JP2012102294A - 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット用インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】金属光沢性の良好な画像を記録できる紫外線硬化型インクジェット用インク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用インク組成物は、アルミニウム顔料と、フェノキシエチル(メタ)アクリレートと、有機溶媒と、を含有し、前記有機溶媒が、インク組成物の総質量に対して、2質量%以上30質量%以下含まれ、前記アルミニウム顔料は、5nm以上30nm以下の平均厚みを有し、且つ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有する平板状粒子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物に関する。
従来、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成する手法として、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金粉、銀粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられてきた。
近年、印刷におけるインクジェット方式の記録方法への応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例としてメタリック印刷があり、金属光沢を有するインクの開発が進められている。この金属光沢を有するインクには、アルミニウム粒子を薄く延ばした平板状の顔料(以下、「平板状アルミニウム顔料」ともいう)がしばしば用いられる。
平板状アルミニウム顔料を製造する方法としては、例えば(1)アトマイザー法等で作製したアルミニウム粒子をボールミルで擂り潰して延ばす方法、(2)フィルムへ蒸着させたアルミニウムを溶媒中で超音波洗浄機等により剥離・粉砕し、分散させる方法(例えば、特許文献1参照)が挙げられる。
一方で、近年、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化型インクの開発が進められている。この紫外線硬化型インクによれば、インクジェット記録方法において、被記録媒体の表面に高い耐水性、耐溶剤性、および耐擦過性等を有する画像を記録することができる。
そこで、前述した平板状アルミニウム顔料を紫外線硬化型インクに適用すれば、インクジェット方式の記録方法により、被記録媒体の表面に対して良好な金属光沢画像を記録できることが期待される。
特開2008−202076号公報
しかしながら、前述したような平板状アルミニウム顔料をインクジェット記録方式の紫外線硬化型インクに適用するためには、以下のような課題があった。
紫外線硬化型インク組成物は、紫外線を照射されると短時間で硬化する。そのため、被記録媒体上に吐出された紫外線硬化型インクのドット内において、平板状アルミニウム顔料が平坦に積層(いわゆる「リーフィング」)する前に、紫外線硬化型インク組成物が硬化する場合があった。その結果、被記録媒体上に記録された画像は、金属光沢性に優れない場合があった。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の1つは、金属光沢性の良好な画像を記録できる紫外線硬化型インクジェット用インク組成物を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る紫外線硬化型インク組成物の態様の1つは、
アルミニウム顔料と、
フェノキシエチル(メタ)アクリレートと、
有機溶媒と、
を含有し、
前記有機溶媒が、インク組成物の総質量に対して、2質量%以上30質量%以下含まれる。
適用例1の紫外線硬化型インクジェット用インク組成物によれば、吐出安定性が良好であり、密着性および金属光沢性が良好な画像を記録できる。
[適用例2]
適用例1において、
前記有機溶媒の沸点は、80℃以上190℃以下であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記有機溶媒は、グリコール類およびアセテート類から選択される1種以上であることができる。
[適用例4]
適用例3において、
前記グリコール類は、ブチルセロソルブおよびジエチレングリコールジエチルエーテルの少なくとも一方であることができる。
[適用例5]
適用例3において、
前記アセテート類は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
前記フェノキシエチル(メタ)アクリレートは、インク組成物の総質量に対して、5質量%以上70質量%以下含まれることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、
さらに、下記一般式(1)で示されるモノマーを含有することができる。
CH=CR−COO−R−O−CH=CH−R …(1)
(式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rは、炭素数2〜20の2価の有機残基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜11の1価の有機残基を表す。)
[適用例8]
適用例7において、
前記一般式(1)で示されるモノマーが、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルであることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか1例において、
さらに、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、N−ビニルカプロラクタムおよびベンジル(メタ)アクリレートから選択される1種を含有することができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか1例において、
前記アルミニウム顔料は、5nm以上30nm以下の平均厚みを有し、且つ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有する平板状粒子であることができる。
[適用例11]
適用例1ないし適用例10のいずれか1例において、
さらに、光重合開始剤を含有することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれか一方を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれか一方を意味する。
1.紫外線硬化型インクジェット用インク組成物
本発明の一実施形態に係る紫外線硬化型インクジェット用インク組成物(以下、単に「紫外線硬化型インク組成物」ともいう)は、アルミニウム顔料と、フェノキシエチル(メタ)アクリレートと、有機溶媒と、を含有する。
以下、本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物に含まれるか、または含まれ得る添加剤(成分)について詳細に説明する。
1.1.アルミニウム顔料
本実施形態に係る紫外線硬化型インクは、アルミニウム顔料を含有する。アルミニウム顔料は、被記録媒体に記録された画像の金属光沢性を向上させる観点から、平板状粒子(以下、「平板状アルミニウム粒子」ともいう。)であることが好ましい。平板状アルミニウム粒子は、例えば以下に示す製造方法により製造することができる。
(a)まず、シート状基材面に剥離用樹脂層とアルミニウムまたはアルミニウム合金層(以下、単に「アルミニウム層」という)とが、順次積層された構造からなる複合化顔料原体を用意する。
シート状基材としては、特に制限されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルム、液体を吸収または保持可能な材質からなる紙、不織布等が挙げられる。
シート状基材の厚さは、特に制限されないが、好ましくは10〜150μmである。10μm以上であれば、工程等で取扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
剥離用樹脂層は、アルミニウム層のアンダーコート層であり、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、アクリル酸重合体または変性ナイロン樹脂が好ましい。
前記例示した樹脂の1種または2種以上の混合物の溶液をシート状基材に塗布し乾燥させることにより、剥離用樹脂層を形成することができる。塗布後は、粘度調整剤等の添加剤を添加することもできる。
剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法等の公知の技術を用いることができる。塗布・乾燥後、必要であればカレンダー処理により表面の平滑化を行うことができる。
剥離用樹脂層の厚さは、特に制限されないが、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、アルミニウム層との界面で剥離しやすいものとなってしまう。
剥離用樹脂層にアルミニウム層を積層させる手段としては、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリング法を適用することが好ましい。
また、アルミニウム層は、特開2005−68250号公報に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、ゾルゲル法によって、テトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシドまたはその重合体から形成されたものであることが好ましい。シリコンアルコキシドまたはその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより、酸化ケイ素層の塗膜を形成する。
保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体等が挙げられる。これらのうち、ポリビニルアルコールまたはセルロース誘導体から形成されることが好ましい。
前記例示した樹脂1種または2種以上の混合物の水溶液を塗布し乾燥させると、保護用樹脂層を形成することができる。塗布液には、粘度調整剤等の添加剤を添加することができる。前記酸化ケイ素および樹脂の塗布は、剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
(b)次いで、複合化顔料原体を後述するモノマーおよび有機溶媒を混合した分散媒中で、複合化顔料原体のシート基材面と剥離用樹脂層との界面を境界として剥離し、それを粉砕または微細化処理することにより、粗大粒子を含むアルミニウム顔料分散液を調製する。さらに、得られたアルミニウム顔料分散液をろ過し粗大粒子を除去することで、所定の平均粒子径を有する平板状アルミニウム粒子を含有する分散液を得ることができる。
なお、アルミニウム顔料をモノマーのみからなる分散媒中に加えると、モノマーとアルミニウム顔料とが反応して、分散液がゲル化する場合がある。そのため、上述したように有機溶媒およびモノマー中にアルミニウム顔料を加えることが好ましい。このようにすると、アルミニウム顔料の表面が有機溶媒によって保護されるので、分散液のゲル化を低減することができる。
また、複合化顔料原体を後述するモノマーおよび有機溶媒中で微細化処理等を行う方法を示したが、複合化顔料原体を後述する有機溶媒のみからなる分散媒中に投入して、上記の微細化処理等を行うことで、平板状アルミニウム粒子を含有する分散液を得ることができる。このようにすると、アルミニウム顔料の表面が有機溶媒によって保護されるので、後述するモノマーを添加した際における紫外線硬化型インク組成物のゲル化を低減することができる。
また、複合化原体のシート基材面と剥離用樹脂層との界面を境界として剥離する場合を示したが、これに限定されず、例えば剥離用樹脂層とアルミニウム層との界面を境界として剥離することができる。
シート状基材からの剥離処理法としては、特に制限されないが、複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法や、液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。前記のようにして得られた平板状アルミニウム粒子は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、分散媒中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。
ここで、「平板状粒子」とは、アルミニウム粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、略平坦な面(X−Y平面)を有し、且つ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。より詳しくは、該アルミニウム粒子の略平坦な面(X−Y平面)の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50(以下、単に「R50」ともいう)が0.5μm以上3μm以下であって、且つ、厚み(Z)が5nm以上30nm以下であることを満たすものをいう。
「円相当径」とは、アルミニウム粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、該アルミニウム粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、アルミニウム粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、そのアルミニウム粒子の円相当径という。
R50は、良好な金属光沢性および吐出安定性を確保する観点から、好ましくは0.5μm〜3μmであることが好ましく、0.75μm〜2μmであることがより好ましい。R50が0.5μm未満の場合には、金属光沢性が不十分となることがある。一方、R50が3μmを超える場合、ノズルの目詰まりにより吐出安定性が低下することがある。
平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)の面積より求めた円相当径の最大粒子径は、10μm以下であることが好ましい。最大粒子径を10μm以下にすることで、インクジェット記録装置のノズルや、インク流路内に設けられた異物除去フィルター等に該平板状粒子が目詰まりすることを防止することができる。
平板状粒子の平面上の長径X、短径Y、円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置「FPIA−2100」、「FPIA−3000」、「FPIA−3000S」(以上、シスメックス株式会社製)が挙げられる。
平板状粒子の粒度分布(CV値)は、下記式(2)より求めることができる。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 …(2)
ここで、得られるCV値は、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下であり、特に好ましくは40以下である。CV値が60以下の平板状粒子を選択することで、印字安定性に優れるという効果が得られる。
厚み(Z)は、金属光沢性を確保する観点から、好ましくは5nm以上30nm以下であり、より好ましくは10nm以上25nm以下である。厚み(Z)が5nm未満であると、アルミニウム粒子の表面に被膜が形成されたときに金属光沢性が低下する傾向がある。一方、厚み(Z)が30nmを超えても、金属光沢性が低下する傾向がある。
アルミニウム顔料は、コストの観点および金属光沢性を確保する観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウム以外に添加する他の金属元素または非金属元素としては、例えば、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅などが挙げられる。
ここで、平板状アルミニウム粒子を含有する分散液に含まれる平板状アルミニウム粒子を、洗浄する工程を設けてもよい。平板状アルミニウム粒子の洗浄には、後述するモノマーや後述する有機溶媒を用いることができる。平板状アルミニウム粒子を含有する分散液には、前述の剥離用樹脂層が含まれていたり、平板状アルミニウム粒子には、剥離用樹脂層が付着していたりする場合がある。そのため平板状アルミニウム粒子を洗浄することによって、剥離用樹脂層の成分等を除去して、分散媒への分散性を向上させることができる。
平板状アルミニウム粒子の洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下のように行うことができる。まず、平板状アルミニウム粒子を含有する分散液から分散媒の少なくとも一部を除去する。分散媒の除去は、ろ過、遠心沈降または遠心分離等の操作により、分散媒と平板状アルミニウム粒子とを分離して分散液に含まれる分散媒を除去する。次に、平板状アルミニウム粒子に洗浄用の分散媒(モノマーや有機溶媒等)を加えて、分散媒中に平板状アルミニウム粒子を分散させた後、洗浄用の分散媒を除去する。なお、平板状アルミニウム粒子を洗浄用の分散媒に分散させて、洗浄用の分散媒を除去する工程は、複数回行ってもよい。その後、平板状アルミニウム粒子に後述するモノマーや有機溶媒等を加えて、洗浄された平板状アルミニウム粒子を含有する分散液を得ることができる。
アルミニウム顔料の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.5質量%以上7質量%以下であることが好ましい。アルミニウム顔料の含有量が前記範囲未満であると、記録された画像の金属光沢性が不十分となる場合がある。アルミニウム顔料の含有量が前記範囲を超えると、紫外線硬化型インク組成物の粘度が上昇すると共に、アルミニウム顔料の沈殿を生じる場合がある。
1.2.有機溶媒
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、有機溶媒を含有する。有機溶媒の機能としては、例えば、被記録媒体と画像との密着性を向上させたり、紫外線硬化型インク組成物に含まれるアルミニウム顔料をリーフィングさせやすくしたりすることが挙げられる。
以下、有機溶媒がアルミニウム顔料のリーフィングを向上させる効果について具体的に説明する。被記録媒体上に紫外線硬化型インク組成物の液滴からなるドットを形成した際に、ドット内のアルミニウム顔料は、リーフィングすることによって優れた金属光沢性を発現する。このとき、ドットが紫外線の照射によって短時間で硬化するので、ドット内のアルミニウム顔料は、金属光沢性を発現できる程度にリーフィングする前に、ドットの硬化に伴ってドット内で固定される。そのため、被記録媒体上に記録された画像は、金属光沢性に優れない場合がある。
一方、本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、有機溶媒を含有する。有機溶媒を含む紫外線硬化型インク組成物からなるドットを被記録媒体上に形成した際に、ドット内の有機溶媒は、紫外線の照射によるドットの硬化前に、揮発したり、被記録媒体を膨潤させて被記録媒体内に入り込んだりする。その結果、被記録媒体上に形成されたドットの体積が減少することにより、ドット内のアルミニウム顔料の固形分が上がるので、アルミニウム顔料は、リーフィングしやすくなる。このようにして、アルミニウム顔料を含有する紫外線硬化型インク組成物は、有機溶媒の作用により、金属光沢性に優れた画像を記録することができる。
有機溶媒の沸点は、好ましくは80℃以上190℃以下である。有機溶媒の沸点が上記範囲内にあると、インクの吐出安定性に優れ、金属光沢性に優れた画像を記録することができる。一方、有機溶媒の沸点が上記範囲を超えると、有機溶媒の揮発性が低下するため、インクのドット体積が減少しにくくなり、画像の金属光沢性が低下する場合がある。また、有機溶媒の沸点が上記範囲未満であると、有機溶媒がインクジェット記録装置の吐出ヘッド近傍で揮発しやすくなり過ぎるので、インクの粘度が上昇し、インクの吐出不良が発生する場合がある。
有機溶媒の含有量は、インク組成物の総質量に対して、2質量%以上30質量%であり、好ましくは5質量%以上20質量%以下である。有機溶媒の含有量が上記範囲内にあると、金属光沢性および被記録媒体との密着性に優れた画像を記録することができる。一方、有機溶媒の含有量が上記範囲を超えると、吐出ヘッド近傍にインクが付着しやすくなることでノズルの目詰まり等が発生して、インクの吐出不良が発生する場合がある。また、有機溶媒の含有量が上記範囲未満であると、被記録媒体に対する画像の密着性が低下したり、被記録媒体上のアルミニウム顔料がリーフィングしにくくなることで画像の金属光沢性が低下したりする場合がある。
有機溶媒としては、例えば、ケトン類、グリコール類およびアセテート類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ケトン類としては、ジアセトンアルコール(沸点:168.1℃)等が挙げられる。
グリコール類としては、ブチルグリコレート(沸点:186℃)、ブチルセロソルブ(沸点:171.2℃)、ブトキシプロパノール(沸点:171℃)、3−メチル−3−メトキシブタノール(沸点:174℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点:189℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:190℃)、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル(沸点:150℃)、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル(沸点:170℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点:175℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:135℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:121℃)、ジプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点:179℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点176℃)等が挙げられる。
また、アセテート類としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点:156.3℃)、イソプロピルアセテート(沸点:85℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点:190℃)、n−プロピルアセテート(沸点:102℃)、ブチルアセテート(沸点:126℃)、シクロヘキサノールアセテート(沸点:173℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:146℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点:188℃)、3−メトキシブチルアセテート(沸点:171℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点:145℃)等が挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブおよびジエチレングリコールジエチルエーテルは、沸点が80℃以上190℃以下の範囲にあり、かつ、後述するモノマーとの相溶性に優れているという点から好ましく用いることができる。
1.3.フェノキシエチル(メタ)アクリレート
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、フェノキシエチル(メタ)アクリレート(B)を含有する。フェノキシエチル(メタ)アクリレートは、柔軟性や伸張耐久性に優れた画像を記録媒体上に記録する目的で添加されるモノマーである。
また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートは、後述する光重合開始剤を溶解する能力にも優れている。そのため、インク組成物がフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含有すると、他のモノマーを含有した場合に比べてより多くの光重合開始剤をインク組成物中に溶かし込むことができるので、より低エネルギーの紫外線で硬化させることが可能となる。さらに、フェノキシエチル(メタ)アクリレートは、他のモノマーに対する希釈性も良好であるため、非常に使い易いという特徴を有している。
フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量に対して、好ましくは5質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上60質量%以下である。フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が前記範囲にあると、良好な硬化性が発揮されると共に、タック感の低減された良好な画像を記録することができる。一方、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲を超えると、画像の密着性が低下する場合がある。また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲未満であると、光重合開始剤をインク組成物中に溶かし込む効果が低減して、画像の硬化性が低下する場合がある。なお、本明細書において、「硬化性」とは、紫外線照射により光重合開始剤の存在下または不存在下で重合硬化する性質をいう。
1.4.モノマー
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、下記一般式(1)で示されるモノマーを含有してもよい。
CH=CR−COO−R−O−CH=CH−R …(1)
(式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rは、炭素数2〜20の2価の有機残基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜11の1価の有機残基を表す。)
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、上記の一般式(1)で示されるモノマーを含有することにより、インクの硬化性を良好なものとすることができる。
上記の一般式(1)において、Rで示される2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状または環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合および/またはエステル結合による酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基およびブチレン基等の炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基およびオキシブチレン基等の構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(1)において、Rで示される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状または環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基またはエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基およびベンジル基等の炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の一般式(1)で示されるモノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、硬化性がより良好であるという有利な効果が得られる観点から、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチルが好ましい。
また、これらの中でも、インクの粘度を低く設計できるという有利な効果が得られる観点から、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましく、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。
上記の一般式(1)で示されるモノマーの含有量は、インク組成物の総質量に対して、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上50質量%以下である。上記の一般式(1)で示されるモノマーの含有量が前記範囲内であると、低粘度かつ硬化性が良好であるという有利な効果が得られる。
上記一般式(1)で示されるモノマーの製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステル類と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類とカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類とアルキルビニルエーテル類とをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
1.5.その他のモノマー
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、フェノキシエチル(メタ)アクリレートおよび上記一般式(1)で示されるモノマー以外のその他のモノマーを含有してもよい。その他のモノマーとしては、従来公知の、単官能、2官能および3官能以上の多官能モノマーおよびオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩またはエステル、ウレタン、アミドおよびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ならびに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、およびそれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、N−ビニルカプロラクタムは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートとの相溶性に優れており、被吐出媒体との密着性を向上させるという点から好ましく用いることができる。
その他のモノマーのうち、(メタ)アクリル酸のエステル、すなわち(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートは、画像の耐擦性を向上させることができるという観点から好ましく用いることができる。
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、その他のモノマーは単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、且つ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらに塗膜の強靭性、耐熱性、および耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格、および不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。上記その他のモノマーが上記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、インク組成物の粘度を低下させることができる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アミノ(メタ)アクリレートを含有することも好ましい。インク組成物がアミノ(メタ)アクリレートを含有すると、共重合反応を促進させて、硬化性をより高めることが可能となる。
上記のその他のモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.6.光重合開始剤
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記モノマーの重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
なお、放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ、光源ランプのコストを抑えることができる。したがって、光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、モノマーへの溶解性および硬化性が良好という有利な効果が得られる観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASFジャパン社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬株式会社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、Speedcure TPO(ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン)(以上、Lambson社製)等が挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であれば、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色が殆どない。上述したように、インク組成物に含まれる光重合開始剤がアシルホスフィンオキサイド化合物および/またはチオキサントン化合物である場合には、前記アシルホスフィンオキサイド化合物の含有量は、インク組成物の総質量に対して2質量%以上であることが好ましい。一方、前記チオキサントン化合物の含有量は、インク組成物の総質量に対して1質量%以上であることが好ましい。
なお、前述のモノマーとして光重合性の化合物を用いることで、光重合開始剤の添加を省略することが可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
1.7.スリップ剤(レベリング剤)
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、レベリング作用により印刷物表面が平滑になり、さらに擦過性が向上するという有利な効果が得られるため、スリップ剤をさらに含有してもよい。スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
1.8.分散剤
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、アルミニウム顔料の分散性をより良好なものとする観点から、分散剤をさらに含有してもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズ、アベシア社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成株式会社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
1.9.その他の添加剤
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含有してもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、その他の添加剤が挙げられる。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤が挙げられる。
2.インクジェット記録方法
2.1.被記録媒体
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、後述するインクジェット記録方法によって、被記録媒体上に吐出されること等により、記録媒体上に画像の形成された記録物が得られる。この被記録媒体としては、例えば、吸収性または非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物を用いるインクジェット記録方法は、水溶性インクの浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水溶性インクの浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙等の普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、またはそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
2.2.インクジェット記録方法
本実施の形態に係る紫外線硬化型インク組成物は、インクジェット記録方法に適用することができる。かかるインクジェット記録方法は、被記録媒体上に、上記インク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に紫外線を照射して上記インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体上で硬化したインク組成物により塗膜(硬化膜)が形成される。
2.2.1.吐出工程
上記吐出工程においては、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の粘度を好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは3〜15mPa・sとすることで、良好な吐出安定性が実現される。20℃において20mPa・sを超えるような粘度の高いインク組成物は、ヘッドおよび/またはインク組成物を加熱して見かけ上の粘度を下げて吐出してもよい。
本実施の形態の紫外線硬化型インク組成物は、通常のインクジェット記録用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化および液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
2.2.2.硬化工程
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、紫外線照射によって硬化する。これは、インク組成物中に含まれる光重合開始剤が紫外線照射により分解して、ラジカルやカチオン等の活性種を発生し、モノマーの重合反応がその活性種の機能によって促進されることによるものである。あるいは、紫外線照射によって、光重合性の化合物の重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
紫外線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは350〜420nmの範囲の照射エネルギーで照射することにより、硬化可能であるような紫外線硬化型インク組成物を用いることが好ましい。この場合、UV−LEDを用いることが好ましい。このようなインク組成物は、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤および/または上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始するモノマーを含むことにより得られる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.平板状アルミニウム粒子を含む分散液の調製
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学株式会社製)3.0質量%およびジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。次いで、真空蒸着装置(「VE−1010型真空蒸着装置」、株式会社真空デバイス製)を用いて、前記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。次いで、前記方法にて形成した積層体を、フェノキシエチルアクリレートおよび有機溶媒からなる分散媒中に投入した後、VS−150超音波分散機(アズワン株式会社製)を用いて、剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにて濾過処理を行い、粗大粒子を除去して、平板状アルミニウム粒子を含む分散液を得た。なお、平板状アルミニウム粒子(アルミニウム顔料)の50%平均粒子径(R50)をフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、型式「FPIA−3000S」)を用いて測定したところ、1.9μmであった。また、透過型電子顕微鏡により平板状アルミニウム粒子(アルミニウム顔料)の断面を観察したところ、その厚みが20nmであることが確認された。なお、積層体の剥離・微細化・分散処理に用いた有機溶媒は、後述する紫外線硬化型インク組成物の調製で添加したものと同様のものを用いた。また、後述する紫外線硬化型インク組成物の調製において、フェノキシエチルアクリレートを添加しないものについては、有機溶媒のみを用いて、剥離・微細化・分散処理を行った。また、後述する紫外線硬化型インク組成物の調製において、有機溶媒を添加しないものについては、フェノキシエチルアクリレートのみを用いて、剥離・微細化・分散処理を行った。
3.2.紫外線硬化型インク組成物の調製
表1に記載の組成(質量%)となるように、有機溶媒、モノマー、重合禁止剤、レベリング剤、光重合開始剤、必要に応じてオリゴマーを混合し完全に溶解させた後、これに平板状アルミニウム粒子分散液を表1に記載の濃度となるように撹拌しながら滴下した。滴下終了後、常温で1時間混合撹拌し、さらに5μmのメンブランフィルターで濾過して、各紫外線硬化型インク組成物を得た。
なお、表1中で使用した成分は、下記の通りである。
(有機溶媒)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、沸点189℃)
・イソプロピルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製、沸点85℃)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製、沸点146℃)
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル(ダイセル化学工業株式会社製、沸点202℃)
・メチルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製、沸点56℃)
・ブチルセロソルブ(三協化学株式会社製、沸点171.2℃)
(モノマー)
・フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名「V#192」)
・アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル(株式会社日本触媒製、商品名「VEEA」)
・ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA512AS」)
・ジシクロペンテニルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名「FA511ASL」)
・N−ビニルカプロラクタム(BASF株式会社製、商品名「N−ビニルカプロラクタム」)
・ベンジルメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステルBZ」)
(その他のモノマー、オリゴマー)
・ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(サートマー社製、商品名「SR833」)
・アミノアクリレート(ダイセルサイテック株式会社製、商品名「EBECRYL7100」)
・ウレタンアクリレート(ダイセルサイテック株式会社製、商品名「EBECRYL8402」)
(光重合開始剤)
・IRGACURE 819(BASFジャパン株式会社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、光重合開始剤)
・Speedcure TPO(Lambson社製、ジフェニル−2,4,6−トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド、光重合開始剤)
・Speedcure DETX(Lambson社製、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、光重合開始剤)
(レベリング剤)
・BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン)
(重合禁止剤)
・p−メトキシフェノール(関東化学株式会社製、商品名「MEHQ」)
3.3.紫外線硬化型インク組成物の評価
3.3.1.硬化性の評価
(1)評価サンプルの作製
インクジェットプリンターPX−G5000(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、上記の紫外線硬化型インク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下で被記録媒体上に、インクのドット径が中ドットでインク塗膜の膜厚が2μmとなるようなA4ベタパターン画像を記録すると同時に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV−LEDから波長395nmの紫外線を照射してA4ベタパターン画像の硬化処理を行った。以上のようにして、被記録媒体上にA4ベタパターン画像が記録された評価サンプルを作製した。なお、被記録媒体には、PVCフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「アルトロン#280」、厚み0.5mm)、PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名「メリネックス542」、厚み0.5mm)およびPCフィルム(旭硝子株式会社製、商品名「レキサンフィルム8010」、厚み0.5mm)を用いた。
(2)硬化性の評価試験
上記のように、被記録媒体上に記録されたベタパターン画像の硬化処理を行うに際し、タックフリー時における照射エネルギーを求めることにより硬化性を評価した。照射エネルギー[mJ/cm]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計「UM−10」、受光部「UM−400」(いずれもコニカミノルタセンシング社製)を用いて行った。また、タックフリーといえるか否かは、下記の条件で判断した。すなわち、綿棒にインクが付着するか否か、または被記録媒体上のインク硬化物に擦り傷が付くか否かで判断した。その際、使用した綿棒は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のジョンソン綿棒であった。擦る回数は往復10回とし、擦る強さは100g荷重とした。また、硬化性評価時のインク塗膜(硬化膜)の膜厚は2μmとした。評価基準は下記の通りである。評価基準のうち「A」および「B」が実用上許容される基準である。評価結果を下記表1に併せて示す。
「A」 :タックフリー時の照射エネルギー 1200mJ/cm未満
「B」 :タックフリー時の照射エネルギー 1200mJ/cm以上1600mJ/cm未満
「C」 :タックフリー時の照射エネルギー 1600mJ/cm以上
なお、タックフリー時の照射エネルギーで硬化性を評価するという本項目は、硬化したか否か自体を評価する試験ではなく、硬化性の良好さの目安を示すものである(あくまで綿棒で擦った時に所定の状態を示すか否かである。)。擦った時に傷などが付かない状態であっても完全に硬化したとは限らず、また、傷が付くとしても多少は硬化している場合もある。
3.3.2.光沢性の評価
(1)評価サンプルの作製
光沢性の評価は、「3.3.1.硬化性の評価 (2)硬化性の評価試験」で使用した評価サンプルを用いて行った。
(2)光沢性の評価試験
評価サンプルに記録された画像について、光沢度計(コニカミノルタ社製、型式「MULTI Gloss 268」)を用いて、60°の光沢度を測定した。得られた画像の光沢度の評価基準は、以下の通りである。評価基準のうち「AA」、「A」および「B」が実用上許容される基準である。評価結果を下記表1に併せて示す。
「AA」:光沢度300以上(クリアな金属光沢)
「A」:光沢度250以上300未満(つや消しの金属光沢)
「B」:光沢度200以上250未満(つや消しの金属光沢がわずかに認められる)
「C」:光沢度200未満(金属光沢なし)
3.3.3.密着性の評価
(1)評価サンプルの作製
密着性の評価は、「3.3.1.硬化性の評価 (2)硬化性性の評価試験」で使用した評価サンプルを用いて行った。
(2)密着性の評価
JIS K5600−5−6(塗料一般試験法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法))に準じて、各被記録媒体と画像との密着性の評価を行った。なお、評価基準の分類については、以下のとおりである。評価基準のうち「A」および「B」が実用上許容される基準である。評価結果を下記表1に併せて示す。
「A」:カットの交差点における塗膜の小さな剥がれが認められる。
「B」:塗膜がカットの縁に沿って、および/または交差点において剥がれている。
「C」:塗膜がカットの縁に沿って、部分的または全面的に大剥がれを生じており、および/または目のいろいろな部分が、部分的または全面的に剥がれている。
3.3.4.吐出安定性の評価
(1)評価サンプルの作製
インクジェットプリンターPX−G5000(セイコーエプソン株式会社製)のヘッドのノズル列の一列(ノズル数180個)に、上記の紫外線硬化型インク組成物を充填した。そして、常温、常圧下でPETフィルム上に、テストパターン画像の記録を30分間連続して行った。なお、テストパターン画像は、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV−LEDから波長395nmの紫外線を照射して硬化させた。
(2)吐出安定性の評価試験
「3.3.4.吐出安定性の評価 (1)評価サンプルの作製」で記録されたテストパターン画像について、吐出不良の有無を目視観察し、下記の評価基準に従って吐出安定性を評価した。なお、「吐出不良」とは、ノズルから吐出されるはずのインクがノズルの詰まりによって吐出されず、印刷結果に影響を与えることをいう。吐出安定性の評価基準は、以下の通りである。評価基準のうち「AA」、「A」および「B」が実用上許容される基準である。評価結果を下記表1に併せて示す。
「AA」:吐出不良ノズルの発生がない。
「A」:吐出不良ノズルの発生が1個以上3個未満である。
「B」:吐出不良ノズルの発生が3個以上5個未満である。
「C」:吐出不良ノズルの発生が5個以上である。
Figure 2012102294
3.4.評価結果
表1に示すように、実施例1〜実施例11の紫外線硬化型インク組成物によれば、光沢性および密着性に優れた画像を記録することができ、インクジェット方式の記録装置で問題なく吐出することができた。また、有機溶媒によって膨潤しにくいPETフィルムを用いても、密着性に優れた良好な画像を形成できることが示された。
一方、比較例1の紫外線硬化型インク組成物によれば、有機溶媒を含有していないことにより、被記録媒体上に吐出されたインクに含まれるアルミニウム顔料がリーフィングしにくくなり、金属光沢性が良好な画像を記録することができなかった。また、比較例1の紫外線硬化型インク組成物は、有機溶媒による被記録媒体との密着性向上の効果を得られず、画像の密着性に優れない画像を記録した。
比較例2の紫外線硬化型インク組成物によれば、有機溶媒の含有量がインク組成物の総質量に対して30質量%を超えていることにより、吐出ヘッド近傍にインクが付着してノズルの目詰まりが発生して、吐出安定性に優れなかった。
比較例3の紫外線硬化型インク組成物によれば、フェノキシエチルアクリートを含有していないので、硬化性に優れない画像を記録した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (11)

  1. アルミニウム顔料と、
    フェノキシエチル(メタ)アクリレートと、
    有機溶媒と、
    を含有し、
    前記有機溶媒が、インク組成物の総質量に対して、2質量%以上30質量%以下含まれる、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  2. 請求項1において、
    前記有機溶媒の沸点は、80℃以上190℃以下である、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記有機溶媒は、グリコール類およびアセテート類から選択される1種以上である、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  4. 請求項3において、
    前記グリコール類は、ブチルセロソルブおよびジエチレングリコールジエチルエーテルの少なくとも一方である、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  5. 請求項3において、
    前記アセテート類は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    前記フェノキシエチル(メタ)アクリレートは、インク組成物の総質量に対して、5質量%以上70質量%以下含まれる、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
    さらに、下記一般式(1)で示されるモノマーを含有する、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
    CH=CR−COO−R−O−CH=CH−R …(1)
    (式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rは、炭素数2〜20の2価の有機残基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜11の1価の有機残基を表す。)
  8. 請求項7において、
    前記一般式(1)で示されるモノマーが、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルである、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
    さらに、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、N−ビニルカプロラクタムおよびベンジル(メタ)アクリレートから選択される1種を含有する、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
    前記アルミニウム顔料は、5nm以上30nm以下の平均厚みを有し、且つ、0.5μm以上3μm以下の50%平均粒子径を有する平板状粒子である、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、
    さらに、光重合開始剤を含有する、紫外線硬化型インクジェット用インク組成物。
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