JP2015120778A - 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ - Google Patents

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Abstract

【課題】低粘度かつ高感度の重合性モノマーを使用した際に、適切な配合量で、インクジェットヘッド部材へのアタック力が弱く、かつインキの保存安定性に優れ、更に、シングルパスタイプのプリンタにおいて、コート紙を含む多岐に渡る基材に対して安定して高品位な画像を得ることのできる活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供すること。
【解決手段】少なくとも重合性モノマー(A)と、光重合開始剤(B)と、表面調整剤(C)とを含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインキにおいて、(A)としてアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)をインキ総量に対し10%以上40%未満、N−ビニルカプロラクタム(A−2)をインキ総量に対して0.1%以上5.0%未満、かつジプロピレングリコールジアクリレート(A−3)を含有し、さらに、(C)をインキ総量に対して1.5%以上5.0%未満含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型着色インクジェットインキに関する。保存安定性に優れ、特に従来と比較し高品位の画像を得ることができ、かつインクジェットヘッドに対するアタック力が小さいインキの提供に関する。
インクジェット印刷方式とは、被印刷基材に対して、インクジェットヘッドからインキ組成物の微小液滴を飛翔、着弾させて画像や文字を印刷する印刷方式であり、版を必要としないことを特徴とする。版を必要としない印刷方式としては、電子写真方式が広く認知されているが、インクジェット印刷方式は電子写真方式に比べて装置のイニシャルコストや印刷時のランニングコスト、装置サイズ、高速印刷特性等の面で優れている。
従来インクジェット印刷に使用されるインキ組成物としては、溶剤系、水系、油系など多岐にわたっているが、プラスチックやガラスなどの非吸収性の基材にも適用できること、溶剤の揮発量を低減させ環境負荷を低減させられることから、近年は活性エネルギー線硬化型インクジェットインキの需要が増加している。特に工業用インクジェット印刷においては、上記に加え印刷物の耐水性、インキの乾燥エネルギー、インキの乾燥によるヘッドへのインキ成分の付着などの点から、溶剤系や水系から活性エネルギー線硬化型のインクジェットインキへの置き換えが期待されている。
また近年、インクジェットヘッドの性能向上に伴い、オフセット印刷等による既存印刷市場への応用が期待されている。既存印刷市場においては生産性が非常に肝要であるが、サイン市場で用いられているマルチパス印刷方式では、所望の生産性を実現することが困難であった。そのため、既存印刷市場に用いられるインクジェット印刷方式は、マルチパス印刷方式で得られない生産性を実現するため、高速印刷が可能なシングルパス印刷方式を用いることが望ましい。
更に、サイン市場で用いられている基材の多くは塩化ビニルシートであったが、既存印刷市場では各種コート紙や各種フィルムなどの多様な基材が使用されている。ところが、基材によってインキの濡れ拡がり性や基材への密着性が異なるため、多様な基材に同一のインキで対応するためには、どのような基材に対しても印刷画質をはじめとする印刷品位を一定レベル以上で確保することが重要である。生産性と多基材汎用性を同時に達成するためには、高速印刷が可能で、かつ、多くの基材で密着性が確保できる、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキが最適である。
インクジェット印刷するためのインキ粘度は、インクジェットヘッドから円滑に吐出させるために、低粘度で最適な粘度範囲に設計することが好ましい。そこで、活性エネルギー線硬化型インキを低粘度化するためには、低粘度の重合性モノマーを使用して調製する必要がある。
しかしながら、低粘度の重合性モノマーは皮膚刺激性が強いことや、インクジェットヘッドの部材を接着する接着剤へのアタック力が強くインクジェットヘッド耐性に悪影響を及ぼすことから、好適に使用できる種類や量がごく限られている。
インクジェットヘッドの部材を接着する接着剤としては、エポキシ樹脂を使用する場合が多く、特許文献1、2にも記載されている。
インクジェットヘッドの部材を接着するエポキシ樹脂へのアタック力とは、エポキシ樹脂自体を溶解させる力、あるいは、エポキシ樹脂内に浸透することでエポキシ樹脂自体を膨潤させる力、等を意味する。インクジェットヘッド部材の接着剤として用いられるエポキシ樹脂が溶解または膨潤すると、インクジェットヘッド部材に歪みが生じ、結果としてインクジェットインキがインクジェットヘッドから漏洩する。インクジェットインキが漏洩すると、インクジェットヘッドそのものや周囲の電装部材に致命的なダメージを与える危険性がある。そのため、エポキシ樹脂へのアタック力が小さい重合性モノマーを使用し、適切な配合量でインキを設計することは非常に重要である。
更に、シングルパス方式で印刷される活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは、その印刷速度の速さから活性エネルギー線に対して高感度である性能が求められる。ところが、高感度にすることは重合反応の進行を早めることを意味するため、長期で保存した際に重合反応が進んでしまう可能性を高める。すなわち、高感度化と保存安定性の両立は相反する関係にあり、非常に困難であった。
また、シングルパス方式で印刷される活性エネルギー線硬化型インクジェットインキは短時間で様々な基材に対して濡れ広がることが必要である。水系や溶剤系インクジェットインキとは異なり、特にコート紙に代表される紙基材への濡れ拡がりは、基材への浸透による拡がりではなく基材表面を滑らせて濡れ拡がらせる必要があり、非常に難易度が高かった。
基材表面に活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを十分に濡れ拡がらせるためには、動的な表面張力を低く設計する必要がある。動的表面張力を低くするためには一般的に相溶性が低い表面調整剤を添加するが、一般的に推奨される添加量では、特にコート紙などの紙基材において十分な効果を発揮できない。そこで添加量を増加させる所作が考えられるが、相溶性が低い表面調整剤が多量に配合されている場合、表面調整剤がインキ中で相分離し局在化するため、結果として印刷物にピンホール上のハジキが発生し、画像の品質が大きく低下するという問題があった。
特開2013―059865号公報 特開2013―059887号公報
本発明の目的は、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷において、極めて高品質の印刷物を得るためのインクジェットインキを提供することである。
低粘度かつ高感度の重合性モノマーを使用した際に、適切な配合量で、インクジェットヘッド部材へのアタック力が弱く、かつインキの保存安定性に優れ、更に、高速印刷可能なシングルパスタイプのプリンタにおいて、コート紙を含む多岐に渡る基材に対して安定して高品位な画像を得ることにある。
本発明は、少なくとも重合性モノマー(A)、光重合開始剤(B)、表面調整剤(C)を含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインキにおいて、前記重合性モノマー(A)として少なくともアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)をインキ総量に対し10重量%以上40重量%未満含有し、かつ、N−ビニルカプロラクタム(A−2)をインキ総量に対して0.1重量%以上5.0%重量未満含有し、かつ、ジプロピレングリコールジアクリレート(A−3)を含有し、表面調整剤(C)をインキ総量に対して1.5重量%以上5%重量未満含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関するものである。
更に本発明は、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)がインキ総量に対して25重量%以上40重量%未満含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
更に本発明は、表面調整剤(C)が2種類以上からなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットに関する。
更に本発明は、表面調整剤(C)が、ポリエーテル変性シリコーン系の表面調整剤であることを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
更に本発明は、シングルパスインクジェット印刷用である、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキに関する。
本発明により、高速印刷に適した低粘度であるにも関わらず、エポキシ樹脂へのアタック力を抑制し、かつ保存安定性に優れ、かつ多様な基材に対して安定して良好な濡れ拡がりを示す、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することができた。
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ(本発明において、単に「インキ」ともいう)について詳細に説明する。なお、以下、特にことわりのない限り、「部」「%」は、「重量部」「重量%」をあらわす。
<重合性モノマー(A)>
本発明の実施態様は、インキ組成物に対し、重合性モノマー(A)として、少なくとも、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)、N−ビニルカプロラクタム(A−2)、ジプロピレングリコールジアクリレート(A−3)を含有する。
本発明で使用する重合性モノマー(A−1)である、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルは、例えば、日本触媒社製の「VEEA」、「VEEA−AI」としてとして市販されている。
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルは、粘度が低く反応性が高い重合性モノマーであるため、低粘度で高感度のインキを作製する材料として優れている。しかしながら、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルは、エポキシ樹脂へのアタック力がやや強いため、インキ総量に対し10重量%以上40重量%未満含有するのが好ましく、25重量%以上がより好ましい。含有量が10重量%以上だとインク組成物の粘度が好適な範囲になり、かつ、アクリルモノマーとの重合反応性が向上することで、印刷速度が早い場合でも吐出が安定になり十分に硬化する。40%重量未満であれば、エポキシ樹脂へのアタック力を制御することが出来、インクジェットプリンタヘッドの損傷を軽減できる。
本発明で使用する重合性モノマー(A−2)である、N−ビニルカプロラクタムは、例えば、BASF社製の「N−ビニルカプロラクタム」、ISP社製の「V‐Cap/RC」などとして市販されている。
N−ビニルカプロラクタムは、粘度が低く反応性が高い重合性モノマーである。しかしながらN−ビニルカプロラクタムはエポキシ樹脂へのアタック力が非常に強いため、インキ総量に対し0.1重量%以上5重量%未満含有するのが好ましく、0.1重量%以上4.5重量%以下含有することがより好ましい。0.1重量%以上含有することによって、硬化後の膜の延伸性が向上し、5重量%未満にすることによって、インキの保存安定性、粘度が好適な範囲となる。0.1重量%以上5%重量未満に調整することにより、上記に加え、エポキシ樹脂へのアタック力、基材への濡れ性も調整することが出来る。
本発明で使用する重合性モノマー(A−3)である、ジプロピレングリコールジアクリレートは、例えば、BASF社の「Laromer DPGDA」、Cognis社の「Photomer 4226」などとして市販されている。
ジプロピレングリコールジアクリレートは、反応性が高く、かつ、エポキシ樹脂へのアタック力がほとんどない重合性モノマーである。また、シリコーン系の表面調整剤との相溶性が高いため、重合性モノマーと表面調整剤の相溶性が低いことに由来して印刷物に発現する、ピンホール様のハジキを抑制する効果がある。配合量としては、エポキシ樹脂アタック性と、後述する表面調整剤(C)の相溶性を阻害しない限り限定されない。例えば、ハジキ抑制のためには、インキ総量に対し5重量%以上90重量%未満含有するのが好ましく、10重量%以上80重量%未満含有するのがより好ましく、20重量%以上70重量%未満含有するのが特に好ましい。
重合性モノマーとして(A−1)、(A−2)、(A−3)を適切な配合量で使用した際、高速印刷が可能な低粘度インキを作成することができ、さらに、トレードオフの関係であったインキの保存安定性と活性エネルギー線への高感度性およびインクジェットヘッド部材へのアタック力をバランスよく調整することができる。
重合性モノマーとして(A−1)、(A−2)を使用し(A−3)を使用しない場合、インキ粘度が低くなりすぎるため吐出精度が低下する。更にインキ総量に対するアクリル基が不足するため反応性が低くなる。
重合性モノマーとして(A−1)、(A−3)を使用し(A−2)を使用しない場合、印刷物の延伸性が低下するため、印刷画像の耐性が劣化する。具体的には、印刷画像にひび割れ等の損傷が生じやすくなる。
重合性モノマーとして(A−2)、(A−3)を使用し(A−1)を使用しない場合、インキ粘度が高くなるため吐出精度が低下する。インキ粘度を下げるために(A−2)、(A−3)のうち(A−2)を多量に使用すると、エポキシ樹脂へのアタック力増大、インキの保存安定性劣化、反応性低下といった不具合が生じる。
(A−1)、(A−2)、(A−3)以外の重合性モノマー(A)(以下、「その他の重合性モノマー(A)」という。)としては、従来既知の材料を必要に応じて使用することができる。硬化性の観点から、アクリル基またはメタクリル基を重合性反応基として含有した重合性モノマーを使用することが好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタアクリレートのうち少なくともいずれかを意味する。
その他の重合性モノマー(A)の具体例としては、単官能モノマーとしてベンジル(メタ)アクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、β−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等を挙げることができる。
また多官能モノマーとしては、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、(エトキシ(またはプロポキシ)化)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(またはテトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(またはテトラ)(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(またはテトラ)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを挙げることができる。以上の材料は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
その他の重合性モノマー(A)を配合する場合、インキの粘度、保存安定性を損なうことが無ければ任意の量で使用することが出来る。
印字物に対し耐性を付与するため、インク組成物にはオリゴマー、プレポリマーも使用することができる。
<光重合開始剤(B)>
本発明において紫外線等の活性エネルギー線を用いてインキを硬化させる場合には、光重合開始剤を配合する。本発明で用いることができる光重合開始剤(B)としては公知の光重合開始剤を使用することができ、分子開裂型や水素引き抜き型でラジカルを発生させる光重合開始剤を使用することが好ましい。本発明に用いることができる光重合開始剤(B)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカルを発生させる光重合開始剤とカチオンを発生させる光重合開始剤とを併用してもよい。
光重合開始剤(B)の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタノン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−、2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−、1−(O−アセチルオキシム)、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィドなどを挙げることができる。中でも、硬化性、保存安定性の点から、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1が好ましく用いられる。
また上記光重合開始剤(B)に対し、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、および4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの、重合性モノマーと付加反応を起こさないアミン類等を併用することもできる。中でも、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが特に好ましく用いられる。上記光重合開始剤や増感剤は、インキ組成物中での溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
上記光重合開始剤(B)は、重合性モノマー(A)に対し、2〜20重量%含有することが好ましい。さらには、5〜15重量%であることがより好ましい。2重量%以上であると硬化性が良好で、20重量%以下だと、効率的に硬化速度を早くすることができ、低温度においても光重合開始剤の未溶解成分が発生せず、インクジェット吐出性が良好である。
<表面調整剤(C)>
本発明で配合される表面調整剤(C)とは、添加により表面張力を低下させる物質を示す。その低下能は、インキの媒体により変化するのが一般的である。例えば水であれば、アセチレンジオールなどの添加剤タイプや、イソプロピルアルコールなどの溶剤タイプが挙げられる。本発明では、インキの主たる構成を重合性モノマーとするため、表面調整剤(C)は、シリコーン系の表面調整剤や、疎水性モノマー、疎水性有機溶剤が該当する。また、実際にインキに使用する重合性モノマーにより効果が異なるため、本発明における表面調整剤(C)とは、表面調整剤を配合していないインキに対し、表面調整剤を1.0重量%添加した時に、インキの静的表面張力を3mN/m以上低下させる能力を有する材料を示す。
表面調整剤(C)は、インキ総量に対して1.5重量%以上5.0重量%未満含有することが好ましく、1.8重量%以上3.0重量%以下含有することがさらに好ましい。1.5重量%以上含有することにより、インキの基材への濡れ性が向上し、5.0重量%未満含有することで、インキの保存安定性を確保することが出来る。また、重合性モノマー(A−1)(A−2)(A−3)を適切な配合量で調整した場合、前記(C)の配合量においては、インキ中の相分離を抑制し、インキの経時後も印刷物のハジキの発生を軽減することが出来、特にコート層を有する紙基材(コート紙)への印刷画質の向上(濡れ性)に効果的である。
表面調整剤(C)として、表面張力低下能、重合性モノマーとの相溶性との観点から、シリコーン系表面調製剤を使用することが好ましい。
具体的なシリコーン系表面調整剤として、ジメチルシロキサン骨格の変性体が挙げられ、中でも、ポリエーテル変性シロキサン系表面調整剤が好ましい。ポリエーテルとは例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドをいう。一般的な製品として、ビックケミー社より代表品としてBYK(登録商標)−378、348、349、などのポリエーテル変性シロキサン、BYK―UV3500、UV3510などのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、エボニックデグサ社より、TEGO(登録商標) GLIDE 450、440、435、432、410、406、130、110、100などのポリエーテル変性シロキサンコポリマー等のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を好ましく使用できる。これらの中でも、良好な画質形成の観点から、BYK−378、348、TEGO GLIDE 450、440、432、410等のポリエーテル変性シリコーン系表面調整剤が、好ましい。
また、これらシリコーン系表面調整剤は、表面調整剤を配合していないインキに対し表面調整剤を1.0重量%添加した時に、インキの静的表面張力を3mN/m以上低下させることが確認できたシリコーン形表面調整剤である。各種基材に対応するために、より好ましくはインキの静的表面張力を4mN/m以上下げるシリコーン系表面調整剤を好適に用いることができる。
なお、静的表面張力の測定は、協和界面科学社製 自動表面張力計CBVP−Zを用いて、25℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの静的表面張力を確認することにより測定することができる。
これらシリコーン系の表面調整剤は、用途や目的に応じて単独または併用して用いることが可能であるが、相溶性の点から、2種類以上のシリコーン系表面調整剤を併用することが好ましい。2種類以上のシリコーン系表面調整剤を併用した場合、インキを経時促進させた場合の画質低下を防ぐことができる。
2種以上のシリコーン系表面調整剤を併用する場合、シロキサン骨格の変性部の構造が異なるものを併用することが好ましく、例えば、ポリエーテル変性部分のポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの量比が異なるものが好ましい。
シリコーン系表面調整剤(C)の量は、インキ総量に対して1.5重量%以上5.0重量%未満含有することが好ましい。この量は、従来の常識(通常、インキに不揮発成分として0.01〜0.5重量%)に対し多く配合されるため、経時で印字効果が変化する場合がある。これは、シリコーン系の表面調整剤は、通常相溶性が悪く、一般的に使用する量(例えば、市販されているシリコーン系表面調整剤の推奨添加量は、インキに不揮発成分として0.01〜0.5重量%である。)よりも多量に添加すると、重合性モノマーとシリコーン系表面調整剤とが相分離を起こすからと考えられる。
また、相分離の面から、使用するシリコーン系表面調整剤は、ポリエーテル変性の添加剤を1種類以上用いることが好ましい。
ポリエーテル変性のシリコーン系表面調整剤は、インキの粘度、吐出性の点から、重量平均分子量が、10,000以下が好ましく、更には、8,000以下が好ましい。
重合性モノマー(A−1)(A−2)(A−3)、表面調整剤(C)の適切な配合により、低粘度であるにも関わらずエポキシ樹脂へのアタック力を抑制し、かつ保存安定性に優れ、かつ多様な基材に対して安定して良好な濡れ拡がりを示す、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキを提供することができる。
<着色剤>
本発明には、着色剤として顔料や染料を用いることができる。特に耐光性や耐溶剤性に優れる点から、顔料を分散して用いることが好ましい。顔料としては一般的に印刷用途、塗料用途のインク組成物に使用される顔料を用いることができ、発色性、耐光性などの必要用途に応じて選択することができる。顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色の顔料、または有彩色の有機顔料が使用できる。
例えば、マゼンタの顔料として、C.I.Pigment Violet19、C.I.Pigment Red122、176、185、202、269、
イエローの顔料として、C.I.Pigment Yellow120、139、150、151、155、180、185、
シアンの顔料として、C.I.Pigment Blue15:3、15:4、
グリーンの顔料として、C.I.Pigment Green7、36、
オレンジの顔料として、C.I.Pigment Orange43、64、
バイオレットの顔料として、C.I.Pigment Violet23、
ブラックの顔料として、C.I.Pigment Black7等は、耐光性に優れるため、好適に用いることができる。
本発明では上述した顔料に限定されるものではなく、その他の顔料を使用したオレンジ、グリーン、バイオレット以外の特色および調色インキや、ホワイトインキや、顔料を含まないクリアインキを組み合わせたインキセットとして使用することができる。
顔料の含有量としては、インキ組成中0.1〜20重量%の範囲が、印刷物の色濃度や耐光性の点で好ましい。
<顔料分散剤>
顔料の分散性およびインキ組成物の保存安定性を向上させるために顔料分散剤を含有するのが好ましい。顔料分散剤としては、従来既知のものが使用できる。中でも、塩基性分散剤、さらには、ウレタン骨格をもつ樹脂型分散剤は、高周波数特性に優れ、かつ保存安定性良好な顔料分散体が得られるため好ましい。具体的には、ルーブリゾール社製ソルスパース32000、76400、76500、J100、J180およびDisperbyk−161、162、163、164、165、166、167、168等の樹脂型分散剤が挙げられる。
分散剤の添加量は、所望の安定性を確保する上で任意に選択される。インキの流動特性に優れるのは、顔料に対し分散樹脂が25〜150重量%の場合である。この範囲内ではインキの分散安定性が良好となり、長期経時後も初期と同等の品質を示すため、好適に用いることができる。さらに顔料に対し分散樹脂が40〜100重量%の場合、分散が非常に安定となり、かつ20kHz以上の高周波数領域でも安定した吐出性を示すため高精度・高生産性を実現することができることからより好ましい。
<添加剤>
本発明のインクジェットインキには、前記重合性モノマー、光重合開始剤、表面調整剤、顔料、顔料分散剤の他に、添加剤を含んでも良い。例えば、重合禁止剤、有機溶剤、消泡剤、酸化防止剤などが挙げられる。
<重合禁止剤>
インキの経時での粘度安定性、経時後の吐出安定性、インクジェット記録装置内での粘度安定性を高めるため、禁止剤を使用することができる。禁止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物が特に好適に使用される。具体的には、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩などが挙げられる。硬化性を維持しつつ経時安定性を高める点から、インキ組成物全体に対して0.01〜2重量%の割合で配合することが好ましい。
<溶剤>
低粘度化および基材への濡れ性を向上させるために、有機溶剤を含有させてもよい。有機溶剤としては、グリコールモノアセテート化合物、グリコールジアセテート化合物、グリコール化合物、グリコールエーテル化合物、乳酸エステル化合物等、インクジェットインキに使用される有機溶剤をいずれも使用することが出来る。
<インキの製造方法>
インキ組成物は、あらかじめ重合性モノマー、顔料分散剤、顔料、添加剤等をサンドミル等の通常の分散機を用いてよく分散し、顔料を高濃度に含有する顔料分散体を作製した後、重合性モノマー、開始剤、添加剤を添加して作製されることが好ましい。この方法により、通常の分散機による分散においても充分な分散が可能であり、また過剰な分散エネルギーがかからず、多大な分散時間を必要としない。そのため、顔料分散時の変質を引き起こしにくく、安定性に優れたインキを製造することができる。
顔料を分散機で分散させる場合、微小ビーズを使用することが好ましい。具体的には0.1mm〜2mmの微小ビーズを用いることが、低粘度で保存安定性が良好な顔料分散体を得ることができるため好ましい。さらには、0.1mm〜1mmの微小ビーズを用いることが、顔料分散体の生産性とインクジェット吐出性が良好なインキを得るために好ましい。
顔料分散体および/またはインキは、孔径3μm以下、好ましくは孔径1μm以下のフィルターにて濾過することが好ましい。前記フィルターで濾過することにより、吐出性良好なインキを得ることが出来る。
インキ組成物は、25℃での粘度が8〜20mPa・sであることが好ましい。8mPa・s以上では、吐出が良好であり、吐出速度が速い場合でも着弾精度が高まる。20mPa・s以下だと、吐出精度が低下することがなく、着弾不良により発生する画質の低下が少ない。さらに高周波数適性を持たせるためには8〜15mPa・sが好ましい。
<シングルパスインクジェット印刷法>
本発明は、少なくとも2個以上インクジェットヘッドで一回印字を行った後、それらを同時に硬化させるシングルパスインクジェット印刷法に好適に用いることができる。
シングルパスインクジェット印刷法は、シングルパスで印字、硬化が完了できるため、印刷スピードが要求される業務用印刷に向いている。近年、従来のオフセット印刷の代替としてインクジェット印刷を使用するにあたり、生産性は非常に重要な要素であり、シングルパスインクジェット印刷は期待されている。
(解像度と印字速度)
通常シングルパス方式のピエゾ駆動インクジェット印刷の画質は、dpiであらわされる解像度と1ドット内の階調数またはドロップボリュームにより決定する。このうち、これも一般的には印刷画像の印字方向(印字基材の流れ)に対し水平の解像度はヘッド内のインキが射出されるノズルの集積密度により決定する。一方、印字方向の解像度は一般的に周波数と呼ばれるピエゾの駆動により打ち出されるインキの頻度により決定する。この印字方向の解像度は、各社ヘッドの仕様によって異なるが、1ドットをひとつのドロップボリュームであらわすバイナリー仕様と複数の液滴から形成される階調仕様の2種類存在する。既存印刷市場を代替するためには、品質と生産性の両立が不可欠であるが、バイナリーモードでは、印字速度は速いが高精細な画像が得られず、階調モードでは、高画質化は容易であるが、極めて印刷速度が低下し、生産性が悪化する。近年、このトレードオフを解消可能な、階調モードで高周波印字が可能なヘッドが上市され始め、既存印刷市場の席捲が目論まれる。特に、既存印刷と同程度の画質を求めた場合、最小のドロップボリュームをできるだけ小さく制御されることが好ましく、最小ドロップボリュームは10pL程度以下であることが必須である。さらに高品質画像を求めるには、好ましくは6pL以下の液滴を用いながら画像を形成する必要がある。
一方、紫外線硬化型のインクジェットインキの大きな問題として、ヘッド駆動の100%で印字するベタ印刷では問題ないが、一般画像を高画質に得るために10pL以下のドロップボリュームを用いて印字した場合、高画質化は成されるが、ベタ印刷と比較し、単位面積当たりのインキの盛り量は低いにもかかわらず、硬化不良が起こることが分かった。これは、小さい液滴は、表面積が大きいため、硬化時に酸素阻害を受けやすくなり、開始剤やモノマーのラジカルがトラップされ、反応阻害を引き起こすことに起因する。
つまり、既存印刷を代替するための高画質と高生産性を両立させるためには、印字モードとして360x360dpi以上の解像度、さらに用途によっては、600x600dpi以上が好適に使用される。また、そこで使用される階調は6pL以下のドロップボリュームを含有することで、画質を格段に改良することができるため好ましい。
具体的なヘッドとして、実施例記載の京セラ社ヘッドや、Xaar社のヘッドを用いた印刷方式を挙げることができるが、高解像度をえるために10pL以下のドロップボリュームで印字できるヘッドを用いることが好ましいが、特に限定しない。
また印刷速度は、そのヘッドの周波数に依存するが、ラベル用途の場合、一般的に35〜40m/分で印刷されていることから、40m/分以上の印刷速度で印刷されていることが好ましい。50m/分以上の印刷速度であればより好ましい。ドロップボリュームを小さく、かつ高周波数で印字できることはヘッドのノウハウであり、それに追随することができる流動特性を得ることはインキのノウハウである。
高画質化のための高解像度化および低液適化を実現するために、インキの低粘度化、インキ着弾後の濡れ拡がり性を向上させる必要がある。本発明では、高画質、高印刷速度を安定して実現することを目的とし、この実現のために、重合性モノマー(A)、光重合開始剤(B)、表面調整剤(C)を適宜選択し、好適な範囲に調製することによって、これまでトレードオフであった硬化性と保存安定性を両立した、高画質化に適したインクの提供が可能となった。
インキの硬化方法として、一般的にはヘッドとヘッドの間で活性エネルギー線を照射し印刷基材上に射出されたインキを都度固定するタイプ(ピンキュアタイプ)と、インキを都度固定せずに同時に硬化させるタイプ(ピンキュアレスタイプ)が存在する。ピンキュアタイプは、例えば4色印刷には最低4つのランプが必要となり、装置コストが高くなる上、装置が大型化するため用途が限定されるケースが多く、普及しにくい。本発明は、ピンキュアタイプだけでなく、特にピンキュアレスタイプのプリンタでも高画質な印刷物を得ることができることが特徴である。
インキを硬化させる活性エネルギー線として、電子線、紫外線、赤外線などの被照射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応を誘発させるエネルギー線であれば、これに限定しない。本発明では、紫外線が好ましく用いられる。
紫外線の光源としては、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、LED、および太陽光を使用することができる。利便性や価格などの面から、発光極大波長が300nm〜400nmの、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LED等を使用することが好ましい。
上記シングルパスインクジェット印刷法に使用されるインキに求められる性能としては、その印刷速度の速さから、高周波での吐出安定性、活性エネルギー線に対する高感度性、ヘッド部材の安定性、基材への着弾直後の濡れ拡がり性等が求められる。
本発明では、これまでトレードオフであった、吐出安定性、高感度性、ヘッド部材への安定性を保つために、重合性モノマー(A)および光重合開始剤(B)を適宜選択し、濡れ拡がり性を調整するために表面調整剤(C)を選択し、更に、インキの安定性を保ち、経時保管後の濡れ拡がり性が損なわれないように、(A)、(B)、(C)を調整した。
<印刷基材>
印刷基材については特に限定はないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発泡スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PETなどのプラスチック基材やこれら混合または変性品、上質紙、アートコート紙、セミグロスコート紙、キャストコート紙などの紙基材、ガラス基材、ステンレス、アルミニウム蒸着紙などの金属基材などが挙げられる。これらは印刷媒体の表面が滑らかであっても、凹凸のついたものであっても良いし、透明、半透明、不透明のいずれであっても良い。また、これらの印刷媒体の2種以上を互いに張り合わせたものでも良い。更に印字面の反対側に剥離粘着層等を設けても良く、又印字後、印字面に粘着層等を設けても良い。
特に、本発明のインキは、重合性モノマー(A)と表面調整剤(C)の配合量を適宜選択することによって、基材への濡れ拡がり性が優れるため、コート紙に代表される紙基材に好ましく用いられ、特に、ラベル用途の印刷に適している。
また、インキの浸透性を制御するために、アンカーコートやコロナ処理など、紙基材表面の改質を行うことも有効である。特にコロナ処理は、一般的には紙表面を極性化することで、インキの濡れ性を向上させるため、浸透が促進されると考えられがちであるが、実際は、その表面状態だけを変えることは、インキ着弾後に紙に対して深さ方向ではなく、コート層を有する基材であればそのコート層表面だけを改質することにより、浸透を抑制することもできるため、好適に用いることができる。
以下実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の態様がこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の表中の「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
[実施例1〜27、比較例1〜10]
(顔料分散体の作製)
顔料(表1に記載)20部、顔料分散剤(ルーブリゾール社製 塩基性分散剤「ソルスパース32000」)12.5部、重合性モノマー(ジプロピレングリコールジアクリレート BASF社製「Laromer DPGDA」)67.5部を混合したのち、アイガーミルにて1時間分散し、顔料分散体A〜Gを得た。分散にはZrビーズの1mm径タイプを体積充填率75%にて実施した。
(インキの作製)
表2〜5記載の重合性モノマーと光重合開始剤の混合液をゆっくりと添加し撹拌し、その後、表面調整剤を所望の量添加した後、シェーカーにて6時間振盪しインキを作製した。得られたインキをポア径0.5ミクロンのPTFEフィルターで濾過を行い、粗大粒子を除去し、評価インキを調製した。
(表1)

(表2)

(表3)
(表4)
(表5)
表1〜5において使用した成分は以下の通りである。
DPGDA: ジプロピレングリコールジアクリレート BASF社製「Laromer DPGDA」
(A−1):アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル 日本触媒社製「VEEA−AI」
(A−2):N−ビニルカプロラクタム BASF社製「N-ビニルカプロラクタム」
(A−3):ジプロピレングリコールジアクリレート BASF社製「Laromer DPGDA」
Darocur TPO: 2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
Irgacure 369: 2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
H−BHT: 2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール 本州化学社製
BYK―378: ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン ビックケミー・ジャパン社製
BYK‐348: ポリエーテル変性シロキサン ビックケミー・ジャパン社製
TEGO GLIDE 450: ポリエーテル変性ポリシロキサンコポリマー エボニックデグサ社製
TEGO GLIDE 432: ポリエーテル変性ポリシロキサンコポリマー エボニックデグサ社製
[評価項目]
(インキの初期粘度評価)
初期粘度は、東機産業(株)製の粘度計TVE−25を使用して25℃環境下で20rpm時の粘度を測定し、評価した。○以上を良好とする。
◎:8mPa・s以上12mPa・s未満
○:12mPa・s以上15mPa・s未満
△:15mPa・s以上20mPa・s未満
×:8mPa・s未満または20mPa・s以上
(インキのエポキシ樹脂アタック性評価)
エポキシ樹脂へのアタック力は、セメダイン社のエポキシ樹脂1500をインキ10g中に浸漬させ、80℃環境下で1週間密閉保管し、エポキシ樹脂の初期重量に対する1週間後の重量変化率を以下の式で算出し、評価した。○以上を良好とする。
重量変化率(%)={(80℃1週間保管後の重量)−(初期重量)}
/(初期重量)×100
◎:重量変化率3%未満
○:重量変化率3%以上5%未満
△:重量変化率5%以上10%未満
×:重量変化率10%以上
(印刷画像評価)
調整したインキを、(株)トライテック社製One Pass JETにて印刷した。調製したインキを、シリンジにより京セラ社ヘッドに注入し、印刷速度50m/分、ヘッド温度40℃で印刷した後、ノードソン社製UVランプ(240W)により硬化を行い、出力した100%ベタ画像を評価した。評価基材は、OKトップコート+(王子製紙社製)コート紙を使用した。○以上を良好とする。
○:ベタ画像が完全に埋まる。
△:ベタ画像に数本のスジが入る。
×:ベタ画像に多数のスジが入る。
××:ベタの埋まり具合に関わらずハジキが発生する。
(インキの保存安定性評価)
保存安定性は、60℃環境下に1週間静置したインキの粘度を測定し、初期粘度に対する変化率で評価した。変化率は以下の式により算出した。○以上を良好とする。
粘度変化率(%)={(60℃1週間保管後の粘度値)−(初期粘度値)}
/(初期粘度値)×100
○:粘度変化率5%未満
△:粘度変化率5%以上、10%未満
×:粘度変化率10%以上
(インキの保存安定性試験後の印刷画像評価)
60℃環境下に1週間静置したインキを、(株)トライテック社製One Pass JETにて印刷した。調製したインキを、シリンジにより京セラ社ヘッドに注入し、印刷速度50m/分、ヘッド温度40℃で印刷した後、ノードソン社製UVランプ(240W)により硬化を行い、出力した100%ベタ画像を評価した。評価基材は、OKトップコート+(王子製紙社製)コート紙を使用した。○以上を良好とする。
○:ベタ画像が完全に埋まる。
△:ベタ画像に数本のスジが入る。
×:ベタ画像に多数のスジが入る。
××:ベタの埋まり具合に関わらずハジキが発生する。
表2〜5に示すように、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)をインキ総量に対し10%以上40%未満含有し、かつ、N−ビニルカプロラクタム(A−2)をインキ総量に対して0.1%以上5.0%未満含有し、かつ、ジプロピレングリコールジアクリレート(A−3)を含有し、かつ、表面調整剤(C)をインキ総量に対して1.5%以上5.0%未満含有する実施例1〜18では、高速ワンパス印刷に適した初期粘度かつ保存安定性を有し、エポキシ樹脂へのアタック性を低減し、コート紙上でスジやハジキの無い良好な印刷画像を得ることが出来ることがわかった。
上記表2〜5より、重合性モノマー(A‐1)、(A‐2)が所定範囲内で、かつ、重合性モノマー(A−3)を含有し、かつ、表面調整剤(C)が所定範囲内である場合(実施例)、インキの初期粘度、エポキシ樹脂アタック性、保存安定性、及び良好な印刷画像が得られると分かった。
例えば、重合性モノマー(A‐1)、(A‐2)が所定範囲外である場合(比較例1〜5)、所定範囲内の場合と比べて、エポキシ樹脂アタック性、インキの保存安定性が劣る。表面調整剤(C)が、インキ総量に対して1.5%未満である場合(比較例6〜8)、コート紙上での画像にスジが入り良好な画像が得られなかった。表面調整剤(C)が、インキ総量に対して5.0%以上である場合(比較例9、10)、特にインキ経時保管後の印刷画像評価において、ハジキが発生し、良好な画像を得ることが出来なかった。


Claims (5)

  1. 少なくとも重合性モノマー(A)と、光重合開始剤(B)と、表面調整剤(C)とを含む活性エネルギー線硬化型インクジェットインキにおいて、前記重合性モノマー(A)として少なくともアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)をインキ総量に対し10重量%以上40重量%未満、N−ビニルカプロラクタム(A−2)をインキ総量に対して0.1重量%以上5.0重量%未満、かつ、ジプロピレングリコールジアクリレート(A−3)を含有し、さらに、表面調整剤(C)をインキ総量に対して1.5重量%以上5.0重量%未満含有することを特徴とする、活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  2. アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(A−1)がインキ総量に対して25%以上40%未満含有することを特徴とする、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  3. 前記表面調整剤(C)が、2種類以上からなることを特徴とする、請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  4. 前記表面調整剤(C)が、ポリエーテル変性シリコーン系の表面調整剤であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。
  5. シングルパスインクジェット印刷用である、請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインキ。

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