JP7250235B2 - 金属成形体および金属成形体の粗面化方法 - Google Patents

金属成形体および金属成形体の粗面化方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔構造部分を有する金属成形体と、前記金属成形体の製造方法に関する。
背景技術
金属成形体の表面に連続波レーザー光線を連続照射して粗面化して多孔構造にした後、接着剤層を介して樹脂成形体や他の金属成形体と接合して複合成形体を製造する発明が知られている(特許第5959689号公報(特許文献1)、特許第5860190号公報(特許文献2)参照)。前記接着剤層は、金属成形体の粗面化された多孔構造部分に入り込んだ接着剤により形成されているものであり、孔構造が複雑であるほど接着剤層による接合効果が高く、同じ孔構造であれば孔深さが深いほど接着剤層による接合強度が高いと考えられる。特許第5774246号公報には、金属成形体の表面に連続波レーザー光線を連続照射する金属成形体の粗面化方法の発明が開示されている。
発明の概要
本発明は、金属成形体が有する多孔構造部の孔深さの平均最大高低差を従来技術のものよりも浅くして、かつ孔深さ(孔深さの最大高低差)のばらつきを小さくすることで、前記金属成形体と樹脂成形体などの他の成形体との複合成形体にしたときに高い接合強度と耐久性を得ることができる、多孔構造部分を有する金属成形体とその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、表層部に形成された多孔構造部を有している金属成形体であり、
前記多孔構造部が、下記の方法により測定された孔深さの最大高低差の平均が30μm~200μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±40%の範囲内にあるものである、金属成形体を提供する。
(平均最大高低差の測定方法)
前記金属成形体の多孔構造部のうちの20mm×20mmの面積領域(20mm×20mm未満の場合は全面積領域)について、長さ500μm範囲を最大で10箇所ランダムに選択し、前記最大で10箇所の長さ500μmの範囲内の多孔構造物の孔の最大高低差をSEMの断面写真から計測し、前記最大高低差の平均値を求める。
また本発明は、前記金属成形体の製造方法であって、
連続波レーザーを使用し、前記金属成形体の表面に対して2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射して表層部に多孔構造部を形成させるとき、下記の(a)~(d)の要件を満たすようにレーザー光を連続照射する工程を有している、金属成形体の製造方法を提供する。
(a)出力が4W~250W
(b)スポット径が20μm~80μm
(c)エネルギー密度が1MW/cm2~100MW/cm2
(d)繰り返し回数が1回~10回
本発明の金属成形体は、金属成形体に形成された多孔構造部の孔深さの最大高低差のばらつきを小さくすることで、他の成形体との複合成形体としたときの接合強度を高めることができ、さらに耐水性と耐湿性を含む前記接合強度の耐久性を高めることができる。
本発明の粗面化された金属成形体の平面図。 図1のII-II間の断面の多孔構造を示す概念図。 実施例および比較例においてレーザー光照射したアルミニウム板の平面図。 参考例1~3、参考比較例1で得た複合体の接合強度の測定方法を説明するための図。 実施例1で粗面化して多孔構造部を形成したアルミニウム板(接着剤層を介して一体化された2枚のアルミニウム板からなる参考例1の複合体)の厚さ方向の部分断面のSEM写真。 比較例1で粗面化して多孔構造部を形成したアルミニウム板(接着剤層を介して一体化された2枚のアルミニウム板からなる参考比較例1の複合体)の厚さ方向の部分断面のSEM写真。 (a)は実施例3の接着剤層を介して一体化された2枚のアルミニウム板からなる参考例3の複合体の厚さ方向の部分断面のSEM写真であり、(b)は参考比較例1の接着剤層を介して一体化された2枚のアルミニウム板からなる複合体の厚さ方向の部分断面のSEM写真である。(a)と(b)は同一縮尺である。
発明を実施するための形態
<金属成形体>
本発明の金属成形体は、表層部に形成された多孔構造部を有しているものである。金属成形体に使用できる金属は特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜選択することができるものである。例えば、鉄、各種ステンレス、アルミニウム、亜鉛、チタン、銅、黄銅、クロムめっき鋼、マグネシウムおよびそれらを含む合金(ステンレスは除く)、タングステンカーバイド、クロミウムカーバイドなどのサーメットから選ばれるものを挙げることができ、これらの金属に対して、アルマイト処理、めっき処理などの表面処理を施したものに適用できる。
本発明の金属成形体は、骨または歯を含む生体組織と結合させるために使用するインプラントにすることもできる。インプラントとしては、人工股関節(ステム、カップ)、人工膝関節などの人工関節、骨折固定用(プレート、スクリュー)、人工歯根などを挙げることができる。本発明の金属成形体をインプラントにするときは、チタン(純チタン)、チタン合金、コバルトクロム合金、タンタルから選ばれる金属からなる金属成形体を使用する。チタン合金、コバルトクロム合金は、医療用(歯科用を含む)チタン合金、コバルトクロム合金として使用されているものである。例えば、コバルトクロム合金としては、アイクローム(株式会社アイディエス社製)、プレミアキャストハード(デンケン・ハイデンタル株式会社社製)などを使用することができる。
金属成形体の形状および大きさは、用途に応じて設定することができる。金属成形体の多孔構造部は、特許文献1、2の発明に記載されている粗面化後の表層部の断面構造と同じものであり、厚さ方向に形成された開口部を有する幹孔と、幹孔の内壁面から幹孔とは異なる方向に形成された枝孔からなる開放孔と、厚さ方向に形成された開口部を有していない内部空間を有しており、さらに前記開放孔と前記内部空間を接続するトンネル接続路と前記開放孔同士を接続するトンネル接続路を有しているものである。
本発明の金属成形体では、下記の方法により測定された金属成形体の表面からの多孔構造部の孔深さの最大高低差の平均が30~200μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±40%の範囲内にあるものである。
(平均最大高低差の測定方法)
前記金属成形体の多孔構造部のうちの20mm×20mmの面積領域(20mm×20mm未満の場合は全面積領域)について、長さ500μm範囲を最大で10箇所ランダムに選択し、前記最大で10箇所の長さ500μmの範囲内の多孔構造物の孔の最大高低差をSEMの断面写真から計測し、前記最大高低差の平均値を求める。
図1、図2により上記の平均最大高低差の測定方法を説明する。図1は、金属成形体10の表面の一部が粗面化されて多孔構造部11が形成された状態を示している。粗面化された多孔構造部11は、粗面化条件が一定であれば断面構造はほぼ同じであり、多孔構造部11の位置による違いはないと考えてよい。よって、多孔構造部11の全体から20mm×20mmの面積領域(測定面積領域)12を任意に選択し、測定面積領域についてSEM(走査型電子顕微鏡)により10箇所の断面構造写真を撮影する。
図2は多孔構造部を示したものであるが、これは測定方法を説明するためのものであり、上記した多孔構造部の具体的な形態を示すものではない。10箇所のSEM写真のそれぞれについて、図2に示すとおり長さ500μmの範囲について、最も高いピーク部分20aと最も低い部分(底部分)21の高低差(Hmax)を計測した後、10箇所のHmax平均値(平均最大高低差)を求める。最も高いピーク部分20aとその他のピーク部分20b~20dは、金属成形体10が溶融して盛り上がった状態を示している。なお、本発明における表層部の厚さは、図2における最も高いピーク部分20aから最も深い孔の底21までの距離であるから、表層部の厚さは最大高低差Hmaxと同じになる。
粗面化された面積が20mm×20mm未満の場合には、粗面化された全面積について測定する。また粗面化された面積が20mm×20mm未満で、かつ非常に狭く10箇所の測定が困難である場合には、1~9箇所の範囲で測定する。さらに粗面化された面積が非常に大きな場合であっても、粗面化条件が同一であれば多孔構造部の構造には差がないと考えられるため、任意の1箇所の20mm×20mmの面積領域(測定面積領域)について測定すればよいが、必要に応じて2~5箇所の20mm×20mmの面積領域(測定面積領域)を任意に選択して測定することもできる。
金属成形体10の多孔構造部11の平均最大高低差は30μm~200μmの範囲であり、好ましくは40μm~150μm、より好ましくは60μm~125μm、さらに好ましくは70μm~100μmの範囲である。
平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±40%の範囲内(平均最大高低差が100μmのとき、最大高低差の範囲は60μm~140μmである)にあるものであり、好ましくは±35%の範囲内にあるものであり、より好ましくは±32%の範囲内にあるものである。
本発明の金属成形体は、それ自体を研磨材、吸着材などの用途に使用することができるほか、前記金属成形体と他の成形体からなる複合成形体の製造中間体として使用することができる。前記他の成形体としては、前記金属成形体と異なる金属からなる金属成形体、樹脂成形体(熱可塑性樹脂成形体、熱硬化性樹脂成形体、電子線硬化性樹脂成形体)、ゴム成形体、エラストマー成形体から選ばれるものを使用することができる。
<金属成形体の製造方法>
本発明の金属成形体の製造方法を説明する。まず、連続波レーザーを使用し、金属成形体10の表面に対して2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射して粗面化することにより表層部に多孔構造部を形成させる。前記の連続波レーザーによるレーザー光の連続照射方法は、特許文献1、2に記載されている方法と同様に実施することができるが、以下の(a)~(d)の要件を満たすようにレーザー光を連続照射することが必要である。この工程の粗面化処理により金属成形体の表面からの多孔構造部の孔深さの最大高低差の平均が30~200μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±40%の範囲内にある多孔構造部が形成される。
要件(a)
レーザー光の出力は4W~250Wであり、好ましくは50W~250Wであり、より好ましくは100W~250Wであり、さらに好ましくは150W~220Wである。
要件(b)
レーザー光のスポット径は20μm~80μmであり、好ましくは20μm~50μmであり、より好ましくは20μm~35μmである。
要件(c)
レーザー光照射時のエネルギー密度は1MW/cm2~100MW/cm2であり、好ましくは10MW/cm2~80MW/cm2であり、より好ましくは20MW/cm2~50MW/cm2である。レーザー光照射時のエネルギー密度は、レーザー光の出力(W)と、レーザー光(スポット面積(cm2)(π・〔スポット径/2〕2)から次式:レーザー光の出力/スポット面積により求められる。要件(c)は要件(a)と要件(b)から算出されるものであり、金属成形体の粗面化状態を制御する上で要件(c)が重要になるため、要件(a)の数値範囲と要件(b)の数値範囲から計算される要件(c)の数値が上記範囲から外れる部分があるときは、上記要件(c)の数値範囲が優先するものである。
要件(d)
レーザー光照射時の繰り返し回数は1回~10回、好ましくは1回~8回、より好ましくは2回~8回である。レーザー光照射時の繰り返し回数は、レーザー光を線状に照射するとき、1本のライン(溝)を形成するために照射する合計回数である。1本のラインに繰り返し照射するときは、双方向照射と一方向照射を選択することができる。双方向放射は、1本のライン(溝)を形成するとき、ライン(溝)の第1端部から第2端部に連続波レーザー光を照射した後、第2端部から第1端部に連続波レーザー光を照射して、その後は、第1端部から第2端部、第2端部から第1端部というように繰り返し連続波レーザー光を照射する方法である。一方向照射は、第1端部から第2端部への一方向の連続波レーザー光照射を繰り返す方法である。
要件(a)~(d)を除いたレーザー光の照射条件は以下のとおりである。
連続波レーザー光の照射速度は、2,000~20,000mm/secが好ましく、5,000~20,000mm/secがより好ましく、8,000~20,000mm/secがさらに好ましい。連続波レーザー光を直線状に照射するとき、隣接する照射ライン(隣接する照射により形成された溝)同士の間隔(ライン間隔)は、0.01~0.2mmが好ましく、0.03~0.15mmがより好ましい。ライン間隔は、全てのライン間隔が同一であってもよいし、一部または全部のライン間隔が異なっていてもよい。
波長は300~1200nmが好ましく、500~1200nmがより好ましい。
焦点はずし距離は、-5~+5mmが好ましく、-1~+1mmがより好ましく、-0.5~+0.1mmがさらに好ましい。焦点はずし距離は、設定値を一定にしてレーザー照射しても良いし、焦点はずし距離を変化させながらレーザー光照射しても良い。例えば、レーザー光照射時に、焦点はずし距離を徐々に小さくしたり、周期的に大きくしたり小さくしたりしてもよい。
連続波レーザーは公知のものを使用することができ、例えば、YVO4レーザー、ファイバーレーザー(好ましくはシングルモードファイバーレーザー)、エキシマレーザー、炭酸ガスレーザー、紫外線レーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、He-Neレーザー、窒素レーザー、キレートレーザー、色素レーザーを使用することができる。これらの中でもエネルギー密度が高められることから、ファイバーレーザーが好ましく、特にシングルモードファイバーレーザーが好ましい。
実施例
実施例1、2、3、比較例1
各例2枚ずつのアルミニウム板(A5025)(縦100mm、横25mm、厚み3mm)10に対して、下記レーザー装置を使用して、図3に示す多孔構造部11となる粗面化領域(25mm×12.5mm)12に対して表1に示す条件でレーザー光を連続照射して粗面化して多孔構造部を有する金属成形体を製造した。
(レーザー装置)
発振器:IPG-Ybファイバー;YLR-300-SM(シングルモードファイバーレーザー)
ガルバノミラー SQUIREEL(ARGES社製)
集光系1:fc=80mm/fθ=163mm
集光系2:fc=80mm/fθ=100mm
参考例1~3、参考比較例1
実施例1、2、3と比較例1で製造した各例2枚のアルミニウム板10の粗面化部(多孔構造部)11を上にした状態でホットプレート上に置いて予熱した(50℃,15分間)。次に、接着剤(EP106NL,工業用一液性エポキシ接着剤,セメダイン(株)製)をアルミニウム板10の粗面化部(多孔構造部)11に塗布し、加熱硬化しない状態で第1複合体を得た。次に、各例について図4に示すように2枚のアルミニウム板10の接着剤塗布面(第1複合体の接着剤層)を合わせた状態でクリップにより固定し、140℃で1時間保持して接着剤を硬化させて第2複合体を製造した。
参考例1、2、3(実施例1、2、3の金属成形体を使用)と参考比較例1(比較例1の金属成形体を使用)の第2複合体を用い、図4に示すようにしてせん断試験を行ってせん断接合強度を評価した。せん断試験は、図4に示すとおり、ステンレス(SUS304)のスペイサー101を介して、2枚のアルミニウム板の接着物(第2複合体)を試験機のチャック100により固定して実施した。また参考例1、2、3、参考比較例1の第2複合体を、50℃の温水に浸漬させて、浸漬から7日後、30日後に図4に示すようにしてせん断試験を行ってせん断接合強度を評価した。結果を表1に示す。
(せん断試験条件)
試験機:オリエンテック社製テンシロン(UCT-1T)
引張速度:5mm/min
チャック間距離:50mm
また、せん断接合強度の測定試験後の参考例1~3(実施例1~3の金属成形体を使用)と参考比較例1(比較例1の金属成形体を使用)の第2複合体を使用し、2枚のアルミニウム10の接着面に対して垂直方向に超音波カッターで切断して、切断面のSEM写真(参考例1は図5、参考比較例1は図6、参考例3と参考比較例1の対比は図7)を撮影した。図5、図6、図7から、実施例1、3、比較例1のアルミニウム板の平均最大高低差(10箇所の平均)を計測し、その結果を表1に示す。また平均最大高低差を基準としたときの最大高低差の範囲も表1に示す。実施例2のSEM写真は省略しているが、同様に測定した。
図5、図6は、いずれも白い部分がアルミニウム板の多孔構造部を示し、その上に付着されているものが接着剤を示している。図5は200倍、図6は100倍であり、図5と図6の対比からでも孔深さの違いは明確であるが、図6を200倍にしたときは、孔深さの違いがより顕著になることが分かる。図7は、(a)が参考例3(実施例3)の切断面のSEM写真、(b)が参考比較例1(比較例1)の切断面のSEM写真であり、同一縮尺で示している。図7(a)、(b)中には、いずれも円形乃至は不定形の黒い部分が認められるが、これらはいずれも2枚のアルミニウム板の間の接着剤層に存在している気泡であり、参考例3(実施例3)(図7(a))の気泡は、参考比較例1(比較例1)(図7(b))と比べると非常に小さくなっていることが確認できた。結果を表1に示す。
Figure 0007250235000001
当業者の技術常識からは、金属成形体の多孔構造部の孔深さが大きいほど接着剤が深く入り込むため、せん断接合強度が高くなると考えられるが、参考例1~3(実施例1~3の金属成形体を使用)と参考比較例1(比較例1の金属成形体を使用)の対比から明らかなとおり、平均最大高低差の明確な違いにも拘わらず、せん断接合強度は同程度であった。
また温水浸漬試験の結果からは、参考例1~3(実施例1~3の金属成形体を使用)の第2複合体の方が参考比較例1(比較例1の金属成形体を使用)と比べてせん断接合強度の低下が小さく、実施例1~3の金属成形体を使用して複合成形体を製造することにより耐水性と耐湿性を含む耐久性が高くなることが確認された。さらに参考例1~3(実施例1~3の金属成形体)と参考比較例1(比較例1の金属成形体)における温水浸漬試験結果の差は、上記した接着剤層に残存している気泡の大きさ(一つずつの気泡の外径と気泡の合計体積)の大小が影響しているものと考えられる。なお、参考例1~3(実施例1~3の金属成形体)において、このように接着剤層中の気泡の大きさが小さくなることには、孔深さの平均最大高低差が小さく、脱気され易いことが寄与しているものと考えられる。
参考例4
実施例1と同様にしてアルミニウム板を粗面化して、多孔構造部を形成させた。次に前記アルミニウム板を接合面(多孔構造部の面)が上になるように型枠内(PFTE製)に配置し、接合面上に樹脂ペレットを加えた。その後、型枠を鉄板で挟みこみ、下記条件で圧縮して、アルミニウム板と樹脂板からなる複合成形体を得た。
樹脂ペレット:PA66樹脂(2015B,宇部興産(株)製)
温度:285℃
圧力:1MPa(予熱時)、10MPa
時間:2分間(予熱時)、3分間
成形機:東洋精機製作所製圧縮機(mini test press-10)
参考例5
実施例1と同様にしてアルミニウム板を粗面化して、多孔構造部を形成させた。シリコーンゴム(KE-880-U;信越化学株式会社製)100質量部に対して、硬化剤(C-4;信越化学株式会社製;ジターシャリーブチルパーオキサイド約20%含有)4質量部を配合して混練し、シリコーンゴム組成物を得た。シリコーンゴム組成物を前記アルミニウム板の接合面(多孔構造部の面)と接触させ、下記の硬化条件で、プレス成形にてシリコーンゴムを硬化させて、アルミニウム板とシリコーンゴム板からなる複合成形体を得た。
加熱温度:170℃
圧力:5MPa
加熱時間:10分
二次加熱温度:200℃
二次加熱時間:120分
産業上の利用可能性
本発明の金属成形体は、金属成形体と、樹脂成形体やゴム成形体などの他の成形体からなる複合成形体の製造中間体として利用することができるほか、インプラント用として利用することができる。
符号の説明
10 金属成形体
11 粗面化部(多孔構造部)
12 測定領域
20a~20d 多孔構造部のピーク部分
21 多孔構造部の孔の最深部底

Claims (8)

  1. 表層部に形成された多孔構造部を有している金属成形体であり、
    前記多孔構造部が、下記の方法により測定された孔深さの最大高低差の平均が30μm~200μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±40%の範囲内にあるものである、金属成形体。
    (平均最大高低差の測定方法)
    前記金属成形体の多孔構造部のうちの20mm×20mmの面積領域(20mm×20mm未満の場合は全面積領域)について、長さ500μm範囲を最大で10箇所ランダムに選択し、前記最大で10箇所の長さ500μmの範囲内の多孔構造物の孔の最大高低差をSEMの断面写真から計測し、前記最大高低差の平均値を求める。
  2. 前記金属成形体の多孔構造部の平均最大高低差が40μm~150μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±35%の範囲内にあるものである、請求項1記載の金属成形体。
  3. 前記金属成形体の多孔構造部の平均最大高低差が60μm~125μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±35%の範囲内にあるものである、請求項1記載の金属成形体。
  4. 前記金属成形体の多孔構造部の平均最大高低差が70μm~100μmの範囲であり、かつ前記平均最大高低差を算出する根拠となった最大高低差の範囲が、前記平均最大高低差を基準としたとき±35%の範囲内にあるものである、請求項1記載の金属成形体。
  5. 前記金属成形体と他の成形体からなる複合成形体の製造中間体であり、前記他の成形体が、前記金属成形体と異なる金属からなる金属成形体、樹脂成形体、ゴム成形体、エラストマー成形体から選ばれるものである、請求項1~4のいずれか1項記載の金属成形体。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載の金属成形体の製造方法であって、
    連続波レーザーを使用し、前記金属成形体の表面に対して2000mm/sec以上の照射速度でレーザー光を連続照射して表層部に多孔構造部を形成させるとき、下記の(a)~(d)の要件を満たすようにレーザー光を連続照射する工程を有している、金属成形体の製造方法。
    (a)出力が4W~250W
    (b)スポット径が20μm~80μm
    (c)エネルギー密度が1MW/cm2~100MW/cm2
    (d)繰り返し回数が1回~10回
  7. (a)の出力が50W~250W、(b)のスポット径が20μm~50μm、(c)のエネルギー密度が10MW/cm2~80MW/cm2、(d)の繰り返し回数が1回~8回である、請求項6記載の金属成形体の製造方法。
  8. (a)の出力が100W~250W、(b)のスポット径が20μm~35μm、(c)のエネルギー密度が20MW/cm2~50MW/cm2、(d)の繰り返し回数が2回~8回である、請求項6記載の金属成形体の製造方法。
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