JP7255135B2 - 水性複合樹脂およびそれを含む外装コーティング剤。 - Google Patents

水性複合樹脂およびそれを含む外装コーティング剤。 Download PDF

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Description

本発明は、水性複合樹脂およびそれを含む外装コーティング剤に関する。
近年、環境負荷低減や作業者の安全衛生の観点から、各種インキやコーティング分野において、溶剤系から水系への切り替えが急速に進んでいる。これらに使用する水性バインダー樹脂の開発も活発に検討されているが、非極性基材等の対象基材の拡張が難しく、十分な耐久性を付与しながら、基材密着性と耐擦性を両立する事は困難であった。一方で、次世代モビリティや建材分野を中心に、非極性基材への拡張を求める要望は年々高まっており、これらに対応できる水性樹脂の開発が急務となっている。
特許文献1では、含フッ素共重合体の水性分散体が開示されている。含フッ素共重合体は、汎用のアクリル樹脂やアクリルウレタン複合樹脂よりも耐候性に優れており、高度な耐久性付与が期待できる。しかしながら、各種基材への密着性に著しく劣り、他の樹脂との相溶性にも課題があるため、混合して使用することも難しい。
特許文献2では、シロキサン結合部を有するアクリル樹脂を保護コロイドとし、ポリシロキサンを安定化させた有機無機複合樹脂の水性分散体が開示されている。この樹脂分散体も、フッ素樹脂レベルの優れた耐候性を発現する一方、非極性基材への密着性、追従性は十分とは言えない。
特許文献3では、ヒンダードアミン系光安定剤骨格を有するエチレン性不飽和単量体を共重合したアクリル樹脂の水性分散体が開示されている。この樹脂では、光安定剤骨格を樹脂に組み込み、耐候性を発現させている。しかしながら、この樹脂においても、オレフィン系基材に対する密着性や追従性が十分とは言えず、耐候性試験時に経時で密着性や耐水摩擦性が低下してしまう。
特開2002-179871号公報 特開平11-116683号公報 特開2017-057338号公報
耐候性が良好であり、屋外での使用形態でも非極性プラスチック基材をはじめとする各種基材への密着性、追従性、耐水摩擦性に優れる水性複合樹脂および外装コーティング剤の提供を目的とする。
すなわち、本発明は、
ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてなるウレタンプレポリマー(C-1)に一般式(1)で表される化合物(D)を反応させてなる両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)を連鎖移動剤として、一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-1)及び/又は一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-2)を含むエチレン性不飽和単量体(E)を重合してなる水性複合樹脂(F)に関する。

一般式(1)
Figure 0007255135000001
(一般式(1)中、Xは-OH、-NH、-NHY、および-SHからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Yはアルキル基である。Rはアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価の基である。)

一般式(2)
Figure 0007255135000002
(一般式(2)中、RおよびRは水素原子またはメチル基である。)

一般式(3)
Figure 0007255135000003
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはアルキレン基である。)
本発明は、一般式(1)で表される化合物(D)が、アミノアルカンチオールである前記水性複合樹脂(F)に関する。
本発明は、エチレン性不飽和単量体(E)100重量%中に、エチレン性不飽和単量体(e-1)及びエチレン性不飽和単量体(e-2)を総量で3~30重量%含有する前記水性複合樹脂(F)に関する。
本発明は、エチレン性不飽和単量体(E)の配合量が、両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)100重量部に対して30~180重量部の範囲である前記水性複合樹脂(F)に関する。
本発明は、前記水性複合樹脂(F)を含有する外装コーティング剤に関する。
本発明の水性複合樹脂は、耐候性が良好であり、屋外の使用形態でも非極性プラスチック基材をはじめとする各種基材に対して優れた基材密着性、基材追従性、耐水摩擦性を発現する。したがって、自動車等のモビリティ関連部材、太陽電池用バックシート等のエネルギー関連部材、建築材料等、高度な耐久性付与が求められるプラスチック基材(フィルムおよび成形品)において、任意に使用する事できる。
まず、本発明の水性複合樹脂(F)について説明する。水性複合樹脂(F)は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてなるウレタンプレポリマー(C-1)に、一般式(1)で表される化合物(D)を反応させて両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)を合成し、さらにそれを連鎖移動剤として、エチレン性不飽和単量体(E)を重合させる事で得る事ができる。具体的に水性複合樹脂(F)の製造方法について説明する。始めに、反応槽にポリオール(A)とポリイソシアネート(B)を仕込み、触媒を加えて反応させ、両末端がイソシアネート基のウレタンプレポリマー(C-1)を合成する。続いて、ウレタンプレポリマー(C-1)に一般式(1)で示される化合物(D)を添加して反応させる。これにより、両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)が合成できる。さらにエチレン性不飽和単量体(E)と溶媒を添加し、窒素雰囲気下でラジカル開始剤を添加する事で、連鎖移動反応が生じ、両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)の両末端からアクリル樹脂部分がグラフトされる。エチレン性不飽和単量体(E)には一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-1)及び/又は一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-2)が含まれており、アクリル樹脂骨格部位に光安定剤、紫外線吸収剤骨格が導入される。
<ポリオール(A)>
ウレタンプレポリマー(C-1)に使用するポリオール(A)には、代表的なものとして、ポリエーテルポリオール(a-1)、ポリエステルポリオール(a-2)、ポリカーボネートポリオール(a-3)、ポリオレフィン系ポリオール(a-4)、ひまし油ポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは、1種だけを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
上記で挙げたポリオールの中でも、耐加水分解性等の化学的安定性、アクリル骨格との良好な相溶性の観点から、ポリエーテルポリオール(a-1)もしはポリカーボネートポリオール(a-3)の少なくともいずれか1種類以上含むことが好ましく、更により優れた耐傷つき性、耐候性付与の点から、ポリカーボネートポリオール(a-3)を含有する事がより好ましい。
ポリエーテルポリオール(a-1)としては、例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオールあるいはこれらの混合物の縮合によるポリエーテルポリオール類等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(a-2)としては、例えば、ポリオール成分と二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールがある。ポリオールのうちジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA等が挙げられ、3個以上の水酸基を有するポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、二塩基酸成分としてテレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の脂肪族あるいは芳香族二塩基酸、およびそれらの無水物が挙げられる。また、ε-カプロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)、ポリバレロラクトン等のラクトン類等の環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(a-3)としては、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られるものを挙げることができる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示したポリオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
ポリオレフィン系ポリオール(a-4)としては、水酸基含有ポリブタジエン、水添した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水添した水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリプロピレン、水酸基含有塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
ひまし油ポリオールは植物由来のひまし油を原料としたバイオマスポリオールである。
上記以外にも、ウレタン結合濃度の調整や各種官能基導入の目的で低分子ジオールを併用する事ができる。低分子ジオールとしては分子量500以下のジオールが好ましく、例えば、
エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸や、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
<ポリイソシアネート(B)>
ポリオール(A)と反応させるポリイソシアネート(B)としては、芳香族、脂肪族、脂環式のポリイソシアネートが挙げられる。これらは1種だけを用いてもよいし、あるいは、複数種を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアナート等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(C-1)を得る反応の際には、触媒を用いることもできる。使用できる触媒としては、公知の金属系触媒、アミン系触媒が使用できる。金属系触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキソエート)、 2-エチルヘキソエート鉛、チタン酸2-エチルヘキシル、チタンエチルアセテート、2-エチルヘキソエート鉄、2-エチルヘキソエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラ-n-ブチル錫等が挙げられる。アミン系触媒としてはテトラメチルブタンジアミン等の3級アミン等が挙げられる。これらの触媒はポリマーポリオールに対して0.001~1モル%の範囲で使用される。
ウレタンプレポリマー(C-1)を得る反応は、50~150℃で2~12時間おこなうことが好ましい。反応の終点は、滴定による残存NCO量の測定により判断することができる。
ウレタンプレポリマー(C-1)を得る際に使用できる溶媒としては、イソシアネート基と反応しないものであれば任意のものを使用する事ができるが、後の脱溶剤の工程を鑑み、水と共沸して除去しやすい溶剤を使用する事が好ましい。また、無溶媒で反応をおこない、後で溶媒希釈する事も可能である。好ましい溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤;等が挙げられる。
<一般式(1)で表される化合物(D)>
上述のウレタンプレポリマー(C-1)に一般式(1)で表されるメルカプト基含有化合物(D)を反応させる事により、両末端にメルカプト基を有するウレタン樹脂(C-2)を得る。
一般式(1)
Figure 0007255135000004

(一般式(1)中、Xは-OH、-NH、-NHY、および-SHからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Yはアルキル基である。Rはアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価の基である。)
Yのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基が挙げられ、炭素数1~6のアルキル基が好ましい。
のうちアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ドデシレン基等の炭素数1~12のアルキレン基が挙げられ、炭素数1~6のアルキレン基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基等が挙げられ、アルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等が挙げられ、アルキレン基またはフェニレン基が好ましい。
一般式(1)で表される化合物(D)としては例えば、
2-ヒドロキシエタンチオール、3-ヒドロキシプロピル-1-チオール、1-ヒドロキシプロピル-2-チオール、4-ヒドロキシ-1-ブタンチオール、メルカプトヘキサノール等のヒドロキシアルカンチオール類;
1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール等のジチオール類、
2-アミノエタンチオール、3-アミノプロピル-1-チオール、1-アミノプロピル-2-チオール、4-アミノ-1-ブタンチオール等のアミノアルカンチオール類;
2-アミノチオフェノール、3-アミノチオフェノール、4-アミノチオフェノール等のアミノベンゼンチオール類;
が挙げられる。
一般式(1)の化合物(D)の中でも、高反応性でイソシアネートと反応する点から、Xは-NHまたは-NHYであり、Rがアルキレン基であるアミノアルカンチオール類を使用する事が好ましい。ウレア結合を導入する事により、樹脂塗膜の凝集力が上がり、耐候性、非極性基材への密着性、耐水摩擦性が向上する。さらにアミノ基のモル数に対して、イソシアネート基のモル数が過剰になるように仕込む事で、残存したイソシアネート基がメルカプト基と反応して鎖延長され、ウレタンプレポリマー(C-1)が高分子量化される。この時、両末端の他に、ウレタン樹脂内部にもウレア結合が導入されるため、耐擦性、基材密着性が向上する。また、未反応の化合物(D)も低減されるため、樹脂塗膜の臭気も大幅に改善される。一般式(1)で表される化合物(D)は、ウレタンプレポリマー(C-1)のイソシアネート基1モルに対して、0.60~0.90モルになるように反応させる事が好ましい。
両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)の酸価は5mgKOH/g未満である事が好ましい。5mgKOH/g未満である事により、水性複合樹脂(F)の非極性基材への密着性や追従性、耐水摩擦性も良化する。本明細書において、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数の事であり、実施例に記載の方法で求めることができる。
両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)の重量平均分子量は特に限定されないが、5000~60000が好ましく、10000~45000がより好ましい。
両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)を得る際に使用できる溶媒としては、原料を溶解可能で、イソシアネート基と反応しない溶媒であれば任意のものを使用できるが、後の脱溶剤工程を考慮し、水と共沸して除去しやすい溶剤が好ましい。好ましい溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤等が挙げられる。
<エチレン性不飽和単量体(E)>
前記両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)を連鎖移動剤として、エチレン性不飽和単量体(E)をグラフト重合する事により、目的の水性複合樹脂(F)を得ることができる。
エチレン性不飽和単量体(E)は、下記一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-1)及び/又は一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-2)を含有する。これらのエチレン性不飽和単量体を含有する事により、トリブロック構造の該複合樹脂が、ウレタン部分とアクリル部分で、微細なミクロ相分離構造を形成し、強靭な塗膜が形成される。したがって、耐候性試験前は勿論のこと、試験後においても、優れた非極性基材への密着性、追従性、耐水摩擦性の発現が可能となる。
一般式(2)
Figure 0007255135000005
(一般式(2)中、RおよびRは水素原子またはメチル基である。)

一般式(3)
Figure 0007255135000006
(一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはアルキレン基である。)
一般式(2)のエチレン性不飽和単量体(e-1)としては、例えば、
1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルアクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
一般式(3)のエチレン性不飽和単量体(e-2)としては、例えば、
3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチルメタクリレート、
3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチルアクリレート等が挙げられる。
更に水性複合樹脂(F)は、エチレン性不飽和単量体(E)100重量%中、エチレン性不飽和単量体(e-1)及びエチレン性不飽和単量体(e-2)を総量で3~30重量%含有する事が好ましい。上記の範囲で含有する事により、より優れた耐候性、非極性基材への密着性、追従性、耐水摩擦性を発現する事ができる。
本発明の水性複合樹脂(F)において、アクリル樹脂部分は親水基としても機能する。したがって、エチレン性不飽和単量体(E)は親水性基含有エチレン性不飽和単量体(e-3)を含むことが好ましい。使用するエチレン性不飽和単量体の官能基により、アニオン性、カチオン性、非イオン性の親水基を適宜導入する事が可能である。アニオン性親水基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、カチオン性親水基としては、アミノ基等が挙げられ、非イオン性の親水基としては、ポリエチレンオキサイド基、アミド基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
親水性基含有エチレン性不飽和単量体(e-3)としては、例えば、
アニオン性親水基を有するものとして、
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、ヘキサヒドロフタル酸β-(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β-(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体;スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸アンモニウム、スチレンスルホン酸リチウム、2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸アンモニウム、ビニルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリルオキシベンゼンスルホン酸アンモニウム等のスルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体;
2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル-2-アクリロイルオキシシエチルホスフェート等のリン酸基本含有エチレン性不飽和単量体;
カチオン性の親水基を有するものとして、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体;
非イオン性の親水基を有するものとして、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPE-90、200、350、350G、AE-90、200、400等)ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマー50PEP-300、70PEP-350等)、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂社製、ブレンマーPME-400、550、1000、4000等)等のポリエチレンオキサイド基含有エチレン性不飽和単量体;
(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル-(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N-エトキシメチル-N-プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N-ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-ブトキシメチル-N-(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N-メトキシメチル-N-(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール等のヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体;
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
親水性基含有エチレン性不飽和単量体(e-3)の中でも、外装コーティング剤塗膜の硬化剤(J)との架橋を鑑み、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を使用する事がより好ましい。
一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-1)、一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-2)、親水性基含有エチレン性不飽和単量体(e-3)と共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(e-4)としては、例えば、
スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート等の芳香族含有エチレン性不飽和単量体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体;
2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のケト基含有エチレン性不飽和単量体;
アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等の2個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは1種類または2種類以上を併用して用いることができる。
上述のエチレン性不飽和単量体(E)を重合してなるアクリル樹脂部分のガラス転移温度(Tg)は、35~110℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度が上記の範囲内であることにより、塗膜の強度が高く、基材密着性、追従性、耐水摩擦性により優れるコーティング剤が得られる。
上記のガラス転移温度とは、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値を指す。
両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)100重量部に対して、エチレン性不飽和単量体(E)の量は30~180重量部である事が好ましい。上記の範囲内であると、樹脂の水分散体の粒子径が小さくなって造膜性がより促進される。したがって、塗膜の耐候性、非極性基材への密着性、追従性、耐水摩擦性もより向上する。
アクリル部分のグラフトの際に使用するラジカル開始剤としては、公知の油溶性重合開始剤を使用でき、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ(2-エチルヘキサノエート)、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-シクロヘキサン-1-カルボニトリルなどのアゾビス化合物を挙げることができる。
ラジカル開始剤は、エチレン性不飽和単量体(E)100重量部%に対して、0.1~0.5重量部の範囲で使用する事が好ましい。0.1~0.5重量部の範囲で使用する事により、効果的にアクリル部位がウレタン部位にグラフトされる。
グラフト反応の際に使用する反応溶媒は、反応時の安定性の観点から、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、イソブタノールn-ブタノール等のアルコール系溶剤を含有する事が好ましい。これらのアルコール溶媒に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤;
等、任意の有機溶剤が混合されていても構わない。
本発明の複合樹脂を転相して水性化する好ましい方法としては、反応が完了した複合樹脂に、イオン交換水ならびに必要に応じて中和剤を添加して撹拌する。全体が均一になったら、必要に応じて脱溶剤処理により有機溶剤を除去する。脱溶剤はアスピレータや真空ポンプを使用して減圧下で行うこともできる。
中和剤として使用できる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-アミノ-2-エチル-1-プロパノール、ピリジン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類等が挙げられる。
中でも水媒体中での分散安定性と造膜性、乾燥後の残留を鑑み、中和剤にはアミン類を使用する事がより好ましく、ジメチルエタノールアミンを使用する事が好適である。
水性複合樹脂(F)の酸価は、15~45mgKOH/gの範囲である事が好ましい。上記の範囲内であると、水性分散体の安定性が向上すると同時に造膜性も良化する。したがって、塗膜の耐候性、非極性基材への密着性、追従性、耐水摩擦性もより優れたものとなる。
水性複合樹脂(F)の平均粒子径は20~100nmの範囲である事が好ましく、20~80nmの範囲である事がより好ましい。上記の範囲である事により、水性分散体の安定性と良好な造膜性が両立され、基材密着性や追従性、耐水摩擦性により優れる塗膜を得る事ができる。
水性複合樹脂(F)の重量平均分子量は特に限定されないが、20000~200000の範囲である事が好ましく、20000~120000の範囲である事がより好ましい。上記の範囲である事により、水性分散体の安定性と良好な造膜性が両立され、基材密着性や追従性、耐水摩擦性により優れる塗膜を得る事ができる。
本発明の水性複合樹脂(F)は、各種インキ組成物やコーティング剤組成物、特に自動車部材や建材部材に使用される外装コーティング剤に好適に使用することができる。また、長期的には、次世代モビリティや住空間の関連部材、太陽電池や各種センサー等、次世代エネルギー関連部材への展開も可能である。本発明の水性複合樹脂(F)は、目的に応じて、親水性溶剤や各種硬化剤、光安定化剤、紫外線吸収剤等、適宜必要な添加剤を加えて使用する事ができる。
<外装コーティング剤>
本発明の外装コーティング剤は、水性複合樹脂(F)を含む。水性複合樹脂(F)は、外装コーティング剤100重量%中、固形分で15~45重量%含有する事が好ましく、25~40重量%含有するのがより好ましい。水性複合樹脂(F)の添加量が上記の範囲である事により、塗膜の耐候性、耐候性試験後の基材密着性、追従性、耐水摩擦性がより優れたものとなる。
本発明の外装コーティング剤は、クリア塗膜で使用しても構わないし、機能を損なわない範囲で各種顔料を併用して使用する事もできる。
顔料としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の無彩色顔料や有彩色の有機顔料等が使用できる。
酸化チタンの具体例としては、石原産業社製「タイペークCR-50、50-2、57、80、90、93、95、953、97、60、60-2、63、67、58、58-2、85」「タイペークR-820,830、930、550、630、680、670、580、780、780-2、850、855」「タイペークA-100、220」「タイペークW-10」「タイペークPF-740、744」「TTO-55(A)、55(B)、55(C)、55(D)、55(S)、55(N)、51(A)、51(C)」「TTO-S-1、2」「TTO-M-1、2」、テイカ社製「チタニックスJR-301、403、405、600A、605、600E、603、805、806、701、800、808」「チタニックスJA-1、C、3、4、5」、デュポン社製「タイピュアR-900、902、960、706、931」などが挙げられる。
また、本発明の外装コーティング剤の主媒体は水であるが、基材への塗工性や乾燥性の制御、水性複合樹脂(F)の濡れ性や造膜性を更に促進する目的で、親水性溶剤を併用する事ができる。
親水性溶剤は外装コーティング剤100重量%中0.5~10重量%の範囲で含有する事が好ましい。上記の範囲で含有する事により、親水性溶剤の塗膜中への残留など、悪影響を及ぼすことなく、親水性溶剤添加の効果を得ることができる。したがって、各種基材への密着性、追従性、耐傷つき性、耐候性に優れる外装用コーティング剤となる。
本発明の外装コーティング剤に使用できる親水性溶剤としては、例えば、
エタノール、1-プロパノール(n-プロパノール)、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールなどの一価のアルコール溶剤;
エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のグリコール系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ε-カプロラクタム等のラクタム系溶剤;
ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、出光製エクアミドM-100、エクアミドB-100等のアミド系溶剤
等が挙げられ、一価のアルコール溶剤、グリコールエーテル系溶剤が好ましい。
これらは1種類または2種以上を併用して用いることができる。
また、本発明の外装コーティング剤は、耐候性向上を目的に、光安定化剤や紫外線吸収剤を添加する事も可能である。
本発明の外装コーティング剤に使用できる光安定化剤としては、例えば、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2’-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
本発明の外装コーティング剤に使用できる紫外線吸収剤としては、例えば、
2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系化合物;
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3-[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。また、ベンゾフェノン系としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾトリアゾール系化合物;
等が挙げられる。
光安定化剤および紫外線吸収剤の添加量は有機無機複合樹脂100重量%中、0.5~10重量%程度添加するのがこのましい。上記の範囲で添加することにより、基材への密着性や耐擦性に悪影響を及ぼすことなく、耐候性を向上させることができる。
本発明の外装コーティング剤は、各種添加剤の分散やコーティング剤の結着機能向上を目的に、性能に悪影響を及ぼさない範囲でその他の水性樹脂を併用する事ができる。併用できる水性樹脂としては、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、マレイン酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-マレイン酸ハーフエステル教重合体、ウレタン樹脂、アクリル・ウレタン複合樹脂、オレフィン樹脂、アクリル・オレフィン複合樹脂等が挙げられる。これらは水溶性でも水分散体の形態をとっていても構わない。
また、本発明の外装コーティング剤は、耐候性や基材密着性、基材追従性、耐水摩擦性をより向上させる目的で、水性複合樹脂(F)と反応性基を有する硬化剤(J)を併用する事ができる。特に水性複合樹脂のカルボキシル基と反応する硬化剤を使用することにより、上記の物性が著しく向上する。
使用できる硬化剤(J)としては、ポリエポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ヒドラジド化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
耐久性の観点から、先述の硬化剤(J)の中でも、ポリエポキシ化合物を使用する事が好ましく、更にエポキシ基含有シラン化合物を使用する事が好適である。
エポキシ基含有シラン化合物としては、例えば、
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランやこれらの部分加水分解・縮合物が挙げられる。
エポキシ基含有シラン化合物は合成しても構わないし、市販品を使用しても構わない。
市販品としては、例えば、
信越シリコーン製KBM-402、403、303、KBE-402、403、JNC製サイラエースS510、520、530等が挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアナートや1,3-ビス(2-イソシアナト-2-プロピル)ベンゼンから製造したポリカルボジイミドに親水基を変性した水性ポリカルボジイミドが挙げられ、市販品としては、例えば、日清紡社製、カルボジライトE-02、E-03A、SV-02、V-02、V-02-L2、V-04、E-04等が挙げられる。
ヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
硬化剤(J)の添加量は水性複合樹脂(F)100重量部に対し、0.5~20重量部の範囲で使用する事が好ましい。上記の範囲で使用することにより、コーティング剤の保存安定性や塗工性を損なうことなく、耐候性や耐水摩擦性をより向上させることができる。
また、本発明の外装コーティング剤は、基材へのレベリング性を調節する目的で各種表面調整剤を使用する事ができる。表面調整剤としては例えば、日信化学社製、サーフィノール104E,104H、104A、104PA,104PG-50、104S、420、440、465、485、SE,SE-F、PSA-336、61、2502、ダイノール604、607、ビックケミー社製BYK-381、3441、302、307、325、331、333、342、345、346、347、348、349、378、3455等が挙げられるがこれらに限らない。
表面調整剤の添加量は、塗膜物性への悪影響のバランスを考慮して、外装用コーティング剤100重量%中、固形分換算で0~1.0重量%程度添加するのが好ましい。
また、本発明の外装コーティング剤は、耐候性向上を目的に、光安定化剤や紫外線吸収剤を添加する事も可能である。
本発明の外装コーティング剤は、スレート板やガラス板、金属板等の極性基材への適応は勿論の事、PETやポリエチレン、ポリプロピレン等、非極性プラスチック基材に対しても適応し、耐候性試験実施後も優れた基材密着性と追従性、耐水摩擦性を発現する。
本発明の外装コーティング剤は、各種基材に対し、有版印刷からスプレー塗装、インクジェット印刷等、任意の方法で塗工することが可能である。乾燥工程は室温から150℃の範囲で、60~1200秒の条件で乾燥処理する事が好ましい。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
[酸価]
樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数。乾燥させた樹脂について、JIS K2501に記載の方法に従い、水酸化カリウム・エタノール溶液で電位差滴定をおこない算出した。
[重量平均分子量]
本明細書における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値である。乾燥させた樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ、0.1%溶液を調製し、以下の装置ならびに測定条件により重量平均分子量を測定した。
装置:HLC-8320-GPCシステム(東ソー社製)
カラム;TSKgel-SuperMultiporeHZ-M0021488
4.6 mmI.D.×15 cm×3本(分子量測定範囲2000~約200万)
溶出溶媒;テトラヒドロフラン
標準物質;ポリスチレン(東ソー社製)
流速;0.6mL/分、試料溶液使用量;10μL、カラム温度;40℃
[平均粒子径]
水性複合樹脂(F)の水分散体を200倍に水希釈し、該希釈液約5mlを動的光散乱測定法(マイクロトラックベル社製Nanotrac WaveII)により測定をおこなった。この時得られた粒度分布データ(ヒストグラム)のメジアン径を平均粒子径とした。
<両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂の製造>
[製造例1]
攪拌器、温度計、還流器を備えた反応容器に、ポリオール(A)としてポリテトラメチレングリコール(保土谷化学製PTG-2000SN 官能基数2、水酸基価57.0mgKOH/g)85.5部、ポリイソシアネート(B)としてイソホロンジイソシアネート14.5部を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃まで昇温させた。そこに、触媒として、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)を0.02部添加して、120℃に昇温して、6時間反応させた。反応後、80℃まで温度を下げた後、メチルエチルケトン40.0部、メルカプト基含有化合物(D)として、2-アミノエタンチオール2.3部を加え、75℃で更に2時間反応させた。反応の終点は、FT-IRによりイソシアネート基由来のピーク(2270cm-1付近)の消失により確認した。さらに粘度調整のために、メチルエチルケトンを添加して、樹脂溶液の最終固形分を70.0%に調製した。得られた両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)の酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量は32700であった。
[製造例2~10]
表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法により、ウレタンプレポリマー(C-1)を合成し、さらに一般式(1)で表される化合物(D)と反応させ、両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)を得た。反応後、製造例1と同様の操作をおこない、樹脂溶液の最終固形分を70.0%に調製した。得られた両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)についても製造例1と同様に酸価、重量平均分子量を測定した。
Figure 0007255135000007
<ポリオール>
・ユニオールD-2000;日油製ポリプロピレングリコール(官能基数2、OH基価56.0、分子量2000)
・PTG-2000SN;保土谷化学製ポリテトラメチレングリコール(官能基数2、OH基価57.0、分子量2000)
・P-2010;クラレ製MPD/AA系ポリエステルポリオール(官能基数2、 OH価56.0、分子量2000)
・P-2011;クラレ製MPD/AA/TPA系ポリエステルポリオール(官能基数2、 OH価55.0、分子量2000)
・PriPlast3199:クローダ製ダイマー酸ポリエステルポリオール(官能基数2、OH価50.0、分子量2200)
・T5652;旭化成製1,5-ペンタンジオール/1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(官能基数2、OH価56.0、分子量2000)
・C-2090;クラレ製MPD/1,6-ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(官能基数2、OH価56.0、分子量2000)
ここで、MPD:3-メチルペンタンジオール、AA:アジピン酸、TPA:テレフタル酸である。
・GI-1000;日本曹達製水素化ポリブタジエン系ポリオール(官能基数2、OH価64.0、分子1000)
・水添MDI;ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアナート
<水性複合樹脂(F)の製造>
[実施例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、製造例1で得られた両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂溶液142.9部(不揮発成分は100.0部)、メチルメタクリレート40.0部、n-ブチルメタクリレート40.0部、メタクリル酸11.0部、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート5.0部、ベンジルメタクリレート4.0部、イソプロピルアルコール35.3部を加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃まで昇温させた。滴下ロートに、イソプロピルアルコール20.0部、開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を0.36部仕込み、5時間かけて反応槽に滴下した。還流条件下で10時間反応させ、アクリル樹脂部分のグラフト重合を終了した。反応後、イオン交換水280.0部、ジメチルアミノエタノール11.4部を加えて中和した後、60℃で4時間脱溶剤処理することで、目的の複合樹脂水分散体を得た。更にイオン交換水により、最終固形分を30.0%に調製した。得られた複合樹脂の酸価は35.8mgKOH/g、重量平均分子量は64700、平均粒子径は25.7nmであった。酸価、重量平均分子量は、両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C)と同様の方法で測定した。
[実施例2~19、比較例1、2]
表2~4に示すウレタン/アクリル重量比およびアクリルモノマーの配合組成で、実施例1と同様の方法で水性複合樹脂(F)を合成した。
中和剤の塩基は水性複合樹脂(F)のカルボキシル基に対して当モルになる様に添加した。
Figure 0007255135000008
Figure 0007255135000009
Figure 0007255135000010
表2~表4中の略語を下記に示す。
・PME-400:メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(EO付加モル数9)
<ヒンダードアミン基含有アクリル樹脂>
[比較例3]
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール53.0部を仕込み、撹拌しながら、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、メチルメタクリレート40.0部、n-ブチルメタクリレート40.0部、メタクリル酸11.0部、1,2,2,6,6-ペンタメチル-
4-ピペリジルメタクリレート5.0部、ベンジルメタクリレート4.0部を4時間かけて滴下した。もう一方からは、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2.5部をイソプロピルアルコール部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させ、ヒンダードアミン基含有アクリル樹脂を得た。先述の水性複合樹脂(F)と同様の方法で酸価、重量平均分子量、平均粒子径を測定した。得られた樹脂の酸価は71.3mgKOH/g、重量平均分子量は62000、平均粒子径は24.3nmであった。更にイオン交換水150.0部、ジメチルアミノエタノール11.4部を加えて中和した後、60℃で4時間脱溶剤処理することで、目的の樹脂水分散体を得た。イオン交換水により、最終固形分を30.0%に調製した。
<ヒンダードアミン基含有アクリルウレタン樹脂>
[比較例4]
反応容器に、メチルエチルケトン70.0部を仕込み、撹拌しながら、窒素雰囲気下で79℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、メチルメタクリレート40.0部、n-ブチルメタクリレート40.0部、メタクリル酸11.0部、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート5.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート4.0部を4時間かけて滴下した。もう一方からは、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)6.0部をメチルエチルケトンに溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、10時間反応させ、ヒンダードアミン基含有アクリル樹脂を得た。そこにポリテトラメチレングリコール(保土谷化学製PTG-2000 官能基数2、水酸基価57.0mgKOH/g)85.5部、イソホロンジイソシアネート14.5部を仕込み、8時間反応させ、ヒンダードアミン基含有アクリルウレタン樹脂を合成した。先述の水性複合樹脂(F)と同様の方法で酸価、重量平均分子量、平均粒子径を測定した。得られた樹脂の酸価は36.0mgKOH/g、重量平均分子量は125000、平均粒子径は89.3nmであった。更にイオン交換水300.0部、ジメチルアミノエタノール11.4部を加えて中和した後、60℃で4時間脱溶剤処理することで、目的の複合樹脂水分散体を得た。イオン交換水により、最終固形分を30.0%に調製した。
<外装コーティング剤の製造>
[実施例20]
実施例1で得られた水性複合樹脂(F)の水分散体97.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル3.0部を撹拌しながら混合し、目的の外装用コーティング剤溶液を調製した。この溶液をドライ換算で膜厚が10μmになる様、バーコーターでPET板(コロナ処理無し)、PP板(コロナ処理有り)、アルミ(Al)板の各基材に塗工し、100℃・20分の条件で乾燥させて外装コーティング塗膜を作製した。得られた塗工物について、下記の評価を実施した。評価結果を表に示す。
[耐候性]
先述の各基材の塗工面において、デューパネル光ウェザーメーター〔スガ試験機(株)製、光照射時:30W/m、57℃、湿潤時:湿度90%以上、40℃、光照射/湿潤サイクル=4時間/4時間〕を用いて1000時間曝露試験した。試験板の表面塗膜の鏡面光沢反射率を、日本電色工業製のVG-200(光沢計)を用いて測定し、その光沢保持率を下記式に基づいて求めた。
光沢保持率%=〔(曝露試験後の鏡面光沢度)/(曝露試験前の鏡面光沢度)×100〕
値が大きいほど、耐候性が良好。評価基準は以下の通りである。
(実用可能レベルは○以上)
◎;光沢保持率が90%以上である。
○;光沢保持率が80%以上、90%未満である。
△;光沢保持率が70%以上、80%未満である。
×;光沢保持率が70%未満である。
[基材密着性]
耐候性試験終了後の各基材の塗工面にセロハンテープ(ニチバン社製18mm幅)を貼り付け、垂直方向に剥離試験をおこない、塗膜の剥がれた面積の割合から基材密着性について評価した。評価基準は以下の通りである。(実用可能レベルは○以上)
◎;塗膜の剥がれがない
○;塗膜の剥がれがややある(10%未満)
△;塗膜の剥がれがある(10%以上、50%未満)
×;塗膜の剥がれがかなりある(50%以上)
[基材追従性]
耐候性試験終了後の基材を垂直に折り曲げ、塗工面のひび割れや剥がれがないか目視で確認した。尚、PET板、PP板は基材の非塗工面を加熱しながら変形させて折り曲げた。評価基準は下記の通りである。(実用可能レベルは○以上)
◎;塗膜のひび割れや剥がれがない
○;塗膜のひび割れや剥がれがややある(10%未満)
△;塗膜のひび割れや剥がれがある(10%以上、50%未満)
×;塗膜のひび割れや剥がれがかなりある(50%以上)
[耐水摩擦性]
耐候性試験終了後の各基材の塗工面において、カナキン(JIS L 0803)の摩擦子に水を含ませ、塗膜表面を学振試験機(テスター産業社製)により、荷重250gで800往復させた。塗膜が剥がれた面積の割合から耐水摩擦性について評価した。評価基準は以下の通りである。
◎;塗膜の剥がれがない
○;塗膜の剥がれがややある(5%未満)
△;塗膜の剥がれがある(5%以上、30%未満)
×;塗膜の剥がれがかなりある(30%以上)
[実施例21~40、比較例5~9]
表5~7に表す配合組成で、実施例21と同様の方法で外装コーティング剤を調製した後、実施例1と同様に、塗工物の耐候性、耐候性試験後の基材密着性、基材追従性、耐水摩擦性を評価を実施した。
表5~7に記載の略語を下記に示す。
<硬化剤>
・KBM-403;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カルボジライトE-02;日清紡ケミカル社製ポリカルボジイミドエマルジョン(ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアナート骨格由来のポリカルボジイミド、NV40%、カルボジイミド当量445)
<親水性溶剤>
・BDG;ジエチレングリコールモノブチルエーテル
・EDG;ジエチレングリコールモノエチルエーテル
Figure 0007255135000011
Figure 0007255135000012
Figure 0007255135000013
表5~7に示すように、実施例1~19の水性複合樹脂を含有した実施例20~40の外装コーティング剤は、耐候性が良好であり、耐候性試験実施後も、各種基材に対する密着性、追従性、耐水摩擦性に大変優れ、十分に実用可能なレベルである事がわかった。一方で、比較例1~4の水性樹脂を含有した比較例5~9の外装用コーティング剤は上記の物性の全て又はいずれかが劣っており、実用レベルを満たさない結果であった。以上のことから、本発明の水性複合樹脂(F)ならびにそれを含有してなる外装用コーティング剤の優位性が証明された。

Claims (5)

  1. ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを反応させてなるウレタンプレポリマー(C-1)に一般式(1)で表される化合物(D)を反応させてなる両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)を連鎖移動剤として、一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-1)及び/又は一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-2)を含むエチレン性不飽和単量体(E)を重合してなり、下記(1)~(6)の要件を満たす、水性複合樹脂(F)。
    (1)前記エチレン性不飽和単量体(e-1)及び/又は前記エチレン性不飽和単量体(e-2)の総量の含有率が、エチレン性不飽和単量体(E)100重量%中3~30重量%である。
    (2)前記エチレン性不飽和単量体(E)が、さらに親水性基含有エチレン性不飽和単量体(e-3)を含み、その含有率が、エチレン性不飽和単量体(E)100重量%中3~13重量%である。
    (3)前記エチレン性不飽和単量体(E)が、さらに、一般式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-1)、一般式(3)で表されるエチレン性不飽和単量体(e-2)、または親水性基含有エチレン性不飽和単量体(e-3)と共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(e-4)を含み、その含有率が、エチレン性不飽和単量体(E)100重量%中60~89.8重量%である。
    (4)前記両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)の重量平均分子量が、5000~60000である。
    (5)前記エチレン性不飽和単量体(E)の配合量が、前記両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)100重量部に対して30~180重量部である。
    (6)前記エチレン性不飽和単量体(E)を重合してなるアクリル樹脂部分のガラス転移温度(Tg)が、35~110℃である。
    一般式(1)
    Figure 0007255135000014

    (一般式(1)中、Xは-OH、-NH、-NHY、および-SHからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Yはアルキル基である。Rはアルキレン基、アリーレン基、およびアルキレンオキオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の2価の基である。)
    一般式(2)
    Figure 0007255135000015

    (一般式(2)中、RおよびRは水素原子またはメチル基である。)
    一般式(3)
    Figure 0007255135000016

    (一般式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rはアルキレン基である。)
  2. 一般式(1)で表される化合物(D)が、アミノアルカンチオールである請求項1記載の水性複合樹脂(F)。
  3. 両末端メルカプト基含有ウレタン樹脂(C-2)の酸価が、5mgKOH/g未満である、請求項1又は2記載の水性複合樹脂(F)。
  4. 外装コーティング剤用である、請求項1~3いずれか記載の水性複合樹脂(F)。
  5. 請求項記載の水性複合樹脂(F)を含有する外装コーティング剤。
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