JP5191701B2 - ジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法 - Google Patents

ジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外線吸収色素として有用なジチオレート系金属錯体前駆体または有機電荷移動錯体として有用なテトラチアフルバレン誘導体前駆体やジチオレート系金属錯体またはテトラチアフルバレン誘導体の製造方法に関するものである。
一般に、近赤外線吸収色素を含有した樹脂からなるプラスチック性近赤外線吸収フィルターはよく知られており、その用途としてはサングラス、溶接用眼鏡、ビルや自動車、電車、飛行機の窓、あるいは情報読み取りのための光学読み取り装置等が挙げられる。
また、最近では、大型薄型の壁掛けテレビとして注目されているプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)が、近赤外線を発生してコードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こすことから、PDP用フィルターとしても800nm〜1100nmの近赤外線を吸収する赤外線吸収色素を含有したフィルターの要求がある。
このうち、アルキルチオ基またはアリールチオ基を置換基として有するジチオレート系金属錯体化合物が、近赤外線吸収能を有する光学フィルターに用いることができることは知られている(例えば、特許文献1参照)。
一般に、一般式(2)で表される化合物は以下の方法によって製造されている。まず、一般式(1)で表される化合物をメタノール等の溶媒に溶解または分散後、水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシド等のアルカリを用いて塩とし、一般式(2)のR、Rに相当する有機基を有する化合物と反応させることにより、一般式(2)の化合物が得られる。この際、使用される溶媒としては上記メタノールの他にエタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられる。また、水/ベンゼン等の混合溶媒中で相関移動触媒を用いて製造されることもある(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 0005191701
(式中、X 、X 、Y 、Y はそれぞれ独立に硫黄原子またはセレン原子を示し、Z 、Z はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。)
Figure 0005191701
(式中、R 、R はそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示すか、または、R およびR は一体となって連結基を示す。また、式中、X 、X 、Y 、Y はそれぞれ独立に硫黄原子またはセレン原子を示し、Z は酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。)
しかしながら、これらの方法では反応中の副生物の生成が多く、ジチオレート系金属錯体化合物の前駆体としてはそのまま使用できず、精製が必要であるという問題があった。
更に、精製が困難である場合には一般式(1)で表される化合物をメタノール等の溶媒に溶解または分散後、水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシド等のアルカリを用いてナトリウム塩とした後、塩化亜鉛、テトラエチルアンモニウムブロマイドを順に加えることで亜鉛塩を得、ここへ適当な溶媒中で一般式(2)のR、Rに相当する有機基を有する化合物と反応させることにより、一般式(2)の化合物が得ることもできる。
しかしながら、この方法では反応工程数が増加し、また、高価な原料を使用することになり、工業的には不利であった。
そこで、一般式(2)で表される化合物が近赤外線吸収色素として使用されるジチオレート系金属錯体の前駆体として使用される場合には、反応工程数が少なく、副生物の少ない一般式(2)で表される化合物の製造方法が求められていた。
特開昭64−69686号公報 Niels Svenstrup, Jan Becher、The Organic Chemistry of 1,3−Dithiole−2−thione−4,5−dithiolate (DMIT)、Synthesis、March 1995、p.215−235
本発明は、一般式(2)で表される化合物を製造する際の副生物の生成を効果的に抑制する製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、一般式(2)で表される化合物を製造する際に、特定の溶媒を使用することにより、一般式(2)で表される化合物の製造において副生物の生成を効果的に抑制することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
(1)下記一般式(1)
Figure 0005191701
(式中、X、X、Y、Yはそれぞれ独立に硫黄原子またはセレン原子を示し、Z、Zはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。)で表される化合物を塩基と反応させた後、硫黄原子含有溶媒の存在下でアルキル化剤と反応させ、下記一般式(2)
Figure 0005191701
(式中、R、Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示すか、または、RおよびR は一体となって連結基を示す。また、式中、X、X、Y、Y はそれぞれ独立に硫黄原子またはセレン原子を示し、Z は酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。)で表される化合物を得ることを特徴とするジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、
(2)アルキル化剤が下記一般式
(R)n−L (a)
(R)n−L (b)
または
L−R−R−L (c)
(一般式(a)および一般式(b)におけるR、Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示し、また、一般式(c)における−R−R−は連結基を示し、一般式(a)、(b)および(c)におけるLはハロゲン原子、p−トルエンスルホン酸基、メタンスルホン酸基またはSO基を示し、nは1または2を示す。)から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、
(3)硫黄原子含有溶媒がスルホキシド類、スルホン類、チオフェン類、スルトン類からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、
(4)硫黄原子含有溶媒がスルホキシド類であることを特徴とする(1)または(2)に記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、
)一般式(1)におけるX、X、Y、Yが硫黄原子、Z、Zが酸素原子若しくは硫黄原子、一般式(2)におけるX、X、Y、Yが硫黄原子、Zが酸素原子若しくは硫黄原子であることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、
)RおよびRがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、
)RおよびRがアルキル基、アリール基であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法、に関する。
上記の製造方法により、一般式(2)で表される化合物を製造する際の副生物の生成を効果的に抑制することができる。また、このようにして得られたチオール誘導体またはセレノール誘導体は近赤外線吸収色素として有用なジチオレート系金属錯体や有機電荷移動錯体として有用なテトラチアフルバレン誘導体の原料として利用することができる。
本発明によれば、一般式(2)で表される化合物を製造する際に、硫黄原子含有溶媒の存在下で行なうことにより、副生物の生成が抑制された一般式(2)で表されるジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体を得ることができる。更に、このようにして得られたチオール誘導体またはセレノール誘導体は近赤外線吸収色素として有用なジチオレート系金属錯体や有機電荷移動錯体として有用なテトラチアフルバレン誘導体の原料として利用することができる。
本発明で使用される一般式(1)で示される化合物としては、工業的な製造のし易さやアルカリと作用させた場合の開環し易さ(即ち、ジアニオンの発生のさせ易さ)等の観点から、例えば、1,3,4,6−テトラチアペンタレン−2,5−ジオン、1,3,4,6−テトラチアペンタレン−2,5−ジチオン、1,3,4,6−テトラチアペンタレン−2,5−ジセレノン、1,3,4,6−テトラセレノペンタレン−2,5−ジオン、1,3,4,6−テトラセレノペンタレン−2,5−ジチオン、1,3,4,6−テトラセレノペンタレン−2,5−ジセレノン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも1,3,4,6−テトラチアペンタレン−2,5−ジオン、1,3,4,6−テトラチアペンタレン−2,5−ジチオンが好ましい。
本発明で使用される塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシドや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物やn−ブチルリチウム、メチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機リチウム化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また、二種以上を併用して用いてもよい。塩基の使用量は、一般式(1)で表される化合物1モルに対して2モル程度が好ましい。塩基の使用量が少なすぎると一般式(1)で表される化合物が十分にジアニオン化されないため原料が残存し、一方、塩基の使用量が多すぎると副生物が増え、製造上不利益となる。
本発明で使用されるアルキル化剤としては、アルキル化に使用できる試剤であればいかなるものでもよいが、アニオン性反応基質(求核試剤)のアルキル化としては、ハロゲン化アルキル、スルホン酸アルキルまたは硫酸ジアルキル等が挙げられる。
また、上記アルキル化剤は、一般式
(R)n−L (a)
(R)n−L (b)
または
L−R−R−L (c)
(一般式(a)および一般式(b)のR、Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示し、また、一般式(c)の−R−R−は連結基を示し、一般式(a)、(b)および(c)のLはハロゲン原子、p−トルエンスルホン酸基、メタンスルホン酸基またはSO 基を示し、nは1または2を示す。)として表すこともできる。
本発明の一般式(a)、(b)、(c)、一般式(2)中、R、Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示す。
上記脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、イソペンチル、tert−ペンチル、3−メチル−2−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、4−メチル−2−ペンチル、1−ヘプチル、3−ヘプチル、1−オクチル、2−オクチル、2−エチル−1−ヘキシル、tert−オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基やビニル,アリル,2−ブテニル,2,4−ブタジエニル基等のアルケニル基やエチニル、プロピニル、プロパルギル、2−ブチニル基等のアルキニル基が挙げられる。これらのうち好ましくは炭素数6以下の直鎖状または分岐鎖状のものである。
上記アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、シアノフェニル基、ジニトロフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、イミダゾリル基等が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基およびアリール基の置換基としては、本発明の効果に悪影響を与えない基であれば、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、イミド基およびシリル基等からなる群より選択された基が挙げられる。これらの置換基として具体的にはメチル基、エチル基等の炭素数1〜6程度のアルキル基;エチニル基、プロピレニル基等の炭素数1〜6程度のアルケニル基;アセチレニル基等炭素数1〜6程度のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20程度のアリール基;チエニル基、フリル基、ピリジル基等の炭素数3〜20程度の複素環基;エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6程度のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜20程度のアリールオキシ基;ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基等の等の炭素数3〜20程度の複素環オキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1〜6程度のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等の炭素数6〜20程度のアリールチオ基;ピリジルチオ基、チエニルチオ基等の等の炭素数3〜20程度の複素環チオ基;ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の炭素数1〜20程度の置換基を有していてもよいアミノ基;アセチル基、ピバロイル基等の炭素数2〜20程度のアシル基;アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基等の炭素数2〜20程度のアシルアミノ基;3−メチルウレイド基等の炭素数2〜20程度のウレイド基;メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等の炭素数1〜20程度のスルホンアミド基;ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等の炭素数1〜20程度のカルバモイル基;エチルスルファモイル基等の炭素数1〜20程度のスルファモイル基;ジメチルスルファモイルアミノ基等の炭素数1〜20程度のスルファモイルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6程度のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基等の炭素数7〜20程度のアリールオキシカルボニル基;ピリジルオキシカルボニル基等の炭素数6〜20程度の複素環オキシカルボニル基;メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等の炭素数1〜6程度のアルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、モノフルオロベンゼンスルホニル基等の炭素数6〜20程度のアリールスルホニル基;チエニルスルホニル基等の炭素数3〜20程度の複素環オキシスルホニル基;フタルイミド等の炭素数4〜20程度のイミド基等が挙げられる。
また、一般式(c)の−R−Rで示される連結基および一般式(2)のR、R2が一体となって連結基を示す場合の連結基としては、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CF2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH(Ph)−CH2−、−CH(Me)−CH2−等の置換されていてもよいアルキレン基;−CH=CH−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−CH2−CH2−CH=CH−等の置換されていてもよいアルケニレン基;−CH2−S−CH2−、−CH2−O−CH2−、−CH2−C(=O)−CH2−、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−等の連結基を示す。ここで、Phはフェニル基、Meはメチル基を示す。また、これらの連結基は更に置換基を有していてもよく、その置換基は、上記該脂肪族炭化水素基およびアリール基の置換基と同様なものを示す。
一般式(2)で表されるジチアシクロペンテン誘導体の好ましい具体例としては、例えば、以下の構造で示されるものが挙げられるが、以下の化合物に限定されるものではない。また、対応するチオン誘導体(Z=S)も同様に好ましい具体例に含まれるものである。
Figure 0005191701
Figure 0005191701
Figure 0005191701
Figure 0005191701
Figure 0005191701
Figure 0005191701
本発明で使用される溶媒は、スルホキシド類、スルホン類、チオフェン類、スルトン類等の硫黄原子含有溶媒が挙げられる。スルホキシド類の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、フェニルメチルスルホキシド、スルホン類の具体例としては、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン、テトラメチレンスルホン、その他の具体例として、テトラヒドロチオフェン、1,3−プロパンスルトンが挙げられる。中でも、ジメチルスルホキシドが好ましい。
また、単独での使用が本発明の効果を最も得ることができるが、用いる原料等による反応系の溶解度等の特性を考慮して、水やメタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、ヘキサン等の炭化水素類等のような不活性な溶媒によって希釈してもよい。使用される溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)の使用量は、溶媒100重量部中、50〜100重量部が好ましい。更に好ましくは70〜100重量部である。使用量が50重量部未満では、本発明の効果があまり顕著ではない。
反応温度は、反応の進行速度に応じて任意に設定可能であるが、通常、−5〜100℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜100℃で行われ、特に好ましくは25〜100℃で行われ、温度が高いほど進行は速いが副生物の生成も多くなる。反応温度と反応時間を考慮して選択することが好ましい。
反応時間は、通常10分以上24時間以下であるが用いる溶媒の種類やその他の反応条件にも依存するので、任意に設定すればよい。また、反応の進行度合いは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認することができる。
本発明の製造方法については、上記の記載および実施例を参照しつつ、原料、反応条件等を適宜選択し、必要に応じてこれらの方法に改変を加えることにより、副生物の少ない一般式(2)で表されるジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体を容易に製造することができる。また、それを用いてジチオレート系金属錯体およびテトラチアフルバレン誘導体を容易に製造することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。面積%はHPLC分析を下記条件で行ない求めた。
<HPLC条件>
カラム:ODS 4.6mm×250mm
移動層:テトラヒドロフラン/水=7/3
流量:1mL/分
検出波長:254nm
実施例1
1,3,4,6−テトラチアペンタレン−2,5−ジオンの1.0g、イソプロピルブロマイドの1.5g、ジメチルスルホキシドの10mLを仕込み、28%ナトリウムメトキシドの1.9gを反応液の温度を30℃以下に保ちながら滴下した。滴下終了後、40℃にて主成分のHPLC面積%が飽和に達するまで反応を行なった。反応終了後、室温まで冷却した。トルエン25mLと水20mLを加え、分液後、下層の水層を除去した。更にトルエン層を25mLの水で2回水洗した。得られたトルエン層からトルエンを減圧留去すると茶褐色の液体濃縮物が1.2g得られた。この液体の主成分のHPLC面積%は93.7%であった。
更にこの液体をシリカゲル担体とヘキサン/酢酸エチル混合溶媒(95/5)とを用いて、カラムクロマトグラフ法により精製した。MS、IRおよび 1H−NMRにより分析したところ、下記の結果が得られ、4,5−ビス(イソプロピルチオ)−1,3−ジチオール−2−オンであることが確認された。MS(m/z):266(M+)。IR(neat、cm-1):2960,2925,2865,1665,1605,1460,1385,1365,1240,1150,1050,880,740。1H−NMRδ[CDCL]:1.35(d,12H ),3.37(m ,2H)
実施例2〜3
実施例1の条件を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして茶褐色液体を得た。得られた液体の主成分のHPLC分析結果を表に示す。
比較例1〜5
実施例1の条件を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして茶褐色液体を得た。得られた液体の主成分のHPLC分析結果を表に示す。
Figure 0005191701
表1の結果から以下のことが明らかである。
反応溶媒としてジメチルスルホキシドを適用した場合は、メタノール等の他の溶媒系を適用した場合に比べ目的物の面積%が大幅に向上しており、副生成物の生成の抑制が達成されていることが明らかである。
参考例1
実施例1で得られた茶褐色の液体濃縮物1.1gとメタノール5mLを仕込み、この反応溶液に28%ナトリウムメトキシドの1.6gを滴下し、30分撹拌した。これにメタノール5mLに溶かした塩化ニッケル六水和物の0.6gを滴下し、更に25℃で30分撹拌した。これにトルエン30mLおよび酢酸5mLを加え、16時間撹拌した。得られた反応溶液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をトルエンで抽出した後、このトルエン溶液を水洗してから濃縮した。これにメタノール50mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、ビス[1,2−ビス(イソプロピルチオ)−1,2−エテンジチオレート(2−)]ニッケルを65%の収率で得た。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0005191701
    (式中、X、X、Y、Yはそれぞれ独立に硫黄原子またはセレン原子を示し、Z、Zはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。)で表される化合物を塩基と反応させた後、ジメチルスルホキシドの存在下でアルキル化剤と反応させ、下記一般式(2)
    Figure 0005191701
    (式中、R、Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示すか、または、RおよびRは一体となって連結基を示す。また、式中、X、X、Y、Yはそれぞれ独立に硫黄原子またはセレン原子を示し、Zは酸素原子、硫黄原子またはセレン原子を示す。)で表される化合物を得ることを特徴とするジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法。
  2. アルキル化剤が下記一般式
    (R)n−L (a)
    (R)n−L (b)
    または
    L−R−R−L (c)
    (一般式(a)および一般式(b)におけるR、Rはそれぞれ独立して、置換されていてもよい脂肪族炭化水素基または置換されていてもよいアリール基を示し、また、一般式(c)における−R−R−は連結基を示し、一般式(a)、(b)および(c)におけるLはハロゲン原子、p−トルエンスルホン酸基、メタンスルホン酸基またはSO基を示し、nは1または2を示す。)から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法。
  3. 一般式(1)におけるX、X、Y、Yが硫黄原子、Z、Zが酸素原子若しくは硫黄原子、一般式(2)におけるX、X、Y、Yが硫黄原子、Zが酸素原子若しくは硫黄原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法。
  4. およびRがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法。
  5. およびRがアルキル基、アリール基であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のジチアシクロペンテン誘導体またはジセレナシクロペンテン誘導体の製造方法。
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