JP2017203014A - アスパラギン酸残基を含むペプチドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
中間体ペプチドのN末端または担体のアミノ基と、下記式(I)で表されるアスパラギン酸誘導体とを反応させることにより、アスパラギン酸残基を導入する工程、
および、
導入された上記アスパラギン酸残基の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基保護アミノ基を、カルボン酸、スルホン酸、フェノール類および酸性アルコール類からなる群より選択される1以上の添加剤と、塩基とを含む塩基性条件により脱保護してアミノ基へと変換する工程を含むことを特徴とする方法。
本工程では、アスパラギン酸残基を導入するまで、中間体ペプチドのN末端または担体と、アスパラギン酸以外のアミノ酸の誘導体とを反応させることにより、アスパラギン酸以外のアミノ酸残基を導入する。中間体ペプチドとしては、そのC末端が担体に固定化された固相合成用中間体ペプチドと、そのC末端が保護された液相合成用中間体ペプチドを挙げることができる。但し、製造目的ペプチドのC末端残基がアスパラギン酸残である場合には、本工程1と次工程2は実施せず、後記の工程3から実施することが好ましい。
担体または中間体ペプチドにカップリングさせたアミノ酸のN末端アミノ酸のα−アミノ基は、一般的には保護基で保護されている。当該α−アミノ酸を脱保護することにより、さらにアミノ酸残基のカップリングが可能になる。本工程では、当該α−アミノ基を脱保護する。
本発明では、上記で製造される中間体ペプチドのN末端アミノ基、または担体のアミノ基と、アスパラギン酸誘導体(I)のα−カルボキシ基とを反応させることにより、アスパラギン酸残基を導入する。
本工程では、上記の担体または中間体ペプチドとアスパラギン酸誘導体(I)とのカップリング反応工程3で導入したアスパラギン酸残基のα−アミノ基を脱保護する。但し、かかる脱保護に際しては、通常のFmoc基開裂反応条件である塩基を含む塩基性条件に加え、カルボン酸、スルホン酸、フェノール類および酸性アルコール類からなる群より選択される1以上の添加剤を併用することが好ましい。本発明方法では、アスパラギン酸導入試薬としてアスパラギン酸誘導体(I)を用いることに加え、そのFmoc基を特別な条件で開裂除去することにより、目的ペプチドへのアスパルチミドおよびその類縁体の混入を顕著に抑制することが可能になる。
担体または中間体ペプチドへのアスパラギン酸残基の最初の導入以降は、アスパラギン酸のみならずそれ以外のアミノ酸残基を導入する際においても、アミノ酸導入試薬としてそのα−アミノ基がFmoc基により保護されたものを用い、且つ、当該α−アミノ基を上記脱保護反応工程4の条件、即ち、1以上の添加剤と、塩基を含む塩基性条件により脱保護することが好ましい。それにより、アスパルチミドおよびその類縁体の生成をより一層顕著に抑制することが可能になる。
本発明において「ペプチド」とは、2以上のアミノ酸がペプチド結合により結合した構造を有するものであり、当該ペプチド構造を有するものである限り、その他の構造を有するものも含まれる。ペプチド構造以外の構造を有するペプチドとしては、特に制限されないが、例えば、長鎖ヒドロカルビル基などの脂質部分を有するリポペプチドや、糖が結合したグリコペプチドを挙げることができる。
以上で合成した中間体ペプチドは、公知の方法により側鎖の反応性官能基を脱保護し、担体から切断した上で洗浄により精製することで、目的のペプチドとすることができる。なお、アスパラギン酸残基の導入に伴う副生物であるアスパルチミドおよびその類縁体は、一般的に目的ペプチドと構造や性質が似ているために目的ペプチドからの分離が非常に難しいが、本発明ではアスパルチミドおよびその類縁体の生成自体が顕著に抑制されているため、本発明方法で製造される目的ペプチドの純度は極めて高いといえる。
FmocPhe−OH(397mg,1.03mmol)、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェイト(389mg,1.03mmol,以下、「HBTU」と略記する)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(139mg,1.03mmol,以下、「HOBT」と略記する)およびジメチルホルムアミド(3mL,以下、「DMF」と略記する)からなる懸濁液に、エチルジイソプロピルアミン(0.196mL,2.05mmol)を加えて1分間超音波処理し、溶液とした。この溶液をH−Ser(tBu)−2−クロロトリチル樹脂(1.14mmol/g,300mg,0.34mmol)に加えてボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上のカップリング反応を合計3回実施後、Kaiser試験により反応の完結を確認した。
上記樹脂担体に20%ピペリジン/DMF溶液(3mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上の脱保護反応を合計4回実施することにより、Fmoc基を除去してアミノ基を脱保護した。
上記(1−1)のカップリング反応と上記(1−2)の脱保護反応を繰り返し、上記のとおり側鎖官能基が保護された1.0698gの担体付きATPEDNGRSFSを取得した。得られた生成物の純度を100%と仮定すると、収率はほぼ100%であった。
上記担体付き側鎖保護ATPEDNGRSFS(0.320mmol/mg,30mg,0.00953mmol)に、トリフルオロ酢酸/水/トリイソプロピルシラン=95/2.5/2.5(vol/vol/vol)の混合物(1mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で2時間撹拌した。反応液を濾過し、濾別した樹脂担体をトリフルオロ酢酸(1mL,以下、「TFA」と略記する)で洗浄した。得られた濾液と洗浄液をヘキサン(5mL)で洗浄した後、TFAを減圧留去した。ここにジエチルエーテル(5mL)を加えると、白色の懸濁液となった。遠心分離後上清を除去し、沈殿をジエチルエーテル(5mL)で3回洗浄した。沈殿を減圧乾燥し、9.3mgの白色粉末として粗ATPEDNGRSFSを取得した(純度100%と仮定すると0.00788mmol,収率83%)。
上記(1−4)で得られた粉末をMALDI−TOF MSで分析すると、目的化合物であるATPEDNGRSFSの他に複数の副生物が検出された。副生物には、分子量から、アスパルチミドとアスパルチミド類縁体が含まれると判断された。検出されたシグナルの強度の和を100とし、各化合物の強度が占める割合を含有率(純度)として算出した。マススペクトルチャートを図1に、分析結果を表1に示す。
上記で得られた担体付き側鎖保護ATPEDNGRSFS(0.32mmol/g,200mg,0.064mmol)に、ジクロロメタン/N−メチルピロリドン=1/1(vol/vol)の混合溶媒(1.0mL)、Fmocで保護されたS−[(2R)−2,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロピル]システイン(114mg,0.128mmol,以下、「(R)−Pam2Cys」と略記する),ヘキサフルオロリン酸 (ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(66.6mg,0.128mmol,以下、「PyBOP」と略記する)およびエチルジイソプロピルアミン(12.3μL,0.0704mmol)を順に加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で30分間撹拌した。エチルジイソプロピルアミン(10.1μL,0.0576mmol)を加えさらに2時間撹拌した。反応液を濾過し、濾別した樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。Kaiser試験により、反応が完結していることを確認した。
上記樹脂担体に20%ピペリジン/DMF溶液(2mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上の脱保護反応を合計4回実施することにより、Fmoc基を除去してアミノ基を脱保護した。
上記(2−2)で得られた担体付き側鎖保護ペプチド(純度100%と仮定して0.064mmol)に、トリフルオロ酢酸/フェノール/水/メチルチオベンゼン/3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール=79/8/5/5/3(vol/vol)の混合物(4mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で2時間撹拌した。反応液を濾過し、濾別した樹脂担体をTFA(1mL)で洗浄した。得られた濾液と洗浄液をヘキサン(10mL)で洗浄した後、TFAを減圧留去した。ここにジエチルエーテル(10mL)を加えると、白色の懸濁液となった。遠心分離後上清を除去し、沈殿をジエチルエーテル(10mL)で3回洗浄した。沈殿を減圧乾燥し、79mgの白色粉末を取得した(純度100%と仮定すると0.0431mmol,収率67%)。
上記(2−3)で得られた粉末をMALDI−TOF MSで分析すると、目的化合物であるリポペプチドの他に複数の副生物が検出された。副生物には、分子量から、アスパルチミドとアスパルチミド類縁体が含まれると判断された。検出されたシグナルの強度の和を100とし、各化合物の強度が占める割合を含有率(純度)として算出した。マスチャートを図2に、分析結果を表2に示す。
上記(2−3)で得られた粗リポペプチドから、以下の条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により目的化合物であるリポペプチドを精製し、精製されたリポペプチドをHPLCで分析した。各HPLCの実施条件を以下に示す。
カラム: YMC C4column (250×20mm)
溶離液: 0.1%TFA水溶液/0.1%アセトニトリル溶液=100/0→0/100(0〜20min)および0/100(20〜40min)
流速: 20mL/min
検出波長: 220nm
溶出時間: 26min
HPLCカラム: YMC C4column (250×4.7mm)
流速: 1.0mL/min
カラム温度: 40℃
検出波長: 220nm
溶離液: 0.1%TFA水溶液/0.1%アセトニトリル溶液=100/0→0/100(0〜20min)
保持時間: 17.0min
面積比率: 100%
精製リポペプチドのHPLCチャートを図3に示す。図3のとおり、得られたピークは1つのみ(面積比率100%)であった。
上記(2−5)で得られた精製リポペプチドをMALDI−TOF MSで分析し、上記(2−4)と同様に各化合物の含有率を算出した。マスチャートを図4に、分析結果を表3に示す。
上記比較例1と同様に、一般的な条件で担体とFmocPhe−OHとをカップリングさせた。具体的には、FmocPhe−OH(1.19g,3.08mmol)、HBTU(1.17g,3.08mmol)、HOBT(416mg,3.08mmol)およびDMF(9mL)からなる懸濁液に、エチルジイソプロピルアミン(0.589mL,6.16mmol)を加えて1分間超音波処理し、溶液とした。この溶液をH−Ser(tBu)−2−クロロトリチル樹脂(1.14mmol/g,900mg,1.03mmol)に加えてボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(9mL)で3回、ジクロロメタン(9mL)で1回洗浄した。以上のカップリング反応を合計3回実施後、Kaiser試験により反応の完結を確認した。
上記樹脂担体に20%ピペリジン/DMF溶液(9mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(9mL)で3回、ジクロロメタン(9mL)で1回洗浄した。以上の脱保護反応を合計4回実施することにより、Fmoc基を除去してアミノ基を脱保護した。
上記(1−1)のカップリング反応と上記(1−2)の脱保護反応を繰り返し、上記のとおり側鎖官能基が保護された2.25gの担体付き側鎖官能基保護NGRSFSを取得した。得られた生成物の純度を100%と仮定すると、収率はほぼ100%であった。
Fmoc−Asp(OMpe)−OH(395.6mg,0.9mmol)とHBTU(341.4mg,0.9mmol)、HOBT(121.6mg,0.9mmol)、DMF(3mL)からなる混合物に、エチルジイソプロピルアミン(0.314mL,1.8mmol)を加えて1分間超音波処理を施し、溶液とした。これを担体付き側鎖官能基保護NGRSPS(0.459mmol/g;654mg,0.3mmol)に加え、ボルテックスミキサーを用いて25℃で30分間撹拌した。反応液を濾過し、樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した後、減圧乾燥した。以上のカップリング操作を実施後、Kaiser試験により反応完結を確認した。
上記樹脂担体に1%蟻酸/19%ピペリジン/80%DMFの混合溶液(3mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上の脱保護反応を合計4回実施することによりFmoc基を除去して、担体付き側鎖官能基保護DNGRSFSを取得した。
代表例として担体付き側鎖官能基保護DNGRSFSとFmocGlu(tBu)−OHとの反応を記す。FmocGlu(tBu)−OH(383mg,0.9mmol)、HBTU(341mg,0.9mmol)、HOBT(122mg,0.9mmol)およびDMF(3mL)からなる懸濁液に、エチルジイソプロピルアミン(0.172mL,1.8mmol)を加えて1分間超音波処理し、溶液とした。この溶液を、上記(2)で得た担体付き側鎖官能基保護DNGRSFS(0.3mmol)に加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上のカップリング操作を合計3回実施後、Kaiser試験により反応完結を確認した。
上記樹脂担体に1%蟻酸/19%ピペリジン/80%DMFの混合溶液(3mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上の脱保護反応を合計4回実施することによりFmoc基を除去した。
上記(3−1)のカップリング反応と上記(3−2)の脱保護反応を繰り返し、上記のとおり側鎖官能基が保護された0.896gの担体付きATPEDNGRSFSを取得した。得られた生成物の純度を100%と仮定すると、収率はほぼ100%であり、1g当たりのモル数は0.335mmol/gであった。
上記(3−3)で得られた担体付き側鎖保護ATPEDNGRSFS(0.335mmol/mg,20mg,0.00670mmol)に、TFA/水/トリイソプロピルシラン=95/2.5/2.5(vol/vol/vol)の混合物(1mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で2時間撹拌した。反応液を濾過し、濾別した樹脂担体をTFA(1mL)で洗浄した。得られた濾液と洗浄液をヘキサン(5mL)で洗浄した後、TFAを減圧留去した。ここにジエチルエーテル(5mL)を加えると、白色の懸濁液となった。遠心分離後上清を除去し、沈殿をジエチルエーテル(5mL)で3回洗浄した。沈殿を減圧乾燥し、7.0mgの白色粉末である粗ATPEDNGRSFSを取得した(純度100%と仮定すると0.00593mmol,収率88%)。
上記(3−4)で得られた粉末をMALDI−TOF MSで分析すると、目的化合物であるATPEDNGRSFSの他に複数の副生物が検出された。副生物には、分子量から、アスパルチミドとアスパルチミド類縁体が含まれると判断された。検出されたシグナルの強度の和を100とし、各化合物の強度が占める割合を含有率(純度)として算出した。マススペクトルチャートを図5に、分析結果を表4に示す。
上記で得られた担体付き側鎖保護ATPEDNGRSFS(0.335mmol/g,200mg,0.067mmol)に、ジクロロメタン/N−メチルピロリドン=1/1(vol/vol)の混合溶媒(1.0mL)、Fmocで保護された(R)−Pam2Cys(120mg,0.134mmol),PyBOP(69.7mg,0.134mmol)およびエチルジイソプロピルアミン(12.9μL,0.0737mmol)を順に加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で30分間撹拌した。エチルジイソプロピルアミン(10.5μL,0.0603mmol)を加えさらに2時間撹拌した。反応液を濾過し、濾別した樹脂担体をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。Kaiser試験により、反応が完結していることを確認した。
上記樹脂担体に1%蟻酸/19%ピペリジン/80%DMFの混合溶液(2mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で20分間撹拌した。反応液を濾過し、濾別された樹脂をDMF(3mL)で3回、ジクロロメタン(3mL)で1回洗浄した。以上の脱保護反応を合計4回実施することにより、Fmoc基を除去してアミノ基を脱保護した。
上記(4−2)で得られた担体付き側鎖保護リポペプチド(純度100%と仮定して0.067mmol)に、トリフルオロ酢酸/フェノール/水/メチルチオベンゼン/3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール=79/8/5/5/3(vol/vol)の混合物(2mL)を加え、ボルテックスミキサーを用い25℃で4時間撹拌した。反応液を濾過し、濾別した樹脂担体をTFA(1mL)で洗浄した。得られた濾液と洗浄液をヘキサン(10mL)で洗浄した後、TFAを減圧留去した。ここにジエチルエーテル(10mL)を加えると、白色の懸濁液となった。遠心分離後上清を除去し、沈殿をジエチルエーテル(10mL)で3回洗浄した。沈殿を減圧乾燥し、79mgの白色粉末である粗リポペプチドを取得した(純度100%と仮定すると収率64%)。
上記(4−3)で得られた粉末をMALDI−TOF MS分析すると、目的化合物であるリポペプチドの他に、システイン欠損体とパルミトイル基欠損体が確認された一方で、アスパルチミドとアスパルチミド類縁体は検出されなかった。検出されたシグナルの強度の和を100とし、各化合物の強度が占める割合を含有率(純度)として算出した。マスチャートを図6に、分析結果を表5に示す。
上記(4−3)で得られた粗リポペプチドから、以下の条件の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により目的化合物であるリポペプチドを精製し、精製されたリポペプチドをHPLCで分析した。各HPLCの実施条件を以下に示す。
カラム: YMC C4column (250×20mm)
溶離液: 0.1%TFA水溶液/0.1%アセトニトリル溶液=100/0→70/30(0〜5min)および70/30→40/60(5〜40min)
流速: 20mL/min
検出波長: 220nm
溶出時間: 38min
HPLCカラム: YMC C4column (250×4.7mm)
流速: 1.0mL/min
カラム温度: 40℃
検出波長: 220nm
溶離液: 0.1%TFA水溶液/0.1%アセトニトリル溶液=100/0→70/30(0〜5min)および70/30→40/60(5〜40min)
保持時間: 25.8min
面積比率: 100%
精製されたリポペプチドのHPLCチャートを図7に示す。図7のとおり、得られたピークは1つのみ(面積比率100%)であった。
上記(4−5)で得られた精製リポペプチドをMALDI−TOF MSで分析し、上記(4−4)と同様に各化合物の含有率を算出した。マスチャートを図8に、分析結果を表6に示す。
Claims (9)
- アスパラギン酸残基を含むペプチドを製造するための方法であって、
中間体ペプチドのN末端または担体のアミノ基と、下記式(I)で表されるアスパラギン酸誘導体とを反応させることにより、アスパラギン酸残基を導入する工程、
[式中、R1はメチル基を示し、R2およびR3は、独立して、C2-6アルキル基またはC6-10アリール−C1-6アルキル基を示し、R2およびR3がC2-6アルキル基を示す場合、互いに結合して環状アルキル基を形成していてもよく、Fmocは9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基を示す]
および、
導入された上記アスパラギン酸残基の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基保護アミノ基を、カルボン酸、スルホン酸、フェノール類および酸性アルコール類からなる群より選択される1以上の添加剤と、塩基とを含む塩基性条件により脱保護してアミノ基へと変換する工程を含むことを特徴とする方法。 - 最初のアスパラギン酸残基の導入以降、アミノ酸を導入するための試薬としてそのα−アミノ基が9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基で保護されたアミノ酸導入試薬を用い、且つ、導入された当該アミノ酸残基のα−アミノ基を、カルボン酸、スルホン酸、フェノール類および酸性アルコール類からなる群より選択される1以上の添加剤と、塩基とを含む塩基性条件により脱保護する請求項1に記載の方法。
- 上記添加剤がカルボン酸および/または酸性アルコールである請求項1または2に記載の方法。
- 上記添加剤がカルボン酸である請求項3に記載の方法。
- 上記添加剤が蟻酸である請求項4に記載の方法。
- 上記ペプチドの配列中に、Asp−Gly、Asp−Asp、Asp−Asn、Asp−ArgおよびAsp−Cysからなる群から選択される1以上の配列が含まれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 上記ペプチドの配列中に、Ala−Thr−Pro−Glu−Asp−Asn−Gly−Arg−Ser−Phe−Serの配列が含まれる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 上記ペプチドがリポペプチドまたはグリコペプチドである請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 上記ペプチドが、Cys−Ala−Thr−Pro−Glu−Asp−Asn−Gly−Arg−Ser−Phe−Serの配列を有し、且つ、Cysの側鎖チオール基に(2R)−2,3−ビス(パルミトイルオキシ)プロピル基が置換しているリポペプチドである請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
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