JP2014019751A - 活性エネルギー線硬化型インクジェットインク及びそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク膜が薄膜でも画像の硬度が高く、画像の光沢性に優れ、かつインクジェットインクを安定に射出できる活性エネルギー線硬化型インクジェットインク及びそれを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを2種以上含有する活性エネルギー線硬化型インクジュエットインクであって、前記重合性モノマーは、少なくとも1種の電子供与性モノマーと、少なくとも1種の電子受容性モノマーとを含有し、前記電子供与性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、前記電子受容性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするとき、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.46であり、重合性のない有機溶剤をインク全量に対して20〜80質量%含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は活性エネルギー線硬化型インクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は、簡便でかつ安価に画像を作成できる観点から、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印字分野に利用されている。インクジェット記録方式で用いられるインクジェットインクの例には、水を主溶媒とする水性インクジェットインク;室温では揮発しない不揮発性溶媒を主として実質的に水を含まない油性インクジェットインク;室温で揮発する溶媒を主として実質的に水を含まない溶剤系インクジェットインク;室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインク;印字後に紫外線等の活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクなどがあり、用途に応じて使い分けられている。
溶剤系インクジェットインクは、記録媒体に着弾したインク液滴が適度に濡れ広がりながら記録媒体に吸収されて定着する。そのため、画像表面が平滑になり光沢感が出やすい。一方で、記録媒体に着弾したインク液滴同士の合一が起きやすく、インク滲みが生じやすい。その対策として、記録媒体を加熱して、記録媒体に着弾したインク液滴から揮発性溶媒を蒸散させて、インク滲みを抑制する方法がある。しかしながら、記録媒体の種類(特に非吸収性の記録媒体)によっては、インクが記録媒体に吸収されないため、記録媒体を加熱してもインク滲みが十分に抑えられず、また十分な密着性が得られにくい。
これに対して、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、記録媒体の表面で硬化膜を形成して密着できる。インク非吸収性の記録媒体に対しても密着性が高いため、使用できる記録媒体の選択肢が多い。ところが、一般的に活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、インク粘度が高く、記録媒体に着弾したインク液滴は濡れ広がりにくい。また、記録媒体に着弾したインク液滴は、活性エネルギー線により直ちに硬化される。そのため、画像表面に凹凸が残りやすく、光沢性が低い。
これに対して、揮発性有機溶剤を添加して粘度を低くした紫外線硬化型インクジェットインクが提案されている(特許文献1)。このインクジェットインクのインク液滴を記録媒体に着弾させて、ヒーターによって有機溶剤を揮発除去させると、画像表面が平滑になり、その後、紫外線照射によりインク液滴を硬化および定着させてインク滲みを抑制できることが記載されている。一方で、特許文献1には、紫外線硬化型インクジェットインクに含まれる重合性モノマーの種類は具体的に開示されていない。
一般に紫外線硬化型インクジェットインクは、ラジカル重合型とカチオン重合型とに分類される。ラジカル重合型のインクジェットインクは、その素材選択の幅が広く、インク設計の自由度が高いことから、広く研究開発され、実用化されている。しかしながら、酸素による重合阻害の影響を受けやすいことや、重合性モノマーの臭気があることなどから、取扱いに注意を有する。一方、カチオン重合型のインクジェットインクは、酸素による重合阻害の影響を受けないものの、湿度による重合阻害の影響を受けやすい。
重合性モノマーなどの使用素材の安全性、実用的な硬化感度の両立を目的として、ビニルエーテル等の電子過多なモノマー(以下、電子供与性モノマーまたはドナーモノマーともいう)と、マレイミド等の電子不足モノマー(以下、電子受容性モノマーまたはアクセプターモノマーともいう)との組み合わせからなる、電荷移動錯体重合性組成物(以下、CT重合性組成物ともいう)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、CT重合性組成物を活性エネルギー線硬化型組成物として適用する試みがなされている(例えば、特許文献2、3参照)。
特許文献2には、アクセプターモノマーと、ドナーモノマーとを配合して製造した活性エネルギー線硬化型組成物であるCT重合性組成物を、インクに含むことが記載されている。特許文献3には、マレイミド化合物と、ビニルエーテルとを配合した活性エネルギー線硬化型組成物であるCT重合性組成物が記載されている。さらに、特許文献3には、CT重合性組成物に有機溶剤を添加して、CT重合性組成物を希釈できることが記載されているが、有機溶剤の具体的な添加量は記載されていない。
特開2010−280828号公報 特許第3353020号公報 特開平11−124403号公報
Sonny Jonsson,et.al, Polymer Materials Sci.&Enginer. 1995, 72, 470−472
特許文献1に記載の紫外線硬化型インクジェットインクに重合性モノマーとして、一般に用いられるラジカル重合型またはカチオン重合型の重合性モノマーを含有させて画像を形成した場合、十分な硬度を有する画像が得られないという問題がある。これは、インク液滴から有機溶剤が揮発除去されることで、インク液滴の体積が減少し、インク膜が薄膜になることが原因と推測される。ラジカル重合型またはカチオン重合型の重合性モノマーでは、インク膜が薄膜となることで、インク膜の表面積が増加し、酸素や湿度による重合阻害を受けやすく、十分な硬度を有する画像を形成できない。
一方、特許文献2または3には、CT重合性組成物が記載されているが、このCT重合性組成物を活性エネルギー線硬化型インクジェットインクに添加した場合、酸素や湿度による重合阻害が少なく、高い硬度を有する画像を形成できる。しかしながら、CT重合性組成物は粘度が高く、これを含むインクジェットインクの粘度も高くなる。粘度の高いインクジェットインクを用いて画像を形成すると、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がりにくく、インク膜が薄膜にならない。そのため、画像表面に凹凸が残りやすく、画像の光沢性が低くなるという問題がある。
また、有機溶剤が所望量含まれていないインクジェットインクを用いて画像を形成すると、インクジェット記録ヘッドのノズルが詰まるという問題がある。これは、CT重合性組成物を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの硬化感度が高いために生じる問題である。インクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドと活性エネルギー線光源との設置距離が近く、前記光源からの光がインクジェット記録ヘッドのノズル面に達することがある。そのため、前記インクジェットインクがノズル面に残っていると、ノズル面に達した光が僅かであっても、硬化してしまい、ノズルが詰まりやすい。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インク膜が薄膜でも形成画像の硬度が高く、形成画像の光沢性に優れ、かつインクジェットインクを安定に射出できる、活性エネルギー線硬化型インクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法を提供することである。
すなわち、本発明の第一は、以下の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクに関する。
[1] 重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを2種以上含有する活性エネルギー線硬化型インクジュエットインクであって、
前記重合性モノマーは、少なくとも1種の電子供与性モノマーと、少なくとも1種の電子受容性モノマーとを含有し、
前記電子供与性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、前記電子受容性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするとき、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.46であり、
重合性のない有機溶剤をインク全量に対して20〜80質量%含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
[2] 前記電荷Xと前記電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.30であることを特徴とする、[1]に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
[3] 前記有機溶剤の沸点が120〜250℃以下であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
[4] 前記少なくとも1種の電子供与性モノマーがビニルエーテル化合物であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
[5] 前記少なくとも1種の電子受容性モノマーがマレイミド化合物であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
[6] 前記マレイミド化合物がマレイミド環の炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子に置換基を有しないことを特徴とする、[5]に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
[7] 前記マレイミド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする、[6]に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
Figure 2014019751
〔一般式(1)中、R、Rは、水素原子を表し;Y、Y、Zは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、フェニレン基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基から選ばれる基が組み合わされた2価の有機連結基を表し;Yは不斉炭素を有する2価の基を表し;nは1〜6の整数、n1は0または1、n2は0または1を表す〕
[8] 光重合開始剤をさらに含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
本発明の第二は、以下の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを用いたインクジェット記録方法に関する。
[9] 重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを2種以上含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、前記記録媒体を加熱して着弾したインク液滴を乾燥させる工程と、前記記録媒体に活性エネルギー線光源からの光を照射して、前記インク液滴を硬化させる工程と、を有し、
前記重合性モノマーは、少なくとも1種の電子供与性モノマーと、少なくとも1種の電子受容性モノマーを含有し、前記電子供与性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、前記電子受容性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするとき、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.46であり、
前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、重合性のない有機溶剤をインク全量に対して20〜80質量%含有し、
前記インク液滴を0.1〜10plのサイズで出射する、インクジェット記録方法。
[10] 前記光は、波長が280〜420nmであり、前記記録媒体に対するピーク照度が8W/cm以下であり、かつ、前記記録媒体に対する積算光量が10〜500mJ/cmである、[9]に記載のインクジェット記録方法。
[11] 前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが前記記録媒体に着弾する前に、前記記録媒体が加熱されていることを特徴とする、[9]または[10]に記載のインクジェット記録方法。
[12] 前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが着弾した前記記録媒体に前記光を照射する前に、前記記録媒体が加熱されていることを特徴とする、[9]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法によれば、インク膜が薄膜でも形成画像の硬度が高く、形成画像の光沢性に優れ、かつインクジェットインクを安定に射出できる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の要部の構成の他の一例を示す上面図である。
1.活性エネルギー線硬化型インクジェットインク
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクには重合性モノマーと有機溶剤とが含まれ、必要に応じて、その他の添加剤が含まれてもよい。
<重合性モノマーについて>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクには、重合性不飽和結合(通常は炭素炭素二重結合)を有する重合性モノマーが2種以上含まれる。重合性モノマーは、電子供与性モノマー(ドナーモノマー)と電子受容性モノマー(アクセプターモノマー)とを含有し、両者が電荷移動錯体重合性組成物(以下、CT重合性組成物ともいう)を構成する。活性エネルギー線とは、例えばX線、紫外線、電子線、可視光線などである。これらの中でも、電荷移動錯体の硬化感度が高く、照射装置が低コストで済む点から紫外線であることが好ましい。
電子受容性モノマーにおける「重合性不飽和結合を構成する炭素」とは、電子吸引性基が結合した重合性不飽和結合上の二つの炭素のうち電荷の値の大きい方の炭素を意味する。電子供与性モノマーにおける「重合性不飽和結合を構成する炭素」とは、電子供与性基が結合した重合性不飽和結合上の二つの炭素のうち電荷の値の小さい方の炭素を意味する。一分子の重合性モノマー中に重合性不飽和結合が複数存在する場合には、「重合性不飽和結合を構成する炭素」とは、各重合性不飽和結合を構成する炭素の電荷の平均値をいう。
重合性モノマーにおける重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷とは、分子軌道法理論に基づいて、計算により得られる基底状態における原子上の電荷(atomic charge)をいう。重合性モノマーの基底状態における重合性不飽和結合の炭素原子上の電荷は、コンピュータを用いた計算によって求めることができる。本発明では、分子軌道計算ソフトであるSPARTAN’08 for Windows(登録商標)を使用し、計算手法をEquilibrium Geometry at Ground state with Hartree-Fock 3-21G in Vacuumとすることができる。電荷の値はNatural atomic chargeとする。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクでは、「電子供与性モノマー」の重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、「電子受容性モノマー」の重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするとき、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.46であり、0.24〜0.30であることが好ましい。電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24以上であれば、CT重合が起こりやすくなる。また、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.46以下であれば、電荷移動錯体が過度に安定化することなく、重合速度が十分に速くなる。電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.30である場合には、CT重合がより起こりやすく、かつ重合速度もより速くなる。
上記の通り、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクでは、重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを少なくとも2種以上含有し、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が適切に調整されることが好ましい。その結果、インクジェットインクの光硬化性(高感度)、長期の間保存安定性(例えば、粘度安定性)などに優れる。
<電子受容性モノマーについて>
本発明における電子受容性モノマーとは、電子不足の重合性不飽和結合を有するモノマーである。電子受容性モノマーにおける重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷(atomic charge)の値は、−0.3以上であることが好ましく、より好ましくは−0.28以上である。電子密度が過剰に低いモノマーは、アルカリ(塩基)の存在下で、加水分解の影響を受けやすい。
本発明のインクジェットインクにおける電子受容性モノマーは、下記一般式(4)または一般式(5)で表される重合性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2014019751
上記一般式(4)または一般式(5)中、EWG及びEWGは、各々電子吸引性基が重合性不飽和結合に直結する部分構造を表す。EWGまたはEWGの一部が結合して環状構造を有していてもよい。また、EWGとEWGは互いに結合して以下に示す電子吸引性連結基を形成して環状構造を形成してもよい。電子吸引性連結基の例には、-CO-O-CO-、-CO-N(R)-CO-、-S(O)-O−CO-、-S(O)-N(R)-CO-、-S(O)-O-S(O)-、または-S(O)-N(R)-S(O)-などが含まれる。
EWGとEWGは直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、環状アルキレン基、水酸基を有するアルキレン基、アリーレン基またはアリールアルキレン基等の連結基を介して環状構造を形成してもよく、さらに置換基を有していてもよい。また、EWGまたはEWGの一部が連結基を介し、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能重合性化合物を形成してもよい。
電子吸引性基は、シアノ基、ハロゲン基、ピリジル基、ピリミジル基、ニトロ基、下記一般式(a)で表される基、または下記一般式(b)で表される基を表す。
Figure 2014019751
上記一般式(a)および(b)中、QはOH、OR'、NR'R''またはR'を表す。R'及びR''は、各々水素原子、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、さらに置換基を有してもよい。
一般式(4)または一般式(5)で表される不飽和化合物の例には、ビニレンイミド化合物、ビニレンジカルボン酸、ビニレンジカルボン酸エステル、ビニレンモノカルボン酸アミドモノカルボン酸、ビニレンモノカルボン酸アミドモノカルボン酸エステル、ビニレンジカルボン酸アミド、ビニレン骨格両端にニトリル基が置換したビニレンニトリル化合物、ビニレン骨格両端にハロゲン基が置換したハロゲン化ビニル化合物、ビニレン骨格両端にカルボニルが置換したビニレンジケトン化合物、ビニレンジチオカルボン酸無水物、ビニレンチオイミド化合物、ビニレンジチオカルボン酸、ビニレンジチオカルボン酸エステル、ビニレンモノチオカルボン酸アミドモノチオカルボン酸、ビニレンモノチオカルボン酸アミドモノチオカルボン酸エステル、ビニレンジチオカルボン酸アミド、ビニレン骨格両端にピリジル基が置換した化合物、ビニレン骨格両端にピリミジル基が置換した化合物構造などが含まれるが、これらに限定されない。
電子受容性モノマーである不飽和化合物の好ましい例には、無水マレイン酸、マレイミドなどのビニレンイミド、マレイン酸、フマル酸などのビニレンジカルボン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステルなどのビニレンジカルボン酸エステルなどが含まれる。より好ましくは、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、マレイミド化合物が、高感度化の観点から好ましい。
また、一般式(4)または一般式(5)で表される不飽和化合物が、下記一般式(A−1)〜一般式(A−13)から選ばれる少なくとも1種の不飽和化合物であることが好ましい。
Figure 2014019751
一般式(A−1)〜一般式(A−13)中、R、R、R、Rは、各々独立に水素原子、直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基、環状アルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、さらに置換基を有していてもよく、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能重合性化合物を形成するための連結基とすることができる。Xはハロゲン原子を表す。
電子受容性モノマーは、一般式(A−1)〜一般式(A−13)で表される不飽和化合物のうち、一般式(A−1)、一般式(A−2)または一般式(A−6)で表される不飽和化合物であることが好ましい。また、電子受容性モノマーが一般式(A−2)で表されるマレイミド化合物である場合、マレイミド化合物がマレイミド環の重合性不飽和結合(炭素炭素不飽和結合)を構成する炭素原子に置換基を有しないことが好ましい。つまり、一般式(A−2)のR、Rが共に水素原子であることが好ましい。この構造を有するマレイミド化合物を活性光線硬化型インクジェットインクに含むことで、硬化感度がより高くなる。
以下に、一般式(A−1)〜一般式(A−13)で表される不飽和化合物を以下に記載するする。以下に記載する不飽和化合物が有する重合性不飽和結合の炭素原子の電荷は、いずれも−0.3以上の値を示す。
ビニレンジカルボン酸無水物を有する化合物の例として無水マレイン酸;
ビニレンイミドを有する化合物の例には、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N-2-エチルヘキシルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-オクタデシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-(p-カルボメトキシフェニル)マレイミド、4,4'-ジマレイミドビスフェノールF、N-ブチルマレイミド、N-(2-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、2,3-ジメチル-1-N-(2-メタクリルオキシエチルマレイミド;
ビニレンジカルボン酸の例には、マレイン酸、フマル酸;
ビニレンジカルボン酸エステルの例には、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ-n-ブチル、マレイン酸ジ-tert-ブチル、マレイン酸ジ(2-エチルヘキシル)、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ-n-ブチル、フマル酸ジ-tert-ブチル、フマル酸ジ(2-エチルヘキシル)などが含まれるが、これらに限定されない。
2以上の重合性不飽和結合を有する多官能電子受容性モノマーは、従来公知の連結基骨格を有する。例えば、米国特許第6,034,150号明細書、特開平11−124403号公報などに記載されているような多官能マレイミド誘導体でありうる。
以下に、電子受容性モノマーとして好ましいマレイミド誘導体について説明する。マレイミド誘導体は、インクジェットインクとして要求される溶解性、低粘度、射出安定性の観点から、分子中にキラル構造を有するマレイミド化合物であることが好ましい。
キラル基を有するマレイミド化合物は、分子中にキラル炭素原子を最低一つ以上有していれば特に限定されないが、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014019751
上記一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R、Rは連結して環を形成してもよい。Y、Y、Zは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、フェニレン基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基から選ばれる基が組み合わされた2価の有機連結基を表す。Yは不斉炭素を有する2価の基を表す。nは1〜6の整数、n1は0または1、n2は0または1を表す。
、Rがアルキル基である場合には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等であってもよく、R及びRが結合して、シクロプロピレン環、シクロブチレン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等を形成してもよいが;硬化感度の観点からRとRは共に水素原子であることが好ましい。
、Yで表される2価の有機連結基は、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等)、アルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシ基、ポリエチレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ポリブチレンオキシ基)、アルキレンオキシカルボニル基(例えば、エチレンオキシカルボニル基、ヘキシレンオキシカルボニル基等)、アルキレンエステル基(例えば、メチレンエステル基、ヘキシレンエステル基、フェニレン基)、フェニル基(例えば、メチルフェニレン基、オキシカルボニルフェニレンカルボニルオキシ基、カルボニルオキシフェニレンオキシカルボニル基などでありうる。
は不斉炭素(キラル炭素)を有する2価の基を表す。具体的には、下記式で表される。
Figure 2014019751
上記式中、Xは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルキルオキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基または水酸基を表す。これらの中でも、Xは炭素数1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)中、Zは、n価の連結基を表す。n=1の場合は、Zは水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、ヘキシル基)、水酸基、カルボキシル基、アルキルエステル基などである。n=2の場合は、Zは前記Y、Yで表される2価の有機連結基と同義である。n=3の場合は、Zはグリセリン基、トリメチロールアルキル基、トリアジン基などである。n=4の場合は、Zはペンタエリスリトール基などであり、n=6の場合は、Zはビストリメチロールアルキル基などである。
インクジェットインクをインクジェット記録ヘッドから射出するためには、キラル基を有するマレイミド化合物の分子量は200〜1000であることが好ましく、より好ましくは200〜800である。200より小さいと結晶化しやすく、インクジェットインクの射出時に目詰まりが生じやすい。また、分子量は1000より大きいと、粘度が高くなり、インクジェットインクの射出性が低下しやすい。
キラル基を有するマレイミド化合物のさらに好ましい例には、以下の構造式で表されるマレイミド化合物がある。
Figure 2014019751
n11、n12は0〜6の整数であり、n13は1〜30の整数が好ましい。R、RおよびZは、一般式(1)におけるR、R、Zと同義である。Xは、上記Yで表される不斉炭素(キラル炭素)を有する2価の基の例として挙げた式のXと同義である。特に好ましくは、R、Rは水素原子、Xは炭素数1〜4のアルキル基、n12は0、Zは炭素数1〜18のアルキレン、ポリオキシアルキレンである。
以下に、一般式(1)で表されるキラル基を有するマレイミド化合物の具体例を示すが、これに限定されない。
Figure 2014019751
Figure 2014019751
Figure 2014019751
Figure 2014019751
Figure 2014019751
これらのマレイミド化合物の合成法は公知であり、例えば特開平11−124403号公報、あるいはMacromolecular Chemical and physics, 2009,210,269-278に記載の方法を用いて合成することができる。
本発明のインクジェットインクに含まれる電子受容性モノマーとしてより好ましいマレイミド誘導体は、低粘度、溶解性、射出安定性の観点から、下記一般式(2)で表される。
Figure 2014019751
上記一般式(2)中、R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R11、R12はそれぞれ結合して環を形成してもよい。A11、A13は、それぞれ独立にアルキレン基を表し、A12は不斉中心を有する3価の炭化水素基を表す。Yは、カルボニルオキシ(-C(=O)-O-)またはオキシカルボニル(-O-C(=O)-)を表す。pは1または2を表す。R13はpが1の場合は分子量15〜600のアルキル基、アルキレンオキシ基、pが2の場合は、分子量14〜600のアルキレン基、アルキレンオキシ基を表す。mは0または1、nは0または1を表す。
一般式(2)中、R11及びR12がアルキル基である場合には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等であってもよく、R11及びR12が結合して、シクロプロペン環、シクロブチレン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等を形成してもよいが、硬化感度の観点からR11とR12は共に水素原子であることが好ましい。
11、A13で表される2価の有機連結基は、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基エチレンオキシ基、ポリエチレンオキシ基、ブチレンオキシ基、ポリブチレンオキシ基、エチレンオキシカルボニル基、ヘキシレンオキシカルボニル基、メチレンエステル基、ヘキシレンエステル基、フェニレン基、メチルフェニレン基、オキシカルボニルフェニレンカルボニルオキシ基、カルボニルオキシフェニレンオキシカルボニル基が含まれる。
12は不斉炭素(キラル炭素)を有する3価の基を表す。
前記一般式(2)中、A11およびA13がメチレン基、A12が-CHR14-、R13が炭素数2〜12のアルキル基、又はアルキレン基であることが好ましい。このとき、R14は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルキルオキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基または水酸基を表す。好ましくは、R14は炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等)などである。
pが1の場合のR13で表される分子量15〜600のアルキル基とは、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル、基、ネオペンチル基、ドデシレル基、2,2,4-オクチル基などでありうる。
pが2の場合のR13で表される分子量14〜600のアルキレン基とは、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキレン基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン、基、ネポペンチレン基、ドデシレン基、2,2,4-オクチレン基などでありうる。
pが1の場合のR13で表されるアルキレンオキシ基の例には、ヒドロキシポリエチレンオキシ基またはアルコキシポリエチレンオキシ基、ヒドロキシポリプロレンオキシ基またはアルコキシポリプロレンオキシ基、ヒドロキシポリブチレンオキシ基またはアルコキシポリブチレンオキシ基などが含まれるが、これらに限定されない。
好ましいR13は、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキレン基、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐のアルキル基であり、さらに好ましくは、炭素数4〜12の直鎖あるいは分岐のアルキレン基、炭素数4〜12の直鎖あるいは分岐のアルキル基である。
さらに好ましいマレイミド誘導体として、下記一般式(II)〜(IV)で表されるマレイミド誘導体を挙げることができる。
Figure 2014019751
上記一般式(II)〜(IV)中、R14は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、炭素数1〜18のアルキルオキシ基、炭素数1〜18のアルキルカルボニルオキシ基または水酸基を表す。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等)が挙げられる。pは、1または2を表す。R15は直鎖の炭素数4〜12のアルキル基、又はアルキレン基を表す。
以下に、一般式(2)で表されるマレイミド誘導体の具体例を示す。
Figure 2014019751
Figure 2014019751
Figure 2014019751
Figure 2014019751
<電子供与性モノマーについて>
本発明における電子供与性モノマーとは、電子過多の重合性不飽和結合を有するモノマーであり、重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷(atomic charge)の値が−0.45以下であることが好ましく、より好ましくは−0.50以下である。電子密度が過剰に高いモノマーは、酸の存在下で加水分解を受けやすい。
電子供与性モノマーは、下記一般式(6)で表される不飽和化合物であることが好ましい。
Figure 2014019751
上記一般式(6)中、Xは、-O-、-NR-、-S-、または-SO-を表す。Yは、水素原子、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基を表し、さらに置換基を有していてもよい。R、R、Rは、各々独立に水素原子、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基を表し、さらに置換基を有していてもよい。また、RまたはRの一部とYとが結合して環状構造を形成してもよい。また、Yの一部が連結基を介し、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能電子供与性モノマーを形成してもよい。
一般式(6)で表される不飽和化合物の例には、ビニルエーテル、プロペニルエーテル等のアルケニルエーテル類;ビニルチオエーテル、プロペニルチオエーテル等のアルケニルチオエーテル類;、ビニルスルホキシド、プロペニルスルホキシド等のアルケニルスルホキシド類;カルボン酸エステルの酸素原子にビニル基が結合したビニルエステル類;アミノ基の窒素原子にビニル基が結合したビニルアミン類;アミド基の窒素原子にビニル基が結合したビニルアミド類;イミダゾール環の窒素原子にビニル基が結合したビニルイミダゾール;カルバゾール環の窒素原子にビニル基が結合したビニルカルバゾール;ビニレン骨格と酸素原子を環内に含む環状5員環、環状6員環化合物等が含まれる。
前記一般式(6)で表わされる化合物は、下記一般式(D−1)〜(D−9)で表わされる化合物であることがより好ましい。
Figure 2014019751
一般式(D−1)〜(D−9)中、RからRは、各々独立に水素原子、直鎖アルキル基、又は、分岐アルキル基、環状アルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、さらに置換基を有していてもよい。RからRは、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能重合性化合物を形成するための連結基となっていてもよい。Zは、-O-、-N(R10)-または-S-を示す。R10は、水素原子、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基を表し、さらに置換基を有していてもよい。
(単官能電子供与性モノマー)
一般式(6)で表わされる不飽和化合物のうち、単官能電子供与性モノマーでは、Yが、水素原子、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、水酸基を有するアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基を表わす。Xは-O-、-N(R11)CO-、-NR-、-S-、または-SO-を表わし、R11は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表わし、R11がYと連結して環を形成してもよい。
一般式(6)で表わされる単官能電子供与性モノマーの例には、ビニルチオエーテル;ビニルスルホキシドを含有する重合性モノマーとしてビニルメチルスルホキシド;ビニル-tert-ブチルスルフィド、ビニルメチルスルフィド、ビニルエチルスルフィドなどが含まれる。
一般式(6)で表わされる単官能電子供与性モノマーは、ビニレン骨格と窒素原子または酸素原子を環内に含む5員環または6員環化合物を有する重合性モノマーであってもよい。5員環または6員環化合物の例には、イミダゾール、ピロール、フラン、ジヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピランなどが含まれる。
窒素原子上にビニル基が置換した構造を有するN-ビニル化合物の例には、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロール、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-N-エチルウレア、N-ビニルオキサゾリドン、N-ビニルスクシンイミド、N-ビニルエチルカルバメートおよびそれらの誘導体が含まれる。これらの化合物の中でも特にN-ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミドが好ましい。N-ビニルホルムアミドは、例えば、荒川化学工業株式会社から入手することができる。
一般式(6)で示される化合物は、一般式(3)で表わされる単官能ビニルエーテル化合物であってもよい。単官能ビニルエーテル化合物は、インクジェットインクの保存安定性を高めることができるので特に好ましい。
Figure 2014019751
上記一般式(3)中、R、R、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表わし、Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表わす。
単官能ビニルエーテル化合物の例には、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9-ヒドロキシノニルビニルエーテル、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、などが含まれる。
さらに、公知の種々のビニルエーテル化合物であってもよい。例えば、特許第3461501号公報に開示されている分子内に(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基を含む化合物、特許第4037856号公報に開示されている少なくとも酸素原子を含む脂環骨格を持つビニルエーテル化合物、特開2005−015396号公報に開示されている脂環式骨格を有するビニルエーテル、特開2008−137974号公報に開示されている1−インダニルビニルエーテル、特開2008−150341号公報に開示されている4-アセトキシシクロヘキシルビニルエーテル等がある。
(多官能電子供与性モノマー)
本発明のインクジェットインクは、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能電子供与性モノマーを含有することが好ましい。それにより、硬化度、耐候性および耐溶剤性を向上させうる。
一般式(6)で表される不飽和化合物において、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能の不飽和化合物の例は、前記一般式(D−1)〜一般式(D−9)で表され、R〜Rが前記多官能重合性化合物を形成するための連結基となる多官能電子供与性モノマーであることが好ましく、一般式(D−1)で表わされる化合物であることが特に好ましい。
一般式(D−1)〜一般式(D−9)で表される重合性不飽和結合を有する2以上の重合性不飽和結合を有する多官能不飽和化合物の例を示すが、これに限定されない。以下に例示する重合性モノマーの重合性不飽和結合を構成する炭素原子が有する電荷はいずれも−0.45以下である。
2官能ビニルエーテル化合物の例には、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE)、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテルなどが含まれる。
2官能ビニルエーテル化合物の例には、特許第4037856号公報に開示されている少なくとも酸素原子を含む脂環骨格を持つビニルエーテル化合物;特開2005−015396号公報に開示されている脂環式骨格を有するビニルエーテル;特開2008−137974号公報に開示されている1-インダニルビニルエーテル;特開2008−150341号公報に開示されている4-アセトキシシクロヘキシルビニルエーテルなども含まれる。
上述した2官能ビニルエーテル化合物のビニルエーテル基を、プロペニルエーテル基、イソプロペニルエーテル基、ブテニルエーテル基またはイソブテニルエーテル基に置換するなどして、ビニルエーテル基のα位またはβ位に置換基を導入した化合物も、2以上の重合性不飽和結合を有する多官能不飽和化合として用いられうる。
これらの2官能ビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジエチレングリコールジビニルエーテルおよびトリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが硬化性、種々の素材との相溶性、臭気、安全性の点で優れており好ましい。
また、3官能以上のビニルエーテル化合物の例には、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどが含まれる。
3官能のビニルエーテル化合物は、下記一般式(A)で表される。一般式(A)で表されるように、分子内にオキシアルキレン基を有する化合物は、他のインク成分との相溶性や溶解性、基材との密着性を得る上で好ましい。一般式(A)で表される化合物のオキシアルキレン基の総数は10以下であることが好ましい。10より多いと、硬化膜の耐水性が低下することがある。一般式(A)で表される化合物はオキシエチレン基を有するが、オキシエチレン基を炭素数の異なる他のオキシアルキレン基としてもよい。オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましく、1または2であることがより好ましい。
Figure 2014019751
上記一般式(A)中、R11は水素または有機基を表す。R11で表される有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のフルオロアルキル基、アリール基、フリル基またはチエニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基または3-ブテニル基等の炭素数1〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基またはフェノキシエチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基またはペンチルカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基またはブトキシカルボニル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルボニル基、エトキシカルバモイル基、プロピルカルバモイル基またはブチルペンチルカルバモイル基等の炭素数1〜6個のアルコキシカルバモイル基等の基が挙げられるがこれらに限定されない。この中でも有機基は、ヘテロ原子を含まない炭化水素基が硬化性の観点で好ましい。また、p,q,rは0または1以上の整数であり、p+q+rは3〜10の整数である。
また、ビニルエーテル基を4つ以上有する多官能ビニルエーテル化合物の例には、下記一般式(B)および(C)に表される化合物が含まれる。
Figure 2014019751
一般式(B)中、R12は、メチレン基、炭素数1〜6のアルキレン基、オキシアルキレン基、エステル基の何れかを含む連結基である。p、q、l、mはそれぞれ0または1以上の整数であり、p+q+l+mの総数は3〜10の整数である。
Figure 2014019751
一般式(C)中、R13は、メチレン基、炭素数1〜6個のアルキレン基、オキシアルキレン基、エステル基の何れかを含む連結基を表す。p1、q1、r1、l1、m1、s1はそれぞれ0または1以上の整数であり、p1+q1+r1+l1+m1+s1の総数は3〜10の整数である。
上記一般式(B)および(C)で表される化合物は、オキシエチレン基を連結基として有しているが、オキシエチレン基を他のオキシアルキレン基としてもよい。オキシアルキレン基の炭素数は1〜4であることが好ましい。
<電子供与性モノマーと電子受容性モノマーの配合について>
本発明のインクジェットインクにおいて、電子供与性モノマーまたは電子受容性モノマーのどちらか少なくとも1種が2以上の重合性不飽和結合を有する多官能モノマーを含むことが好ましい。より好ましくは、電子受容性モノマーが多官能モノマーを含むことが好ましい。
本発明のインクジェットインクにおいて、単官能モノマーと多官能モノマーとの総質量に対する、多官能モノマーの比率が50質量%以上であることが好ましい。多官能モノマーの比率が高いと、高い硬度を有する画像を形成できる。
また、電子供与性モノマーの重合性不飽和結合の数と、電子受容性モノマーの重合性不飽和結合の数との比率は1:1である必要はない。特に、電子供与性モノマーの重合性不飽和結合の数と、電子受容性モノマーの重合性不飽和結合の数との比率(電子受容性モノマーの重合性不飽和結合の数/電子供与性モノマーの重合性不飽和結合の数)は、0.25より大きく1未満であることが好ましい。電子受容性モノマーは、一般的に粘度が高くインクジェット記録ヘッドからインクを安定に射出しにくい。また、環境負荷が高いため、電子供与性モノマーに対して、電子受容性モノマーを減らすことが好ましい。
<その他の重合性化合物について>
本発明のインクジェットインクには、他の重合性化合物が本発明の効果を損なわない限り含まれていてもよい。他の重合性化合物の重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷は、−0.45超であり、−0.30未満であることが好ましい。他の重合性化合物を添加することで、硬化収縮性の低減、粘度調整、記録媒体への密着性の付与、柔軟性の付与などが達成されうる。
他の重合性化合物は、分子中にラジカル重合可能なエチレン性重合性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましく、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれでもよい。ラジカル重合性モノマーは1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。環状アリルスルフィドモノマーは、他のメタクリレートモノマーやアクリレートモノマーと共重合可能である。
ラジカル重合可能なエチレン性重合性不飽和結合を有する重合性モノマーの例に、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩;エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタンなどが含まれる。
具体的には、テトラエチレングリコールジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のアクリル酸誘導体;メチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体;その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体などが挙げられる。
更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性および架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらのアクリレート類及びメタクリレート類のなかでも、硬化性と硬化後の膜物性の観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート等のエーテル酸素原子を有するアルコールのアクリレートが密着性、柔軟性、硬化性の点から好ましい。また、同様の理由から、脂環構造を有するアルコールのアクリレートも好ましく、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のビシクロ環構造又はトリシクロ環構造を有するアクリレートが好ましい。なかでも、脂環構造内に二重結合を有するジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートが特に好ましい。
<重合性のない有機溶剤について>
重合性のない有機溶剤とは、光重合性官能基を有さない有機溶剤である。光重合性官能基とは、アクリロイル基などの炭素炭素不飽和結合などでありうる。
重合性のない有機溶剤として、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、下記一般式(P)、(Q)で表される溶剤、エステル系溶剤、アミン系溶剤、芳香族系溶剤、炭化水素系溶剤などが、本発明のインクジェットインクに含まれる。
ケトン系溶剤の例には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが含まれる。
アルコール系溶剤には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,2−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、等などが含まれる。
グリコールエーテル系溶剤は、下記一般式(R)で表される構造を有する化合物である。
Figure 2014019751
一般式(R)中、Kは2又は3の整数を表し、nは1〜4の整数を表す。
グリコールエーテル系溶剤には、ポリオキシエチレングリコール又はポリオキシプロピレングリコールいずれかのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテル等が含まれる。具体的には、下記の一般式(α)、一般式(β)又は一般式(γ)で表される化合物が好ましい。
ポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルは、一般式(α)で表される。
一般式(α):R21−(OC)−OR22
一般式(α)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し;nは、1〜4の整数である。R21及びR22で表される炭素数1〜3のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などでありうる。
このポリオキシエチレングリコールジアルキルエーテルの例には、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−ジ−iso−プロピルエーテル等が含まれる。これらの中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルが好ましい。
また、一般式(α)のエチレンオキサイドユニットをプロピレンオキサイドユニットにしたポリオキシプロピレングリコールジアルキルエーテルの例には、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が含まれる。
また、ポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテルは、一般式(β)で表され;ポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルは、一般式(γ)で表される。
一般式(β):R31−(OC)−OH
一般式(γ):R41−(OC)−OH
一般式(β)中、R31は炭素数1〜6のアルキル基であり、直鎖であっても分岐であってもよく;nは1〜6の整数である。R31は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。このポリオキシエチレングリコールモノアルキルエーテルの例には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル等が含まれる。
また、一般式(γ)中、R41は炭素数1〜4のアルキル基であり、直鎖であっても分岐であってもよく;nは2〜3の整数である。R41のアルキル基の中でも、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。このポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテルの例には、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が含まれる。
その他のグリコールエーテル系溶剤の例には、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテートなどが含まれる。
一般式(P)で表される化合物は、以下の構造を有する。
Figure 2014019751
一般式(P)中、R及びRは各々独立に、−CH−、−NR−又は−O−を表す。Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子であり、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は水素原子であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子であることがより好ましい。Rは置換基を有していても、置換基を有していなくてもよい。R及びRのうち、少なくとも1つは−O−であることが好ましく、両方とも−O−であることがより好ましい。すなわち、式(P)で表される化合物がカーボネート基を有する化合物であることが好ましい。
は−C2m−で表される炭化水素基を表し;mは2〜8の整数であり、2〜6の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。Rは直鎖であっても、分岐であってもよい。Rは、エチレン基、1−メチルエチレン基及びプロピレン基などであることが好ましく、エチレン基又は1−メチルエチレン基がより好ましい。
一般式(P)で表される有機溶媒の例には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、3−プロピル−2−オキサゾリジノン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、シクロヘキサノン等が含まれるが、これらに限定されない。
また、前述の通り、一般式(P)で表される化合物は、R及びRが共に−O−であり、かつRが−C−又は−C−であることが好ましい。そのような有機溶剤にはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが挙げられる。
一般式(Q)で表される化合物は、以下の構造を有する。
Figure 2014019751
一般式(Q)中、Rは−NR−又は−O−を表し、−NR−であることが好ましい。Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基又は水素原子であり、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基又は水素原子であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子であることがより好ましい。Rは置換基を有していても、有していなくてもよい。
は−C2n−で表される炭化水素基を表し;nは2〜8の整数であり、2〜6の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。Rは直鎖であっても、分岐であってもよい。Rの例は、上述した一般式(P)におけるRで例示したものと同様である。
一般式(Q)で表される有機溶媒の例には、N−エチルコハク酸イミド、グルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物等が含まれるが、これらに限定されない。
その他の化合物の例には、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、乳酸エチル、乳酸ブチル、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、二塩基酸エステル、メトキシブチルアセテートなどが含まれる。
本発明のインクジェットインクに含まれる重合性のない有機溶剤は、沸点が120〜250℃であることが好ましい。沸点が120℃未満であると、インクジェット記録ヘッドのノズル中に待機しているインクジェットインクから有機溶剤が揮発しやすく、射出安定性が低下する。一方、沸点が250℃を越えると、記録媒体に着弾したインク中の有機溶剤を除去しにくいため、画像表面がべたつきやすい。
沸点が120〜250℃の範囲内にある重合性のない有機溶剤の例には、2−ヘキサノン(127℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(189℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)、プロピレンカーボネート(240℃)、1,6−ヘキサンジオール(250℃)等が含まれる。
本発明のインクジェットインクに含まれる重合性のない有機溶剤の含有量は、インク全量に対して20〜80質量%であり、30〜60質量%であることが好ましい。前記有機溶剤の含有量が20〜80質量%であると、インクの粘度が低くなり、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がりやすい。そのため、形成画像の凹凸が軽減でき、より高い光沢性を有する画像が得られる。さらに、インクジェット記録ヘッドのノズル面に付着したインクを乾きにくくし、ノズル面に付着したインクの硬化を抑制できるため、射出性も高くなる。
<光重合開始剤について>
本発明インクジェットには、光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。光重合開始剤の例には、アシルホスフィンオキサイド化合物、アルキルフェノン化合物、オキシムエステル化合物、チオキサントン化合物などが含まれる。
アシルホスフィンオキサイド化合物の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が含まれる。
アルキルフェノン化合物の例には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2[(4−メチルフェニル)メチル]―1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が含まれる。
オキシムエステル化合物の例には、1,2−オクタンジオン,1−(4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム))、エタノン,1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)−,1−(O−アセチルオキシム)等が含まれる。
チオキサントン化合物の例には、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン2−クロロチオキサントン等が含まれる。
上記の化合物以外にも、特開2008−208321号公報記載のα−アミノアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、α−ヒドロキシアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物等が含まれる。
これらの光重合開始剤の含有量は、ラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
また、光重合開始剤に対し、増感剤を用いてもよい。増感剤は、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のラジカル重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。増感剤を含有させることで、高い反応性が得られる。
<着色剤について>
本発明のインクジェットインクを着色する場合は、着色剤として顔料を含むことが好ましい。顔料は、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料又は有色有機顔料でありうる。
有機顔料の例には、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなどが含まれる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)番号で以下に例示する。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185;
C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61;
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240;
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64;
C.I.ピグメントグリーン7、36;
C.I.ピグメントブラウン23、25、26。
上記顔料のなかでも、キナクリドン系、フタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
この商品の例には、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレットRE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業製)、KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製)、Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが含まれる。
本発明のインクジェットインクに含むことができる顔料の含有量は、十分な濃度及び十分な耐光性を得る観点から、1.5〜8.0質量%であることが好ましく;酸化チタンを顔料とする白色インクの場合には10〜30質量%であることが好ましい。
<顔料分散剤について>
顔料分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等が含まれる。
顔料分散剤の例には、BYK Chemie社製の「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコーン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコーン)」などが含まれる。
また、Efka CHEMICALS社製の「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製の「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製の「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等も顔料分散剤となりうる。
更には、花王社製の「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製の「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000、7000」;日光ケミカル社製の「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ製のアジスパーPB821、822、824等も顔料分散剤となりうる。
本発明のインクジェットインクに含むことができる顔料分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して5〜70質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。顔料分散剤が5質量部未満であると分散安定性が得られにくい。一方、顔料分散剤が70質量部超であると、射出安定性が劣化しやすい。
<その他の添加剤について>
本発明のインクジェットインクは、必要に応じて、さらに各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤の例には、界面活性剤、滑剤、充填剤、消泡剤、ゲル化剤、増粘剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等が含まれる。これらは、射出安定性、プリントヘッドやインク包装容器適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて添加される。
本発明のインクジェットインクに含むことができる界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、シリコーン系やフッ素系の界面活性剤などが含まれる。特にシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤が好ましい。
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を添加することで、塩化ビニルシートをはじめ種々の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙などの吸収が遅い記録媒体に対して、インク混じりをより抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。これらの界面活性剤は、低表面張力の水溶性有機溶剤と併用することが特に好ましい。
シリコーン系の界面活性剤の好ましい例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物があり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642、X−22−4272やビッグケミー製のBYK307、BYK345、BYK347、BYK348、東芝シリコーン社製のTSF4452などが含まれる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の一部または全部を、フッ素で置換したものを意味する。また、フッ素系の界面活性剤は、分子内にパーフルオロアルキル基を有することが好ましい。
フッ素系の界面活性剤の市販品の例には、メガファック(Megafac)F(商品名);サーフロン(Surflon)(旭硝子社);フルオラッド(Fluorad)FC(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社);モンフロール(Monflor)(インペリアル・ケミカル・インダストリー社);ゾニルス(Zonyls)(イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社);リコベット(Licowet)VPF(ファルベベルケ・ヘキスト社);フタージェント(ネオス社)等が含まれる。
本発明のインクジェットインクに含むことができる界面活性剤の含有量は、インク全量に対して、0.1質量%以上、2.0質量%未満が好ましい。
<活性エネルギー線硬化型インク物性について>
本発明のインクジェットインクの粘度は、25℃において3〜30mPa・sであることが好ましく、シェアレート依存性ができるだけ小さいことが好ましい。一般的な活性エネルギー線硬化型インクジェットインクはインクの粘度が高く、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がりにくい。そのため、画像表面に凹凸が残りやすく、画像の光沢がよくない。本発明のインクジェットインクは所望量の有機溶剤が含まれているため、インクの粘度を低くできる。粘度の低いインクジェットインクは、インクが記録媒体上で濡れ広がるため、画像表面が平滑化されて光沢のある画像を形成できる。
本発明のインクジェットインクは、顔料の粒子を除いて、平均粒径が1.0μmを超えるようなゲル状物質を含まないことが好ましい。
本発明のインクジェットインクの電導度は10μS/cm以下であることが好ましい。これにより、インクジェット記録ヘッド内部での電気的な腐食を抑制できる。インクジェット記録ヘッドがコンティニュアス方式である場合は、インクジェットインクの電導度を0.5mS/cm以上に調整する必要がある。この場合には、電解質による電導度の調整が必要である。
本発明のインクジェットインクは、毎分5℃の降下速度で25℃から−25℃の範囲でインクのDSC測定を行ったとき、単位質量あたりの発熱量が10mJ/mg以上の発熱ピークを示さないことが好ましい。これにより、インクジェットインクを低温保存した際に生じる、ゲルの発生や、析出物の発生を抑制することができる。前記DSC測定における発熱量は、インクジェットインクの成分を選定することで調整される。
本発明のインクジェットインクの25℃における表面張力は15mN/m以上35mN/m未満とすることが好ましい。表面張力を15mN/m以上とすることで、インクジェット記録ヘッドのノズル面が濡れにくく、インクジェットインクの射出性が低下しにくい。また、表面張力を35mN/m未満とすることで、コート紙や樹脂製の記録媒体への濡れ性が高まり、画像の白ぬけが発生しにくい。
<活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの調製方法について>
本発明のインクジェットインクは、電子供与性モノマーと、電子受容性モノマーと、重合性のない有機溶剤と、さらに必要に応じて、光重合開始剤と、着色剤と、着色剤が顔料である場合には顔料分散剤等と、をサンドミル等の通常の分散機を用いて分散することにより製造される。
顔料を含む場合には、予め顔料濃縮液を調製して、顔料濃縮液を重合性モノマーで希釈して、インクジェットインクを調製することが好ましい。この手法によれば、通常の分散機で充分な分散が可能であり、過剰な分散エネルギー、多大な分散時間を必要としない。それにより、分散工程中にインク成分が変質しにくく、安定性に優れたインクジェットインクを調製できる。
調製されたインクジェットインクは、孔径3μm以下(好ましくは1μm以下)のフィルターで濾過されることが好ましい。
本発明のインクジェットインクは、画像を形成する際に記録媒体を加熱することで、記録媒体に着弾したインク液滴中の有機溶剤が揮発除去される。それにより、べたつきのない画像を形成できる。一方、記録媒体に着弾したインク液滴から有機溶剤を揮発除去することで、インク液滴の体積が減少し、インク膜が薄膜になる。一般的なラジカル重合型またはカチオン重合型の重合性モノマーを含むインクジェットインクでは、酸素や湿度による重合阻害を受けやすく、十分な硬度を有する画像を形成できない。これに対して、本発明のインクジェットインクは、重合性モノマーとして、電子供与性モノマーと電子受容性モノマーとを含んでいる。これらの重合性モノマーは、酸素や湿度による重合阻害を受けずに重合できる。そのため、高い光沢性と高い硬度とを有する画像を形成できる。
2.インクジェット記録方法
本発明のインクジェット記録方法は、少なくとも以下の3工程を含む。
(1)活性エネルギー線硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程
(2)前記記録媒体を加熱して着弾したインク液滴を乾燥させる工程
(3)前記記録媒体に活性エネルギー線光源からの光を照射して、前記インク液滴を硬化させる工程
<(1)工程について>
活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、上述したインクジェットインクであればよい。
インクジェット記録ヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、射出方式は、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)などのいずれでもよい。
インクジェット記録ヘッドのノズルから射出される液滴サイズは、ヘッドのノズル径や、インクジェット記録ヘッドにかける電圧の大きさやパターンにより調整できる。例えば、ノズル開口に連通する圧力室を膨張させてから収縮させるという「引き打ち」方式を用いることで、インク滴の質量を少なくできる。それにより、インクの液滴サイズを小さくできる。
高精細で凹凸感の少ない高画質な画像を形成するために、液滴サイズを0.1〜10plとすることが好ましい。液滴サイズが0.1pl未満であると、画像形成のための液滴数が過剰になり、画像形成に必要な時間が長時間となり、ノズル詰りが発生しやすいなどの問題がある。また、インクジェットインクがノズルから射出されるとき、または記録媒体に着弾したときのインク液滴の単位体積当たりの表面積が大きくなるなど、様々な外乱の影響を受けやすい。また、液滴サイズが10pl超であると、1ドットあたりのドット径が大きくなるため形成された画像の解像度が低くなる。そのため、間近から見た場合の画質の粗さや細かい文字の再現性に問題が生じる。さらに、液滴サイズが0.1〜10plの場合に、本発明のインクジェットインクを用いることによる硬化感度と出射性の改善効果がより顕著に発現される。
(1)工程において射出されるインクジェットインクの温度は20〜45℃であることが好ましく、無加熱であることがより好ましい。インクジェットインクを所定の温度に加熱および保温する方法は特に制限されない。例えば、インクジェット記録ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプ、ヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系や、フィルター付き配管、ピエゾヘッド等を断熱して、パネルヒーター、リボンヒーター、保温水等により所定の温度に加熱する方法がある。本発明のインクジェットインクには重合性のない有機溶剤が含まれているため、インクの粘度が低い。そのため、低い加熱温度での射出、さらには無加熱での射出ができる。インク液滴を無加熱で射出することで、インクジェット記録装置から上記の部材を除外でき、インクジェット記録装置の低コスト化が可能になる。
本発明のインクジェットインクは、設定温度±5℃の制御幅で加熱および保温されることが好ましく、さらに好ましくは設定温度±2℃の制御幅に、特に好ましくは設定温度±1℃の制御幅に設定される。
本発明のインクジェット記録方法で用いる記録媒体は、従来、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂が全て対象となる。具体的には、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等でありうる。これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども記録媒体として用いてもよい。
本発明のインクジェット記録方法で用いる記録媒体の一つであるポリ塩化ビニルの例には、KSM−VS、KSM−VST、KSM−VT(以上、株式会社きもと製);P−223RW、P−224RW、P−249ZW、P−284ZC(以上、リンテック株式会社製);MPI3023(株式会社トーヨーコーポレーション社製);NIJ−CAPVC、NIJ−SPVCGT(以上、ニチエ株式会社製);JT5129PM、JT5728P、JT5822P、JT5829P、JT5829R、JT5829PM、JT5829RM、JT5929PM(以上、Mactac社製);VGL−137、SVGS−137、MD3−200、MD3−301M、MD5−100、MD5−101M、MD5−105(以上、Metamark社製);640M、641G、641M、3105M、3105SG、3162G、3164G、3164M、3164XG、3164XM、3165G、3165SG、3165M、3169M、3451SG、3551G、3551M、3631、3641M、3651G、3651M、3651SG、3951G、3641M(以上、Orafol社製);IJ180CV2(3M社製)などが含まれる。
記録媒体は、可塑剤を含有しない樹脂基材または非吸収性の無機基材であってもよく、これらの基材を1種単独で、又は複数の種類の基材を組み合わせて用いてもよい。記録媒体の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性について特に制限はない。
可塑剤を含有しない樹脂基材の例には、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、可塑剤を含有しない硬質ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂などが含まれる。
非吸収性の無機基材の例には、ガラス板、鉄やアルミニウムなどの金属板、セラミック板などが含まれる。これらの基材は表面にインク吸収性の層を有していないことが特徴である。
記録媒体の搬送速度は、活性エネルギー線光源からの光の記録媒体に対するピーク照度、積算光量などに合わせて適宜調整される。
<(2)工程について>
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上に着弾したインク液滴の乾燥速度を制御する観点などから、記録媒体を加熱して、着弾したインク液滴を乾燥させる工程を有する。
前記加熱は、接触式で記録媒体を加熱する各種ヒーター、加熱ローラーなどであってよいし、非接触式で記録媒体の表面または裏面を加熱するランプ等であってもよい。接触式で記録媒体を加熱する加熱手段は、通常、記録媒体の裏面に配置される。
記録媒体の加熱温度は、インクジェットインクに含まれる有機溶剤の沸点に合わせて、適宜調整する。
本発明のインクジェット記録方法では、後述する活性エネルギー線光源からの光を記録媒体に照射する前から、照射後にわたり、記録媒体を加熱することが好ましいが、前記光の照射前だけ記録媒体を加熱してもよく、前記光の照射後から記録媒体を加熱してもよい。
これらのなかでも、インク液滴が記録媒体に着弾する前に、記録媒体が加熱されていることが好ましい。また、インク液滴が記録媒体に着弾した後であっても、活性エネルギー線光源からの光が記録媒体に照射される前に、記録媒体が加熱されていることも好ましい。これらにより、記録媒体に着弾したインク液滴に含まれる有機溶剤の揮発除去を効率的に行うことができる。
<(3)工程について>
本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体に活性エネルギー線光源からの光を照射して、インク液滴を硬化させる工程を有する。それにより、インクジェットインクに含まれる重合性モノマーを光硬化させる。
照射される活性エネルギー線の例には、紫外線、近紫外線、自然光(フィルターカット品含む)などが含まれるが、紫外線が好ましい。紫外線の照射光源の例には、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザ、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり;帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、熱陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましく;超寿命で安価ということから、LEDが特に好ましい。
しかしながら、一般的にLEDは単一波長光源であり高圧水銀灯のような複数の輝線スペクトルを有する光源より照度が低くなりやすい。ラジカル重合で硬化させる場合、照度が低いとラジカルが酸素と結合して失活する割合が増える。そのため、照射時間を延長して積算光量を同じにしても、硬化しにくくなる。従って、インクジェットインクは低照度、低積算光量で硬化できることが求められている。
LEDは瞬時に点灯が可能であり、寿命が長く、輻射熱が少なく、光量制御が容易であり、発光波長幅(半値幅)が極めて狭く、消費電力量が少ないなどの利点がある。照射光源の波長は280〜420nmであることが好ましく、350〜410nmであることがより好ましい。前記波長は光紫外域の中では長波長であり安全性が高い。
記録媒体に着弾したインクジェットインクの液滴に照射される積算光量は、10〜500mJ/cmの範囲内にあることが好ましい。そのため、省エネ、省スペース、コストなどの観点から有利である。
活性エネルギー線照射光源からの光は、記録媒体に対して、照度を8W/cm以下とすることが好ましく、2W/cm以下とすることがより好ましい。8W/cmより高い照度の光は、発熱量が大きいため、耐熱性の弱い記録媒体が変形しやすい。また、漏れ光が多くなりヘッドノズル面上でインクが硬化してしまうなどの問題が生じうる。さらに、高い照度の光は、消費エネルギーが高く、光源スペースが大きく、コストが上昇する。本発明のインクジェット記録方法では、照度が低い光源を使っても、表面のべとつきがなく、速やかに硬化することが特徴である。
本発明のインクジェット記録方法では、インク液滴が記録媒体に着弾してから1秒以上後に活性エネルギー線を照射することが好ましい。インク液滴の着弾から、上記時間の経過後に活性エネルギー線を照射することで、インク液滴を適度にレベリングさせることができる。そのため、画像表面が平滑になり、画像の光沢性が高くなる。
活性エネルギー線の照射方法は特に限定されず、例えば下記の方法で行うことができる。ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査し、インク着弾から一定時間後に照射を行う。さらに、駆動を伴わない別の光源からも光を照射して硬化を完了させる(特開昭60−132767号公報を参照)。あるいは、光ファイバーを用いて光照射をしたり、コリメートされた光源からの紫外線をヘッドユニット側面に設けた鏡面にて反射させ、記録部へ光照射してもよい(米国特許第6,145,979号明細書を参照)。
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分けてもよい。第1の照射は、記録媒体Pにインク液滴が着弾後から0.001〜1.0秒の間に行われることが好ましい。第2の照射は、第1の照射後に行われればよい;つまり、第2の照射は第1の照射よりも記録媒体の搬送方向下流側で行われればよい。第1の照射による記録媒体単位面積あたりの積算光量(D1)は、第2の照射による記録媒体単位面積あたりの積算光量(D2)より小さいことが好ましい。つまり、D1<D2であることが好ましい。活性エネルギー線の照射を2段階に分けることで、画像の硬度が高まり、滲みの少ない画像を形成できる。
本発明のインクジェット記録方法では、記録媒体上にインクが着弾し、活性エネルギー線を照射して硬化した後の総インク膜厚が0.1〜5μmであることが好ましい。本発明のインクジェットインクは重合性のない有機溶剤を含んでいるため、インクの粘度が低い。そのインクジェットインクを用いることで、記録媒体に着弾したインク液滴は適度にレベリングでき、かつ有機溶剤が揮発して体積が減るため、薄膜のインク膜を形成できる。すなわち、画像表面に凹凸が残りにくく、光沢性の高い画像を形成できる。「総インク膜厚」とは、記録媒体に描画されたインクの膜厚の最大値を意味する。単色であっても、2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)であっても、それらの総インク膜厚が0.1〜5μmであることが好ましい。
3.インクジェット記録装置
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)を用いて行うことができる。インクジェット記録装置の例には、シリアルヘッド方式の記録装置と、ラインヘッド方式の記録装置とが含まれるが、これらに限定されない。以下において、図面を参照しながら各記録装置を説明するが、インクジェット記録装置はこれらに限定されない。
図1は、ラインヘッド方式のインクジェット記録装置の上面図であり、装置の要部構成を示している。記録装置1は、複数の記録ヘッド3が固定配置されたヘッドキャリッジ2と、紫外線照射手段4と、プラテン部5と、赤外線照射手段6とを備える。
記録装置1は、記録媒体Pの下にプラテン部5を有している。プラテン部5は、記録媒体Pを支持して、記録媒体Pを図1の搬送方向(矢印参照)に移動させる。また、プラテン部5にはヒーターが設置されている。インク液滴が記録媒体Pに着弾する前に、予め記録媒体Pを裏面から加熱できる。それにより、記録ヘッド3から射出されたインク液滴が記録媒体に着弾すると同時に、インク中の有機溶剤を揮発除去できる。
ヘッドキャリッジ2は、記録媒体Pの上側に対向して設置される。ヘッドキャリッジ2は、記録媒体Pに印刷する画像の色の数に応じて、記録ヘッド3を複数個具備する。例えば、図1のヘッドキャリッジ2には、ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の記録ヘッド3をそれぞれ収納しているが、記録ヘッド3の色数は適宜設定できる。
ヘッドキャリッジ2に備えられた複数の記録ヘッド3は、記録媒体Pの全幅をカバーするように配置される。また、記録ヘッド3は、射出口(図示せず)を記録媒体Pに向けて配置される。記録ヘッド3の内部には、複数のインク室が配置され、各インク室に射出手段が備えられている(図示せず)。射出手段とは、例えばピエゾ素子である。記録ヘッド3の内部に配置されたインク室には、インク供給手段(図示せず)によって、前述の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが供給される。インク室に供給された活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、射出手段の作動により、射出口から記録媒体Pに向けて射出されて、記録媒体Pに着弾する。
記録ヘッド3からインク液滴の射出を行なった後、プラテン5を移動させて、記録媒体Pを図1の搬送方向に適宜移動させる。再び、記録ヘッド3からインク液滴を射出し、着弾させる。上述の操作を繰り返して、記録媒体Pにインク液滴の集合体からなる画像が形成される。
記録装置1は、ヘッドキャリッジ2よりも記録媒体Pの搬送方向下流側に、赤外線照射手段6を配置する。赤外線照射手段6は、例えば複数のLED光源により構成され、記録媒体Pの全幅をカバーするように配置されている。つまり、赤外線照射手段6は、インクが着弾できる領域の全域を覆うように配置されている。赤外線照射手段6は、記録媒体Pの上側から赤外線を記録媒体Pに向けて照射する。それにより、記録媒体Pの表面が加熱され、記録媒体Pに着弾したインク中の有機溶剤をさらに揮発できる。
加記録装置1は、赤外線照射手段6のさらに搬送方向下流側に紫外線照射手段4を配置する。紫外線照射手段4は、LEDと高圧水銀灯などから特定波長領域(280〜420nm)の紫外線を発光する照射光源(図示せず)と、特定の波長の紫外線を透過するフィルター(図示せず)とを備える。紫外線の波長は活性エネルギー線照射手段4に備えられた紫外線ランプまたはフィルターを交換することで適宜調整できる。
紫外線照射手段4は、例えば複数のLED光源により構成され、記録媒体Pの全幅をカバーするように配置されている。紫外線照射手段4が特定波長領域の紫外線を記録媒体に着弾したインクに向けて発光する。それにより、インクに含まれる重合性モノマーが架橋や重合反応を生じて硬化できる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例において断りの無い限り、組成中の成分は質量部で表わす。以下の成分を用いて、各実施例および比較例の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを調製した。
<各成分について>
(アクセプターモノマー)
化合物1,2,4は、特開平11−124403号公報、あるいはMacromolecular Chemical and physics,2009,210,269−278記載の方法を用いて従来公知の方法で合成した。
[2官能電子受容性モノマー]
化合物1:M−3(電荷=−0.27、分子量=462.49、一般式(1)で表される化合物の具体例)
Figure 2014019751
化合物2:M−31(電荷=−0.09、分子量=690.87、一般式(1)で表される化合物の具体例)
Figure 2014019751
化合物3:下記式の化合物(電荷=−0.25、分子量=358.34)
Figure 2014019751
化合物3を以下の公知の方法にて合成した。
1リットルの三口フラスコに、マレイン酸ジエチル206g(1.2mol)、ジエチレングリコール42.2g(0.4mol)を入れて撹拌しながら、パラトルエンスルホン酸一水和物4.7g(27mmol)、0.2gのハイドロキノンを加えた。160℃で18時間撹拌したのち、減圧蒸留にて残ったマレイン酸ジエチルを留去した。重曹水、イオン交換水で洗浄後、カラム精製を行い、淡黄色オイル状物の化合物3を得た。
[単官能電子受容性モノマー]
化合物4:M−38(電荷=−0.27、分子量=281.35、一般式(1)で表される化合物の具体例)
Figure 2014019751
化合物5:フマル酸ジイソプロピル(電荷=−0.30、分子量=200.23)
Figure 2014019751
化合物6:無水マレイン酸(電荷=−0.29、分子量=98.09)
Figure 2014019751
(ドナーモノマー)
[2官能電子供与性モノマー]
TEGDVE:トリエチレングリコールジビニルエーテル(電荷=−0.54、分子量=202.25、BASF社)
Figure 2014019751
[単官能電子供与性モノマー]
DEGMVE:ジエチレングリコールメチルビニルエーテル(電荷=−0.54、分子量=132.16、丸善石油化学株式会社製)
Figure 2014019751
NVC:N−ビニル−ε−カプロラクタム(電荷=−0.55、分子量=139.19)
Figure 2014019751
なお、上記化合物の電荷は、分子軌道計算ソフトに、SPARTAN‘08 for Windows(登録商標)を使用した。計算手法を、Equilibrium Geometry at Ground state with Hartree−Fock 3−21G in Vacuumとした。求めた電荷の値は、Natural atomic chargeとして表した。
(ラジカル重合性モノマー)
TEGDA:テトラエチレングリコールジアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
(有機溶剤)
MIBK:メチルイソブチルケトン(沸点=116℃)
2−HexN:2−ヘキサノン(沸点=127℃)
DEGDEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点=189℃)
TEGDME:トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点=216℃)
PC:プロピレンカーボネート(沸点=240℃)
1,7−HepD:1,7−ヘプタンジオール(沸点=259℃)
(光重合開始剤)
TPO:ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド SPEEDCURE TPO(LAMBSON,LTD社)
369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン IRGACURE 369(BASF社)
ITX:2−イソプロピルチオキサントン、及び4−イソプロピルチオキサントンの混合物 SPEEDCURE ITX(LAMBSON,LTD社)
(顔料)
CB:カーボンブラックMA7(三菱化学株式会社)
PY:C.I.ピグメントイエロー150(ランクセス株式会社)
PR:C.I.ピグメントレッド122(大日精化株式会社)
PB:C.I.ピグメントブルー15:4(大日精化株式会社)
(顔料分散剤)
PB824:アジスパーPB−824(味の素ファインテクノ株式会社)
テトラエチレングリコールジアクリレート
トリエチレングリコールジビニルエーテル
ジエチレングリコールメチルビニルエーテル
N−ビニル−ε−カプロラクタム
(重合禁止剤)
UV−10:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ−4
−イル)セバケート IRGASTAB UV−10(BASF社)
TIPA:トリイソプロパノールアミン(東京化成工業株式会社)
(顔料分散液)
[顔料分散液C−1]
シアン顔料として、C.I.ピグメントブルー15:4を8.0gと、顔料分散剤としてアジスパーPB824(味の素ファインテック株式会社製)を4.0gと、テトラエチレングリコールジアクリレートを36gとを、0.5mmのジルコニアビーズ200g(200質量部)と共に、100mlのポリプロピレンの密閉容器に入れた。その後、ペイントシェーカー(RED DEVIL EQUIPMENT CO.製 TWIN−ARM ONE−GALLON SHAKER 5400)を用いて6時間分散を行い、顔料分散液C−1を得た。
[顔料分散液C−2〜C−5]
顔料分散液C−1に含まれる「テトラエチレングリコールジアクリレート」を「トリエチレングリコールジビニルエーテル」に変更し、顔料分散液C−1と同様の方法で調製を行い、顔料分散液C−2を得た。
顔料分散液C−1に含まれる「テトラエチレングリコールジアクリレート」を「ジエチレングリコールジエチルエーテル」に変更し、顔料分散液C−1と同様の方法で調製を行い、顔料分散液C−3を得た。
顔料分散液C−1に含まれる「テトラエチレングリコールジアクリレート」を「ジエチレングリコールメチルビニルエーテル」に変更し、顔料分散液C−1と同様の方法で調製を行い、顔料分散液C−4を得た。
顔料分散液C−1に含まれる「テトラエチレングリコールジアクリレート」を「N−ビニル−ε−カプロラクタム」に変更し、顔料分散液C−1と同様の方法で調製を行い、顔料分散液C−5を得た。
[顔料分散液Y−1]
イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー150を6.0gと、顔料分散剤としてアジスパーPB824(味の素ファインテック株式会社製)を3.0gと、トリエチレングリコールジビニルエーテルを40gとを、0.5mmのジルコニアビーズ200g(200質量部)と共に、100mlのポリプロピレンの密閉容器に入れた。その後、ペイントシェーカー(RED DEVIL EQUIPMENT CO.製 TWIN−ARM ONE−GALLON SHAKER 5400)を用いて6時間分散を行い、顔料分散液Y−1を得た。
[顔料分散液M−1]
マゼンタ顔料として、C.I.ピグメントレッド122を6.0gと、顔料分散剤としてアジスパーPB824(味の素ファインテック株式会社製)を3.0gと、トリエチレングリコールジビニルエーテルを40gとを、0.5mmのジルコニアビーズ200g(200質量部)と共に、100mlのポリプロピレンの密閉容器に入れた。その後、ペイントシェーカー(RED DEVIL EQUIPMENT CO.製 TWIN−ARM ONE−GALLON SHAKER 5400)を用いて6時間分散を行い、顔料分散液M−1を得た。
[顔料分散液K−1]
ブラック顔料として、カーボンブラックMA7を6.0gと、顔料分散剤としてアジスパーPB824(味の素ファインテック株式会社製)を3.0gと、トリエチレングリコールジビニルエーテルを40gとを、0.5mmのジルコニアビーズ200g(200質量部)と共に、100mlのポリプロピレンの密閉容器に入れた。その後、ペイントシェーカー(RED DEVIL EQUIPMENT CO.製 TWIN−ARM ONE−GALLON SHAKER 5400)を用いて6時間分散を行い、顔料分散液K−1を得た。
<インクの調製について>
表1〜4の組成となるように、重合性性モノマー、有機溶剤、顔料分散液、光重合開始剤、重合禁止剤を常温(23℃)で30〜60分間攪拌混合し、インクを調製した。なお、表1〜4に記載の各モノマーおよび各有機溶剤の含有量は、顔料分散液に分散媒として含まれるモノマーおよび有機溶剤の量も含まれる。顔料分散液は、固形分顔料の含有量がインク全量に対して3質量部となるように添加した。
表1〜4に記載の「電荷差」は、インクジェットインクに含まれる電子供与性モノマーが有する重合性不飽和結合(炭素炭素不飽和結合)を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、電子受容性モノマーが有する重合性不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするときの電荷Xと電荷Yとの差の最大値である。
<評価方法>
(硬化性1)
ドロップオンデマンドピエゾ方式のインクジェット記録ヘッド(ノズル数:512、インク液滴量:14pl)を搭載した、図1に示したインクジェット記録装置に各インクをそれぞれ装填した。記録媒体として、粘着ポリ塩化ビニルシート(3M社製IJ180)を用いた。記録媒体の表面温度が予め40℃になるように、記録媒体裏面に接する金属部材をヒーターで加熱した。加熱された記録媒体に、インク液滴を着弾させた後に、記録媒体の表面を赤外線照射手段6で加熱した。次いで、紫外線照射手段4にLED光源を用いて、波長が385nmかつ記録媒体に対する照度が4W/cmの光を実施例13〜15以外のインク液滴に照射して、単色のベタ画像を形成した。その際に、記録媒体に対する積算光量を100、200、400mJ/cmと変化させた。なお、紫外線照射手段4としてのLED光源から記録媒体までの距離は、10mmとした。形成したベタ画像面を指で触り、タック感(べたつき)の有無を判断し、以下の基準で評価した。表1〜4に評価結果を示す。
《評価基準》
1:400mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感がある
2:400mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感はないが、200mJ/cmではタック感がある
3:200mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感はないが、100mJ/cmではタック感がある
4:100mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感はない
一方、実施例15〜18では、紫外線照射手段4にLED光源の代わりにメタルハライドランプを用いて、記録媒体に対する積算光量を、200、400、800mJ/cmと変化させた。それ以外は「硬化性1」と同様の方法により画像を形成して、以下の基準で評価した。表4の括弧中に評価結果を示す。
《評価基準》
1:800mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感がある
2:800mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感はないが、400mJ/cmでは画像にタック感がある
3:400mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感はないが、画像に200mJ/cmではタック感がある
4:200mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感はない
(硬化性2)
実施例2(表1)および実施例9〜12(表3)では、「硬化性2」の評価も実施した。「硬化性2」の評価は、LED光源から記録媒体に対する照度が1W/cmの光を照射し、かつ記録媒体に対するLEDの積算光量を100mJ/cmのみとした。その他は、「硬化性1」と同様の方法により画像を形成して、以下の基準で評価した。表1、3に評価結果を示す。
《評価基準》
4:100mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感がある
5:100mJ/cmの光量を照射して形成した画像にタック感がない
(光沢性)
画像のタック感がなくなるように、記録媒体に対する積算光量を調整したこと以外は、上記と同様の方法で画像を形成した。画像と、記録媒体自体との光沢を目視により観察し、以下の基準で評価した。表1〜4に評価結果を示す。
《評価基準》
1:画像の光沢が記録媒体の光沢よりも大きく劣る
2:画像の光沢が記録媒体の光沢よりもやや劣る
3:画像の光沢が記録媒体の光沢と同等である
4:画像の光沢が記録媒体の光沢より優れている
(出射性)
上記と同様のインクジェット装置に各インクをそれぞれ装填した。インクジェット記録ヘッドに、波長が385nm、かつ記録媒体に対する照度が0.01mW/cmの光をLED光源から照射しながら1時間の連続出射を行った。ただし、実施例13〜15では、波長が385nm、かつ記録媒体に対する照度が0.02mW/cmのメタルハライドランプの光をインクジェット記録ヘッドに照射した。インクジェット記録ヘッドの各ノズルにおけるノズル欠やインクの出射曲がりの発生具合を目視観察し、以下の基準で評価した。表1〜4に評価結果を示す。
《評価基準》
1:ノズル欠が11ノズル以上であり、かつ複数のノズルでインクの出射曲がりが認められる
2:ノズル欠が5〜10ノズルであり、かつ複数のノズルでインクの出射曲がりが認められる
3:ノズル欠が4ノズル以内であり、かつ目立ったインクの出射曲がりは認められない
4:ノズル欠がなく、インクの出射曲がりは認められない
Figure 2014019751
重合性モノマーにラジカル重合性モノマーのみを用いている比較例1、2は「硬化性」の評価結果が低かった。これは、ラジカル重合性モノマーが酸素による重合阻害を受けたためである。特に、比較例2は「硬化性」の評価結果が低かった。比較例2のインクは有機溶剤を含んでいるため、記録媒体に着弾したインク液滴が適度にレベリングしている。それに加えて、記録媒体を加熱してインク液滴中の有機溶剤を揮発除去したことで、インク膜厚が薄くなっている。そのため、インク膜の表面積が増加し、酸素による重合阻害をより受けたためである。一方、比較例1のインクは有機溶剤を含んでいないため、インクの粘度が高く、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がりにくい。そのため、画像表面に凹凸が残ったことで、「光沢性」の評価結果が特に低かった。
比較例3のインクは重合性モノマーにアクセプターモノマーとラジカル重合性モノマーとを含んでいる。アクセプターモノマーだけでは、アクセプターモノマーとドナーモノマーとからなるCT重合性組成物を構成できないため、画像の硬度が高まりにくい。さらに、ラジカル重合性モノマーがインクに含まれているため、酸素による重合阻害を受けたため、「硬化性」の評価結果が低かった。
比較例4〜6のインクは重合性モノマーにアクセプターモノマーとドナーモノマーとを含んでいるが、有機溶剤の含有量が所望量(20〜80質量%)ではない。インクに有機溶剤を含まない比較例4と、インクに含まれる有機溶剤が過少である比較例5とは、「光沢性」の評価が低かった。これは、インクの粘度が高まり、記録媒体に着弾したインク液滴が濡れ広がりにくくなり、画像表面に凹凸が残ったためである。さらに、比較例4、5は「出射性」の評価結果が低かった。これは、インクジェット記録ヘッド中のインクから有機溶剤が揮発してしまい、インクの粘度が高くなったためである。インクに有機溶剤を含まない比較例4では「光沢性」と「出射性」との評価結果が特に低かった。一方、インクに含まれる有機溶剤が過剰である比較例6は、「硬化性」の評価結果が低かった。これは、記録媒体に着弾したインク液滴に含まれる有機溶剤が揮発除去されにくく、光照射後の画像中に有機溶剤が残留したためである。
それに対して、実施例1〜3では、全ての評価項目において優れた結果が得られている。「硬化性2」の評価を行った実施例2では、記録媒体に対する積算光量が低くても(100mJ/cm)、タック感のない画像を形成できる。
Figure 2014019751
実施例4〜8は、全ての評価項目において良好な結果が得られている。特に、インクに沸点が120〜250℃の有機溶剤を含む実施例5〜7は全ての評価項目において優れた結果が得られている。インクに沸点が120℃以上の有機溶剤を含むことで、インクに含まれる有機溶剤が揮発されにくく、インクの粘度が高まりにくい。そのため、インク液滴が記録媒体上で濡れ広がるため、画像表面が平滑化されて光沢のある画像を形成できる。また、インクの粘度が高まりにくいため出射性も優れている。一方、インクに沸点が250℃以下の有機溶剤を含むことで、記録媒体に着弾したインク液滴から有機溶剤を適度に除去できるため、タック感のない画像を形成できる。
Figure 2014019751
実施例9〜14は、全ての評価項目において良好な結果が得られている。これらの中でも、実施例9〜12は「硬化性1」、「光沢性」、および「出射性」の評価項目において優れた結果が得られており;特に実施例11は、「硬化性2」の評価項目においても優れている。実施例11のインクにはアクセプターモノマーとしてマレイミド化合物が含まれており、記録媒体に対する積算光量が低くても(100mJ/cm)、タック感のない画像を形成できる。
一方、マレイミド化合物が含まれている実施例13、14は、実施例11に比べて「硬化性1」の評価結果がやや低かった。実施例13では、電荷差が「0.45」と大きく、実施例9〜12に比べ、CT重合が起こりにくく、かつ重合速度も遅かったためと推測される。実施例14では、ドナーモノマーにNVC(N−ビニル−ε−カプロラクタム)を用いている。NVCは、ビニルエーテルと比較して反応性が低いためであると推測される。また、NVCは、ビニルエーテルと比較して粘度が高いため、実施例14ではインク粘度が高まり、実施例9〜13に比べて「出射性」の評価結果がやや低かった。
Figure 2014019751
本発明の構成要件を満たす実施例15〜18は、全ての評価項目において良好な結果が得られている。特に、インクに光重合開始剤を含む実施例15〜17は全ての評価項目において優れた結果が得られている。また、インクに含まれる顔料分散液の種類を変更した場合であっても、本発明の構成要件を満たす実施例19〜21は全ての評価項目において優れた結果が得られている。
実施例22および比較例7
実施例2と比較例1において、使用するインクジェット記録ヘッドを変えて8plの液滴サイズで出射した以外は、実施例2および比較例1と同じ評価を行った。比較例7では、液滴サイズを14plから8plに変えたことで、硬化性1と出射性が劣化した。これに対し、実施例22では、液滴サイズを14plから8plに変えても硬化性1と出射性に劣化はみられなかった。
すなわち、比較例のインクでは、液滴サイズが小さくなると液滴の表面積が相対的に大きくなり、また記録媒体の表面に形成されるインク膜厚も薄くなって、酸素による重合阻害を受けて硬化性が劣化すると考えられる。一方、本発明のインクは酸素重合阻害を受けにくく、液滴サイズが小さくても優れた硬化性を維持できる。また、インクジェット記録ヘッドのノズル径が小さくなると、比較例ではノズル詰まりが起こりやすくなり出射性が劣化するが、本発明のインクでは良好な出射性を維持できる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクおよびそれを用いたインクジェット記録方法によれば、インク膜が薄膜でも形成画像の硬度が高く、形成画像の光沢性に優れ、かつインクジェットインクを安定に射出できる。
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3 記録ヘッド
4 紫外線照射手段
5 プラテン部
6 赤外線照射手段
P 記録媒体

Claims (12)

  1. 重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを2種以上含有する活性エネルギー線硬化型インクジュエットインクであって、
    前記重合性モノマーは、少なくとも1種の電子供与性モノマーと、少なくとも1種の電子受容性モノマーとを含有し、
    前記電子供与性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、前記電子受容性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするとき、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.46であり、
    重合性のない有機溶剤をインク全量に対して20〜80質量%含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  2. 前記電荷Xと前記電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.30であることを特徴とする、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  3. 前記有機溶剤の沸点が120〜250℃以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  4. 前記少なくとも1種の電子供与性モノマーがビニルエーテル化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  5. 前記少なくとも1種の電子受容性モノマーがマレイミド化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  6. 前記マレイミド化合物がマレイミド環の炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子に置換基を有しないことを特徴とする、請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  7. 前記マレイミド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする、請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
    Figure 2014019751
    〔一般式(1)中、R、Rは、水素原子を表し;Y、Y、Zは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、フェニレン基、エステル基、エーテル基、チオエーテル基から選ばれる基が組み合わされた2価の有機連結基を表し;Yは不斉炭素を有する2価の基を表し;nは1〜6の整数、n1は0または1、n2は0または1を表す〕
  8. 光重合開始剤をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  9. 重合性不飽和結合を有する重合性モノマーを2種以上含有する活性エネルギー線硬化型インクジェットインクのインク液滴を、インクジェット記録ヘッドから吐出させて記録媒体上に付着させる工程と、前記記録媒体を加熱して着弾したインク液滴を乾燥させる工程と、前記記録媒体に活性エネルギー線光源からの光を照射して、前記インク液滴を硬化させる工程と、を有し、
    前記重合性モノマーは、少なくとも1種の電子供与性モノマーと、少なくとも1種の電子受容性モノマーを含有し、前記電子供与性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Xとし、前記電子受容性モノマーが有する炭素炭素不飽和結合を構成する炭素原子の電荷を電荷Yとするとき、電荷Xと電荷Yとの差の最大値が0.24〜0.46であり、
    前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインクは、重合性のない有機溶剤をインク全量に対して20〜80質量%含有し、
    前記インク液滴を0.1〜10plのサイズで出射する、インクジェット記録方法。
  10. 前記光は、波長が280〜420nmであり、前記記録媒体に対するピーク照度が8W/cm以下であり、かつ、前記記録媒体に対する積算光量が10〜500mJ/cmである、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが前記記録媒体に着弾する前に、前記記録媒体が加熱されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが着弾した前記記録媒体に前記光を照射する前に、前記記録媒体が加熱されていることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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