JP7252315B2 - 溶媒和物及び溶媒和物の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、レンズ等の光学部材の製造に用いることができる材料として、製造物の光透過率を上げることを可能とする材料を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は以下の<1>~<9>を提供するものである。
上記溶媒和物を構成する溶媒が、窒素原子含有有機化合物を含み、
上記窒素原子含有有機化合物は酸素原子を含んでいてもよく、
上記窒素原子含有有機化合物中の炭素原子の数を窒素原子の数と酸素原子の数との和で割った値が5以下であり、
上記窒素原子含有有機化合物の分子量が200以下である、上記溶媒和物;
ZはX-C=C-Yとともに5~7員環を形成する原子群であって、炭素原子及びヘテロ原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表し;
R3~R6はそれぞれ独立に、置換基を表し;
q及びrはそれぞれ独立に、0~4の整数であり;
vは0~4の整数であり、wは0以上の整数であり、wの最大数は、X-C=C-YとZが形成する環に置換可能な置換基の最大数であり;
qが2~4の整数である場合、複数のR3は同じであっても異なっていてもよく、複数のR3は互いに結合して環を形成してもよく;
rが2~4の整数である場合、複数のR4は同じであっても異なっていてもよく、複数のR4は互いに結合して環を形成してもよく;
vが2~4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、複数のR5は互いに連結して環を形成せず;
wが2~5の整数である場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよく、複数のR6は互いに結合して環を形成してもよい。
<2>一般式1で表される化合物が一般式2で表される化合物である<1>に記載の溶媒和物;
q及びrはそれぞれ独立に、0~4の整数であり;
vは0~4の整数であり、sは0~2の整数であり;
qが2~4の整数である場合、複数のR3は同じであっても異なっていてもよく、複数のR3は互いに結合して環を形成してもよく;
rが2~4の整数である場合、複数のR4は同じであっても異なっていてもよく、複数のR4は互いに結合して環を形成してもよく;
vが2~4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、複数のR5は互いに連結して環を形成せず;
sが2である場合、2つのR7は同じであっても異なっていてもよく、2つのR7は互いに結合して環を形成してもよい。
<3>一般式1で表される化合物が一般式3で表される化合物である<1>又は<2>に記載の溶媒和物;
q及びrはそれぞれ独立に、0~4の整数であり;
vは0~4の整数であり、tは0~4の整数であり;
qが2~4の整数である場合、複数のR3は同じであっても異なっていてもよく、複数のR3は互いに結合して環を形成してもよく;
rが2~4の整数である場合、複数のR4は同じであっても異なっていてもよく、複数のR4は互いに結合して環を形成してもよく;
vが2~4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、複数のR5は互いに連結して環を形成せず;
tが2~4の整数である場合、複数のR8は同じであっても異なっていてもよい。
<4>上記窒素原子含有有機化合物がピリジン、ピリミジン、ピラジン、一般式Bで表される化合物、及び一般式Cで表される化合物からなる群より選択されるいずれか1種以上である<1>~<3>のいずれかに記載の溶媒和物。
Re及びRg、又はRe及びRfは互いに結合し、環構造を形成してもよく、
一般式C中、Rhは水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基である。
<5>上記窒素原子含有有機化合物中の炭素原子の数を窒素原子の数と酸素原子の数との和で割った上記値が5未満である<1>~<4>のいずれかに記載の溶媒和物。
<6>上記窒素原子含有有機化合物が、N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、及びN-エチルピロリドンからなる群より選択されるいずれか1種以上である<1>~<5>のいずれかに記載の溶媒和物。
<7>窒素原子含有有機化合物の含有量が、一般式1で表される化合物100モル%に対して、10~200モル%である<1>~<6>のいずれかに記載の溶媒和物。
<8><1>~<7>のいずれかに記載の溶媒和物の製造方法であって、
上記窒素原子含有有機化合物を溶媒として一般式1で表される化合物を晶析することを含む製造方法。
<9>一般式1で表される化合物を上記窒素原子含有有機化合物からなる溶媒に溶解させた後、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルからなる群より選択されるいずれか1種以上を含む溶媒を添加し、上記溶媒和物を析出させることを含む、<8>に記載の製造方法。
本発明の溶媒和物は一般式1で表される化合物(フェノール化合物)の溶媒和物であり、一般式1で表される化合物と溶媒とからなる。本発明の溶媒和物において、一般式1で表される化合物は1種であっても2種以上であってもよいが、通常1種である。本発明の溶媒和物において溶媒は1種であっても2種以上であってもよく、1種であることが好ましい。
本発明の溶媒和物においては、溶媒和物を構成する溶媒が、分子量が200以下である窒素原子含有有機化合物を含む。窒素原子含有有機化合物とはその構造式が炭素原子、水素原子及び窒素原子(N)を含んで構成される化合物である。窒素原子含有有機化合物はさらに酸素原子を含んでいてもよい。上記窒素原子含有有機化合物中の炭素原子の数を窒素原子の数と酸素原子の数との和で割った値が5以下である。すなわち、本発明の溶媒和物を構成する溶媒は下記分子式で表される化合物を含む。
上記置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基が挙げられる。一般式B及び一般式Cにおける置換基を有してもよい炭化水素基としては、無置換の炭化水素基が好ましい。炭化水素基としては、炭素数1~5の分岐又は直鎖のアルキル基、炭素数1~6のシクロアルキル基、フェニル基、又はこれらの組み合わせが挙げられ、炭素数1~3の分岐又は直鎖のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が好ましい。一般式Bにおいて、ReとRgとが互いに結合して形成する環構造としては、ピロリジノン環などが挙げられる。また、ReとRfとが互いに結合して形成する環構造としては、ピロリジン環、ピペラジン環、モルホリン環などが挙げられる。Re及びRfは同一種の基であることが好ましい。
ZはX-C=C-Yとともに5~7員環を形成する原子群であって、炭素原子及びヘテロ原子から選択される少なくとも1種を含む原子群を表す。Zにおいて、R6が結合していない炭素原子は水素原子が結合してCHとなっていればよい。
qが2~4の整数である場合、複数のR3は同じであっても異なっていてもよく、複数のR3は互いに結合して環を形成してもよく;
rが2~4の整数である場合、複数のR4は同じであっても異なっていてもよく、複数のR4は互いに結合して環を形成してもよく;
vが2~4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよく、複数のR5は互いに連結して環を形成せず;
wが2~5の整数である場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよく、複数のR6は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式1中、ZはX-C=C-Yとともに5又は6員環を形成する原子群であることが好ましく、6員環を形成する原子群であることがより好ましい。また、Zは炭素原子及びヘテロ原子から選択される少なくとも1種を含む原子群であればよく、炭素原子を含む原子群であることが好ましく、炭素原子からなる原子群であることがより好ましい。
本明細書において、アルキル基というときは、直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、3-メチルブチル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、1-メチルヘプチル基、ノニル基、1-メチルオクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。アルキル基を含む基(ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基等)中のアルキル基についても同様である。アルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
R3~R6が表す置換基は重合性基ではないことが好ましい。
vが2~4の整数である場合、複数のR5は同じであっても異なっていてもよい。また、複数のR5は互いに連結して環を形成しない。
一般式2におけるq、r、及びvの定義及び好ましい範囲は、一般式1におけるq、r、及びvの定義及び好ましい範囲とそれぞれ同様である。
一般式2中、R7は置換基を表す。置換基としては、上記R3~R6が表す置換基として挙げた置換基が挙げられる。一般式2において、sは0~2の整数を表し、2であることが好ましい。sが2であるとき、2つのR7は同じであっても異なっていてもよい。また、2つのR7は互いに連結して環を形成していてもよい。R7はシアノ基、フェニル基、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であることが好ましく、シアノ基又はフェニル基であることがより好ましい。
一般式3におけるq、r、及びvの定義及び好ましい範囲は、一般式1におけるq、r、及びvの定義及び好ましい範囲とそれぞれ同様である。
一般式3中、R8は置換基を表す。置換基としては、上記R3~R6が表す置換基として挙げた置換基が挙げられる。一般式3において、tは0~4の整数である。tが2~4の整数である場合、複数のR8は同じであっても異なっていてもよい。ここで複数のR8は互いに連結して環を形成しない。
本発明の溶媒和物は、一般式1で表される化合物を上記の分子量が200以下である窒素原子含有有機化合物を含む溶媒、好ましくは窒素原子含有有機化合物からなる溶媒に溶解して晶析を行うことにより製造することができる。通常、一般式1で表される化合物を窒素原子含有有機化合物からなる溶媒に溶解させた後、貧溶媒を加えて本発明の溶媒和物を析出させることができる。貧溶媒の例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルが挙げられる。本発明の溶媒和物の製造に用いる一般式1で表される化合物としては、例えば、上述の一般式1で表される化合物の製造方法で得られた生成物の粗結晶をそのまま用いてもよい。
一般式1で表される化合物はその構造中のヒドロキシ基を利用して重合性基を有する側鎖を有する化合物に誘導することができ、硬化性モノマーの製造中間体として有用である。WO2017/115649にも記載されているように、一般式1で表される化合物から誘導される硬化性モノマーを含む組成物の硬化物はレンズなどの光学部材に好ましく用いることができる。また、一般式1で表される化合物はそのままレンズなどの光学部材を製造するための硬化性組成物の一成分として用いることができる。上述のように、一般式1で表される化合物は上記の窒素原子含有有機化合物を含む溶媒との溶媒和物として純度の高い結晶を単離することができる。また、結晶として得られた溶媒和物はテトラヒドロフランなどの溶媒への溶解度が高く、製造中間体として用いた場合に均一系での反応が可能となり、高純度かつ高収率での硬化性モノマーを製造することができる。したがって、本発明の溶媒和物を用いて、光透過率の高いレンズなどの光学部材を容易に製造することができる。
合成例1(化合物c3):
4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミン26.6g及びニンヒドリン35.6gに対して、トルエン150mL、エタノール125mL、酢酸100mLを加えて70℃で3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却したのち、析出した結晶を濾取し、エタノールで洗浄、乾燥することで、中間体c2Aを47g得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ2.49ppm(s、3H)、2.51ppm(s、3H)、7.52-7.58ppm(t,1H)、7.71-7.76ppm(t,1H)、7.85-7.95ppm(m,3H)、8.02-8.08ppm(d,1H)
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ2.47ppm(s、3H)、2.49ppm(s、3H)、6.61-6.67ppm(d,4H)、6.95-7.01ppm(d,4H)、7.52-7.62ppm(m,3H)、7.84ppm(s,1H)、7.93ppm(s,1H)、8.12-8.14ppm(d,1H)、9.40ppm(bs,2H)
4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミンをo-フェニレンジアミンに変更した以外は化合物c3の合成と同様の方法で化合物c1を28g得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ6.61-6.68ppm(d、4H)、6.95-7.01ppm(d、4H)、7.50-7.70ppm(m、3H)、7.72-7.90ppm(m、2H)、8.00-8.08ppm(d、1H)、8.12-8.25ppm(m、2H)、9.41ppm(bs、2H)
4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミンを3,4-ジアミノトルエンに変更した以外は化合物c3の合成と同様の方法で化合物c2を26g得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ2.50ppm(s、3H)、6.61-6.67ppm(d、4H)、6.95-7.01ppm(d、4H)、7.52-7.64ppm(m、4H)、7.84-8.14ppm(m、2H)、8.14-8.20ppm(d、1H)、9.40ppm(bs、2H)
4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミンを4,5-ジクロロ-1,2-フェニレンジアミンに変更した以外は化合物c3の合成と同様の方法で化合物c9を21g得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ6.61-6.68ppm(d、4H)、6.95-7.01ppm(d、4H)、7.52-7.70ppm(m、3H)、8.14-8.20ppm(d、1H)、8.39ppm(s、1H)、8.45ppm(s、1H)、9.44ppm(bs、2H)
4,5-ジメチル-1,2-フェニレンジアミンを3,4-ジアミノ安息香酸メチルに変更した以外は化合物c3の合成と同様の方法で化合物c10を21g得た。
1H-NMR(300MHz,DMSO-d6):δ3.94ppm(s、3H)、6.61-6.67ppm(d、4H)、6.95-7.01ppm(d、4H)、7.50-7.75ppm(m、3H)、8.19-8.30ppm(m、3H)、8.52-8.60ppm(m、1H)、9.43ppm(bs、2H)
2gの化合物c3にN,N-ジメチルアセトアミドを4mL加え、60℃で1時間撹拌させることにより、化合物c3を溶解させた。次いで、酢酸エチル8mL及びノルマルヘキサン8mLを加え、50℃で2時間撹拌した後、25℃で1時間撹拌した。析出物を濾取し、酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:1混合液10mLで洗浄後、60℃で乾燥することで、N,N-ジメチルアセトアミドが化合物c3に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、N,N-ジメチルアセトアミドは100モル%であった。
実施例1のN,N-ジメチルアセトアミドをN-メチルピロリドンに変更した以外は同様の方法で、N-メチルピロリドンが化合物c3に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、N-ジメチルピロリドンは140モル%であった。
実施例1のN,N-ジメチルアセトアミドをN-エチルピロリドンに変更した以外は同様の方法で、N-エチルピロリドンが化合物c3に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、N-エチルピロリドンは17.5モル%であった。
実施例1のN,N-ジメチルアセトアミドをピリジンに変更した以外は同様の方法で、ピリジン及び酢酸エチルが化合物c3に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、ピリジンは26.5モル%、酢酸エチルは6.8モル%であった。
実施例1のN,N-ジメチルアセトアミドをモルホリンに変更した以外は同様の方法で、モルホリン及び酢酸エチルが化合物c3に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、モルホリンは100モル%、酢酸エチルは90モル%であった。
実施例1の化合物c3を化合物c9に変更した以外は同様の方法で、N,N-ジメチルアセトアミドが化合物c9に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c9を100モル%としたとき、N,N-ジメチルアセトアミドは100モル%であった。
実施例1の化合物c3を化合物c2に変更した以外は同様の方法で、N,N-ジメチルアセトアミドが化合物c2に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c2を100モル%としたとき、N,N-ジメチルアセトアミドは100モル%であった。
実施例1の化合物c3を化合物c10に変更した以外は同様の方法で、N,N-ジメチルアセトアミドが化合物c10に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c10を100モル%としたとき、N,N-ジメチルアセトアミドは185モル%であった。
実施例1の化合物c3を化合物c1に変更した以外は同様の方法で、N,N-ジメチルアセトアミドが化合物c1に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c1を100モル%としたとき、N,N-ジメチルアセトアミドは100モル%であった。
2gの化合物c3にN,N-ジメチルアセトアミドを4mL加え、60℃で1時間撹拌することにより、化合物c3を溶解させた。次いで、水16mLを加え、50℃で2時間撹拌した後、25℃で1時間撹拌した。析出物を濾取し、水10mLで洗浄後、60℃で乾燥することで、N,N-ジメチルアセトアミドが化合物c3に溶媒和した溶媒和物を得た。溶媒和物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、N,N-ジメチルアセトアミドは6.8モル%であった。
2gの化合物c3にメタンスルホン酸を4mL加え、60℃で1時間撹拌することにより、化合物c3を溶解させた。次いで、水6mL及びアセトニトリル10mLを加え、50℃で2時間撹拌した後、25℃で1時間撹拌した。析出物を濾取し、水:アセトニトリル=1:1混合液10mLで洗浄後、60℃で乾燥した。1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったところ、化合物c3を100モル%としたとき、メタンスルホン酸は0モル%であった。
2gの化合物c3にN,N,N’,N’-テトラエチルマロンアミドを4mL加え、60℃で1時間撹拌させたが、化合物c3がN,N,N’,N’-テトラエチルマロンアミドに溶解しなかった。次いで、酢酸エチル8mL及びノルマルヘキサン8mLを加え、50℃で2時間撹拌した後、25℃で1時間撹拌した。撹拌後の不溶物を濾取し、酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:1混合液10mLで洗浄後、60℃で乾燥することで得られた濾取物の1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったが、N,N,N’,N’-テトラエチルマロンアミドは観測されなかった。
N,N,N’,N’-テトラエチルマロンアミドをN,N-ジメチルデカンアミドに変更した以外は比較例2と同様の方法で得られた濾取物について、1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったがN,N-ジメチルデカンアミドは観測されなかった。
N,N,N’,N’-テトラエチルマロンアミドを1-メチルピペリジンに変更した以外は比較例2と同様の方法で得られた濾取物について、1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったが1-メチルピペリジンは観測されなかった。
N,N,N’,N’-テトラエチルマロンアミドをトリエチルアミンに変更した以外は比較例2と同様の方法で得られた濾取物について、1H-NMR測定(300MHz、DMSO-d6)を行ったがトリエチルアミンは観測されなかった。
合成例1で得られた化合物c3をそのままで使用した。
HPLC純度
島津製作所(株)製の高速液体クロマトグラフィー(SPD-10AV VP)を用い、下記条件にて結晶の純度を測定した。なお、結晶が溶媒和している場合は、溶媒由来のピークは差し引いてから、HPLC純度を算出した。
カラム:TSKgel ODS-100Z 5μm(4.6mmφ×150mm)(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
溶離液:
アセトニトリル:純水:リン酸(体積比)
=700:300:1
流速:1.0ml/min
検出波長:254nm
注入量:10μL
サンプル濃度:5mg/50mlとなるように溶離液で希釈
島津製作所(株)製の分光光度計(UV-2550)を用い、下記条件にて波長450nmにおける結晶の透過率を測定した。450nmにおける透過率が高いほど、結晶の黄色の着色が少ないことを示す。
セル:角型石英セル(光路長:1cm)
サンプル濃度:50.0mg/50mLとなるように結晶をN,N-ジメチルアセトアミド溶液で希釈
ブランク:N,N-ジメチルアセトアミド溶液
実施例1~10、比較例1~6の結晶50mgに対し、テトラヒドロフランを混合し、室温における結晶の溶解性を評価した。結晶中に含まれる溶媒量を差し引いた値をW(単位=mg)としたとき、
A: Wに対し、25mL未満のテトラヒドロフランで完全に溶解する。
B: Wに対し、25mL未満のテトラヒドロフランで完全に溶解しないが、25mL以上、50mL未満でテトラヒドロフランに溶解する。
C: Wに対し、50mLのテトラヒドロフランで溶解しない。
株式会社リガク社製のX線回折装置(SmartLab)を用いて、実施例及び比較例で得られた結晶の粉末X線回折(XRD)測定を行った。
管球: CuKα
出力: 40kV30mA
測定範囲: 2θ=3~80°
サンプリング間隔: 0.02°
測定速度: 5°/分
Claims (5)
- 一般式3で表される化合物の溶媒和物の結晶であって、
前記溶媒和物を構成する溶媒が、窒素原子含有有機化合物を含み、
前記窒素原子含有有機化合物中の炭素原子の数を窒素原子の数と酸素原子の数との和で割った値が5以下であり、
前記窒素原子含有有機化合物の分子量が200以下であり、
前記窒素原子含有有機化合物がN,N’-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、ピリジン、およびモルホリンからなる群より選択されるいずれか1種以上である、前記溶媒和物の結晶;
qが2である場合、複数のR 3 は同じであっても異なっていてもよく;
rが2である場合、複数のR 4 は同じであっても異なっていてもよく;
tが2である場合、複数のR 8 は同じであっても異なっていてもよい。 - 窒素原子含有有機化合物の含有量が、一般式1で表される化合物100モル%に対して、10~200モル%である請求項1または2に記載の溶媒和物の結晶。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の溶媒和物の結晶の製造方法であって、
前記窒素原子含有有機化合物を溶媒として一般式1で表される化合物を晶析することを含む製造方法。 - 一般式1で表される化合物を前記窒素原子含有有機化合物からなる溶媒に溶解させた後、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸ブチルからなる群より選択されるいずれか1種以上を含む溶媒を添加し、前記溶媒和物の結晶を析出させることを含む、請求項4に記載の製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
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