JP2017088888A - 紫外線硬化型インクジェット用組成物 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】光沢感に優れるとともに、伸縮性に優れたパターンを形成することができる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、金属粒子と、紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物および第2の重合性化合物と、を含み、前記第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点が、前記第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点よりも高く、前記第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg1[℃]、前記第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg2[℃]としたとき、30≦Tg2−Tg1の関係を満足することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェット用組成物に関するものである。
従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来の紫外線硬化型インクジェット用インクでは、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用した場合、形成されたパターン(画像)の伸縮性が低いため、加飾成型等でパターンを引き延ばした際にパターンにクラックや剥がれ等が生じてしまうといった問題があった。
特開2009−57548号公報
本発明の目的は、光沢感に優れるとともに、伸び率、耐擦性に優れ、タック感を低減したパターンを形成することができる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供すること、また、光沢感に優れるとともに、伸び率、耐擦性に優れ、タック感を低減したパターンを備えた記録物を提供することにある。また、光沢感に優れるとともに、伸び率、耐擦性に優れ、タック感を低減したパターンを備えた記録物を記録する記録方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、
金属粒子と、紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物および第2の重合性化合物と、を含み、
前記第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点が、前記第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点よりも高く、
前記第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg1[℃]、前記第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg2[℃]としたとき、30≦Tg2−Tg1の関係を満足することを特徴とする。
これにより、光沢感に優れるとともに、伸び率、耐擦性に優れ、タック感を低減したパターンを形成することができる紫外線硬化型インクジェット用組成物を提供することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、30≦Tg2−Tg1≦200の関係を満足することが好ましい。
これにより、パターンのベタ付き感(タック感)をより効果的に抑制し、伸縮性により優れたパターンを形成することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記第1の重合性化合物のガラス転移点は、−40℃以上20℃以下であることが好ましい。
これにより、伸縮性により優れたパターンを形成することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記第2の重合性化合物のガラス転移点は、50℃以上300℃以下であることが好ましい。
これにより、パターンのベタ付き感(タック感)をより確実に抑制することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記第1の重合性化合物の含有量は、40wt%以上60wt%以下であり、前記第2の重合性化合物の含有量は、10wt%以上30wt%以下であることが好ましい。
これにより、伸縮性により優れたパターンを形成することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。また、パターンのベタ付き感(タック感)をより確実に抑制することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記第1の重合性化合物と前記第2の重合性化合物の一方が単官能重合性化合物を含み、他方が多官能重合性化合物を含むことが好ましい。
これにより、光沢感に優れるとともに、伸び率、耐擦性に優れ、タック感を低減したパターンをより効果的に形成することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記第1の重合性化合物が単官能重合性化合物を含み、前記第2の重合性化合物が多官能重合性化合物を含むことが好ましい。
これにより、伸縮性に特に優れたパターンを形成することができる。また、光沢感を特に優れたものとすることができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物では、前記金属粒子が、平均厚さが10nm以上100nm以下の鱗片状金属粒子であることが好ましい。
これにより、パターンの光沢感をより優れたものとすることができる。
記録物の製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
《紫外線硬化型インクジェット用組成物》
まず、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物について詳細に説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、紫外線の照射により重合する重合性化合物を含むものである。
ところで、従来から、光沢感のある外観を呈する装飾品の製造方法として、金属めっきや、金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写等が用いられてきた。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)が用いられている。
しかしながら、従来の紫外線硬化型インクジェット用インクでは、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用した場合、形成されたパターン(画像)の伸縮性が低いため、加飾成型等でパターンを引き延ばしたり、記録物を使用する際に記録物を折り曲げたりした際にパターンにクラックや剥がれ等が生じてしまうといった問題があった。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、金属粒子と、紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物および第2の重合性化合物と、を含み、第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点が、第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点よりも高く、第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg1[℃]、第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg2[℃]としたとき、30≦Tg2−Tg1の関係を満足する点に特徴を有している。
このような特徴を有することにより、紫外線照射によって硬化したパターンは、優れた伸縮性を有するものとなり、加飾成型等でパターンを引き延ばした際にパターンにクラックや剥がれ等が生じるのを効果的に防止することができる。また、形成されるパターンにタック感(ベタ付き感)が残存するのを防止することができる。また、形成されるパターンは、光沢感に優れたものとなる。
以下、各成分について説明する。
<金属粒子>
上述したように、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、金属粒子を含んでいる。金属粒子(金属粉末)としては鱗片状の金属粒子や球状の金属粒子が使用可能である。特に、鱗片状の金属粒子を用いることにより、金属粒子がパターン表面に配列した際に、優れた光沢感を発現させることができる。本明細書において、金属粒子とは、少なくとも表面が金属材料で構成されている粒子をいう。
本発明において、鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の10個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。
金属粒子の平均厚さは、10nm以上100nm以下であるのが好ましく、15nm以上50nm以下であるのがより好ましい。これにより、後述するような液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドの不本意な目詰まりをより効果的に防止し、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、形成されるパターンの光沢感、高級感をより優れたものとすることができる。
また、金属粒子の50%平均粒子径は、0.5μm以上3μm以下であるのが好ましく、0.8μm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、後述するような液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドの不本意な目詰まりをより効果的に防止し、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。また、形成されるパターンの光沢感、高級感をより優れたものとすることができる。なお、本明細書において、平均粒子径は体積基準の平均粒子径のことを指す。
金属粒子を構成する金属材料としては、特に限定されないが、アルミニウムを用いるのが好ましい。これにより、形成されるパターン表面に金属粒子をより好適に配列させることができる。また、アルミニウムは、一般に、それ自体が、特に優れた金属光沢を有するものである。したがって、金属粒子がアルミニウムで構成されたものであると、形成されるパターンの光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
なお、鱗片状の金属粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、気相成膜法により金属で構成された膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)において、金属が本来有している光沢感等をより効果的に表現させることができる。また、各金属粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。
このような方法を用いて金属粒子を製造する場合、例えば、基材上に、金属で構成された膜の形成(成膜)を行うことにより、金属粒子を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、前記粉砕は、液体中において、前記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、上述したような粒径の金属粒子を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、前記液体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、アセトニトリル等の極性化合物を好適に用いることができる。このような液体を用いることにより、金属粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、金属粒子の生産性を特に優れたものとし、また、各金属粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
<重合性化合物>
本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である重合性化合物を含むものである。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。また、重合性化合物が硬化することにより上述したように配列(配向)した金属粒子を固定することができるため、得られるパターン(記録物)の光沢感を安定的に優れたものとすることができる。
本発明では、重合性化合物として、第1の重合性化合物と、第2の重合性化合物との少なくとも2種類の化合物を含んでいる。そして、これら重合性化合物は、その単独での重合反応により生じる硬化物がガラス転移点を有するものであって、第2の重合性化合物の単独での硬化物(重合反応により生じる硬化物)のガラス転移点が、第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点よりも高い。これにより、紫外線照射によって硬化したパターンは、優れた光沢感を備えるとともに、優れた伸縮性を有するものとなる。その結果、加飾成型等でパターンを引き延ばした際にパターンにクラックや剥がれ等が生じるのを効果的に防止することができ、さらに、形成されるパターンにタック感(ベタ付き感)が残存するのを防止することができる。
第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg1[℃]、第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg2[℃]としたとき、30≦Tg2−Tg1の関係を満たすものであり、30≦Tg2−Tg1≦200の関係を満足するのが好ましく、60≦Tg2−Tg1≦180の関係を満足するのがより好ましく、90≦Tg2−Tg1≦160の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、パターンのベタ付き感(タック感)をより効果的に抑制し、伸縮性、耐擦性により優れたパターンを形成することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。また、特に金属粒子を含むインク組成物において特に伸び率が低下する傾向があるのに対し伸び率を向上することができる。金属粒子を含むインク組成物において特に伸び率が低下する傾向がある原因は、金属粒子が硬化物の伸びを阻害したためと推測する。
第1の重合性化合物のガラス転移点は、−40℃以上20℃以下であるのが好ましく、−30℃以上10℃以下であるのがより好ましく、−25℃以上0℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、形成されるパターンの光沢感をより優れたものとすることができるとともに、伸縮性をより優れたものとすることができる。
また、第2の重合性化合物のガラス転移点は、50℃以上300℃以下であるのが好ましく、80℃以上200℃以下であるのがより好ましく、100℃以上150℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、形成されるパターンの光沢感をより優れたものとすることができるとともに、パターンのベタ付き感(タック感)をより確実に抑制することができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における第1の重合性化合物の含有量は、40wt%以上60wt%以下であるのが好ましい。これにより、伸縮性により優れたパターンを形成することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。
第2の重合性化合物の含有量は、10wt%以上30wt%以下であるのが好ましい。これにより、パターンのベタ付き感(タック感)をより確実に抑制することができる。また、光沢感をより優れたものとすることができる。
これら重合性化合物は、液状をなすものが好ましく、紫外線硬化型インクジェット用組成物において、粉末を分散する分散媒として機能するものであるのがより好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去(蒸発)される分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
第1の重合性化合物および第2の重合性化合物としては、紫外線の照射により重合する成分で、かつ、単独での硬化物のガラス転移点が上記関係にある成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
第1の重合性化合物および第2の重合性化合物としてのモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(10−15)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=4)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=10)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジ(n=20)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=9)等が挙げられる。
上述した中でも、第1の重合性化合物としては、フェノキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、よりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましく、フェノキシエチルアクリレートを含むものであるのがより好ましい。これにより、形成されるパターンの光沢感を特に優れたものとしつつ、伸縮性を特に優れたものとすることができる。
また、第1の重合性化合物としてフェノキシエチルアクリレートを含むことにより、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット用組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。また、金属粒子をより好適に配置させることができ、記録物の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
上述した中でも、第2の重合性化合物としては、ジシクロペンテニルアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、イソボルニルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましく、ジシクロペンテニルアクリレートを含むものであるのがより好ましい。これにより、形成されるパターンの光沢感を特に優れたものとしつつ、パターンのベタ付き感(タック感)をさらに確実に抑制することができる。
また、耐擦性、伸び率が一層優れる点で、第1の重合性化合物および第2の重合性化合物の少なくとも一方が多官能重合性化合物を含むことが好ましく、一方が単官能重合性化合物を含み他方が多官能重合性化合物を含むことがより好ましく、第2の重合性化合物が多官能重合性化合物を含み第1の重合性化合物が単官能重合性化合物を含むことがさらに好ましい。このことから、第1の重合性化合物として単官能重合性化合物を含むほうが硬化物の伸び率が一層良くなること、および、第2の重合性化合物として多官能重合性化合物を含むほうが硬化物の耐擦性が一層良くなると推測する。インク組成物の硬化性や保存安定性の点で、重合性化合物の官能基数は(メタ)アクリレートの官能基数であることが好ましく、アクリレートの官能基数であることがより好ましい。また、この場合において、第1の重合性化合物および第2の重合性化合物の含有量は前述の含有量とすることが好ましい。第1の重合性化合物において単官能重合性化合物としては、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートなどがあげられる。第1の重合性化合物において多官能重合性化合物としては、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコール(n=9)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(n=14)ジアクリレートなどがあげられる。第2の重合性化合物において単官能重合性化合物としては、イソボルニルアクリレート、アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートなどがあげられる。第2の重合性化合物において多官能重合性化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどがあげられる。なお、紫外線硬化型インクジェット用組成物中には、上記の範囲や関係を有する第1の重合性化合物および第2の重合性化合物以外の重合性化合物を含んでもよく、また単独での硬化物がガラス転移点を有しない重合性化合物などが含まれていてもよい。
<その他の成分>
本実施形態に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線硬化型インクジェット用組成物中における光重合開始剤の含有量は、0.5wt%以上20wt%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
紫外線硬化型インクジェット用組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
紫外線硬化型インクジェット用組成物が分散剤を含むものであると、金属粒子の分散性を優れたものとすることができ、紫外線硬化型インクジェット用組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物は、記録物の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明で用いる紫外線硬化型インクジェット用組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
《記録物の製造方法》
次に、本発明の紫外線硬化型インクジェット用組成物を用いた記録物の製造方法について説明する。
図1は、記録物の製造に用いる液滴吐出装置を示す斜視図である。
本実施形態の記録物の製造方法は、上述したような紫外線硬化型インクジェット用組成物を、インクジェット方式により記録媒体に付与する組成物付与工程(1a)と、紫外線を照射することにより、前記重合性化合物を重合させ、パターンを形成する重合工程(1b)とを有する。
以下、各工程について
<組成物付与工程>
まず、金属粒子と、重合性化合物とを含む紫外線硬化型インクジェット用組成物2を、インクジェット方式により記録媒体11に付与する(1a)。
インクジェット法の方式(液滴吐出方式)としては、例えば、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット用組成物2の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
以下の説明では、紫外線硬化型インクジェット用組成物の吐出は、図1に示すような液滴吐出装置を用いて行うものとして説明する。
図1に示すように、本工程で用いる液滴吐出装置100は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を保持するタンク101と、チューブ110と、チューブ110を介してタンク101から紫外線硬化型インクジェット用組成物2が供給される吐出走査部102とを備える。吐出走査部102は、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)をキャリッジに搭載してなる液滴吐出手段103と、液滴吐出手段103の位置を制御する第1位置制御装置104(移動手段)と、記録媒体(基材)11を保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108(移動手段)と、制御手段112とを備えている。タンク101と、液滴吐出手段103における複数の液滴吐出ヘッドとは、チューブ110で連結されており、タンク101から複数の液滴吐出ヘッドのそれぞれに紫外線硬化型インクジェット用組成物2が圧縮空気によって供給される。
第1位置制御装置104は、制御手段112からの信号に応じて、液滴吐出手段103をX軸方向、およびX軸方向に直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで液滴吐出手段103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御手段112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。さらに、第2位置制御装置108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有する。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を付与すべき記録媒体11をその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
上述のように、液滴吐出手段103は、第1位置制御装置104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、第2位置制御装置108によってY軸方向に移動させられる。つまり、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対する液滴吐出ヘッドの相対位置が変わる(ステージ106に保持された記録媒体11と、液滴吐出手段103とが相対的に移動する)。
制御手段112は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。
上記のような液滴吐出装置100を用いて、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を記録媒体11に付与する。上記のような装置を用いることにより、記録媒体11の所望の部位に、効率よくかつ選択的に紫外線硬化型インクジェット用組成物2を付与することができる。なお、図示の構成では、液滴吐出装置100は、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を保持するタンク101、チューブ110等を1色分しか有していないが、これらの部材を、複数種の紫外線硬化型インクジェット用組成物2の分だけ有するものであってもよい。また、記録物の製造においては、複数種の紫外線硬化型インクジェット用組成物2に対応する複数の液滴吐出装置100を用いてもよい。
なお、本発明では、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として、ピエゾ素子を用いるものであっても、静電アクチュエータを用いるものであってもよい。また、液滴吐出ヘッドは、駆動素子として電気熱変換素子を用い、この電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して紫外線硬化型インクジェット用組成物を吐出する構成であってもよい。
紫外線硬化型インクジェット用組成物については、後に詳述する。
<重合工程>
その後、紫外線を照射することにより、記録媒体11に付与された紫外線硬化型インクジェット用組成物2を構成する重合性化合物を硬化させ、パターンを得る(1b)。これにより、光沢感に優れたパターンを有する記録物が得られる。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
なお、本工程は、磁力を作用させつつ行ってもよい。これにより、前記配列工程で配列させた粉末の配列状態を乱すことなく、紫外線硬化型インクジェット用組成物2を硬化させることができ、より確実に記録物の光沢感を特に優れたものとすることができる。
《記録物》
次に、記録物について説明する。
記録物は、上述したような方法を用いて製造されたものである。このような記録物は、光沢感、伸縮性に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
上述したように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット用組成物は記録媒体に対する密着性に優れるものであるため、記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻等を用いることができる。
記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[1]インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を順次形成した。次に、Al膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、Alで構成された鱗片状の金属粒子が得られた。金属粒子の50%平均粒子径は0.5μmであった。また、金属粒子の平均厚さは、10nmであった。
その後、得られた金属粒子を、第1の重合性化合物としてのフェノキシエチルアクリレート(硬化物のガラス転移点:−22℃)、第2の重合性化合物としてのジシクロペンテニルアクリレート(硬化物のガラス転移点:120℃)、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(ACETO社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、レベリング剤としてのUV−3500(ビックケミー社製)、および、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノールと混合することにより、インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を得た。
(実施例2〜12)
インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる原料の種類・比率、および、金属粒子の製造条件を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
(比較例1〜5)
インクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の調製に用いる原料の種類・比率、および、金属粒子の製造条件を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を製造した。
前記各実施例および各比較例について、インクジェット用組成物の組成を、表1にまとめて示した。なお、表中、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、ジシクロペンテニルアクリレートを「DCPA」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」(硬化物のガラス転移点:−40℃)、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレートを「TMPTA」(硬化物のガラス転移点:123℃)、イソボルニルアクリレートを「IBX」(硬化物のガラス転移点:97℃)、ポリエチレングリコール(n=9)ジアクリレートを「PEGDA」(硬化物のガラス転移点:−20℃)、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、p−メトキシフェノールを「pMP」、カラー顔料 ピグメントブルー15:3を「PB15:3」で示した。また、各インクジェット用組成物中に含まれるそれぞれ任意の10個の金属粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)を求め、これらの平均値を、表1にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。
Figure 2017088888
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記実施例のインクジェット用組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各色のインクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、120時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、3000000発(3000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記120時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された3000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.09μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.09μm以上0.15μm未満。
C:ズレ量dの平均値が0.15μm以上0.24μm未満。
D:ズレ量dの平均値が0.24μm以上0.30μm未満。
E:ズレ量dの平均値が0.30μm以上。
[3]インクジェット用組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および各比較例のインクジェット用組成物について、40℃の環境下に、20日間放置した後、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:粉末の凝集・沈降が全く認められない。
B:粉末の凝集・沈降がほとんど認められない。
C:粉末の凝集・沈降がわずかに認められる。
D:粉末の凝集・沈降がはっきりと認められる。
E:粉末の凝集・沈降が顕著に認められる。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2017088888
[4]記録物の製造
各実施例について製造直後のインクジェット用組成物(紫外線硬化型インクジェット用組成物)を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、製造直後のインクジェット用組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する記録媒体上に、所定のパターンで、インクジェット用組成物を吐出した(組成物付与工程)。
その後、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線を、照射強度180mW/cm2で20秒間照射し、記録媒体上のインクジェット用組成物を硬化させ、パターンを形成し、記録物を得た。
上記のような方法を用いて、10個の記録物を製造した。
[5]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[5.1]記録物上のパターンのタック感
各実施例および各比較例で形成したパターンについて、タック感の有無を指触試験にて評価した。
[5.2]伸び率の評価
各実施例および各比較例で形成した記録物を所定の大きさ(このときの長さをL0とする。)にカットし、引張試験機(A&D株式会社製)にセットした。引張試験機の引張速度を100mm/分と設定し、前記記録物を引張試験機により引っ張り、前記記録物にクラックまたは剥がれ(以下、「クラック等」という。)が発生した時点を目視により確認した。引張開始時からクラック等が発生した時点までの時間から引っ張られた記録物の長さを算出し、これをL1とした。下記式(XX)からPVCフィルム上に形成された画像のクラック等発生伸度(%)を算出し、記録物の柔軟性について下記基準に従い評価した。評価基準のうち「A」が実用上許容される基準である。
画像のクラック等発生伸度(%)={(L1−L0)/L0}×100 …(XX)
A :100%以上
B :50〜100%
C :50%以下
[5.3]光沢度
各実施例および各比較例で形成した記録物について、100%引張り時のパターンの光沢度を評価した。光沢度計(コニカミノルタ社製、型式「MULTI Gloss 268」)を用いて、60°の光沢度を測定した。得られた画像の光沢度の評価基準は、以下の通りである。評価基準のうち「A」が実用上許容される基準である。
A :光沢度300以上(クリアな金属光沢)
B :光沢度250以上300未満(つや消しの金属光沢)
C :光沢度250未満(金属光沢なし)
[5.4]耐擦性
前記各実施例および比較例に係る記録物の記録面について、記録物の製造から24時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じて耐擦性試験を行い、上記[5.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物のパターン形成部についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度の低下率が5%未満。
B:光沢度の低下率が5%以上15%未満。
C:光沢度の低下率が15%以上25%未満。
D:光沢度の低下率が25%以上。
これらの結果を表2に合わせて示す。
表2から明らかなように、本発明の記録物は、優れた光沢感、伸縮性に優れたパターンを有していた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。さらに詳細を考察すると、本発明の記録物の中でも、第1の重合性化合物と第2の重合性化合物の少なくとも一方が多官能重合性化合物を含む実施例10〜12は耐擦性が一層優れ、少なくとも第2の重合性化合物が多官能重合性化合物を含む実施例10及び12はさらに耐擦性が優れていた、また、第1の重合性化合物と第2の重合性化合物の一方が多官能重合性化合物を含み他方が単官能重合性化合物を含む実施例10及び11は伸び率の点でも一層優れていた。また、金属粒子を含まない比較例5は、硬化物のガラス転移点が−40℃以上20℃以下である重合性化合物を含まないにも係らず、金属粒子を含む比較例4と比べて、伸び率が悪くなかったが、光沢が劣っていた。
11…記録媒体(基材) 2…紫外線硬化型インクジェット用組成物 100…液滴吐出装置 101…タンク 102…吐出走査部 103…液滴吐出手段 104…第1位置制御装置(移動手段) 106…ステージ 108…第2位置制御装置(移動手段) 110…チューブ 112…制御手段

Claims (8)

  1. インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット用組成物であって、 金属粒子と、紫外線の照射により重合する第1の重合性化合物および第2の重合性化合物と、を含み、
    前記第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点が、前記第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点よりも高く、
    前記第1の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg1[℃]、前記第2の重合性化合物の単独での硬化物のガラス転移点をTg2[℃]としたとき、30≦Tg2−Tg1の関係を満足することを特徴とする紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  2. 30≦Tg2−Tg1≦200の関係を満足する請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  3. 前記第1の重合性化合物のガラス転移点は、−40℃以上20℃以下である請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  4. 前記第2の重合性化合物のガラス転移点は、50℃以上300℃以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  5. 前記第1の重合性化合物の含有量は、40wt%以上60wt%以下であり、前記第2の重合性化合物の含有量は、10wt%以上30wt%以下である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  6. 前記第1の重合性化合物と前記第2の重合性化合物の一方が単官能重合性化合物を含み、他方が多官能重合性化合物を含む請求項1ないし5のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  7. 前記第1の重合性化合物が単官能重合性化合物を含み、前記第2の重合性化合物が多官能重合性化合物を含む請求項6に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
  8. 前記金属粒子が、平均厚さが10nm以上100nm以下の鱗片状金属粒子である請求項1ないし7のいずれか一項に記載の紫外線硬化型インクジェット用組成物。
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