JP7252020B2 - ネガ型感光性樹脂組成物及び硬化レリーフパターンの製造方法 - Google Patents
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Description
[1]
(A)ポリイミド前駆体と、
(B)下記一般式(1):
で表されるイミド化合物と、
(C)光重合開始剤と、
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
[2]
上記一般式(1)表される(B)イミド化合物のA1が、ヒドロキシル基またはアミノ基のいずれかである、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]
上記一般式(1)で表される(B)イミド化合物のA1が、ヒドロキシル基である、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[4]
上記(B)イミド化合物が、下記一般式(2):
で表される、項目1~3のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[5]
上記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(3):
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を含む、項目1~4のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[6]
上記X1が、下記一般式:
で表される4価の有機基を含む、項目5に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7]
上記X1が、下記一般式:
で表される4価の有機基を含む、項目5に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[8]
上記Y1が、下記一般式:
で表される2価の有機基を含む、項目5に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[9]
上記Y1が、下記一般式:
で表される2価の有機基を含む、項目5に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[10]
上記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(5):
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を含む、項目1~9のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[11]
上記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(6):
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を含む、項目1~10のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[12]
上記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(7):
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を含む、項目1~11のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[13]
上記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(5):
で表される構造単位と、
下記一般式(6):
で表される構造単位の両方を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[14]
100質量部の上記(A)ポリイミド前駆体と、
上記(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1~30質量部の上記(B)イミド化合物と、
上記(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1~20質量部の上記(C)光重合開始剤と
を含む、項目1~13のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[15]
(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1~30質量部の(D)熱塩基発生剤を更に含む、項目1~14のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[16]
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、絶縁部材形成用のネガ型感光性樹脂組成物である、項目1~15のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[17]
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、層間絶縁膜形成用のネガ型感光性樹脂組成物である、項目1~16のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[18]
(1)項目1~17のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を上記基板上に形成する工程と、
(2)上記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)露光後の上記感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[19]
上記加熱処理は200℃以下の加熱処理である、項目18に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
[20]
上記加熱処理は180℃以下の加熱処理である、項目19に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
[21]
項目1~17のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化することを含む、ポリイミドの製造方法。
なお、本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合に、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、
(A)ポリイミド前駆体と、
(B)下記一般式(1):
で表されるイミド化合物と、
(C)光重合開始剤を含む。
本実施形態における(A)ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、加熱環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。(A)ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に使用することのできる樹脂であればその構造は制限されないが、アルカリ可溶性でないことが好ましい。ポリイミド前駆体がアルカリ可溶性でないことで、高い耐薬品性を得ることができる。ポリイミド前駆体がアルカリ可溶性でないとは、以下のように定義することができる。γ-ブチルラクトン中に30質量%のポリイミド前駆体を溶解させた溶液を、ウェハー上にコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、ホットプレートにて110℃で180秒間プリベークを行い、約5μm厚の塗膜を形成する。この塗膜に、2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いて60秒間パドル現像し、水で10秒間回転スプレーリンスし、塗膜の膜厚を測定する。現像前後の塗膜の膜厚に基づいて、前記現像工程による膜厚の減少速度(nm/秒)を算出する。膜厚の減少速度が、1nm/秒以下であれば、ポリイミド前駆体はアルカリ可溶性でないといえる。
一般式(3)におけるR1及びR2が水素原子である割合は、R1及びR2全体のモル数を基準として10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。また、一般式(3)におけるR1及びR2が上記一般式(4)で表される1価の有機基である割合は、R1及びR2全体のモル数を基準として70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。水素原子の割合、及び一般式(4)の有機基の割合が上記範囲にあることは、感光特性と保存安定性の観点から好ましい。
(A)ポリイミド前駆体は、まず前述の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類、及び任意に不飽和二重結合を有さないアルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、部分的にエステル化したテトラカルボン酸と、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(20)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。代替的には、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態における(B)イミド化合物は、下記一般式(1):
本実施形態に用いられる(C)光重合開始剤について説明する。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、(D)塩基発生剤を含有していても良い。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、感光性樹脂組成物のイミド化をさらに促進することができる。
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、含窒素複素環化合物を任意に含んでもよい。含窒素複素環化合物としては、アゾール化合物、及びプリン誘導体等が挙げられる。
また、銅表面上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、 1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、 1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートがより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、ネガ型感光性樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでもよい。接着助剤としては、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
ネガ型感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に含んでもよい。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
また、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時のネガ型感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法は、(1)上述した本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、樹脂層を上記基板上に形成する工程と、(2)上記樹脂層を露光する工程と、(3)露光後の上記樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程と、(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む。
本工程では、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱処理して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱処理は、例えば、160℃~350℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
本実施形態のポリイミドは、ネガ型感光性樹脂組成物を硬化することにより製造することができる。上記ポリイミド前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンに含まれるポリイミドの構造は、下記一般式(8)で表される。
本実施形態では、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。したがって、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供されることができる。また、基材として半導体素子を用い、上述した本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。半導体装置は、本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本実施形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件下で測定した。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:昭和電工(株)製Shodex KD-806M 直列に2本、又は
昭和電工(株)製Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105
移動相:0.1mol/L LiBr/N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
流速:1mL/min.
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハー上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約15μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により1000mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いて、未露光部が完全に溶解消失するまでの時間に1.4を乗じた時間、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートで10秒間回転スプレーリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハーを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、表1に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約8~10μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。
上記硬化レリーフパターン樹脂部をATR-FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定し、1380cm-1のピーク強度を1500cm-1のピーク強度で割った値をイミド化指数とし、各実施例及び比較例の膜のイミド化指数を、該当する樹脂組成物を350℃で硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド率として算出した。イミド化率は、以下の基準に基づき評価した。
「優」:イミド化率が80%以上
「良」:イミド化率が60%以上-80%未満
「可」:イミド化率が40%以上-60%未満
「不可」:イミド化率が40%未満
後述の方法により調製した感光性樹脂組成物を、上述の硬化レリーフパターンの作成と同様に、予めAlをスパッタしておいた6インチシリコンウエハー上に塗布、プリベークした後、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、表1に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Al上に約10μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。この樹脂膜を、ダイシングソー(ディスコ製、型式名DAD-2H/6T)を用いて3.0mm幅にカットし、10%塩酸水溶液に浸漬してシリコンウェハー上から剥離し、短冊状のフィルムサンプルとした。このフィルムサンプルを23℃、55%RHの雰囲気に24時間以上放置した後、熱重量測定装置(島津社製、TGA-50)を用いて、室温から10℃/minで昇温した際に、150℃に達した際の膜の重量を100%として重量が5%減少する温度(5%重量減少温度)を測定した。脱ガス性は、以下の基準に基づき評価した。
「優」:5%重量減少温度が300℃以上
「良」:5%重量減少温度が280℃以上300℃未満
「可」:5%重量減少温度が260℃以上280℃未満
「不可」:5%重量減少温度が260℃未満
後述の方法により調製した感光性樹脂組成物を、上述の硬化レリーフパターンの作成と同様に、予めTi及びCuをスパッタしておいた6インチシリコンウエハー上に塗布、プリベークした後、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、表1に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約10μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。加熱処理後の膜にJIS K 5600-5-6規格のクロスカット法に準じて、銅基板/硬化樹脂塗膜間の接着特性を以下の基準に基づき、評価した。
「優」:基板に接着している硬化樹脂塗膜の格子数が100
「良」:基板に接着している硬化樹脂塗膜の格子数が70~99
「可」:基板に接着している硬化樹脂塗膜の格子数が40~69
「不可」:基板に接着している硬化樹脂塗膜の格子数が40未満
上記(2)の方法で作成したレリーフパターンを、レジスト剥離膜{ATMI社製、製品名ST-44、主成分は2-(2-アミノエトキシ)エタノール、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン}を50℃に加熱したものに5分間浸漬し、流水で30分間洗浄し、風乾した。その後、膜表面を光学顕微鏡で目視観察し、クラック等の薬液によるダメージの有無や、薬液処理後の膜厚の変化率をもって耐薬品性を評価した。耐薬品性は、いかに基準に基づき、評価した。
「優」:クラック等が発生せず、膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として5%未満
「良」:クラック等が発生せず、膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として5%以上10%未満
「可」:クラック等が発生せず、膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として10%以上15%未満
「不可」:クラック等が発生したもの、または膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として15%以上
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間放置した。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリイミド前駆体A-1)を得た。ポリイミド前駆体A-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。ポリイミド前駆体A-1は、アルカリ可溶性ではなかった。
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(ポリイミド前駆体A-2)を得た。ポリイミド前駆体A-2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。ポリイミド前駆体A-2は、アルカリ可溶性ではなかった。
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン50.2gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(ポリイミド前駆体A-3)を得た。ポリイミド前駆体A-3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は19,000であった。ポリイミド前駆体A-3は、アルカリ可溶性ではなかった。
容量1Lのナス型フラスコ中へ、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル(東京化成工業株式会社製)100gとエタノール100gを加えてスターラーで混合撹拌して均一溶液とし、氷水で5℃以下に冷却した。これに、二炭酸ジ-tert-ブチル(東京化成工業株式会社製)215gをエタノール120gに溶解したものを滴下ロートにより滴下した。この際、反応液温が50℃以下を保つように滴下速度を調整しながら滴下を行った。滴下終了から2時間後、反応液を50℃で3時間減圧濃縮することにより、目的の化合物D-1を得た。
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、(B)イミド化合物としてB-1:5g、(C)光重合開始剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(以下ではPDOと表記、感光剤C-1に該当):3gを、γ-ブチルラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLをさらに加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
表1に示すとおりの配合比で調製したこと以外は、実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1及び2に示す。表1及び2に記載されている(B)イミド化合物B-1~B-7、(C)光重合開始剤C-1、(D)熱塩基発生剤D-1、D-2は、それぞれ以下のとおりである。
B-2:N-ヒドロキシスクシンイミド(東京化成工業株式会社製)
B-3:N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド(東京化成工業株式会社製)
B-4:N,N’-ジヒドロキシピロメリットイミド(東京化成工業株式会社製)
B-5:N-ヒドロキシ-4-ニトロフタルイミド(東京化成工業株式会社製)
B-6:N-アミノフタルイミド(東京化成工業株式会社製)
B-7:フタルイミド(東京化成工業株式会社製)
C-1:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
D-1:製造例4に記載の化合物
D-2:1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン(東京化成工業株式会社製)
特に、(A)ポリイミド前駆体として、A-1を用いた実施例1では、優れた耐薬品性を示した。また、(B)イミド化合物としては、B-1を、ポリマー100質量部を基準として5質量部加えたときに、特に優れた耐薬品性と脱ガス低減効果が得られた。加えて、(D)熱塩基発生剤D-1およびD-2を加えた場合、特に優れたイミド化率を示した。
他方、(B)イミド化合物を添加しない比較例1では、すべての評価で「不可」となり、硬化温度を170℃から200℃にした比較例2でも、銅密着性評価で「不可」となった。また、(B)イミド化合物を添加せず、(D)熱塩基発生剤D-1のみを添加した比較例3では、イミド化率は「良」であったものの、銅密着性評価と耐薬品性評価で「不可」となった。
Claims (20)
- 前記一般式(1)で表される(B)イミド化合物のA1が、ヒドロキシル基である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 100質量部の前記(A)ポリイミド前駆体と、
前記(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1~30質量部の前記(B)イミド化合物と、
前記(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1~20質量部の前記(C)光重合開始剤と
を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。 - (A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1~30質量部の(D)熱塩基発生剤を更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物は、絶縁部材形成用のネガ型感光性樹脂組成物である、請求項1~14のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記ネガ型感光性樹脂組成物は、層間絶縁膜形成用のネガ型感光性樹脂組成物である、請求項1~15のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- (1)請求項1~16のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)露光後の前記感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。 - 前記加熱処理は200℃以下の加熱処理である、請求項17に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
- 前記加熱処理は180℃以下の加熱処理である、請求項18に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
- 請求項1~16のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化することを含む、ポリイミドの製造方法。
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