JP6580662B2 - インク組成物 - Google Patents
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一方、全く溶剤を含有しないインクは、鱗片状金属顔料の凝集を生じやすくこれもまたインクの貯蔵安定性に劣った。
1. 少なくとも、鱗片状金属顔料、重合性化合物および光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インク組成物であって、該鱗片状金属顔料は、50%体積平均径が0.05以上0.5μm未満であってかつ平均厚みが5.0以上50.0nm未満であり、非反応性溶剤の含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下である活性エネルギー線硬化型インク組成物。
2. 重量平均分子量が12,000以下であり、かつ酸価が5〜100である樹脂(P)を含有する前記1記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
3. 前記重合性化合物が、多官能モノマーを50質量%以上含有する前記1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
本発明のインク組成物は、少なくとも鱗片状金属顔料、重合性化合物、光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型インク組成物であって、該鱗片状金属顔料は、50%体積平均径が0.05以上0.5μm未満であってかつ平均厚みが5.0以上50.0nm未満であることを特徴とする。
本発明のインク組成物に用いる鱗片状金属顔料は、箔のような薄く平らな形状をした金属顔料であり、例えば、蒸着を利用した製法により得られる。鱗片状金属顔料としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金等の金属顔料が挙げられ、アルミニウムが好ましい。平均粒径、アスペクト比は適宜選択して使用することができ、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
フロー式粒子像分析装置としては、シスメックス株式会社製の商品名「FPIA−3000S」を挙げることができる。また、フロー式粒子像分析装置での測定条件は下記の通りである。
倍率:40倍(接眼レンズ20倍×対物レンズ2倍)
測定モード:HPF測定モード
測定時間:約2分
測定溶媒:エタノール
二値化閾値設定係数:85%
測定時の溶媒による希釈率:2000倍
シース液:エタノール。
また、平均厚みは5.0以上50.0nm未満であることが好ましい。平均厚みが50nm以上となると、金属調が得られなくなり、金属光沢感のない印刷物となる。また、平均厚みが5nm以下となると、鱗片状金属顔料が薄すぎるため金属光沢が得られなくなってしまう。
平均厚みとしては5.0〜20.0nmであることが好ましく、10.0〜18.0nmであることがさらに好ましい。
アセトンで希釈した鱗片状金属顔料をガラス基板上に数滴滴下し、自然乾固させる。次に、原子間力顕微鏡(商品名:「Nanopics 1000」、セイコーインスツルメンツ株式会社製)を用いてこのガラス基板上に強制配向させた鱗片状金属顔料を20点抽出し、タッピングモードによってそれぞれの厚みを測定する。そして、測定した20点の厚みのうち、上位値および下位値の各3点の厚みを除外した残りの14点の厚みの平均値を求め、その平均値を平均厚みとした。
こうして得られた鱗片状金属顔料分散液を乾燥し、または分散液調製後に一部の溶剤を重合性化合物と置換する等の方法で、インク組成物に使用することができる。
本発明における活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、電子線等通常の活性エネルギー線を使用することができ、特に紫外線であることが好ましい。活性エネルギー線源としては、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザ、色素レーザ、LEDランプ等の紫外線源、並びに電子線加速装置等が使用できる。活性エネルギー線の照射エネルギー量(積算光量)は、200〜2,000mJ/cm2であることが好ましい。
本発明のインク組成物に用いる重合性化合物は、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射によりラジカル重合、カチオン重合を起こすモノマーであれば、特に制限なく使用することができる。これら重合性化合物は、単官能モノマー、多官能モノマー、環状エーテル化合物、オキセタン化合物等を使用することができ、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物中において、重合性化合物の含有量は、70〜90質量%であることが好ましい。
本発明の印刷層の強度を上げるためには、活性エネルギー線硬化性化合物として、アクリレートオリゴマーやアクリレートポリマー等を使用してもよい。ウレタン系オリゴマーとしては、市販されているCN963J75、CN964、CN965、CN966J75(いずれもSARTOMER社から入手可能)等を用いることができる。エポキシアクリレートオリゴマーとしては、市販されているCN120、CN131B(いずれもSARTOMER社から入手可能)等を用いることができる。
これら活性エネルギー線硬化性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク組成物に用いる光重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することによって、重合性化合物やその他の活性エネルギー線硬化性化合物の重合を開始させる。本発明のインク組成物中において、光重合開始剤の含有量は、1〜25質量%であり、3〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがさらに好ましい。
本発明のインク組成物は、重量平均分子量が12,000以下であり、かつ酸価が5〜100である樹脂(P)を含有することを好ましい特徴とする。
樹脂(P)は、酸価が5〜100の範囲のカルボキシル基等の酸基を有し、該酸基が鱗片状金属顔料の表面と反応し、鱗片状金属顔料の表面を樹脂(P)で覆うことができる。このため、上記樹脂(P)の酸価が5〜100であれば、インク中でのゲル化を効果的に抑制することができる。
本発明のインク組成物は、重合に関与しない非反応性溶剤を含まないものであってもよいが、0.01質量%以上5.00質量%以下であってもよい。好ましくは0.01質量%以上2.00質量%以下であれば、硬化不良によるにじみの発生を大きく抑制することができる。全く含まれないものよりも金属調に勝るものとなる。
本発明の鱗片状金属顔料は、この非反応性溶剤に分散した後、ロータリーエバポレーター等で重合性化合物と置換してもよい。その際、インク組成物中に0.01〜5.00質量%未満含有されるものとすることが好ましい。
本発明のインク組成物は、鱗片状金属顔料以外に、顔料、染料等の色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀などの光沢色などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜20質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、光安定剤を含有してもよい。光安定剤としては、市販の光安定剤を使用することができ、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンジリデンカンファー系化合物、無機微粒子等が挙げられ、中でも、紫外線吸収がより短波長にあるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物がインクの硬化性の観点から好ましい。
本発明のインク組成物は、通常、少なくとも鱗片状金属顔料、重合性化合物および光重合開始剤と必要に応じて適宜選択される各種成分とを混合し、使用するインクジェットプリントヘッドのノズル径の約1/10以下のポアサイズを持つフィルターを用い濾過することによって調製する。
本発明のインク組成物は、40℃における粘度が5.0〜30.0mPa・sであることが好ましい。40℃におけるインクの粘度が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。なお、インクの粘度は、レオメーター(Antonpaar社製MCR301)を用いて40℃、ずり速度100s−1にて測定することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インク組成物は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などに応用することが可能であり、特にインクジェットインク組成物として使用する場合に有用である。
≪鱗片状金属顔料分散液の調製≫
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化度37%)を酢酸エチルに溶解した3.0質量%下引き液を均一に塗布し、PETフィルム上に下引き層を形成した。
次いで、真空蒸着により、上記下引き層上に平均膜厚25nmのアルミニウム蒸着層を形成し積層体を得た。
上記積層体を、酢酸エチル中、超音波分散機を用いて剥離・微細化・分散処理を同時に行い、鱗片状金属顔料分散液を作製した。
インク組成物の調製においては、鱗片状金属顔料分散液1を使用し、途中エバポレーターにより溶剤を留去、あるいは溶剤を添加することで、所定の非反応性溶剤濃度に調整した。
この方法と同様にして、表1に記載の鱗片状金属顔料分散液2〜10を作製した。単位は質量%である。
温度計、攪拌器、窒素導入管及びパーシャルコンデンサー付き流出管を搭載したフラスコに、イソフタル酸320質量部、無水マレイン酸5質量部、ネオペンチルグリコール200質量部を入れ、所定の酸価になるまで240℃で脱水縮合反応させた。その後、パーシャルコンデンサーを分水器付き還流冷却管に取り替え、キシレンを加えてさらに脱水縮合反応させた。目的の酸価と重量平均分子量となったことを確認した後、エバポレーターでキシレンを除去することで、ポリエステル樹脂を得た。
≪インク組成物の調製≫
鱗片状金属顔料分散液、重合性化合物、光重合開始剤は下記のものを使用して、インク組成物1として100質量%となるように調製した。
1)鱗片状金属顔料分散液:アルミニウム固形分として 2質量%
2)重合性化合物:
a.2−フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製) 30質量%
b.1,9−ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学社製 30質量%
c.イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製) 27質量%
d.1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学社製)0質量%
3)光重合開始剤:
・2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Lambson社製) 10質量%
4)樹脂(P):酸価11 重量平均分子量6,000
5)重合禁止剤:ヒドロキノンモノメチルエーテル(東京化成工業社製)0.2質量%
6)非反応性溶剤:酢酸エチル 3.5質量%
この方法と同様にして、表2に記載のインク組成物2〜14を調製した。単位は質量%である。なお実施例では、鱗片状金属顔料分散液以外の組成を共通とする集団を、同じインク組成物Noとした。
インクジェットプリンタ(プリントヘッドノズル径30μm,ヘッド内フィルター#2300メッシュ)とUV−LED(照射強度500mW/cm2、積算光量500mJ/cm2)を使用し、プリントヘッドを40℃に加温して、基材温度は室温23℃で印刷を行った。なお、基材は市販のポリカーボネート板を使用した。
下記の評価を行い、結果を表3〜9に示す。
≪金属調≫
得られた印刷物をBYKガードナー社製多角度測色計BYK−macを用いて−15°〜110°の明度指数(L値)を測定し、下記の計算式より算出したFI値から下記評価基準に従って金属調を評価した。
FI=2.69×(L*15°−L*110°)1.11/(L*45°)0.86 ・・・(式)
L*45°:メタリック塗膜の表面に垂直な垂直方向に対して45°傾けた第1方向から光線Cを照射し、垂直方向(法線方向)で受光して求めた明度指数
L*15°:第1方向に対して垂直方向に15°起こした第2方向(法線方向に対して−30°)で受光して求めた明度指数
L*110°:第1方向に対して110°傾けた第3方向(法線方向に対して65°)で受光して求めた明度指数
◎:FI値が12.0以上
○:FI値が10.0%〜11.9%
△:FI値が8.0%〜9.9%
×:FI値が8.0%未満
上記インク組成物を50℃で28日間静置保管し、保管前後のインク組成物の粘度を測定して、粘度変化率を求め、下記の基準に従い貯蔵安定性を評価した。なお、インク組成物の粘度は、レオメーター(Antonpaar社製MCR301)を用いて40℃ 、ずり速度100s−1にて測定した。
◎:粘度変化率が0〜4.9%
○:粘度変化率が5.0%〜9.9%
△:粘度変化率が10.0%〜19.9%
×:粘度変化率が20.0%以上
Claims (5)
- 少なくとも、表面処理されていない鱗片状金属顔料、重合性化合物、光重合開始剤および非反応性溶剤を含む活性エネルギー線硬化型インク組成物であって、該鱗片状金属顔料は、50%体積平均径が0.05以上0.5μm未満であってかつ平均厚みが5.0以上50.0nm未満であり、該非反応性溶剤は、沸点が60〜190℃であり、その含有量が0.01質量%以上5.00質量%以下である活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 前記鱗片状金属顔料が、アルミニウム顔料である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 前記非反応性溶剤の沸点が、70〜150℃である請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 重量平均分子量が12,000以下であり、かつ酸価が5〜100である樹脂(P)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
- 前記重合性化合物が、多官能モノマーを50質量%以上含有する請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
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