JPWO2007043615A1 - ペプチドエステル試薬、およびそのライゲーションまたはチオエステル化合物の製造のための使用 - Google Patents

ペプチドエステル試薬、およびそのライゲーションまたはチオエステル化合物の製造のための使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、原料としてペプチドエステルを用いてタンパク質若しくはその構成成分(アミノ酸、ペプチド)などをアミド結合によりライゲーションする方法、および当該方法に好適に使用される試薬に関する。また本発明は、ペプチドエステルを用いたチオエステル化合物の製造方法を提供する。ライゲーションに使用する試薬としては下式[化1](式中、X−CO−は、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Cysはシステイン残基、R2は、修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)で示されるペプチドエステルを挙げることができる。

Description

発明の属する技術分野
本発明は、ペプチドエステルを用いた化学的ライゲーション法、およびその方法に使用される試薬に関する。より詳細には本発明は、出発原料としてペプチドエステルを用いて、タンパク質若しくはその構成成分(アミノ酸、ペプチド)などをアミド結合によりライゲーションする方法、および当該方法に好適に使用される試薬に関する。
また本発明は、ペプチドエステルを用いたチオエステル化合物の製造方法、および当該方法に好適に使用される試薬に関する。
化学的ライゲーションは、第一の化学成分と第二の化学成分との間に選択的共有結合を形成させる方法である。例えば、ペプチドの場合、ライゲーションは、第一のペプチドのN末端アミノ基と第二のペプチドのC末端カルボキシル基とをアミド結合(共有結合)させることによって行われ、ペプチド鎖の伸張、すなわちペプチドの合成に使用されている。従来よりこの目的で種々のライゲーション反応が提案されており、具体的には、天然型化学的ライゲーション(非特許文献1、特許文献1〜2参照)、オキシム生成化学的ライゲーション(非特許文献2参照)、チオエステル生成ライゲーション(非特許文献3参照)、チオエーテル生成ライゲーション(非特許文献4〜5参照)、ヒドラゾン生成ライゲーション(非特許文献6参照)、チアゾリジン生成ライゲーションおよびオキサゾリジン生成ライゲーション(非特許文献7、特許文献3〜4参照)、ならびに拡張天然型化学的ライゲーション(非特許文献8〜11参照,特許文献5参照)を挙げることができる。
これらの方法のうち、天然型化学的ライゲーションおよび拡張天然型化学的ライゲーションは、ライゲーション部位に天然アミド結合(ペプチド結合)を有するペプチド鎖が生成できる方法である。天然型化学的ライゲーションは、第一のペプチドとしてC末端にαカルボキシチオエステル成分を有するペプチドを、また第二のペプチドとしてN末端にシステイン残基を有するペプチドを用いて、触媒チオールの存在下で行う反応であり、チオール交換反応によるチオエステル結合およびそれに続く自発転位によるアミド結合を通じて、第一のペプチドと第二のペプチドとを連結させてオリゴペプチドを生成させる方法である。この方法の欠点は、第二のペプチドがN末端にシステイン残基を有するものに限られることである。このため、この改良法として、システイン残基の代わりに補助基を有するペプチドを使用する方法が提案されている(例えば、非特許文献8〜11参照)。また拡張天然型化学的ライゲーションは、ペプチドの伸張(合成)を対象とした上記の天然型化学的ライゲーションの適用範囲を、アミノ酸残基、ペプチド、ポリペプチド、ポリマー、およびその他の分子まで拡張し、これらの分子を天然アミド結合によって結合させる方法である。
これらのライゲーション法の短所として、天然型化学的ライゲーションが第一のペプチドとしてC末端にαカルボキシチオエステル成分を有するペプチドを使用するように、いずれもペプチドチオエステルを合成ブロックとして使用しなければならない点を挙げることができる。
現在ペプチドの合成は、主としてFmoc法による固相法によって行われている。その理由は、ペプチドの他の合成方法であるBoc法は、反応処理にトリフルオロ酢酸やジクロロメタンなどのハロゲン化合物や無水フッ化水素などの強酸を使用するため、環境保全面や安全性に問題があること、またFmoc法によるとリン酸化ペプチドや糖ペプチドの合成が容易であるからである。しかしながら、ペプチドチオエステルは、Fmoc基の除去に使用されるピペリジンによってチオエステルが分解するため、Fmoc法が使用できず、主としてBoc法によって行われているのが現状である。
上記するように、Fmoc法はBoc法に比して多くの利点を有することから、従来よりFmoc法を用いてペプチドチオエステルを合成する方法が、種々検討され提案されている(例えば、非特許文献12〜16、特許文献6等)。しかし、未だ一般的な方法として確立されていない。
Dawson, et al., Science, (1994) 266; 776-779 Rose, J. Amer. Chem. Soc. (1994) 116; 30-34 Schnolzer, et al., Science, (1992) 252; 221-225 Englebretsen, et al., Tet.Letts. (1995) 36(48):8871-8874 Gaertner, et al., Bioconj. Chem. (1994) 5(4):333-338 Gaertner, et al., J. Biol. Chem. (1994) 269(10):7224-7230 Zhang, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1998) 95(16):9184-9189 Canne,L.E.,et al., J. Am. Chem. Soc., (1996) 118; 5891-5896 Botti, P. et al., Tetrahedron Lett. (2001) 42:1831-1833 Kawakami, T., et al., Org. Lett. (2001) 3:1403-1405 Kawakami, T., et al., Tetrahedron Lett. (2003) 44:6059-6061 Hasegawa, et al., Lett. Pept.Sci., (2002) 8, 277 R. Ingenito, et al., J. Am. Chem. Soc., (1999) 121, 11369 Y. Shin, et al., J. Am. Chem. Soc., (1999) 121, 11684 R. R. Flavell et al., Org. Lett., (2002) 4, 165 Mezzato, S., et al., Angew. Chem. Int. Ed., (2005) 44, 1650-1654 WO96/34878 WO98/28434 WO95/00846 米国特許第5,589,356号公報 WO2002/020557 特開平11-217397号公報
本発明の第1の目的は、原料としてペプチドエステルを用いてライゲーションを行う方法、および当該方法に好適に使用される試薬を提供することである。この方法によれば、Fmoc法の適用が難しいペプチドチオエステルを使用する必要がなく、従来のFmoc法によりルーチン化された方法でペプチドエステルを合成ブロックとして調製し、それを結合させてライゲーションを行うことが可能である。
また本発明の第2の目的は、ペプチドチオエステルを製造するための新規方法、およびその方法に好適に使用される試薬を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために日夜鋭意検討していたところ、C末端またはC末端領域に-Cys-Pro(システイニル-プロリン)や-Cys-Sar(システイニル-ザルコシン)などのシステイニル-アミノ酸残基を有するペプチドエステルが、従来の化学的ライゲーションで使用されているペプチドチオエステルと同様の機能を有し、これを原料とすることによって、ライゲーションによりペプチド鎖を伸張することができることを見出した。当該ペプチドエステルはチオエステル骨格を有しないため、かかるペプチドエステルによれば、チオエステル結合の分解やラセミ化などの問題を生じることなく、汎用のFmoc法を用いて容易にペプチド鎖を縮合および伸張することができ、所望のペプチドやタンパク質を調製することができる。当該ライゲーション法はペプチド鎖の縮合および伸張だけでなく、所望の分子(化合物)同士の縮合にも応用することができる。
さらに、本発明者らは、C末端またはC末端領域に-Cys-Pro(システイニル-プロリン)や-Cys-Sar(システイニル-ザルコシン)などのシステイニル-アミノ酸残基を有するペプチドエステルをチオール化合物と反応させることで、容易にチオエステル化合物が製造できることを見出した。この方法によれば、上記のペプチドエステルを汎用のFmoc法で製造し、チオール化合物と反応させることでチオエステル化合物を簡単に製造取得することができる。前述するように本発明の方法で使用するペプチドエステルはチオエステル骨格を有しないため、かかるペプチドエステルによれば、Fmoc基除去処理によるチオエステル結合の分解やラセミ化などの問題を生じることなく、チオエステル化合物を収率よく安定して製造取得することができる。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、以下の態様を有することができる:
(1)ペプチドエステル試薬とそれを用いるライゲーション法
項1.一般式(1):
Figure 2007043615
(式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成しえる基;Yは水素原子、または少なくとも炭素原子を1以上含む基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基;Rは水素原子または少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。)
で示される化合物を製造する方法であって、
(a):一般式(2)
Figure 2007043615
(式中、Xは前記と同一;Cysはシステイン残基、Rは、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基を示す。)
で示される化合物と、
一般式(3)
Figure 2007043615
(式中、Y、RおよびRは前記と同一。但し、RとRのいずれか一方はチオール基を有する基である。)
で示されるチオール化合物とを反応させて、上記化合物(2)のカルボニル基とチオール化合物(3)のアミノ基またはイミノ基をアミド結合させる工程を有する方法。
項2.一般式(1’):
Figure 2007043615
(式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成しえる基;Yは水素原子、または少なくとも炭素原子を1以上含む基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基を示す。)
で示される化合物を製造する項1に記載する方法であって、
(b):上記(a)工程で得られた下式:
Figure 2007043615
(式中、X、YおよびRは前記の通り。R’は少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。)
で示される化合物(1”)に対して、さらにR’の脱離処理を行う工程を有する方法。
項3.一般式(4):
Figure 2007043615
(式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Rは隣接カルボニル基とともにエステル構造を形成する基を示す。)
で示されるシステニルプロリルエステル化合物を、
一般式(5)
Figure 2007043615
(式中、Yは水素原子、または少なくとも炭素原子を1以上含む基である。)
で示されるチオール化合物と反応させて、上記化合物(4)のXに隣接したカルボニル基とチオール化合物(5)のアミノ基をアミド結合させて、
一般式(6):
Figure 2007043615
(式中、XおよびYは上記と同じ。)
で示される化合物を製造する、項1記載の方法。
項4.(a):一般式(4):
Figure 2007043615
(式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Rは隣接カルボニル基とともにエステル構造を形成する基を示す。)
で示されるシステニルプロリルエステル化合物を、
一般式(7)
Figure 2007043615
(式中、Yは水素原子または少なくとも炭素原子を1以上含む基;Rは水素原子または少なくとも1つの炭素原子を含む基;A−SHは、置換基を有していてもよい、少なくとも2つの炭素を有するアルキレンチオール基、少なくとも2つの炭素を有するオキシアルキレンチオール基、またはメルカプトベンジル基を示す。)
で示されるチオール化合物と反応させて、上記化合物(4)のXに隣接したカルボニル基とチオール化合物(7)のイミノ基をアミド結合させて、
一般式(8):
Figure 2007043615
(式中、X、Y、Rおよび−A−SHは上記と同じ。)
で示される化合物を製造する工程、および
(b):次いで、上記化合物(8)から−A−SH基を除去して、
一般式(1’):
Figure 2007043615
(式中、X、YおよびRは上記と同じ。)
で示される化合物を製造する工程を有する、項2に記載する方法。
項5.一般式(1)で示される化合物および一般式(2)で示される化合物が、これらの式中「X−CO−」で示される基として、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基を有するものである、項1に記載する方法。
項6.一般式(1)で示される化合物および一般式(3)で示される化合物が、これらの式中「Y」で示される基として、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基を有するものである、項1に記載する方法。
項7.一般式(2)
Figure 2007043615
(式中、X−CO−は、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Cysはシステイン残基、Rは、修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)
で示されるライゲーション用ペプチドエステル。
項8.一般式(2)中、X−CO−が、N末端のアミノ酸のアミノ基に保護基を有する、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Rが直接または間接的に固相担体に結合して固定化されてなるものである、項7記載のライゲーション用ペプチドエステル。
項9.項7に記載するライゲーション用ペプチドエステルを含む、ペプチドライゲーション用試薬。
項10.項7に記載するライゲーション用ペプチドエステルを少なくとも1つ含む、ペプチドまたはタンパク質の合成キット。
項11.さらに、一般式(3)
Figure 2007043615
(式中、Yは、アミノ基がカルボニル基と結合してなるアミノ酸、N末端のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチドまたはタンパク質の残基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基;Rは水素原子または少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。但し、RとRのいずれか一方はチオール基を有する基である。)
で示されるアミノチオール化合物を含有する、項10に記載するペプチドまたはタンパク質の合成キット。
項12.上記Rで示される「少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基」が炭素数1〜3のアルキレンチオール基であり、Rで示される「少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基」が、置換基を有していてもよい炭素数2〜3のアルキレンチオール若しくはオキシアルキレンチオール基、または置換基を有していてもよいメルカプトベンジル基である、項11に記載するペプチドまたはタンパク質の合成キット。
(2)チオエステル化合物の製造方法
項13.一般式(2)
Figure 2007043615
(式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Cysはシステイン残基、Rは、修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)
で示される化合物を、チオール化合物(R−SH)と反応させる工程を有する、
下式(9)
Figure 2007043615
(式中、Xは前記と同一;Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基、または置換基を有していてもよいアルキレンスルホン酸基を示す。)
で示されるチオエステル化合物の製造方法。
項14.一般式(2)
Figure 2007043615
(式中、X−CO−は、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Cysはシステイン残基、Rは修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)
で示されるペプチドフラグメントを含むチオエステル合成試薬。
項15.一般式(2)中、X−CO−は、修飾されていてもよいアミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Rが直接または間接的に固相担体に結合して固定化されてなるものである、項14記載のチオエステル合成試薬。
項16.項14に記載するペプチドフラグメントを少なくとも1つ含む、ペプチドチオエステル合成キット。
項17.さらにチオール化合物(R−SH)を含む、項16に記載するペプチドチオエステル合成キット。
本発明のライゲーション法は、合成ブロックとしてチオエステル骨格を有しないペプチドエステルを用いることができるため、従来の方法によるチオエステル結合の分解やラセミ化などといった問題が生じることなく、ライゲーションに使用する所望の合成ブロックを汎用のFmoc法を用いて容易に効率よく調製することができる。また本発明のライゲーション法は、温和な条件で行うことができるので、ペプチドやタンパク質などの生体分子の合成ならびに修飾に有効に用いることができる。
本発明が提供するライゲーション用ペプチドエステルは、上記のライゲーション法に好適に使用することができる試薬であり、当該ペプチドフラグメントを合成ブロックとして使用することによって所望のペプチドやタンパク質などを温和な条件で簡便に合成することができる。
また本発明のチオエステル化合物の製造方法によれば、ペプチドエステルをチオール化合物と温和な条件で反応させることで簡単にチオエステル化合物を製造取得することができる。当該方法は、原料としてチオエステル骨格を有しないペプチドエステルを用いる方法であるため、Fmoc基除去処理によるチオエステル結合の分解やラセミ化などの問題を生じることなく、チオエステル化合物を収率よく安定して取得することができる。
本発明が提供するチオエステル合成試薬は、かかるチオエステル化合物の製造方法に好適に使用することができる試薬であり、所望のチオール化合物と反応させることにより、温和な条件で簡便に所望のチオエステル化合物を合成することができる。
発明の実施の形態
(1)ペプチドエステル試薬とそれを用いるライゲーション法
本発明は、ライゲーション部位にアミド結合(ペプチド結合)を形成することにより所望の分子(化合物)同士を縮合していく化学的ライゲーション法に関する。なお、本明細書中、便宜上、縮合させる互いの分子を「第1セグメント」および「第2セグメント」ともいう。
本発明は、天然のポリペプチド、タンパク質またはこれらの修飾体の化学合成、特に複数のアミノ酸またはアミノ酸誘導体が結合したブロック同士のブロック合成に有効に利用することができる。
本願発明が対象とする上記のアミノ酸には、天然に存在するペプチドやタンパク質を構成する20種類のアミノ酸が含まれる。かかるアミノ酸としては、例えばグリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、チロシン(Tyr)、システイン(Cys)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、およびグルタミン酸(Glu)を挙げることができる。また上記アミノ酸には、タンパク質に見出される上記一般的なアミノ酸以外のアミノ酸も含まれる。かかるアミノ酸としては、例えば、ヒドロキシル化、アルキル化、リン酸化、ホルミル化、グリコシル化、またはアシル化された側鎖を有するアミノ酸を挙げることができる。これらのアミノ酸には、具体的には4−ヒドロキシプロリン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、N−モノメチルグリシン、O−ホスホセリン、O−ホスホトレオニン、カルボキシグルタメート、アセチルリジン、およびN−メチルアルギニンが含まれる。また上記のアミノ酸誘導体としては生物学的活性を有するアミノ酸誘導体を挙げることができ、例えばα−アミノ酪酸、チロキシン、シトルリン、オルニチン、ホモシステイン、S−アデノシルメチオニン、β−シアノアラニン、およびアザセリンが含まれる。ペプチドやタンパク質を構成するアミノ酸は一般的にはL−アミノ酸であるが、本発明が対象とするアミノ酸はこれに限定されず、D−アミノ酸であってもよい。
本発明のライゲーション法は、原料として下式(2)で示される第1セグメント:
Figure 2007043615
(式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Cysはシステイン残基、Rは、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基示す。)
と、下式(3)で示される第2セグメント:
Figure 2007043615
(式中、Yは少なくとも炭素原子を1つ以上含む基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基;Rは水素原子または少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。但し、RとRのいずれか一方はチオール基を有する基である。)
とを反応させて、縮合させることによって行うことができ、その結果
下式(1)で示されるライゲーション生成物:
Figure 2007043615
(式中、X、Y、RおよびRは上記と同じ。)
を生成することができる。
このとき、Rが少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基である場合には、さらに当該基を除去する処理をすることにより、Rが水素原子であるライゲーション生成物(1)を取得することができる。
(1-1)第1セグメント
上記反応において、原料として用いる第1セグメント(2)は、分子内にシステイニル基(-Cys-)とそのC-端側にアミノ酸残基を有する基(-R)を有するペプチドエステルである。
当該第1セグメント(2)において、Rは、具体的には、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基である。かかるアミノ酸としては、具体的にはプロリンおよび置換基を有するグリシンを挙げることができる。置換基を有するグリシンの例としては、制限されないが、例えば、アルキル基を有するグリシンであるザルコシン(N−モノメチルグリシン)を挙げることができる。好ましくはプロリンおよびザルコシンであり、より好ましくはプロリンである。
上記アミノ酸の−OHと置換される基(−OH置換基)としては、−OH基に隣接するカルボニル基とともにエステル構造を形成する基を挙げることができる。制限されないが、かかる−OH置換基として具体的には、−OCHCONHを挙げることができる。
アミノ酸残基の−OHの置換方法は、特に制限されないが、例えば−OCHCONHへの置換としては、具体的には後述の調製例1および2に記載する方法を挙げることができる。この方法は、まずC-末端アミド結合を与えるリンカー(例えば、Rinkリンカー)をつけた固相担体(例えばポリスチレン製の樹脂など)にグリコール酸を結合させ、次いでこれにFmoc-R -OH あるいは Boc-R -OH(「R -OH」 はアミノ酸を意味する)を結合することによって行われる(Fmoc-R -OCH2CONH−樹脂の生成)。
上記の操作に引き続いて、Fmoc 法に従って、Fmoc-Xxx-Cys(Trt)、Fmoc-Xxx、・・・(Xxxは同一または異なる任意のアミノ酸またはその誘導体を意味する。以下同じ)を順次結合させるか、またはBoc法に従って、Boc-Cys(4-MeBzl)、Boc-Xxx、Boc-Xxx、Boc-Xxx、・・・を順次結合させることにより、Fmoc-(Xxx)n-Cys(Trt)-R2 -OCH2CONH−樹脂(nはアミノ酸またはアミノ酸誘導体の数を示す。以下、同じ)、または Boc-(Xxx)n-Cys(4-MeBzl)-R2 -OCH2CONH−樹脂を調製することができる。次いで、必要に応じて、アミノ酸保護基(Fmoc基、Boc基)の除去、または樹脂からの脱離を行ってもよい。これらの方法は定法に従って行うことができる。以上の一連の製造工程を、「R -OH」としてプロリン(Pro)を用いたFmoc 法を例として図1に示す。
なお、アミノ酸の−OHの置換方法は、上記方法に限定されることない。例えば、Fmoc-Pro-OH とブロモ酢酸tertブチルエステルを反応させ、tertブチル基を除去することによってFmoc-Pro-OCH2COOHを得ることができ、当該アミノ酸のカルボキシル基の−OHに置換基を導入する方法を用いることもできる。
としては、前述する、例えば- R2 -OCH2CONH2(例:-Pro-OCH2CONH2、-Sar-OCH2CONH2など)などのように、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を挙げることができるが、これに限定されず、上記アミノ酸残基を有する基であればよい。かかる基としては、上記のアミノ酸に−OH置換基を介して任意の基が結合してなるもの(「- R2 -OH置換基-Z」、 Zは任意の基を意味する)を挙げることができる。ここで、アミノ酸に−OH置換基を介して結合する基は任意であり、特に制限されないが、実施例5に示すように、アミノ酸残基を始め、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)やタンパク質またはこれらの誘導体が含まれる。
なお、Rは修飾されていてもよい。修飾の態様は特に制限されないが、Rが、直接または間接的(任意のリンカーを介して)に、固相に固定化されてなる態様を挙げることができる。
固相としては、特に制限されないが、例えばニトロセルロース、アガロースビーズ、修飾セルロース繊維、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン樹脂またはポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂に、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基またはハロゲンなどを導入したものを挙げることができる。
第1セグメント(2)およびライゲーション生成物(1)において、Xはカルボキシル基(-COOH基)と結合してX−COOHを形成することができる基である。この限りにおいて特に制限されないが、例えば、X−COOHの例として、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)若しくはタンパク質、またはこれらの誘導体;抗体;標識剤;リンカー;金属インディケーターなどを含む金属キレーター;ケージ化合物などを挙げることができる。なお、ここで標識剤としては、色素化合物、または安定若しくは放射性同位体を含む化合物を挙げることができる。X−COOHを形成することのできる色素化合物としては、FITC,Alexa,Bodipy,Eosinなどの一般的な蛍光色素を例示することができる。
X−COOHの例として好ましくは、アミノ酸、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)、またはこれらの誘導体である。なお、制限はされないが、ペプチドの構成アミノ酸数としては2〜100程度を挙げることができる。
X−COOHが、例えばアミノ酸、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)若しくはタンパク質、これらの誘導体、または抗体の場合、Xは修飾されていてもよい。修飾の態様は特に制限されないが、例えば、Xの一部が任意の基(例えば、慣用のアミノ酸の保護基、リン酸基、ヒドロキシル基、アルキル基、ホルミル基、アシル基、糖鎖、脂肪酸など)で置換されている態様、蛍光色素や同位体などの標識剤で修飾されている態様を挙げることができる。
第1セグメントとして好ましくは、Xがカルボキシル基とともにアミノ酸を形成する基(即ち、X−COOHがアミノ酸である場合)であるか、またはXがカルボキシル基とともに2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)を形成する基(即ち、X−COOHがペプチドである場合)である態様を挙げることができる。上記Xの一部がアミノ酸の保護基で置換されていてもよい。
ここでアミノ酸の保護基としては、従来公知の保護基を広く挙げることができる。具体的には、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Z基)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe)基)、2−クロロベンジルオキシカルボニル基(Z(Cl)基)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル(Z(NO2)基)、p−フェニルアゾベンジルオキシカルボニル(Pz基)、t−ブトキシカルボニル(Boc基)、t−アミルオキシカルボニル基(Aoc基)、Alloc基、Bismoc基、Msc基、Nvoc基、p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル基(Bpoc基)、ジイソプロピルメチルオキシカルボニル基(Dipmoc基)、シクロペンチルオキシカルボニル基(Poc基)、フォルミル基、トリフルオロアセチル基(Tfa基)、フタリル基(Pht基)、トシル基(Tos基)、o−ニトロフェニルスルフェニル基(Nps基)、アセチル基、ベンゾイル基、トリチル基(Trt基)、ジニトロフェニル基(Dnp基)などのアミノ保護基;NO、Tos基、Bzl基、Bzl(Me)基、Bzl(Me3)基、Bzl(OMe)基、Bzl(NO2)基、Z基、Boc基、Dnp基、Dipmoc基、Bom基、tBu基、Acm基、tBuS基、cHex基、Ally基、Fm基、メチレン基、Pac基、Trt基、シリル基、Npe基、CNB基、Dmnb基などの各種の側鎖官能保護基を挙げることができる。
またXの標識剤としては、アミノ酸、ペプチド、タンパク質または抗体を標識することのできる従来公知の標識剤を広く挙げることができる。具体的には、色素(例えば蛍光色素、化学発光色素など)、安定または放射性同位体を含む化合物、金属インディケーターを含む金属キレーターなどを挙げることができる。なお、色素としてFITC、Alexa、BodipyまたはEosinなどの一般的な蛍光色素を例示することができる。
第1セグメントの好適な例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONHで置換された3以上のアミノ酸残基からなるペプチドエステルを挙げることができる。また、他の例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONH−で置換され、さらに当該基にアミノ酸、または2以上のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合してなるペプチドエステルを挙げることができる。なお、ここで−OCHCONH−に結合するアミノ酸残基の数としては、制限されないが、1〜50程度を挙げることができる。システニル基に隣接するアミノ酸残基としては、前述するように、プロリル基、グリシル基、置換基を有するグリシル基(例えば、ザルコシル基)を挙げることができる。好ましくはプロリル基およびザルコシル基である。なお、当該ペプチドエステルは、N末端のアミノ酸残基のアミノ基がアミノ保護基(例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基))で保護されていてもよい。また、ペプチドエステルを構成する各アミノ酸は修飾されたものであってもよい。
当該ペプチドエステルは、そのC末端が、任意の固相担体の表面に、直接または間接的(リンカーを介して)に結合して固定化されていてもよい。
かかるペプチドエステルからなる第1セグメントは、例えば固相合成法によって調製することができる。例えば、図1に示すように、表面にC末端アミド結合などを与えるリンカー(図中、「X」で示す)(例えば、Rinkリンカーなど)を有する固相担体(例えばポリスチレン製の樹脂など)に、グリコール酸(HOCH2COOH)を結合させた後に、Fmoc 法に従って、Fmoc-Pro、Fmoc-Xxx-Cys(Trt)、Fmoc-Xxx、・・・(Xxxは、同一または異なるアミノ酸またはその誘導体を意味する)を順次結合させることによって調製することができる。斯くして得られる、例えばFmoc-(Xxx)n-Cys(Trt)-R2 -OCH2CONH-樹脂は、その後、TFA等を用いた通常の切り出し操作に供され、ペプチドエステル(Fmoc-(Xxx)n-Cys-R2 -OCH2CONH2)を取得することができる。次いで、必要に応じてHPLCなどによる一般的な精製操作によって精製を行ってもよい。なお、図1に示した上記「Fmoc-(Xxx)n-Cys(Trt)-R2 -OCH2CONH-樹脂」中、Trt(トリフェニルメチル基)は、SH基の保護基の例示であって、これに限定されるものではない。Trt基に代えて、他のSH基保護基、たとえば、4-MeBzl基、4-MeOBzl基やAcm基などを用いることもできる。
斯くして得られるペプチドエステル(Fmoc-(Xxx)n-Cys-R2 -OCH2CONH2)を第1セグメントとしてライゲーション反応に用いることができる。なお、Fmoc基については、ライゲーション反応に際して除去の有無を問わないが、必要に応じて、定法に従って除去してもよい。
(1-2)第2セグメント
上記第1セグメントと反応させる第2セグメントとしては下式(3)で示されるアミノチオール化合物を挙げることができる。
Figure 2007043615
第2セグメント(3)において、R基とR基はどちらか1方がチオール基(−SH)を有する基である。その限りにおいて特に制限されないが、R基のチオール基を有する基としては、炭素数1〜3のアルキレンチオール基またはその誘導体などの、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基を挙げることができる。好ましくはメチレンチオール基、エチレンチオール基である。また、R基は、R基がチオール基を有する基である場合は、水素原子または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基であることもできる。
また、R基としては少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を挙げることができる。具体的には、置換基を有していてもよい炭素数2〜3のアルキレンチオール基〔-(CH2)n-SH、nは2または3〕、置換基を有していてもよい炭素数2〜3のオキシアルキレンチオール基〔-O-(CH2)n-SH、nは2または3〕、置換基を有していてもよいメルカプトベンジル基〔-CH2-Ph-SH〕、およびこれらの誘導体を挙げることができる。ここで置換基は特に制限されないが、例えばアルキレンチオール基が有する置換基としては、置換基を有していてもよいフェニル基を挙げることができる。
また、R基は、R基がチオール基を有する基である場合は、水素原子であることもできる。
基として、好ましくは水素原子(但し、R基がチオール基を有する基である場合)、エチレンチオール基、プロピレンチオール基、オキシエチレンチオール基、並びに下式(a)または(b)で示す基である。
Figure 2007043615
(式中、Rは水素原子または任意の置換基である)
Figure 2007043615
(式中、Rは水素原子または任意の置換基である)
基とR基の組合せとして好ましくは、R基がメチレンチオール基であって、R基が水素原子である組合せ;R基がチオール基を有しない基であって、R基が置換基を有しても良いエチレンチオール基、置換基を有しても良いプロピレンチオール基、オキシエチレンチオール基、上記式(a)で示される基、または上記式(b)で示される基の組合せを例示することができる。
第2セグメント(3)およびライゲーション生成物(1)において、Yは水素原子または少なくとも炭素原子を1つ以上含む基である。この限りにおいて特に制限されないが、例えば、少なくとも炭素原子を1つ以上含む基の例として、カルボキシル基、アミド基、アミノ基がカルボニル基(-CO基)と結合してなるアミノ酸、N末端のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基(-CO基)と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)またはタンパク質を挙げることができる。なお、かかるアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質は、C末端がアミド化されていてもよい。
また、Yは、少なくとも炭素原子を1つ以上含む基であれば、抗体、標識剤(蛍光色素等の色素、安定または放射性同位体を含む化合物)、リンカー、金属インディケーターなどを含む金属キレーター、ケージ化合物であることもできる。
Yが、例えばアミノ基がカルボニル基(-CO基)と結合してなるアミノ酸、N末端側のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基(-CO基)と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)若しくはタンパク質、または抗体などの場合、当該Yは修飾されていてもよい。修飾の態様は特に制限されないが、例えば、Yの一部が任意の基(例えば、慣用のアミノ酸の保護基、ヒドロキシル基、アルキル基、リン酸基、ホルミル基、アシル基、糖鎖、脂肪酸残基など)で置換されている態様、蛍光色素等の色素や安定若しくは放射性同位体などの標識剤で修飾されている態様、またはYが固相に固定化されてなる態様を挙げることができる。
好適なYの態様として、アミノ基がカルボニル基と結合してなるアミノ酸、またはN末端側のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)を挙げることができる。当該アミノ酸またはペプチドは、C末端がアミド化されてなるもの、Yの一部がアミノ酸の保護基で置換されてなるもの、または任意の固相担体に固定化されてなるものであってもよい。
ここでアミノ酸の保護基としては、従来公知の保護基を広く挙げることができる。具体的には、メトキシ基(OMe基)、エトキシ基(OEt基)、ベンジルオキシ基(OBzl基)、p−ニトロベンジルオキシ基(OBzl(NO2) 基)、t−ブトキシ基(OBut基)、アミド基(NH2基)、ヒドラジノ基(N2H3基)、Boc-ヒドラジノ基(N2H2Boc基)、Z-ヒドラジノ基(N2H2Z基)、フェナシル(Pac)基、アリル(All)基などのカルボキシ保護基;NO、Tos基、Bzl基、Bzl(OMe)基、Bzl(NO2)基、Z基、Boc基、Dnp基、Dipmoc基、Fmoc基、Acm基、tBuS基、Bzl(Me)基などの各種の側鎖官能保護基を挙げることができる。
Yの標識剤としては、従来公知のアミノ酸、ペプチド、タンパク質または抗体を標識することのできるものであればよく、例えば色素(例えば蛍光色素、化学発光色素)、具体的には、FITC,Alexa,Bodipy,Eosinなどの蛍光色素、ビオチンなどの親和基,安定および放射性同位体、クラウンエーテルを含む金属インディケーターなどを含む金属キレーターなどを例示することができる。
固相担体としては、特に制限されないが、例えばニトロセルロース、アガロースビーズ、修飾セルロース繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂や基板などにチオール基、アミノ基、水酸基,ハロゲンなどを導入したものなどを挙げることができる。なお、第2セグメントの固相への固定化は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、Yがアミノ基がカルボニル基と結合してなるアミノ酸、N末端側のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)またはタンパク質である場合は、そのC末端側のカルボニル基と、アミノ基または水酸基を導入した合成樹脂や基板などの当該基との間で、CO−NH(アミド)結合またはCO−O−(エステル)結合を形成させることで固定化することができる。
第2セグメント(3)として、より好適には、下式で示すように、N末端側にシステイン残基を有する2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(a)、あるいはN末端のアミノ基上にチオール補助基(例えば、アルキレンチオール基、オキシアルキレンチオール基、メルカプトベンジル基など)を有する2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(b〜d)を挙げることができる。
Figure 2007043615
(式中、nは1以上の整数を意味する)
また、これらのチオール補助基(アルキレンチオール基、オキシアルキレンチオール基、メルカプトベンジル基)は置換基を有していてもよく、例えばN末端のアミノ基上に、置換基を有するアルキレンチオール基を有する2以上のアミノ酸残基からなるペプチドとしては、下式で示されるものを挙げることができる。
Figure 2007043615
なお、これらのペプチドを構成するアミノ酸は修飾されたものであってもよい。
これらのペプチド(第2セグメント)は、固相合成法など一般的なペプチド合成法や,また,組換え蛋白質を製造する手法に従って作成することができる。
(1-3) ライゲーション生成物の製造(ライゲーション法)
本発明においてライゲーションは、上記第1セグメントと第2セグメントとを溶液中で混合することによって行うことができる。
溶液としては、第1セグメントと第2セグメントとが溶解する溶液であれば特に制限されず、例えば、水、低級アルコール、フッ素化アルコール、多価アルコールまたはその他の極性溶媒、並びに非極性溶媒を用いることができる。具体的には、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜6のアルコール;フッ素化アルコールとしては、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール等;多価アルコールとしては、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等;上記以外の極性溶媒としては、アセトンやエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル, 酢酸メチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン,エチルエーテルやプロピルエーテル等のエーテル類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド,N−メチルピロリドン等を挙げることができる。非極性溶媒としては、トルエン等を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて使用することもできる。二種以上の組合わせ例としては、低級アルコール、多価アルコールまたはそれ以外の極性溶媒と水との組合わせを挙げることができる。好ましくは、水、低級アルコール(好ましくはエタノール)、アセトニトリル、または水と低級アルコールとの混合液(含水アルコール、好ましくは含水エタノール)、水とアセトニトリルなどとの混合液を挙げることができる。
これらの溶液のpHは特に制限されず、通常pH2〜10の範囲であればよい。緩衝剤などによって中性付近に調整されていることが好ましく、そのpH領域としては好ましくはpH6〜9、より好ましくはpH7〜8.5である。
反応温度も特に制限されないが、通常0〜100℃の範囲で行うことができる。好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。なお、酸素を除去した条件下で反応を行うことが望ましい。また、反応に際して、P(CHCHCHOH)3やP(CHCHCOOH)3などのホスフィンやチオフェノール,4-トリメチルシリルチオフェノール,2-メルカプトエタンスルホン酸や3-メルカプトプロピオン酸エチルなどのチオール類、グアニジン、尿素、脂質や界面活性剤などを共存させても良い。反応時間も特に制限されないが、通常2〜72時間を挙げることができる。なお、反応に際して、溶液を攪拌または振盪してもよい。
上記条件で、第1セグメントと第2セグメントとを共存状態に置くことにより、一般式(2)で示される第1セグメントのカルボニル基と一般式(3)で示される第2セグメントのアミノ基またはイミノ基とがアミド結合することによって、下式で示されるライゲーション生成物(1)が生成する。
Figure 2007043615
(式中、X、Y、RおよびRは前述の通り。)
なお、ここでRが、2以上の連続した炭素原子を含みチオール基を有する基(例えば、置換基を有していてもよい、アルキレンチオール基、オキシアルキレンチオール基、メルカプトベンジル基など)である場合、次いで、Rの除去処理を行うことにより、下式で示されるライゲーション生成物(1’)を得ることができる。
Figure 2007043615
(式中、X、YおよびRは前述の説明の通りである。)
なお、Rを除去する方法としては、例えばUV照射法、酸処理法、亜鉛処理法を挙げることができ、Rの種類に応じて適宜選択することができる。
前述するように、本発明のライゲーション法は、上記第1セグメント(ペプチドエステル)(2)と第2セグメント(アミノチオール化合物)(3)とを、上記のような比較的温和な条件に置くことによって実施することができ、斯くして分子反応により第1セグメントと第2セグメントとの間に自動的にアミド結合が形成されてライゲーションが生じるものである。
拘束されないが、本発明におけるライゲーション反応の原理としては、第1セグメント(ペプチドエステル)(2)が、上記条件下で自然に速やかに分子内反応を起こしてチオエステルに変換され、これが第2セグメント(チオール化合物)(3)のチオール基とチオール交換し、次いでSからNへのアシル基転位反応を経て、アミド(ペプチド)結合を形成するものと推測される。この一連の反応は、反応条件を変えることなく、また新たな操作を施すことなく、同一の反応系の中で自動的に生じる。
ペプチドやタンパク質などのアミド結合を有する生体高分子を合成あるいは修飾するうえで、温和な条件でアミド結合を形成させる方法は極めて重要である。ゆえに、上記するように温和な条件下で実施することができる本発明の方法は、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質などをお互いにライゲーションする方法として有用である。
本発明のライゲーション法を用いてペプチド同士をライゲーションする場合、すなわち本発明のライゲーション法を用いてポリペプチドまたはタンパク質をブロック合成する場合の反応例を、図2に示す。
図2において、上段および下段の反応とも、第1セグメントは、C-末端側に、プロリンのカルボキシル基の−OHが−ORで置換されてなるシステニル-プロリンを有するペプチドエステルである。−ORとして好適には−OCHCONHを挙げることができる。上段の反応において、第2セグメントは、N-末端に酸化されていないスルフヒドリル(sukfhydryl)側鎖を有するシステイン残基を有するペプチドである。
下段の反応において、第2セグメントは、N末端のアミノ基上にチオール補助基を有するペプチドである。なお、図中、「peptide 1」に隣接するカルボニル基は、正確には「peptide 1」のカルボキシル基に由来する基である。Rは前述の通りである。また、図中、A−SH基は前述するR基に相当し、少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基である。
斯くして得られるライゲーション生成物(1)は、最終的に高速液体クロマトグラフィーなどを用いて精製することによって高純度のものとして取得することができる。また、ライゲーション生成物(1)が、例えばそのN末端がFmoc基などで保護された状態で得られる場合、その後、必要に応じて定法に従って除去することもできる。
(1-4) ライゲーション用試薬
本発明はまた上記ライゲーションに好適に使用することができる試薬を提供する。
(i) ライゲーション用ペプチドフラグメント(2)
本発明のライゲーション用試薬として、上記第1セグメントに相当する下式(2)で示されるライゲーション用ペプチドフラグメントを挙げることができる。
Figure 2007043615
当該ペプチドプラグメント(2)中、Cysはシステイン残基であり、Rはカルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基である。かかるアミノ酸としては、具体的にはプロリンおよび置換基を有するグリシンを挙げることができる。置換基を有するグリシンの例としては、制限されないが、例えばアルキル基を有するグリシン、好ましくはザルコシン(N-モノメチルグリシン)を挙げることができる。好ましくはプロリンおよびザルコシンであり、より好ましくはプロリンである。
上記アミノ酸の−OHと置換される基(−OH置換基)としては、−OH基に隣接するカルボニル基とともにエステル構造を形成する基を挙げることができる。制限されないが、かかる−OH置換基としては、具体的に−OCHCONHを挙げることができる。なお、アミノ酸の−OH基の置換方法は前述する通りである。
なお、Rは修飾されていてもよい。修飾の態様は特に制限されないが、好ましくはRが、直接または間接的(任意のリンカーを介して)に、固相担体に固定化されてなる態様を挙げることができる。固相担体としては、特に制限されないが、例えばニトロセルロース、アガロースビーズ、修飾セルロース繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂などに、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基,ハロゲンなどを導入したものなどを挙げることができる。
上記ペプチドフラグメント(2)において、Xはカルボキシル基(-COOH)と結合してX−COOHを形成することができる基である。かかるX−COOHの例として、特に制限されないが、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)若しくはタンパク質、またはこれらの誘導体を挙げることができる。好ましくは修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)、またはこれらの誘導体である。なお、制限されないが、ペプチドの構成アミノ酸数としては、2〜100程度を挙げることができる。
修飾の態様は特に制限されないが、例えば、Xの一部が任意の基(例えば、慣用のアミノ酸の保護基、ヒドロキシル基、アルキル基、リン酸基、ホルミル基、アシル基、糖鎖、脂肪酸残基など)で置換されている態様、蛍光色素等の色素または安定若しくは放射性同位体などの標識剤で修飾されている態様などを挙げることができる。
Xの一部が任意の基で置換されている態様の例として、Xを構成するN末端のアミノ酸のアミノ基が保護基を有している態様を挙げることができる。この保護基としては、アミノ基保護基として公知のものをいずれも使用することができる。例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Z基)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe)基)、2−クロロベンジルオキシカルボニル基(Z(Cl)基)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル(Z(NO2)基)、p−フェニルアゾベンジルオキシカルボニル(Pz基)、t−ブトキシカルボニル(Boc基)、t−アミルオキシカルボニル基(Aoc基)、Alloc基、Bismoc基、Msc基、Nvoc基、p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル基(Bpoc基)、ジイソプロピルメチルオキシカルボニル基(Dipmoc基)、シクロペンチルオキシカルボニル基(Poc基)、フォルミル基、トリフルオロアセチル基(Tfa基)、フタリル基(Pht基)、トシル基(Tos基)、o−ニトロフェニルスルフェニル基(Nps基)、アセチル基、ベンゾイル基、トリチル基(Trt基)、ジニトロフェニル基(Dnp基)などのアミノ保護基を挙げることができる。好ましくはBoc基およびFmoc基であり、より好ましくはFmoc基である。
またXの標識剤としては、アミノ酸やペプチドを標識することのできる従来公知の標識剤を広く挙げることができる。具体的には、色素(例えば蛍光色素、化学発光色素など)、安定または放射性同位体を含む化合物、金属インディケーターを含む金属キレーターなどを挙げることができる。なお、色素としてFITC、Alexa、BodipyまたはEosinなどの一般的な蛍光色素を例示することができる。
ライゲーション用ペプチドプラグメント(2)として、より好適には、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONHで置換された3以上のアミノ酸残基からなるペプチドエステルを挙げることができる。また他の好適な例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONH−で置換され、さらに当該基に、アミノ酸、若しくは2以上のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合してなるペプチドエステルを挙げることができる。ここで−OCHCONH−に結合するアミノ酸残基の数としては制限されないが、1〜50程度を挙げることができる。システニル基に隣接したアミノ酸残基としては、前述するように、プロリル基、グリシル基、置換基を有するグリシル基(例えば、ザルコシン基)を挙げることができる。好ましくはプロリル基およびザルコシル基であり、より好ましくはプロリル基である。なお、当該ペプチドエステルは、N末端のアミノ酸残基のアミノ基がアミノ保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)など)で保護されていてもよい。また、ペプチドエステルを構成する各アミノ酸は修飾されたものであってもよい。
また、ライゲーション用ペプチドフラグメント(2)は、上記ペプチドエステルのC末端が、直接または間接的(リンカーを介して)に、任意の固相担体の表面に結合してなるものであってもよい。かかる固相担体としては、上記(1-2)に記載される、例えばニトロセルロース、アガロースビーズ、修飾セルロース繊維、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂や基板を挙げることができる。好ましくはポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂である。
かかるライゲーション用ペプチドフラグメント(2)は、上記(1-1)に記載する方法で調製することができる(図1参照)。
(ii) ライゲーション用アミノチオール化合物(3)
また本発明のライゲーション用試薬として、上記第2セグメントに相当する下式(3)で示されるライゲーション用アミノチオール化合物を挙げることができる。
Figure 2007043615
ライゲーション用アミノチオール化合物(3)において、R基とR基はどちらか1方がチオール基(−SH)を有する基である。その限りにおいて特に制限されないが、R基のチオール基を有する基としては、炭素数1〜3のアルキレンチオール基およびその誘導体などの、少なくとも1つの炭素原子を含む基を挙げることができる。好ましくはメチレンチオール基、エチレンチオール基である。また、R基は、R基がチオール基を有する基である場合は、水素原子または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基であることもできる。
また、R基としては少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を挙げることができる。具体的には、置換基を有していてもよい炭素数2〜3のアルキレンチオール基〔-(CH2)n-SH、nが2または3〕、置換基を有していてもよい炭素数2〜3のオキシアルキレンチオール基〔-O-(CH2)n-SH、nが2または3〕、置換基を有していてもよいメルカプトベンジル基〔-CH2-Ph-SH〕、およびこれらの誘導体を挙げることができる。ここで置換基は特に制限されないが、例えばアルキレンチオール基が有する置換基としては、置換基を有していてもよいフェニル基を挙げることができる。また、R基は、R基がチオール基を有する基である場合には、水素原子であることもできる。
基として、好ましくは水素原子(但し、R基がチオール基を有する基である場合)、エチレンチオール基、プロピレンチオール基、オキシエチレンチオール基、並びに下式(a)または(b)で示す基である。
Figure 2007043615
(式中、Rは水素原子または任意の置換基である)
Figure 2007043615
(式中、Rは水素原子または任意の置換基である)
基とR基の組合せとして好ましくは、R基がメチレンチオール基であって、R基が水素原子である組合せ;R基がチオール基を有しない基であって、R基がエチレンチオール基、プロピレンチオール基、オキシエチレンチオール基、上記式(a)で示される基、または式(b)で示される基の組合せを例示することができる。
ライゲーション用アミノチオール化合物(3)において、Yは、N末端のアミノ基がカルボニル基と結合してなるアミノ酸、N末端側のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)またはタンパク質を挙げることができる。なお、かかるアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質は、C末端がアミド化されていてもよい。
なお、これらのYは、修飾されていてもよい。修飾の態様は特に制限されないが、例えば、Yの一部が任意の基(例えば、アミノ酸の保護基、ヒドロキシル基、アルキル基、リン酸基、ホルミル基、アシル基、糖鎖、脂肪酸残基など)で置換されている態様、蛍光色素等の色素や安定若しくは放射性同位体などの標識剤で修飾されている態様、またはYが固相担体に固定化されてなる態様を挙げることができる。Yの一部がアミノ酸の保護基で置換されてなる態様、またはYが任意の固相担体に固定化されてなる態様を挙げることができる。
ここでアミノ酸の保護基としては、従来公知の保護基を広く挙げることができる。具体的には、メトキシ基(OMe基)、エトキシ基(OEt基)、ベンジルオキシ基(OBzl基)、p−ニトロベンジルオキシ基(OBzl(NO2) 基)、t−ブトキシ基(OBut基)、アミド基(NH2基)、ヒドラジノ基(N2H3基)、Boc-ヒドラジノ基(N2H2Boc基)、Z-ヒドラジノ基(N2H2Z基)、フェナシル(Pac)基、アリル(All)基などのカルボキシ保護基;NO、Tos基、Bzl基、Bzl(OMe)基、Bzl(NO2)基、Z基、Boc基、Dnp基、Dipmoc基、Fmoc基、Acm基、tBuS基、Bzl(Me)基などの各種側鎖官能保護基を挙げることができる。
Yの標識剤としては、従来公知のアミノ酸、ペプチドまたは抗体を標識することのできるものであればよく、例えば色素(例えば蛍光色素、化学発光色素)、具体的には、FITC,Alexa,Bodipy,Eosinなどの蛍光色素、ビオチンなどの親和基,安定および放射性同位体、クラウンエーテルを含む金属インディケーターなどを含む金属キレーターなどを例示することができる。
固相担体としては、特に制限されないが、例えば上記(1-2)に記載される、ニトロセルロース、アガロースビーズ、修飾セルロース繊維、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂や基板を挙げることができる。好ましくはポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂である。
かかるライゲーション用アミノチオール化合物(3)は、固相への固定化を含めて、上記(1-2)に記載する方法で調製することができる。
ライゲーション用チオール化合物(3)として、より好適には、下式で示すように、N末端側にシステイン残基を有する2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(a)、またはN末端のアミノ基上にチオール補助基(例えば、アルキレンチオール基、オキシアルキレンチオール基、メルカプトベンジル基など)を有する2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(b〜d)を挙げることができる。
Figure 2007043615
(式中、nは1以上の整数を意味する)
また、これらのチオール補助基(アルキレンチオール基、オキシアルキレンチオール基、メルカプトベンジル基)は置換基を有していてもよく、例えばN末端のアミノ基上に、置換基を有するアルキレンチオール基を有する2以上のアミノ酸残基からなるペプチドとしては、下式で示されるものを挙げることができる。
Figure 2007043615
なお、これらのペプチドを構成するアミノ酸は修飾されたものであってもよい。
当該ペプチドは、固相合成法など一般的なペプチド合成法や,また,組換え蛋白質を製造する手法にのっとって作成することができる。
これらのライゲーション用ペプチドフラグメント(2)およびライゲーション用アミノチオール化合物(3)は、ペプチドやタンパク質を合成するためのライゲーション試薬として、言い換えればペプチドやタンパク質を合成するための合成ブロックとして用いることができる。すなわち、本発明のライゲーション試薬((2)および(3))によれば、ライゲーション用ペプチドフラグメント(2)およびライゲーション用アミノチオール化合物(3)を各々合成ブロックとして、両者を互いにアミド結合させるライゲーションを行うことで、所望のペプチドやタンパク質を合成することができる。またかかるライゲーションを繰り返すことによって高分子のペプチドやタンパク質をも合成することが可能である。
(2)チオエステル化合物の製造方法、およびそれに用いる試薬
(2-1)チオエステル化合物の製造方法
本発明は、ペプチドエステルを用いたチオエステル化合物の製造方法に関する。当該方法は、原料として、前述の一般式(2):
Figure 2007043615
で示されるペプチドエステルを用いて、これをチオール化合物と反応させることによって行うことができる。またこれを自発的な反応により分子内でチオエステルを生成させることも可能である。
当該ペプチドエステル(2)において、Rはカルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基である。かかるアミノ酸としては、具体的にはプロリン、グリシン、および置換基を有するグリシンを挙げることができる。置換基を有するグリシンの例としては、制限されないが、例えばアルキル基を有するグリシンであるザルコシン(N-モノメチルグリシン)を挙げることができる。好ましくはプロリンおよびザルコシンであり、より好ましくはプロリンである。
上記アミノ酸の−OHと置換される基(−OH置換基)としては、−OH基に隣接するカルボニル基とともにエステル構造を形成する基を挙げることができる。制限されないが、かかる−OH置換基としては、具体的に−OCHCONHを挙げることができる。なお、アミノ酸の−OH基の置換方法は、前述(1)(1-1)の通りである。
としては、前述する、例えば- R2 -OCH2CONH2(例:-Pro-OCH2CONH2、-Sar-OCH2CONH2など)などのように、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を挙げることができるが、これに限定されず、上記アミノ酸残基を有する基であればよい。かかる基としては、上記のアミノ酸に−OH置換基を介して任意の基が結合してなるもの(「- R2 -OH置換基-Z」、 Zは任意の基を意味する)を挙げることができる。ここで、アミノ酸に−OH置換基を介して結合する基は任意であり、特に制限されないが、実施例5に示すように、アミノ酸残基を始め、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)やタンパク質またはこれらの誘導体が含まれる。
上記ペプチドエステル(2)において、Xはカルボキシル基(-COOH基)と結合してX−COOHを形成することができる基である。この限りにおいて特に制限されないが、例えば、X−COOHの例として、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸残基からなるペプチド(オリゴペプチド、ポリペプチドを含む)若しくはタンパク質を挙げることができる。
ここで修飾の態様は特に制限されないが、例えば、Xの一部が任意の基(例えば、アミノ酸の保護基、ヒドロキシル基、リン酸基、アルキル基、ホルミル基、アシル基、糖鎖、脂肪酸残基など)で置換されている態様、蛍光色素等の色素または安定若しくは放射性同位体などの標識剤で修飾されている態様などを挙げることができる。
Xの一部が任意の基で置換されている態様の例として、Xを構成するN末端のアミノ酸のアミノ基が保護基を有している態様を挙げることができる。この保護基としては、アミノ基保護基として公知のものをいずれも使用することができる。例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)、ベンジルオキシカルボニル基(Z基)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基(Z(OMe)基)、2−クロロベンジルオキシカルボニル基(Z(Cl)基)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル(Z(NO2)基)、p−フェニルアゾベンジルオキシカルボニル(Pz基)、t−ブトキシカルボニル(Boc基)、t−アミルオキシカルボニル基(Aoc基),Alloc基,Bismoc基,Msc基,Nvoc基,p−ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル基(Bpoc基)、ジイソプロピルメチルオキシカルボニル基(Dipmoc基)、シクロペンチルオキシカルボニル基(Poc基)、フォルミル基、トリフルオロアセチル基(Tfa基)、フタリル基(Pht基)、トシル基(Tos基)、o−ニトロフェニルスルフェニル基(Nps基)、アセチル基、ベンゾイル基、トリチル基(Trt基)、ジニトロフェニル基(Dnp基)などのアミノ保護基を挙げることができる。好ましくはBoc基およびFmoc基であり、より好ましくはFmoc基である。
またXの標識剤としては、アミノ酸やペプチドを標識することのできる従来公知の標識剤を広く挙げることができる。具体的には、色素(例えば蛍光色素、化学発光色素など)、安定または放射性同位体を含む化合物、金属インディケーターを含む金属キレーターなどを挙げることができる。なお、色素としてFITC、Alexa、BodipyまたはEosinなどの一般的な蛍光色素を例示することができる。
ペプチドエステル(2)の好適な例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONHで置換された3以上のアミノ酸残基からなるペプチドエステルを挙げることができる。また、他の例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONH−で置換され、さらに当該基にアミノ酸、または2以上のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合してなるペプチドエステルを挙げることができる。なお、ここで−OCHCONH−に結合するアミノ酸残基の数としては、制限されないが、1〜50程度を挙げることができる。システニル基に隣接するアミノ酸残基としては、前述するように、プロリル基、グリシル基、置換基を有するグリシル基(例えば、ザルコシル基)を挙げることができる。好ましくはプロリル基およびザルコシル基である。なお、当該ペプチドエステルは、N末端のアミノ酸残基のアミノ基がアミノ保護基(例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基))で保護されていてもよい。また、ペプチドエステルを構成する各アミノ酸は修飾されたものであってもよい。
かかるペプチドエステル(2)は、上記(1-1)に記載する方法で調製することができる(図1参照)。なお、ペプチドエステル(2)の調製に際して、アミノ基の保護基(例えば、Fmoc基など)は、後述するチオールとの反応に先だって除去することもできるが、これに制限されない。保護基の除去は定法に従って行うことができる。
上記ペプチドエステル(2)と反応させるチオール化合物としては、共役されていないメルカプタンまたは共役チオールを挙げることができる。具体的には下式
Figure 2007043615
で示されるチオール化合物を挙げることができる。
ここでRとして、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基、置換基を有していてもよいアルキレンスルホン酸基を挙げることができる。具体的には、エトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルエチル基、およびエトキシカルボニルメチル基などの置換基を有していてもよいアルキル基;フェニル基および4-トリメチルシリルフェニル基などの置換基を有していてもよいフェニル基;ベンジル基;エチレンスルホン酸基などの置換基を有していてもよいアルキレンスルホン酸基が例示される。
具体的なチオール化合物としては、上記R基に対応して、ベンジルメルカプタン、チオフェノール、1−チオ−2−ニトロフェノール、2−チオ安息香酸、4−チオ−2−ピリジンカルボン酸、4−チオ−2−ニトロピリジン、4-トリメチルシリルチオフェノール,2-メルカプトエタンスルホン酸、および3-メルカプトプロピオン酸エチルを挙げることができる。
反応条件は特に制限されない。例えば、反応溶液としては、ペプチドエステル(2)とチオール化合物とが溶解する溶液であれば特に制限されず、例えば、水、低級アルコール、フッ素化アルコール、多価アルコールまたはその他の極性溶媒、並びに非極性溶媒を用いることができる。具体的には、低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜6のアルコール;フッ素化アルコールとしてはトリフルオロアルコール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール等;多価アルコールとしては、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等;上記以外の極性溶媒としては、アセトンやエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル, 酢酸メチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、エチルエーテルやプロピルエーテル等のエーテル類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。非極性溶媒としては、トルエン等を挙げることができる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて使用することもできる。二種以上の組み合わせ例としては、低級アルコール、多価アルコールまたはそれ以外の極性溶媒と水との組み合わせを挙げることができる。好ましくは、水、低級アルコール(好ましくはエタノール)、アセトニトリル、または水と低級アルコールとの混合液(含水アルコール、好ましくは含水エタノール)、水とアセトニトリルとの混合液を挙げることができる。
これらの溶液のpHは特に制限されず、通常pH2〜10の範囲であればよい。緩衝剤などによって中性付近に調整されていることが好ましく、そのpH領域としては好ましくはpH6〜9、より好ましくはpH7〜8.5である。
反応温度も特に制限されないが、通常0〜100℃の範囲で行うことができる。好ましくは10〜60℃、より好ましくは20〜40℃である。なお、酸素を除去した条件下で反応を行うことが望ましい。また、反応に際して、P(CHCHCHOH)3やP(CHCHCOOH)3などのホスフィン類、グアニジン、尿素、脂質や界面活性剤などを共存させても良い。反応時間も特に制限されないが、通常2〜72時間を挙げることができる。なお、反応に際して、溶液を攪拌または振盪してもよい。
上記条件で、ペプチドエステル(2)とチオール化合物とを共存状態に置くことにより、下式(9)で示されるチオエステル化合物が生成する。
Figure 2007043615
(式中、XおよびRは前記の通りである)
斯くして得られるチオエステル化合物(9)は、最終的に高速液体クロマトグラフィーなどを用いて精製することによって高純度のものとして取得することができる。
以上、本発明のチオエステル化合物の製造方法は、上記ペプチドエステル(2)とチオール化合物とを上記の温和な条件に置くことによって実施することができる。あるいは自発的な反応により分子内でチオエステルを生成させることも可能である。拘束されないが、この反応の原理としては、ペプチドエステルが上記条件下で自然に速やかに分子内反応を起こしてチオエステルに変換され、これがチオール化合物のチオール基とチオール交換して、チオエステル化合物が生じるものと推測される。この一連の反応は、反応条件を変えることなく、また新たな操作を施すことなく、同一の反応系の中で自動的に生じる。
従来よりペプチドチオエステルは、長鎖ペプチドや環状ペプチドなどのペプチド合成の原料として汎用されているが、Fmoc法を用いては、その除去処理に使用する試薬によってチオールエステル結合が分解されてペプチド鎖を伸張させることができないという問題があった。これに対して上記本発明の方法を用いれば、例えば、下記の操作によって、上記の問題なくペプチドチオエステルを製造することができる。
(a)固相担体上にグリコール酸をアミド結合により担持し,ペプチドエステルを従来公知のFmoc法に従って製造する、
(b)必要であれば、上記で調製したペプチドエステルの保護基(Fmoc基)を定法に従って除去し、また必要であれば、アミノ酸側鎖保護基の除去処理または固相からの脱離処理を行い、遊離のペプチドエステル(2)を調製する、
(c)上記で調製したペプチドエステル(2)をチオール化合物と反応させて、ペプチドチオエステルを製造する。また自発的な反応により分子内でチオエステルを生成させることも可能である。
(2-2) チオエステル合成試薬
本発明はまた上記ペプチドチオエステルの合成に好適に使用することができる試薬を提供する。
本発明のペプチドチオエステル合成試薬として、上記ペプチドエステルに相当する下式(2)で示されるペプチドフラグメントを挙げることができる。
Figure 2007043615
当該ペプチドフラグメント(2)中、Rはカルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基である。かかるアミノ酸としては、具体的にはプロリン、および置換基を有するグリシン残基を挙げることができる。置換基を有するグリシン残基の例としては、制限されないが、例えばザルコシン(N-モノメチルグリシン)を挙げることができる。好ましくはプロリンおよびザルコシンであり、より好ましくはプロリンである。
上記アミノ酸の−OHと置換される基(−OH置換基)としては、−OH基に隣接するカルボニル基とともにエステル構造を形成する基を挙げることができる。制限されないが、かかる−OH置換基としては、具体的に−OCHCONHを挙げることができる。なお、アミノ酸の−OH基の置換方法は前述する通りである。
なお、Rは修飾されていてもよい。修飾の態様は特に制限されないが、好ましくはRが、直接または間接的(任意のリンカーを介して)に、固相担体に固定化されてなる態様を挙げることができる。固相としては、特に制限されないが、例えば前述する、ニトロセルロース、アガロースビーズ、修飾セルロース繊維、ポリプロピレン、ポリスチレン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの合成樹脂にチオール基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基,ハロゲンなどを導入したものなどを挙げることができる。
上記ペプチドエステル(2)において、X−CO−は、特に制限されないが、修飾されていてもよい、アミノ酸残基、2以上のアミノ酸からなるペプチド残基、またはタンパク質を挙げることができる。
修飾の態様は特に制限されないが、例えば、Xの一部が任意の基(例えば、アミノ酸の保護基、ヒドロキシル基、アルキル基、ホルミル基、アシル基、リン酸基、糖鎖、脂肪酸残基など)で置換されている態様、蛍光色素等の色素または安定若しくは放射性同位体などの標識剤で修飾されている態様などを挙げることができる。その詳細は(1-1)に記載の通りである。
ペプチドフラグメント(2)の好適な例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONHで置換された3以上のアミノ酸残基からなるペプチドエステルを挙げることができる。また、他の例として、式(2)中、-Cysで示されるシステニル基に隣接したアミノ酸残基の−OH基が−OCHCONH−で置換され、さらに当該基にアミノ酸、または2以上のアミノ酸残基からなるペプチド鎖が結合してなるペプチドエステルを挙げることができる。なお、ここで−OCHCONH−に結合するアミノ酸残基の数としては、制限されないが、1〜50程度を挙げることができる。システニル基に隣接するアミノ酸残基としては、前述するように、プロリル基、グリシル基、置換基を有するグリシル基(例えば、ザルコシル基)を挙げることができる。好ましくはプロリル基およびザルコシル基である。なお、当該ペプチドエステルは、N末端のアミノ酸残基のアミノ基がアミノ保護基(例えば9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基))で保護されていてもよい。また、ペプチドエステルを構成する各アミノ酸は修飾されたものであってもよい。
更に好ましいペプチドエステル(2)は、当該ペプチドフラグメントが、C末端が、直接または間接的(リンカーを介して)に、固相担体に結合してなる態様を有するものである。かかるペプチドエステル(2)は、上記(1-1)に記載する方法で調製することができる(図1参照)。
以下に、本発明の構成ならびに効果をより明確にするために、実施例を記載する。但し本発明は、これらの実施例に何ら影響されるものではない。
調製例1 Fmoc−His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH CONH の調製
HCl・MBHA(4-メチルベンズヒドリルアミン)樹脂(1.0 g, -NH: 0.63 mmol, ペプチド研究所)をNMP(N-メチルピロリドン)(10 mL)で3回洗浄し、5% DIEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)/ NMP (10 mL) で2分間、3回処理した。NMP(10 mL)で3回洗浄した後、NMP(8 mL)、グリコール酸(62 mg, 0.82 mmol)、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)・H2O(0.13 g, 0.82 mmol)、およびDIPCI(ジイソプロピルカルボジイミド)(0.13 mL, 0.82 mmol)を順次加え、4時間振盪した。NMP(10 mL)で3回洗浄した後、1 M DCC(N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド)/NMP(4.1 mL)と1 M HOBt・H2O/NMP(4.1 mL)を用いて30分間活性化したBoc-Pro(0.88 g, 4.1 mmol)を加え、さらにDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)(49 mg, 0.40 mmol)を加えて、19時間振盪した。NMP、DCM(ジクロロメタン)およびMeOHのそれぞれ8 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥し、Boc-Pro-OCH2CO-MBHA樹脂(1.05 g, Pro: 0.55 mmol/g)を得た。この樹脂0.49 gを用い、ペプチド自動合成機ABI433A型でBoc法(0.5 mmolスケール,DCC-HOBt)によって、保護ペプチド樹脂Fmoc-His(Trt)-Pro-Ile-Arg(Tos)-Gly-Cys(4-MeBzl)-Pro-OCH2CO-MBHA樹脂(0.733 g)を得た。この樹脂0.372 gを、1,4-ブタンジチオール(0.75 mL)とアニソール(0.75 mL)を含む無水HF溶液(10 mL)で氷冷下、1.5時間処理した後、HFを減圧留去した。得られた残渣をジエチルエーテル(10 mL)で3回洗浄した後、50%アセトニトリル/水に溶解させて、TOYOPAK ODS Mカートリッジ(東ソー)に通し、回収液を凍結乾燥して、0.109 gの粉末を得た。これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFA(トリフルオロ酢酸)を含むアセトニトリル水溶液を溶離液として、アセトニトリルのグラジエントで溶出した(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することによって、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH2CONH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を得た。収量並びに各種分析結果を下記に示す:
収量:42 mg(14%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1058.6(計算値:1058.5)
アミノ酸分析:Pro1.8Gly1CysndIle1.0His0.84Arg0.92
調製例2 Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 の調製
Fmoc-Rink Amide樹脂(2.0 g、-NH: 0.86 mmol, Novabiochem)をNMP(15 mL)で3回洗浄し、20% ピペリジン/NMP(20 mL)で5分間、5分間および10分間処理した。NMP(15 mL)で5回洗浄した後、NMP(15 mL)、グリコール酸(98 mg, 1.3 mmol)、HOBt・H2O(0.20 g, 1.3 mmol)、およびDIPCI(0.21 mL, 1.3 mmol)を順次加え、5時間振盪した。NMP(10 mL)で3回洗浄した後、0.45 M HBTU(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート)、0.45 M HOBtを含むDMF(ジメチルホルムアミド)(5.7 mL)およびDIEA(0.67 mL, 3.9 mmol)で2分間活性化したFmoc-Pro(0.87 g, 2.6 mmol)を加え、3時間振盪した。NMP(15 mL)で3回洗浄した後、10% 無水酢酸、5% DIEAを含むNMP溶液(20 mL)で10分間処理した。次いで、NMP、DCMおよびMeOHのそれぞれ20 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥し、Fmoc-Pro-OCH2CO-Rink Amide樹脂(2.1 g, Fmoc: 0.17 mmol/g)を得た。この樹脂0.34 gを用い、自動合成機ACT440Ω型でFmoc法(0.1 mmolスケール、DIPCI-HOBt)によって、保護ペプチド樹脂Fmoc-His(Trt)-Pro-Ile-Arg(Pmc)-Ala-Cys(Trt)-Pro-OCH2CO-Rink Amide樹脂(0.41 g)を得た。なお、Ala-Cys残基は、Fmoc-Ala-Cys(Trt)-OHをDIPCI-HOObt(3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン)による活性化で導入した。この樹脂0.205 gを、5%水、5%フェノールおよび2%トリイソプロピルシランを含むTFA溶液(4 mL)で2時間処理した後,冷エーテルを加え、沈殿させた。沈殿物をジエチルエーテル(10 mL)で3回洗浄した後、50%アセトニトリル/水に溶解させ、TOYOPAK ODS Mカートリッジ(東ソー)に通した後、凍結乾燥し、30 mgの粉末を得た。これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm) に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液として、アセトニトリルのグラジエントで溶出した(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することによって、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を得た。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:19 mg(42%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1072.8(計算値:1072.5)
アミノ酸分析:Pro1.8Ala1.1CysndIle1.2His0.93Arg1
調製例3 Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 の調製
調製例2(Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2)と同様にして標記化合物を調製した。ただし、Leu-Cys残基の導入は、調製例2におけるFmoc-Ala-Cys(Trt)-OHを用いたAla-Cys残基の導入に代えて、Fmoc-Leu-Cys(4-MeOBzl)-OHを用いて行い、最後に、1,4‐ブタンジチオール(7.5%)とアニソール(7.5%)を含む無水HFを用いて脱処理することによって実施した。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:11 mg (18%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1115.9 (計算値:1114.6)
アミノ酸分析:Pro1.9CysndIle0.92Leu1His0.83Arg0.93
調製例4 Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 の調製
調製例2(Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2)と同様にして標記化合物を調製した。ただし,調製例2におけるFmoc-Ala-Cys(Trt)-OHを用いたAla-Cys残基の導入に代えて、Fmoc-Val-Cys(Trt)-OHを用いてVal-Cys配列を導入した。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量: 18 mg (20%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1100.9 (計算値: 1100.5)
アミノ酸分析:Pro2.0CysndVal1Ile0.94His0.84Arg0.94
調製例5 Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH 2 CO-Gly-NH 2 の調製
Fmoc-Rink Amide樹脂にFmoc-Gly-OHを導入後、調製例2(Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2)と同様にして標記化合物を調製した。具体的には、Fmoc-Rink Amide樹脂にFmoc-Gly-OHを導入した後、調製例2に記載する方法に従って、Fmoc-Pro-OCH2CO-Gly-Rink Amide樹脂を調製し、この樹脂を用いて、Fmoc-Ala-Cys(Trt)-OHの代わりに、Fmoc-Gly-Cys(Trt)-OHを用いて、自動合成機ACT440Ω型でFmoc法(0.1 mmolスケール、DIPCI-HOBt)に従って、保護ペプチド樹脂Fmoc-His(Trt)-Pro-Ile-Arg(Pmc)-Gly-Cys(Trt)-Pro-OCH2CO-Gly-Rink Amide樹脂を得た。次いでこれを調製例2に記載する方法に従って脱保護処理してFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH2CO-Gly-NH2を得た。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:1.6 mg (1.1%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1115.9 (計算値:1115.5)
アミノ酸分析:Pro2.2Gly2CysndIle1.1His0.92Arg0.98
調製例6 Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Sar-OCH 2 CONH 2 の調製
Fmoc-Pro-OHの代わりにFmoc-Sar-OHを、またFmoc-Ala-Cys(Trt)-OHの代わりに、Fmoc-Gly-Cys(Trt)-OHを用いて、調製例2(Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2)と同様にして標記化合物を調製した。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:0.8 mg (0.6%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1032.9 (計算値:1033.2)
アミノ酸分析:Pro0.96Gly0.89CysndIle1His0.88Arg1.0
調製例7 Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-SCH 2 CH 2 CO-Leu-NH 2 の調製
文献記載の方法(T. Kawakami, S. Kogure, S. Aimoto, Bull. Chem. Soc. Jpn., 69, 3331 (1996))を用いて標記化合物を調製した。MBHA樹脂よりBoc化アミノ酸誘導体を用いて、自動合成機ABI433A型で、保護ペプチドBoc-Leu-Lys(Cl-Z)-Asn-Thr(Bzl)-Ser(Bzl)-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-SCH2CH2CO-Leu-MBHA樹脂を合成取得し、HFで脱保護処理した後、逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)で精製した。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:48 mg (48%)
質量分析:MALDI-TOF) m/z 1174.4 (計算値:1173.7)
アミノ酸分析:Asp1.0Thr0.96Ser0.90Gly1.0Ala2.0Val0.99Leu3Lys0.95
調製例8 Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
標準的なFmoc法に従って標記化合物を合成し、逆相HPLCで精製した。収量および各種分析結果を下記に示す:
質量分析:ESI m/z 632.3(計算値:632.3)
アミノ酸分析:Asp1.0Gly1.0CysndIle1.0Leu2
調製例9 (Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH 2 の調製
Fmoc-Rink Amide樹脂(0.25 g、-NH:0.43 mmol/g, Novabiochem)を用い、自動合成機ACT440Ω型でFmoc法(0.1 mmolスケール,DIPCI-HOBt)によって、保護ペプチド樹脂Leu-Asp(OtBu)-Val-Lys(Boc)-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Rink Amide樹脂を得た。これに、ブロモ酢酸(0.13 g, 0.95 mmol)とDIPCI(74 mL, 0.47 mmol)をNMP(2.0 mL)で30分間反応させた溶液を加え、1時間振盪した。NMP(3 mL)で5回洗浄した後、S-トリチル-2-メルカプト(2-ニトロフェニル)エチルアミン(Mnpe(Trt)-NH2)(0.22 g, 0.50 mmol)のDMF溶液(0.6 mL)を加え、8時間振盪した。これにDIEA(44μL, 0.25 mmol)を加え、さらに24時間振盪した。NMP、DCMおよびMeOHのそれぞれ3 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥して、(Mnpe)Gly-Leu-Asp(OtBu)-Val-Lys(Boc)-Thr(tBu)-Ser(tBu)-Rink Amide樹脂(0.37 g)を得た。この樹脂0.156 gを、5%水、5%フェノール、および2%トリイソプロピルシランを含むTFA溶液(4 mL)で2時間処理した後、冷エーテルを加えて沈殿させた。沈殿物をジエチルエーテル(10 mL)で3回洗浄した後、50%アセトニトリル/水に溶解させ、これをTOYOPAK ODS Mカートリッジ(東ソー)に通し、次いで回収液を凍結乾燥して41mgの粉末を得た。これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm) に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液として、アセトニトリルのグラジエントで溶出した(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することによって、(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を得た。なお、(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2は、Mnpe基の不斉によりジアステレオマーとして2つの画分(a,b)に分離された。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:21 mg(32%)(a:10 mg,b:11 mg)
質量分析:ESI m/z 899.5(計算値:899.0)
アミノ酸分析:Asp1Thr1.0Ser0.95GlyndVal0.95Leu1.1Lys0.97
調製例10 Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH 2 CONH 2 の調製
調製例3(Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH2CONH2)の方法に準じて標記化合物を調製した。具体的には、調製例3に記載する方法にならい、続けてFmoc基を除去した後、Fmoc-Cys(Trt)-OHを導入、さらに、Fmoc基を除去してH-Cys(Trt)-His(Trt)-Pro-Ile-Arg(Pmc)-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH2CO-Rink Amide樹脂を取得し、これをTFA溶液で処理して標記ペプチドを取り出した。収量および各種分析結果を下記に示す:
収量:16 mg (23%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 1116.5 (計算値:1115.6)
アミノ酸分析:Pro2.0CysndIle0.93Leu1His0.98Arg0.92
実施例1
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例1)とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 (調製例8)の反応による、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の合成(図3参照)
調製例1で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH2CONH2(1.0 mg, 0.70μmol)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(1.0 mg,1.2μmol)に、20 mM THP(トリスヒドロキシプロピルホスフィン)および6 M Gdn(グアニジン)を含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.15 mLを加え、さらにアセトニトリル0.05 mLを加えて、室温(25℃)にて24時間攪拌した。反応の進行は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(固定相:逆相カラムYMC PACK ProC18 (4.6 x 150 mm)、移動相: 0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液、アセトニトリルのグラジエント溶出、流速:流速1.0 mL/分、検出:220 nmの吸光度検出)および質量分析により追跡した(以下の実施例において同じ)。
得られた反応液に酢酸(50μL)を加え、逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm) にかけて、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:0.7 mg(0.37μmol, 52%))。
これを下記の分析に供して、確かにFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1414.9(計算値:1414.7)
アミノ酸分析:Asp0.99Pro0.94Gly2.0CysndIle1.9Leu2His0.84Arg0.92
図3の右上に原料として使用したFmoc−His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCHCONH(Rt.:18.40min)(調製例1)とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH(Rt.:8.76min)(調製例8)のクロマトグラムを、また図3の右下に、生成したFmoc−His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH(Rt.:23.82min)のクロマトグラムを示す。
実施例2
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例2)とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 (調製例8)の反応による、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の合成
調製例2で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2(2.0 mg,1.3μmol)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(1.8 mg,2.1μmol)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.30 mLを加えて、24時間攪拌した。反応の進行は実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液にジチオステイトール(DTT)5 mgと酢酸0.1 mLを加えた後、逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)にかけて、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:1.6 mg(0.71μmol, 56%))。
これを下記の分析に供して、確かにFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1428.8(計算値:1428.7)
アミノ酸分析:Asp1.0Pro0.98Gly1Ala1.1Cys0.85Ile1.9Leu2.1His0.84Arg0.96
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
実施例3
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例3)とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 (調製例8)の反応によるFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
調製例3で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH2CONH2(2.2 mg,1.5μmol)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(2.4 mg,2.8μmol)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.30 mLを加え、24時間攪拌した。反応の進行は、実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液にDTT(8 mg)と酢酸(0.2 mL)を加え、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:1.8 mg(0.79μmol, 54%))。
この画分を下記の分析に供して、確かにFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1469.7(計算値:1470.8)
アミノ酸分析:Asp1.0Pro1.1Gly1.1CysndIle1.9Leu3His0.84Arg0.95
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
実施例4
(1)Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の反応によるFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
調製例4で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Pro-OCH2CONH2(0.9 mg,0.57μmol)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(1.1 mg,1.2μmol)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.13 mLを加えて、24時間攪拌した。反応の進行は、実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液に、DTT(3 mg)と酢酸(0.1 mL)を加えて、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:1.8 mg(0.79μmol, 54%))。
この画分を下記の分析に供して、確かにFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1456.3(計算値:1456.8)
アミノ酸分析:Asp0.99ProndGly1CysndVal1.0Ile1.9Leu2.1His0.82Arg0.94
別途,通常のFmoc固相合成法によりFmoc-His-Pro-Ile-Arg-D-Val-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を調製し、HPLCにより縮合部位でのVal残基のラセミ化を検定したところ,2.5%以下であった。
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
(2)
Figure 2007043615
およびFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
調製例4で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Pro-OCH2CONH2(0.70 mg)を20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.10 mLに溶解させて、24時間攪拌した。反応の進行は、実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液に、酢酸(0.1 mL)を加えて、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、表記の化合物を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:0.3 mg)。
この画分を下記の分析に供して、確かに表記化合物が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1025.8(計算値:1025.5)。
また、表記化合物(0.10 mg)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(0.14 mg)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)30μLを加えて、24時間攪拌したところ、HPLCおよび質量分析によってFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Val-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2が生成していることを確認した。
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
実施例5
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH 2 CO-Gly-NH 2 (調製例5)とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 (調製例8)の反応によるFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
調製例5で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH2CO-Gly-NH2(0.16 mg,0.081μmol)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(0.24 mg,0.30μmol)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.030 mLを加え、24時間攪拌した。
得られた反応液に、DTT(1 mg)と酢酸(0.02 mL)を加え、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:0.030μmol(37%))。
実施例6
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Sar-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例6)とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 (調製例8)の反応によるFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
調製例6で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Glyl-Cys-Sar-OCH2CONH2(0.15 mg,0.094μmol)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(0.25 mg, 0.29μmol)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.030 mLを加え、24時間攪拌した。
得られた反応液にDTT(1 mg)と酢酸(0.02 mL)を加え、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm) に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントにより溶出させた。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:0.026μmol(28%))。
上記実施例1〜6における、第1セグメントとしてシステニルプロリルエステル(CPE)を用いたペプチドライゲーション反応およびその反応収率を纏めた結果を表に示す。
Figure 2007043615
実施例7
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例1)と(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH 2 (調製例9)の反応による、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH 2 の合成
調製例1で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Cys-Pro-OCH2CONH2(0.15 mg,0.105μmol)と調製例9で調製した(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2(0.15 mg,0.096μmol)に、50 mM 4-トリメチルシリルチオフェノールおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.020 mLを加え、24時間攪拌した。反応の進行は、実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液に、DTT(ジチオスレイトール)2 mgおよび酢酸0.005 mLを加えた後、逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)にかけて、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2を含む画分を集め、凍結乾燥により白色粉末として得た(収量:0.009μmol, 9.5%)。
この画分を下記の分析に供して、確かに
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1681.8(計算値:1682.9)
アミノ酸分析:Asp1.1Thr0.99Ser0.92Pro1.3Gly1.5Val0.54Ile1.2Leu2.0Lys1His1.1Arg1.2
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
実施例8
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH 2 の合成
実施例3で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-(Mnpe)Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2(痕跡量)をガラス試験管に取り、6 M Gdnを含む0.10 Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.4)0.05 mLに溶かし、Handheld Lamp UVL-56 (6 W, UVP) により、365 nmの紫外線を30分間照射した。これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (4.6 x 250 mm)に供し、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出した(流速1.0 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することによりFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Gly-Gly-Leu-Asp-Val-Lys-Thr-Ser-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1501.1(計算値:1500.8)。
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
実施例9
(1)Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-SCH 2 CH 2 CO-Leu-NH 2 (調製例7)とCys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例10)の反応による、Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH 2 CONH 2 の調製
調製例7で調製したLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-SCH2CH2CO-Leu-NH2(4.3 mg,2.7μmol)と調製例10で調製したCys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH2CONH2(3.6 mg,2.3μmol)に、2% 4-トリメチルシリルチオフェノールおよび6 M Gdnを含む0.10 Mリン酸ナトリウム(pH 7.2)0.60 mLを加え、24時間攪拌した。反応の進行は、実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液にDTT(10 mg)と酢酸(0.4 mL)を加え、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH2CONH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:5.1 mg(1.8μmol, 78%))。
この画分を下記の分析に供して、確かにLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH2CONH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 2070.0(計算値:2070.1)
アミノ酸分析:Asp1.0Thr0.96Ser0.90Pro2.0Gly1Ala2.0CysndVal1.0Ile0.94Leu3.0Lys0.97His1.0Arg0.96
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
(2)Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 の調製
上記(1)で調製したLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys(4-MeOBzl)-Pro-OCH2CONH2(2.5 mg,0.87μmol)をチオアニソール(0.047 mL)を含むTFA溶液(0.32 mL)に溶かし氷冷した後、トリフルオロメタンスルホン酸(0.036 mL)を加えて、氷冷下で1時間反応させた。反応後、冷ジエチルエーテル5 mLを加え、生じた沈殿を遠心分離により集めた。さらに、回収した沈殿物をジエチルエーテル(5 mL)で2回洗浄した後、50%アセトニトリル/水に溶解させて、次いでこれを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:2.5 mg)。
これを下記の分析に供して、Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH2CONH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 1949.9(計算値:1950.0)。
Figure 2007043615
(3)Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 とCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 (調製例8)の反応によるLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH 2 の調製
上記(2)で調製したLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Pro-OCH2CONH2(2.5 mg)と調製例8で調製したCys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2(1.4 mg, 1.7μmol)に、20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.20 mLを加え、24時間攪拌した。反応の進行は、実施例1と同様にHPLCおよび質量分析により追跡した。
得られた反応液にDTT(8 mg)と酢酸(0.1 mL)を加え、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm) に供し、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Leu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した(収量:0.9 mg(0.31μmol, 36%))。
この画分を下記の分析に供して、確かにLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Ala-Cys-His-Pro-Ile-Arg-Leu-Cys-Asp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2が生成していることを確認した:
質量分析:MALDI-TOF m/z 2306.2(計算値:2306.3)
アミノ酸分析:Asp2.0Thr0.95Ser0.89Pro0.98Gly2Ala2.0CysndVal0.96Ile1.89Leu4.9Lys0.98His2.0Arg0.91
下式にこの反応スキームを示す。
Figure 2007043615
上記実施例9(1)〜(3)の反応ステップの模式図を図4に示す。図4中、peptide1はLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Alaを、peptide2はHis-Pro-Ile-Arg-Leuを、またpeptide3はAsp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を意味する。また、Rは-CH2CH2CO-Leu-NH2、Rは-CH2C6H4OCH3-p、およびRは-CH2CONH2を意味する。
実施例10 チオエステル化合物の製造
Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH 2 CONH 2 (調製例2)を原料としたFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-SCH 2 CH 2 CO 2 Etの合成
調製例2で調製したFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-Cys-Pro-OCH2CONH2(0.78 mg,0.48μmol)に、50 mM 3-メルカプトプロピオン酸エチルおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.12 mLを加えて攪拌した。反応の進行は実施例1と同様に質量分析により追跡した。
反応24時間後に、反応液にTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)塩酸塩(6 mg)を加え、これを逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm)に供して、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液としてアセトニトリルのグラジエントで溶出させた(流速2.5 mL/分)。220 nmの吸光度を検出することにより、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-SCH2CH2CO2Etを含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を取得した:
収量:0.2 mg(0.20μmol, 41%)
質量分析:MALDI-TOF m/z 931.7(計算値:931.5)
アミノ酸分析:Pro0.96Ala1Ile1.1His0.89Arg0.93
実施例11 固相担体を用いたFmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-SCH 2 CH 2 CO 2 Etの合成
HCl・aminomethyl ChemMatrix 樹脂(1.0 g, -NH:0.73 mmol, matrix innovation)をNMP(10 mL)で3回洗浄し、5% DIEA / NMP (10 mL) で2分間、3回処理した。NMP(10 mL)で3回洗浄した後、NMP(8 mL)、Fmoc-β-Ala(0.47 g, 1.5 mmol)、HOBt・H2O(0.23 g, 1.5 mmol)、およびDIPCI(0.24 mL, 1.5 mmol)を順次加え、3時間振盪した。NMP(10 mL)で3回洗浄した後、10% 無水酢酸と5% DIEAを含むNMP溶液(10 mL)で10分間処理した後、NMP(10 mL)で3回洗浄した。20%ピペリジン/NMP (10 mL) で5分、10分および10分処理した後、NMP(10 mL)で5回洗浄した。ついで、NMP(8 mL)、グリコール酸(0.12 g, 1.5 mmol)、HOBt・H2O(0.23 g, 1.5 mmol)、およびDIPCI(0.24 mL, 1.5 mmol)を順次加え、2時間振盪した。NMP(10 mL)で5回洗浄した後、DMF (8 mL)、HBTU(1.1 g, 3.0 mmol)およびDIEA(0.70 mL, 4.0 mmol)で2分間活性化したFmoc-Pro(1.1 g, 3.0 mmol)を加え、15時間振盪した。NMPおよびMeOHのそれぞれ10 mLで5回洗浄した後、減圧乾燥し、Fmoc-Pro-OCH2CO-β-Ala-NH-樹脂(0.97 g)を得た。このうち0.45 g の樹脂をNMP(6 mL)で3回洗浄した後、10% 無水酢酸と5% DIEAを含むNMP溶液(6 mL)で10分間処理した後、NMP(6 mL)で3回洗浄した。25%ピペリジン/NMP (8 mL) で5分、10分および10分処理した後、NMP(6 mL)で5回洗浄した。NMP(3 mL)、Fmoc-Ala-Cys(Trt)(0.41 g, 0.60 mmol)、HOObt(98 mg, 0.60 mmol)、およびDIPCI(0.093 mL,0.60 mmol)を順次加え、14時間振盪した。NMP(6 mL)で3回洗浄した後、10% 無水酢酸および5% DIEAを含むNMP溶液(6 mL)で10分間処理した後、NMPおよびMeOHのそれぞれ6 mLで3回洗浄した後、減圧乾燥し、Fmoc-Ala-Cys(Trt)-Pro-OCH2CO-β-Ala-NH-樹脂(0.50 g, Fmoc:0.35 mmol/g)を得た。この樹脂0.15 gを用い、自動合成機ACT440Ω型でFmoc法(0.1 mmolスケール、DIPCI-HOBt)によって、保護ペプチド樹脂Fmoc-His(Trt)-Pro-Ile-Arg(Pmc)-Ala-Cys(Trt)-Pro-OCH2CO-β-Ala-NH-樹脂(0.18 g)を得た。
この樹脂9.8 mgを、5%水、5%フェノール、および2%トリイソプロピルシランを含むTFA溶液(0.5 mL)で2時間処理した後、エーテル4 mLで3回洗浄した。この樹脂に20 mM THPおよび6 M Gdnを含む0.10 Mトリシン緩衝液(pH 8.2)0.45 mLを加え、さらに3-メルカプトプロピオン酸エチル (0.050 mL) を加えて24時間攪拌した。この溶液に酢酸0.25 mL を加え,逆相カラムYMC PACK ProC18 (10 x 250 mm) にかけて、0.1% TFAを含むアセトニトリル水溶液を溶離液として、流速1.0 mL/分で,アセトニトリルのグラジエントで溶出し、220 nmの吸光度により検出し、Fmoc-His-Pro-Ile-Arg-Ala-SCH2CH2CO2Etを含む画分を集め、これを凍結乾燥して白色粉末を得た。収量を下記に示す:
収量:0.26 μmol(9.3%)。
図5にこの反応スキームを示す。
本発明のライゲーション方法およびチオエステル化合物の製造に使用するペプチドエステルの製造方法を示す模式図である。 本発明のライゲーション方法の一例を示す図である。 実施例1の反応スキームと出発原料と生成物のクロマトグラムを示す図である。 実施例9(1)〜(3)の反応ステップの模式図を示す。図中、peptide1はLeu-Lys-Asn-Thr-Ser-Val-Leu-Gly-Ala-Alaを、peptide2はHis-Pro-Ile-Arg-Leuを、またpeptide3はAsp-Ile-Leu-Leu-Gly-NH2を意味する。また、Rは-CH2CH2CO-Leu-NH2、Rは-CH2C6H4OCH3-p、およびRは-CH2CONH2を意味する。 実施例11におけるペプチドチオエステル化合物の製造方法を示す模式図である。

Claims (17)

  1. 一般式(1):
    Figure 2007043615
    (式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成しえる基;Yは水素原子、または少なくとも炭素原子を1以上含む基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基;Rは水素原子または少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。)
    で示される化合物を製造する方法であって、
    (a):一般式(2)
    Figure 2007043615
    (式中、Xは前記と同一;Cysはシステイン残基、Rは、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を有する基を示す。)
    で示される化合物と、
    一般式(3)
    Figure 2007043615
    (式中、Y、RおよびRは前記と同一。但し、RとRのいずれか一方はチオール基を有する基である。)
    で示されるチオール化合物とを反応させて、上記化合物(2)のカルボニル基とチオール化合物(3)のアミノ基またはイミノ基をアミド結合させる工程を有する方法。
  2. 一般式(1’):
    Figure 2007043615
    (式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成しえる基;Yは水素原子、または少なくとも炭素原子を1以上含む基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基を示す。)
    で示される化合物を製造する請求項1に記載する方法であって、
    (b):上記(a)工程で得られた下式:
    Figure 2007043615
    (式中、X、YおよびRは前記の通り。R’は少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。)
    で示される化合物(1”)に対して、さらにR’の脱離処理を行う工程を有する方法。
  3. 一般式(4):
    Figure 2007043615
    (式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Rは隣接カルボニル基とともにエステル構造を形成する基を示す。)
    で示されるシステニルプロリルエステル化合物を、
    一般式(5)
    Figure 2007043615
    (式中、Yは水素原子、または少なくとも炭素原子を1以上含む基である。)
    で示されるチオール化合物と反応させて、上記化合物(4)のXに隣接したカルボニル基とチオール化合物(5)のアミノ基をアミド結合させて、
    一般式(6):
    Figure 2007043615
    (式中、XおよびYは上記と同じ。)
    で示される化合物を製造する、請求項1記載の方法。
  4. (a):一般式(4):
    Figure 2007043615
    (式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Rは隣接カルボニル基とともにエステル構造を形成する基を示す。)
    で示されるシステニルプロリルエステル化合物を、
    一般式(7)
    Figure 2007043615
    (式中、Yは水素原子または少なくとも炭素原子を1以上含む基;Rは水素原子または少なくとも1つの炭素原子を含む基;A−SHは、置換基を有していてもよい、少なくとも2つの炭素を有するアルキレンチオール基、少なくとも2つの炭素を有するオキシアルキレンチオール基、またはメルカプトベンジル基を示す。)
    で示されるチオール化合物と反応させて、上記化合物(4)のXに隣接したカルボニル基とチオール化合物(7)のイミノ基をアミド結合させて、
    一般式(8):
    Figure 2007043615
    (式中、X、Y、Rおよび−A−SHは上記と同じ。)
    で示される化合物を製造する工程、および
    (b):次いで、上記化合物(8)から−A−SH基を除去して、
    一般式(1’):
    Figure 2007043615
    (式中、X、YおよびRは上記と同じ。)
    で示される化合物を製造する工程を有する、請求項2に記載する方法。
  5. 一般式(1)で示される化合物および一般式(2)で示される化合物が、これらの式中「X−CO−」で示される基として、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基を有するものである、請求項1に記載する方法。
  6. 一般式(1)で示される化合物および一般式(3)で示される化合物が、これらの式中「Y」で示される基として、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基を有するものである、請求項1に記載する方法。
  7. 一般式(2)
    Figure 2007043615
    (式中、X−CO−は、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Cysはシステイン残基、Rは、修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)
    で示されるライゲーション用ペプチドエステル。
  8. 一般式(2)中、X−CO−が、N末端のアミノ酸のアミノ基に保護基を有する、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Rが直接または間接的に固相担体に結合して固定化されてなるものである、請求項7記載のライゲーション用ペプチドエステル。
  9. 請求項7に記載するライゲーション用ペプチドエステルを含む、ペプチドライゲーション用試薬。
  10. 請求項7に記載するライゲーション用ペプチドエステルを少なくとも1つ含む、ペプチドまたはタンパク質の合成キット。
  11. さらに、一般式(3)
    Figure 2007043615
    (式中、Yは、アミノ基がカルボニル基と結合してなるアミノ酸、N末端のアミノ酸のアミノ基がカルボニル基と結合してなる2以上のアミノ酸残基からなるペプチドまたはタンパク質の残基;Rは水素原子、少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基、または少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有しない基;Rは水素原子または少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基を示す。但し、RとRのいずれか一方はチオール基を有する基である。)
    で示されるアミノチオール化合物を含有する、請求項10に記載するペプチドまたはタンパク質の合成キット。
  12. 上記Rで示される「少なくとも1つの炭素原子を含むチオール基を有する基」が炭素数1〜3のアルキレンチオール基であり、Rで示される「少なくとも2以上の連続した炭素原子を含むチオール基を有する基」が、置換基を有していてもよい炭素数2〜3のアルキレンチオール若しくはオキシアルキレンチオール基、または置換基を有していてもよいメルカプトベンジル基である、請求項11に記載するペプチドまたはタンパク質の合成キット。
  13. 一般式(2)
    Figure 2007043615
    (式中、Xはカルボキシル基と結合してX-COOHを形成し得る基;Cysはシステイン残基、Rは、修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)
    で示される化合物を、チオール化合物(R−SH)と反応させる工程を有する、
    下式(9)
    Figure 2007043615
    (式中、Xは前記と同一;Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいベンジル基、または置換基を有していてもよいアルキレンスルホン酸基を示す。)
    で示されるチオエステル化合物の製造方法。
  14. 一般式(2)
    Figure 2007043615
    (式中、X−CO−は、修飾されていてもよい、アミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Cysはシステイン残基、Rは修飾されていてもよい、カルボキシル基の−OHが置換されたアミノ酸残基を示す。)
    で示されるペプチドフラグメントを含むチオエステル合成試薬。
  15. 一般式(2)中、X−CO−は、修飾されていてもよいアミノ酸、2以上のアミノ酸からなるペプチド、またはタンパク質の残基であり、Rが直接または間接的に固相担体に結合して固定化されてなるものである、請求項14記載のチオエステル合成試薬。
  16. 請求項14に記載するペプチドフラグメントを少なくとも1つ含む、ペプチドチオエステル合成キット。
  17. さらにチオール化合物(R−SH)を含む、請求項16に記載するペプチドチオエステル合成キット。
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