JP2016222764A - 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ - Google Patents

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JP2016222764A JP2015108094A JP2015108094A JP2016222764A JP 2016222764 A JP2016222764 A JP 2016222764A JP 2015108094 A JP2015108094 A JP 2015108094A JP 2015108094 A JP2015108094 A JP 2015108094A JP 2016222764 A JP2016222764 A JP 2016222764A
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Abstract

【課題】本発明の目的は、硬化性に優れるだけでなく、硬化膜の干渉縞の発生を抑えることができる、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することである。【解決手段】沸点80℃〜300℃の有機溶剤と、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含有する重合性モノマーとを含有し、インキの全重量を基準として、上記有機溶剤を10重量%〜85重量%含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性に優れ、干渉縞の発生を抑制することができる活性エネルギー線硬化
型インクジェットインキに関する。
インクジェット印刷方式のインキには、溶剤系、水系、油系等の多岐にわたるインキ組
成物が従来から使用されている。しかし、近年、活性エネルギー線硬化型インクジェット
インキの需要が増加している。これは、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは
、プラスチックやガラス等の非吸収性の基材への密着性に優れ、印刷物の耐水性や耐摩擦
性等の耐性に優れることから、様々な用途の印刷に用いることができるという利点に起因
する。
また、近年、インクジェットヘッドの性能向上に伴い、オフセット印刷等を使用する既
存印刷市場へのインクジェット印刷方式の応用が期待されている。
既存印刷市場では各種コート紙や各種フィルム等の多様な基材が使用されている。とこ
ろが、基材の種類によってインキの濡れ拡がり性や、基材への密着性が異なる。そのため
、多様な基材に対して同一のインキを適用できるようにするためには、どのような基材に
対しても、印刷画質等の印刷品位を一定レベル以上で確保できるようにしなければならな
い。生産性と多基材汎用性とを同時に達成するためには、高速印刷が可能で、かつ、多く
の基材で密着性が確保できるインキが求められている。
特に、コート紙や、柔軟性のあるフィルムにおいては、インキ硬化膜の硬化性、密着性
等が求められる。
例えば、特許文献1において、塩化ビニル、ガラス、PETへの密着性のある溶剤系イ
ンクジェットインキが開示されている。しかしこれは基材への密着性を得るためにバイン
ダー樹脂を必須としており、高速印刷時の吐出安定性が悪い傾向にある。また、コート紙
などの紙基材にはインキが浸透して良好な画質を得ることができず、特に、画像の光沢を
得ることができなかった。
例えば、特許文献2において、種々の基材への密着性を付与するため、低粘度のモノマ
ーであるアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと重合性モノマー、及びアク
リル樹脂を含む活性エネルギー線硬化型のインクジェットインキが開示されている。この
方法では、アクリル樹脂を併用することで基材への密着性を向上させている。しかし、硬
化膜の柔軟性が不足し、薄膜基材へ印刷した場合は、硬化膜がひび割れる原因になった。
また、アクリル樹脂や添加モノマーによって硬化膜の光沢は得られるが、インキの塗布量
の差によって光沢にムラが生じ、干渉縞が発生する問題があった。干渉縞を抑えるために
、インキ塗布量を減らすことが考えられるが、インキ膜厚が薄くなるに従い、塗膜表面の
酸素阻害の影響を受けやすく、硬化性が劣る傾向がある。
特開2011−144288 特開2008−280383号公報
これまでの紫外線硬化型インキは、インキ塗布量が多くなるほど光沢が向上する傾向が
あった。これは、同一の画像でインキ塗布量が異なる場合において、光沢値が異なる部分
が生じ、光沢ムラ(干渉縞)が生じる原因になり、画像の意匠性に悪影響を及ぼす場合が
ある。また、同じ印字率の画像においても、硬化時のシワの発生や、インキのレベリング
性によって、微細な膜厚差が生じ、干渉縞が発生してしまう場合がある。
インキ塗布量を少なくすることで、前記のような硬化膜厚差の影響を小さくすることが
できると考えられるが、インキ塗膜表面の酸素阻害の影響を受け、塗膜の硬化性が劣る問
題がある。
すなわち本発明の目的は、硬化性に優れるだけでなく、硬化膜の干渉縞の発生を抑える
ことができる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することに関する。
すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは、沸点80℃〜3
00℃の有機溶剤と、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含有する重合
性モノマーとを含み、上記有機溶剤の含有量がインキ全重量を基準として10重量%〜8
5重量%含むことを特徴とする。
本発明の一実施形態は、上記有機溶剤が、下記一般式(1)〜(7)いずれかで表され
る有機溶剤、アルカンジオール、及び環状エーテルからなる群から選択される少なくとも
1種を含む、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
Figure 2016222764
7−(OX1)x−O−R8 一般式(3)

9−(OX1x−COCH3 一般式(4)

CH3CO(OX1xOCOCH3 一般式(5)

x2x+1−O−COCH(CH3)OH 一般式(6)

10−O−C24−CON(R112 一般式(7)

上記各式において、
1及びR2は、それぞれ独立して、−NR6−、又は酸素原子であり、
3は、Cmnで表される炭化水素基であり、mは2〜8の整数であり、nは2m-4、
2m−2、又は2mいずれかの整数を表し、上記炭化水素基は分岐構造を有してもよく、
6は、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基又は水素原子を表す

7、R9、R10、及びR11は、単結合のみで構成される炭素数が1〜5の炭化水素基を
表し、分岐構造を有してもよい。
8は、水素原子、又は単結合のみで構成される炭素数が1〜5の炭化水素基を表し、
分岐構造を有してもよい。
1は、単結合のみで構成される炭素数が2〜4の炭化水素基を表し、分岐構造を有し
てもよい。
xは、1〜4の整数を表す。
本発明の一実施形態において、上記有機溶剤は、インキの全重量を基準として、60重
量%以下含むことが好ましい。
本発明の一実施形態において、上記重合性モノマーは、さらに、エチレンオキサイド変
性又はプロピレンオキサイド変性の骨格を有する重合性モノマーを含むことが好ましい。
また、上記重合性モノマーは、インキの全重量を基準として、30重量%以下の単官能モ
ノマーを含むことが好ましい。
本発明の別の実施形態は、上述の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに、さ
らに顔料を含む。ここで、上記顔料は、金属粉末を含まないことが好ましい。
本発明によれば、硬化性に優れ、硬化膜の干渉縞の発生のない活性エネルギー線硬化型
インクジェットインキを提供することができる。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキについて詳細に説明する
。以下の記載では、特に断りのない限り、「インキ」の用語は、「活性エネルギー線硬化
型インクジェットインキ」を意味する。また、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「
重量%」を意味する。
<有機溶剤>
本発明のインキは、80℃〜300℃の沸点を有する有機溶剤を含む。前記範囲のの沸
点を有する有機溶剤を使用した場合、インクジェット吐出安定性、基材への密着性に優れ
る点で好ましい。
本発明によれば、80〜300℃の沸点を有する有機溶剤を、インキ全重量を基準とし
て10〜85重量%含むことによって、硬化性に優れ、硬化膜の干渉縞が起こらないイン
キを構成することができる。
本発明において、上記有機溶剤は、分子内に重合性置換基を持たない化合物を意図して
いる。すなわち、有機溶剤には、重合性モノマーは含まないことを意図する。本発明で使
用する有機溶剤の沸点は、80〜300℃が好ましく、140〜300℃がより好ましく
、160〜260℃がさらに好ましい。
沸点が80℃未満であると、揮発性が高く、吐出時の粘度上昇による吐出不良が起こっ
たり、基材へインキが着弾した際のレベリング性が悪化し、膜厚ムラ、硬化ムラによる干
渉縞が発生したりする傾向がある。
一実施形態において、上記有機溶剤は、下記一般式(1)〜(7)いずれかで表される
有機溶剤、アルカンジオール、及び環状エーテルからなる群から選択される有機溶剤の少
なくとも1種を含む。
Figure 2016222764
7−(OX1)x−O−R8 一般式(3)

9−(OX1x−COOCH3 一般式(4)

CH3CO(OX1xOCOCH3 一般式(5)

x2x+1−O−COCH(CH3)OH 一般式(6)

10−O−C24−CON(R112 一般式(7)
上記各式において、
1、及びR2は、それぞれ独立して、−NR6−、又は酸素原子であり、
3は、Cmnで表される炭化水素基であり、mは2〜8の整数、nは2m−4、2m
−2、又は2mいずれかの整数を表し、上記炭化水素基は分岐構造を有してもよく、
6は、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基又は水素原子を表す

7、R9、R10、及びR11は、単結合のみで構成される炭素数が1〜5の炭化水素基を
表し、分岐構造を有してもよい。
8は、水素原子、又は単結合のみで構成される炭素数が1〜5の炭化水素基を表し、
分岐構造を有してもよい。
1は、単結合のみで構成される炭素数が2〜4の炭化水素基を表し、分岐構造を有し
てもよい。
xは、1〜4の整数を表す。
前記有機溶剤を含有することによって、酸素阻害の影響が少なく、硬化性の良好なイン
キを得ることが出来る。
インキの一実施形態では、上記有機溶剤を単独で使用しても、2種以上併用してもよい
。なお、吐出安定性をより高めるために、有機溶剤は、25℃環境下で15mPa・s以
下の粘度を有することが好ましい。
また、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとの相溶性の点から、25℃環境下
での表面張力は、20〜40mN/mであることが好ましく、22〜35mN/mである
ことがより好ましく、24〜33mN/mであることがさらに好ましい。上記粘度及び表
面張力を有する有機溶剤を使用することによって、吐出安定性を高めることが容易となる

また、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの表面張力(32.7mN/m)
と、直鎖系有機溶剤の表面張力が近いことによって、多種の基材への濡れ広がり性が良好
になり、良好な画像を形成し、干渉縞の発生を抑制することができる。
一般式(1)で表される有機溶剤の具体例として、下記表1に示す化合物が挙げられる
表1

Figure 2016222764
上記一般式(1)で表される有機溶剤の中でも、エチレンカーボネート(化合物1、沸
点244℃)、プロピレンカーボネート(化合物3、沸点240℃)、及び1,2−ブチ
レンカーボネート(沸点251℃)等の含酸素系溶剤、並びに3−メチル−2−オキサゾ
リジノン(化合物13、沸点266℃)、及び3−エチル−2−オキサゾリジノン(化合
物14)等のオキサゾリジノン構造を有する有機溶剤が好ましい。上記有機溶剤の中でも
、プロピレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリジノン、及び3−エチル−2−
オキサゾリジノンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(2)で表される有機溶剤の一実施形態は、ラクタム構造を有する溶剤、ラクト
ン構造を有する溶剤、及び含酸素系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む

ラクタム構造を有する溶剤の例として、2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム)、1−
メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、γ−バレロラクタム、γ−ヘキ
サラクタム、γ−ヘプタラクタム、γ−オクタラクタム、γ−ノナラクタム、γ−デカラ
クタム、γ−ウンデカラクタム、δ−バレロラクタム、δ−ヘキサラクタム、δ−ヘプタ
ラクタム、δ−オクタラクタム、δ−ノナラクタム、δ−デカラクタム、δ−ウンデカラ
クタム、及びε−カプロラクタム等が挙げられる。
ラクトン構造を有する溶剤の例として、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ
−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−ラクトン、γ−ヘ
キサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカ
ラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプ
タラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカ
ラクトン、ε−カプロラクトン、及びε−ラクトン等が挙げられる。
上記一般式(2)で表される有機溶剤の中でも、2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム
)(沸点245℃)、1−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、ε−カプロラクタ
ム(沸点267℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、γ−バレロラクトン(沸点
230℃)、及びε−カプロラクトン(沸点237℃)からなる群から選択される少なく
とも1種を使用することが好ましい。これらの有機溶剤を使用した場合、優れたインキ安
定性及び多基材への密着性を得ることが容易である。さらに、酸素阻害の影響が少なく、
薄膜時の硬化性も優れる。
一般式(1)〜(2)で表される環状構造を有する有機溶剤の一実施形態では、光重合
開始剤の溶解性や吐出安定性の面から、有機溶剤は、7員環以下の環状構造を有すること
が好ましく、5〜7員環の環状構造を有することがより好ましい。一般式(1)〜(2)
で表される環状構造を有する有機溶剤の沸点は、160〜300℃が好ましく、180〜
300℃がより好ましく、200〜280℃がさらに好ましい。
上記環状構造を有する有機溶剤は、インキ組成物中の重合開始剤や増感剤、その他添加
剤の溶解性に優れ、塗膜の硬化性を良好にする点で好ましい。また、複素環構造による極
性によって、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルとの反応性を高めること
ができる点でも好ましい。
一般式(3)で表される有機溶剤の一実施形態は、アルキレングリコールモノアルキル
エーテル、及び/又はアルキレングリコールジアルキルエーテルを含む。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルの具体例として、エチレングリコールモノ
エチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモ
ノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2‐エチルヘキシルエーテル、エチレング
リコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリ
コールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレン
グリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ2‐エチルヘキシルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエ
ーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−
プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピ
レングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、及
びポリエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
上記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの中でも、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル(沸点230℃、表面張力29.1mN/m)、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル(沸点190℃、表面張力27.9mN/m)、及びジプロピレング
リコールモノブチルエーテル(沸点230℃、表面張力28.8mN/m)からなる群か
ら選択される少なくとも1種が好ましい。
アルキレングリコールジアルキルエーテルの具体例として、エチレングリコールジエチ
ルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−i
so−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコー
ルメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレング
リコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレング
リコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエ
チレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、
ポリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プ
ロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールジエチルエーテル、及びトリプロピレングリコールジメチルエーテル
等が挙げられる。
上記アルキレングリコールジアルキルエーテルの中でも、ジエチレングリコールジエチ
ルエーテル(沸点189℃、表面張力25.1mN/m)、ジエチレングリコールメチル
エチルエーテル(沸点176℃、表面張力26.8mN/m)、ジエチレングリコールジ
ブチルエーテル(沸点254℃、表面張力24.9mN/m)、トリエチレングリコール
ジメチルエーテル(沸点216℃、表面張力30.0mN/m)、及びテトラエチレング
リコールジメチルエーテル(沸点275℃、表面張力31.8mN/m)、及びトリプロ
ピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃、表面張力26.4mN/m)からな
る群から選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(4)で表される有機溶剤の一実施形態は、アルキレングリコールモノアルキル
エーテルアセテートを含む。具体的な化合物の例として、エチレングリコールモノメチル
エーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエー
テルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルア
セテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコール
モノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネ
ート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネ
ート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコール
モノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピ
オネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノ
エチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレ
ート、及び3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。
上記アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの中でも、エチレングリコ
ールモノブチルエーテルアセテート(沸点179℃、表面張力27.4mN/m)、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃、表面張力26.7mN
/m)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点213℃、表面張
力28.6mN/m)、及び3−メトキシブチルアセテート(沸点171℃、表面張力2
7.9mN/m)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(5)で表される有機溶剤の一実施形態は、アルキレングリコールジアセテート
を含む。具体的な化合物の例として、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリ
コールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジア
セテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピ
オネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネー
トブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジ
ブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールア
セテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリ
コールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレング
リコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロ
ピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、
プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロ
ピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプ
ロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリ
コールアセテートジブチレート、1,4-ブタンジオールジアセテート、及び1,3−ブ
チレングリコールジアセテート等が挙げられる。
上記アルキレングリコールジアセテートの中でも、プロピレングリコールジアセテート
(沸点190℃、表面張力32.6mN/m)、1,4-ブタンジオールジアセテート(
沸点232℃、表面張力31.4mN/m)、及び1,3−ブチレングリコールジアセテ
ート(沸点232℃、表面張力30.5mN/m)からなる群から選択される少なくとも
1種が好ましい。
一般式(6)で表される有機溶剤の一実施形態は、乳酸メチル(沸点144℃)、乳酸
エチル(沸点154℃、表面張力28.7mN/m)、乳酸プロピル(沸点170℃)、
及び乳酸ブチル(沸点189℃)等の乳酸エステルを含む。
一般式(7)で表される有機溶剤の一実施形態は、アルコキシアルキルアミドを含む。
具体的な化合物の例として、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N
−ジメチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘキソキシプロ
ピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル
−β−2−エチルヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−オクトキシプロ
ピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−
β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド
、N,N−ジエチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、及びN,N−ジエチル−β−オ
クトキシプロピオンアミド等が挙げられる。
中でも、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド(沸点216℃)、及び/
又はN,N−ジブチル−β−ブトキシプロピオンアミド(沸点252℃)が好ましい。こ
れらの有機溶剤を使用した場合、硬化性に優れ、多種類の基材に対する優れた密着性を得
ることが容易となる。
アルカンジオールの具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プ
ロパンジオール、ジプロピレングリコール、及び1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール等が挙げられる。
環状エーテルの具体例として、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン
、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
先に例示した上記非炭化水素系有機溶剤の中でも、一般式(3),(4),及び(5)
で表される直鎖系有機溶剤が好ましい。すなわち、上記有機溶剤の好ましい一実施形態は
、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテ
ル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びアルキレングリコール
ジアセテートからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
以下、一般式(3),(4),及び(5)で表される直鎖系有機溶剤をグリコール系有
機溶剤と言う場合もある。
本発明の一実施形態において、上記直鎖系有機溶剤は、吐出安定性の点から、25℃環
境下で7mPa・s以下の粘度を有することが好ましい。また、上記グリコール系有機溶
剤は、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとの相溶性の点から、25℃環境下
での表面張力は、20〜40mN/mであることが好ましく、22〜35mN/mである
ことがより好ましく、24〜33mN/mであることがさらに好ましい。上記粘度及び表
面張力を有する有機溶剤を使用することによって、吐出安定性を高めることが容易となる

また、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの表面張力(32.7mN/m)と
、直鎖系有機溶剤の表面張力が近いことによって、多種の基材への濡れ広がり性が良好に
なり、良好な画像を形成することができる。
上記溶剤の25℃環境下での粘度や表面張力の測定方法としては、公知の方法を用いる
ことができる。粘度は、例えば、東機産業社製 TVE25L型粘度計を用いて、25℃
環境下で、50rpm時の粘度を読み取ることにより測定できる。また、表面張力は、例
えば、協和界面科学社製の自動表面張力計CBVP−Zを用いて、白金プレートをインク
で濡らした時の表面張力を確認することにより測定できる。
上記一般式(3)、(4)、及び(5)で表されるグリコール系有機溶剤は、優れた硬
化性及び密着性が容易に得られる点でも好ましい。この理由は定かでは無いが、上記グリ
コール系有機溶剤は、アルキレングリコール骨格の構造を有する有機溶剤であり、その構
造がアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの構造と類似している。このよう
に互いに構造が類似することで、相溶性が良化し、硬化速度が向上するため、優れた特性
が得られると考えられる。
中でも、特に好ましい有機溶剤として、一般式(3)において、xが2〜4で表される
(ジ、トリ、テトラ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、及び(ジ、トリ、テ
トラ)アルキレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。また、一般式(4)にお
いてxが2〜4で表される(ジ、トリ、テトラ)アルキレングリコールモノアルキルエー
テルアセテートが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で使用されても、2種以上を組合
せて使用されてもよい。
上記有機溶剤の添加量は、インキの全重量を基準として、10重量%より多く含むこと
が好ましい。有機溶剤の添加量を上記範囲内にすることによって、酸素阻害の影響が少な
く、薄膜硬化性、吐出安定性及び密着性の各特性について良好な結果を得ることが容易と
なる。硬化性の点から、上記有機溶剤の添加量は、インキの全重量を基準として、10〜
85重量%が好ましく、10〜60重量%がより好ましく、15〜50重量%がさらに好
ましく、15〜40重量%特に好ましい。
また、硬化性の点から、沸点260℃以上の有機溶剤の含有量は、インキ全重量を基準
として20重量%以下であることが好ましく、15重量%以下であることがより好ましい
中でも、上記一般式(3)、(4)、及び(5)で表されるグリコール系有機溶剤を含
む場合は、含有量は特に制限はないが、インキ中の溶剤の全重量を基準として、1〜10
0重量%であることが好ましく、10〜90重量%であることがより好ましく、25〜8
0重量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、薄膜硬化性に優れ、光沢性が向
上し、干渉縞の発生が抑制される。
本発明のインキは、前記有機溶剤に加えて、従来既知のその他の有機溶剤を含んでもよ
い。
その他の有機溶剤として、一般的に使用されるエステル系溶剤、ケトン系溶剤、脂肪族
系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、直鎖エーテル系溶剤等が挙げられる。これら
溶剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインキは、実質的に水を含まないことが好ましい。一般に、空気から吸収され
るいくらかの水や、不純物として存在するレベルは許容される。例えば、インキに含まれ
る水は、インキの全重量を基準として、5重量%未満が好ましく、2重量%未満がより好
ましく、1重量%未満がさらに好ましい。
<重合性モノマー>
本発明のインキは、重合性モノマーとして、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ
)エチルを含有する。アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルは、例えば、日
本触媒社製の「VEEA」、「VEEA−AI」として市販されている。
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルは、粘度が低く、かつ反応性が高い
重合性モノマーである。そのため、低粘度で高感度のインキを調製する材料として優れて
いる。アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インキの全重量を
基準として、少なくとも5重量%とすることが好ましい。一実施形態において、上記含有
量は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは
10〜50重量%である。
上記含有量が上記範囲内であれば、インキ組成物の粘度が好適な範囲になり、基材上での
濡れ拡がり性が向上し均一な膜を得ることができる。また、その他の重合性モノマーとの
重合反応性が向上し、印刷速度が速い場合であっても吐出が安定し、十分な硬化性が得ら
れる。
本発明のインキの一実施形態では、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
に対し、特に、一般式(3)又は一般式(4)で表されるグリコール系有機溶剤を使用す
ることが好ましい。前述したように、このような実施形態によれば、有機溶剤と重合性モ
ノマーやその他添加剤との相溶性が良好であるため、吐出安定性に優れ、硬化性及び各種
基材への密着性が向上する。更に硬化膜が均一に形成され、光沢ムラがなく、干渉縞の発
生が抑制された硬化膜を得ることが出来る。一般式(3)又は一般式(4)で表されるグ
リコール系有機溶剤は、インキの保存安定性、臭気の点でも優れる。
本発明のインキは、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルに加えて、その
他の重合性モノマーを含んでもよい。その他の重合性モノマーは、従来既知の単官能モノ
マー及び/又は多官能モノマーから選択することができる。
単官能モノマーは、分子内に重合性官能基を1つだけ有する化合物を含む。具体的な化
合物の例として、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリ
レート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート
、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ
)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレン
グリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェ
ノールPO変性アクリレート、o−フェニルフェノールEO変性アクリレート、2−エチ
ルヘキシルEO変性アクリレート、β−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート
、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート
、イソボロニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンタニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4
−シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−
ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、及びN−アクリロイルオキシエチルヘキサ
ヒドロフタルイミド等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用されてもよく、又は
2種以上の組合せで使用されてもよい。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、及び「(メタ)アクリレート
」といった記載は、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリ
ロイル」、及び「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
多官能モノマーは、分子内に2以上の重合性官能基を有する化合物を含む。例えば、ア
クリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル以外の多官能の(メタ)アクリレートが
挙げられる。具体的な化合物の例として、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アク
リレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート
、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、1,10−デカンジオー
ルジアクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)ネオペンチルグリコールジ(メタ
)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート
、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)ト
リメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(
又はテトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(又はテトラ)(メタ
)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(又はテトラ)(メタ)アクリレート、及
びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーの別の例として、分子内にビニル基を複数含有するモノマーが挙げられ
る。具体的な化合物の例として、ブタンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコー
ルジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタ
ノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリト
ールトリ(又はテトラ)ビニルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペ
ンタエリスリトールトリ(又はテトラ)アリルエーテル等が挙げられる。これらの化合物
は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
上記実施形態の中でも、インキは、硬化性の点から、アクリル酸2−(2−ビニロキシ
エトキシ)エチルに加えて、EO(エチレンオキサイド−CH2−CH2−O−)変性又は
PO(プロピレンオキサイド−CH2−CH2−CH2−O−、−CH(CH3)−CH2
O−)変性の骨格を有する重合性モノマーを含有することが好ましい。詳細は明らかでは
ないが、EO/PO骨格に存在する酸素原子が分子中の電子を引き寄せることで、分子内
の双極子モーメントに偏りが生じ、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルや
有機溶剤と互いに引き付け合うことから、分子間距離が縮まり、重合反応が効率的に進行
すると推察される。
更に、EO/PO骨格を有する一般式(3)、(4)、及び(5)等のグリコール系有
機溶剤と併用することによって、より硬化性が優れ、干渉縞の発生しにくい硬化膜を得る
ことが出来る。
上記観点から、本発明のインキの一実施形態において、重合性モノマーは、アクリル酸
2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと、EO/PO変性の骨格を有する単官能モノマ
ー及び/又は多官能モノマーとを含むことが好ましい。このような実施形態において、ア
クリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと併用するその他の重合性モノマーは、
2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)2−フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、(フェノキシジエチレングリコール(メタ)アク
リレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノ
ニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、(エト
キシ(又はプロポキシ)化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(又
はプロポキシ)化)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパ
ンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(又はテトラ)(メタ)アクリレートからなる群から選択される少
なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。一実施形態において、重合性モノマーは、
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと、2−フェノキシエチルアクリレー
ト及びジプロピレングリコールジアクリレートの少なくとも一方とを含むことが好ましい
本発明の一実施形態において、インキ中の重合性モノマーの含有量は、インキの全重量
を基準として、10〜85重量%が好ましく、15〜80重量%がより好ましく、20〜
60重量%がさらに好ましい。
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル以外の重合性モノマーを併用する場
合、25℃での表面張力が38mN/m以下の重合性モノマーを使用することが好ましい
例えば、硬化性が比較的良好なモノマーとして、環状構造を有する重合性化合物である
2−フェノキシエチルアクリレートが知られているが、2−フェノキシエチルアクリレー
トは、表面張力が高い(39mN/m)ため、ドット径の広がりが悪く、干渉縞が起きや
すい傾向がある。
表面張力が38mN/mより大きい重合性モノマーを使用する場合は、インキ全重量を
基準として、含有量は50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30
重量%以下がさらに好ましい。
一実施形態として単官能モノマーを使用する場合は、インキ全重量を基準として、単官
能モノマーの含有量は50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30
重量%以下がさらに好ましい。単官能モノマーの含有量を上記範囲内にすることで、イン
キの臭気を抑えること、皮膚感作性を抑えること、さらに優れた硬化性を得ることが容易
となる。また、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルとの相溶性、レベリン
グ性が向上し、干渉縞を抑制することが容易である。
前記単官能モノマーとしては、干渉縞の抑制の観点から、25℃での表面張力が38m
N/m以下の単官能の重合性モノマーを使用することが好ましい。例えば、臭気、粘度の
点から、ラウリルアクリレート(30mN/m)、テトラヒドロフルフリルアクリレート
(36mN/m)、イソデシルアクリレート(29mN/m)、イソオクチルアクリレー
ト(28mN/m)、トリデシルアクリレート(29mN/m)、イソボロニルアクリレ
ート(32mN/m)等が好ましい。
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル以外の多官能モノマーを併用する場
合、その配合量は、インキ全重量を基準として、10重量%以上が好ましく、20重量%
以上がより好ましく、30重量%以上がさらに好ましい。
本発明のインキの好ましい一実施形態において、重合性モノマーは、アクリル酸2−(
2−ビニロキシエトキシ)エチルと、その他の多官能モノマーとを含む。より好ましい実
施形態において、重合性モノマーは、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル
と、EO/PO骨格を有する多官能の重合性モノマーとを含む。さらに好ましい実施形態
において、重合性モノマーは、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメ
チロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、EO変性ビスフェノールAジアクリレートからなる群から選択される少なくとも
1種とを含む。
特に、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと、ジプロピレングリコール
ジアクリレート(表面張力:32mN/m)との組合せは、インキの粘度、臭気、高硬化
性の点で好ましい。また、着弾後のレベリング性が良好であり、干渉縞の発生の抑制も容
易である。
本発明のインキは、前記重合性モノマーに加えて、オリゴマー、プレポリマーの種を問
わず使用することができる。オリゴマー及び/プレポリマーを含む場合は、インキ全重量
を基準として10重量%以下であることが好ましい。
<光重合開始剤>
本発明の一実施形態では、紫外線等の活性エネルギー線を用いてインキを硬化させる観
点から、インキに光重合開始剤を配合する。本発明で用いることができる光重合開始剤は
、公知の光重合開始剤であってよい。例えば、分子開裂型や水素引き抜き型でラジカルを
発生させる光重合開始剤を使用することが好ましい。本発明において、光重合開始剤は、
単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカルを発生させる光重合
開始剤とカチオンを発生させる光重合開始剤とを併用してもよい。
光重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1
−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フ
ェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1
−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル
}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステ
ル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1
−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタ
ノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリ
ン−4−イル−フェニル)−ブタノン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾ
イル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェ
ニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)
−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベ
ンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、ベンゾ
フェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−
メチル−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
中でも、硬化性、保存安定性の点から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−
フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フ
ォスフィンオキサイド、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−
ジフェニルスルフィド、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリ
ノフェニル)−ブタノン−1からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いら
れる。
本発明のインキは、酸素阻害の影響が少なく、薄膜硬化性に優れるため、例えば、ビス
(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6
−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等の比較的短波長の吸収
帯を有する開始剤を使用する場合でも十分な表面硬化性を得ることが出来、
硬化時の照射エネルギーを特別に増大させる必要がない。
また、上記光重合開始剤に対する増感剤を使用してもよい。増感剤の一例として、重合
性モノマーと付加反応を起こさないアミン類やチオキサントン系化合物等が挙げられる。
そのような化合物の一例として、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエ
タノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチ
ル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、エチル
−4−ジメチルアミノベンゾエート、及び4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェ
ノン等のアミン類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、及び2−イソプ
ロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物が挙げられる。中でも、エチル−4−
ジメチルアミノベンゾエート、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び
2−イソプロピルチオキサントンが特に好ましく用いられる。上記光重合開始剤や増感剤
は、インキ組成物中での溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる
ことが好ましい。
上記光重合開始剤と増感剤の含有量は、インキの全重量に対し、2〜30重量%が好ま
しく、2〜20重量%がより好ましく、5〜15重量%がさらに好ましい。上記光重合開
始剤の含有量を2重量%以上とした場合、良好な硬化性を得ることが容易である。一方、
上記含有量を20重量%以下にした場合、効率的に硬化速度を速くすることができ、低温
度においても光重合開始剤の未溶解成分が発生せず、インクジェットの良好な吐出性を得
ることが容易である。
<その他の構成成分>
本発明のインクジェットインキは、上記重合性モノマー及び光重合開始剤の他に、表面
調整剤、顔料、顔料分散剤、及び各種添加剤を含んでも良い。上記添加剤の具体例として
、重合禁止剤、消泡剤、及び酸化防止剤等が挙げられる。
<表面調整剤>
本明細書で記載する表面調整剤とは、添加によってインキの表面張力を低下させる物質
を意味する。本発明の一実施形態において、上記表面調整剤とは、表面調整剤を1.0重
量%添加した時に、表面調整剤を含まないインキに対して、その静的表面張力を3mN/
m以上低下させる能力を有する物質を示す。
なお、静的表面張力の測定は、協和界面科学社製 自動表面張力計CBVP−Zを用い
て、25℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの静的表面張力を確認するこ
とにより測定することができる。
表面調整剤として、例えば、シリコーン系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アクリル
系表面調整剤、アセチレングリコール系表面調整剤等が挙げられる。
表面張力低下の能力、重合性モノマーとの相溶性との観点から、シリコーン系表面調製
剤を使用することが好ましい。
具体的なシリコーン系表面調整剤として、ジメチルシロキサン骨格の変性体が挙げられ
る。中でも、ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤が好ましい。ポリエーテルとは、
例えば、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドであってよい。本発明の一実
施形態では、市販品として入手できるポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を使用す
ることができる。好ましく使用できる代表的な製品の例として、ビックケミー社のBYK
(登録商標)−378、348、及び349等のポリエーテル変性シロキサン;並びにB
YK―UV3500、及びUV3510等のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが
挙げられる。また、エボニックデグサ社のTEGO(登録商標) GLIDE 450、
440、435、432、410、406、130、110、及び100等のポリエーテ
ル変性シロキサンコポリマーが挙げられる。これらの中でも、良好な画質形成の観点から
、BYK−331、378、348、UV3510、TEGO GLIDE 450、4
40、432、及び410等のポリエーテル変性シリコーン系表面調整剤が好ましい。
シリコーン系表面調整剤の含有量は、インキ全重量に対して、0.05〜5.0重量%
が好ましく、0.1〜3.0重量%がより好ましい。上記含有量を0.05重量%以上に
することにより、インキの基材への濡れ性を容易に向上できる。一方、上記含有量を5.
0重量%未満にすることより、インキの保存安定性を確保することが容易となる。
本発明のインキの一実施形態は、上述の構成成分から構成されるクリアインキであって
よい。また、別の実施形態では、上述の構成成分に、さらに着色剤を加えて構成されるカ
ラーインキであってもよい。以下、カラーインキの実施形態について説明する。
<顔料>
本発明のインクジェットインキの一実施形態では、着色剤として顔料を使用することが
できる。使用可能な顔料は、印刷用途及び塗料用途のインキに一般的に使用される顔料で
あってよく、それら顔料から発色性及び耐光性等の必要となる用途に応じて適切な顔料を
選択することができる。
但し、本発明で使用する顔料には、光輝顔料等の金属光沢性を発現させる鱗片形状の金属
粉末は含まないことが好ましい。本発明において、顔料として鱗片形状の金属粉末を使用
した場合、インキの粘度が上昇し、優れた吐出安定性を得ることが困難となる傾向がある
。また、鱗片形状の金属粉末を使用した場合、インキ塗膜の内部まで活性エネルギー線が
透過し難く、塗膜の硬化性や基材への密着性を得ることが困難となる傾向がある。さらに
、金属粉末同士による干渉縞が発生する傾向がある。
本発明の一実施形態では、インキの吐出安定性の観点から、平均粒径が500nm以下
、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下の顔料を使用することが好
ましい。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。一実施形態において、
顔料は、カーボンブラック、光輝性を持たない無機顔料、及び有機顔料からなる群から選
択される少なくとも1種を含むことが好ましい。ここで、「光輝性を持たない無機顔料」
とは、一般的に金属的(メタリック)又は、真珠光沢等の質感を有するために使用される
顔料ではなく、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、イ
ンジウム、チタン及び銅といった金属顔料ではないことを意味する。すなわち、金属顔料
を除く無機顔料を意味する。
光輝性を持たない無機顔料は、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カル
シウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸
カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が挙
げられ、中でも酸化チタン及び炭酸カルシウムの無彩色(白色)の顔料が好ましい。また
、有機顔料は、耐光性に優れたものが好ましい。さらに、有彩色の有機顔料が好ましい。
なお前記平均粒径は、D50であり、例えば、インキを酢酸エチルで200〜1000
倍に希釈し、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を使用することで測定
できる。
本発明で使用できる有機顔料の一例は以下のとおりであり、これら顔料を使用した場合
、耐光性に優れるカラーインキが得られる点で好ましい。
マゼンタの顔料−C.I.Pigment Violet19、C.I.Pigmen
t Red122、176、185、202、266、269。
イエローの顔料−C.I.Pigment Yellow120、139、150、1
51、155、180、185。
シアンの顔料−C.I.Pigment Blue15:3、15:4。
グリーンの顔料−C.I.Pigment Green7、36。
オレンジの顔料−C.I.Pigment Orange43、64。
バイオレットの顔料−C.I.Pigment Violet23。
ブラックの顔料−C.I.Pigment Black7。
本発明では上述した顔料に限定されることなく、その他の顔料を使用してインキを構成
してもよい。すなわち、上記オレンジ、グリーン、バイオレット以外の顔料を使用し、上
記以外の色調の特色カラーインキ又は2種以上の顔料を使用した調色カラーインキを構成
することもできる。本発明の一実施形態として、各種カラーインキ、調色カラーインキ、
ホワイトインキ、及び顔料を含まないクリアインキを適宜組み合わせて、インキセットを
構成することもできる。
カラーインキの実施形態において、顔料の含有量は、インキの全重量を基準にして、0
.1〜20重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。顔料の含有量を上記範囲
内にすることで、印刷物の色濃度や耐光性の点で良好な結果を得ることが容易となる。
ホワイトインキの実施形態において、顔料の含有量は、ホワイトインキの全重量を基準
にして3〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、7〜20重量%がさ
らに好ましい。顔料の含有量を上記範囲内にすることで、インキの保存安定性や隠蔽性の
点で良好な結果を得ることが容易となる。
<顔料分散剤>
本発明の一実施形態として顔料を含むインキを構成する場合、顔料の分散性及びインキ
の保存安定性を向上させるために、顔料分散剤を使用することが好ましい。顔料分散剤と
しては、従来既知の化合物を使用することできる。中でも、塩基性官能基を有する樹脂型
分散剤、さらには、ウレタン骨格を有する樹脂型分散剤が好ましい。ウレタン骨格を有す
る樹脂型分散剤を使用した場合、高周波数特性に優れ、かつ保存安定性良好な顔料分散体
が容易に得られるため好ましい。このような樹脂型の顔料分散剤(以下、「顔料分散樹脂
」と称す)の具体例として、ルーブリゾール社製のソルスパース32000、76400
、76500、J100、及びJ180; 並びにDisperbyk−161、162
、163、164、165、166、167、及び168等が挙げられる。
顔料分散樹脂の添加量は、所望の安定性を確保する上で任意に選択される。一実施形態
において、インキの流動特性に優れるのは、有機顔料100重量部に対して顔料分散樹脂
を25〜150重量部とした場合である。この範囲内で顔料分散樹脂を使用した場合、イ
ンキの分散安定性が良好となり、長期経時後も初期と同等の品質を示す傾向があるため、
好ましい。さらに有機顔料100重量部に対して顔料分散樹脂を40〜100重量部とし
た場合、インキの分散性と吐出性の双方の観点で好ましい。
顔料分散樹脂の添加量は、使用する顔料の種類に応じて任意に選択することができる。
一実施形態において、顔料としてカーボンブラックを使用する場合、顔料分散樹脂は、カ
ーボンブラック100重量部に対して25〜150重量部が好ましく、40〜100重量
部がより好ましい。
別の実施形態において、顔料として酸化チタン等の光輝性を持たない無機顔料を使用す
る場合は、顔料分散樹脂は、顔料100重量部に対して、2〜20重量部が好ましく、3
〜10重量部がより好ましく、4〜7重量部がさらに好ましい。
<重合禁止剤>
インキの経時における粘度安定性、経時後の吐出安定性、インクジェット記録装置内で
の粘度安定性を高めるため、重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、
ヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、
リン系化合物が特に好適に使用される。具体的には、4−メトキシフェノール、ハイドロ
キノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのア
ルミニウム塩等が挙げられる。硬化性を維持しつつ経時安定性を高める点から、インキ全
体に対して0.01〜2重量%の割合で配合することが好ましい。
<インキの硬化方法>
インキの代表的な硬化方法として、ピンキュアタイプ、及びピンキュアレスタイプがあ
る。ピンキュアタイプは、一般的には、ヘッドとヘッドとの間で活性エネルギー線を照射
し、印刷基材上に射出されたインキを射出の度に固定する。一方、ピンキュアレスタイプ
では、インキを射出の度に固定せずに、複数のヘッドから射出されたインキを同時に硬化
させる。上記ピンキュアタイプは、例えば、4色印刷では最低4つのランプが必要となる
。したがって、装置コストが高くなり、また装置が大型化するため、用途が限定されるケ
ースが多く、普及しにくい。しかし、本発明によれば、インキが優れた硬化性を有するた
め、ピンキュアレスタイプのプリンタにも好適に適用することができる。本発明によれば
、特に、ピンキュアレスタイプのプリンタにおいて、高画質な印刷物を容易に得ることが
できる。
インキを硬化させるための活性エネルギー線は、被照射体の電子軌道に影響を与え、ラ
ジカル、カチオン、アニオン等の重合反応を誘発させることができるエネルギー線であれ
ばよい。特に限定するものではないが、具体例として、電子線、紫外線、及び赤外線が挙
げられる。本発明では、紫外線が好ましく用いられる。
紫外線の光源として使用できる具体例は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低
圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、LED、及び太陽光を含む。利便性
や価格等の面から、発光極大波長が300nm〜400nmの、高圧水銀ランプ、メタル
ハライドランプ、及びLED等を使用することが好ましい。
本発明のインキの硬化膜は、少なくとも、本発明のインキに活性エネルギー線を照射して
硬化した硬化膜であればよいが、インキ塗膜から有機溶剤を除去して得られた硬化物であ
ることが好ましい。
本発明の硬化膜の製造方法は、特に制限はないが、少なくとも以下の工程(a)〜(c
)を含むことが好ましい。
(a)インクジェットインキを基板上にインクジェット印刷方式により印刷する印刷工程
(b)印刷されたインキ塗膜から溶剤を除去する溶剤除去工程
(c)溶剤が除去されたインキ塗膜に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射
工程
工程(b)と工程(c)は逆の順であってもよいし、工程(b)が無くても良い。
インキ塗膜から溶剤を除去する工程(b)において、例えば、インキ塗膜を熱風で乾燥
させる方法や印刷基材を加温する方法が挙げられる。なかでも、印刷基材を加温する方法
が好ましい。
印刷基材を加温する温度としては、例えば、30〜80℃であることが好ましく、40
〜70℃であることがより好ましい。
<印刷材>
本発明のインキが適用可能な印刷基材については特に限定されず、多種の基材であって
よい。一例として、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発泡スチロ
ール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等の材料からなるプラスチック
基材や、これら材料の混合又は変性品、上質紙、アートコート紙、セミグロスコート紙、
キャストコート紙等の紙基材、ガラス基材、ステンレス、アルミニウム蒸着紙等の金属基
材が挙げられる。これらの印刷基材は、その表面が滑らかであっても、凹凸の形状を有し
てもよい。各種基材は、透明、半透明、又は不透明のいずれであっても良い。また、印刷
基材は、上記多種の基材の2種以上を互いに貼り合わせたものでも良い。さらに、印刷基
材は、印字面の反対側に剥離粘着層等の機能層を有しても良い。印刷基材の別の実施形態
では、印字後、印字面に粘着層等の機能層を設けても良い。
本発明によれば、インキの全重量に対して10重量%より多くの有機溶剤と、アクリル
酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを含有する重合性モノマーとを使用することに
よって、各種基材へのインキの濡れ拡がり性及び密着性を改善することができる。また、
インキは硬化性及び吐出安定性にも優れるため、様々な印刷基材に高品質の画像を効率良
く形成することが容易となる。特に20μm以下といった薄膜のフィルム基材にも印刷し
ても良好な密着性を保つことが出来る。
以下に、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制
限するものではない。なお、実施例における「部」の記載は、「重量部」を表す。
1.インキの調製
(実施例1〜29及び比較例1〜4)
カラーインキの調製
有機顔料としてPigment Blue 15:3 (トーヨーカラー社製「Lio
nol Blue 7351」)15重量部、顔料分散剤(ルーブリゾール社製、塩基性
顔料分散樹脂「ソルスパース32000(酸価24,8mmgKOH/g、アミン価27
,1mmgKOH/g)」)7.5部、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPG
DA)77.5重量部をハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌した。次いで、得
られたミルベースを横型サンドミルで約1時間にわたって分散処理することによって、顔
料分散体を調製した。
表3に記載した配合になるように、先に調製した顔料分散体に、重合性モノマーと光重
合開始剤、重合禁止剤、及び有機溶剤の混合液をゆっくり加え、得られた混合液を撹拌し
た。表3に記載したDPGDAの配合量は、顔料分散体におけるDPGDAの量も併せた
数値である。次いで、上記混合液に表面張力調整剤を添加した後、シェーカーにて6時間
振盪することによって、カラーインキを調製した。得られたカラーインキをポア径0.5
ミクロンのPTFEフィルターで濾過し、粉塵や粗大粒子を除去し、評価インキとして使
用した。なお、上記混合液を得るための原料の添加及び混合は順不同であってよい。
(実施例26)クリアインキの調製
クリアインキを調製するために使用した原料を表2に示す。表2に記載した配合に従い
、重合性モノマーと光重合開始剤、重合禁止剤、及び有機溶剤を反応容器にゆっくり加え
、得られた混合液を撹拌した。次いで、上記混合液に表面張力調整剤を添加した後、シェ
ーカーにて6時間振盪することによって、インキを調製した。得られたインキをポア径0
.5ミクロンのPTFEフィルターで濾過し、粉塵や粗大粒子を除去し、評価インキとし
て使用した。なお、上記混合液を得るための原料の添加及び混合は順不同であってよい。
(参考例1)
金属粉末を含むインクジェットインキの調製
アルミニウム分散液(BASF社製の「MetasheenR 41−0310」、ア
ルミニウム含有量:10.0質量%、溶剤:プロプレングリコールモノメチルエーテルア
セテ−ト 沸点146℃)に対して、超音波を30分間照射した。その後、上記分散液中
のアルミニウム含有量が20.0質量%になるように、エバポレーターにより溶剤を留去
した。
表3に記載した配合になるように、先に調製したアルミニウム分散液10重量部に、重
合性モノマー、光重合開始剤、重合禁止剤、及び表面張力調整剤を順次撹拌しながらゆっ
くり加え、これらを混合することによりインキを調製した。得られたインキを開き目5μ
mのSUSメッシュフィルターで濾過し、粗大粒子を除去し、評価用インキとして使用し
た。
2.インキの評価方法
各実施例及び各比較例で調製した評価インキを使用し、以下のようにして各種特性を評
価した。
(硬化性1)
リンテック社製の基材PET50 K2411上に、評価インキを、膜厚4μmでバー
コート塗布したサンプルを作製した。ノードソン社製UVランプ(240W)の照射下、
コンベア速度50m/分、25m/分、及び10m/分の3水準で、1パスにてサンプル
の塗膜を硬化した。次いで、各水準での硬化後の塗膜を綿棒で10往復こすった後、塗膜
表面を目視で観察し、以下の基準に従い、硬化性を評価した。
評価基準
A: 50m/分での硬化塗膜に傷がない。
B: 50m/分での硬化塗膜に傷があるが、25m/分での硬化塗膜には傷がない。
C: 25m/分での硬化塗膜に傷があるが、10m/分での硬化塗膜には傷がない。
D: 10m/分での硬化塗膜に傷がある。
(硬化性2)
前述の硬化性1のインキ膜厚を6μmに変えた以外は、硬化性1と同様に評価した。
(干渉縞)
作製したインキ組成物を用い、京セラ社製ヘッド(KJ4A)を搭載したインクジェッ
ト吐出装置によって印刷を行った。具体的には、インキ液滴量14pl、600×600
dpiの印字条件で、インキ組成物を基材上へ吐出し、塗膜を形成した。次いで、ハリソ
ン東芝ライティング社製のメタルハライドランプ1灯、140W/cm、コンベア速度2
5m/min、1Passにて、紫外線を照射しながら、基材を移動させ、塗膜を硬化さ
せ、硬化膜を得た。得られた硬化膜を市販の三波長型蛍光灯(430、540、610n
mの特性スペクトルを有する)下で、発生する干渉縞を観察した。
A: 干渉縞が全然観察されない。
B: 詳細観察すると虹色の干渉縞が薄く観測されるが、光沢があり、干渉縞は目立たな
い。
C: 光沢が低いか、または、詳細観察すると虹色の干渉縞が薄くある。
D: 虹色の干渉縞が全面に亘って発生している。

なお、ここの光沢とは、基材と同程度の光沢であり、蛍光灯がその形状通りに反射され
るかどうかを確認した。
光沢度が高いからといって、干渉縞が起こらないとは限らず、光沢度が低くても干渉縞
は発生する。硬化時の硬化収縮等により発生するシワや、着弾時のレベリング性が等によ
って、光沢と干渉縞の発生が変化する。
各実施例及び各比較例で使用した、顔料及び顔料分散剤以外のインキ原料を表2に示す
。また、各実施例及び各比較例におけるインキの組成及びその評価結果を表3に示す。
表2
Figure 2016222764
表3
Figure 2016222764
表3に見られるように、本発明の実施形態によれば、硬化性に優れるとともに、干渉縞
の発生しないインキを提供することができることが分かる。特に、実施例1〜15と、比
較例4との比較から、300℃以下の沸点を有する有機溶剤と、VEEAとの組合せによ
って、硬化性を向上できることが分かる。
例えば実施例4〜11の比較から、沸点が140℃以上のグリコール系溶剤を含有する
ことによって、硬化性、干渉縞抑制に優れることが分かる。
また、実施例28〜30との比較から、VEEAと単官能モノマーとを組合せる場合、
単官能モノマーの含有量を少なくすることによって、硬化性を高めることが容易となるこ
とが分かる。
本発明のインキは、酸素阻害の影響が小さく、薄膜硬化性に優れる。実施例で使用した
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4
,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2
−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等の通常使用され
る開始剤を使用することで十分な硬化性を得ることができる。
さらに、参考例1(表3)から、VEEAと沸点300℃以下の有機溶剤を含む場合で
あっても、アルミニウムのような金属粉末を含むインキは、膜厚が増えると硬化性が低下
することが分かる。また、光沢が高くても、蛍光灯が全反射して印字物がギラつき、干渉
縞が発生することが分かる。

Claims (7)

  1. 80℃〜300℃の沸点を有する有機溶剤と、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキ
    シ)エチルを含有する重合性モノマーとを含み、前記有機溶剤の含有量がインキの全重量
    に対して10重量%〜85重量%含む、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  2. 前記有機溶剤が、下記一般式(1)〜(7)のいずれかで表される有機溶剤、アルカン
    ジオール、及び環状エーテルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1
    記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
    Figure 2016222764

    7−(OX1)x−O−R8 一般式(3)

    9−(OX1x−COOCH3 一般式(4)

    CH3CO(OX1xOCOCH3 一般式(5)

    x2x+1−O−COCH(CH3)OH 一般式(6)

    10−O−C24−CON(R112 一般式(7)

    [上記各式において、
    1、及びR2は、それぞれ独立して、−NR6−、又は酸素原子であり、
    3は、CmHnで表される炭化水素基であり、mは2〜8の整数を表し、nは2m-4
    、2m−2、又は2mいずれかの整数を表し、前記炭化水素基は分岐構造を有してもよく

    6は、炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基又は水素原子を表す

    7、R9、R10、及びR11は、単結合のみで構成される炭素数が1〜5の炭化水素基を
    表し、分岐構造を有してもよい。
    8は、水素原子、又は単結合のみで構成される炭素数が1〜5の炭化水素基を表し、
    分岐構造を有してもよい。
    1は、単結合のみで構成される炭素数が2〜4の炭化水素基を表し、分岐構造を有し
    てもよい。
    xは、1〜4の整数を表す。]
  3. 前記有機溶剤を、インキの全重量を基準として、60重量%以下含むことを特徴とする
    請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  4. 前記重合性モノマーが、さらに、エチレンオキサイド変性又はプロピレンオキサイド変
    性の骨格を有する重合性モノマーを含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の活性エネル
    ギー線硬化型インクジェットインキ。
  5. 前記重合性モノマーが、インキの全重量を基準として、30重量%以下の単官能モノマ
    ーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェット
    インキ。
  6. さらに顔料を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型イン
    クジェットインキ。
  7. 前記顔料が、金属粉末を含まないことを特徴とする、請求項6に記載の活性エネルギー
    線硬化型インクジェットインキ。
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