示すように、作動リンク部材65のキャンセル溝74a内に突入する。このため、入力リンク部材63が回動されても、係合突部63bは、キャンセル溝74a内をスライドするだけであり、出力リンク部材64が回動されることはない。この結果、乗員の挙動によってヘッドレスト13が作動されることがなく、誤動作を防止できる。
車両が後突され、シートバック12に車両の後方から前方へ向かって大きな衝撃荷重が作用されると、作動リンク部材65が引張りばね66のばね力に抗して図14の時計回りに回動される。これにより、入力リンク部材63の係合突部63bは、図15(B)に示すように、作動リンク部材65の伝達溝74bに突入される。この状態で、後突による乗員からの入力荷重によって受圧部材60が図略のばねのばね力に抗してシートバック12の後方に移動され、入力リンク部材63が支持軸68を中心にして図14の時計回りに回動されると、出力リンク部材64が作動リンク部材65を介して入力リンク部材63に従動して一体的に回動され、ケーブル34のインナワイヤ51の一端が下方に引張られる。
これにより、カム49が引張りばね50のばね力に抗して第2支軸48を中心にして時計回りに回動され、このカム49の回動に伴い当接部49a,47aを介してポール47が第1支軸46を中心にして反時計回りに回動されるため、ポール47と横架部36の係合面36bとの係合が解除される。この結果、テンションスプリング32のばね力によってステーサポート部材31(横架部36)が図10に示すように、上方に移動される。ステーサポート部材31の上昇により、サポートブラケット35の下端に取付けられた摺動ピン37がガイド孔43に沿って斜め後方に移動するため、サポートブラケット35を嵌装した摺動筒部材28は、上昇しつつ、アッパパイプ23の円弧部と保持ブラケット27の円弧凸部27aとを支点にして上部が前方に傾動される。これによって、ヘッドレスト本体15が上方に移動しながら前側に傾き、乗員の頭部を拘束する頭部拘束位置に位置決めされ、乗員の首部を保護する。図5および図8に、ステーサポート部材31が上昇端まで移動された状態を示す。
この際、横架部36とともに上方に移動するサポートブラケット35に取付けられた摺動ピン37が、摺動ガイド42に形成したガイド孔43内を移動するが、ガイド孔43の幅寸法は両端部を除いて、摺動ピン37のピン径dより大きくしてあり、しかも、摺動ピン37の鍔部37aをサポートブラケット35との間で挟持する摺動ガイド42のガイド幅も、ガイド孔43の両端部を除いて、摺動ピン37の鍔部37aの軸方向幅より大きくしてあるため、横架部36の上昇途中における摺動抵抗が軽減され、上昇スピードをアップできる。また、横架部36の下降端および上昇端においては、摺動ピン37とガイド孔43とのガタが除去されるため、ヘッドレスト13を初期位置および頭部拘束位置において安定的に保持できるようになる。このように、ヘッドレスト13の初期状態および頭部拘束状態でのガタを抑制しつつ、作動途中における摺動抵抗を減らして、ヘッドレスト13の安定性と応答性の両立を図っている。
なお、ステーサポート部材31が上昇端まで移動された後、ポール47は引張りばね50のばね力によって、ロックブラケット45のストッパ部45aに係合する角度位置に復帰される。また、後突による慣性力がなくなると、作動力伝達機構61も原位置に復帰されるため、引張りばね69のばね力によってケーブル34が引っ張られ、テンションが付与される。
ところで、ヘッドレスト13が頭部拘束位置に作動された後に、例えば、衝突が比較的軽微で、車両用シート装置10の各構成部品が変形ないしは損傷していない場合には、ヘッドレスト13を通常の初期位置に復帰させることができる。この場合には、ステーサポート部材31をテンションスプリング32のばね力に抗して下方へ押し戻すことにより、ロック機構33のポール47が横架部36の傾斜面36aを滑りながら係合面36bに乗り上げ、テンションスプリング32のばね力によってポール47と係合面36bが係合される。この場合、ポール47を横架部36の係合面36bに確実に係合させるために、横架部36をオーバストロークさせる必要があるが、このオーバストロークは、摺動ピン37とガイド孔43の端部との間の隙間cによって可能となる。
上記した実施の形態によれば、ガイド部材26と摺動ピン37との間に設けた摺動抵抗制限手段44によって、ガイド部材26に対する摺動ピン37の上昇途中における摺動抵抗を軽減するとともに、作動端におけるガタを抑制するように構成されているので、後突時におけるヘッドレスト13の上昇スピードをアップすることができ、後突時にヘッドレスト13を頭部拘束位置に迅速に作動させることができる。しかも、ヘッドレスト13の作動端(初期位置、頭部拘束位置)においては、ガイド部材26と摺動ピン37とのガタを抑制することができるので、ヘッドレスト13のガタツキをなくして、頭部を安定的に保持することができる。
また、上記した実施の形態によれば、摺動抵抗制限手段44は、ガイド部材26のガイド孔43の両端部を除く中央部の幅寸法を、摺動ピン37のピン径より大きくしたので、ガイド部材26のガイド孔43の幅寸法を変えるだけの簡単な構成によって、ヘッドレスト13の応答性と安定性の両立を図ることができる。
また、上記した実施の形態によれば、ガイド部材26は、摺動ピン37の鍔部に当接する案内部を備え、案内部は、ガイド孔43の両端部を除く中央部において摺動ピン37の鍔部と間に隙間ができるように形成されているので、ガイド部材26と摺動ピン37との間のガタの抑制を、より確実に行うことができる。
さらに、上記した実施の形態によれば、シートバック12に後突による衝撃荷重が作用されることによって初期位置から作動位置に作動され、出力リンク部材64を入力リンク部材63に従動可能とする作動リンク部材65を備えているので、衝撃荷重が作用された状態で乗員からの入力荷重によってシートバック12が強く押付けられたとき、入力リンク部材63の回動に従動して出力リンク部材64が回動し、ヘッドレスト移動手段30が作動されてヘッドレスト13が頭部拘束位置に作動される。このため、乗員の着座時の挙動によってヘッドレスト13が誤って頭部拘束位置に移動されてしまう、といった誤動作を確実に防止することできる。
上記した実施の形態においては、ガイド部材26に設けたガイド孔43に、ステーサポート部材31(サポートブラケット35)に設けた摺動ピン37を摺動可能に係合した例について述べたが、ガイド孔43に係合する部材は必ずしもピンである必要はなく、ガイド孔43に沿って摺動できる部材であればよい。この場合、ピン径dは、摺動する部材の幅寸法と読み替えればよい。
また、上記した実施の形態においては、略上下方向に移動可能なステーサポート部材31の摺動抵抗を制限するために、摺動ピン37が係合するガイド孔43の幅寸法を変化させるとともに、摺動ガイド42に凹形状の案内面42cを形成し、且つ摺動筒部材28に凸部28a、28bを形成したが、ステーサポート部材31の摺動抵抗を制限する摺動抵抗制限手段44は、少なくとも摺動ピン37が係合するガイド孔43の幅寸法を変化させるだけでも機能するものであり、必要に応じてそれ例外の構成を省略することも可能である。
また、上記した実施の形態においては、ガイド部材26を、ガイドブラケット41と摺動ガイド42とを組み合わせて構成したが、ガイド部材26を一体構造物の金属で構成し、これにガイド孔43を直接形成することもできる。この場合、ガイド孔43の内面、あるいはガイド孔43に係合する摺動部材(摺動ピン)37の外面に樹脂等を被覆すると、作動端におけるガタを効果的に抑制することが可能となる。
なお、上記した実施の形態で述べたロック機構33は、本発明に好適な一例を示したものにすぎず、必ずしも実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、作動力伝達機構61の作動によってステーサポート部材31のロックを解除できるものであればよい。
斯様に、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態を示す車両用シート装置の斜視図である。 図1に示した車両用シート装置のシートバックの内部を示す斜視図である。 図2の上部を拡大した図である。 図3を分解した図である。 図3の作動状態を示す図である。 図3の矢印6方向から見た図である。 図6の要部を拡大した図である。 図6の作動状態を示す図である。 ロック機構をシートバックフレームの側方から図である。 図9の作動状態を示す図である。 図6の11−11線に沿って切断した断面図である。 図6の12−12線に沿って切断した断面図である。 図2の下部を拡大した図である。 図13の矢印14方向から見た図である。 図14の作動状態を示す図である。
符号の説明
10…車両用シート装置、11…シートクッション、12…シートバック、13…ヘッドレスト、14…ステー、15…ヘッドレスト本体、20…シートバックフレーム、24…ロアフレーム、26…ガイド部材、30…ヘッドレスト移動手段、31…ステーサポート部材、32…テンションスプリング、33…ロック機構、37…摺動部材(摺動ピン)、43…ガイド孔、44…摺動抵抗制限手段、60…受圧部材、61…作動力伝達機構、63…入力リンク部材、64…出力リンク部材、65…作動部材(作動リンク部材)。

Claims (4)

  1. 車両用シートのシートバックの上方に配置されるヘッドレスト本体と、
    前記ヘッドレスト本体を前記シートバックに支持するステーと、
    前記シートバック内に配設され、前記車両用シートに着座する乗員の入力荷重によりばね力に抗して作動される受圧部材と、
    前記シートバック内に配設され、前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用され且つ前記受圧部材が作動された際に、該受圧部材の作動力を伝達する作動力伝達機構と、
    該作動力伝達機構によって作動され、前記ヘッドレスト本体を頭部拘束位置に移動するヘッドレスト移動手段と、
    を備えた車両用シート装置において、
    前記ヘッドレスト移動手段は、
    前記シートバックのシートバックフレームに上下移動可能に支持され、前記ステーを保持するステーサポート部材と、
    前記シートバックフレームに設けられた上下方向に延びるガイド孔を有するガイド部材と、
    前記ステーサポート部材に設けられ、前記ガイド部材のガイド孔に摺動可能に係合された摺動部材と、
    前記ステーサポート部材を前記シートバックフレームに対して上方へ付勢するテンションスプリングと、
    該テンションスプリングによる前記ステーサポート部材の上方への移動をロックし且つ前記作動力伝達機構によってロックを解除されるロック機構と、
    前記ガイド部材と前記摺動部材との間に設けられ前記ガイド部材に対する前記摺動部材の上昇途中における摺動抵抗を軽減するとともに作動端におけるガタを抑制する摺動抵抗制限手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用シート装置。
  2. 請求項1において、前記摺動抵抗制限手段は、前記ガイド部材のガイド孔の両端部を除く中央部の幅寸法を、前記摺動部材の摺動幅寸法より大きくしたことを特徴とする車両用シート装置。
  3. 請求項2において、前記摺動部材は、鍔部を有する摺動ピンからなり、前記ガイド部材に前記摺動ピンの鍔部に当接する案内部を備え、該案内部は、前記ガイド孔の両端部を除く中央部において前記摺動ピンの鍔部との間に隙間ができるように形成されていることを特徴とする車両用シート装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記作動力伝達手段は、前記受圧部材の作動によって回動される入力リンク部材と、前記ヘッドレスト移動手段に連結され、前記入力リンク部材の回動によって前記ヘッドレスト移動手段を作動させる出力リンク部材と、前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって初期位置から作動位置に作動され、前記出力リンク部材を前記入力リンク部材に従動可能とする作動リンク部材と、を備えていることを特徴とする車両用シート装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200471672Y1 (ko) * 2012-11-28 2014-03-10 현대다이모스(주) 엑티브 헤드레스트
JP2015150978A (ja) * 2014-02-13 2015-08-24 トヨタ紡織株式会社 乗物用シートのバックフレーム

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