JP2009154631A - 車両用シート装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヘッドレスト本体を、後突による衝撃荷重と乗員による入力荷重との両方の荷重が作用されたときに作動されるようにした車両用シート装置を提供する。
【解決手段】受圧部材30の作動力を伝達する作動力伝達機構31は、内周に第1係合部41を有し、受圧部材の作動によって支持軸38を中心にして回動される入力リンク部材33と、支持軸に回動可能に支持されるとともにヘッドレスト移動手段55に連結され、支持軸を中心として回動することによりヘッドレスト移動手段を作動させる出力リンク部材34と、出力リンク部材に揺動可能に支持され、入力リンク部材の第1係合部に係脱可能な第2係合部47を有し、第2係合部を第1係合部との係合を解除する方向に付勢する付勢部材36の付勢力に抗したシートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって揺動して第2係合部を第1係合部に係合させ、出力リンク部材を入力リンク部材に従動可能とする揺動リンク部材35とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】受圧部材30の作動力を伝達する作動力伝達機構31は、内周に第1係合部41を有し、受圧部材の作動によって支持軸38を中心にして回動される入力リンク部材33と、支持軸に回動可能に支持されるとともにヘッドレスト移動手段55に連結され、支持軸を中心として回動することによりヘッドレスト移動手段を作動させる出力リンク部材34と、出力リンク部材に揺動可能に支持され、入力リンク部材の第1係合部に係脱可能な第2係合部47を有し、第2係合部を第1係合部との係合を解除する方向に付勢する付勢部材36の付勢力に抗したシートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって揺動して第2係合部を第1係合部に係合させ、出力リンク部材を入力リンク部材に従動可能とする揺動リンク部材35とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両が後突された際に、乗員の首部を保護するように機能する車両用シート装置に関するものである。
車両の後方から前方へ大きな衝撃力を受けた際、すなわち、車両が後突された際に、乗員の首部を保護するように機能する車両用シートとして、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された車両用シートは、後突時に乗員がシートバックに押付けられると、乗員の入力荷重によって受圧部材(70)がばねの付勢力に抗して後方に移動され、これにより、増速ユニットを介してケーブルが引張られることにより、ヘッドレストを斜め前方へ上昇させ、ヘッドレストによって乗員の頭部を拘束して保護するようにしたものである。
特開2006−56359号公報(段落0042〜0047、図2)
特許文献1に記載の車両用シートにおいては、シートバックに衝撃的な荷重が作用されることにより、ヘッドレストを上方へ移動させるようになっているので、本来必要とされている衝突(後突)時以外でも作動する恐れがあり、誤動作が多い問題がある。すなわち、特許文献1に記載の車両用シートにおいては、例えば、人体サイズの大きな乗員が荒っぽく着座したり、あるいは、乗員が膝や肘でシートバックを強く押したような場合にも、受圧部材が後方に移動され、ヘッドレスト本体を誤って作動してしまう恐れがある。
本発明は、上述した従来の問題を解消するためになされたもので、ヘッドレストを、後突による衝撃荷重と乗員による入力荷重との両方の荷重が作用されたときに作動されるようにした車両用シート装置を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、車両用シートのシートバックの上方に配置されるヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を前記シートバックに支持するステーと、前記シートバック内に配設され、前記車両用シートに着座する乗員の入力荷重によりばね力に抗して作動される受圧部材と、 前記シートバック内の下方位置に配設され、前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用され且つ前記受圧部材が作動された際に、該受圧部材の作動力を伝達する作動力伝達機構と、該作動力伝達機構によって前記作動力が伝達されたときに、前記ヘッドレスト本体を保護位置に移動させるヘッドレスト移動手段とを備えた車両用シート装置において、前記作動力伝達機構は、内周に第1係合部を有し、前記受圧部材の作動によって支持軸を中心にして回動される入力リンク部材と、前記支持軸に回動可能に支持されるとともに前記ヘッドレスト移動手段に連結され、前記支持軸を中心として回動することにより前記ヘッドレスト移動手段を作動させる出力リンク部材と、前記出力リンク部材に揺動可能に支持され、前記入力リンク部材の前記第1係合部に係脱可能な第2係合部を有し、該第2係合部を前記第1係合部との係合を解除する方向に付勢する付勢部材の付勢力に抗した前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって揺動して前記第2係合部を前記第1係合部に係合させることにより、前記出力リンク部材を前記入力リンク部材に従動可能とする揺動リンク部材とを備えることである。
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記出力リンク部材は、一端が前記支持軸に回動可能に支持され、他端が前記ヘッドレスト移動手段に連結され、前記ヘッドレスト移動手段との連結部と前記支持軸との中間位置において、前記揺動リンク部材を前記出力リンク部材に揺動可能に支持したことである。
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1または請求項2において、前記出力リンク部材および前記揺動リンク部材に形成された前記第1および第2係合部は、互いに係脱可能に噛合う第1および第2セレーション部からなっていることである。
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、揺動リンク部材の第2係合部は、シートバックに対して後突による衝撃荷重が作用された場合にのみ入力リンク部材の第1係合部と係合状態となり、衝撃荷重が作用されない状態においては第1係合部と非係合状態となる。このため、衝撃荷重が作用された状態で乗員からの入力荷重によってシートバックが強く押付けられたとき、入力リンク部材の回動に従動して出力リンク部材が回動し、ヘッドレスト移動手段が作動されてヘッドレスト本体が保護位置に作動される。すなわち、衝撃荷重が作用されていない状態で乗員からシートバックに強い荷重が加えられても、揺動リンク部材の第2係合部と入力リンク部材の第1係合部とは非係合状態であるため、入力リンク部材の回動に出力リンク部材は従動して回動せず、ヘッドレスト移動手段は作動しない。よって、乗員の着座時の挙動によってヘッドレスト本体が誤って保護位置に移動されてしまう、といった誤動作を確実に防止することできる。
しかも、ヘッドレスト移動手段が、シートバックの下部に配設されているため、後突によって車体に作用する衝撃荷重に素早く感応して、揺動リンク部材を揺動させることができ、後突によってヘッドレスト本体を保護位置に迅速に作動させることができる。
請求項2に係る発明によれば、ヘッドレスト移動手段との連結部と支持軸との中間位置において、揺動リンク部材を出力リンク部材に揺動可能に支持しているので、揺動リンク部材の僅かな揺動運動によって、揺動リンク部材の係合部を入力リンク部材の係合部に係合することができ、しかも、入力リンク部材の回動運動をケーブルに拡大して伝達することができる。
請求項3に係る発明によれば、出力リンク部材および揺動リンク部材に形成された第1および第2係合部は、互いに係脱可能に噛合う第1および第2セレーション部からなっているので、揺動リンク部材の揺動によって、第1および第2セレーション部を容易に噛合わせることができる。
以下本発明の実施の形態に係る車両用シート装置を図面に基づいて説明する。図1において、車両用シート装置10は、シートクッション11と、シートバック12と、ヘッドレスト13を備えている。ヘッドレスト13は、上下方向に移動可能な左右一対のステー14と、ステー14の上端に取付けられたヘッドレスト本体15とを有している。
シートバック12は、図2に示すように、内部にシートバックフレーム17を有している。シートバックフレーム17は、左右一対のサイドフレーム21、22と、上側のアッパフレーム23と、下側のロアフレーム24が互いに溶接によって結合された構成となっている。アッパフレーム23の中央部には、上下方向に平行に延びる左右一対のステーホルダ25が保持部材26によって上下方向に移動可能に保持されている。
シートバックフレーム17のアッパフレーム23には、サブフレーム27の両端部が後述するガイドブラケットにより、上下方向に一定量だけ移動可能に案内支持されている。サブフレーム27の中央部には、一対のステーホルダ25の下部が固着されている。ステーホルダ27には、ステー14が上下方向に摺動可能に挿入され、周知のノッチ機構によって、所定の高さ位置に保持されるようになっている。
シートバックフレーム17のアッパフレーム23の両端部には、左右一対のガイドブラケット61がそれぞれ固定されている。一対のガイドブラケット61には、図3に示すように、斜め上下方向に直線状に延びたガイド孔62が形成されている。サブフレーム27の両端部には、スライド部材(例えばスライドピン)63が設けられ、スライド部材63は、ガイドブラケット61のガイド孔62にスライド可能に係合されている。
シートバックフレーム17には、車両の衝突(後突)時に、ヘッドレスト13をシートバック12に対して保護位置に移動させるヘッドレスト移動手段65が配設されている。ヘッドレスト移動手段65は、ヘッドレスト13を固定したサブフレーム27を上方向に付勢する引張りばね67と、引張りばね67によるヘッドレスト13の上方向への移動を規制するロックリンク部材68と、ロックリンク部材68に一端が連結されたケーブル50を備えている。
引張りばね67は、アッパフレーム23とサブフレーム27との間に左右2つ配置されており、それぞれ一端をアッパフレーム23に係止させ、他端をサブフレーム27に係止させて、サブフレーム27をアッパフレーム23に対して上方向に付勢している。
ロックリンク部材68は、中央部を左右一対のガイドブラケット61に支軸69を介して、車両の左右方向に平行な水平軸線の回りに回動可能に支持されている。ロックリンク部材68の上端には、フック部68aが形成され、下端にはケーブル50の一端が連結されている。フック部68aは、スライド部材63に対して前側から係合可能で、かつ、係合を解除することができるようになっている。フック部68aとスライド部材63との係合によって、引張りばね67によるサブフレーム27の上方向移動が規制され、通常は、サブアーム27を下降端位置に保持している。ロックリンク部材68の下端とサイドフレーム21、22との各間には、ばね71がそれぞれ介挿され、このばね71によってフック部68aは、スライド部材63との係合を維持する方向に付勢されている。
ロックリンク部材68の下端がケーブル50によって、ばね71の付勢力に抗して後方側に引っ張られると、ロックリンク部材68は、支軸69を中心に図3の反時計回りに回動されフック部68aによるスライド部材63のロック(移動規制)が解除されるようになっている。これにより、図3(B)に示すように、引張りばね67の付勢力によってスライド部材63がガイドブラケット61のガイド孔62に沿って上方へスライドされ、サブアーム27が一定量上昇される。かかるサブアーム27の上昇により、ステーホルダ25を介してヘッドレスト本体15を斜め前方へ上昇させ、乗員の頭部を拘束して首部を保護する保護位置に位置決めするようになっている。
シートバックフレーム17には、車両用シート装置10に着座する乗員の入力荷重によって作動される受圧部材30が、シートバック12の前後方向に移動可能に設けられている。また、シートバックフレーム17の下部中央部には、シートバック12に後突による衝撃荷重が作用され且つ受圧部材30が作動された際に、受圧部材30の作動力をヘッドレスト13側に伝達する作動力伝達機構31が配設されている。
受圧部材30は、例えば、丸棒を屈曲して構成したもので、図略のばねによってシートバック12の前方に向かって付勢されており、乗員からの入力荷重がばねの付勢力に打ち勝つと、受圧部材30がばねの付勢力に抗してシートバック12の後方に移動されるようになっている。
作動力伝達機構31は、図4および図5に詳細図示するように、入力リンク部材33と、出力リンク部材34と、揺動リンク部材35と、付勢部材としての引張りばね36と、支持ブラケット37によって構成されている。支持ブラケット37は、シートバックフレーム17のロアフレーム24に固定されている。
支持ブラケット37の取付け穴37a(図5参照)には、支持軸38がロアフレーム24に平行な水平な軸線に沿って取付けられている。支持軸38には、入力リンク部材33の下端および出力リンク部材34の一端に形成された嵌合穴33a、34a(図5参照)が挿通され、入力リンク部材33および出力リンク部材34は支持軸38を中心にして回動可能となっている。入力リンク部材33の上端には、受圧部材30に係合する連結部33bが設けられ、入力リンク部材33は受圧部材30の後方への移動によって、支持軸38を中心にして図4の時計回りに回動されるようになっている。
入力リンク部材33には、支持軸38と同心的な内周面40aを有する空間部40が形成され、この空間部40の内周面40aの円周上一部に第1セレーション部41が形成されている。
出力リンク部材34の他端には、一対のワイヤ43の一端が連結される連結部34bが形成され、一対のワイヤ43は支持ブラケット37に一端を固定されたアウタチューブ45内に挿通されて、上方向に延在されている。出力リンク部材34には、支持軸38を嵌装した嵌合穴34aと連結部34bとの中間部に、支軸46が支持軸38と平行に取付けられ、この支軸46に揺動リンク部材35の下端が揺動可能に支持されている。
揺動リンク部材35は、入力リンク部材33の空間部40内に揺動可能に収容される。揺動リンク部材35は、後突による衝撃荷重によって車両用シート装置10に慣性力が作用されると、支軸46を中心にして図4の時計回りに揺動されるようになっている。揺動リンク部材35の上端には、入力リンク部材33の空間部40の内周面40aに対応する円弧部35aが形成され、この円弧部35aに、空間部40の内周面40aに形成した第1セレーション部41に係脱可能に係合(噛合)する第2セレーション部47が形成されている。第1セレーション部41および第2セレーション部47は、請求項における第1係合部および第2係合部を構成している。
揺動リンク部材35は、支持軸38との間に介挿された引張りばね36によって、支軸46を中心にして図4の反時計回りに付勢されている。これによって、揺動リンク部材35は、通常第2セレーション部47が入力リンク部材33の第1セレーション部41より噛合いを離脱され、出力リンク部材34に当接する角度位置に保持されている。
この状態においては、入力リンク部材33が受圧部材30により、支持軸38を中心にして図4の時計回りに回動されても、入力リンク部材33の回動に出力リンク部材34が従動せず、ワイヤ43は作動されない。
これに対し、揺動リンク部材35が支軸46を中心にして引張りばね36の付勢力に抗して揺動され、第2セレーション部47が入力リンク部材33の第1セレーション部41に噛合されると、入力リンク部材33の回動によって、揺動リンク部材35が一体的に回動され、さらに、支軸46を介して揺動リンク部材35と連結された出力リンク部材34も、入力リンク部材33と一体的に回動され、一対のワイヤ43が下方に引張られる。
ワイヤ43はアウタチューブ45とによって、ケーブル50を構成しており、ケーブル50は、シートバックフレーム17の上方に延在され、一対のワイヤ43の各他端が、上記した左右一対のロックリンク部材68の下端に連結されている。これにより、出力リンク部材34の回動によってワイヤ43の一端が下方に引張られると、ワイヤ43の他端によってロックリンク部材68がばね71の付勢力に抗して後方に引張られて回動され、スライド部材63の上方への移動規制を解除するようになっている。
次に、上記した第1の実施の形態における動作について説明する。乗員がシートバック12に荒っぽく着座したり、あるいは乗員の膝や肘でシートバック12が強く押されると、乗員からの入力荷重によって受圧部材30が図略のばねの付勢力に抗してシートバック12の後方に移動される。これにより、受圧部材30に連結部33bを介して係合された入力リンク部材33が、支持軸38を中心にして図4の時計回りに回動される。
しかしながら、通常揺動リンク部材35は、引張りばね36の付勢力によって、第2セレーション部47が入力リンク部材33の第1セレーション部41より噛合いが外れた角度位置に保持されているため、入力リンク部材33が回動されても、揺動リンク部材35および出力リンク部材34が回動されることはなく、誤動作を防止できる。
車両が後突され、シートバック12に車両の後方から前方に向かって大きな衝撃荷重が作用されると、揺動リンク部材35が支軸46を中心にして引張りばね36の付勢力に抗して図4の時計回りに揺動される。これにより、揺動リンク部材35の第2セレーション部47が、入力リンク部材33の第1セレーション部41に噛合され、出力リンク部材34は入力リンク部材33に従動可能となる。
一方、後突によって乗員がシートバック12に強く押付けられ、乗員からの入力荷重によって受圧部材30が図略のばねの付勢力に抗してシートバック12の後方に移動される。これにより、受圧部材30に連結部33bを介して係合された入力リンク部材33が、支持軸38を中心にして図4の時計回りに回動される。
入力リンク部材33が回動されると、揺動リンク部材35が第1および第2セレーション部41、47を介して一体的に回動され、さらに、支軸46によって揺動リンク部材35と連結された出力リンク部材34も一体的に回動され、ワイヤ43の一端が下方に引張られる。これにより、ワイヤ43を介して左右一対のロックリンク部材68の下端がばね71の付勢力に抗して後方に引張られ、図3(B)に示すように、フック部68aとスライド部材63との係合が解除される。フック部68aとスライド部材63との係合が解除されると、引張りばね67の付勢力によってスライド部材63がガイドブラケット61のガイド孔62に沿って上方へスライドされ、サブアーム27が一定量上方に移動される。この結果、ステーホルダ25を介してヘッドレスト本体15が斜め前方へ上昇され、乗員の頭部を拘束する保護位置に位置決めされる。
上記した実施の形態によれば、揺動リンク部材35の第2セレーション部47は、シートバック12に対して後突による衝撃荷重が作用された場合にのみ入力リンク部材33の第1セレーション部41と係合状態となり、衝撃荷重が作用されない状態においては第1セレーション部41と非係合状態となる。このため、衝撃荷重が作用された状態で乗員からの入力荷重によってシートバック12が強く押付けられたとき、入力リンク部材33の回動に従動して出力リンク部材34が回動し、作動力伝達機構31が作動されてヘッドレスト本体15が保護位置に作動される。すなわち、衝撃荷重が作用されていない状態で乗員からシートバック12に強い荷重が加えられても、揺動リンク部材35の第2セレーション部47と入力リンク部材33の第1セレーション部41とは非係合状態であるため、入力リンク部材33の回動に出力リンク部材34は従動して回動せず、作動力伝達機構31は作動しない。よって、乗員の着座時の挙動によってヘッドレスト本体15が誤って保護位置に移動されてしまう、といった誤動作を確実に防止することできる。
しかも、作動力伝達機構31が、シートバック12の下部に配設されているため、後突によって車体に作用する衝撃荷重に素早く感応して、揺動リンク部材35を揺動させることができるとともに、揺動リンク部材35の僅かな揺動運動によって、入力リンク部材33の回動に出力リンク部材34を従動させることができるので、後突によってヘッドレスト本体15を保護位置に迅速に作動させることができる。
上記した実施の形態によれば、出力リンク部材34および揺動リンク部材35に、係脱可能に噛合う第1および第2セレーション部41,47を設けているので、揺動リンク部材35の揺動によって、出力リンク部材34および揺動リンク部材35の第1および第2セレーション部41,47を容易に噛合わせることができる。
また、上記した実施の形態によれば、ヘッドレスト移動手段65との連結部34bと支持軸38との中間位置において、揺動リンク部材35を出力リンク部材34に揺動可能に支持しているので、揺動リンク部材35の僅かな揺動運動によって、第1および第2セレーション部41,47を噛合わせることができるとともに、入力リンク部材33の回動運動をケーブル50に拡大して伝達することができる。
上記した実施の形態においては、ケーブル50の一端をロックリンク部材68に連結して、ケーブル50が出力リンク部材34によって引っ張られると、ロックリンク部材68を回動させてフック部68aによるスライド部材63のロックを解除し、引張りばね67によってスライド部材63とともにヘッドレスト本体15を上方に移動させる例について述べたが、本発明は必ずしもそのような構成に限定されるものではなく、例えば、ケーブル50をスライド部材63に直接連結し、ケーブル50が引張られることによって、スライド部材63とともにヘッドレスト本体15を直接引張り上げる構成としてもよい。
また、実施の形態においては、出力リンク部材34の運動をケーブル50を用いて、ヘッドレスト13側に伝達するようにしたが、伝達部材として、ケーブルに限らず、例えばリンク機構などの他の部材を用いることもできる。
また、上記した実施の形態においては、入力リンク部材33および揺動リンク部材35に、離脱可能に係合(噛合)する第1および第2セレーション41、47を形成したが、セレーションに限らず、互いに係脱可能に係合する係合部を有するものであればよい。
以上、本発明を実施の形態に即して説明したが、本発明は実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で種々の形態を採り得るものである。
10…車両用シート装置、11…シートクッション、12…シートバック、13…ヘッドレスト、14…ステー、15…ヘッドレスト本体、17…シートバックフレーム、24…ロアフレーム、30…受圧部材、31…作動力伝達機構、33…入力リンク部材、34…出力リンク部材、34b…連結部、35…揺動リンク部材、36…付勢部材(引張りばね)、38…支持軸、41…第1係合部(第1セレーション部)、47…第2係合部(第2セレーション部)、50…ケーブル、65…ヘッドレスト移動手段。
Claims (3)
- 車両用シートのシートバックの上方に配置されるヘッドレスト本体と、
前記ヘッドレスト本体を前記シートバックに支持するステーと、
前記シートバック内に配設され、前記車両用シートに着座する乗員の入力荷重によりばね力に抗して作動される受圧部材と、
前記シートバック内の下方位置に配設され、前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用され且つ前記受圧部材が作動された際に、該受圧部材の作動力を伝達する作動力伝達機構と、
該作動力伝達機構によって前記作動力が伝達されたときに、前記ヘッドレスト本体を保護位置に移動させるヘッドレスト移動手段と、
を備えた車両用シート装置において、
前記作動力伝達機構は、
内周に第1係合部を有し、前記受圧部材の作動によって支持軸を中心にして回動される入力リンク部材と、
前記支持軸に回動可能に支持されるとともに前記ヘッドレスト移動手段に連結され、前記支持軸を中心として回動することにより前記ヘッドレスト移動手段を作動させる出力リンク部材と、
前記出力リンク部材に揺動可能に支持され、前記入力リンク部材の前記第1係合部に係脱可能な第2係合部を有し、該第2係合部を前記第1係合部との係合を解除する方向に付勢する付勢部材の付勢力に抗した前記シートバックに後突による衝撃荷重が作用されることによって揺動して前記第2係合部を前記第1係合部に係合させることにより、前記出力リンク部材を前記入力リンク部材に従動可能とする揺動リンク部材と、
を備えることを特徴とする車両用シート装置。 - 請求項1において、前記出力リンク部材は、一端が前記支持軸に回動可能に支持され、他端が前記ヘッドレスト移動手段に連結され、前記ヘッドレスト移動手段との連結部と前記支持軸との中間位置において、前記揺動リンク部材を前記出力リンク部材に揺動可能に支持したことを特徴とする車両用シート装置。
- 請求項1または請求項2において、前記出力リンク部材および前記揺動リンク部材に形成された前記第1および第2係合部は、互いに係脱可能に噛合う第1および第2セレーション部からなっていることを特徴とする車両用シート装置。
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