JPH06157593A - 環状ペプチドの製造方法 - Google Patents

環状ペプチドの製造方法

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JPH06157593A
JPH06157593A JP4339821A JP33982192A JPH06157593A JP H06157593 A JPH06157593 A JP H06157593A JP 4339821 A JP4339821 A JP 4339821A JP 33982192 A JP33982192 A JP 33982192A JP H06157593 A JPH06157593 A JP H06157593A
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peptide
ser
leu
resin
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JP4339821A
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Takashi Inoue
孝 井上
Hitoshi Kimura
仁 木村
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 環状ペプチド、特にカルシトニン誘導体であ
るエルカトニンを収率よく製造する。 【構成】 下記式(I)で表される開環ペプチド−樹脂
を、蛋白分解酵素を用いることなく、固相反応樹脂上で
環化反応に供し、環化したペプチドを樹脂から脱離さ
せ、環状ペプチドを得る。 B−Asu[−A]−X−Resin (I) (式中、Asuはα−L−アミノスベリン酸残基を示
し、A及びBは環化反応によりAsn−Leu−Ser
−Thrを形成する。但し、AはAsuの側鎖カルボキ
シル基に結合したアミノ酸残基またはペプチド残基を示
す。XはResin に対する直接結合、アミノ酸残基又はペ
プチド残基、Resin は固相反応樹脂を示す)Asuの側
鎖カルボキシル基にアミノ酸又はペプチド残基が縮合し
たペプチドを、固相法により環化させると、ラセミ化を
抑制しつつ、高い環化収率で環状ペプチドが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成カルシトニン誘導
体(エルカトニン)などの環状ペプチドの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】強力な血清カルシウムおよびリン低下、
骨形成促進作用および骨吸収抑制作用、尿中リン排泄促
進作用などの優れた薬理作用を有するポリペプチドとし
て、カルシトニンが知られている。カルシトニンは、ヒ
トなどの各種哺乳動物の甲状腺や、魚類、円口類、鳥類
の鰓後体から抽出採取され、そのアミノ酸の一次配列が
明らかにされている。この配列に基づき類似構造の合成
カルシトニンも多く報告されている。
【0003】これら動物由来カルシトニンは、いずれも
32個の構成アミノ酸からなるポリペプチドであって、
その1番目と7番目のアミノ酸がL−システインであ
り、両者のメルカプト基がジスルフィド結合を形成し、
カルボキシル末端がプロリンアミドである点で全て共通
している。
【0004】これらの天然型カルシトニンは、分子内に
ジスルフィド結合を有するため、溶液中での安定性が十
分でない。そこで、合成カルシトニンとして、1番目及
び7番目のL−システインを、 2NHCH[−(C
2 5 COOH]COOHで示されるα−L−アミノ
スベリン酸Asuで置換するポリペプチドの製造法が知
られている。
【0005】この方法では、次式: H−Ser−Asn−Leu−Ser−Thr−NHCH[−(CH2 5 C OOH]CO−X (式中、Xは、水酸基、カルボキシル基の保護基、カル
シトニンに相当するアミノ酸残基又はくはペプチド残基
を表し、各アミノ酸残基は保護基で保護されていてもよ
い)で示されるペプチドを液相中で環化反応に付し、各
フラグメントを液相中で更にカップリング(以下、「液
相合成法」という。)させることにより、目的とするカ
ルシトニン誘導体を合成している(特公昭53−416
77号公報、特開昭63−203699号公報、特開平
2−286697号公報)。
【0006】特公昭57−61730号公報、特開昭6
1−112099号公報、特開昭62−129297号
公報、特開昭63−258490号公報には、環状部の
構成アミノ酸が異なるものの、前記と同様に、カルシト
ニンアナログを液相合成法により製造する方法が開示さ
れている。
【0007】しかし、これらの方法では、アミノ酸の数
が増すにつれて、ペプチドの溶解度が微妙に変化するの
で、適当な溶媒を見出すのが次第に困難となる。また、
このことに起因して、目的とするポリペプチドと、未反
応物や副生成物との分離の困難さも増大する。特に、環
化反応では、分子間の二量化や三量化などの多量化が生
じ易いので、副反応物の生成を極力押さえる必要があ
る。また、副反応を抑制するためには、極めて低い濃度
でペプチドを環化反応に供する必要がある。従って、液
相合成法による従来の合成カルシトニン誘導体の製造方
法は、収率が低く、工業的に十分満足できる製法とは言
い難い。
【0008】特表昭63−502343号公報には、環
状部のアミノ酸が異なるアミノ酸で構成されたカルシト
ニンアナログを液相合成法により環化し、環状ペプチド
とペプチド残基とを、固相合成法により縮合させる方法
が開示されている。
【0009】さらに、国際公開番号WO/90/128
09には、固相樹脂にC端側から順次アミノ酸を結合し
た後、環化し、環状ペプチドを樹脂から脱離させるカル
シトニンアナログの製造方法が記載されている。
【0010】これらの先行文献は、いずれもSer1
Asu6 との間でペプチドを縮合環化する。しかし、S
er1 とAsu6 との間でペプチドを環化すると、環化
収率がさほど向上しない。
【0011】特開平2−219589号公報には、Le
3 とSer4 との間が解裂したペプチドフラグメント
を、蛋白分解酵素を用いて、液相合成法や固相合成法に
より環化させてカシトニンアナログを製造する方法が開
示されている。しかし、蛋白分解酵素を用いても、環化
収率がさほど向上しない。
【0012】本出願人は、国際公開番号WO/91/0
7433において、開環したペプチドフラグメントのう
ちSer1 とAsu6 との間を除く他の部位で液相中で
環化させることにより、カルシトニンアナログを製造す
る方法について提案した。この方法では、環状ペプチド
を高い環化収率で製造できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環状
ペプチド、特にカルシトニン誘導体であるエルカトニン
をさらに収率よく製造でき、工業的に有用な環状ペプチ
ド又はその酸付加塩もしくは錯体の製造方法を提供する
ことにある。
【0014】
【発明の構成】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭
意検討した結果、(1)α−L−アミノスベリン酸As
uの少なくとも側鎖カルボキシル基にアミノ酸またはペ
プチドが縮合した開環ペプチド−樹脂を用い、(2)C
端のカルボキシル基とN端のアミノ基との環化反応を固
相法により行なうと、副反応を伴なうことなく、高い環
化収率で環状ペプチドが得られること見いだし本発明を
完成した。
【0015】すなわち、本発明は、下記式(I)
【0016】
【化7】 [式中、Aは、Ser(X1 )−Asn−Leu−Se
r(X1 )−Thr(X1 )−X2 、Ser(X1 )−
Asn−Leu−Ser(X1 )−X2 、Ser(X1
)−Asn−Leu−X2 、Ser(X1 )−Asn
−X2 、またはSer(X1 )−X2 を示し、BはX3
、X3 −Thr(X1 )、X3 −Ser(X1 )−T
hr(X1 )、X3 −Leu−Ser(X1 )−Thr
(X1 )、またはX3 −Asn−Leu−Ser(X1
)−Thr(X1 )を示す。
【0017】X1 は水素原子又は水酸基の保護基を示
し、X2 は水酸基又はカルボキシル基の保護基を示し、
X3 は水素原子又はアミノ基の保護基を示す。
【0018】Xは、Resin に対する直接結合、アミノ酸
残基又はペプチド残基を示す。
【0019】Resin は固相反応樹脂を示す。各アミノ酸
残基は保護基で保護されていてもよい]で表される開環
ペプチド−樹脂を、蛋白分解酵素を用いることなく環化
反応に供し、次いで環化したペプチドを樹脂から脱離さ
せ、下記式(II)
【0020】
【化8】 (式中、X′は水酸基、アミノ基、アミノ酸残基または
ペプチド残基を示し、各アミノ酸残基は保護基で保護さ
れていてもよい)で表される環状ペプチドまたはその酸
付加塩もしくは錯体を製造する方法。
【0021】好ましい方法では、下記式(Ia)で表さ
れる開環ペプチド−樹脂を、蛋白分解酵素を用いること
なく環化反応に供し、次いで環化したペプチドを樹脂か
ら脱離させ、下記式(IIa)で表される環状ペプチド
またはその酸付加塩もしくは錯体を製造する。
【0022】
【化9】 (式中、A、BおよびResin は前記に同じ。A1 〜A22
は、下記のアミノ酸残基を示す。各アミノ酸残基は保護
基で保護されていてもよい。
【0023】 A1 :ValまたはMet A2 :SerまたはGly A3 :Lys、ThrまたはAla A4 :LeuまたはTyr A5 :Ser、ThrまたはTrp A6 :Gln、LysまたはArg A7 :Glu、AspまたはAsn A8 :LeuまたはPhe A9 :HisまたはAsn A10:LysまたはAsn A11:Leu、PheまたはTyr A12:GlnまたはHis A13:ThrまたはArg A14:TyrまたはPhe A15:ProまたはSer A16:Arg、GlyまたはGln A17:ThrまたはMet A18:Asp、Ala、AsnまたはGly A19:Val、Ile、ThrまたはPhe A20:Ala、Val、ProまたはSer A21:GlyまたはGlu A22:ThrまたはAla
【0024】
【化10】 (式中、A1 〜A22は前記に同じ。各アミノ酸残基は保
護基で保護されていてもよい)また、好ましい方法で
は、下記式(Ib)で表される開環ペプチド−樹脂を環
化反応に供する。
【0025】
【化11】 また、前記式(I)(Ia)(Ib)で表される開環ペ
プチド−樹脂は、下記式(III)で表される環状ペプ
チド前駆体と、式(V)で表される鎖状ペプチド−樹脂
とを固相法により縮合させて得るのが好ましい。
【0026】
【化12】 [式中、AおよびBは前記に同じ。Xaは水酸基、カル
ボキシル基の保護基、アミノ酸残基または下記式(I
V) −A1 −Leu−A2 −X4 (IV) (A1 およびA2 は前記と同じ。X4 は水酸基またはカ
ルボキシル基の保護基)で表されるペプチド残基を示
す] Y−A3 −A4 −A5 −A6 −A7 −A8 −A9 −A10−A11−A12−A13 −A14−A15−A16−A17−A18−A19−Gly−A20−A21−A22−Pro− Resin (V) [式中、Yは水素原子、アミノ基の保護基またはX5 −
A1 −Leu−A2 −(X5 は水素原子またはアミノ基
の保護基)を示す。ただし、Xが水酸基またはカルボキ
シル基の保護基であるとき、YはX5 −A1 −Leu−
A2 −であり、Xが−A1 −Leu−A2 −であると
き、Yは水素原子またはアミノ基の保護基である。Resi
n 、A1 〜A22は、前記に同じ。各アミノ酸残基は保護
基で保護されていてもよい]なお、前記式(I)(II
I)で表されるペプチドは、AsuからAが分岐してい
ることを簡便に示すため、B−Asu[−A]−X、B
−Asu[−A]−Xaで表す場合がある。また、その
他のペプチドについても、Asuから分岐するアミノ酸
残基やペプチド残基を、上記に準じて表わす場合があ
る。
【0027】本明細書において、アミノ酸、ペプチド、
保護基、溶媒、その他の成分に関して略号で表示する場
合には、IUPAC(International Union of Pure an
d Applied Chemistry )、IUB(International Unio
n of Biochemistry )の規定、又は当該分野における慣
用の記号に従うものとする。以下に、それらの例を挙げ
る。また、アミノ酸などに関し光学異性体がある場合
は、特に明示がない限り、L体を示すものとする。
【0028】 Ala:アラニン Arg:アルギニン Asn:アスパラギン Asp:アスパラギン酸 Gln:グルタミン Glu:グルタミン酸 Gly:グリシン His:ヒスチジン Ile:イソロイシン Leu:ロイシン Lys:リジン Met:メチオニン Phe:フェニルアラニン Pro:プロリン Ser:セリン Thr:スレオニン Tyr:チロシン Val:バリン Asu:α−L−アミノスベリン酸 Boc:t−ブトキシカルボニル Bzl:ベンジル Z :ベンジルオキシカルボニル Tos:トシル Cl−Z:2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z:2−ブロモベンジルオキシカルボニル OMe:メチルエステル OPac:フェナシルエステル OBzl:ベンジルエステル OSu:N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル HOSu:N−ヒドロキシコハク酸イミド DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド HONB:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3
−ジカルボン酸イミド EDC:N−エチル−N′−ジメチルアミノプロピルカ
ルボジイミド HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール BOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリ
ス(ジメチルアミノ)−フォスホニウムヘキサフルオロ
フォスフェート HBTU:O−ベンゾトリアゾール−N,N,N′,
N′−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロフォ
スフェート TFA:トリフルオロ酢酸 DMF:N,N−ジメチルホルムアミド NMP:N−メチルピロリドン 本発明の第1の特徴は、固相法による環化収率を高める
ため、前記式(I)(Ia)(Ib)及び(III)の
ペプチドにおいて、α−L−アミノスベリン酸の少なく
とも側鎖カルボキシル基にアミノ酸またはペプチドが縮
合している点にある。
【0029】前記一般式(I)(Ia)(Ib)及び
(III)で表されるペプチドにおけるAとBの組合せ
は環状ペプチドの種類に応じて選択できる。AとBの好
ましい組合せは、Ser(X1 )−Asn−Leu−S
er(X1 )−Thr(X1 )で表されるペプチドを形
成する。AとBの好ましい組合せは、次の通りである。
【0030】(1)A:Ser(X1 )−Asn−Le
u−Ser(X1 )−Thr(X1)−X2 B:X3 (2)A:Ser(X1 )−Asn−Leu−Ser
(X1 )−X2 B:X3 −Thr(X1 ) (3)A:Ser(X1 )−Asn−Leu−X2 B:X3 −Ser(X1 )−Thr(X1 ) (4)A:Ser(X1 )−Asn−X2 B:X3 −Leu−Ser(X1 )−Thr(X1 ) (5)A:Ser(X1 )−X2 B:X3 −Asn−Leu−Ser(X1 )−Thr
(X1 ) (式中、X1 、X2 およびX3 は前記に同じ)前記式
(I)(Ia)(Ib)で表される開環ペプチド−樹脂
は、慣用の固相法、例えば、固相反応樹脂にアミノ酸を
1個ずつ順次結合させる逐次延長(stepwise elongatio
n )法、2個以上のアミノ酸で構成されたペプチドフラ
グメントを結合させるフラグメント縮合(fragment con
densation )法やこれらの方法を組合せた方法により得
ることができる。
【0031】式(I)においてXがペプチド残基である
場合、好ましい方法は、環状ペプチド部分に相当するペ
プチドを含む前駆体ペプチドと、固相反応樹脂を用いて
合成した鎖状ペプチド−樹脂とを反応させる方法であ
る。この樹脂に結合した鎖状ペプチドは、前記式(I)
(Ia)(Ib)で表されるペプチド−樹脂のC末端側
ペプチド部分に相当する。
【0032】さらに好ましくは、Xがペプチド残基であ
る式(I)で表される開環ペプチド−樹脂や、式(I
a)(Ib)で表される開環ペプチド−樹脂は、式(I
II)で表される環状ペプチドの前駆体ペプチドと、前
記式(V)で表される鎖状ペプチド−樹脂とを固相法に
より縮合することにより得ることができる。また、前記
式(III)で表される環状ペプチドの前駆体ペプチド
は、固相法により調製してもよいが、液相合成法により
調製する場合が多い。
【0033】前記式(III)において、Xaで表され
るカルボキシル基の保護基は、カルボキシル基の保護基
としてペプチド化学に常用のものであれば特に制限され
ず、例えば、「ペプチド合成の基礎と実験」(泉屋ら、
丸善(株)、昭和60年1月発行)に記載の保護基を参
照できる。
【0034】カルボキシル基の保護基としては、例え
ば、メトキシ基、エトキシ基、トリクロロエトキシ基、
プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブ
トキシ基、 sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの
アルコキシ基;シクロヘキシルオキシ基などのシクロア
ルキルオキシ基;ベンジルオキシ基、p−メトキシベン
ジルオキシ基、p−ニトロベンジルオキシ基、p−クロ
ロベンジルオキシ基、p−ブロモベンジルオキシ基、ベ
ンズヒドリルオキシ基、ジフェニルメトキシ基、9−フ
ルオレニルメトキシ基などの置換基を有していてもよい
アラルキルオキシ基;カルボベンゾキシヒドラジノ基、
tert−ブトキシカルボニルヒドラジノ基、トリチルヒド
ラジノ基などの置換ヒドラジノ基;フェナシル基;ピコ
リル基などが挙げられる。
【0035】前記一般式(III)において、Xaで表
されるアミノ酸残基のうち、カルシトニンを構成するア
ミノ酸残基としては、例えば、Val−OH、Met−
OHが挙げられる。Xaで表されるペプチド残基は、所
望する環状ペプチドの残基、例えば、カルシトニンを構
成するペプチド残基であれば特に制限されない。
【0036】Xaで表されるペプチド残基としては、例
えば、下記式(VI)で表される低級ペプチド残基; −A1 −Leu−A2 −OH (VI) 下記式(VII)で示されるペプチド残基又はそのフラ
グメントが挙げられる。
【0037】 −A1 −Leu−A2 −A3 −A4 −A5 −A6 −A7 −A8 −A9 −A10− A11−A12−A13−A14−A15−A16−A17−A18−A19−Gly−A20−A21 −A22−Pro−OH (VII) (式中、A1 〜A22は、前記に同じ)上記カルシトニン
を構成するアミノ酸残基、式(VI)で表されるペプチ
ド残基や、式(VII)で表されるペプチド残基のフラ
グメントを有するペプチドは、カルシトニン合成用の中
間体として好適である。
【0038】前記式(VI)で表される低級ペプチド残
基において、カルシトニンを構成する好ましいペプチド
残基は、−Val−Leu−Gly−OHである。
【0039】また、前記式(VII)で表されるペプチ
ド残基において、カルシトニンを構成する好ましいペプ
チド残基は、下記の通りである。 −Val−Leu−Gly−Lys−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu −His−Lys−Leu−Gln−Thr−Tyr−Pro−Arg−Thr −Asp−Val−Gly−Ala−Gly−Thr−Pro−OH 前記式(I)〜(VII)で示されるペプチドにおい
て、各アミノ酸残基を保護する保護基には、ペプチド化
学に常用の保護基が使用できる。アミノ酸残基の保護基
についても、「ペプチド合成の基礎と実験」(泉屋ら、
丸善(株)、昭和60年1月発行)に記載の保護基を参
照できる。
【0040】ペプチド化学に常用の保護基のうち、カル
ボキシル基の保護基としては、前記Xaで表されるカル
ボキシル基の保護基と同様の基が挙げられる。
【0041】アミノ基の保護基としては、例えば、Bo
c基、トリクロロエチルオキシカルボニル基、tert−ア
ミルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカ
ルボニル基(Fmoc)、メチルスルホニルエトキシカ
ルボニル基、トリクロロエトキシカルボニル基、2−
(トリメチルシリル)エトキルカルボニル基、ピリジン
−4−メトキシカルボニル基などの置換基を有していて
もよいアルコキシカルボニル基;シクロペプチルオキシ
カルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基など
の置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシカル
ボニル基;Z基、p−メトキシベンジルオキシカルボニ
ル基、Cl−Z基、p−クロロベンジルオキシカルボニ
ル基、Br−Z基、p−ブロモベンジルオキシカルボニ
ル基、p−ニトロベンジルオキシカルボニル基、アダマ
ンチルオキシカルボニル基、2−フェニルイソプロピル
オキシカルボニル基、p−メチルフェニルイソプロピル
オキシカルボニル基、p−ビフェニルイソプロピルオキ
シカルボニル基、3,5−ジメトキシ−α,α−ジメチ
ルベンジルオキシカルボニル基などの置換基を有してい
てもよいアラルキルオキシカルボニル基;イソボルニル
オキシカルボニル基;Bz1基、ベンズヒドリル基、ト
リチル基などの置換基を有していてもよいアラルキル
基;トリフルオロアセチル基、フタロイル基、ホルミル
基、ベンゼンスルホニル基,Tos基、o−ニトロフェ
ニルスルフェニル基、2,4−ジニトロフェニルスルフ
ェニル基、3−ニトロ−2−ピリジルスルフェニル基な
どの置換基を有していてもよいアシル基など;ジチアス
クシノイル基;2−ニトロフェニルチオ基、ジフェニル
ホスフィニル基、ジフェニルホスフィノチオイル基、ジ
メチルホスフィノチオイル基などが挙げられる。
【0042】Argのグアニジノ基は、例えば、ニトロ
基、Z基、Tos基、p−メトキシベンゼンスルホニル
基(Mbs)、4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼ
ンスルホニル基(Mds)、4−メトキシ−2,3,6
−トリメチルベンゼンスルホニル基(Mtr)、メシチ
レン−2−スルホニル基(Mts)、2,3,4,5,
6−ペンタメチルベンゼンスルホニル基(Pme)、
2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホニル基(Mt
b)などで保護できる。このグアニジノ基は、保護しな
くてもよい。
【0043】Hisのイミダゾリル基は、保護しなくて
もよいが、例えば、Bzl基、Tos基、Z基、フェナ
シル基(Pac)、ベンジルオキシメチル基(Bo
m)、トリチル基、アダマンチルオキシカルボニル基、
2,2,2−トリフルオロ−1−tert−ブトキシカルボ
ニルアミノエチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−
ベンジルオキシカルボニルアミノエチル基などで保護で
きる。
【0044】Ser、Thr、Tyrのヒドロキシル基
は、例えば、Bzl基、4−メトキシベンジル基、3,
4−ジメチルベンジル基、4−クロロベンジル基、2,
6−ジクロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、ベン
ズヒドリル基、Z基、Cl−Z基、Br−Z基、テトラ
ヒドロピラニル基、Boc基などで保護できる。ヒドロ
キシ基は保護されていなくてもよい。
【0045】前記式(I)(Ia)(Ib)及び式(I
II)のペプチドは、ペプチド合成の常法に従って、保
護基の着脱、縮合反応を繰返すことにより得ることがで
きる。すなわち、本発明で使用される原料及び中間体の
保護基としては、ペプチド合成で公知の手段、例えば、
加水分解、酸分解、還元、アミノリシス、ヒドラジノリ
シスなどにより容易に脱離する保護基が使用される。
【0046】前記式(III)で表されるペプチドのう
ち、Xaが水酸基またはカルボキシル基の保護基である
ペプチドは、例えば、L−アミノスベリン酸−α−低級
アルキルエステルの側鎖カルボキシル基及び/又はアミ
ノ基に、対応するアミノ酸を1個ずつ順次縮合する逐次
延長法、2〜5個のアミノ酸からなるペプチドを縮合す
るフラグメント縮合法や、これらの縮合法を組合せた方
法により得ることができる。但し、式(III)で表さ
れるペプチドにおいて、Bが水素原子である場合には、
L−アミノスベリン酸−α−低級アルキルエステルのア
ミノ基を保護しておく必要がある。
【0047】より具体的には、前記式(III)で表さ
れるペプチドのうち、下記式で表されるペプチドは、例
えば、次のようにして合成することができる。
【0048】 X3 −Leu−Ser(X1 )−Thr(X1 )−Asu[−Ser(X1 ) −Asn−X2 ]−X (式中、X1 は対応するアミノ酸残基の保護基、X2 は
カルボキシル基の保護基、X3 はアミノ基の保護基、X
はカルボキシル基の保護基、アミノ酸残基またはペプチ
ド残基を示す)すなわち、L−アミノスベリン酸−α−
低級アルキルエステルに、N−保護スレオニン、N−保
護セリン、およびN−保護ロイシンを順次縮合し、次い
でL−アミノスベリン酸の側鎖カルボキシル基を活性化
させた後、C端カルボキシル基が保護されたセリルアス
パラギンを縮合させることにより得られる。
【0049】前記式(III)で表されるペプチドのう
ち、Xaがアミノ酸残基またはペプチド残基であるペプ
チドは、例えば、上記のようにして得られたペプチドに
対してアミノスベリン酸のカルボキシル基を活性化した
後、Xに対応するアミノ酸又は2個以上のアミノ酸から
成るペプチドを逐次延長法やフラグメント縮合法により
縮合することにより得ることができる。また、L−アミ
ノスベリン酸−α−低級アルキルエステルに、N−保護
スレオニン、N−保護セリンおよびN−保護ロイシンを
順次縮合し、次いで、Xに対応するアミノ酸やペプチド
を逐次延長法及び/又はフラグメント縮合法により縮合
させ、L−アミノスベリン酸の側鎖カルボキシル基を活
性化させた後、前記と同様にして、セリルアスパラギン
を縮合させることにより得ることができる。
【0050】縮合反応では、(a)活性化された末端カ
ルボキシル基及び保護基で保護されたα−アミノ基を有
するアミノ酸やペプチドと、遊離のα−アミノ基及び保
護基で保護されたカルボキシル基を有するアミノ酸やペ
プチドとを反応させてもよく、(b)活性化されたα−
アミノ基及び保護されたカルボキシル基を有するアミノ
酸やペプチドと、遊離のカルボキシル基及び保護された
α−アミノ基を有するアミノ酸やペプチドとを反応させ
てもよい。
【0051】ペプチド結合生成反応は、慣用の方法、例
えば、C端活性化法、カップリング試薬を用いるカップ
リング法などにより行なうことができる。C端活性化法
には、活性エステル法、混合酸無水物法、アジド法、酸
塩化物法、対称無水物法などが含まれる。
【0052】活性エステルとしては、例えば、シアノメ
チルエステルなどのアルキルエステル;チオフェニルエ
ステル、p−ニトロチオフェニルエステル、p−メタン
スルホニルフェニルエステル、p−ニトロフェニルエス
テル、2,4−ジニトロフェニルエステル、2,4,6
−トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニル
エステルなどのフェニルエステル;OSu、N−ヒドロ
キシフタル酸イミドエステル、HONBなどのジカルボ
ン酸イミドエステル;8−ヒドロキノリンエステルまた
はN−ヒドロキシピペリジンエステル、2−ヒドロキシ
ピリジンエステルなどのヒドロキシルアミン誘導体など
が挙げられる。
【0053】混合酸無水物法においては、塩化エチルオ
キシカルボニル、塩化イソブチルオキシカルボニル、イ
ソ吉草酸、ピバル酸などを用いることができる。
【0054】カップリング試薬を用いるカップリング法
としては、例えば、DCC、水溶性カルボジイミド(W
SC)などを用いるカルボジイミド法;DCC−アディ
ティブ法;カルボニルジイミダゾール(CDI)法;ウ
ッドワード(Woodward)反応剤(N−エチル−5−フェ
ニルイソオキサゾリウム−3′−スルホン酸塩)、N−
エチル−2′−ヒドロキシベンズイソオキサゾリウムト
リフルオロホウ酸塩などのイソオキゾリウム塩、1−エ
トキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキ
シキノリン(EEDQ)、1−エトキシカルボニル−2
−イソブトキシ−1,2−ジヒドロキシキノリン(II
DQ)、BOP、HBTU、ジフェニルホスホリルアジ
ド(DPPA)を用いる方法;向山らの酸化還元法;4
成分合成法(Ugi)法などが例示される。
【0055】DCC−アディティブ法には、例えば、D
CC−HOSu法、DCC−HOBt法、DCC−HO
NB法、DCC−2−ヒドロキシイミノ−2−シアノ酢
酸エチルエステル法;WSC−HOSu法、WSC−H
OBt法などが含まれる。
【0056】水溶性カルボジイミド(WSC)には、例
えば、EDC、N−シクロヘキシル−N′−モルホリノ
エチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−
(N,N−ジエチルアミノ)シクロヘキシルカルボジイ
ミドなどが含まれる。水溶性カルボジイミドは、塩酸塩
などの塩であってもよい。
【0057】好ましいペプチド結合生成反応(縮合反
応)には、カルボジイミド法、アジド法、活性エステル
法及び混合酸無水物法である。さらに好ましい縮合反応
は、ラセミ化を抑制する方法、例えば、活性エステル
法、DCC−アディティブ法(例えば、DCC−HOB
t法、DCC−HOSu法、WSC−HOSu法、WS
C−HOBt法など)などが含まれる。
【0058】前記式(V)で表される鎖状ペプチド−樹
脂は、アール・ビー・メリーフィールド(R. B. Merrif
ield, J. Am. Chem. Soc., 85, 2149 (1963))により開
発された固相法に従って得ることができる。すなわち、
式(V)で表される鎖状ペプチド−樹脂は、対称酸無水
物法、活性エステル法、DCC法などのカルボジイミド
法、DCC−アディティブ法などを利用して、官能基を
適当な保護基で保護した保護アミノ酸やフラグメント
を、カルボキシル末端から逐次延長法やフラグメント縮
合法により順次縮合させることにより合成できる。
【0059】担体としての樹脂は、特に限定されない
が、目的ペプチドのカルボキシル末端が酸アミドである
ことから、例えば、アミノメチル樹脂、ベンズヒドリル
アミン樹脂、p−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、4
−アミノフェノキシメチル樹脂、およびp−ヒドロキシ
安息香酸樹脂などが挙げられる。
【0060】式(I)(Ia)(Ib)で表される開環
ペプチド−樹脂は、式(III)で表される環状ペプチ
ドの前駆体ペプチドを、固相法により調製した式(V)
で表される鎖状ペプチド−樹脂の固相樹脂上で反応させ
て得るのが好ましい。
【0061】固相樹脂上での環化ペプチド前駆体の反応
は、通常の固相法に準じて行なうことができる。式(I
II)で表される環化ペプチド前駆体の使用量は、固相
反応樹脂に対して、例えば、1.0〜3.0当量程度で
ある。
【0062】本発明の第2の特徴は、式(I)(Ia)
(Ib)で表される開環ペプチド−樹脂から式(II)
(IIa)(IIb)で示される環状ペプチドを製造す
る際、蛋白分解酵素を用いることなく、固相樹脂上で、
鎖状ペプチドを分子内で環化させることにある。
【0063】通常、鎖状ペプチドを分子内で環化させる
場合、分子間反応により多量体が生成するのを抑制する
ため、希薄な溶液中で環化反応を行なう方法が利用され
ている。このため、必ずしも満足のいく環化収率で環状
ペプチドが得られない場合が多い。一方、前記式(I)
(Ia)(Ib)で表される開環ペプチド−樹脂から式
(II)(IIa)(IIb)で示される環状ペプチド
を得る反応は、フラグメント縮合による環化反応に対応
するが、フラグメント縮合法によりペプチド結合を生成
させると、特に構成アミノ酸数が多くなるにつれて、ラ
セミ化を伴なうことが知られている。さらに、環状ペプ
チドのペプチド前駆体を、蛋白分解酵素の存在下、固相
反応樹脂上で環化させると、環化収率が極めて低い。
【0064】しかし、本発明の方法においては、前駆体
鎖状ペプチドが溶液中に均一に溶解している場合とは異
なり、前駆体鎖状ペプチドが溶媒などに不溶な樹脂の網
目構造の表面に化学的に結合し、かつそれぞれの前駆体
鎖状ペプチドが独立して存在している状態と類似の環境
にあるため、分子間の反応の可能性が少なく、高い環化
収率で環状ペプチドを得ることができる。特に前駆体鎖
状ペプチドの環化部位が、アミノスベリン酸の側鎖カル
ボキシル基とSer間以外の部位であるため、ラセミ化
を抑制できるだけでなく、環化収率が極めて高くなる。
なお、井上らは、アミノスベリン酸の側鎖カルボキシル
基とSerとの部位で前駆体鎖状ペプチドを液相合成法
により環化させると、他の部位での環化に比べて環化収
率が著しく低くなることを報告している(T.Inoue, S.K
ishida, M.Ohsaki, H.Kimura, Bull. Chem. Soc. Japa
n, 65 1728 (1992))。
【0065】固相樹脂上での環化反応には、通常のフラ
グメント縮合法が利用でき、蛋白分解酵素を含まない化
学的な縮合法が利用される。好ましい環化反応には、ラ
セミ化を伴なうことなく環化収率の高い方法、例えば、
アジド法、活性エステル化法、DPPA法、カルボジイ
ミドと活性エステルとを組合せた方法などが含まれる。
特に好ましい環化反応には、DCC−アディティブ法
(例えば、DCC−HOBt法、DCC−HOSu法、
WSC−HOSu法、WSC−HOBt法など)、BO
P試薬やTBTU試薬を用いる方法が含まれる。
【0066】環化反応は、温和な条件、例えば、−20
℃〜40℃程度で行なうことができる。
【0067】固相反応樹脂上で合成された保護基を有す
るペプチドを、慣用の保護基の脱離方法及び樹脂からの
ペプチドの脱離方法、好ましくは酸による脱離反応、例
えば、臭化水素、特にフッ化水素による脱離反応に供す
ることにより、環状ペプチドやエルカトニンが得られ
る。
【0068】なお、保護基の脱離と、固相反応樹脂から
の環状ペプチドの脱離は、個別に行なってもよく、フッ
化水素などを用いて同時に行なってもよい。
【0069】反応生成物は、例えば、ゲル濾過法、イオ
ン交換クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、
高速液体クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグ
ラフィー、電気泳動法などの慣用の分離精製手段によ
り、単離精製できる。
【0070】本発明の方法により得られる環状ペプチド
やエルカトニンは、反応条件により、遊離のペプチドま
たはその塩の形態で得られる。遊離のペプチドとその塩
は、慣用の方法により相互に変換可能である。遊離のペ
プチドを、薬理的に許容できる塩とする場合には、例え
ば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸などの無機酸;ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビ
ン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン
酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、トル
エンスルホン酸などの有機酸と反応させればよい。
【0071】ペプチド及び合成エルカトニンは、無機ま
たは有機物質と錯体を形成する。このような物質として
は、例えば、カルシウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、コバルト、亜鉛などの金属から誘導される無機化合
物、特にこれらの金属のリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリ
リン酸塩などのように僅かに可溶性の塩、水酸化物、ア
ルカリ金属のポリリン酸塩などが挙げられる。
【0072】また、環状ペプチドや合成エルカトニン
は、薬理作用を長期に亘り発揮させるため、有機物質と
併用してもよい。有機物質としては、例えば、非抗原性
ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸の
スルホン酸エステルまたはリン酸エステル、デキストラ
ン、ポリエチレングリコールなどのグリコール、フィチ
ン酸、ポリグルタミン酸、プロタミンなどが挙げられ
る。
【0073】本発明の方法により得られる環状ペプチ
ド、特にエルカトニンは、高カルシウム血症、骨粗鬆症
の治療などに使用できる。
【0074】
【発明の効果】本発明の方法によれば、環状ペプチド、
特にカルシトニン誘導体であるエルカトニンを、工業的
にさらに収率よく製造できる。
【0075】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び参考例を示す
が、本発明は、これらの実施例に限定されるものではな
い。
【0076】実施例及び参考例におけるアミノ酸分析
は、いずれも、被検体を6N塩酸を用いて110℃で、
24時間加水分解し、減圧乾固した後、行なった。
【0077】実施例1
【0078】
【化13】 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu[−Ser(Bzl)−Asn−OBu]−
Val−Leu−Gly−Lys(Cl−Z)−Leu
−Ser(Bzl)−Gln−Glu(OBzl)−L
eu−His(Tos)−Lys(Cl−Z)−Leu
−Gln−Thr(Bzl)−Tyr(Br−Z)−P
ro−Arg(Tos)−Thr(Bzl)−Asp
(OBzl)−Val−Gly−Ala−Gly−Th
r(Bzl)−Pro−NH−樹脂620mgに、50
%TFAのジクロロメタン溶液20mlを加え、室温で
30分間撹拌した。
【0079】樹脂を、ジクロロメタン溶液20mlで5
回、10%DIEAのDMF溶液20mlで2回、次い
で、DMF20mlで6回、それぞれ洗浄し、H−Le
u−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)−Asu[−
Ser(Bzl)−Asn−OH]−Lys(Cl−
Z)−Leu−Ser(Bzl)−Gln−Glu(O
Bzl)−Leu−His(Tos)−Lys(Cl−
Z)−Leu−Gln−Thr(Bzl)−Thr(B
r−Z)−Pro−Arg(Tos)−Thr(Bz
l)−Asp(OBzl)−Val−Gly−Ala−
Gly−Thr(Bzl)−Pro−NH−樹脂を得
た。
【0080】上記樹脂をNMP20mlに加え、さらに
HOBt・H2 O 18mgおよびDCC25mgを加
え、室温で24時間撹拌した。反応終了後、樹脂をNM
P、DMF、メタノール、ジクロロメタンの順で洗浄し
た後、減圧乾燥し、表記目的物である環状ペプチド−樹
脂610mgを得た。
【0081】実施例2
【0082】
【化14】 下記の610mgの環状ペプチド−樹脂
【0083】
【化15】 に、アニソール6.0mlとフッ化水素0.6mlを加
え、0℃で1時間撹拌した後、残存するフッ化水素を減
圧留去した。残渣をジエチルエーテルで洗浄した後、1
M酢酸水溶液30mlで抽出し、凍結乾燥することによ
り、粗エルカトニン260mgを得た。
【0084】得られた粗エルカトニン260mgを、イ
オン交換クロマトグラフィーおよびTSK Gel O
DS−120Tカラム(東ソー(株)製、2.15×3
0cm)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーにて
精製し、塩交換操作後、エルカトニン酢酸塩の粉末56
mgを得た。
【0085】 mp :240℃(分解) [α]20:−93.1°(C=0.25、0.1M酢酸
水溶液) Rf :0.39(l−ブタノール:酢酸:水=4:
1:5の上層) アミノ酸分析値 Asp(2)2.05、Thr(4)3.86、Ser
(3)2.67、Glu(3)3.00、Gly(3)
3.03、Pro(2)1.98、Ala(1)1.0
4、Val(2)2.03、Asu(1)1.01、L
eu(5)5.17、Tyr(1)1.04、Lys
(2)2.02、His(1)1.00、Arg(1)
1.03 参考例1 Boc−Asu−OMeの製造 H−Asu−OMe6.1gをH2 O 50mlに溶解
し、氷冷下、トリエチルアミン4.2mlおよび(Bo
c)2 0 7.2gの冷ジオキサン溶液50mlを加
え、15分撹拌し、次いで、室温で30分撹拌した。反
応終了後、ジオキサンを減圧留去し、残液に氷冷下、6
Nクエン酸水溶液を加えてpHを2に調整した。
【0086】得られた油状成分を酢酸エチルで抽出し、
1Nクエン酸水溶液で3回、飽和食塩水で5回洗浄し
た。芒硝で乾燥した後、減圧濃縮し、残渣にn−ヘキサ
ンを加えて固化させ、酢酸エチル−n−ヘキサンより再
沈澱して、上記目的物8.7g(収率96%)を得た。
【0087】 mp :50−51℃ [α]20:−17.6°(C=1、メタノール) Rf :0.38(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例2 Boc−Asu(OPac)−OMeの製造 Boc−Asu−OMe3.03gおよび臭化フェナシ
ル1.99gを酢酸エチル50mlに溶解し、氷冷下、
トリエチルアミン1.4mlを加え、1時間撹拌し、次
いで、室温で4時間撹拌した。反応混合物を飽和重曹
水、次いで飽和食塩水で洗浄し、芒硝で乾燥した後、減
圧濃縮した。残渣をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥し
た後、目的とする油状物3.61g(収率86%)を得
た。
【0088】Rf :0.85(クロロホルム:メタノ
ール:水=90:10:1) 参考例3 Boc−Thr(Bzl)−Asu(OPac)−OM
eの製造 Boc−Asu(OPac)−OMe3.61gに、氷
冷下、TFA5mlを加えて溶解し、室温で1時間放置
した。溶液を再度氷冷し、4N塩酸/ジオキサン6.4
mlを添加し、撹拌振盪した後、n−ヘキサンを加え
た。生成した油状物をn−ヘキサンで洗浄し、水酸化カ
リウム上で減圧乾燥した。得られた油状物をDMF10
mlに溶解し、−10℃以下の氷冷下で、N−メチルモ
ルホリン0.87mlを加えて中和した。この溶液に、
Boc−Thr(Bzl)−OH2.65gおよびHO
Bt・H2 O 1.44gの冷DMF溶液20mlおよ
びWSC・HCl 1.81gの冷DMF懸濁液40m
lを順次添加し、−15℃〜−10℃で2時間、次いで
4℃で15時間撹拌した。
【0089】反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、残
渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を、1Nクエン酸水
溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、および飽和食塩水の順
にそれぞれ5回洗浄し、芒硝で乾燥した後、減圧濃縮し
た。残渣に、n−ヘキサンを加えて、固化させ、酢酸エ
チル−n−ヘキサンより再沈澱し、目的物4.3g(収
率82%)を得た。
【0090】 mp :63−65℃ [α]24:−4.5°(C=1、メタノール) Rf :0.60(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例4 Boc−Ser(Bzl)−OPacの製造 Boc−Ser(Bzl)−OH29.5gおよび臭化
フェナシル19.9gを酢酸エチル200mlに溶解
し、氷冷下、トリエチルアミン14mlを加え、1時
間、次いで、4℃で15時間撹拌した。反応混合物を飽
和重曹水、次いで飽和食塩水で洗浄し、芒硝で乾燥した
後、減圧濃縮した。残渣をn−ヘキサンで処理して固化
させ、酢酸エチル−n−ヘキサンより再沈澱し、目的物
38.0g(収率92%)を得た。前記操作を繰返すこ
とにより、76.0gのBoc−Ser(Bzl)−O
Pacを得た。
【0091】 mp :67−68℃ [α]24:−9.8°(C=1、メタノール) Rf :0.87(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例5 Boc−Leu−Ser(Bzl)−OPacの製造 Boc−Ser(Bzl)−OPac55gに、氷冷
下、TFA50mlを加えて溶解し、室温で1時間放置
した。溶液を減圧濃縮して再度氷冷し、4N塩酸/ジオ
キサン100mlを添加し、撹拌振盪した後、n−ヘキ
サンを加えた。析出した沈澱を瀘取し、水酸化カリウム
上で減圧乾燥した。得られた油状物をDMF150ml
に溶解し、−10℃以下の氷冷下、N−メチルモルホリ
ン13.6mlを加えて中和した。この溶液にBoc−
Leu−OH・H2 O 39.8gおよびHOBt・H
2 O 26.9gの冷DMF溶液100mlおよびWS
C・HCl 33.7gの冷DMF懸濁液100mlを
順次添加し、−15℃〜−10℃で2時間、次いで4℃
で15時間撹拌した。
【0092】反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、残
渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を1Nクエン酸水溶
液、飽和食塩水、飽和重曹水、および飽和食塩水の順に
それぞれ、5回洗浄し、芒硝で乾燥後、減圧濃縮した。
残渣に、n−ヘキサンを加えて、固化させ、酢酸エチル
−n−ヘキサンより再沈澱し、目的物65.0g(収率
93%)を得た。
【0093】 mp :100−101℃ [α]24:−17.1°(C=1、メタノール) Rf :0.66(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例6 Boc−Leu−Ser(Bzl)−OHの製造 Boc−Leu−Ser(Bzl)−OPac9.74
gを90%酢酸水溶液100mlに溶解し、氷冷下、亜
鉛末36.1gを加え、室温で3時間撹拌した。反応終
了後、反応混合液を瀘過し、瀘液を濃縮した後、酢酸エ
チルで抽出した。抽出液を、1Nクエン酸水溶液で5
回、飽和食塩水で5回洗浄し、芒硝で乾燥した後、減圧
濃縮した。残渣に、石油エーテルを加えて、固化させ、
酢酸エチル−石油エーテルで再沈澱し、上記目的物6.
97g(収率93%)を得た。
【0094】 mp :73−75℃ [α]24:3.0°(C=1、メタノール) Rf :0.31(クロロホルム:メタノール:水=8
5:15:1) 参考例7 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu(OPac)−OMeの製造 Boc−Thr(Bzl)−Asu(OPac)−OM
e2.0gに、氷冷下、TFA5mlを加えて溶解し、
室温で30分間放置した。溶液を再度氷冷し、4N塩酸
/ジオキサン2.4mlを添加し、撹拌振盪した後、石
油エーテルを加えた。生じた油状物を石油エーテルで洗
浄し、水酸化カリウム上で減圧乾燥した。得られた油状
物をDMF15mlに溶解し、−10℃以下の氷冷下、
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)0.
57mlを加えて中和した。この溶液にBoc−Leu
−Ser(Bzl)−OH 1.6gおよびHOBt・
2 O 0.66gの冷DMF溶液15mlおよびWS
C・HCl 1.81gの冷DMF懸濁液15mlを順
次添加し、−15℃〜−10℃で2時間、次いで4℃で
16時間撹拌した。
【0095】反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、残
渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を1Nクエン酸水溶
液、飽和食塩水、飽和重曹水、および飽和食塩水の順に
それぞれ、5回洗浄し、芒硝で乾燥後、減圧濃縮した。
残渣に、ジエチルエーテル/石油エーテル(1/1混合
液)を加えて固化させ、メタノール−ジエチルエーテル
/石油エーテル(1/1混合液)より再沈澱し、目的物
2.15g(収率73%)を得た。
【0096】 mp :69−71℃ [α]24:−11.6°(C=1、メタノール) Rf :0.72(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例8 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu−OMeの製造 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu(OPac)−OMe2.1gを90%酢酸水
溶液70mlに溶解し、氷冷下、亜鉛末4.5gを加
え、室温で14時間撹拌した。反応終了後、反応混合液
を瀘過し、瀘液を濃縮した後、酢酸エチルで抽出した。
抽出液を、50mMのEDTA含有重曹水(pH8)、
飽和食塩水、1Nクエン酸水溶液、および飽和食塩水の
順にそれぞれ、5回洗浄し、芒硝で乾燥した後、減圧濃
縮した。残渣に、石油エーテルを加えて固化させ、酢酸
エチル−石油エーテルで再沈澱し、上記目的物1.56
g(収率86%)を得た。
【0097】 mp :58−60℃ [α]24:−12.3°(C=1、メタノール) Rf :0.36(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例9 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu−NHNH2の製造 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu−OMe1.56gをメタノール30mlに溶
解し、氷冷下、ヒドラジン一水和物1.0mlを加え
て、室温で19時間放置した。反応液を減圧濃縮し、1
−ブタノール飽和5%酢酸水溶液で抽出した。1−ブタ
ノール飽和5%酢酸水溶液で10回、1−ブタノール飽
和水で5回洗浄し、減圧濃縮後、ジエチルエーテルを加
えて固化させた。メタノール−ジエチルエーテルより再
沈澱し、目的物1.13g(収率72%)を得た。
【0098】 mp :182−184℃ [α]24:−14.8°(C=1、メタノール) Rf :0.41(クロロホルム:メタノール:水=8
5:15:1) 参考例10 Boc−Leu−Gly−OHの製造 H−Gly−OH1.5gをH2 O 75mlに溶解
し、氷冷下、トリエチルアミン5.6mlおよびBoc
−Leu−Osu6.6gの冷THF溶液75mlを加
え、2時間、次いで、室温で17時間撹拌した。THF
を減圧留去し、残渣を酢酸エチルで洗浄した後、氷冷
下、6Nクエン酸水溶液でpH3に調整した。生成した
油状物を酢酸エチルで抽出し、1Nクエン酸水溶液で1
回、飽和食塩水で5回洗浄した。芒硝で乾燥後、減圧濃
縮し、残渣に、石油エーテルを加えて固化させた。酢酸
エチル−イソプロピルエーテル/石油エーテル(1/1
混合液)より再沈澱し、目的物4.8g(収率83%)
を得た。
【0099】 mp :122−124℃ [α]24:−28.0°(C=1、メタノール) Rf :0.60(クロロホルム:メタノール:水=5
0:50:1) 参考例11 Boc−Leu−Gly−OPacの製造 Boc−Leu−Gly−OH3.5gおよび臭化フェ
ナシル2.4gを酢酸エチル100mlに溶解し、氷冷
下、トリエチルアミン1.7mlを加え、1時間、次い
で、4℃で4時間撹拌した。反応混合物を飽和重曹水で
5回、次いで飽和食塩水で5回洗浄し、芒硝で乾燥後、
減圧濃縮した。残渣をイソプロピルエーテルで処理して
固化させ、酢酸エチル−イソプロピルエーテルより再沈
澱し、目的物3.88g(収率79%)を得た。
【0100】 mp :112−113℃ [α]24:−28.4°(C=1、メタノール) Rf :0.60(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例12 Boc−Val−Leu−Gly−OPacの製造 Boc−Leu−Gly−OPac3.8gに、氷冷
下、TFA10mlを加えて溶解し、室温で30分間放
置した。溶液を再度氷冷し、4N塩酸/ジオキサン7.
0mlを添加し、撹拌振盪した後、イソプロピルエーテ
ルを加えた。析出物を瀘取し、水酸化カリウム上で減圧
乾燥した。得られた乾燥物をDMF20mlに溶解し、
−10℃以下の氷冷下、DIEA1.62mlを加えて
中和した。
【0101】この溶液にBoc−Val−OH 2.4
2gおよびHOBt・H2 O 1.88gの冷DMF溶
液20mlおよびWSC・HCl 2.35gの冷DM
F懸濁液30mlを順次添加し、−15℃〜−10℃で
2時間、次いで4℃で18時間撹拌した。
【0102】反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、残
渣を酢酸エチルで抽出した。抽出液を1Nクエン酸水溶
液、飽和食塩水、飽和重曹水、および飽和食塩水の順に
それぞれ、5回洗浄し、芒硝で乾燥後、減圧濃縮した。
残渣に、イソプロピルエーテルを加えて、固化させ、酢
酸エチル−イソプロピルエーテルより再沈澱し、目的物
4.1g(収率87%)を得た。
【0103】 mp :153−154℃ [α]24:−51.4°(C=1、メタノール) Rf :0.57(クロロホルム:メタノール:水=9
0:10:1) 参考例13 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu−Val−Leu−Gly−OPacの製造 Boc−Val−Leu−Gly−OPac1.08g
に、氷冷下、TFA5mlを加えて溶解し、室温で30
分間放置した。溶液を再度氷冷し、イソプロピルエーテ
ルを加え、析出した沈澱を瀘取し、水酸化カリウム上で
減圧乾燥した。得られた乾燥物をDMF10mlに溶解
し、−15℃以下の氷冷下、トリエチルアミン0.30
mlを加えて中和した。
【0104】Boc−Leu−Ser(Bzl)−Th
r(Bzl)−Asu−NHNH21.4gをDMF3
0mlに溶解し、−15℃以下の氷冷下、4N塩酸/ジ
オキサン1.34ml、次いで、亜硝酸イソアミル0.
24mlを添加した。ヒドラジド陰性を確認した後、溶
液にトリエチルアミン0.75mlの冷DMF溶液10
mlを加えてpHを7に調整した。この溶液を、先のD
MF溶液に添加し、−20℃〜−15℃で2時間、次い
で、氷冷下で2時間、さらに4℃で18時間撹拌した。
【0105】反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、残
渣に1Nクエン酸水溶液を加えて固化させた。DMF−
ジエチルエーテルより再沈澱し、上記目的物1.74g
(収率85%)を得た。
【0106】 mp :227−229℃(分解点) [α]24:−9.9°(C=1、DMF) Rf :0.54(クロロホルム:メタノール:水=8
5:15:1) 参考例14 Fmoc−Ser(Bzl)−Asn−OBuの製造 Fmoc−Ser(Bzl)−OH2.0g、HOBt
・H2 O 0.82g及びHCl・H−Asn−OBu
1.0gをDMF50mlに溶解し、−10℃以下に
冷却した。この溶液にWSC・HCl 1.02gの冷
DMF懸濁液20mlを添加し、−15℃〜−10℃で
1時間、次いで4℃で15時間撹拌した。反応終了後、
反応混合液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルで抽出し
た。抽出液を1Nクエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和重
曹水、および飽和食塩水の順にそれぞれ、5回洗浄し、
芒硝で乾燥した後、減圧濃縮した。残渣に、ジエチルエ
ーテルを加えて固化させ、メタノール−ジエチルエーテ
ルより再沈澱し、目的物2.05g(収率79%)を得
た。
【0107】 mp :158−160℃ [α]24:−1.6°(C=1、メタノール) Rf :0.55(クロロホルム:メタノール:水=8
5:15:1) 参考例15 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu[−Ser(Bzl)−Asn−OBu]−
Val−Leu−Gly−OPacの製造 Fmoc−Ser(Bzl)−Asn−OBut0.9
7gをDMF5mlに溶解し、氷冷下、40%ピペリジ
ンの冷DMF溶液5mlを加えて30分間撹拌後、減圧
濃縮した。残渣にn−ヘキサンを加え、生成した油状物
をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥した。得られた油状
物をDMF15mlに溶解し、−10℃以下に冷却した
後、Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bz
l)−Asu−Val−Leu−Gly−OPac1.
6gおよびHOBt・H2 O 0.25gの冷DMF溶
液30mおよびWSC・HCl 0.32gの冷DMF
懸濁液20mlを順次添加し、−15℃〜−10℃で2
時間、次いで4℃で48時間撹拌した。
【0108】反応終了後、反応混合液を減圧濃縮し、残
渣に1Nクエン酸水溶液を加えて固化させた。DMF−
メタノールより再沈澱し、上記目的物1.9g(収率9
0%)を得た。
【0109】 分解点:236℃ [α]24:−12.0°(C=1、DMF) Rf :0.61(クロロホルム:メタノール:水=8
5:15:1) 参考例16 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu[−Ser(Bzl)−Asn−OBu]−
Val−Leu−Gly−OHの製造 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu[−Ser(Bzl)−Asn−OBut]−
Val−Leu−Gly−OPac1.6gを70%酢
酸のDMF溶液200mlに溶解し、氷冷下、亜鉛末
4.2gを加え、4時間撹拌した。
【0110】反応終了後、反応混合液を瀘過し、瀘液を
濃縮した後、H2 Oを加えて固化させた。析出物を瀘取
し、H2 O、50mM EDTA含有酢酸アンモニウム
水溶液(pH8)、H2 O、1Nクエン酸水溶液および
2 Oの順で洗浄し乾燥した。DMF−酢酸エチルで再
沈澱し、目的物1.4g(収率95%)を得た。
【0111】 分解点:235℃ [α]24:−12.3°(C=1、DMF) Rf :0.51(クロロホルム:メタノール:水=7
0:30:1) 元素分析値 計算値 C71106 1018・3/2H2 O: C H N 60.28% 7.77% 9.90% 実測値 60.06% 7.80% 10.15% アミノ酸分析値 Asp(1)1.01、Thr(1)1.00、Ser
(2)1.73、Gly(1)1.00、Val(1)
0.98、Asu(1)0.99、Leu(2)2.0
3 参考例17 Boc−Lys(Cl−Z)−Leu−Ser(Bz
l)−Gln−Glu(OBzl)−Leu−His
(Tos)−Lys(Cl−Z)−Leu−Gln−T
hr(Bzl)−Tyr(Br−Z)−Pro−Arg
(Tos)−Thr(Bzl)−Asp(OBzl)−
Val−Gly−Ala−Gly−Thr(Bzl)−
Pro−NH−樹脂の製造 p−メチルベンズヒドリルアミンポリスチレン樹脂
(0.42ミリモル/g樹脂、1%ジビニルベンゼン架
橋、100〜200メッシュ:(株)ペプチド研究所
製)1.19gを出発担体として、固相法により、下記
アミノ酸誘導体(いずれも(株)ペプチド研究所製)
を、順次、縮合・脱Boc反応に付し、ペプチド鎖を構
築した。
【0112】 Boc−Pro−OH 430mg Boc−Thr(Bzl)−OH 618mg Boc−Gly−OH 350mg Boc−Ala−OH 378mg Boc−Gly−OH 350mg Boc−Val−OH 434mg Boc−Asp(OBzl)−OH 647mg Boc−Thr(Bzl)−OH 618mg Boc−Arg(Tos)−OH 1008mg
×2 Boc−Pro−OH 430mg Boc−Tyr(Br−Z)−OH 989mg Boc−Thr(Bzl)−OH 618mg Boc−Gln−OH 492mg
×2 Boc−Leu−OH 500mg Boc−Lys(Cl−Z)−OH 830mg Boc−His(Tos)−OH 818mg Boc−Leu−OH 500mg Boc−Glu(OBzl)−OH 674mg Boc−Gln−OH 492mg
×2 Boc−Ser(Bzl)−OH 590mg Boc−Leu−OH 500mg Boc−Lys(Cl−Z)−OH 830mg これらのアミノ酸誘導体のうち、Boc−Arg(To
s)−OH及びBoc−Gln−OHの縮合は、HOB
tを用いる活性エステル法により縮合反応を行った。こ
れらの縮合反応は2回繰返した。その他のアミノ酸誘導
体については対称酸無水物法により縮合反応に供した。
このようにして、標記のペプチド−樹脂2.18gを得
た。
【0113】参考例18 Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu[−Ser(Bzl)−Asn−OBut]−
Val−Leu−Gly−Lys(Cl−Z)−Leu
−Ser(Bzl)−Gln−Glu(OBzl)−L
eu−His(Tos)−Lys(Cl−Z)−Leu
−Gln−Thr(Bzl)−Tyr(Br−Z)−P
ro−Arg(Tos)−Thr(Bzl)−Asp
(OBzl)−Val−Gly−Thr(Bzl)−P
ro−NH−樹脂の製造 Boc−Lys(Cl−Z)−Leu−Ser(Bz
l)−Gln−Glu(OBzl)−Leu−His
(Tos)−Lys(Cl−Z)−Leu−Gln−T
hr(Bzl)−Tyr(Br−Z)−Pro−Arg
(Tos)−Thr(Bzl)−Asp(OBzl)−
Val−Gly−Ala−Gly−Thr(Bzl)−
Pro−NH−樹脂625mgに50%TFAのジクロ
ロメタン溶液20mlを加え、室温で30分間撹拌し
た。樹脂をジクロロメタン20mlで5回、10%DI
EAのDMF溶液20mlで2回、次いで、DMF20
mlで6回、それぞれ洗浄して、H−Lys(Cl−
Z)−Leu−Ser(Bzl)−Gln−Glu(O
Bzl)−Leu−His(Tos)−Lys(Cl−
Z)−Leu−Gln−Thr(Bzl)−Tyr(B
r−Z)−Pro−Arg(Tos)−Thr(Bz
l)−Asp(OBzl)−Val−Gly−Ala−
Gly−Thr(Bzl)−Pro−NH−樹脂を得
た。
【0114】上記樹脂をNMP20mlに加え、さらに
Boc−Leu−Ser(Bzl)−Thr(Bzl)
−Asu[−Ser(Bzl)−Asn−OBut]−
Val−Leu−Gly−OH167mg、HOBt・
2 O 22mgおよびDCC30mgを加え、室温で
48時間撹拌した。
【0115】反応終了後、樹脂をNMP、DMF、メタ
ノール、ジクロロメタンの順で洗浄した後、減圧乾燥
し、標記の開環ペプチド−樹脂620mgを得た。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 [式中、Aは、Ser(X1 )−Asn−Leu−Se
    r(X1 )−Thr(X1 )−X2 、Ser(X1 )−
    Asn−Leu−Ser(X1 )−X2 、Ser(X1
    )−Asn−Leu−X2 、Ser(X1 )−Asn
    −X2 、またはSer(X1 )−X2 を示し、 BはX3 、X3 −Thr(X1 )、X3 −Ser(X1
    )−Thr(X1 )、X3 −Leu−Ser(X1 )
    −Thr(X1 )、またはX3 −Asn−Leu−Se
    r(X1 )−Thr(X1 )を示す。X1 は水素原子又
    は水酸基の保護基を示し、X2 は水酸基又はカルボキシ
    ル基の保護基を示し、X3 は水素原子又はアミノ基の保
    護基を示す。Xは、Resin に対する直接結合、アミノ酸
    残基又はペプチド残基を示す。Resin は固相反応樹脂を
    示す。各アミノ酸残基は保護基で保護されていてもよ
    い]で表される開環ペプチド−樹脂を、蛋白分解酵素を
    用いることなく環化反応に供し、次いで環化したペプチ
    ドを樹脂から脱離させ、下記式(II) 【化2】 (式中、X′は水酸基、アミノ基、アミノ酸残基または
    ペプチド残基を示し、各アミノ酸残基は保護基で保護さ
    れていてもよい)で表される環状ペプチドまたはその酸
    付加塩もしくは錯体を製造する方法。
  2. 【請求項2】 下記式(Ia) 【化3】 (式中、A、BおよびResin は前記に同じ。A1 〜A22
    は下記のアミノ酸残基を示す。各アミノ酸残基は保護基
    で保護されていてもよい。 A1 :ValまたはMet A2 :SerまたはGly A3 :Lys、ThrまたはAla A4 :LeuまたはTyr A5 :Ser、ThrまたはTrp A6 :Gln、LysまたはArg A7 :Glu、AspまたはAsn A8 :LeuまたはPhe A9 :HisまたはAsn A10:LysまたはAsn A11:Leu、PheまたはTyr A12:GlnまたはHis A13:ThrまたはArg A14:TyrまたはPhe A15:ProまたはSer A16:Arg、GlyまたはGln A17:ThrまたはMet A18:Asp、Ala、AsnまたはGly A19:Val、Ile、ThrまたはPhe A20:Ala、Val、ProまたはSer A21:GlyまたはGlu A22:ThrまたはAla で表される開環ペプチド−樹脂を、蛋白分解酵素を用い
    ることなく環化反応に供し、次いで環化したペプチドを
    樹脂から脱離させ、下記式(IIa) 【化4】 (式中、A1 〜A22は前記に同じ。各アミノ酸残基は保
    護基で保護されていてもよい)で表される環状ペプチド
    またはその酸付加塩もしくは錯体を製造する請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 下記式(Ib)で表される開環ペプチド
    −樹脂を、環化反応に供する請求項1又は2記載の環状
    ペプチドまたはその酸付加塩もしくは錯体の製造方法。 【化5】 (式中、A、BおよびResin は前記に同じ。各アミノ酸
    残基は保護基で保護されていてもよい)
  4. 【請求項4】 下記式(III) 【化6】 [式中、AおよびBは前記に同じ。Xaは水酸基、カル
    ボキシル基の保護基、アミノ酸残基または下記式(I
    V) −A1 −Leu−A2 −X4 (IV) (A1 およびA2 は前記に同じ。X4 は水酸基またはカ
    ルボキシル基の保護基を示す)で表されるペプチド残基
    を示す]で表される環状ペプチド前駆体と、下記式
    (V) Y−A3 −A4 −A5 −A6 −A7 −A8 −A9 −A10−A11−A12−A13− A14−A15−A16−A17−A18−A19−Gly−A20−A21−A22−Pro−Re sin (V) [式中、Yは、水素原子、アミノ基の保護基又はX5 −
    A1 −Leu−A2 −(X5 は水素原子またはアミノ基
    の保護基)を示す。ただし、Xが水酸基またはカルボキ
    シル基の保護基であるとき、YはX5 −A1 −Leu−
    A2 −であり、Xが−A1 −Leu−A2 −であると
    き、Yは水素原子またはアミノ基の保護基である。Resi
    n 、A1 〜A22は前記に同じ。各アミノ酸残基は保護基
    で保護されていてもよい]で表される鎖状ペプチド−樹
    脂とを縮合させ、式(I)で表される開環ペプチド−樹
    脂を得る請求項1記載の環状ペプチドまたはその酸付加
    塩もしくは錯体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5962270A (en) * 1996-02-06 1999-10-05 Bionebraska, Inc. Recombinant preparation of calcitonin fragments and use thereof in the preparation of calcitonin and related analogs

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