JP7251220B2 - インクジェットインキ組成物、インクジェット記録物、及び、インクジェット組成物の製造方法 - Google Patents

インクジェットインキ組成物、インクジェット記録物、及び、インクジェット組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェットインキ組成物、インクジェット記録物、及び、インクジェッ
ト組成物の製造方法に関するものである。
インクジェット印刷方式は、被印刷基材に対して、インクジェットヘッドからインキ組
成物の微小液滴を飛翔、着弾させて画像や文字を印刷する印刷方式であり、版を必要とし
ないことを特徴とする。インクジェット印刷方式は、従来のオフセット印刷やグラビア印
刷と比較して、装置のイニシャルコストや印刷時のランニングコスト、装置サイズの面で
優れている反面、画像品質が劣っていた。そのため、インクジェット印刷は、主査方向に
搬送される被記録媒体に対して、インクジェットヘッドを副査方向に複数回(2回以上)
往復移動させさせることにより画像品質を向上させたマルチパス方式の印刷が主流であり
、生産性が低く、小ロット・多品種の印刷のみに用いられてきた。
近年、インクジェットヘッドの高密度化(高精細)、小液滴化等による画像品質の向上
に伴い、インクジェットヘッドを固定したまま、搬送している被記録媒体に1回で印刷す
る大ロット・高速印刷が可能なジングルパス方式が、オフセット印刷やグラビア印刷の代
替として期待されている。
オフセット印刷やグラビア印刷の代替には、広い色再現が要求される。そのため、従来
、分散安定性や吐出性等に課題があるため、インクジェットインキでは使用していなかっ
た様々な顔料を使用する試みがされており、そのひとつとしてイエロー顔料として、イソ
インドリン系顔料を使用することや、イソインドリン系顔料を使用したインクジェットイ
ンキの分散安定性、吐出安定性の改善が提案されている(例えば、特許文献1~4)。
特開2006-348206号公報 特開2010-180376号公報 特開2011-84727号公報 特開2014-55198号公報
しかしながら、イソインドリン系顔料を含有するインクジェットインキ組成物を、高湿
環境下や低湿環境下でインクジェット印刷すると、インクジェットヘッドのノズルに析出
物が発生し安定的に長期吐出することができないことが明らかになった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高湿及び低湿いずれの環境下に
おいても長期の吐出性に優れ、かつ、高温及び低温での保存安定性に優れたインクジェッ
トインキ組成物、並びに、インクジェットインキ組成物の製造方法に関するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すインクジェッ
トインキ組成物、及び、インクジェットインキ組成物の製造方法により、上記課題を解決
できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、イソインドリン系顔料と、顔料分散樹脂と、酸性化合物とを含有するインクジェットインキ組成物であって、
インキ全質量中のナトリウムイオンの含有率が20ppm以下であり、かつ、インキ全質量中のカルシウムイオンの含有率が20ppm以下であり、
前記顔料分散樹脂が、酸価が10mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が30~50mgKOH/gであることを特徴とする、インクジェットインキ組成物に関する。
また本発明は、前記酸性化合物が、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、25℃の
水中での第1酸解離定数が1~4であることを特徴とする、上記インクジェットインキ組
成物に関する。
また本発明は、イソインドリン系顔料と、顔料分散樹脂と、を含有するインクジェットインキ組成物であって、
インキ全質量中のナトリウムイオンの含有率が20ppm以下であり、かつ、インキ全質量中のカルシウムイオンの含有率が20ppm以下であり、
前記顔料分散樹脂が、酸価が10mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が30~50mgKOH/gであることを特徴とする、インクジェットインキ組成物に関する。(ただし、前記インクジェットインキ組成物が酸性化合物を含む場合を除く。)
また本発明は、活性エネルギー線硬化型であることを特徴とする、上記インクジェット
インキ組成物に関する。
本発明によって、高湿及び低湿いずれの環境下においても長期の吐出性に優れ、かつ、
高温及び低温での保存安定性に優れたインクジェットインキ組成物、並びに、インクジェ
ットインキ組成物の製造方法を提供することができた。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるもので
はなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、特にことわりの
ない限り、「部」とは「質量部」、「%」とは「質量%」を表す。
<インクジェットインキ組成物>
本発明のインクジェットインキ組成物(以下、インキとも称する)は、イソインドリン
系顔料と、顔料分散剤とを含有し、インキ中のナトリウムイオン及びカルシウムイオンの
含有量が、それぞれ20ppm以下であることを特徴とする。
従来のイソインドリン系顔料を含有したインクジェットインキ組成物は、湿度65%R
H以上の高湿環境下や、湿度30%RH以下の低湿環境下で印刷すると、インクジェット
ヘッドのノズルに析出物が発生するという課題があった。
本発明のインクジェットインキ組成物は、上記の構成を採用することにより、高湿、低
湿環境下においても長期の吐出性に優れ、かつ、高温及び低温での保存安定性に優れたイ
ンクジェットインキ組成物を提供できる。
詳細な機構は不明だが、インキ中に含まれるナトリウムイオンとカルシウムイオンが、
イソインドリン系顔料の合成段階で反応しない水溶解性成分、又は、合成時に生じるイソ
インドリン系顔料ではない水溶解性成分と結合する。そして、インクジェットヘッドのノ
ズル近傍に存在するインキが、高湿又は低湿環境下に曝露されることで、インキ中水分量
が変化し、ナトリウムイオンとカルシウムイオンと結合したものの溶解性が変化し、析出
すると推測される。
以下、本発明のインクジェットインキ組成物について、詳細に説明する。
[イソインドリン系顔料]
本発明のインクジェットインキ組成物は、イソインドリン系顔料を含む。
本発明に用いることができるイソインドリン系顔料としては、イソインドリン構造を有
する顔料であれば、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。具体的には、イ
ソインドリン系イエロー顔料しては、C.I.Pigment Yellow 139、
C.I.Pigment Yellow 185、イソインドリン系オレンジ顔料として
は、C.I.Pigment Orange 66、C.I.Pigment Oran
ge 69、イソインドリン系レッド顔料としては、C.I.Pigment Red
260が挙げられる。
中でも、色再現性が広く、着色力が高い、また、本発明の効果が顕著に現れるC.I.
Pigment Yellow 185を用いることが好ましい。
本発明において、前記イソインドリン系顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組
み合わせて用いてもよい。
本発明において、前記イソインドリン系顔料の含有量は、インキの全質量に対して、0
.5~20質量%であることが好ましく、1~10質量%がより好ましく、1~5質量%
がさらに好ましい。含有量を上記範囲内にすることで、印刷物の色再現性、濃度、耐光性
の点で良好な結果を得ることが容易となる。
本発明において、イソインドリン系顔料に含まれる水溶解成分量が、3質量%以下であ
ることが好ましい。水溶解成分量を上記範囲にすることで、高湿、低湿環境下でのインク
ジェットヘッドのノズル近傍での析出発生をさらに効果的に抑制することができる。
本明細書において、水溶解成分量は、以下に示す方法によって求めることができる。
容器内に顔料10.00gとイオン交換水を40.00g混合し、超音波振盪機にて1
0分間超音波をあてることで顔料を十分に湿潤させた。その後、スキャンデックス振盪機
にて回転数172rpmで4時間振盪させた。振盪後の検体を遠心分離機にて20,00
0rpmで1時間分離させた後、上澄み液を分取した。この上澄み液をポア径1ミクロン
のPTFEフィルターで濾過した後、全量を蒸発皿へ入れ乾燥させた。乾燥前後の重量を
下記方法で計算し、水溶性成分量とした。
蒸発皿の重量:M1
乾燥後の蒸発皿重量:M2

水溶解成分量(%)=(M2-M1)/10.00×100
前記イソインドリン系顔料に含まれる水溶解成分量を、3質量%以下にする方法として
は、合成後の顔料について、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンがそれぞれ50pp
m以下のイオン交換水と混合撹拌し、イオン交換水に水溶解成分を溶解させた後、フィ
ルタープレス、ヌッチェなどの一般的なろ過装置にてろ過し、顔料とイオン交換水とを分
離するという一連の工程を、所定の水溶解成分量になるまで、繰り返し実施する方法が挙
げられる。また、必要に応じて、加温しながら上記方法を実施してもよい。
本発明において、イソインドリン系顔料に含まれる有機溶剤溶解成分量が、3質量%以
下であることが好ましい。有機溶剤溶解成分量を上記範囲内にすることで、低温での保存
安定性が向上する。
本明細書において、有機溶剤溶解成分量は、以下に示す方法によって求めることができ
る。
ソックスレー抽出器を組み立て、円筒濾紙に顔料10.00gを投入した。冷却装置と
加熱装置を稼働させてから、抽出溶媒をMEKとして還流抽出を30回行った。抽出した
MEK溶液を使用し、下記計算により有機溶剤溶解成分量を算出した。
抽出液の重量:m1
蒸発皿の重量:m2
蒸発皿に抽出液を10.00g入れ乾燥させた後の蒸発皿重量:m3

有機溶剤溶解成分量(%)=((m3-m2)×m1/10.00/10.00)×1
00
前記イソインドリン系顔料に含まれる有機溶剤溶解成分量を、3質量%以下にする方法
としては、合成後の顔料について、Fedorsの式より求められる溶解度パラメーター
(以下、SP値とも称する)が9~12である有機溶剤と混合撹拌し、有機溶剤に有機
溶剤溶解成分を溶解させた後、フィルタープレス、ヌッチェなどの一般的なろ過装置にて
ろ過し、顔料と有機溶剤とを分離するという一連の工程を、所定の有機溶剤溶解成分量に
なるまで、繰り返し実施する方法が挙げられる。また、必要に応じて、加温しながら上記
方法を実施してもよい。
前記SP値が9~12である有機溶剤としては、アセトン(9.07)、メチルエチル
ケトン(9.87)、n-ブタノール(11.33)、イソプロピルアルコール(11.
58)、n-プロパノール(11.84)、N-メチルピロリドン(10.83)、N,
N-ジメチルアセトアミド(9.12)、N,N-ジメチルアセトアミド(10.20)
、テトラヒドロフラン(10.50)などが挙げられる。より好ましくは、SP値が9~
11である有機溶剤である。SP値を上記範囲内にすることで、イソインドリン系顔料自
身を溶解せずに、効果的に有機溶剤溶解成分量を所定の値にすることが可能になる。
[顔料分散樹脂]
本発明のインクジェットインキ組成物は、顔料分散樹脂を含む。
本発明に用いることが顔料分散樹脂としては、特に制限がなく、公知のものを用いるこ
とができる。具体的には、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル樹脂、マレ
イン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂等が挙
げられる。中でも、分散安定性の観点から、(メタ)アクリル樹脂、または、スチレン(
メタ)アクリル樹脂が好ましい。
また、上記顔料分散樹脂の構造に関しても、特に制限がないが、ランダム構造、ブロッ
ク構造、くし型構造、星型構造等が挙げられる。中でも、分散安定性の観点から、ブロッ
ク構造、または、くし型構造が好ましい。
上記顔料分散樹脂は、塩基性官能基を有することが好ましく、前記塩基性官能基として
は一級、二級、または三級アミノ基、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素複素環
などを挙げることができる。中でも、分散安定性の観点から、前記塩基性官能基として、
ピリジンを有することが好ましい。
上記顔料分散樹脂は、重量平均分子量が5,000~50,000であることが好まし
く、10,000~40,000であることがより好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、「GPC
」と称する)で測定した。
具体的には、TSKgelカラム(東ソー社製)と、RI検出器とを有する装置である
HLC-8120GPC(東ソー社製)を用い、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いて
測定したポリススチレン換算値として求めた。
上記顔料分散樹脂は、酸価(mgKOH/g)が10以下、アミン価(mgKOH/g)
が30~50であることが好ましく、酸価が5以下、アミン価が35~45であることが
より好ましい。酸価とアミン価が上記範囲内にすることで、高温での分散安定性が向上す
る。
「酸価」とは、分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、
電位差滴定法によって求めることが出来る。
「アミン価」とは、分散剤固形1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を
用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した値である。
上記顔料分散樹脂は、市販品として入手する以外に、公知の方法によって合成される。
上記のような特徴を有する顔料分散剤は、市販品として、ビックケミー社製のDispe
rbyk(登録商標)-2050、2055、2155、BASF社製のEFKA(登録
商標)-PX4701などが挙げられる。
上記顔料分散樹脂の含有量は、所望の分散安定性を確保する上で任意に選択される。例
えば、インクジェットインキの流動特性に優れるのは、イソインドリン系顔料に対して顔
料分散樹脂を25~150質量%とした場合である。上記範囲内で顔料分散樹脂を使用し
た場合、インクジェットインキの分散安定性が良好となり、長期経時後も初期と同等の品
質を示す傾向があるため好ましい。さらに、イソインドリン系顔料に対して顔料分散樹脂
を40~100質量%とした場合、インクジェットインキの分散安定性と吐出性の双方の
観点で好ましい。
本発明のインクジェットインキ組成物は、インキ中のナトリウムイオン及びカルシウム
イオンの含有量が、いずれも20ppm以下である。ナトリウムイオン及びカルシウムイ
オンの含有量は、それぞれ、より好ましくは、15ppm以下であり、特に好ましくは、
10ppm以下である。インク中のナトリウムイオン及びカルシウムイオンは、イソイン
ドリン系顔料の製造時に使用される水のナトリウムイオン量、カルシウムイオン量に由来
するものや、顔料合成時に用いる原料由来と推測される。そして、イソインドリン系顔料
に含まれる水溶解性成分と結合することで、溶解性が変化し、インキ中の水分量の変化で
析出すると推測される。インキ中のナトリウムイオン量及びカルシウムイオン量を上記範
囲内にすることで、インキが高湿、低湿環境下に曝露されても、析出物の発生を抑制する
ことができる。
インキ中のナトリウムイオン及びカルシウムイオンの含有量を、いずれも20ppm以
下を実現するためには、用いるイソインドリン系顔料中のナトリウムイオン及びカルシウ
ムイオンの含有量を減らすことが効果的であり、後述する洗浄方法にて洗浄することで得
ることができる。
インキ中のナトリウムイオン及びカルシウムイオンの含有量は、ICP発光分析装置を
用いて測定した。
具体的には、顔料約0.25gを秤量し分解容器に投入後、分解容器中で70%硝酸水
溶液5mlと混合し、一昼夜静置した。静置後、CEM社のMARS5を用いて分解操作
を行い、放冷後に検体を取り出し、自重濾過にて50mlメスフラスコに注入した。そし
て、イオン交換水で濾紙を共洗いしながら50mlにメスアップした検体を、SPECT
ROBLUE社のSPECTRO ICP-OESにて測定した。
[酸性化合物]
本発明のインクジェットインキ組成物は、酸性化合物を含むことが好ましい。酸性化合
物を含むことで、インキ中のナトリウムイオンとカルシウムイオンを捕捉して、イソイン
ドリン系顔料に含まれる水溶解成分量との結合を抑制すると考えられる。そして、高湿、
低湿環境下でのインクジェットヘッドのノズル近傍での析出発生をさらに効果的に抑制す
ることができる。
酸性化合物としては、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。具体的には
、有機酸としては、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物、フェノール酸系化合物な
どが挙げられ、無機酸としては、リン酸系化合物、ホウ酸系化合物、塩酸、硫酸などが挙
げられる。中でも、有機酸であるカルボン酸系化合物が好ましい。
カルボン酸系化合物としては、25℃の水中での第1酸解離定数(以下、pKa1とも
称する)が1~4である化合物が好ましい。より好ましくは、pKa1が1.5~3.5
である。具体的には、乳酸(3.08)、ギ酸(3.77)、マレイン酸(1.92)、
リンゴ酸(3.4)、フタル酸(2.95)、クエン酸(2.95)などが挙げられる。
pKa1が上記範囲内であると、インキの分散安定性と、高湿、低湿環境下での吐出安定
性が両立できる。中でも、ナトリウムイオンとカルシウムイオンを効果的に捕捉する観点
から、カルボキシル基を3個有するクエン酸が特に好ましい。
酸性化合物の含有量は、インキの全質量に対して、10~500ppmが好ましく、5
0~400ppmがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インキの分散安定性と
、高湿、低湿環境下での吐出安定性が両立できる。
[水]
本発明のインクジェットインキ組成物は、水を含むことが好ましい。あらかじめ、水を
含むことで、インキが高湿、低湿環境下に曝露されても、水分量の変化率を低くでき、イ
ンキの状態変化を抑制できる。そのため、イソインドリン系顔料に含有される水溶解成分
と、ナトリウムイオンとカルシウムイオンが結合したものの析出を抑制できると考える。
また、酸性化合物と併用することで、酸性化合物がイオン化しやすくなり、さらに析出の
発生を効果的に抑制することができる。
前記水は、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンが20ppm以下のイオン交換水が
好ましい。イオン交換水は、公知の方法によって得ることができる。
前記水の含有量は、インキの全質量に対して、0.2~2質量%が好ましく、0.5~
1.5質量%がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インキの分散安定性と、高
湿、低湿環境下での吐出安定性が両立できる。
[重合性化合物]
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)
アクリレート」、及び「(メタ)アクリロイルオキシ」といった記載は、特に説明がない
限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル酸及び/又は
メタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、及び「アクリロイルオキ
シ及び/又はメタクリロイルオキシ」を意味する。また、「PO」は「プロピレンオキサ
イド」を、「EO」は「エチレンオキサイド」を表す。
本発明のインクジェットインキ組成物は、重合性化合物を含むことが好ましい。本明細
書において、重合性化合物とは、活性エネルギー線の照射により重合又は架橋する化合物
であり、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物である。
具体的には、分子内に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル
基、内部二重結合基(マレイン酸など)から選ばれる基を1つ以上有する化合物が好まし
い。
前記重合性化合物としては、特に制限がなく、公知のものを用いることができる。また
、重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、具体的に、2-エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4-t
ert-ブチルシクロヘキノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリ
レート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)ア
クリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソア
ミル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(
メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート
、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボル
ニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテ
ニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メ
タ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベン
ジル(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、(2-メチル-2
-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフ
ォリン、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール
ジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(
300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリ
ン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ
)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1
,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフ
ェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのEO付加物ジ(メ
タ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキ
サンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)
アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)
イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-
ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ビニル基を有する重合性化合物としては、具体的に、N-ビニルカルバゾール、1-ビ
ニルイミダゾール、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニ
ルホルムアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基を有する重合性化合物としては、具体的
に、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロ
ピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-
ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、(メ
タ)アクリル酸2-(1-ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニ
ロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)プロピ
ルなどが挙げられる。
前記重合性化合物の含有量は、インキの全質量に対して、60から95質量%であるこ
とが好ましく、65~90質量%であることがより好ましい。
[重合開始剤]
本発明のインクジェットインキ組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始
剤としては、特に制限はなく、公知の重合開始剤を用いることができる。また、重合開始
剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合開始
剤は、活性放射線等の外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物だけでなく
、特定の活性エネルギー線を吸収して重合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる増
感剤)も含まれる。
前記重合開始剤として、具体的には、ジフェニルアシルフェニルフォスフィンオキサイ
ド、エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、
(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,
4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、チオキサントン、2
-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサ
ントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-メチ
ル-1-[4-(メトキシチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-
ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2
-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフ
ォリニル)フェニル-1-ブタノン、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イ
ソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルスルフィド、1-ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン
-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フ
ェニル)プロパノン)、ビス-N,N-[4-ジメチルアミノベンゾイルオキシエチレン
-1-イル]-メチルアミン、1-[(4-メチルフェニル)スルフォニル]-プロパン
-1-オンなどが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、5~20質量%であるこ
とが好ましく、5~15質量%であることが好ましい。
[その他の成分]
本発明のインクジェットインキ組成物には、必要に応じて上記成分以外に、表面張力調
整剤、重合禁止剤、消泡剤、及び酸化防止剤などを含有することができる。
本明細書において表面張力調整剤とは、添加によってインキの表面張力を低下させる物
質を意味する。表面張力調整剤として、例えば、シリコーン系表面張力調整剤、フッ素系
表面張力調整剤、アクリル系表面張力調整剤、アセチレングリコール系表面張力調整剤等
が挙げられる。表面張力低下の能力、重合性モノマーとの相溶性との観点から、シリコー
ン系表面張力調整剤を使用することが好ましい。
シリコーン系表面張力調整剤として、具体的には、ジメチルシロキサン骨格の変性体が
挙げられる。中でも、ポリエーテル変性シロキサン系表面張力調整剤が好ましい。
ポリエーテルとは、例えば、ポリエチレンオキサイド、及び/またはポリプロピレンオ
キサイドであってよい。本発明の一実施形態では、市販品として入手できるポリエーテル
変性シリコーン系表面張力調整剤を使用することができる。
好ましく使用できる代表的な製品の例として、ビックケミー社製のBYK(登録商標)
-378、348、及び349等のポリエーテル変性シロキサン;並びにBYK―UV3
500、及びUV3510等のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
また、エボニックデグサ社製のTEGO(登録商標)GLIDE 450、440、43
5、432、410、406、130、110、及び100等のポリエーテル変性シロキ
サンコポリマーが挙げられる。これらの中でも、印刷画質向上の観点から、BYK-33
1、333、378、348、UV3510、TEGO GLIDE 450、440、
432、及び410等のポリエーテル変性シリコーン系表面張力調整剤が好ましい。
シリコーン系表面張力調整剤の含有量は、インクジェットインキ組成物の全質量に対し
て、0.05~5質量%であることが好ましい。上記含有量を0.05質量%以上にする
ことにより、インクジェットインキ組成物の被記録媒体への濡れ性を向上できる。一方、
上記含有量を5質量%以下にすることより、インクジェットインキ組成物の保存安定性を
確保することが容易となる。
重合禁止剤は、インクジェットインキ組成物の経時における粘度安定性、経時後の吐出
安定性、インクジェット記録装置内での粘度安定性を高めるために使用することができる
。重合禁止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ヒン
ダードアミン系化合物、リン系化合物が使用される。
具体的には、4-メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t-
ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、フェノチアジ
ン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩などが挙げられる。
<インクジェットインキ組成物の製造方法>
本発明のインクジェットインキ組成物の製造方法としては、合成後のイソインドリン系
顔料を溶解度パラメーターが9~12である有機溶剤により洗浄し、さらに、ナトリウム
イオン及びカルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下のイオン交換水により洗浄し、有
機溶剤溶解成分が2%以下、かつ、水溶解成分を2%以下としたイソインドリン系顔料、
顔料分散樹脂、酸性化合物、水、及び重合性化合物を混合分散する方法が挙げられる。
[イソインドリン系顔料の製造方法]
本発明のイソインドリン系顔料の製造方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いるこ
とができる。例えば、特開昭55-157657号公報に記載の方法によって得ることが
できる。市販品としては、BASF社製のPalitol Yellow D1819(
C.I.Pigment Yellow 139)、Palitol Yellow D
1155(C.I.Pigment Yellow 185)、TRUST CHEM社
製のTCY 13904(C.I.Pigment Yellow 139)、TCY
18501L(C.I.Pigment Yellow 185)などが挙げられる。
[SP値が9~12の有機溶剤による洗浄方法]
イソインドリン系顔料の有機溶剤の洗浄方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いる
ことができる。
例えば、合成後のイソインドリン系顔料、又は市販品のイソインドリン系顔料を、SP
値が9~12の有機溶剤が入った容器に投入し、イソインドリン系顔料粒子がほぐれた状
態で撹拌する。その後、有機溶剤溶解成分量が2%以下になるまで撹拌し、フィルタープ
レスにてろ過し、イソインドリン系顔料と有機溶剤とを分離する方法が挙げられる。
本発明において、同じ有機溶剤による洗浄を2回以上行ってもよく、異なる2種以上の
有機溶剤による洗浄を1回以上ずつ行ってもよい。また、有機溶剤による洗浄は、加温し
ながら行ってもよい。
[ナトリウムイオン及びカルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下のイオン交換水によ
る洗浄方法]
イソインドリン系顔料のナトリウムイオン及びカルシウムイオンがそれぞれ50ppm
以下の精製水による洗浄方法は、特に制限がなく、公知の方法を用いることができる。
例えば合成後のイソインドリン系顔料、又は市販品のイソインドリン系顔料を、ナトリ
ウムイオン及びカルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下のイオン交換水の入った容器
に投入し、イソインドリン系顔料粒子がほぐれた状態で撹拌する。その後、水溶解成分量
が2%以下になるまで撹拌し、フィルタープレスにてろ過し、イソインドリン系顔料と水
とを分離する方法が挙げられる。
本発明において、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下の
イオン交換水による洗浄を2回以上行うことが好ましい。また、ナトリウムイオン及びカ
ルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下のイオン交換水による洗浄は、加温しながら行
ってもよい。
本発明において、SP値が9~12の有機溶剤による洗浄と、ナトリウムイオン及びカ
ルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下のイオン交換水による洗浄は、どちらを先に行
ってもよく、より好ましくは、SP値が9~12の有機溶剤による洗浄後、ナトリウムイ
オン及びカルシウムイオンがそれぞれ50ppm以下のイオン交換水による洗浄を行うこ
とである。
その後、イソインドリン系顔料を、熱風乾燥及び粉砕する。
[分散方法]
本発明において、イソインドリン系顔料を分散させる方法は、特に制限がなく、公知の
方法を用いることができる。例えば、有機溶剤溶解成分を2%以下、かつ、水溶解成分を
2%以下としたイソインドリン系顔料、顔料分散樹脂、酸性化合物、水、及び重合性化合
物の混合物を、ビーズミル等の一般的な分散装置を用いて顔料分散させる。イソインドリ
ン系顔料、酸性化合物、及び水を一緒に分散することで、高湿、低湿環境下でのインクジ
ェットヘッドのノズル近傍での析出発生をさらに効果的に抑制することができる。
分散後、必要に応じて、重合性化合物、重合開始剤、その他の成分を加えて撹拌するこ
とで、インクジェットインキ組成物を調整できる。
以下実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の態様がこ
れらの例に限定されるものではない。なお、以下の表中の「部」は「質量部」、「%」は
「質量%」を表す。
[洗浄顔料A~G]
(洗浄顔料Aの作製)
イソインドリン系顔料としてTRUST CHEM社製 TCY 18501L(C.
I.Pigment Yellow 185)100gを、ナトリウムイオン量が10p
pmかつカルシウムイオン量が20ppmのイオン交換水1Lが入った容器に投入し、1
5~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、80~120℃の熱風にて乾
燥、粉砕することで洗浄顔料Aを得た。
(洗浄顔料B、Cの作成)
TRUST CHEM社製 TCY 18501L(C.I.Pigment Yel
low 185)の洗浄回数を表1に示したものに変えた以外は、洗浄顔料Aと同様の方
法で、洗浄顔料B、Cを得た。
(洗浄顔料Dの作成)
イソインドリン系顔料としてTRUST CHEM社製 TCY 18501L(C.
I.Pigment Yellow 185)100gを、MEK 1Lが入った容器に
投入し、15~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、ナトリウムイオン
量が10ppmかつカルシウムイオン量が20ppmのイオン交換水1Lが入った容器に
投入し、15~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、再度ナトリウムイ
オン量が10ppmかつカルシウムイオン量が20ppmのイオン交換水1Lが入った容
器に投入し、15~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、80~120
℃の熱風にて乾燥、粉砕することで洗浄顔料Dを得た。
(洗浄顔料Eの作成)
イソインドリン系顔料としてTRUST CHEM社製 TCY 18501L(C.
I.Pigment Yellow 185)100gを、ナトリウムイオン量が100
ppmかつカルシウムイオン量が70ppmの水道水1Lが入った容器に投入し、15~
30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。洗浄をもう一度繰り返し、ろ別した顔料を、80~
120℃の熱風にて乾燥、粉砕することで洗浄顔料Eを得た。
(洗浄顔料Fの作成)
イソインドリン系顔料としてTRUST CHEM社製 TCY 18501L(C.
I.Pigment Yellow 185)100gを、MEK 1Lが入った容器に
投入し、15~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、ナトリウムイオン
量が100ppmかつカルシウムイオン量が70ppmの水道水1Lが入った容器に投入
し、15~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、再度ナトリウムイオン
量が100ppmかつカルシウムイオン量が70ppmの水道水1Lが入った容器に投入
し、15~30℃にて1時間撹拌し、ろ過した。ろ別した顔料を、80~120℃の熱風
にて乾燥、粉砕することで洗浄顔料Fを得た。
(洗浄顔料Gの作成)
イソインドリン系顔料を、TRUST CHEM社製のTCY 13904(C.I.
Pigment Yellow 139)に変えた以外は、洗浄顔料Dと同様の方法で、
洗浄顔料Gを得た。
得られた洗浄顔料A~Gについて、水溶解成分と有機溶剤溶解成分の含有量を測定した
。結果を表1に示す。
Figure 0007251220000001
[顔料分散体1~39]
(顔料分散体1の作成)
洗浄顔料Aを20部、顔料分散樹脂としてEFKA PX4701を10部、重合性化
合物としてサートマーSR508を70部混合したのち、アイガーミルにて1時間分散し
、顔料分散体1を得た。
なお、分散にはジルコニアビーズの1mm径タイプを体積充填率75%にて実施した。
(顔料分散体2~39の作成)
処方を表2に示したものに変えた以外は、顔料分散体1と同様の方法で、顔料分散体2
~39を得た。
Figure 0007251220000002
Figure 0007251220000003
Figure 0007251220000004
[インキ1~39]
(インキ1の作製)
20部の顔料分散体1に、重合性化合物としてサートマーSR508を38部とVEE
A-AIを30部、重合開始剤としてOminrad TPOを5部とOminrad
379を5部添加・撹拌した。その後、表面調整剤としてTEGO GLIDE432を
1部、重合禁止剤としてBHTを1部添加した後、シェーカーにて6時間振盪した。得ら
れたインキをポア径0.5ミクロンのPTFEフィルターで濾過を行い、粗大粒子を除去
し、評価用のインキ1を調製した。
(インキ2~39の作製)
顔料分散体1を、表3に記載したものに変えた以外は、インキ1と同様の方法で、イン
キ2~39を得た。
Figure 0007251220000005
Figure 0007251220000006
Figure 0007251220000007
Figure 0007251220000008
[評価項目]
(高湿度下での長期吐出評価)
(株)トライテック社製のOnePassJETを湿度70%RHの環境に置き、調製し
たインキを京セラ社製インクジェットヘッドにシリンジで投入した。インキ投入直後、4
日後、1週間後、2週間後、4週間後にノズルチェックパターン及び100%ベタ画像を
印刷し、液滴の直進性を評価した。
湿度70%RHでの長期吐出評価は、以下の基準で評価した。
A評価:4週間以上、直進性を維持する
B評価:2週間以上直進性を維持するが、4週間以内に飛行曲がりが発生する
C評価:1週間以上直進性を維持するが、2週間以内に飛行曲がりが発生する
D評価:4日以上直進性を維持するが、1週間以内に飛行曲がりが発生する
E評価:4日以内に飛行曲がりが発生する
C以上を実用レベルと判断した。
結果を表3に示す。
(低湿度下での長期吐出評価)
(株)トライテック社製のOnePassJETを湿度30%RHの環境に置き、調製し
たインキを京セラ社製インクジェットヘッドにシリンジで投入した。インキ投入直後、4
日後、1週間後、2週間後、4週間後にノズルチェックパターン及び100%ベタ画像を
印刷し、液滴の直進性を評価した。
湿度30%RHでの長期吐出評価は、以下の基準で評価した。
A評価:4週間以上、直進性を維持する
B評価:2週間以上直進性を維持するが、4週間未満で飛行曲がりが発生する
C評価:1週間以上直進性を維持するが、2週間未満で飛行曲がりが発生する
D評価:4日以上直進性を維持するが、1週間未満で飛行曲がりが発生する
E評価:4日未満で飛行曲がりが発生する
C以上を実用レベルと判断した。
結果を表3に示す。
(高温下での保存安定性)
調整したインキを60℃オーブン内で1週間静置し、オーブン投入前の粘度と60℃1
週間静置後の粘度をそれぞれ測定し、粘度増加率(以下、増粘率)を算出した。

増粘率(%)=((経時後の粘度)-(初期粘度))/初期粘度×100

評価基準はそれぞれ以下の通りとした。
A評価:増粘率3%未満
B評価:増粘率3%以上5%未満
C評価:増粘率5%以上10%未満
D評価:増粘率10%以上15%未満
E評価: 増粘率15%以上
C以上を実用レベルと判断した。
結果を表3に示す。
(低温下での保存安定性)
調整したインキを-10℃オーブン内に静置し、4日後、1週間後、2週間後、4週間
後の状態を目視で確認した。具体的に、取出した容器を逆さにして2分以上静置させ、容
器底面部に固形の析出物があるか否かで判断した。
評価基準はそれぞれ以下の通りとした。
A評価:4週間以上、析出が発生しない
B評価:2週間以上析出が発生しないが、4週間未満で析出が発生する
C評価:1週間以上析出が発生しないが、2週間未満で析出が発生する
D評価:4日以上析出が発生しないが、1週間未満で析出が発生する
E評価:4日未満で析出が発生する
C以上を実用レベルと判断した。
結果を表3に示す。
なお、表1~3で使用した各材料の詳細は、以下の通りである。
(顔料)
・TCY 18501L:TRUST CHEM社製のC.I.Pigment Yel
low 185
・TCY 13904:TRUST CHEM社製のC.I.Pigment Yell
ow 139
(顔料分散樹脂)
・EFKA(登録商標)PX4701:BASF社製のアミン価40mgKOH/g、酸
価5mgKOH/g、Mw23,000の塩基性官能基としてピリジンを有するアクリル
樹脂
・ソルスパース(登録商標)32000:ルーブリゾール社製のアミン価30mgKOH
/g、酸価15mgKOH/g、Mw3,500の塩基性分散樹脂
(重合性化合物)
・サートマー(登録商標)SR508:アルケマ社製のジプロピレングリコールジアクリ
レート
・VEEA-AI:日本触媒社製のアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル
(重合開始剤)
・Ominrad(登録商標)TPO:iGM RESINS社製の2,4,6-トリメ
チルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド
・Ominrad(登録商標)379:iGM RESINS社製の2-(ジメチルアミ
ノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニ
ル-1-ブタノン
(表面張力調整剤)
・TEGO(登録商標)GLIDE432:エボニックデグサ社製のポリエーテル変性シ
ロキサンコポリマー
(重合禁止剤)
・BHT:2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール
(水)
・イオン交換水:イオン交換樹脂を用いて水道水を脱イオンし、ナトリウムイオン量が1
0ppm、カルシウムイオン量が20ppmにした水
・水道水:ナトリウムイオン量が100ppm、カルシウムイオン量が70ppmの水
以上より、本願発明のインキが、高湿及び低湿いずれの環境下においても長期吐出性に
優れ、かつ、高温及び低温での保存安定性に優れたインクジェットインキ組成物であるこ
とがわかった。

Claims (4)

  1. イソインドリン系顔料と、顔料分散樹脂と、酸性化合物とを含有するインクジェットインキ組成物であって、
    インキ全質量中のナトリウムイオンの含有率が20ppm以下であり、かつ、インキ全質量中のカルシウムイオンの含有率が20ppm以下であり、
    前記顔料分散樹脂が、酸価が10mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が30~50mgKOH/gであることを特徴とする、インクジェットインキ組成物。
  2. 前記酸性化合物が、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、25℃の水中での第1酸解離定数が1~4であることを特徴とする、請求項に記載のインクジェットインキ組成物。
  3. イソインドリン系顔料と、顔料分散樹脂と、水とを含有するインクジェットインキ組成物であって、
    インキ全質量中のナトリウムイオンの含有率が20ppm以下であり、かつ、インキ全質量中のカルシウムイオンの含有率が20ppm以下であり、
    前記顔料分散樹脂が、酸価が10mgKOH/g以下であり、かつ、アミン価が30~50mgKOH/gであることを特徴とする、インクジェットインキ組成物。
    (ただし、前記インクジェットインキ組成物が酸性化合物を含む場合を除く。)
  4. 活性エネルギー線硬化型であることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載のインクジェットインキ組成物。
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