JP7254771B2 - 長鎖ペプチドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、長鎖ペプチドの効率的な製造方法に関するものである。
長鎖ペプチド構造は、近年注目を集めているペプチド医薬品の主要な構造である。今後も成長が期待される分野であることから、その効率的な製造方法は市場から渇望されているものであるが、真に効率的な方法は存在しない。例えば、代表的なペプチド製造方法として、固相合成法がある。固相合成法では、固相に担持されたアミノ酸が出発原料として使われ、アミノ酸を一つずつ伸張していく方法によって長鎖ペプチドが合成される。
Figure 0007254771000001
固相合成法によれば、アミノ酸を100個以上含むような長鎖ペプチドも合成可能である。しかし固相上で全ての反応を行なうため、各反応の終結に大過剰量の試剤を必要とするなど、必ずしも効率的な方法とはいえず、少なくとも工業的な大量生産には向いていない。
それに対して、全ての反応を液相で行う液相合成法によれば、反応性は高く試剤量も固相法と比較して大幅に削減できる。但し、液相合成法によるフラグメントカップリング時には、C末端保護基とN末端保護基をそれぞれ選択的に除去したフラグメントを調製する必要があり、各フラグメントの保護基の選択にはしばしば困難が伴う。例えば、水酸基やカルボキシ基の保護には、水添という穏和で且つ簡便な方法で除去できるベンジル基がよく使われるが、C末端と側鎖水酸基や側鎖カルボキシ基をベンジル基で保護してしまうと、水添によってはC末端のみを選択的に脱保護することができない。
ペプチド断片のC末端保護基としては、非特許文献1,2に記載の方法では、C末端を4-ニトロベンジルエステル基で保護し、90%酢酸中、亜鉛粉末の存在下で脱保護している。しかしこの亜鉛粉末の量は触媒量ではなく、例えばC末端を脱保護すべきペプチド断片273mgに対して、亜鉛粉末の使用量は100mgである。よって、目的のペプチドを工業的に大量生産する場合には、大量の亜鉛粉末が必要であり、また、反応後における大量の酢酸の処理も必要となるため、この方法は環境負荷が高く工業的な大量生産に適するとはいえない。
また、非特許文献1,2に記載の方法では、Boc(t-ブトキシカルボニル基)で保護されたN末端をTFA(トリフルオロ酢酸)で脱保護している。しかしこのTFAは、次のN末端脱保護ペプチド断片とC末端脱保護ペプチド断片との縮合反応において副反応を起こすため、エバポレーションの後、n-ヘキサンによる洗浄とKOHペレットを用いた真空乾燥により完全に除去されている。長鎖ペプチドを製造するに当たり、Boc基を除去する毎にかかる操作をする方法は、効率的とは言い難い。
TAKASHI ABIKOら,Chem.Pharm.Bull.,28(12),pp.3542-3548(1980) TAKASHI ABIKOら,Chem.Pharm.Bull.,29(5),pp.1390-1397(1981)
上述したように、長鎖ペプチドの液相合成法は固相合成法に比べて工業的な大量合成に適しているといえるが、保護基の選択にはしばしば困難が伴い、また、N末端の脱保護ごとに脱保護用試薬を完全に除去する必要のある場合があった。
そこで本発明は、工業的な大量合成にも適する長鎖ペプチドの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、長鎖ペプチドの液相合成法において、Bocで保護されたペプチド断片のN末端をスルホン酸類で脱保護し、且つペプチド断片のC末端をONBnで保護しておけば、少なくともN末端の脱保護からC末端脱保護ペプチド断片との縮合反応を同一系内(ワンポット)で行うことができ、且つ反応性側鎖官能基の保護基の選択が容易になることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 長鎖ペプチドを製造するための方法であって、
スルホン酸類を用いて下記式(I)で表される化合物のN末端を選択的に脱保護して下記式(II)で表される化合物を得た後、塩基性化合物を添加して反応液を中和する工程A、
Boc-(AA1m-Pro1 ・・・ (I)
H-(AA1m-Pro1 ・・・ (II)
[式中、BocはN末端の保護基であるt-ブトキシカルボニル基を示し、(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を示し、mは2以上50以下の整数を示し、Pro1はC末端の保護基を示す]
下記式(III)で表される化合物のC末端を選択的に脱保護して下記式(IV)で表される化合物を得る工程B、
Boc-(AA2n-ONBn ・・・ (III)
Boc-(AA2n-OH ・・・ (IV)
[式中、(AA2nは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を示し、nは2以上50以下の整数を示し、NBnは下記式(V)で表されるニトロベンジル基(式中、p、qおよびrは独立して0または1を示し、p+q+rは1、2または3を示す)を示す]
Figure 0007254771000002
および、上記工程Aの反応液に、上記式(IV)で表される化合物を添加し、上記式(II)で表される化合物と上記式(IV)で表される化合物とを縮合して下記式(VI)で表される化合物を得る工程Cを含むことを特徴とする方法。
Boc-(AA2n-(AA1m-Pro1 ・・・ (VI)
[式中、Boc、(AA2n、n、(AA1m、m、およびPro1は、上記と同義を示す]
[2] 上記工程Bにおいて、金属と酸との組み合わせ、または亜ジチオン酸類を用いてC末端を選択的に脱保護する上記[1]に記載の方法。
[3] 上記スルホン酸類として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸から必須的になる群より選択される1以上のスルホン酸を用いる上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 上記塩基性化合物として有機アミン化合物を用いる上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記有機アミン化合物として、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンの少なくとも一方を用いる上記[4]に記載の方法。
[6] Pro1がONBnであり上記工程Cで得られる上記式(VI)で表される化合物を上記工程Bにおける上記式(III)で表される化合物として用い、上記工程A~Cを複数回繰り返す上記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7] Pro1がNH2またはONBnであり上記工程Cで得られる上記式(VI)で表される化合物を上記工程Aにおける上記式(I)で表される化合物として用い、上記工程A~Cを複数回繰り返す上記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 更に、少なくとも上記式(VI)で表される化合物の反応性側鎖官能基を脱保護する工程を含む上記[1]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 上記工程Cで溶媒を用い、当該溶媒としてアミド系溶媒を用いる上記[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 上記アミド系溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上のアミド系溶媒を用いる上記[9]に記載の方法。
[11] 上記長鎖ペプチドがエキセナチドである上記[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 下記アミノ酸配列を有するペプチド断片を用い、
1: Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
2: Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
3: Asn-Gly
4: Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys
5: Glu-Ala-Val-Arg-Leu
6: Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu
7: Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu
8: His-Gly-Glu-Gly
N末端がBocで保護され且つC末端がPro1で保護されている上記ペプチド断片Fs(sは1以上、7以下のいずれかの整数を示す)を上記式(I)で表される化合物として用い、且つ、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片Fs+1を上記式(III)で表される化合物として用い、上記ペプチド断片Fsと上記ペプチド断片Fs+1とを縮合する上記[8]に記載の方法。
[13] N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F1を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F2を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F9を製造する工程、
9: Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F3を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F4を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F10を製造する工程、
10: Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly
N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F7を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F8を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F11を製造する工程、
11: His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu
N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F10を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F5を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F12を製造する工程、
12: Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly
N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F9を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F12を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F13を製造する工程、
13: Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F13を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F6を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F14を製造する工程、
14: Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F14を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F11を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F15を製造する工程、
15: His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
および、上記ペプチド断片F15のN末端および反応性側鎖官能基を脱保護する工程を含む上記[12]に記載の方法。
本発明に係る長鎖ペプチドの製造方法は、全ての反応が液相中で行なわれるため、従来の固相合成法を使用したものと比較して劇的に使用試剤量を削減でき、長鎖ペプチドを効率よく製造することができる。また、従来の液相法で課題となる適切なC末端保護基の選定に関して、特異的な条件で除去可能なC末端保護基を採用したことにより、反応性側鎖官能基の保護基の選択が容易である。更に、N末端保護基の脱保護用試薬として特定のものを用いることにより、脱保護用試薬が残留していてもN末端脱保護ペプチド断片とC末端脱保護ペプチド断片との縮合を問題無く行うことができるため、脱保護用試薬の完全除去という煩雑な操作が不要である。よって本発明方法は、特に長鎖ペプチドの工業的な大量生産にも適しており、産業上極めて有用である。
以下、本発明方法を工程ごとに詳細に述べる。なお、以下では、「式(X)で表される化合物」を「化合物(X)」と略記する。
工程A: N末端の脱保護工程
本工程では、スルホン酸類を用いて化合物(I)のN末端を選択的に脱保護して化合物(II)を得た後、塩基性化合物を添加して反応液を中和する。
Boc-(AA1m-Pro1 ・・・ (I)
H-(AA1m-Pro1 ・・・ (II)
[式中、BocはN末端の保護基であるt-ブトキシカルボニル基を示し、(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を示し、mは2以上50以下の整数を示し、Pro1はC末端の保護基を示す]
(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を表し、以下の構造単位を有する。なお、AA1はアミノ酸残基を示し、複数のAA1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Figure 0007254771000003
[式中、Rはアミノ酸の側鎖を示す]
勿論、(AA1m中、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Asn、Gln、Pro、Pheの側鎖官能基など、反応性を有さない側鎖官能基は保護の必要は無い。ここで「反応性側鎖官能基」とは、アミノ酸側鎖に含まれる反応性の高い官能基をいい、具体的には、水酸基、チオール基、カルボキシ基、アミノ基、グアニジノ基、およびイミダゾール基が挙げられる。また、Metのメチルチオ基や、AsnおよびGlnのアミド基は、本開示においては反応性側鎖官能基には含めないが、副反応を完全に抑制するために保護してもよい。具体的には、Metの側鎖のチオエーテル基(-S-)はスルホキシド化してもよく、アミド基の保護基としては、キサンチル、ビス-2,4-ジメトキシベンジル、4,4'-ジメトキシベンズヒドリル基などを挙げることができる。また、Cysの側鎖チオール基も酸化してもよい。本開示においては、Metの側鎖チオエーテル基と、AsnおよびGlnの側鎖アミド基を「準反応性側鎖官能基」という場合がある。
反応性側鎖官能基の保護基としては、N末端を脱保護するためのスルホン酸類による酸性条件で脱保護されないものが好ましい。以下、特に制限されないが、側鎖水酸基の保護基としては、ベンジル(Bzl)、4-メチルベンジル(4-MeBzl)、4-メトキシベンジル(4-MeOBzl)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(Br-Z)などを挙げることができ、側鎖チオール基の保護基としては、ベンジル(Bzl)、4-メチルベンジル(4-MeBzl)、4-メトキシベンジル(4-MeOBzl)、t-ブチル(tBu)などを挙げることができ、側鎖カルボキシ基の保護基としては、ベンジルオキシ(OBzl)、シクロヘキシルオキシ(O-cHex)などを挙げることができ、側鎖アミノ基の保護基としては、ホルミル、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホニル(Mts)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、ニトロ(NO2)、p-トルエンスルホニル(Tos)、ベンジルオキシメチル(BOM)、2,4-ジニトロフェニル(Dnp)、2-クロロベンジルオキシカルボニル(Cl-Z)などを挙げることができる。
好ましくは、SerとThrの側鎖保護基としてはBn基、Lysの側鎖保護基としては2-Cl-Z基またはZ基、Trpの側鎖保護基としてはホルミル基、GluとAspの側鎖保護基としてはBn基、Argの側鎖保護基としてはZ基またはNO2基、Hisの側鎖保護基としてはBOM基、Tyrの側鎖保護基としては、Bn基、Z基または2-Br-Z基である。N末端アミノ酸の側鎖保護基としては、Boc基など酸で除去可能な保護基を使用することもできる。
mの上限は特に制限されないが、ペプチド断片が過剰に大きいと反応が進み難くなるおそれがあり得るため、mとしては100以下が好ましく、50以下がより好ましい。また、mとしては2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がより更に好ましい。
Pro1はC末端の保護基を表す。C末端の保護基としては、Theodora W.Greene, Peter G.M.Wuts著 Protectve Groups in Organic Chemistry(第4版、WILEY-INTERSCIENCE社出版)533~646頁に記載の保護基中、N末端を脱保護するためのスルホン酸類による酸性条件で脱保護されないものが好ましい。そのような保護基で保護されたC末端としては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、4-ニトロベンジルエステル、2-ニトロベンジルエステル、2,4-ジニトロベンジルエステル、4-メトキシベンジルエステルなどのエステル系保護基;アミド、ジメチルアミド、ピロリジニルアミド、ピペリジニルアミド、o-ニトロアニリドなどのアミド系保護基などを挙げることができる。
なお、工程A~Cにより得られた化合物(VI)を工程Bの化合物(III)として用い、新たに工程A~Cを繰り返す場合には、Pro1を4-ニトロベンジルアルコール、2-ニトロベンジルアルコール、2,4-ジニトロベンジルアルコール、4,6-ジニトロベンジルアルコールおよび2,4,6-トリニトロベンジルアルコールから必須的になる群より選択される1以上のニトロベンジルアルコール基(ONBn)とする。
化合物(I)のN末端の保護基としてはBocを用い、本工程ではスルホン酸類を用いて化合物(I)のN末端を脱保護する。Bocで保護されたN末端の脱保護は、トリフルオロ酢酸により行うことが一般的であるが、トリフルオロ酢酸を使用した場合には副反応を抑制する目的でトリフルオロ酢酸の完全な除去が必要となる。かかる操作は、製造の効率性の観点から好ましいものではなく、特に工業的な大量合成では避けるべきである。それに対して、スルホン酸類を用いて脱Boc化反応を行う場合には、スルホン酸類を除去する必要が無く、反応液を続けて縮合工程に供することができ、効率的な製造に繋げることができる。
使用するスルホン酸類としては、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸および/またはp-トルエンスルホン酸を挙げることができる。これらは混合物として用いてもよい。スルホン酸類は、反応液に残留したまま化合物(II)を単離することなく次工程のカップリング反応に供しても、顕著な副生物を発生しないという観点から特に好ましい。
スルホン酸類の使用量は特に制限されず適宜決定すればよいが、例えば、化合物(I)に対して0.1mol当量以上、400mol当量以下とすることができる。当該量としては、0.5mol当量以上、200mol当量以下が好ましい。
本工程では、反応液の液性状を改善したり、反応を促進したり、副反応を抑制する目的で、溶媒を用いてもよい。溶媒は適宜選択すればよく特に制限されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、ジプロピルホルムアミド、ジブチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルプロピレンウレア等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。好ましくはハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、非プロトン性極性溶媒であり、より好ましくはハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒であり、より更に好ましくはジクロロメタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上の溶媒である。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。混合する場合、その混合比は特に制限はない。
溶媒の使用量は適宜決定すればよいが、例えば、1gの化合物(I)に対して1mL以上、300mL以下とすることができ、好ましくは5mL以上、100mL以下である。
各試剤の添加順序には特に制限はなく、例えば、化合物(I)と溶媒の混合物にスルホン酸類を添加すればよい。反応液全体に対する化合物(I)の割合は0.2W/V%以上、50W/V%以下が好ましく、1W/V%以上、20W/V%以下がより好ましい。
化合物(I)のN末端の脱保護のための反応温度は特に制限されないが、安全性の観点から使用する溶媒の沸点以下が望ましい。反応温度としては、例えば-40℃以上、160℃以下が好ましく、-20℃以上、100℃以下がより好ましく、0℃以上、60℃以下がより更に好ましい。
化合物(I)のN末端の脱保護のための反応時間も特に制限されず、予備実験により決定したり、HPLCや薄層クロマトグラフィなどで化合物(I)の消費が確認されるまでとすることもできるが、例えば、10分以上、24時間以下とすることができる。
本工程では、化合物(I)のN末端を脱保護した後、塩基性化合物を添加して反応液を中和する。
塩基性化合物は、無機塩基や有機塩基など特に制限されないが、反応液に対する溶解性の観点から有機塩基を好適に用いる。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等、アルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等、アルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等、アルカリ金属の炭酸水素塩;リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、ピリジン、キノリン、イミダゾール等の有機アミン化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは、有機アミン化合物であり、より好ましくはトリエチルアミンおよび/またはジイソプロピルエチルアミンである。
塩基性化合物の使用量は、適宜調整すればよい。例えば、塩基性化合物を添加した後の反応液のpHが、6.5以上になるようにすればよい。当該pHが高いほど、後の縮合反応を良好に進行せしめることができることから、当該pHとしては6.5以上が好ましく、7.0以上がより好ましい。一方、pHが低いほど縮合反応でのエピメリ化を抑制できることから、当該pHとしては10以下が好ましく、8.0以下がより好ましい。
塩基性化合物の添加形態は特に制限されず、例えば、化合物(I)のN末端の脱保護反応が完了した反応液へ塩基性化合物を直接添加してもよいし、塩基性化合物を溶媒に分散または溶解した上で、分散液または溶液を添加してもよい。この場合の溶媒としては、化合物(I)のN末端の脱保護反応の説明で例示した溶媒を用いることができ、当該脱保護反応で用いた溶媒と同一の溶媒を用いてもよいし、異なる溶媒を用いてもよい。
塩基性化合物を添加する際の温度は特に制限されず適宜決定すればよいが、中和により反応熱が生じることがあるので、反応液を冷却してから塩基性化合物を添加することが好ましい。例えば、反応液を-10℃以上、20℃以下に冷却してから塩基性化合物を添加することが好ましい。また、塩基性化合物の添加中および添加後を通じて、反応液を攪拌することが好ましい。
工程B: C末端の脱保護工程
本工程では、化合物(III)のC末端を選択的に脱保護して化合物(IV)を得る。なお、本工程は、上記工程Aとは別途行うことが好ましい。
Boc-(AA2n-ONBn ・・・ (III)
Boc-(AA2n-OH ・・・ (IV)
[式中、(AA2nは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を示し、nは2以上50以下の整数を示し、NBnは下記式(V)で表されるニトロベンジル基(式中、p、qおよびrは独立して0または1を示し、p+q+rは1、2または3を示す)を示す]
Figure 0007254771000004
式(III)および式(IV)中の(AA2nは、(AA1mと同一のものである必要はないが、上記工程Aでの(AA1mの説明がそのまま適用されるものであり、nとしては100以下が好ましく、50以下がより好ましく、また、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がより更に好ましい。
NBnは、具体的には、4-ニトロベンジル、2-ニトロベンジル、2,4-ジニトロベンジル、4,6-ジニトロベンジルおよび2,4,6-トリニトロベンジルから必須的になる群より選択される1以上のニトロベンジル基である。C末端を含み、ペプチド中の水酸基やカルボキシ基の保護には、水添反応により容易に除去できるベンジル系保護基が用いられる。しかしC末端の保護に一般的なベンジル系保護基を用いると、C末端の選択的な脱保護ができない場合がある。そこで本発明では、C末端をONBnで保護することで、C末端の選択的な脱保護が可能になる。
具体的には、(AA2n中に反応性側鎖官能基が存在しない場合や、反応性側鎖官能基がベンジル系保護基以外の保護基のみで保護されている場合には、化合物(III)のC末端のNBnは一般的な水添反応で容易に除去することができる。また、反応性側鎖官能基の保護基に一般的なベンジル系保護基が含まれている場合には、穏和な還元条件でC末端のNBnのみを選択的に除去できる。詳しくは、NBn中のベンゼン環上ニトロ基は容易に還元されるため、一般的なベンジル系保護基を維持したままNBnのニトロ基のみを還元することができる。NBn中のニトロ基が還元されると、続く電子移動によりNBnが除去され、C末端のみの脱保護が可能になる。
一般的なベンジル系保護基を維持したままNBnのニトロ基のみを還元する条件は適宜選択すればよいが、例えば穏和な還元剤である亜ジチオン酸類を用いることができる。具体的には、化合物(III)に溶媒と共に亜ジチオン酸類を添加したり、化合物(III)の溶液または分散液に亜ジチオン酸類を添加したり、化合物(III)の溶液または分散液に亜ジチオン酸類の溶液または分散液を添加すればよい。亜ジチオン酸類としては、亜ジチオン酸ナトリウムを挙げることができる。或いは、金属と酸との組み合わせを用いた還元反応を利用し、NBnを選択的に除去することも可能である。還元反応に用いることができる金属としては、Fe、ZnおよびSnを挙げることができ、酸としては、塩化アンモニウム、酢酸、塩酸および酸性緩衝液を挙げることができる。
亜ジチオン酸類の使用量は、化合物(III)のC末端を選択的に脱保護できる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、化合物(III)に対して1mol当量以上、30mol当量以下の亜ジチオン酸類を用いることができる。当該量としては、20mol当量以下が好ましく、また、3mol当量以上が好ましく、5mol当量以上がより好ましい。なお、本発明において「mol当量」とは、基準になる化合物1molに対する対象化合物のmol数をいう。
本工程で用いる溶媒としては、化合物(I)のN末端の脱保護反応の説明で例示した溶媒を用いることができ、当該脱保護反応で用いた溶媒と同一の溶媒を用いてもよいし、異なる溶媒を用いてもよい。但し、アミド系溶媒またはスルホキシド系溶媒と水の混合溶媒が好ましく、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジブチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシド(DMSO)から必須的になる群より選択される1以上の有機溶媒と水の混合溶媒がより好ましい。
本工程の反応温度は特に制限されないが、安全性の観点から使用する溶媒の沸点以下が望ましい。また、不純物の生成抑制と反応速度の観点から適切に温度を設定することが好ましい。反応温度としては、例えば20℃以上、150℃以下が好ましく、30℃以上、100℃以下がより好ましく、50℃以上、90℃以下がより更に好ましい。
本工程の反応時間も特に制限されず、予備実験により決定したり、HPLCや薄層クロマトグラフィなどで化合物(III)の消費が確認されるまでとすることもできるが、例えば、30分以上、24時間以下とすることができる。
本工程での反応終了後は、一般的な後処理を行ってもよい。例えば、反応液を室温まで冷却し、貧溶媒を添加して化合物(IV)を析出させ、濾集し、貧溶媒で洗浄した後、乾燥すればよい。
工程C: 縮合工程
本工程では、上記工程Aの反応液に、化合物(IV)を添加し、化合物(II)と化合物(IV)とを縮合して化合物(VI)を得る。上記工程Aの反応液へは、上記工程Bの反応液や、精製または粗精製した化合物(IV)を添加すればよいが、精製または粗生成した化合物(IV)を上記工程Aの反応液へ添加することが好ましい。即ち、少なくとも上記工程Aと本工程Cは同一系内(ワンポット)で行う。
Boc-(AA2n-(AA1m-Pro1 ・・・ (VI)
[式中、Boc、(AA2n、n、(AA1m、m、およびPro1は、上記と同義を示す]
本工程における化合物(II)と化合物(IV)の使用量は、適宜調整すればよい。例えば、化合物(II)に対して0.4mol当量以上、5mol当量以下とすることができ、0.8mol当量以上、2mol当量以下が好ましく、0.9mol当量以上、1.5mol当量以下がより好ましい。
本工程で化合物(II)と化合物(IV)とを縮合させる方法は特に限定されないが、例えば、ヒドロキシアミン化合物などの活性化添加剤存在下、カルボジイミド化合物または脱水縮合剤を用いるとよい。
ヒドロキシアミン化合物としては例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、3-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、2-オキシム-シアノグリオキシル酸エチル(Oxyma)、1-ヒドロキシ-6-クロロ-ベンゾトリアゾール(6-Cl-HOBt)、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシピペリジンなどが挙げられる。好ましくは1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、および3-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)であり、更に好ましくは3-ヒドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)である。
ヒドロキシアミン化合物の使用量は適宜調整すればよいが、例えば、化合物(III)に対して0.1mol当量以上、10mol当量以下とすることができ、0.5mol当量以上、5mol当量以下が好ましい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)や1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)などが挙げられる。好ましくは、後処理の容易さや入手のし易さの観点から1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)である。
脱水縮合剤としては、例えば、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ジメチルアミノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス-ピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、O-[(エトキシカルボニル)シアノメチルエナミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HOTU)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロホスフェート(COMU)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルフォリニウム クロリド(DMT-MM)などが挙げられる。好ましくはO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、又は(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロホスフェート(COMU)であり、更に好ましくはO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)である。
カルボジイミド化合物と脱水縮合剤の使用量は適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、化合物(III)に対して0.1mol当量以上、10mol当量以下とすることができ、0.5mol当量以上、5mol当量以下が好ましい。
本工程では溶媒を用いてもよく、溶媒としては上記工程Aの説明で例示したものと同様のものを用いることができる。但し、本工程において原料の溶解性が低い場合には、原料を溶解させて反応を促進する目的で溶媒中にアミド系溶媒が含まれていることが好ましく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上のアミド系溶媒が含まれていることが好ましい。なお、本工程でアミド系溶媒が含まれる溶媒を用いるには、上記工程Aと工程Bで溶媒の少なくとも一部としてアミド系溶媒を用いた場合には継続して本工程を実施すればよいし、上記工程Aと工程Bでアミド系溶媒を用いなかった場合には、本工程でアミド系溶媒を添加すればよい。本工程の溶媒の一部としてアミド系溶媒を用いる場合には、本工程における溶媒全体に占めるアミド系溶媒の割合を2v/v%以上にすることが好ましく、30v/v%以上がより好ましく、70v/v%以上がより更に好ましい。なお、かかる割合は、混合前の各溶媒の合計容量に対する混合前のアミド系溶媒の割合をいう。
本工程の反応温度や反応時間は特に制限されず、適宜調整すればよいが、例えば反応温度は使用する反応溶媒の沸点以下とすることができ、副反応抑制の観点から、好ましくは50℃以下であり、常温で反応を行うことも可能である。反応温度の下限は特に制限されないが、反応を良好に進行させる観点から-10℃以上が好ましい。反応時間は特に制限されず、予備実験により決定したり、HPLCや薄層クロマトグラフィなどで化合物(II)または化合物(IV)の消費が確認されるまでとすることもできるが、例えば、1分以上、48時間以下とすることができる。
本工程での反応終了後は、一般的な後処理を行ってもよい。例えば、水、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液などで反応液を洗浄後、有機相を無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮してもよい。更にカラムクロマトグラフィや晶析操作などによって化合物(VI)を精製してもよい。
本工程で得られた化合物(VI)は、上記工程Bの化合物(III)として用いて上記工程A~Cを繰り返し、ペプチド鎖を伸長してもよい。その場合には、化合物(VI)のC末端保護基Pro1として、化合物(III)と同様にONBnを用いる。
或いは、本工程で得られた化合物(VI)は、上記工程Aの化合物(I)として用いて上記工程A~Cを繰り返し、ペプチド鎖を伸長してもよい。その場合には、化合物(VI)のC末端保護基Pro1は適宜選択すればよい。例えば後記のエキセナチドを製造する場合には、エキセナチド自体のC末端が-CONH2であるので、Pro1はNH2とすれば、エキセナチドを効率的に製造することができる。また、化合物(VI)をよりN末端側のペプチド鎖として用いる場合には、Pro1はONBnとしてもよい。
工程D: 脱保護工程
本工程では、少なくとも化合物(VI)の反応性側鎖官能基を脱保護することにより、目的のペプチドを得る。勿論、化合物(VI)のAA2およびAA1が反応性側鎖官能基を有さない場合や、準反応性側鎖官能基を有するが保護されていない場合には、本工程を行う必要は無い。また、必要に応じて、N末端およびC末端の少なくとも一方を脱保護してもよい。各保護基の脱保護条件としては、公知条件を採用すればよい。
本工程での反応終了後は、一般的な後処理を行ってもよい。例えば、反応液を濃縮後、カラムクロマトグラフィなどで目的のペプチドを精製してもよい。
以上で説明した本発明方法によれば、有用な長鎖ペプチドを効率的に製造することができる、例えば本発明方法を、2型糖尿病薬として世界中で広く使用されているGLP-1受容体作動薬であるエキセナチドの製造に適用することができる。エキセナチドは、His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS)のアミノ酸配列を有し、C末端カルボキシ基がアミド化されている。
本発明方法で長鎖ペプチドを製造する場合には、例えばエピメリ化が起こり難いよう長鎖ペプチドを適切な位置で切断したペプチド断片をデザインし、各ペプチド断片を本発明方法または従来方法で製造し、各ペプチド断片を本発明方法で縮合していけばよい。その場合、隣り合うペプチド断片のうち、よりC末端側のペプチド断片を化合物(I)として用い、よりN末端側のペプチド断片を化合物(III)として用いる。ペプチド断片が反応性側鎖官能基を有する場合には、当該反応性側鎖官能基の保護基として、N末端および/またはC末端の選択的脱保護条件、即ちBocおよび/またはNBnの除去条件で除去されないものを選択する。
例えばエキセナチドを本発明方法で製造する場合には、C末端からN末端に向かって下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F1~F8(フラグメント1~8)をデザインし、各ペプチド断片を本発明方法で縮合していけばよい。
1: Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
2: Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
3: Asn-Gly
4: Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys
5: Glu-Ala-Val-Arg-Leu
6: Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu
7: Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu
8: His-Gly-Glu-Gly
上記ペプチド断片中、エキセナチドのC末端部分に相当するペプチド断片F1のC末端は、エキセナチドのC末端がアミド化されており、アミド基は比較的安定であることから、NH2で保護することが好ましい。その他のペプチド断片F2~F7は、何れかの段階でよりC末端側のペプチド断片と縮合することになるので、ペプチド断片F2~F8のC末端の保護基としてはONBnを用いることが好ましい。
より具体的には、ペプチド断片F1を化合物(I)として用い、ペプチド断片F2を化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F9を得、
9: Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
ペプチド断片F3を化合物(I)として用い、ペプチド断片F4を化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F10を得、
10: Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly
ペプチド断片F7を化合物(I)として用い、ペプチド断片F8を化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F11を得、
11: His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu
ペプチド断片F10を化合物(I)として用い、ペプチド断片F5を化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F12を得、
12: Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly
ペプチド断片F9を化合物(I)として用い、ペプチド断片F12を化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F13を得、
13: Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
ペプチド断片F13を化合物(I)として用い、ペプチド断片Fを化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F14を得、
14: Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
ペプチド断片F14を化合物(I)として用い、ペプチド断片F11を化合物(III)として用いて縮合し、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F15を得る。
15: His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
上記ペプチド断片F1のC末端の保護基としてNH2を用い、上記ペプチド断片F15のN末端の保護基であるBocと反応性側鎖官能基を常法により脱保護することにより、エキセナチドが得られる。
本願は、2018年3月29日に出願された日本国特許出願第2018-65298号に基づく優先権の利益を主張するものである。2018年3月29日に出願された日本国特許出願第2018-65298号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: フラグメントF1とフラグメントF2からのフラグメントF9の製造
(1)Boc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-OHの製造
Boc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-O(4-NBn)(0.82g,1.0mmol)に、Na224(0.86g,5.0mmol)、DMA(5mL)および水(0.5mL)を添加し、90℃で2時間撹拌した。反応溶液に酢酸エチル(8mL)と水(8mL)を添加して分液と抽出を行い、フラグメントF2としてBoc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-OHを得た。
(2)Boc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2の製造
Boc-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2(0.69g,1.1mmol)にジクロロメタン(5mL)とメタンスルホン酸(0.58g,6.0mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(0.62g,6.1mmol)を添加し室温で10分撹拌した後、該反応液を上記実施例1(1)で得られたBoc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-OHのジクロロメタン溶液(6mL)に添加した。続けてHOBt・H2O(0.23g,1.5mmol)を添加し、最後にEDC塩酸塩(0.29g,1.5mmol)を添加し、室温で16時間撹拌した。次いで反応を停止させ、抽出によりフラグメントF9としてBoc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2を得た(0.93mmol,純度95.0%)。
実施例2: フラグメントF3とフラグメントF4からのフラグメントF10の製造
(1)Boc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-OHの製造
Boc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-O(4-NBn)(1.0g,0.94mmol)に、DMA(6g)、Na224(0.82g,4.7mmol)および水(0.6g)を添加し、90℃で2時間撹拌した。その後、20℃まで冷却し、5%硫酸水素カリウム水溶液(40g)を添加した。析出固体を濾取し、減圧乾燥することで、フラグメントF4として0.87gのBoc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-OHを得た。
(2)Boc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-O(4-NBn)の製造
Boc-Asn-Gly-O(4-NBn)(3.5g,8.3mmol)にジクロロメタン(160mL)とメタンスルホン酸(5.4g,56mmol)を添加し、3時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(5.8g,57mmol)を添加して5分間撹拌することにより、N末端を脱保護した。
H-Asn-Gly-O(4-NBn)溶液に、上記実施例2(1)で得られたBoc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-OH(8.5g,7.0mmol)とHOOBt(2.0g,13mmol)を添加し、最後にEDC塩酸塩(2.0g,10mmol)の水溶液(5.8mL)を3時間かけて添加した。20℃で4時間撹拌後、水(160g)を添加して析出物を濾取することで、フラグメントF10としてBoc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-O(4-NBn)を得た(9.7g,6.3mmol)。
実施例3: フラグメントF7とフラグメントF8からのフラグメントF11の製造
(1)Boc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-OHの製造
Boc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-O(4-NBn)(5.0g,5.9mmol)に、DMA(15g)、Na224(5.2g,30mmol)および水(1.1g)を添加し、100℃で3時間撹拌した。10℃まで冷却後、水(30g)とジクロロメタン(30g)を添加して分液と抽出を行い、フラグメントF8としてBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-OHを得た。
(2)Boc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-O(4-NBn)の製造
Boc-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-O(4-NBn)(6.3g,4.9mmol)にジクロロメタン(11g)とメタンスルホン酸(2.4g,25mmol)を添加し、2時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(2.6g,25mmol)を添加して15分間撹拌した後、上記実施例3(1)で得られたBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-OH溶液(42g,5.9mmol)、HOBt・H2O(1.1g,7.4mmol)、EDC塩酸塩(1.4g,7.4mmol)をこの順で添加した。0℃で18時間撹拌後、5%炭酸ナトリウム水溶液(60g)を添加した。析出した固体を濾取することで、フラグメントF11としてBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-O(4-NBn)を取得した(8.6g,4.6mmol,純度93.5%)。
実施例4: フラグメントF5とフラグメントF10からのフラグメントF12の製造
(1)Boc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-OHの製造
Boc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-O(4-NBn)(8.5g,7.2mmol)に、DMA(60mL)、Na224(6.2g,36mmol)および水(6mL)を添加し、90℃で4時間撹拌した。その後、水(60mL)を添加して室温まで冷却し、酢酸エチル(60mL)を添加して、室温で2時間撹拌した。析出した固体を濾取し、水と酢酸エチルで洗浄することにより、フラグメントF5としてBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-OHを取得した(7.5g,7.2mmol,純度:96.5%)。
(2)Boc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-O(4-NBn)の製造
上記実施例2で得られたBoc-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-O(4-NBn)(9.5g,6.2mmol)にジクロロメタン(105mL)とメタンスルホン酸(3.0g,31mmol)を添加し、1時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(2.8g,28mmol)を添加して5分間撹拌した。更にDMA(146g)を添加して20℃まで昇温した。
上記反応液に、上記実施例4(1)で得られたBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-OH(6.5g,6.2mmol)およびHOOBt(1.5g,9.3mmol)を添加し、最後にEDC塩酸塩(1.8g,9.3mmol)のDMA溶液(311mL)を5時間かけて添加した。20℃で13時間撹拌後、30℃で17時間撹拌した。更に、HOOBt(0.25g,1.6mmol)、EDC塩酸塩(0.30g,1.6mmol)、Boc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-OH(0.97g,0.94mmol)、およびトリエチルアミン(0.22g,2.2mmol)を添加し、15時間撹拌した。その後、水(570mL)を添加し、一部を40℃で減圧濃縮した後に、水(285mL)を再び添加した。0℃に冷却し、析出物を濾取することで、フラグメントF12としてBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-O(4-NBn)を得た(15.7g)。
実施例5: フラグメントF9とフラグメントF12からのフラグメントF13の製造
(1)Boc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-OHの製造
上記実施例4で得られたBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-O(4-NBn)(15g,6.1mmol)にDMA(90g)を添加し、55℃まで加温した。続けて水(9.0g)とNa224(5.3g,30mmol)を添加し、90℃になるまで加熱した。90℃で2時間撹拌後、水(90g)を添加して析出物を濾取することにより、フラグメントF12としてBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-OHを得た(13.4g,5.8mmol)。
(2)Boc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2の製造
上記実施例1で得られたBoc-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2(7.1g,5.8mmol)のジクロロメタン溶液(96g)にメタンスルホン酸(3.7g,39mmol)を添加し、3時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(4.2g,41mmol)を添加し、5分間撹拌した。更にDMA(106g)を添加した後、ジクロロメタンを減圧留去した。
次いで、上記実施例5(1)で得られたBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-OH(11.2g,4.8mmol)、DMA(106g)およびHOOBt(1.6g,9.7mmol)を添加し、最後にEDC塩酸塩(1.9g,9.7mmol)を添加し、2時間撹拌した。更にEDC塩酸塩(0.46g,2.4mmol)とトリエチルアミン(0.24g,2.4mmol)を1時間おきに3度添加し、1時間撹拌した後に、トリエチルアミン(0.49g,4.8mmol)を添加し、13時間撹拌した。水(106g)を添加して析出物を濾取することで、フラグメントF13としてBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2を得た(13.3g,3.9mmol)。
実施例6: フラグメントF13とフラグメントF6からのフラグメントF14の製造
(1)Boc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-OHの製造
Boc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-O(4-NBn)(1.0g、0.69mmol)に、DMA(6.0g)、水(0.6g)およびNa224(1.2g,6.9mmol)を添加し、90℃で4時間撹拌した。続けて水(60g)を添加して析出した固体を濾取することで、フラグメントF6としてBoc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-OHを得た(0.89g,0.68mmol,純度94.6%)。
(2)Boc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2の製造
上記実施例5で得られたBoc-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2(13g,3.8mmol)にジクロロメタン(104g)を添加した。続けて、メタンスルホン酸(7.3g,76mmol)を添加し、2時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(8.3g,82mmol)を添加して5分間撹拌した。DMA(169g)を添加し、上記実施例6(1)で得られたBoc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-OH(3.9g,3.0mmol)およびHOOBt(1.2g,7.6mmol)を添加した。続けて30分ごとにEDC塩酸塩(0.36g,1.9mmol)を4回添加し、1時間撹拌した後、Boc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-OH(2.0g,1.5mmol)を添加し、2時間撹拌した。再びトリエチルアミン(0.19g,1.9mmol)およびEDC塩酸塩(0.36g,1.9mmol)を添加し、13時間撹拌した。水(273g)を添加して減圧濃縮した後、再び水(104g)を添加して析出した固体を濾取することで、フラグメントF14としてBoc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2を得た(16.1g)。
実施例7: フラグメントF14とフラグメントF11からのフラグメントF15の製造
(1)Boc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-OHの製造
上記実施例3で得られたBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-O(4-NBn)(11mmol)にDMSO(81g)を添加し、45℃に昇温した。Na224(5.6g,32mmol)を添加し、65℃で7時間撹拌後、再びNa224(1.9g,11mmol)を添加し、3時間撹拌した。水(0.58g)およびNa224(2.8g,16mmol)を添加し、1時間撹拌後、70℃で3時間撹拌した。20℃まで冷却後、水(302g)を添加して析出物を濾取することで、フラグメントF11としてBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-OHを得た(20g)。
(2)Boc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2の製造
上記実施例6で得られたBoc-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2(15g,3.2mmol)にジクロロメタン(177g)を添加した。続けて、メタンスルホン酸(9.3g,96mmol)を添加し、2時間撹拌した。反応溶液を氷冷し、トリエチルアミン(10g,103mmol)を添加し、5分間撹拌した。DMA(177g)を添加し、更に上記実施例7(1)で得られたBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-OH(6.1g,3.5mmol)およびHOOBt(1.1g,6.4mmol)を添加した。続けてEDC塩酸塩(1.2g,6.4mmol)を添加し、4時間撹拌した。更にBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-OH(0.56g,0.32mmol)を添加し、3時間撹拌し、続けて反応溶液を減圧濃縮した。残渣に水(354g)を添加し、10℃に冷却した後、析出した固体を濾取することにより、フラグメントF15としてBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2を得た(19.3g)。
実施例8: エキセナチドの製造
上記実施例7で得られたBoc-His(BOM)-Gly-Glu(OBzl)-Gly-Thr(Bzl)-Phe-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Asp(OBzl)-Leu-Ser(Bzl)-Lys(Cl-Z)-Gln-Met(O)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Glu(OBzl)-Ala-Val-Arg(Z)2-Leu-Phe-Ile-Glu(OBzl)-Trp(CHO)-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser(Bzl)-Ser(Bzl)-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser(Bzl)-NH2(1.0g,0.2mmol)にジクロロメタン(15g)を添加した。続けて、メタンスルホン酸(1.2g,13mmol)を添加し、1時間撹拌した。反応溶液を氷冷後、DMF(10g)を加えて減圧濃縮した。次に水素雰囲気下、Pd/Cを用いて水素添加反応を実施後、ピペリジンを加えてエキセナチドを取得した。

Claims (12)

  1. 長鎖ペプチドを製造するための方法であって、
    スルホン酸類を用いて下記式(I)で表される化合物のN末端を選択的に脱保護して下記式(II)で表される化合物を得た後、塩基性化合物を添加して反応液を中和する工程A、
    Boc-(AA1m-Pro1 ・・・ (I)
    H-(AA1m-Pro1 ・・・ (II)
    [式中、BocはN末端の保護基であるt-ブトキシカルボニル基を示し、(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を示し、mは2以上50以下の整数を示し、Pro1はC末端の保護基であるNH 2 またはONBnを示す]
    下記式(III)で表される化合物のC末端を選択的に脱保護して下記式(IV)で表される化合物を得る工程B、
    Boc-(AA2n-ONBn ・・・ (III)
    Boc-(AA2n-OH ・・・ (IV)
    [式中、(AA2nは反応性側鎖官能基が保護されているペプチド鎖を示し、nは2以上50以下の整数を示し、NBnは下記式(V)で表されるニトロベンジル基(式中、p、qおよびrは独立して0または1を示し、p+q+rは1、2または3を示す)を示す]
    Figure 0007254771000005

    および、上記工程Aの反応液に、上記式(IV)で表される化合物を添加し、上記式(II)で表される化合物と上記式(IV)で表される化合物とを縮合して下記式(VI)で表される化合物を得る工程Cを含み、
    Boc-(AA2n-(AA1m-Pro1 ・・・ (VI)
    [式中、Boc、(AA2n、n、(AA1m、m、およびPro1は、上記と同義を示す]
    上記工程Cで得られる上記式(VI)で表される化合物を上記工程Aにおける上記式(I)で表される化合物として用い、上記工程A~Cを複数回繰り返すことを特徴とする方法。
  2. 上記工程Bにおいて、金属と酸との組み合わせ、または亜ジチオン酸類を用いてC末端を選択的に脱保護する請求項1に記載の方法。
  3. 上記スルホン酸類として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸から必須的になる群より選択される1以上のスルホン酸を用いる請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記塩基性化合物として有機アミン化合物を用いる請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記有機アミン化合物として、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンの少なくとも一方を用いる請求項4に記載の方法。
  6. Pro1がONBnであり上記工程Cで得られる上記式(VI)で表される化合物を上記工程Bにおける上記式(III)で表される化合物として用い、上記工程A~Cを複数回繰り返す請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 更に、少なくとも上記式(VI)で表される化合物の反応性側鎖官能基を脱保護する工程を含む請求項1~のいずれかに記載の方法。
  8. 上記工程Cで溶媒を用い、当該溶媒としてアミド系溶媒を用いる請求項1~のいずれかに記載の方法。
  9. 上記アミド系溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上のアミド系溶媒を用いる請求項に記載の方法。
  10. 上記長鎖ペプチドがエキセナチドである請求項1~のいずれかに記載の方法。
  11. 下記アミノ酸配列を有するペプチド断片を用い、
    1: Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
    2: Gly-Pro-Ser-Ser-Gly
    3: Asn-Gly
    4: Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys
    5: Glu-Ala-Val-Arg-Leu
    6: Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu
    7: Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu
    8: His-Gly-Glu-Gly
    N末端がBocで保護され且つC末端がPro1で保護されている上記ペプチド断片Fs(sは1以上、7以下のいずれかの整数を示す)を上記式(I)で表される化合物として用い、且つ、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片Fs+1を上記式(III)で表される化合物として用い、上記ペプチド断片Fsと上記ペプチド断片Fs+1とを縮合する請求項に記載の方法。
  12. N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F1を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F2を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F9を製造する工程、
    9: Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
    N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F3を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F4を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F10を製造する工程、
    10: Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly
    N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F7を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F8を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F11を製造する工程、
    11: His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu
    N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F10を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F5を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F12を製造する工程、
    12: Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly
    N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F9を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F12を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F13を製造する工程、
    13: Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
    N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F13を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F6を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F14を製造する工程、
    14: Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
    N末端がBocで保護され且つC末端がNH2で保護されている上記ペプチド断片F14を上記式(I)で表される化合物として用い、N末端がBocで保護され且つC末端がONBnで保護されている上記ペプチド断片F11を上記式(III)で表される化合物として用いて、下記アミノ酸配列を有するペプチド断片F15を製造する工程、
    15: His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser
    および、上記ペプチド断片F15のN末端および反応性側鎖官能基を脱保護する工程を含む請求項11に記載の方法。
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