JP2021095336A - ペプチドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ペプチドのエピメリ化が抑制されており、且つN末端脱保護アミノ酸またはN末端脱保護ペプチド断片の単離を必要としない、液相法によるペプチドの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るペプチドの製造方法は、原料保護アミノ酸または保護ペプチド断片のN末端アミノ基を酸で脱保護した後、中間化合物を単離することなくC末端カルボキシ基脱保護アミノ酸またはC末端カルボキシ基脱保護ペプチド断片と液相法で縮合するに当たり、N末端アミノ基の脱保護に用いた酸のmol当量未満のmol当量の塩基を添加した後に縮合反応を行うことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、アミノ酸またはペプチド断片を効率的にカップリングするペプチドの製造方法に関するものである。
ペプチド医薬品の有効成分であるペプチドは、複数のアミノ酸が結合した構造を有する。一般的にペプチドは、以下に示す固相合成法により製造される。具体的には、ペプチドは、固相に担持されたアミノ酸を出発原料とし、アミノ酸を一つずつ伸張していく方法によって合成される。
Figure 2021095336
固相合成法によれば、アミノ酸を100個以上含むような長鎖ペプチドも合成可能である。しかし固相上で全ての反応を行なうため、各反応の終結に大過剰量の試剤を必要とするなど、必ずしも効率的な方法とはいえない。それに対して、全ての反応を液相で行う液相合成法によれば、反応性は高く試剤量も固相法と比較して大幅に削減できる。その一方で、一定以上の長さのペプチドになると、溶解性の低下に伴い反応性が低下する問題点がある。効率性を上げるため、液相法では複数の短鎖ペプチドを予め調製し、得られた短鎖ペプチドをカップリングする下記のフラグメントカップリングという手法が考えられている。
Figure 2021095336
しかしフラグメントカップリングではエピメリ化が課題となる。詳しくは、N末端脱保護ペプチド断片とC末端脱保護ペプチド断片とをカップリングする際、C末端脱保護ペプチド断片のC末端アミノ酸残基がエピメリ化する傾向がある。特許文献1には、アミノ酸またはペプチドのC末端カルボキシ基をアミド化する際におけるペプチド鎖のラセミ化やC末端アミノ酸残基のエピメリ化を抑制するための方法が記載されている。しかしかかる方法は、C末端カルボキシ基をアミド化するためにペプチドカップリング添加剤のアンモニウム塩を用いており、短鎖ペプチド同士のカップリングに適用できるものではない。
また、液相法では、短鎖ペプチドのN末端アミノ基を脱保護した後、脱保護工程で除去される保護基や、脱保護に使用される酸や塩基などの試剤を取り除き、続くカップリング工程の副反応を抑制するために、N末端脱保護ペプチド断片を精製することが一般的である(特許文献2)。しかし、N末端脱保護操作の後に単離工程を行うことは、製造の効率性の観点からは望ましくない。
国際公開第2006/008050号パンフレット 国際公開第2011/006644号パンフレット
上述したように、ペプチド合成方法としては様々な方法が開発されているが、エピメリ化が伴わない真に効率的なペプチド合成法は確立されていないのが現状である。
そこで本発明は、ペプチドのエピメリ化が抑制されており、且つN末端脱保護アミノ酸またはN末端脱保護ペプチド断片の単離を必要としない、液相法によるペプチドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、保護アミノ酸または保護ペプチド断片のN末端アミノ基を脱保護し、単離することなくC末端カルボキシ基脱保護アミノ酸またはC末端カルボキシ基脱保護ペプチド断片と液相法で縮合する場合には、縮合反応を促進するために反応液を完全に中和するか或いは塩基性にするのが一般的であるところ、N末端アミノ基の脱保護に用いた酸のmol当量未満のmol当量の塩基を添加した後に縮合反応を行えば、ペプチドのエピメリ化を顕著に抑制できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] ペプチドを製造するための方法であって、
酸を用いて下記式(I)で表される化合物のN末端アミノ基を脱保護して下記式(II)で表される化合物を得る工程A、
Pro1−(AA1m−Pro2 ・・・ (I)
H−(AA1m−Pro2 ・・・ (II)
[式中、Pro1は酸性条件で除去可能なN末端アミノ基の保護基を示し、(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、mは1以上の整数を示し、Pro2はC末端カルボキシ基の保護基を示す]
上記酸のmol当量未満のmol当量の塩基を添加する工程B、および、
下記式(III)で表される化合物を添加し、上記式(II)で表される化合物と縮合することにより、下記式(IV)で表される化合物を得る工程Cを含み、
Pro3−(AA2n−OH ・・・ (III)
[式中、Pro3はN末端アミノ基の保護基を示し、(AA2nは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、nは1以上の整数を示す]
Pro3−(AA2n−(AA1m−Pro2 ・・・ (IV)
[式中、Pro3、(AA2n、n、(AA1m、m、およびPro2は、上記と同義を示す]
上記工程A〜Cを同一系内で行うことを特徴とする方法。
[2] 上記酸としてスルホン酸を用いる上記[1]に記載の方法。
[3] 上記酸として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸から必須的になる群より選択される1以上のスルホン酸を用いる上記[1]に記載の方法。
[4] 上記Pro1がBoc基である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記塩基として、有機アミン化合物を用いる上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 上記有機アミン化合物として、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンから必須的になる群より選択される1以上の有機アミン化合物を用いる上記[5]に記載の方法。
[7] 上記式(I)で表される化合物に対する上記塩基のmol当量が、上記式(I)で表される化合物に対する上記酸のmol当量に対して0.05mol当量以上少ない上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 上記式(I)で表される化合物に対する上記塩基のmol当量が、上記式(I)で表される化合物に対する上記酸のmol当量に対して1.0mol当量以下少ない上記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 上記工程Cで溶媒を用い、当該溶媒としてアミド系溶媒を用いる上記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 上記溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上のアミド系溶媒を用いる上記[9]に記載の方法。
[11] 上記式(III)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを縮合するために、DCC、EDC、およびDICから必須的になる群より選択される1以上の脱水縮合剤を用いる上記[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12] 上記式(III)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを縮合するために、HOBt、HOOBt、HOAt、Oxyma、NHS、および6−Cl−HOBtから必須的になる群より選択される1以上の活性化添加剤を用いる上記[1]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13] 更に、少なくとも上記式(IV)で表される化合物の反応性側鎖官能基を脱保護する工程を含む上記[1]〜[12]のいずれかに記載の方法。
本発明方法によれば、保護アミノ酸または保護ペプチド断片のN末端アミノ基の脱保護からC末端カルボキシ基脱保護アミノ酸またはC末端カルボキシ基脱保護ペプチド断片との縮合に至る一連の反応を、N末端アミノ基脱保護アミノ酸またはN末端アミノ基脱保護ペプチド断片を単離することなく、液相で且つ同一系内で行うことができる。また、かかる反応において、ペプチドのエピメリ化を顕著に抑制することが可能である。よって本発明方法は、高品質のペプチドを極めて効率的に製造できるものとして、産業上非常に有用である。
以下、本発明方法を工程ごとに詳細に述べる。なお、以下では、「式(X)で表される化合物」を「化合物(X)」と略記する。
工程A: N末端アミノ基の脱保護工程
本工程では、酸を用いて化合物(I)のN末端アミノ基を脱保護して化合物(II)を得る。
Pro1−(AA1m−Pro2 ・・・ (I)
H−(AA1m−Pro2 ・・・ (II)
[式中、Pro1は酸性条件で除去可能なN末端アミノ基の保護基を示し、(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、mは1以上の整数を示し、Pro2はC末端カルボキシ基の保護基を示す]
化合物(I)におけるPro1は酸性条件で除去可能なN末端アミノ基の保護基を表す。Pro1は酸性条件で除去可能なアミノ基の保護基であれば特に限定されず、例えばTheodora W.Greene, Peter G.M.Wuts著 Protective Groups in Organic Chemistry(第4版、WILEY−INTERSCIENCE社出版)696〜926頁に記載の酸性条件で除去可能な保護基が挙げられる。具体的には、Pro1は、側鎖官能基およびC末端カルボキシ基の保護基が除去されない酸性条件で除去される保護基から選択する。例えば、Pro1としてスルホン酸で除去される保護基を選択することができる。
Pro1としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等のカルバメート型保護基;ホルミル、アセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、p−ニトロベンゾイル等のアシル型保護基;メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル、ピバロイルオキシなどのアルコキシメチル型保護基;トリフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)メチル、(p−メトキシフェニル)ジフェニルメチルなどのフェニルメチル型保護基などを挙げることができ、脱保護のし易さの観点からカルバメート型保護基が好ましく、汎用性の点からBocが特に好ましい。
(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を表し、以下の構造単位を有する。
Figure 2021095336
[式中、Rはアミノ酸の側鎖を示す]
勿論、(AA1m中、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Asn、Gln、Pro、Pheなど、反応性側鎖官能基を有さないアミノ酸残基は保護の必要は無い。ここで「反応性側鎖官能基」とは、アミノ酸側鎖に含まれる反応性の高い官能基をいい、具体的には、水酸基、チオール基、カルボキシ基、アミノ基、グアニジノ基、およびイミダゾール基が挙げられる。また、Metのメチルチオ基や、AsnおよびGlnのアミド基は、本開示においては反応性側鎖官能基には含めないが、副反応を完全に抑制するために保護してもよい。具体的には、Metの側鎖のチオエーテル基(−S−)はスルホキシド化してもよく、アミド基の保護基としては、キサンチル、ビス−2,4−ジメトキシベンジル、4,4'−ジメトキシベンズヒドリルなどを挙げることができる。本開示においては、Metの側鎖チオエーテル基と、AsnおよびGlnの側鎖アミド基を「準反応性側鎖官能基」という場合がある。
反応性側鎖官能基の保護基としては、N末端アミノ基を脱保護する酸性条件で脱保護されないものが好ましい。以下、特に制限されないが、側鎖水酸基の保護基としては、ベンジル(Bzl)、4−メチルベンジル(4−MeBzl)、4−メトキシベンジル(4−MeOBzl)などを挙げることができ、側鎖チオール基の保護基としては、ベンジル(Bzl)、4−メチルベンジル(4−MeBzl)、4−メトキシベンジル(4−MeOBzl)、t−ブチル(tBu)などを挙げることができ、側鎖カルボキシ基の保護基としては、ベンジルオキシ(OBzl)、シクロヘキシルオキシ(O−cHex)などを挙げることができ、側鎖アミノ基の保護基としては、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mts)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、ニトロ(NO2)、p−トルエンスルホニル(Tos)、ベンジルオキシメチル(BOM)、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)、p−クロロベンジルオキシカルボニル(Cl−Z)などを挙げることができる。
化合物(I)と化合物(II)は、アミノ酸残基であってもよいしペプチド断片であってもよい。ペプチド断片である場合、mの上限は特に制限されないが、ペプチド断片が過剰に大きいと反応が進み難くなるおそれがあり得るため、mとしては100以下が好ましく、50以下がより好ましい。また、化合物(I)はmが1である保護アミノ酸であってもよいし、mが2以上の保護ペプチドであってもよい。
Pro2はC末端カルボキシ基の保護基を表す。C末端カルボキシ基の保護基としては、Theodora W.Greene, Peter G.M.Wuts著 Protective Groups in Organic Chemistry(第4版、WILEY−INTERSCIENCE社出版)533〜646頁に記載の保護基中、N末端アミノ基を脱保護する酸性条件で脱保護されないものが好ましい。そのような保護基としては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステルなどのエステル系保護基;アミド、ジメチルアミド、ピロリジニルアミド、ピペリジニルアミド、o−ニトロアニリドなどのアミド系保護基などを挙げることができる。
本工程では、酸を用いて化合物(I)のN末端アミノ基を脱保護する。使用する酸としては、下記に具体例を列挙するがこれらに限定されるものではない。例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素などのハロゲン化水素;硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ニトロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのスルホン酸を用いることができる。好ましくはスルホン酸であり、更に好ましくはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸および/またはp−トルエンスルホン酸である。これらは混合物として用いてもよい。特にメタンスルホン酸などのスルホン酸は、化合物(II)を単離することなく次工程のカップリング反応に供しても、顕著な副生物を発生しないという観点から特に好ましい。
酸の使用量は特に制限されず適宜決定すればよいが、例えば、化合物(I)に対して0.1mol当量以上、400mol当量以下とすることができる。当該量としては、0.5mol当量以上、200mol当量以下が好ましい。
本工程では、酸の種類によっては溶媒を必要としないが、反応液の液性状態を改善したり、反応を加速したり、副反応を抑制する目的で、溶媒を用いてもよい。溶媒は適宜選択すればよく特に制限されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエチルホルムアミド、ジプロピルホルムアミド、ジブチルホルムアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルプロピレンウレア等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。好ましくはハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、非プロトン性極性溶媒であり、より好ましくはハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒であり、より更に好ましくはジクロロメタン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上の溶媒である。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。混合する場合、その混合比は特に制限はない。
溶媒の使用量は適宜決定すればよいが、例えば、1gの化合物(I)に対して1mL以上、200mL以下とすることができ、好ましくは5mL以上、50mL以下である。
各試剤の添加順序には特に制限はなく、例えば、化合物(I)と溶媒の混合物に酸を添加すればよい。反応液全体に対する化合物(I)の割合は0.2W/V%以上、50W/V%以下が好ましく、1W/V%以上、20W/V%以下がより好ましい。
本工程の反応温度は特に制限されないが、安全性の観点から使用する溶媒の沸点以下が望ましい。反応温度としては、例えば−40℃以上、160℃以下が好ましく、−20℃以上、100℃以下がより好ましく、0℃以上、60℃以下がより更に好ましい。
反応時間は特に制限されず、予備実験により決定したり、HPLCや薄層クロマトグラフィなどで化合物(I)の消費が確認されるまでとすることもできるが、例えば、10分以上、24時間以下とすることができる。
工程B: 塩基添加工程
一般的に、アミノ酸やペプチド断片の縮合反応は、強い酸性条件下では進行し難いといえる。そこで本工程では、上記工程Aにより化合物(I)のN末端アミノ基を脱保護した後、その反応液に塩基を添加する。
塩基は、無機塩基や有機塩基など特に制限されないが、反応液に対する溶解性の観点から有機塩基を好適に用いる。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等、アルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等、アルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等、アルカリ金属の炭酸水素塩;リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、ピリジン、キノリン、イミダゾール等の有機アミン化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは、有機アミン化合物であり、より好ましくはトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
一般的に、アミノ酸やペプチド断片を縮合するに当たり、反応点であるN末端アミノ基の塩形成を解除しなければ縮合反応は十分に進行しないと考えられており、その目的で反応系は中性または塩基性に設定される。N末端アミノ酸の脱保護反応と縮合反応を同一系内で連続して行う場合は、使用した酸に対して同mol当量以上の塩基を使用しなければ、反応液を中性または塩基性にすることはできない。しかし本発明者らは、鋭意検討の結果、驚くべきことに塩基の添加量が使用した酸のmol当量未満であっても、縮合反応が十分に進行することが分かった。更に塩基の添加量が使用した酸のmol当量未満であれば、エピメリ化などの副反応が顕著に抑制され、高効率的な縮合反応が進行する。よって、エピメリ化などの副反応抑制の観点から、塩基の使用量は、上記N末端アミノ酸の脱保護工程Aで使用した酸のmol当量よりも少ないことが望ましい。より好ましくは、化合物(I)に対する塩基のmol当量は、化合物(I)に対する使用した酸のmol当量よりも0.01mol当量以上、1mol当量以下少ないことが好ましい。かかるmol当量の差としては、0.05mol当量以上がより好ましく、0.1mol当量以上がより更に好ましく、また、0.8mol当量以下がより好ましく、0.5mol当量以下がより更に好ましい。なお、本発明において「mol当量」とは、基準になる化合物1molに対する対象化合物のmol数をいう。
塩基を添加した後の反応液のpHとしては、6未満が好ましく、5.5以下または5.0以下がより好ましく、4.5以下がより更に好ましい。pHが低いほど次の縮合工程でのエピメリ化を抑制できるといえる。一方、上記pHが過剰に低いと次工程での縮合反応が進行し難くなるおそれがあり得るため、上記pHとしては2.0以上が好ましく、3.0以上または3.5以上がより好ましい。
塩基の添加形態は特に制限されず、例えば、N末端アミノ基の脱保護反応が完了した上記工程Aの反応液へ塩基を直接添加してもよいし、塩基を溶媒に分散または溶解した上で、分散液または溶液を添加してもよい。この場合の溶媒としては、上記工程Aの説明で例示した溶媒を用いることができ、上記工程Aで用いた溶媒と同一の溶媒を用いてもよいし、異なる溶媒を用いてもよい。
塩基を添加する際の温度は特に制限されず適宜決定すればよいが、中和により反応熱が生じることがあるので、反応液を冷却してから塩基を添加することが好ましい。例えば、反応液を−10℃以上、20℃以下に冷却してから塩基を添加することが好ましい。また、塩基の添加中および添加後を通じて、反応液を攪拌することが好ましい。
工程C: 縮合工程
本工程では、上記工程Bで反応液に塩基を添加した後、更に化合物(III)を添加し、化合物(II)と縮合することにより、化合物(IV)を得る。
Pro3−(AA2n−OH ・・・ (III)
[式中、Pro3はN末端アミノ基の保護基を示し、(AA2nは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、nは1以上の整数を示す]
Pro3−(AA2n−(AA1m−Pro2 ・・・ (IV)
[式中、Pro3、(AA2n、n、(AA1m、m、およびPro2は、上記と同義を示す]
化合物(III)および化合物(IV)のN末端アミノ基の保護基であるPro3は、酸性条件で除去可能なものといった制限は無く、アミノ酸またはペプチド断片のアミノ基の一般的な保護基であればよい。但し、本工程で得られる化合物(IV)を上記工程Aの化合物(I)として用いてペプチド鎖を連続的に伸長する場合には、Pro3としてPro1と同様に酸性条件で除去可能な保護基を用いる。また、(AA2nは(AA1mと同一のものである必要はないが、上記工程Aでの(AA1mの説明がそのまま適用されるものであり、nとしては100以下が好ましく、50以下がより好ましく、また、化合物(III)はnが1である保護アミノ酸であってもよいし、nが2以上の保護ペプチドであってもよい。
本工程で使用する化合物(III)の量は特に制限されないが、例えば、化合物(II)に対して0.4mol当量以上、5mol当量以下とすることができ、0.8mol当量以上、2mol当量以下が好ましく、0.9mol当量以上、1.5mol当量以下がより好ましい。
本工程で化合物(II)と化合物(III)とを縮合させる方法は特に限定されないが、例えば、カルボジイミド化合物を用いることができる。但し、カルボジイミド化合物のみを用いる縮合反応では副反応やエピメリ化が起こるおそれがあり得る。その様な場合には、カルボジイミド化合物に加えてヒドロキシアミン化合物などの活性化添加剤を併用することが好ましい。また、カルボジイミド化合物と活性化添加剤の両方の機能を有するものとして、脱水縮合剤を用いてもよい。脱水縮合剤は、活性化添加剤と併用してもよい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などが挙げられる。好ましくは、後処理の容易さや入手のし易さの観点から1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)である。
ヒドロキシアミン化合物としては例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、2−オキシム−シアノグリオキシル酸エチル(Oxyma)、1−ヒドロキシ−6−クロロ−ベンゾトリアゾール(6−Cl−HOBt)、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシピペリジンなどが挙げられる。好ましくは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、および3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)であり、更に好ましくは3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)である。
脱水縮合剤としては、例えば、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ジメチルアミノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、O−[(エトキシカルボニル)シアノメチルエナミノ]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HOTU)、(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウム ヘキサフルオロホスフェート(COMU)、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルフォリニウム クロリド(DMT−MM)などが挙げられる。好ましくはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)、又は(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウム ヘキサフルオロホスフェート(COMU)であり、更に好ましくはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)である。
カルボジイミド化合物、活性化添加剤、および脱水縮合剤のそれぞれの使用量は適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、化合物(III)に対して0.1mol当量以上、10mol当量以下とすることができ、0.5mol当量以上、5mol当量以下が好ましい。
本工程では溶媒を用いてもよく、溶媒としては上記工程Aの説明で例示したものと同様のものを用いることができる。但し、本工程においては、溶媒中にアミド系溶媒が含まれていることが好ましく、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上のアミド系溶媒が含まれていることが好ましい。アミド系溶媒を用いることによって、上記工程Bで用いた酸に対する塩基の割合を等mol当量未満にしても、縮合反応がより一層良好に進行すると考えられる。なお、本工程でアミド系溶媒が含まれる溶媒を用いるには、上記工程Aと工程Bで溶媒の少なくとも一部としてアミド系溶媒を用いた場合には継続して本工程を実施すればよいし、上記工程Aと工程Bでアミド系溶媒を用いなかった場合には、本工程でアミド系溶媒を添加すればよい。本工程の溶媒の一部としてアミド系溶媒を用いる場合には、本工程における溶媒全体に占めるアミド系溶媒の割合を2v/v%以上にすることが好ましく、30v/v%以上がより好ましく、70v/v%以上がより更に好ましい。
本工程の反応温度や反応時間は特に制限されず、適宜調整すればよいが、例えば反応温度は使用する反応溶媒の沸点以下とすることができ、副反応抑制の観点から、好ましくは50℃以下であり、常温で反応を行うことも可能である。反応温度の下限は特に制限されないが、反応を良好に進行させる観点から−10℃以上が好ましい。反応時間は特に制限されず、予備実験により決定したり、HPLCや薄層クロマトグラフィなどで化合物(II)または化合物(III)の消費が確認されるまでとすることもできるが、例えば、1分以上、24時間以下とすることができる。
なお、上記工程A〜Cは同一系内、即ちワンポットで実施する。具体的には、上記工程Aで化合物(I)のN末端アミノ基を脱保護した後、上記工程Bで塩基を反応液に添加し、更に少なくとも化合物(III)を同反応液に添加する。本発明では、N末端アミノ基を脱保護した化合物(I)に相当する化合物(II)を単離しなくても、化合物(III)との縮合反応を良好に進行せしめることができる。
本工程での反応終了後は、一般的な後処理を行ってもよい。例えば、水、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液などで反応液を洗浄後、有機相を無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮してもよい。更にカラムクロマトグラフィや晶析操作などによって化合物(III)を精製してもよい。
本工程で得られた化合物(IV)は、上記工程Aの化合物(I)として用いて上記工程A〜Cを繰り返し、ペプチド鎖を連続的に伸長してもよい。その場合には、化合物(III)および化合物(IV)のN末端アミノ基保護基Pro3として、化合物(I)におけるPro1と同様に酸性条件で除去可能な保護基を用いる。
工程D: 脱保護工程
本工程では、少なくとも化合物(IV)の反応性側鎖官能基を脱保護することにより、目的のペプチドを得る。勿論、化合物(IV)のAA2およびAA1が反応性側鎖官能基を有さない場合や、準反応性官能基を有するが保護されていない場合には、本工程を行う必要は無い。また、必要に応じて、N末端アミノ基およびC末端カルボキシ基の少なくとも一方を脱保護してもよい。各保護基の脱保護条件としては、公知条件を採用すればよい。
本工程での反応終了後は、一般的な後処理を行ってもよい。例えば、反応液を濃縮後、カラムクロマトグラフィなどで目的のペプチドを精製してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
比較例1: Boc−Glu(OBzl)−Ala−Val−Arg(Z)2−Leu−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)の合成
Boc−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)(0.75g,0.49mmol)にジクロロメタン(9.8g)を添加し、更にメタンスルホン酸(0.24g,2.5mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、0℃まで冷却し、メタンスルホン酸と等モル量のトリエチルアミン(0.26g,2.5mmol)とDMA(4.9g)を添加した。続けて、Boc−Glu(OBzl)−Ala−Val−Arg(Z)2−Leu−OH(0.46g,0.44mmol)とHOOBt(0.16g,0.98mmol)を添加した。その後、EDC塩酸塩(0.12g,0.64mmol)をDCM(4.9g)とDMA(2.5g)に溶解させた溶液を13時間かけて添加した。反応液をHPLCにより分析し、Boc−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)を基準とする変換率と目的物に対するエピマー生成割合を求めたところ、変換率は84%であったが、エピマー生成割合が44%にも及んだ。
実施例1: Boc−Glu(OBzl)−Ala−Val−Arg(Z)2−Leu−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)の合成
Boc−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)(0.18g,0.12mmol)にジクロロメタン(2mL)を添加し、更にメタンスルホン酸(68mg,0.71mmol)とジクロロメタン(1mL)を添加した。20℃で1時間撹拌後、0℃まで冷却し、トリエチルアミン(66mg,0.65mmol)とDMA(3mL)を添加した。続けて、Boc−Glu(OBzl)−Ala−Val−Arg(Z)2−Leu−OH(0.12g,0.12mmol)、HOOBt(29mg,0.18mmol)、およびDMA(6mL)を添加した。その後、EDC塩酸塩(35mg,0.18mmol)を添加し、20℃で4時間撹拌した。反応液を上記比較例1と同様に分析したところ、Boc−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)を基準とする変換率は73%に達し、且つ目的物に対するエピマー生成割合は1.7%に抑制されていた。なお、反応液のpHは4未満であった。
比較例2: Boc−His(BOM)−Gly−Glu(OBzl)−Gly−Thr(Bzl)−Phe−Thr(Bzl)−Ser(Bzl)−Asp(OBzl)−Leu−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(Bzl)−NH2の合成
Boc−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(Bzl)−NH2(66mg,0.10mmol)にジクロロメタン(4mL)とメタンスルホン酸(58mg,0.60mmol)を添加して25℃で1時間撹拌した。その後、トリエチルアミン(71mg,0.70mmol)とDMA(3mL)を添加した。続けてBoc−His(BOM)−Gly−Glu(OBzl)−Gly−Thr(Bzl)−Phe−Thr(Bzl)−Ser(Bzl)−Asp(OBzl)−Leu−OH(173mg,0.10mmol)、HOBt・H2O(23mg,0.15mmol)、EDC塩酸塩(29mg,0.15mmol)、およびDMA(1mL)を添加し、25℃で22時間撹拌した。反応液を上記比較例1と同様に分析したところ、Boc−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)を基準とする変換率は100%であったが、目的物に対するエピマーの割合は11%となった。
実施例2: Boc−His(BOM)−Gly−Glu(OBzl)−Gly−Thr(Bzl)−Phe−Thr(Bzl)−Ser(Bzl)−Asp(OBzl)−Leu−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(Bzl)−NH2の合成
Boc−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser(Bzl)−NH2(66mg,0.10mmol)にジクロロメタン(4mL)とメタンスルホン酸(58mg,0.60mmol)を添加し、25℃で1時間撹拌した。その後トリエチルアミン(56mg,0.55mmol)とDMA(3mL)を添加した。続けてBoc−His(BOM)−Gly−Glu(OBzl)−Gly−Thr(Bzl)−Phe−Thr(Bzl)−Ser(Bzl)−Asp(OBzl)−Leu−OH(173mg,0.10mmol)、HOBt・H2O(23mg,0.15mmol)、EDC塩酸塩(29mg,0.15mmol)、およびDMA(1mL)を添加し、25℃で22時間撹拌した。反応液を上記比較例1と同様に分析したところ、Boc−Phe−Ile−Glu(OBzl)−Trp(CHO)−Leu−Lys(Cl−Z)−Asn−Gly−(4−NO264CH2O)を基準とする変換率は100%に達し、且つ目的物に対するエピマーの割合は3%に抑制されていた。

Claims (13)

  1. ペプチドを製造するための方法であって、
    酸を用いて下記式(I)で表される化合物のN末端アミノ基を脱保護して下記式(II)で表される化合物を得る工程A、
    Pro1−(AA1m−Pro2 ・・・ (I)
    H−(AA1m−Pro2 ・・・ (II)
    [式中、Pro1は酸性条件で除去可能なN末端アミノ基の保護基を示し、(AA1mは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、mは1以上の整数を示し、Pro2はC末端カルボキシ基の保護基を示す]
    上記酸のmol当量未満のmol当量の塩基を添加する工程B、および、
    下記式(III)で表される化合物を添加し、上記式(II)で表される化合物と縮合することにより、下記式(IV)で表される化合物を得る工程Cを含み、
    Pro3−(AA2n−OH ・・・ (III)
    [式中、Pro3はN末端アミノ基の保護基を示し、(AA2nは反応性側鎖官能基が保護されているアミノ酸残基またはペプチド鎖を示し、nは1以上の整数を示す]
    Pro3−(AA2n−(AA1m−Pro2 ・・・ (IV)
    [式中、Pro3、(AA2n、n、(AA1m、m、およびPro2は、上記と同義を示す]
    上記工程A〜Cを同一系内で行うことを特徴とする方法。
  2. 上記酸としてスルホン酸を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 上記酸として、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸から必須的になる群より選択される1以上のスルホン酸を用いる請求項1に記載の方法。
  4. 上記Pro1がBoc基である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記塩基として、有機アミン化合物を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 上記有機アミン化合物として、トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミンから必須的になる群より選択される1以上の有機アミン化合物を用いる請求項5に記載の方法。
  7. 上記式(I)で表される化合物に対する上記塩基のmol当量が、上記式(I)で表される化合物に対する上記酸のmol当量に対して0.05mol当量以上少ない請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 上記式(I)で表される化合物に対する上記塩基のmol当量が、上記式(I)で表される化合物に対する上記酸のmol当量に対して1.0mol当量以下少ない請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 上記工程Cで溶媒を用い、当該溶媒としてアミド系溶媒を用いる請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 上記溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびジブチルホルムアミドから必須的になる群より選択される1以上のアミド系溶媒を用いる請求項9に記載の方法。
  11. 上記式(III)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを縮合するために、DCC、EDC、およびDICから必須的になる群より選択される1以上の脱水縮合剤を用いる請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 上記式(III)で表される化合物と上記式(II)で表される化合物とを縮合するために、HOBt、HOOBt、HOAt、Oxyma、NHS、および6−Cl−HOBtから必須的になる群より選択される1以上の活性化添加剤を用いる請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 更に、少なくとも上記式(IV)で表される化合物の反応性側鎖官能基を脱保護する工程を含む請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
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