以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[クローポールモータの基本構成]
図1~図13を参照して、本実施形態に係るクローポールモータ1の基本構成について説明する。
図1は、クローポールモータ1(回転子10)の一例を示す斜視図である。図2は、クローポールモータ1の固定子20の一例を示す斜視図である。具体的には、図2は、図1において、回転子10(ロータコア11、永久磁石12、及び回転軸部材15)の図示を省略した図である。図3~図7は、クローポールモータ1の第1例~第5例を示す縦断面図である。具体的には、図3~図7は、回転軸心AXを含む、クローポールモータ1の軸方向(以下、単に「軸方向」)に平行な平面によるクローポールモータ1の第1例~第5例の断面図である。図8は、回転子10の他の例を示す横断面図である。具体的には、図8は、クローポールモータ1の軸方向に垂直な平面による回転子10の他の例の断面図である。図9は、固定子ユニット21(ステータコア211)の第1例を示す分解図である。図10は、固定子ユニット21(ステータコア211)の第2例を示す分解図である。図11は、ステータコア211の第3例を示す斜視図である。図12は、固定子ユニット21(ステータコア211)の第4例を示す斜視図である。図13は、固定子ユニット21(ステータコア211)の第4例を示す分解図である。
尚、図1では、回転子10の内部の構造を露出させるため、後述する保持部材13の図示が省略されている。また、図3~図7では、簡単のため、爪磁極部211B2の図示が省略される等によって、後述する固定子ユニット21A~21Cの構造が簡略化されている。
図1、図2に示すように、クローポールモータ(「クローポール型の回転電機」とも称する)1は、アウタロータ型であり、複数相(本例では、3相)の電機子電流で駆動される。
尚、クローポールモータ1は、インナロータ型であってもよい。また、クローポールモータ1は、単相や2相の電機子電流で駆動される形態であってもよいし、4相以上の電機子電流で駆動される形態であってもよい。
図1~図6に示すように、クローポールモータ1は、回転子10と、回転軸部材15と、固定子20と、支持部材24と、軸受25と、固定部材30とを含む。また、図7に示すように、クローポールモータ1において、回転軸部材15は、省略されてもよい。
図1、図3~図7に示すように、回転子(「ロータ」とも称する)10は、固定子20に対して、クローポールモータ1の径方向(以下、単に「径方向」)の外側に配置され、回転軸心AXまわりに回転可能である。回転子10は、永久磁石界磁であり、ロータコア11と、複数(本例では、20個)の永久磁石12と、保持部材13とを含む。
尚、回転子10は、インナロータ型の場合、当然の如く、固定子20に対して、径方向の内側に配置される。また、回転子10は、クローポールモータ1が回転電機、例えば同期電動機として機能することが可能であれば、任意の形態であってよい。
ロータコア(「回転子鉄心」とも称する)11は、例えば、略円筒形状を有し、クローポールモータ1の回転軸心AXと円筒形状の軸心とが略一致するように配置される。"略"は、例えば、製造上の誤差等を許容する意図であり、以下、同様の意図で用いる。また、ロータコア11は、クローポールモータ1の軸方向(以下、単に「軸方向」)において、固定子20と略同等の長さを有する。ロータコア11は、例えば、電磁鋼板、鋳鉄、圧粉磁心等の軟磁性体により形成される。ロータコア11は、例えば、図1に示すように、軸方向において、一の部材で構成される。また、ロータコア11は、例えば、軸方向に積層される複数のロータコアで構成されてもよい。例えば、ロータコア11は、後述する固定子ユニット21A~21Cのそれぞれに対応する3つのロータコアで構成されてもよい。
複数の永久磁石12は、電機子としての固定子20と鎖交する磁界を発生させる。
図2に示すように、永久磁石12は、例えば、ロータコア11の内周面において、周方向に略等間隔で複数(本例では、20個)並べられてよい。つまり、クローポールモータ1は、表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)であってよい。
また、図8に示すように、永久磁石12は、例えば、ロータコア11に埋設される形で、周方向に略等間隔で複数(本例では、16個)並べられてもよい。つまり、クローポールモータ1は、埋込磁石型(IPM:Interior permanent Magnet)であってもよい。
複数の永久磁石12は、それぞれ、ロータコア11の軸方向の略一端から略他端までの間に存在するように形成されている。永久磁石12は、例えば、ネオジム焼結磁石やフェライト磁石である。
複数の永久磁石12は、それぞれ、径方向の両端面に異なる磁極が着磁されている。また、複数の永久磁石12のうちの周方向で隣り合う二つの永久磁石12は、固定子20に面する径方向の内側に互いに異なる磁極が着磁されている。そのため、固定子20の径方向の外側には、周方向で、径方向の内側にN極が着磁された永久磁石12と、径方向の内側にS極が着磁された永久磁石12とが交互に配置される。
複数の永久磁石12は、それぞれ、軸方向において、一の磁石部材で構成されていてもよいし、軸方向に分割される複数(例えば、積層されるロータコア11の部材の数に対応する3つ)の磁石部材で構成されていてもよい。この場合、軸方向に分割される永久磁石12を構成する複数の磁石部材は、固定子20に面する径方向の内側に全て同じ磁極が着磁される。
尚、周方向に配置される複数の永久磁石12は、例えば、周方向で異なる磁極が交互に着磁される円環状のリング磁石やプラスチック磁石等、周方向において、一の部材で構成される永久磁石に置換されてもよい。この場合、周方向において、一の部材で構成される永久磁石は、軸方向においても、一の部材で構成され、全体として、一の部材で構成されてもよい。また、周方向において、一の部材で構成される永久磁石は、複数の永久磁石12の場合と同様、軸方向において、複数の部材に分割されていてもよい。また、周方向において、一の部材で構成されるプラスチック磁石が採用される場合、ロータコア11は、省略されてもよい。また、周方向に一の部材が構成され、内周面に周方向で交互に異なる磁極が表れるように極異方性の磁化配向で着磁された円環状(略円筒形状)の永久磁石が採用される場合、ロータコア11は、省略されてもよい。
保持部材13は、ロータコア11及び永久磁石12を、回転軸心AXを中心として回転可能に保持するために設けられる。例えば、ロータコア11の略円筒形状の開放端を閉塞する形の略円板形状を有する。これにより、図3~図6に示すように、保持部材13は、ロータコア11及びロータコア11に固定される複数の永久磁石12は、回転軸心AXに沿って配置される回転軸部材15と連結することができる。そのため、回転子10は、回転軸部材15の回転に合わせて、固定部材30に対してクローポールモータ1の回転軸心AXまわりに回転することができる。また、図7に示すように、保持部材13は、略円板形状の中央部に軸方向に貫通する孔部を有してもよい。これにより、回転子10は、保持部材13の軸方向に貫通する孔部の内周面に配置される軸受25を介して、固定部としての支持部材24に対して回転することができる。
図3~図6に示すように、回転軸部材15(回転軸の一例)は、回転子10の保持部材13の径方向の中央部に連結される。回転軸部材15は、例えば、軸方向に細長い、略円柱形状を有し、クローポールモータ1の回転軸心AXと円柱形状の軸心とが略一致するように配置される。例えば、図3~図5に示すように、回転軸部材15は、固定子20の径方向内側の中空部において、軸方向に延びるように設けられる。図3、図4に示すように、回転軸部材15は、固定子20の径方向の内側の中空部を貫通していてもよいし、図5に示すように、保持部材13から見た先端部が固定子20の径方向の内側の中空部に含まれるように配置されてもよい。また、図6に示すように、回転軸部材15は、固定子20とは軸方向でオフセットされる形で軸方向に延びるように設けられてもよい。
図3~図6に示すように、回転軸部材15は、例えば、支持部材24の軸方向の両端部に設けられる軸受25によって回転可能に支持される。後述の如く、支持部材24は、固定部材30に固定される。これにより、回転軸部材15は、固定部材30に対して回転軸心AX回りで回転することができる。図3~図7に示すように、回転軸部材15は、例えば、軸方向において、クローポールモータ1の固定部材30側の端部とは反対側の端部(以下、便宜的に「クローポールモータ1の先端部」)で、保持部材13を介して、ロータコア11と連結される。
図2~図7に示すように、固定子(「ステータ」とも称する)20は、回転子10(ロータコア11及び永久磁石12)の径方向の内側に配置される。固定子20は、電機子であり、複数(本例では、3つ)のクローポール型固定子ユニット(以下、単に「固定子ユニット」)21と、複数(本例では、2つ)の相間部材22と、端部材23と、支持部材24とを含む。
尚、固定子20は、インナロータ型の場合、当然の如く、回転子10の径方向の外側に配置される。また、相間部材22、端部材23、及び支持部材24は、いずれも必須ではなく、適宜省略されてもよい。
図9、図10、図12、図13に示すように、固定子ユニット21は、一対のステータコア211と、コイル212とを含む。
一対のステータコア211(「固定子鉄心」とも称する)211は、コイル212の周囲を取り囲むように設けられる。ステータコア211は、例えば、圧粉磁心等の軟磁性体で形成される。また、ステータコア211は、例えば、表面が酸化膜等によって絶縁処理されてもよい。ステータコア211は、ヨーク部211Aと、複数の爪磁極(「クローポール」とも称する)211Bと、ヨーク部211Cと、孔部211Dとを含む。
ヨーク部211Aは、軸方向視で略円環形状を有すると共に、軸方向に所定の厚みを有する。
複数の爪磁極211Bは、ヨーク部211Aの外周面において、周方向に略等間隔で配置され、それぞれ、ヨーク部211Aの外周面から径方向の外側に向かって突出する。例えば、爪磁極211Bの数は、対向する回転子10の径方向の内面に周方向に並べられる永久磁石12の磁極数と同一である。爪磁極211Bは、爪磁極部211B1を含む。
爪磁極部211B1は、周方向に所定の幅を有し且つ軸方向にヨーク部211Aの軸方向厚みと同等程度の厚みを有し、ヨーク部211Aの外周面から径方向に所定の長さだけ延び出す形で突出する。
また、爪磁極211Bは、爪磁極部211B2を含む。これにより、コイル212の電機子電流により磁化される爪磁極211Bの磁極面と回転子10との対向面積を相対的に広く確保することができる。そのため、クローポールモータ1の出力トルクを相対的に増加させ、クローポールモータ1の出力を向上させることができる。
爪磁極部211B2は、爪磁極部211B1の先端から一対のステータコア211の他方に向かって軸方向に所定の長さだけ延び出す形で突出する。例えば、図9、図11~図13に示すように、爪磁極部211B2は、爪磁極部211B1からの距離に依らず幅が一定であってよい。また、例えば、図10に示すように、爪磁極部211B2は、爪磁極部211B1から軸方向で離れるにつれて幅が狭くなるテーパ形状を有していてもよい。
尚、爪磁極部211B2は、省略されてもよい。
ヨーク部211Cは、ヨーク部211Aの内周面付近の部分が一対のステータコア211の他方に向かって所定量だけ突出する形で構成され、コイル212の径方向の内側を包囲する隔壁として機能する。
例えば、図9、図10に示すように、ヨーク部211Cは、軸方向視でヨーク部211Aより外径が小さい円環形状を有する。これにより、一対のステータコア211は、互いのヨーク部211Cの先端部で当接し、一対のステータコア211に対応する一対のヨーク部211Aや爪磁極211B(爪磁極部211B1)の間にコイル212を収容する空間が形成される。この場合、一対のステータコア211は、互いに軸方向で対向する合わせ面、換言すれば、互いに軸方向に垂直な合わせ面で連結される。また、この場合、ヨーク部211Cのヨーク部211Aからの突出量の2倍は、爪磁極部211B2の爪磁極部211B1からの突出量と同じか、或いは、それより大きくなるように構成される。これにより、一対のステータコア211が連結される状態で、爪磁極部211B2の先端が一対のステータコア211の軸方向の両端面から突出しないようにすることができる。
また、例えば、図11に示すように、ヨーク部211Cは、円環形状の周方向の一部に切欠部211C1を有してもよい。これにより、例えば、切欠部211C1を通じて、コイル212から引き出される引出線(後述の図14、図15参照)をステータコア211の外部(径方向の内側)に引き出す形で取り回すことができる。
また、例えば、図12、図13に示すように、一対のステータコア211が径方向及び周方向に対向する面で連結されるように、ヨーク部211A,211Cが設けられてもよい。具体的には、ヨーク部211Aは、ヨーク部211A1,211A2を含む。ヨーク部211A1は、ヨーク部211Aにおける径方向の外側の爪磁極211Bの基端との連結部に相当し、軸方向視で略円環形状を有してよい。また、ヨーク部211A2は、ヨーク部211Aにおける径方向の内側のヨーク部211Cの基端との連結部に相当し、ヨーク部211A1の内側面から径方向の内側に突出すると共に、軸方向視で扇形状を有してよい。また、ヨーク部211A2は、周方向に等間隔で複数(本例では、4つ)配置されると共に、周方向で隣り合う2つのヨーク部211A2との間の切欠部分の軸方向視の形状とヨーク部211A2の軸方向視の形状とが略同じになるように構成される。そして、ヨーク部211Cは、複数のヨーク部211A2のそれぞれから他方のステータコア211に向かって軸方向に突出する形で設けられる。これにより、ヨーク部211Cの先端部が他方のステータコア211の周方向で隣り合う2つのヨーク部211A2の間の切欠部分に嵌まり合う形で、一対のステータコア211を連結することができる。
孔部211D(第3の貫通孔の一例)は、ヨーク部211A及びヨーク部211Cの内周面によって形成され、軸方向で貫通するように設けられる。
コイル212(巻線の一例)は、固定子20の軸心、即ち、クローポールモータ1の回転軸心AXを略中心として、軸方向視で導線が円環状に巻き回されることにより構成される。コイル212の導線は、例えば、軸方向で複数の層を成すように巻き回されてもよいし、径方向で複数の列を成すように巻き回されてもよいし、軸方向で複数の層を成し且つ径方向で複数の列を成すように巻き回されてもよい。また、コイル212の導線は、例えば、断面が円形の丸線である。また、コイル212の導線は、例えば、断面が矩形の角線や平角線であってもよい。複数相(本例では、3相)のコイル212同士がY結線(スター結線)で接続される場合、コイル212は、その一端が外部端子に電気的に繋がっており、その他端が中性点に電気的に繋がっている(後述の図14参照)。また、例えば、複数相のコイル212同士がΔ結線(デルタ結線)で接続される場合、コイル212は、その一端がクローポールモータ1の一の外部端子(同じ相の外部端子)に電気的に繋がっており、その他端がクローポールモータ1の他の外部端子(異なる相の外部端子)に電気的に繋がっている(後述の図15参照)。コイル212は、軸方向において、一対のステータコア211(ヨーク部211A)の間に配置される。また、コイル212は、内周部が一対のステータコア211のヨーク部211Cよりも径方向で外側になり、且つ、外周部が一対のステータコア211の爪磁極部211B2よりも径方向で内側になるように巻き回されている。
尚、ステータコア211とコイル212の導線との間には、ステータコア211とコイル212の導線との間を電気的に絶縁する絶縁部が配置される。絶縁部は、例えば、ステータコア211とコイル212との間に配置される、絶縁紙、樹脂成形されたインシュレータ、シリコンゴム、ボビン、ステータコア211或いはコイル212に対する樹脂モールド等である。また、絶縁部は、例えば、コイル212の導線の表面に設けられる樹脂の絶縁皮膜であってもよい。
図2に示すように、一対のステータコア211は、一方のステータコア211の爪磁極211Bと他方のステータコア211の爪磁極211Bとが周方向で交互に配置されるように組み合わせられる。また、円環状のコイル212に電機子電流が流れると、一対のステータコア211のうちの一方に形成される爪磁極211Bと他方に形成される爪磁極211Bとは、互いに異なる磁極に磁化される。これにより、一対のステータコア211において、一方のステータコア211から突出する一の爪磁極211Bは、周方向で隣接し、他方のステータコア211から突出する他の爪磁極211Bと異なる磁極を有する。そのため、コイル212に流れる電機子電流により、一対のステータコア211の周方向には、N極の爪磁極211B及びS極の爪磁極211Bが交互に配置される。
図2~図7に示すように、複数の固定子ユニット21は、軸方向に積層される。
複数の固定子ユニット21には、複数相(本例では、3相)分の固定子ユニット21が含まれる。具体的には、複数の固定子ユニット21は、U相に対応する固定子ユニット21Aと、V相に対応する固定子ユニット21Bと、W相に対応する固定子ユニット21Cとを含む。複数の固定子ユニット21は、クローポールモータ1の先端部から、U相に対応する固定子ユニット21A、V相に対応する固定子ユニット21B、及びW相に対応する固定子ユニット21Cの順で積層される。固定子ユニット21A~21Cは、例えば、互いに、周方向の位置が電気角で120°異なるように配置される。
尚、クローポールモータ1は、同じ相の固定子ユニット21を複数有してもよい。例えば、U相の対応する2つの固定子ユニット21、V相に対応する2つの固定子ユニット21、及びW相に対応する2つの固定子ユニット21がこの順で軸方向に積層されてもよい。また、クローポールモータ1は、上述の如く、単相や2相の電機子電流で駆動されてもよいし、4相以上の電機子電流で駆動されてもよい。この場合、相数に相ごとの固定子ユニット21の数を乗じた数の分の固定子ユニット21が軸方向に積層される。
相間部材22は、軸方向で隣接する異なる相の固定子ユニット21の間に設けられる。相間部材22は、例えば、非磁性体である。これにより、異なる相の二つの固定子ユニット21の間に所定の距離を確保し、異なる相の二つの固定子ユニット21の間での磁束漏れを抑制することができる。相間部材22は、UV相間部材22Aと、VW相間部材22Bとを含む。
UV相間部材22Aは、軸方向で隣接する、U相の固定子ユニット21AとV相の固定子ユニット21Bとの間に設けられる。UV相間部材22Aは、例えば、所定の厚みを有する略円柱形状(略円板形状)を有し、径方向の中心部分に軸方向に貫通する貫通孔が形成される。貫通孔は、例えば、軸方向視で、ステータコア211の孔部211Dと同じ或いはそれより小さい径の略円形状を有する。以下、VW相間部材22Bについても同様であってよい。
VW相間部材22Bは、軸方向で隣接する、V相の固定子ユニット21BとW相の固定子ユニット21Cとの間に設けられる。
端部材23は、積層される複数の固定子ユニット21のクローポールモータ1の端部に設けられる。
例えば、図3、図5~図7に示すように、端部材23は,クローポールモータ1の先端部のみに設けられる。具体的には、端部材23は、軸方向において、固定子ユニット21Aの固定子ユニット21Bに面する側と反対側の端面に接するように設けられる。端部材23は、例えば、所定の厚みを有する略円柱形状(略円板形状)を有し、径方向の中心部分に軸方向に貫通する貫通孔が形成される。貫通孔は、例えば、軸方向視で、ステータコア211の孔部211Dと同じ或いはそれより小さい径の略円形状を有する。以下、後述の端部材23A,23Bについても同様である。端部材23は、例えば、非磁性体である。これにより、固定子ユニット21Aのステータコア211からの磁束漏れを抑制することができる。
また、例えば、図4に示すように、端部材23は、複数の固定子ユニット21のクローポールモータ1の先端部、及び基端部の双方に設けられてもよい。具体的には、端部材23は、複数の固定子ユニット21のクローポールモータ1の先端部及び基端部のそれぞれに設けられる端部材23A,23Bを含んでよい。端部材23Aは、図3、図7の端部材23に相当する。端部材23Bは、固定子ユニット21Cと固定部材30との間に配置される。これにより、固定子ユニット21Cのステータコア211からの磁束漏れを抑制することができる。
尚、クローポールモータ1の第3例(図5)~第5例(図7)において、端部材23A,23Bが採用されてもよい。
支持部材24は、軸受25が固定される。これにより、図3~図6に示すように、支持部材24は、軸受25を介して回転軸部材15を回転可能に支持することができる。また、図7に示すように、支持部材24は、軸受25を介して、回転子10(保持部材13)を回転可能に支持することができる。
例えば、図3~図5に示すように、支持部材24は、固定子20の径方向の内側で軸方向に貫通するように設けられる。本例では、支持部材24は、挿通部24Aと、拡径部24Bとを含む。
挿通部24A(軸受保持部材の一例)は、例えば、ステータコア211の孔部211Dの内径よりも小さい外径の略円筒形状を有し、その外周面より径方向の外側に固定子20(固定子ユニット21A~21C)が配置される。そして、挿通部24Aは、その先端が固定部材30に固定される。換言すれば、挿通部24Aは、固定部材30から軸方向に延びるように設けられる。例えば、図3~図5に示すように、挿通部24Aは、固定部材30の径方向の軸心を中心とした領域に設けられる軸方向に貫通する貫通孔(第3の貫通孔の一例)に圧入等によって嵌合されることにより、固定部材30に固定される。また、挿通部24Aは、その先端部に雄ネジ加工が成され、固定部材30に設けられる軸方向に貫通する貫通孔に挿通され反対側に露出するその先端部にナットがねじ込まれることにより、固定部材30に固定されてもよい。
拡径部24B(第2の固定子保持部材の一例)は、クローポールモータ1の先端側の挿通部24Aの端部に設けられ、ステータコア211の孔部211Dよりも大きい外径を有する円板形状を有する。これにより、図4に示すように、挿通部24Aが挿通される、端部材23、固定子ユニット21A、UV相間部材22A、固定子ユニット21B、VW相間部材22B、及び固定子ユニット21Cを拡径部24B及び固定部材30の間に挟み込む形で固定することができる。特に、圧粉磁心は、引張応力に対する強度が相対的に低い一方、圧縮応力に対する強度が相対的に高い。よって、圧粉磁心で形成されるステータコア211に圧縮応力が作用する形で、固定子ユニット21A~21Cに固定することができる。
また、支持部材24の径方向の中央部には、軸方向に貫通する孔部24Hが設けられる。孔部24Hの内周面には、軸受25が軸方向で離隔された2か所に取り付けられると共に、回転軸部材15が孔部24Hの内部で軸方向に延びるように配置され、2つの軸受25によって回転可能に支持される。
また、図6に示すように、支持部材24は、軸方向で固定子20とオフセットするように配置されてもよい。具体的には、支持部材24は、保持部材13から見て固定子20とは軸方向で反対側において、径方向の中央部で軸方向に延びるように設けられる。支持部材24には、軸方向に貫通する孔部24Hが設けられる。孔部24Hには、軸方向で互いにある程度離間する距離に2つの軸受25が設けられ、回転軸部材15が2つの軸受25によって回転可能に支持される。この場合、支持部材24は、図示しない他の部材(例えば、筐体)等を介して、固定部材30に固定される。
また、図7に示すように、支持部材24は、挿通部24Aと、拡径部24Bとに加えて、延長部24Cを含んでもよい。
延長部24Cは、略円筒形状を有し、拡径部24Bが配置される軸方向の位置から軸方向で保持部材13側に向かって延長されている。延長部24Cの外周面の外径は、挿通部24Aと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
延長部24Cの先端は、保持部材13の径方向の中央部の孔部に挿通され、その外周面には軸受25が配置される。これにより、延長部24Cは、軸受25を介して、回転子10(保持部材13)を回転可能に支持することができる。
また、本例(図7)では、孔部24Hが軸方向で支持部材24を貫通しているが、固定部材30から見て支持部材24の先端部は閉塞されていてもよい。
また、図6に示すように、クローポールモータ1は、固定部材27と、ボルト28とを含んでもよい。
固定部材27(第2の固定子保持部材の一例)は、軸方向で端部材23の固定子ユニット21Aが面する側と反対側に設けられる。固定部材27は、ステータコア211の孔部211Dの内径よりも大きい外径の略円板形状を有し、径方向の中央部に略同軸配置される。また、固定部材27は、軸方向視で、ステータコア211の孔部211Dよりも径方向の内側の同心円状に周方向で等間隔に配置される複数(本例では、4つ)の貫通孔を有する。
ボルト28は、固定子20の軸方向の長さと、固定部材27の厚みとの合計よりも十分に大きい長さを有する。ボルト28は、固定部材27に設けられる貫通孔と同様に複数(本例では、4つ)設けられる。ボルト28は、固定部材27の貫通孔に挿通され、ステータコア211の孔部211D等により形成される、固定子20の径方向の内側の空間(孔部)を通過し、先端の雄ネジ部が固定部材30に形成される、雌ネジ加工された孔部にネジ込まれる。これにより、ボルト28によって、固定部材27が固定部材30に固定される。そのため、図6に示すように、端部材23、固定子ユニット21A、UV相間部材22A、固定子ユニット21B、VW相間部材22B、及び固定子ユニット21Cを固定部材27及び固定部材30の間に挟み込む形で固定することができる。
固定部材30(第1の固定子保持部材の一例)は、例えば、軸方向視で回転子10(ロータコア11)よりも大きい外径の略円板形状を有し、上述の如く、径方向の中央部に軸方向に貫通する貫通孔を有する。
例えば、図3~図5、図7に示すように、固定部材30には、上述の如く、支持部材24を介して、回転子10が回転可能に支持され、固定子20が軸方向に保持されることにより固定される。また、例えば、図6に示すように、固定部材30には、上述の如く、固定部材27及びボルト28を介して固定子20が固定される。
尚、固定子20は、例えば、固定子ユニット21、相間部材22、及び端部材23が互いに隣接する構成要素と接着剤等によって連結されると共に、固定部材30に接着材等によって連結されることで、固定部材30に軸方向で固定されてもよい。この場合、拡径部24Bや固定部材27は省略されてもよい。
固定部材30は、例えば、銅やアルミニウム等の相対的に高い熱電導性を有する金属で構成される。これにより、コイル212で発生する熱エネルギを固定部材30により効率的に伝導させることができる。そのため、コイル212の冷却を促進させることができる。また、固定部材30は、例えば、軸方向で固定子20と面する領域以外の領域において、段差形状、フィン形状、ピン形状等を有してもよい。これにより、固定部材30は、その表面積が相対的に大きくなり、外気への放熱を促進することができる。そのため、コイル212で発生する熱が伝導される際の固定部材30の温度上昇を更に抑制し、コイル212で発生する熱を確実に固定部材30に移動させ、コイル212の冷却を促進させることができる。
[クローポールモータの回路構成]
次に、図14、図15を参照して、本実施形態に係るクローポールモータ1の回路構成について説明する。
図14、図15は、クローポールモータ1の回路構成の一例及び他の例を示す図である。具体的には、図14、図15は、複数相(3相)のコイル212がY結線及びΔ結線のそれぞれで接続される場合のクローポールモータ1の回路構成を示す模式図である。
図14、図15に示すように、クローポールモータ1は、制御装置40を含む。
制御装置40は、クローポールモータ1に供給される電力を制御する。例えば、制御装置40は、商用電源等の所定の交流電源から受電される電力から直流電力を生成する整流回路と、直流電力を平滑化する平滑回路と、直流電力から所定の電圧や所定の周波数の交流電力を出力するインバータ回路とを含むインバータ装置である。制御装置40は、例えば、インバータ回路のU相、V相、及びW相の出力線に接続され、外部にU相、V相、及びW相の電流を出力するためのU相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCを含む。また、図14に示すように、Y結線の場合、制御装置40は、中性点端子TNPを含んでもよい。
尚、中性点端子TNPは、省略されてもよい。Y結線の場合の中性点は、制御装置40に設けられる必要がないからである。
図14に示すように、Y結線の場合、U相の固定子ユニット21Aのコイル212は、一端が引出線LL_AT(電線の一例)を通じてU相端子TAに接続され、他端が引出線LL_AN(電線の一例)を通じて中性点端子TNPに接続される。同様に、V相の固定子ユニット21Bのコイル212は、一端が引出線LL_BT(電線の一例)を通じてV相端子TBに接続され、他端が引出線LL_BN(電線の一例)を通じて中性点端子TNPに接続される。同様に、W相の固定子ユニット21Cのコイル212は、一端が引出線LL_CT(電線の一例)を通じてW相端子TCに接続され、他端が引出線LL_CN(電線の一例)を通じて中性点端子TNPに接続される。
このように、Y結線の場合、U相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCには、それぞれ、1本の引出線(引出線LL_AT、引出線LL_BT、及び引出線LL_CT)が接続される。また、中性点端子TNPには、3本の引出線(引出線LL_AN,LL_BN,LL_CN)が接続される。
図15に示すように、Δ結線の場合、U相の固定子ユニット21Aのコイル212は、一端が引出線LL_AA(電線の一例)を通じてU相端子TAに接続され、他端が引出線LL_AB(電線の一例)を通じてV相端子TBに接続される。同様に、V相の固定子ユニット21Bのコイル212は、一端が引出線LL_BB(電線の一例)を通じてV相端子TBに接続され、他端が引出線LL_BC(電線の一例)を通じてW相端子TCに接続される。同様に、W相の固定子ユニット21Cのコイル212は、一端が引出線LL_CC(電線の一例)を通じてW相端子TCに接続され、他端が引出線LL_CA(電線の一例)を通じてU相端子TAに接続される。
このように、Δ結線の場合、U相端子TA、V相端子TB、及びW相端子には、それぞれ、2本の引出線(引出線LL_AA,LL_CA、引出線LL_AB,LL_BB、及び引出線LL_BC,LL_CC)が接続される。
以下、Y結線の場合の引出線LL_AT,LL_BT,LL_CT,LL_AN,LL_BN,LL_CNやΔ結線の場合の引出線LL_AA,LL_AB,LL_BB,LL_BC,LL_CA,LL_CCを包括的に或いは個別に引出線LLと称する場合がある。
[コイルの引出線のレイアウト]
次に、図16~図25を参照して、コイル212の引出線LLのレイアウトについて説明する。以下、図16、図20、図22~図25の状態を基準とし、軸方向において、固定部材30から見て固定子20が設けられる方向を「上」、固定子20から見て固定部材30が設けられる方向を「下」と便宜的に呼ぶ場合がある。
尚、Y結線の場合を中心に説明するが、Δ結線の場合についても同様の構成が採用されてよい。
<第1例>
図16は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第1例を示す縦断面図である。具体的には、図16は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。図17、図18は、固定部材30の貫通孔30Hの第1例及び第2例を示す平面図である。図19は、制御装置40の筐体41内での引出線LL_AT,LL_BT,LL_CTのレイアウトの一例を示す下面図である。
尚、図16では、引出線LL_AT,LL_BT,LL_CTを代表して、引出線LL_ATのレイアウトが描画される。以下、図20、図22~図25の場合についても同様である。
本例(図16)では、上述のクローポールモータ1の第1例(図3)を前提とする。
但し、本例(図16)の引出線LLのレイアウトは、クローポールモータ1の第1例(図3)だけでなく、第2例(図4)~第5例(図7)に適用されてもよい。
図16に示すように、固定部材30には、軸方向に貫通する貫通孔30Hが設けられる。
本例では、貫通孔30H(第1の貫通孔の一例)は、軸方向視で、固定部材30と隣接する固定子ユニット21Cのステータコア211よりも径方向の内側でそのステータコア211と重複しない部分を有するように設けられる。この場合、例えば、図16に示すように、固定子ユニット21A~21C、及び相間部材22(UV相間部材22A及びVW相間部材22B)は、径方向の内側の内周面が支持部材24の外周面と離隔されるように配置される。また、固定子ユニット21A~21C及び相間部材22の少なくとも一方は、径方向の内側の内周面が支持部材24の外周面と全周に亘り当接し、支持部材24の外周面には、引出線LLを軸方向に配置可能なスリット(溝部)が設けられてもよい。これにより、図16に示すように、固定子ユニット21よりも径方向の内側の空間で下向きに延びるようにコイル212の引出線LLをレイアウトし貫通孔30Hを通過させることによって、引出線LLを固定部材30の反対側(下側)まで容易に到達させることができる。そのため、例えば、コイル212の引出線LLを固定子20の外部に取り回すレイアウトのための余剰スペースを設ける必要がなく、クローポールモータ1の小型化を実現することができる。
例えば、図16の引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのように、コイル212の引出線LLは、コイル212の径方向の内側の端部から延び出すように設けられる。この場合、コイル212の引出線LLは、例えば、一対のステータコア211同士の合わせ面に設けられる隙間、ヨーク部211Cに設けられる貫通孔や切欠部211C1等を通じて、ステータコア211よりも径方向で内側の空間に引き出されてよい。
また、例えば、図16の引出線LL_ATのように、コイル212の引出線LLは、コイル212の径方向の外側の端部から延び出すように設けられてもよい。この場合、例えば、ステータコア211に隣接する相間部材22(本例では、UV相間部材22A)には、径方向に延びるように溝部22Dが設けられる。これにより、コイル212の引出線は、周方向で隣り合う爪磁極211B同士の間から下向きに延び出し、溝部22Dを通じて、ステータコア211の径方向の内側に引き出される。
尚、コイル212の引出線LLは、固定子ユニット21の上側に隣接する相間部材22に設けられる溝部22Dを通じて、ステータコア211よりも径方向で内側の空間に引き出されてもよい。また、軸方向の端部に位置する固定子ユニット21A,21Cの場合、ステータコア211の上或いは下に隣接する端部材23に設けられる溝部を通じて、ステータコア211よりも径方向で内側の空間にコイル212の引出線LLが引き出されてもよい。
本例では、引出線LL_AT、引出線LL_BT、引出線LL_CT、及び引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのそれぞれを通過させるための4つの貫通孔30Hが設けられる。
尚、上述の如く、中性点は、制御装置40に設けられる必要はない。そのため、例えば、軸方向で、中性点が固定部材30よりも固定子20側(上側)に配置される場合、引出線LL_AT、引出線LL_BT、及び引出線LL_CTのそれぞれを通過させるための3つの貫通孔30Hが設けられる。また、Δ結線の場合、中性点が設けられないことから、U相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCのそれぞれに向かう引出線が通過する3つの貫通孔30Hが設けられる。この場合、貫通孔30Hごとに、2本の引出線が通過するように配置される。具体的には、引出線LL_AA,LL_CAが通過する貫通孔30H、引出線LL_AB,LL_BBが通過する貫通孔30H、及び引出線LL_BC,LL_CCが通過する貫通孔30Hの3つが設けられる。また、貫通孔30Hの数や貫通孔と貫通孔を通る引出線との組み合わせの関係は上記に限定されず、任意であってよい。具体的には、貫通孔30Hの数は、引出線LLの数(本例では、6本)以下の範囲で任意に設定されてよい。例えば、各相のコイル212の巻始め及び巻終わりの2本の引出線が1つの貫通孔30Hを通過するように、貫通孔30Hが設けられてよい。この場合、貫通孔30Hは3つ設けられる。
例えば、引出線LL_ATがステータコア211よりも径方向で内側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_ATに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_ATのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_ATに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。同様に、例えば、引出線LL_BTがステータコア211よりも径方向で内側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_BTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_BTのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_BTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。同様に、例えば、引出線LL_CTがステータコア211よりも径方向で内側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_CTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_CTのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_CTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。同様に、例えば、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのそれぞれがステータコア211よりも径方向で内側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのそれぞれのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。これにより、引出線LLを周方向の略同じ位置でレイアウトすることができる。そのため、クローポールモータ1の製造時の引出線LLの取り回しに関する組立の容易性を向上させることができる。
例えば、図17、図18に示すように、4つの貫通孔30Hは、周方向の等間隔に配置される。
また、例えば、図17に示すように、貫通孔30Hは、支持部材24の外側面に接触するように、換言すれば、支持部材24の外側面の一部が貫通孔30Hの内面を構成するように設けられる。これにより、ステータコア211の径方向の内側において、軸方向視で径方向の寸法がより大きい貫通孔30Hを実現することができる。そのため、例えば、クローポールモータ1の製造時の引出線LLを貫通孔30Hへ挿通させる作業をより容易に行わせることができる。
また、例えば、図18に示すように、貫通孔30Hは、支持部材24と径方向で離間するように、支持部材24よりも径方向の外側に配置されてもよい。これにより、支持部材24は、全周で固定部材30と連結される。そのため、支持部材24と固定部材30とのより強固に連結することができる。
また、例えば、図17に示すように、貫通孔30Hは、軸方向視で略円形状である。これにより、例えば、図17に示すように、貫通孔30Hが支持部材24の外側面に接触するように設けられる場合に、その外径が適宜調整されることで、周方向において、支持部材24の外側面のうちの貫通孔30Hの内面を構成する部分を相対的に小さく限定することができる。そのため、径方向での貫通孔30Hの寸法を相対的に大きく確保しつつ、周方向での支持部材24と固定部材30との連結部分を相対的に大きく確保することができる。
また、例えば、図18に示すように、貫通孔30Hは、軸方向視で、周方向に延びるように設けられてもよい。これにより、軸方向視での貫通孔30Hの寸法を径方向で相対的に大きく確保することができる。そのため、例えば、クローポールモータ1の製造時の引出線LLを貫通孔30Hへ挿通させる作業をより容易に行わせることができる。
また、例えば、図16~図18に示すように、貫通孔30Hは、軸方向で固定部材30に隣接するステータコア211に塞がれている(覆われている)開口部分と塞がれていない(覆われていない)開口部分とを含むように設けられる。この場合、ステータコア211に塞がれている開口部分には、軸方向で引出線LLを挿通することができないが、ステータコア211に塞がれていない開口部には、軸方向に引出線LLを挿通することができる。これにより、貫通孔30Hの軸方向視の断面積を相対的に大きく確保しつつ、引出線LLを通過させるための固定子20の径方向の内側の空間を最小限に抑制することができる。そのため、引出線LLのレイアウトの効率化を実現しつつ、クローポールモータ1の径方向での小型化を実現することができる。
また、例えば、図16に示すように、制御装置40は、固定部材30の下側、具体的には、固定部材30から見て軸方向で固定子20とは反対側に設けられる。制御装置40は、例えば、制震用のマウントラバーを介して固定部材30に固定される。これにより、制御装置40を回転子10及び固定子20等のクローポールモータ1の主要部と一体化させることができる。また、回転子10及び固定子20、固定部材、並びに制御装置40が軸方向に並べられることで、径方向の寸法を維持し、クローポールモータ1の大型化を抑制することができる。
本例では、制御装置40は、筐体41と、基板42と、支持部材43とを含む。
筐体41は、制御装置40の構成要素を収容する。筐体41は、下側に開放端を有する収容部41Aと、開放端を閉塞する蓋部41Bとを含む。これにより、クローポールモータ1の製造作業や出荷後のメンテナンス作業を行う作業者等は、蓋部41Bを取り外した状態で、筐体41(収容部41A)に内部にアクセスすることができる。
基板42は、筐体41(収容部41A)の内部において、軸方向に略垂直に、換言すれば、径方向及び周方向に略平行に設けられる。例えば、上述の整流回路、平滑回路、インバータ回路、U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNP等が設けられる。例えば、U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNPは、基板42の下面に設けられる。これにより、作業者は、収容部41Aの下側の開放端からU相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNPにアクセスすることができる。基板42の外部端子(U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、及び中性点端子TNP)と引出線LLの先端との接続には、公知の手段が任意に適用されてよい。例えば、基板42の外部端子と引出線LLとは、半田づけやコネクタ等によって接続されてよい。引出線LLの先端に設けられるコネクタのサイズは、貫通孔30Hを通過可能な一方、固定子20が固定部材30に取り付けられた後の貫通孔30H(軸方向視で固定子ユニット21Cにより塞がれた部分を除いた部分)を通過不可能に構成されると好適である。
支持部材43は、筐体41(収容部41A)の内部の底面(上面)に取り付けられると共に、その先端部(下端部)に基板42が取り付けられることにより、基板42を筐体41の内部で上から支持する形で基板42を筐体41に固定する。
例えば、図16に示すように、収容部41Aの底部(上部)には、筐体41の内側(下側)と外側(上側)との間を貫通する貫通孔41Hが設けられる。具体的には、貫通孔41Hは、軸方向視で、固定部材30の貫通孔30Hと一部又は全部が重複するように設けられてよい。これにより、クローポールモータ1の製造時において、固定部材30の貫通孔30H、及び収容部41Aの貫通孔41Hの順に引出線LLを通過させ、制御装置40の内部に引出線LLを容易に引き入れることができる。そのため、クローポールモータ1の組立性を高め、製造効率を向上させることができる。
また、例えば、図16に示すように、基板42には、両面の間を軸方向(上下方向)に貫通する貫通孔42Hが設けられる。具体的には、貫通孔42H(第2の貫通孔の一例)は、軸方向視で、固定部材30の貫通孔30Hや収容部41Aの貫通孔41Hと重複するように設けられてよい。これにより、クローポールモータ1の製造時において、固定部材30の貫通孔30H、収容部41Aの貫通孔41H、及び基板42の貫通孔42Hの順に引出線LLを通過させ、引出線LLの接続先(外部端子)が設けられる基板42の表面に引出線LLを容易に導くことができる。そのため、クローポールモータ1の組立性を高め、製造効率を向上させることができる。
また、例えば、図16に示すように、支持部材43は、軸方向視で、収容部41Aの貫通孔41H及び基板42の貫通孔42Hと重複するように(好適には、覆うように)、設けられる。そして、支持部材43には、軸方向(上下方向)に貫通し、軸方向視で、収容部41Aの貫通孔41H及び基板42の貫通孔42Hと重複するように貫通孔43Hが設けられてよい。例えば、支持部材43は、軸方向視で、貫通孔41H及び貫通孔42Hを覆うように設けられ、貫通孔42H及び貫通孔42Hと略同じ内径を有する円筒形状の部材であってよい。これにより、収容部41Aの貫通孔41H及び基板42の貫通孔42Hを支持部材43の貫通孔43Hを通じて、連続的に連通させることができる。そのため、クローポールモータ1の製造時に、貫通孔41Hから貫通孔42Hに亘る範囲で、引出線LLを通過させ易くなり、その結果、クローポールモータ1の組立性をより高め、製造効率をより向上させることができる。
コイル212から引き出される6本の引出線LLの長さは、全て同じであってもよいし、端子との間の相対的な距離の違い(例えば、固定子ユニット21A~21C同士の軸方向の位置の違い)に合わせて互いに異なっていてもよい。
例えば、全ての引出線LLの長さが同じである場合、図19に示すように、固定部材30に軸方向で近い固定子ユニット21のコイル212であるほど、その引出線の固定部材30よりも下側の部分の長さが長くなる。この場合、固定部材30よりも下側の部分の長さに合わせて、制御装置40の筐体41の内部で引出線が引き回される経路が調整される。そのため、例えば、引出線LL_AT,LL_BT,LL_CTごとの固定部材30よりも下側の部分の長さが異なっていても、例えば、図19に示すように、U相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCを相対的に近い位置に集約して配置させることができる。この場合、例えば、軸方向で固定部材30に近い固定子ユニット21のコイル212であるほど、その引出線が通過する貫通孔30HとU相端子TA、V相端子TB、及びW相端子TCが配置される場所との周方向での距離が離れるように設定されてよい。以下、後述の引出線LLのレイアウトの第2例~第4例の場合についても同様であってよい。
また、例えば、貫通孔30Hには、引出線LLの接続先である端子(U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、中性点端子TNP)が配置され、引出線LLが貫通孔30Hの中の端子に接続されてもよい。端子は、貫通孔30Hに配置される電線の一例である。端子は、例えば、ピン端子やガラス端子等である。端子は、固定部材30に固定されてもよいし、制御装置40に固定され、制御装置40から引き出される形で貫通孔30Hに配置されてもよいし、ステータコア211に固定され、ステータコア211から引き出される形で貫通孔30Hに配置されてもよい。
また、例えば、貫通孔30Hには、引出線LLに加えて、固定子20に設置される温度センサや磁極位置センサ等から延びる信号線、或いは、温度ヒューズ等が配置されてもよい。
<第2例>
図20は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第2例を示す縦断面図である。具体的には、図20は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。図21は、固定部材30の貫通孔30Hの第3例を示す平面図である。
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例と異なる部分を中心に説明し、その第1例と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
本例(図16)では、上述のクローポールモータ1の第1例(図3)を前提とする。
但し、本例(図20)の引出線LLのレイアウトは、クローポールモータ1の第1例(図3)だけでなく、第2例(図4)~第5例(図7)に適用されてもよい。
図20に示すように、固定部材30には、上述の第1例と同様、貫通孔30Hが設けられる。
本例では、貫通孔30Hは、軸方向視で、固定部材30と隣接する固定子ユニット21Cのステータコア211よりも径方向の外側でそのステータコア211と重複しない部分を有するように設けられる。これにより、図20に示すように、固定子ユニット21よりも径方向の外側の空間で下向きに延びるようにコイル212の引出線をレイアウトし貫通孔30Hを通過させることによって、引出線LLを固定部材30の反対側(下側)まで容易に到達させることができる。そのため、上述の第1例と同様、例えば、コイル212の引出線LLを固定子の外部に取り回すレイアウトのための余剰スペースを設ける必要がなく、クローポールモータ1の小型化を実現することができる。
例えば、図20の引出線LL_AT,LL_ANのように、コイル212の引出線LLは、コイル212の径方向の外側の端部から延び出すように設けられる。この場合、コイル212の引出線LLは、ステータコア211と相間部材22や端部材23との間の隙間を通じて固定子20よりも径方向の外側の空間に引き出されてよい。
本例では、上述の第1例と同様、引出線LL_AT、引出線LL_BT、引出線LL_CT、及び引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのそれぞれを通過させるための4つの貫通孔30Hが設けられる。
例えば、引出線LL_ATがステータコア211よりも径方向で外側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_ATに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_ATのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_ATに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。同様に、例えば、引出線LL_BTがステータコア211よりも径方向で外側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_BTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_BTのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_BTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。同様に、例えば、引出線LL_CTがステータコア211よりも径方向で外側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_CTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_CTのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_CTに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。同様に、例えば、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのそれぞれがステータコア211よりも径方向で外側の空間に引き出される周方向の位置は、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定される。この場合、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNのそれぞれのコイル212側の端部(基端部)の周方向の位置は、引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNに対応する貫通孔30Hが設けられる周方向の位置(範囲)に含まれるように設定されてよい。これにより、引出線LLを周方向の略同じ位置でレイアウトすることができる。そのため、クローポールモータ1の製造時の引出線の取り回しに関する組立の容易性を向上させることができる。
例えば、図21に示すように、4つの貫通孔30Hは、周方向の等間隔に配置される。
本例では、貫通孔30Hは、軸方向視で略円形状である。また、貫通孔30Hは、上述の第2例(図18)の場合のように、周方向に延びるように設けられてもよい。
また、例えば、貫通孔30Hは、引出線LLが制御装置40の端子に接続され、制御装置40側に遊び(余剰分)が集約されるように伸ばされた状態で、ゴムリングや接着材等で埋められてもよい。これにより、例えば、引出線LLの長さの余剰分が固定子20の周辺でたるみを生じさせ、引出線LLと回転子10とが接触してしまうような事態の発生を抑制することができる。また、これに代えて、或いは、加えて、固定子20(ステータコア211)にフック、ハトメ、接着材等による引出線LLの遊びを抑制するための固定手段が設けられてもよい。
尚、上述の第1例のように、引出線LLがコイル212から固定子20よりも径方向の内側の空間に引き出される場合についても、同様に、貫通孔30Hにゴムリングや接着材が埋められたり、ステータコア211に固定手段が設けられたりしてもよい。
<第3例>
図22は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第3例を示す縦断面図である。具体的には、図22は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例、第2例と異なる部分を中心に説明し、その第1例等と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
本例(図22)では、上述のクローポールモータ1の第1例(図3)を前提とする。
但し、本例(図22)の引出線LLのレイアウトは、クローポールモータ1の第1例(図3)だけでなく、第2例(図4)~第5例(図7)に適用されてもよい。
図22に示すように、固定部材30には、上述の第1例等と同様、貫通孔30Hが設けられる。
本例では、貫通孔30Hは、貫通部30H1と、溝部30H2とを含む。
貫通部30H1は、固定部材30の上面及び下面の間を軸方向に貫通する孔部である。貫通部30H1は、固定部材30の上側に隣接する固定子ユニット21Cのステータコア211に上端の開口が覆われる(塞がれる)ように固定部材30に設けられる。
溝部30H2は、固定部材30の上面に設けられる。溝部30H2は、軸方向視で、その上側の開口が固定子ユニット21Cのステータコア211よりも径方向で内側の範囲を含むように設けられる。また、溝部30H2は、貫通部30H1の上端部と連通するように設けられる。これにより、溝部30H2の上側の開口と貫通部30H1の下側の開口との間を連通させることができる。そのため、固定部材30の上側で且つ固定子20よりも径方向で内側の空間の引出線LLを、溝部30H2の開口から貫通部30H1の下側の開口に向かって通過させ、固定部材30の下側まで引き出すことができる。
尚、引出線LLがコイル212から固定子20よりも径方向で外側の空間に引き出される場合、溝部30H2は、軸方向視で、その上側の開口が固定子ユニット21Cのステータコア211よりも径方向で外側の範囲を含むように設けられてよい。これにより、固定部材30の上側で且つ固定子20よりも径方向で外側の空間の引出線LLを、溝部30H2の開口から貫通部30H1の下側の開口に向かって通過させ、固定部材30の下側まで引き出すことができる。
<第4例>
図23は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第4例を示す縦断面図である。具体的には、図23は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例~第3例と異なる部分を中心に説明し、その第1例等と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
本例(図23)では、上述のクローポールモータ1の第2例(図4)を前提とする。
但し、本例(図23)の引出線LLのレイアウトは、クローポールモータ1の第2例(図3)だけでなく、第3例(図4)~第5例(図7)に対して、端部材23A,23Bを採用した変形例に適用されてもよい。
図23に示すように、固定部材30には、上述の第1例等と同様、貫通孔30Hが設けられる。
貫通孔30Hは、軸方向に固定部材30の上面と下面との間を貫通し、軸方向視で、固定子ユニット21Cのステータコア211に覆われるように設けられる。
また、本例では、固定子ユニット21Cと固定部材30との間には端部材23Bが設けられる。
端部材23Bには、切欠部23Nが設けられる。
例えば、図23に示すように、切欠部23Nは、端部材23Bの径方向の内側の端部から貫通孔30Hの上に隣接する部分に亘る範囲に設けられる。これにより、切欠部23Nを通じて、固定部材30の上側で且つ固定子20よりも径方向で内側の空間の引出線LLを貫通孔30Hに引き込み、貫通孔30Hを通じて、固定部材30の下側まで引き出すことができる。
尚、引出線LLがコイル212から固定子20よりも径方向で外側の空間に引き出される場合、切欠部23Nは、端部材23Bの径方向の外側の端部から貫通孔30Hの上に隣接する部分に亘る範囲に設けられる。これにより、切欠部23Nを通じて、固定部材30の上側で且つ固定子20よりも径方向で外側の空間の引出線LLを貫通孔30Hに引き込み、貫通孔30Hを通じて、固定部材30の下側まで引き出すことができる。
<第5例>
図24は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第5例を示す縦断面図である。具体的には、図24は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例~第4例と異なる部分を中心に説明し、その第1例等と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
本例(図24)では、上述のクローポールモータ1の第1例(図3)を前提とする。
但し、本例(図24)の引出線LLのレイアウトは、クローポールモータ1の第1例(図3)だけでなく、第2例(図4)~第5例(図7)に適用されてもよい。
図24に示すように、固定部材30には、上述の第1例等と同様、貫通孔30Hが設けられる。
貫通孔30Hは、固定子20が設けられる径方向の範囲で、且つ、固定子ユニット21Cの固定部材30と隣接するステータコア211に覆われない(塞がれない)部分に設けられる。具体的には、貫通孔30Hは、軸方向視で、固定子ユニット21Cの固定部材30と隣接するステータコア211の周方向で隣接する爪磁極部211B1同士の間の範囲にその一部又は全部が含まれるように設けられる。これにより、固定部材30の上側で且つ固定子20よりも径方向で外側の空間の引出線LLを爪磁極部211B2と固定部材30の隙間を通じて、貫通孔30Hに引き込み、貫通孔30Hを通じて、固定部材30の下側まで引き出すことができる。
<第6例>
図25は、クローポールモータ1におけるコイル212の引出線LLのレイアウトの第6例を示す縦断面図である。具体的には、図25は、Y結線の場合のコイル212の引出線LLのレイアウトの具体例を示す図である。
以下、上述の引出線LLのレイアウトの第1例~第5例と異なる部分を中心に説明し、その第1例等と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
本例の引出線LLのレイアウトは、上述のクローポールモータ1の第5例(図7)を前提とする。
図25に示すように、支持部材24には、外周面と内周面との間を貫通する貫通孔24hが設けられる。例えば、貫通孔24hは、径方向に支持部材24の外周面と内周面との間を貫通する。これにより、図25の引出線LL_AT,LL_AN,LL_BN,LL_CNのように、コイル212から延び出す引出線LLは、貫通孔24hを通じて、支持部材24の径方向の外側から内側に通過することができる。そのため、回転軸部材15が配置されない、支持部材24の孔部24Hを通じて、コイル212から延び出す引出線LLを固定部材30の下側の制御装置40まで取り回すことができる。その結果、引出線LLは、固定子ユニット21の径方向の内側の孔部211D、及び固定部材30の径方向の中央部の貫通孔にレイアウトすることができる。そして、制御装置40の貫通孔41H,43H,42Hを通じて、制御装置40の内部の端子(U相端子TA、V相端子TB、W相端子TC、中性点端子TNP)に引出線LLを接続することができる。
図25に示すように、貫通孔24hは、引出線LLごとに設けられる。また、複数の引出線LLが通過するように、貫通孔24hが設けられてもよい。
また、図25に示すように、引出線LLごとに貫通孔24hが設けられる場合、貫通孔24hは、軸方向において、対象の引出線LLが延び出すコイル212を含む固定子ユニット21が存在する範囲に設けられてもよい。この場合、相間部材22(UV相間部材22A及びVW相間部材22B)は、径方向の内周面において、全周に亘って支持部材24の外周面と当接していてもよい。支持部材24の径方向の外側において、引出線LLが軸方向における相間部材22が配置される範囲を跨いて配置される必要がないからである。
支持部材24には、上述の如く、その外周面に軸方向で引出線LLを配置可能なスリットが設けられてもよい。これにより、固定子ユニット21A~21C及び相間部材22の内周面と支持部材24の外周面との当接の有無や軸方向での貫通孔24hの位置に依らず、引出線LLをスリット内に配置することで、貫通孔24hまで導くことができる。
尚、本例(図25)の引出線LLのレイアウトは、上述のクローポールモータ1の第3例(図5)に適用されてもよい。
この場合、引出線LLは、軸方向において、孔部24Hの中の回転軸部材15が配置されていない範囲に配置される。孔部24Hの中の回転軸部材15が配置されていない範囲は、軸方向において、支持部材24が固定される固定部材30側の端部と、回転軸部材15の先端がある位置の間の範囲である。
例えば、貫通孔24hは、軸方向において、回転軸部材15が配置されていない範囲に設けられる。これにより、引出線LLが回転軸部材15と接触しないように、孔部24Hの内部に配置することができる。
[クローポールモータの組立方法の具体例]
次に、図26~図36を参照して、クローポールモータ1の組立方法について説明する。具体的には、固定子20、支持部材24、及び固定部材30の組立方法を例示的に説明する。以下、組立作業は、全ての工程が作業者による手動であってもよいし、全ての工程が自動であってもよいし、手動の工程と自動の工程とが組み合わせられてもよい。
<組立方法の一例>
図26~図30は、クローポールモータ1の組立方法の一例を示す縦断面図である。具体的には、図26~図30は、上述のコイル212の引出線LLのレイアウトの第1例(図16)を前提とする場合の固定子20、支持部材24、及び固定部材30の組立方法の一例を示す図である。
尚、図26~図30では、4つの貫通孔30Hのうちの引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNが通過する貫通孔30Hのみが描画される。
本例では、支持部材24の挿通部24A及び拡径部24Bが別体に構成される。挿通部24A及び拡径部24Bは、例えば、焼き嵌め、冷やし嵌め、圧入等のしまりばめ等で嵌合されることにより連結される。また、挿通部24Aの雄ネジ加工が成された先端部(上端部)に、雌ネジ加工が成されたナット形状の拡径部24Bがネジ込まれることにより、挿通部及び拡径部24Bは連結されてもよい。
最初に、図26に示すように、固定部材30と挿通部24Aとが連結される。
続いて、図27に示すように、固定部材30及び支持部材24の連結体に対して、固定子ユニット21Cを下向きに相対移動させ、固定子ユニット21Cの径方向の中心部の貫通孔(孔部211D)に挿通部24Aを挿通する。これにより、固定部材30の上に固定子ユニット21Cを設置することができる。この際、固定子ユニット21Cの径方向の内側の端部から引出線LL_CT,LL_CNが下方に垂らされた状態になっている。そのため、固定子ユニット21Cにおける引出線LL_CT,LL_CNの周方向での引出位置を適宜調整し、固定子ユニット21Cを下方に移動させることにより、引出線LL_CT,LL_CNをそれぞれに対応する貫通孔30Hに挿通させることができる。
続いて、図28に示すように、固定部材30及び支持部材24の連結体に対して、VW相間部材22Bを下向きに相対移動させ、VW相間部材22Bの径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aを挿通する。これにより、固定子ユニット21Cの上にVW相間部材22Bを設置することができる。
続いて、固定部材30及び支持部材24の連結体に対して、固定子ユニット21Bを下向きに相対移動させ、固定子ユニット21Bの径方向の中心部の貫通孔(孔部211D)に挿通部24Aを挿通する。これにより、VW相間部材22Bの上に固定子ユニット21Bを設置することができる。この際、固定子ユニット21Bの径方向の内側の端部から引出線LL_BT,LL_BNが下方に垂らされた状態になっている。そのため、固定子ユニット21Bにおける引出線LL_BT,LL_BNの周方向での引出位置を適宜調整し、固定子ユニット21Bを下方に移動させることによって、引出線LL_BT,LL_BNをそれぞれに対応する貫通孔30Hに挿通させることができる。
続いて、固定部材30及び支持部材24の連結体に対して、UV相間部材22Aを下向きに相対移動させ、UV相間部材22Aの径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aを挿通する。これにより、固定子ユニット21Bの上にUV相間部材22Aを設置することができる。
続いて、固定部材30及び支持部材24の連結体に対して、固定子ユニット21Aを下向きに相対移動させ、固定子ユニット21Aの径方向の中心部の貫通孔(孔部211D)に挿通部24Aを挿通する。これにより、UV相間部材22Aの上に固定子ユニット21Aを設置することができる。この際、固定子ユニット21Aの径方向の内側の端部から引出線LL_AT,LL_ANが下方に垂らされた状態になっている。そのため、固定子ユニット21Aにおける引出線LL_AT,LL_ANの周方向での引出位置を適宜調整し、固定子ユニット21Aを下方に移動させることによって、引出線LL_AT,LL_ANをそれぞれに対応する貫通孔30Hに挿通させることができる。
続いて、固定部材30及び支持部材24の連結体に対して、端部材23を下向きに相対移動させ、端部材23の径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aを挿通する。これにより、固定子ユニット21Aの上に端部材23を設置することができる。その結果、図29に示すように、固定部材30の上に、挿通部24Aを径方向の中心として、固定子ユニット21C、VW相間部材22B、固定子ユニット21B、UV相間部材22A、固定子ユニット21A、及び端部材23をこの順に軸方向で積層させることができる。
続いて、図30に示すように、挿通部24Aや固定子20に対して、拡径部24Bを下向きに相対移動させ、拡径部24Bが端部材23Bを下向きに押さえ付ける形で、拡径部24Bを挿通部24Aの上端部に連結させる。これにより、拡径部24B及び固定部材30の間に挟み込む形で、端部材23、固定子ユニット21A、UV相間部材22A、固定子ユニット21B、VW相間部材22B、及び固定子ユニット21Cを固定することができる。
<組立方法の他の例>
図31~図35は、クローポールモータ1の組立方法の他の例を示す縦断面図である。具体的には、図31~図35は、上述のコイル212の引出線のレイアウトの第1例(図16)を前提とする場合の固定子20、支持部材24、及び固定部材30の組立方法の他の例を示す図である。図36は、支持部材24(挿通部24A)の構造の一例を示す縦断面図である。
尚、図31~図35では、4つの貫通孔30Hのうちの引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNが通過する貫通孔30Hのみが描画される。
最初に、図31に示すように、挿通部24A及び拡径部24Bは、予め一体化された状態で形成される、或いは、別体の状態から連結されることにより一体化される。
続いて、図32に示すように、支持部材24に対して、端部材23を上向きに相対移動させ、端部材23の径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aを挿通する。これにより、拡径部24Bの下に端部材23を設置することができる。
続いて、図33に示すように、支持部材24に対して、固定子ユニット21Aを上向きに相対移動させ、固定子ユニット21Aの径方向の中心部の貫通孔(孔部211D)に挿通部24Aを挿通する。これにより、端部材23の下に固定子ユニット21Aを設置することができる。
続いて、支持部材24に対して、UV相間部材22Aを上向きに相対移動させ、UV相間部材22Aの径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aに挿通する。これにより、固定子ユニット21Aの下にUV相間部材22Aを設置することができる。
続いて、支持部材24に対して、固定子ユニット21Bを上向きに相対移動させ、固定子ユニット21Bの径方向の中心部の貫通孔(孔部211D)に挿通部24Aを挿通する。これにより、UV相間部材22Aの下に固定子ユニット21Bを設置することができる。
続いて、支持部材24に対して、VW相間部材22Bを上向きに相対移動させながら、VW相間部材22Bの径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aを挿通する。これにより、固定子ユニット21Bの下にVW相間部材22Bを設置することができる。
続いて、支持部材24に対して、固定子ユニット21Cを上向きに相対移動させながら、固定子ユニット21Cの径方向の中心部の貫通孔(孔部211D)に挿通部24Aを挿通する。これにより、VW相間部材22Bの下に固定子ユニット21Bを設置することができる。その結果、図34に示すように、拡径部24Bの下に、挿通部24Aを径方向の中心として、端部材23、固定子ユニット21A、UV相間部材22A、固定子ユニット21B、VW相間部材22B、及び固定子ユニット21Cをこの順に軸方向で積層させることができる。
続いて、図35に示すように、支持部材24や固定子20に対して、固定部材30を上向きに相対移動させ、固定部材30の径方向の中心部の貫通孔に挿通部24Aを挿通する。そして、固定部材30が固定子ユニット21Cを下から上向きに押さえ付ける形で、固定部材30と挿通部24Aとを連結させる。これにより、拡径部24B及び固定部材30の間に挟み込む形で、端部材23、固定子ユニット21A、UV相間部材22A、固定子ユニット21B、VW相間部材22B、及び固定子ユニット21Cを固定することができる。
この際、固定子ユニット21A~21Cの径方向の内側の端部から引出線LL_AT,LL_AN,LL_BT,LL_BN,LL_CT,LL_CNが下方に垂らされた状態になっている。そのため、周方向での貫通孔30Hの位置を適宜調整し、固定部材30を支持部材24に対して上向きに相対移動させることで、引出線LL_AT、引出線LL_BT、引出線LL_CT、及び引出線LL_AN,LL_BN,LL_CNをそれぞれに対応する貫通孔30Hに挿通させることができる。
また、例えば、図36に示すように、挿通部24Aの先端部(下端部)は、外周の角部24Dに面取り加工が成されてもよい。これにより、挿通部24Aの先端部に固定部材30の径方向の中央部の貫通孔を挿通し易くなり、クローポールモータ1の組立性を向上させることができる。
[クローポールモータの適用例]
次に、図37を参照して、本実施形態に係るクローポールモータ1の具体的な適用例について説明する。
図37は、本実施形態に係るクローポールモータ1を搭載する空気調和機100の一例を示す図である。
空気調和機100(冷凍装置の一例)は、室外機110と、室内機120と、冷媒経路130,140とを含む。空気調和機100は、室外機110、室内機120、冷媒経路130,140等で構成される冷媒回路を動作させ、室内機120が設置される室内の温度や湿度等を調整する。
室外機110は、温度等の調整対象の建物の室外に配置される。室外機110は、冷媒経路130,140のそれぞれの一端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
室内機120は、温度等の調整対象の建物の室内に配置される。室内機120は、冷媒経路130,140のそれぞれの他端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
冷媒経路130,140は、例えば、管路により構成され、冷媒が室外機110及び室内機120の間で循環可能なように、室外機110及び室内機120との間を接続する。
室外機110は、冷媒経路L1~L6と、四方切換弁111と、圧縮機112と、室外熱交換器113と、室外膨張弁114と、ファン115とを含む。
冷媒経路L1~L6は、例えば、管路として構成される。
冷媒経路L1は、室外機110の外部の冷媒経路130の一端と四方切換弁111との間を接続する。
冷媒経路L2は、四方切換弁111と圧縮機112の入口との間を接続する。
冷媒経路L3は、四方切換弁111と圧縮機112の出口との間を接続する。
冷媒経路L4は、四方切換弁111と室外熱交換器113との間を接続する。
冷媒経路L5は、室外熱交換器113と室外膨張弁114との間を接続する。
冷媒経路L6は、室外機110の外部の冷媒経路140の一端と室外膨張弁114との間を接続する。
四方切換弁111は、空気調和機100の冷房運転の場合と暖房運転の場合とで冷媒が循環する流れを逆転させる。
空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、図37中の実線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L1と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L3と冷媒経路L4との間を接続させる。
一方、空気調和機100の暖房運転の場合、四方切換弁111は、図37中の点線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の暖房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L4と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L1と冷媒経路L3との間を接続させる。
圧縮機112は、冷媒経路L2から冷媒を吸入し、高圧に圧縮して冷媒経路L3に吐出する。圧縮機112は、クローポールモータ1を搭載(内蔵)し、クローポールモータ1により駆動される。
空気調和機100の冷房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L4を通じて、室外熱交換器113に流入する。
一方、空気調和機100の暖房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L1を通じて、室外機110の外部の冷媒経路130に流出する。そして、高温高圧の冷媒は、冷媒経路130を通じて、室内機120に流入する。
室外熱交換器113は、外気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室外熱交換器113には、ファン115が併設され、室外熱交換器113は、ファン115により送風される外気と内部を通流する冷媒との間で熱交換を行う。
空気調和機100の冷房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L4から流入する、圧縮機112で圧縮された高温高圧の冷媒に外気への放熱を行わせ、凝縮・液化した冷媒(液冷媒)を冷媒経路L5に流出させる。
また、空気調和機100の暖房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L5から流入する低温低圧の液冷媒に外気から吸熱を行わせ、蒸発した冷媒を冷媒経路L4に流出させる。
室外膨張弁114は、空気調和機100の暖房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路L6から流入する冷媒(液冷媒)を所定の圧力に減圧させる。一方、室外膨張弁114は、空気調和機100の冷房運転時において、全開状態にされ、冷媒経路L5から冷媒経路L6に冷媒(液冷媒)を通過させる。
ファン115(送風機の一例)は、上述の如く、室外熱交換器113に送風を行い、室外熱交換器113における熱交換を促進させる。ファン115は、例えば、羽根車(「インペラ」とも称する)115Aと、クローポールモータ1とを搭載し、羽根車115Aがクローポールモータ1によって駆動されることにより稼働する。
室内機120は、室内膨張弁121と、室内熱交換器122と、ファン123とを含む。
室内膨張弁121は、空気調和機100の冷房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路140から流入する、過冷却状態の液冷媒を所定の圧力に減圧させる。一方、室内膨張弁121は、空気調和機100の暖房運転時において、全開状態にされ、室内熱交換器122から流出する冷媒(液冷媒)を冷媒経路140に向かって通過させる。
室内熱交換器122は、室内空気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内機120に搭載されるファン123の作用で、室内熱交換器122の周囲に室内空気を通過させ、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出すことにより、室内の冷房或いは暖房が実現される。
具体的には、空気調和機100の冷房運転時において、室内熱交換器122は、室内膨張弁121により減圧された低温低圧の液冷媒に室内空気から吸熱させ、室内空気の温度を下げる。
一方、空気調和機100の暖房運転時において、室内熱交換器122は、冷媒経路130を通じて室外機110から流入する高温高圧の冷媒に室内空気への放熱を行わせ、室内空気の温度を上げる。
ファン123(送風機の一例)は、上述の如く、室内熱交換器122に送風を行い、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出させる。ファン123は、例えば、羽根車(「インペラ」とも称する)123Aと、クローポールモータ1とを搭載し、羽根車123Aがクローポールモータ1によって駆動されることにより稼働する。
尚、圧縮機112、ファン115、及びファン123のうちの一部、即ち、何れか一つ或いは二つにクローポールモータ1が搭載される態様であってもよい。
[作用]
次に、本実施形態に係る回転電機の作用について説明する。
本実施形態では、回転電機は、回転子と、固定子と、電線と、第1の固定子保持部材と、を備える。回転電機は、例えば、上述のクローポールモータ1である。回転子は、例えば、上述の回転子10である。固定子は、例えば、上述の固定子20である。電線は、例えば、上述の引出線LLである。第1の固定子保持部材は、例えば、上述の固定部材30である。具体的には、固定子は、環状に巻き回される巻線と、巻線の周囲を包囲するように設けられるクローポール型の鉄心と、を含む。巻線は、例えば、上述のコイル212である。鉄心は、例えば、上述のステータコア211である。また、電線は、巻線から延び出す。また、第1の固定子保持部材は、固定子の軸方向の一端部に設けられ、固定子を保持すると共に、軸方向に貫通する第1の貫通孔を有する。第1の貫通孔は、例えば、上述の貫通孔30Hや固定部材30の径方向の中央部に設けられる貫通孔である。また、第1の固定子保持部材は、固定子に対して軸方向に直線状に相対移動可能に固定子を保持する。ここで、「固定子に対して軸方向に直線状に相対移動可能」とは、第1の固定子保持部材が固定子を保持している状態で、第1の固定子保持部材及び固定子が実際に相対移動可能であることを意味しない。具体的には、「固定子に対して軸方向に直線状に相対移動可能」とは、第1の固定子保持部材及び固定子が仮に相対移動すると仮定したときに、軸方向に直線状に相対移動可能であるという第1の固定子保持部材と固定子との配置関係を意味する。そして、電線は、第1の固定子保持部材の軸方向の固定子が設けられる一端側からその反対側の他端側に、第1の貫通孔を通して配置される。
これにより、第1の貫通孔を通じて、固定子を軸方向で保持する第1の固定子保持部材の固定子とは反対側に、クローポール型の鉄心に内包される巻線から延び出す電線を引き出すことができる。そのため、例えば、巻線から延び出す電線を径方向の外側に大きく取り回す必要がなくなる。よって、回転電機において、固定子の巻線から延び出す電線をより効率的にレイアウトすることができる。
また、本実施形態では、第1の貫通孔は、軸方向視で、固定子の鉄心と重複する部分を含んでもよい。
これにより、第1の貫通孔の軸方向視での断面積を相対的に大きく確保し、電線を挿通させる際の作業性を向上させつつ、第1の貫通孔に要する径方向での空間を相対的に小さく抑制し、回転電機の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、第1の貫通孔は、軸方向視で、固定子の鉄心と重複してもよい。
これにより、第1の貫通孔に要する径方向の空間を鉄心の存在する径方向の範囲内に収めることができる。そのため、回転電機の更なる小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、第1の貫通孔は、鉄心塞がれていない部分を有してもよい。
これにより、第1の貫通孔の鉄心で塞がれていない部分から電線を第1の貫通孔に挿通させることができる。
また、本実施形態では、回転電機は、固定子の軸方向の他端部に設けられた第2の固定子保持部材を備える。第2の固定子保持部材は、例えば、上述の拡径部24Bや固定部材27である。そして、第1の固定子保持部材と、第2の固定子保持部材とは、固定子を軸方向に挟み込んで保持してもよい。
これにより、固定子を軸方向でより強固に固定することができる。
また、本実施形態では、第1の固定子保持部材に対して軸方向で固定子の反対側に制御装置が設けられてもよい。そして、電線は、制御装置に接続されてもよい。
これにより、回転子及び固定子等の回転電機の主要構成と制御装置とを軸方向で積層し一体化させることができる。
また、本実施形態では、制御装置の基板には、軸方向に貫通する第2の貫通孔が設けられてもよい。第2の貫通孔は、例えば、上述の貫通孔42Hである。また、電線は、基板の軸方向の一端側から他端側に、第2の貫通孔を通して配置されることにより、制御装置に接続されてもよい。そして、第1の貫通孔は、軸方向視で第2の貫通孔と重複してもよい。
これにより、電線を第1の固定子保持部材の固定子が設けられる一端側から、第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通じて、連続的に、基板における電線の接続先(端子)が設けられる表面(下面)まで引き出すことができる。そのため、制御装置が一体化された回転電機の組立性(作業性)を向上させることができる。
また、本実施形態では、回転子は、固定子の径方向の外側に配置されてもよい。
これにより、アウタロータ型の回転電機について、電線の効率的なレイアウトを実現することができる。
また、本実施形態では、固定子は、回転子の回転軸心を含み、軸方向に貫通する第3の貫通孔を有してもよい。回転軸心は、例えば、上述の回転軸心AXである。第3の貫通孔は、例えば、上述のステータコア211の孔部211Dである。そして、電線は、軸方向において、第3の貫通孔のうちの少なくとも第1の固定子保持部材側に設けられる、回転軸が配置されていない部分に配置されてもよい。
これにより、固定子の径方向の内側に存在する第3の貫通孔を通じて、巻線から延び出す電線を第1の固定子保持部材の第1の貫通孔に向けて引き出すことができる。
また、本実施形態では、回転電機は、回転子の回転軸を支持するための軸受と、固定子の径方向の内側で、第1の固定子保持部材から軸方向に延びるように設けられ、軸受を保持する軸受保持部材と、を備えてもよい。回転軸は、例えば、上述の回転軸部材15である。軸受は、例えば、上述の軸受25である。軸受保持部材は、例えば、上述の挿通部24Aである。そして、第1の貫通孔は、軸受保持部材よりも径方向の外側にあり、且つ、第1の固定子保持部材に軸方向で隣接する鉄心に塞がれていない部分を含んでもよい。
これにより、固定子よりも径方向の内側に引き出された電線を第1の貫通孔のステータコア211に塞がれていない部分から第1の貫通孔に引き入れ、第1の貫通孔を通じて、第1の固定子保持部材の反対側に引き出すことができる。
また、本実施形態では、第1の貫通孔は、軸方向視で軸受保持部材と離れていてもよい。
これにより、軸受保持部材をその全周に亘って第1の固定子保持部材と接合させることができる。
また、本実施形態では、電線は、固定子の径方向の内側と軸受保持部材の径方向の外側との間を通過するように設けられてもよい。
これにより、回転電機の製造時において、固定子と軸受保持部材との間の空間で、電線を軸方向に延びるように取り回し、直線的に第1の貫通孔に挿入させることができる。そのため、回転電機の組立性(作業性)を向上させることができる。
本実施形態では、固定子は、巻線と、鉄心と、を含む固定子ユニットを複数有してもよい。固定子ユニットは、例えば、上述の固定子ユニット21である。そして、複数の固定子ユニットは、軸方向に積層されていてもよい。
これにより、軸方向に複数の固定子ユニットが積層される回転電機について、電線の効率的なレイアウトを実現することができる。
また、本実施形態では、第1の貫通孔は、固定子ユニットの数と同じ数、或いは、その数に1だけ加算した数だけ設けられてもよい。
これにより、複数相の電機子電流で駆動されるク回転電機の各相の外部端子に向かう電線を、第1の貫通孔を通じて第1の固定子保持部材の固定子とは反対側に取り回すことができる。また、併せて、複数相の電機子電流で駆動される回転電機の中性点に向かう電線を、第1の貫通孔を通じて第1の固定子保持部材の固定子とは反対側に取り回すことができる。
また、本実施形態では、第1の貫通孔は、周方向で略等間隔に配置されていてもよい。
これにより、電線のレイアウトを周方向で分散させることができる。
また、本実施形態では、複数の固定子ユニットの電線の長さは全て略同じであってもよい。そして、複数の固定子ユニットの電線のうち、第1の固定子保持部材に対して軸方向で近い固定子ユニットの鉄心からの電線ほど、第1の固定子保持部材に対して軸方向で固定子と反対側に配置された部分の長さが長くてもよい。
これにより、固定子と反対側に配置される電線の部分の取り回しを調整することによって、電線の長さの共通化を図ることができる。
[変形・変更]
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
例えば、上述の実施形態のクローポールモータ1は、空気調和機100以外の冷凍装置に適用されてもよい。
最後に、本願は、2021年9月30日に出願した日本国特許出願2021-161944号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。