JP7240859B2 - 精製ポリエーテルの製造方法、及び硬化性組成物の製造方法 - Google Patents
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反応性ケイ素基末端ポリエーテルの製造方法の好ましい一例としては、以下の方法が挙げられる(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の方法では、まず、KOH等の塩基性アルカリ金属化合物や、複合金属シアン化物錯体等を触媒として、アルキレンオキシドの開環重合を行うことによって末端に水酸基を有するポリエーテルを製造する。次いで、ポリエーテルが有する末端水酸基に、不飽和脂肪族基を導入する。
1)多量の水を使用しているため排水設備が必要となり、精製プロセスが煩雑になる問題。
2)ポリエーテルと洗浄水とを混合するために激しい撹拌を行うことによって、系が乳化状態になりやすく、撹拌後のポリエーテルと水との分離に長時間を要する問題。
3)不純物除去が不十分であり、精製を経てもヒドロシリル化反応が阻害されやすい問題。
粗製ポリエーテルと、極性溶媒と、非極性溶媒とを混合して混合液を得る、混合液調製工程と、
混合液から、極性溶媒の少なくとも一部と、非極性溶媒の少なくとも一部とを除去する溶媒除去工程と、
溶媒除去工程後に、精製ポリエーテル中に析出している、粗製ポリエーテルに由来する不純物を除去する、不純物除去工程と、
を含む方法。
[2]極性溶媒が、プロトン性極性溶媒である、[1]に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[3]極性溶媒が、アルコール系溶媒である、[1]又は[2]に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[4]アルコール系溶媒が、炭素原子数1以上3以下のアルコールである、[3]に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[5]アルコール系溶媒が、メタノールである、[3]又は[4]に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[6]非極性溶媒が、鎖式又は環式の飽和炭化水素である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[7]非極性溶媒がヘキサンである、[6]に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[8]混合液の調製に用いられる、極性溶媒の質量と、非極性溶媒の質量との比率が、極性溶媒/非極性溶媒として1/0.1~1/10である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[9]粗製ポリエーテルと、極性溶媒と、非極性溶媒との混合を、0℃以上140℃以下の温度にて行う、[1]~[8]のいずれか1つに記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[10]不純物の除去が、静置分離、遠心分離、及びろ過より選択される分離操作により行われる[1]~[9]のいずれか1つに記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[11]不純物除去工程において、不純物を除去する分離操作を1回又は複数回行う、[1]~[10]のいずれか1つに記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[12]粗製ポリエーテルが、水酸基末端ポリエーテル、不飽和基末端ポリエーテル、又は反応性ケイ素基末端ポリエーテルである、[1]~[11]のいずれか1つに記載の精製ポリエーテルの製造方法。
[13]精製ポリエーテルを含む硬化性組成物の製造方法であって、
精製ポリエーテルが、不飽和基末端ポリエーテル、又は反応性ケイ素基末端ポリエーテルであり、
[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法に従って精製ポリエーテルを製造する精製ポリエーテル製造工程と、
精製ポリエーテルを、精製ポリエーテル以外の硬化性組成物の成分と混合する混合工程と、
を含む方法。
精製ポリエーテルの製造方法は、粗製ポリエーテルを精製して精製ポリエーテルを製造する方法である。
具体的には、精製ポリエーテルの製造方法は、
粗製ポリエーテルと、極性溶媒と、非極性溶媒とを混合して混合液を得る、混合液調製工程と、
混合液から、極性溶媒の少なくとも一部と、非極性溶媒の少なくとも一部とを除去する溶媒除去工程と、
溶媒除去工程後に、精製ポリエーテル中に析出している、粗製ポリエーテルに由来する不純物を除去する、不純物除去工程と、
を含む方法である。
粗製ポリエーテルの製造方法は特に限定されない。粗製ポリエーテルは、公知の方法により製造されてよい。公知の方法としては、特許文献1に記載の製造方法が特に好ましい。
一般的な製造方法としては、例えば、複合金属シアン化物錯体を触媒として用いる重合反応が挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオキサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、及びα-メチルスチレンオキシド等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、炭素原子数1以上4以下のアルカリ金属アルコキシドが好ましく使用される。
アルカリ金属アルコキシドの好ましい具体例としては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、及びカリウムエトキシドが挙げられる。これらの中では、入手が容易であることから、ナトリウムメトキシド、及びカリウムエトキシドがより好ましく、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
アルカリ金属アルコキシドは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、1種を単独で用いるのが好ましい。
かかる方法によって得られる不飽和基末端ポリエーテルは、精製ポリエーテルを製造する際に、粗製ポリエーテルとして使用され得る。
H(R3)C=C(R2)-R1-Y
(上記式中、R1は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、及びハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1以上20以下の2価の有機基であり、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下の炭化水素基であり、Yはハロゲン原子である。)
不飽和基含有ハロゲン化物としては、入手性の点でアリルクロライド、及びメタリルクロライド(3-クロロ-2-メチル-1-プロペン)が好ましい。
不飽和基含有ハロゲン化物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、1種を単独で用いるのが好ましい。
炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテルが好ましい。
不飽和基含有ハロゲン化物の添加後に、炭素原子数1以上3以下のアルコール、及び水からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することにより、アルカリ性成分の溶解度が高まり、不飽和基含有ハロゲン化物と、アルカリ金属アルコキシド、又はアルカリ金属アルコキシド中のアルカリ性不純物との反応が促進され、消費速度を高めることが可能となる。
炭素原子数1以上3以下のアルコール、及び水からなる群より選ばれる1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせてもよく、1種を単独で用いるのが好ましい。
ただし、アルコールはこれらに限定されない。アルコールの分子内の水酸基の数は2つ以上であってもよい。アルコールは、分子内に炭素、水素、酸素以外の原子を含有していてもよい。炭素原子数4以上のアルコールを用いることもできるが、炭素原子数4以上のアルコールを用いる場合、アルカリ性成分の溶解性が不十分であり効果が限定的である。
上述の方法により得られる不飽和基末端ポリエーテル中には、不純物として、金属不純物や塩が含まれている。後述する精製工程での除去対象である不純物としては、亜鉛塩、コバルト塩、及び/又はアルカリ金属塩等の、アルカリ金属化合物又は複合金属シアン化物錯体触媒由来の化合物等が例示できる。
不飽和基末端ポリエーテルの末端に反応性ケイ素基を導入する方法としては、後述するヒドロシリル化が挙げられる。
前述の通り、精製ポリエーテルの製造方法は、
粗製ポリエーテルと、極性溶媒と、非極性溶媒とを混合して混合液を得る、混合液調製工程と、
混合液から、極性溶媒の少なくとも一部と、非極性溶媒の少なくとも一部とを除去する溶媒除去工程と、
溶媒除去工程後に、精製ポリエーテル中に析出している、粗製ポリエーテルに由来する不純物を除去する、不純物除去工程と、
を含む方法である。
以下、粗製ポリエーテルの精製に関して、上記の各工程について説明する。
混合液調製工程では、粗製ポリエーテルと、極性溶媒と、非極性溶媒とを混合して混合液を得る。
本出願の明細書、及び特許請求の範囲において、極性溶媒とは、比誘電率が10以上の溶媒である。また、非極性溶媒とは、比誘電率が10未満の溶媒である。また、プロトン性極性溶媒とは、比誘電率が10以上であって、解離性のHをもつ溶媒である。非プロトン性極性溶媒とは、比誘電率が10以上であって、解離性のHをもたない溶媒である。
アルコールの分子内の水酸基の数は2つ以上であってもよい。アルコールは、分子内に炭素、水素、酸素以外の原子を含有していてもよい。
極性溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
精製効果が良好である点と、精製に使用する装置の容積基準での使用効率が高いことから、極性溶媒の使用量は、粗製ポリエーテル100重量部に対して0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、1質量部以上30質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
精製効果が良好である点と、精製に使用する装置の容積基準での使用効率が高いことから、非極性溶媒の使用量は、粗製ポリエーテル100重量部に対して0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、1質量部以上30質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
精製効果が良好である点と、精製に使用する装置の容積基準での使用効率が高いことと、後述する溶媒除去工程での極性溶媒及び非極性溶媒の除去が容易であることとから、混合液の調製に用いられる、極性溶媒の質量と、非極性溶媒の質量との比率は、極性溶媒/非極性溶媒として1/0.1~1/10であるのが好ましく、1/0.5~1/5であるのがより好ましい。
混合液における水の含有量は、粗製ポリエーテル100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
また、混合液における水の含有量は、混合液の調製に使用される極性溶媒、及び非極性溶媒の質量の合計100質量部に対して、0.1質量部以上25質量部以下が好ましい。
混合液調製工程では、粗製ポリエーテルに対して、極性溶媒、及び非極性溶媒とともに、トリポリリン酸を加えることもできる。
しかし、特開2003-105078号公報に記載の精製方法では、トリポリリン酸を使用しているため、粗製ポリエーテルに含まれている不純物に加えて、トリポリリン酸が廃棄物として増えてしまう。このため、廃棄物量を過度に増加させない点から、混合液の調製に、トリポリリン酸を用いないのが好ましい。
溶媒除去工程では、混合液から、極性溶媒の少なくとも一部と、非極性溶媒の少なくとも一部とが除去される。このような除去を行うことによって、粗製ポリエーテルに由来する精製ポリエーテルに対して不溶な不純物の、精製ポリエーテル中での粒子径を大きくすることができる。
混合液を調製した段階で、粗製ポリエーテル中に析出している不純物は、粒子径が小さすぎて、沈降させること自体が困難であったり、ろ過用のフィルターにかからないためにろ過できなかったりする。
しかし、溶媒除去工程を経ることで粗大化した不純物の粒子は、精製ポリエーテル中で沈降させることが可能であり、また、ろ過用のフィルターでろ取することが可能である。
溶媒除去工程を経て粗大化した不純物の平均粒子径(散乱強度)は、不純物除去工程における不純物除去効率が高い点から、600nm以上が好ましく、800nm以上がより好ましく、1000nm以上が特に好ましい。
これらの方法には限定されないが、例えば、極性溶媒、非極性溶媒、及び水の使用量の調整や、極性溶媒、及び非極性溶媒の除去に要する時間等の調整によって、溶媒除去後の不純物の平均粒子径(散乱強度)を調整し得る。
粗大化した不純物の平均粒子径(散乱強度)の上限に特に制限はない。実施可能な範囲として、粗大化した不純物の平均粒子径(散乱強度)の上限は、10000nm以下であってよく、5000nm以下であってよく、3000nm以下であってもよい。
なお、不純物の平均粒子液(散乱強度)の測定方法については、実施例において後述する。
除去時の温度は、通常、極性溶媒の沸点と、非極性溶媒の沸点とを勘案して決定される。極性溶媒の沸点、又は非極性溶媒の沸点が高すぎる場合や、極性溶媒、及び非極性溶媒の除去を促進させる場合には、減圧雰囲気下で、極性溶媒、及び非極性溶媒の除去を行ってもよい。
通常、極性溶媒と、非極性溶媒とは、それぞれ、混合液の調製に用いられた量に対して、80質量%以上除去されるのが好ましく、90質量%以上除去されるのが好ましく、95質量%以上除去されるのがより好ましい。
不純物除去工程では、溶媒除去工程後に精製ポリエーテル中に析出している、粗製ポリエーテルに由来する不純物を除去する。
なお、本出願の明細書、及び特許請求の範囲において、遠心ろ過装置を用いる分離操作については、遠心分離であるとする。
ろ布等への微小な固形物の目詰まりが懸念される場合には、プレコートを行った上で、不純物を含有する精製ポリエーテルをそのまま供給することもでき、ろ過助剤を分散させた精製ポリエーテルをボディフィードで供給することもできる。
なお、極端に小さい粒子径のろ過助剤を用いると、ろ過性(ろ過処理速度)が悪くなる場合があり、逆に、極端に大きい粒子径のろ過助剤を用いると、ろ過性が良い一方で、不純物の除去効率が悪化しやすい。
以上の観点から、不純物除去工程で使用されるろ過助剤の平均粒子径(レーザー法)は、例えば、20μm以上40μm以下のように30μm程度が好ましい。
有機溶媒の使用量が過多であると、粘性低下で得られる効果以上に、タンク容量が大きくなったり、有機溶媒を蒸発回収するための設備が大きくなるために、工業的には好ましくない。
粘性低下によるろ過性の改良効果と、ろ過後の有機溶媒の回収の容易さとのバランスが良好であることから、通常、有機溶媒の使用量は、混合液の調製に使用された粗製ポリエーテルの質量100質量部に対して、10質量部以上1000質量部以下が好ましく、20質量部以上300質量部以下がより好ましい。
不純物の粒子を含む精製ポリエーテルを有機溶媒で希釈しない場合、上記の分離操作を行う際の温度条件は通常140℃以下が好ましく、安全性の観点では120℃以下がより好ましい。不純物の粒子を含む精製ポリエーテルを有機溶媒で希釈する場合、分離操作の容易さの観点で上記の分離操作を行う際の温度条件は10℃以上140℃以下が好ましく、30℃以上70℃以下がより好ましい。温度が高すぎると有機溶媒の蒸気圧により設備内が加圧状態になりやすいため、設備上の対応が必要以上に要求されてしまう。
上記のようにして製造された精製ポリエーテルが、不飽和基末端ポリエーテルである場合、当該不飽和基末端ポリエーテルの末端の不飽和基に対するヒドロシリル化反応を良好に実施することができる。
精製ポリエーテルでは、ヒドロシリル化反応の進行を阻害する不純物が低減されているためである。
不飽和基末端ポリエーテルを製造する際にヒドロシリル化を実施する方法は特に限定されず、公知のヒドロシリル化方法を用いることができる。
H-(SiR4 2-bXbO)m-Si(R3 3-a)Xa (1)
(式(1)中、R3及びR4は、互いに、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は(R’)3SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R3又はR4が、それぞれ2つ以上存在するとき、複数のR3又はR4は同一でも異なっていてもよい。R’は、炭素原子数1以上20以下の1価の炭化水素基である。3つのR’は、同一でも、異なっていてもよい。Xは、水酸基、又は加水分解性基を示す。Xが2つ以上存在する時、複数のXは同一でも、異なっていてもよい。aは、0、1、2、又は3である。bは、0、1、又は2である。m個の(SiR4 2-bXbO)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0以上19以下の整数である。但し、a及びbは、a+Σb≧1を満足する。)
とくに、一般式(2)で表される化合物が入手が容易であるので好ましい。
H-SiR1 3-cXc (2)
(式中、R1、Xは前記と同じ。cは1、2、又は3である。)
反応温度の調節、反応系の粘度の調整等の目的で、ヒドロシリル化反応を行う際に、必要に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタン等の有機溶媒を用いることができる。
不飽和基末端ポリエーテルや、反応性ケイ素末端ポリエーテルは、硬化性組成物の硬化成分として好適に使用されている。
また、上記の方法で製造される精製ポリエーテルは、不純物が良好に除去されているため清澄である。
このため、精製ポリエーテルが、不飽和基末端ポリエーテル、又は反応性ケイ素基末端ポリエーテルである場合、精製ポリエーテルを用いて硬化性組成物を製造することにより、透明性に優れる硬化性組成物を得ることができる。
上記の方法に従って、不飽和基末端ポリエーテル、又は反応性ケイ素基末端ポリエーテルを、精製ポリエーテルとして製造する精製ポリエーテル製造工程と、
精製ポリエーテルを、精製ポリエーテル以外の硬化性組成物の成分と混合する混合工程と、
を含む方法によって硬化性組成物が製造される。
ポリエーテルを分光光度計用セル(アズワン(株)製2-478-05)に移した後、ペルジャー((株)サンプラテック製PC-250K)を用いて脱泡処理を行った。脱泡処理はダイヤフラムポンプを用いて減圧し、目視で泡がなくなるまで実施した。脱泡処理されたセルを分光光度計((株)日立ハイテクサイエンス製U-1800型)を用いて、A660(660nmの吸光度)を測定した。分光光度計のゼロ点調整には、イオン交換水を使用した。
(粒度測定)
不飽和基末端ポリエーテル1gとヘキサン9gをガラス容器に入れて混合し、所定量を測定用ガラスセルに移し、粒子径分析装置(マルバーン製ゼータサイザーナノZSP)で平均粒子径(散乱強度)を測定した。
数平均分子量300のポリプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの開環重合を行い、触媒及び/又はその残渣である金属化合物を不純物として含む、数平均分子量約15000の水酸基末端ポリエーテルを得た。
合成例1で得られた水酸基末端ポリエーテルの水酸基に対して1.0倍当量のナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液を添加した。次いで、メタノールを留去した後、水酸基に対して1.8倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリルオキシ基に変換した。アリルクロライド添加後1時間後にメタノール0.5部を添加し、さらに3時間撹拌した後、アリルクロライドとメタノールを留去し、不飽和基末端ポリエーテル(a1)を得た。得られた不飽和基末端ポリエーテル(a1)中に含まれる不純物の平均粒子径(散乱強度)は516nmであった。濁度(A660)は0.379であった。
合成例2で得られた不飽和基末端ポリエーテル(a1)50gと、極性溶媒であるメタノール2.5gと、非極性溶媒であるヘキサン2.5gとをガラス容器に入れ70℃まで加熱し、撹拌機で10分間混合を行い、混合液を得た。得られた混合液をナス型フラスコに移した後、ロータリーエバポレーターを用いて、55℃にて、目視にてメタノールとヘキサンとの留出が観測されなくなるまで、メタノール及びヘキサンの除去を行った。この時、不純物の平均粒子径(散乱強度)は1093nmであった。その後、ナス型フラスコ内の残渣をヘキサン50gで希釈した。ナス型フラスコ内の希釈液に、ろ過助剤であるラヂオライト700を10g加えた後、ろ過助剤を含む希釈液を撹拌機で10分間混合した。次いで、撹拌後の希釈液をろ過機に供給して固液分離を行った。固液分離後、回収された精製ポリエーテルの溶液を大気圧下に110℃に加熱してヘキサンを除去して、精製ポリエーテルを得た。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.076であった。
合成例2で得られた不飽和基末端ポリエーテル(a1)50gと、メタノール2.5g、ヘキサン2.5gと、水0.2gとを用いて混合液を調整することの他は、実施例1と同様にして精製ポリエーテルを得た。上記、混合液からメタノール、ヘキサン及び水を除去したときの不純物の平均粒子径(散乱強度)は1836nmであった。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.011であった。
ヘキサン2.5gをシクロヘキサン2.5gに変えることの他は、実施例1と同様にして精製ポリエーテルを得た。混合液からメタノール及びシクロヘキサンを除去したときの不純物の平均粒子径(散乱強度)は1207nmであった。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.077であった。
メタノール2.5gをエタノール2.5gに変えることと、水の量を0.2gから0.25gに変えることとの他は、実施例2と同様にして精製ポリエーテルを得た。混合液からエタノール、ヘキサン及び水を除去したときの不純物の平均粒子径(散乱強度)は870nmであった。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.159であった。
メタノール2.5gをアセトン2.5gに変えることと、水の量を0.2gから0.75gに変えることとの他は、実施例2と同様にして精製ポリエーテルを得た。混合液からアセトン、ヘキサン及び水を除去したときの不純物の平均粒子径(散乱強度)は840nmであった。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.169であった。
混合液の調製にヘキサンを用いないことの他は、実施例1と同様にして、精製ポリエーテルを得た。なお、固液分離を行ったところ、ろ過機に供給した液中の微細な不純物がろ過機を通過してしまい、白濁したろ液が回収された。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.226であった。
混合液の調製にメタノールを用いないことの他は、実施例1と同様にして、精製ポリエーテルを得た。なお、固液分離を行ったところ、ろ過機に供給した液中の微細な不純物がろ過機を通過してしまい、白濁したろ液が回収された。得られた精製ポリエーテルについて、上記の方法に従って濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.297であった。
合成例2で得られた不飽和基末端ポリエーテル(a1)50gとヘキサン50g、ラヂオライト700を10gをガラス容器に入れ、撹拌機で10分間混合を行い、ろ過機で固液分離を行い、110℃で減圧脱揮を行って、濁度(A660)を測定した。濁度(A660)は0.338であった。
Claims (12)
- 粗製ポリエーテルを精製する精製ポリエーテルの製造方法であって、
粗製ポリエーテルと、極性溶媒と、非極性溶媒とを混合して混合液を得る、混合液調製工程と、
前記混合液から、前記極性溶媒の少なくとも一部と、前記非極性溶媒の少なくとも一部とを除去する溶媒除去工程と、
前記溶媒除去工程後に、前記精製ポリエーテル中に析出している、前記粗製ポリエーテルに由来する不純物を除去する、不純物除去工程と、
を含み、
前記粗製ポリエーテルが、水酸基末端ポリエーテル、不飽和基末端ポリエーテル、又は反応性ケイ素基末端ポリエーテルであり、
前記反応性ケイ素基末端ポリエーテルが有する反応性ケイ素基が、下記式:
-(SiR 4 2-b X b O) m -Si(R 3 3-a )X a
(式中、R 3 及びR 4 は、互いに、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数6以上20以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、又は(R’) 3 SiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R 3 又はR 4 が、それぞれ2つ以上存在するとき、複数のR 3 又はR 4 は同一でも異なっていてもよい。R’は、炭素原子数1以上20以下の1価の炭化水素基である。3つのR’は、同一でも、異なっていてもよい。Xは、水酸基、又は加水分解性基を示す。Xが2つ以上存在する時、複数のXは同一でも、異なっていてもよい。aは、0、1、2、又は3である。bは、0、1、又は2である。m個の(SiR 4 2-b X b O)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0以上19以下の整数である。但し、a及びbは、a+Σb≧1を満足する。)
で表される基である、方法。 - 前記極性溶媒が、プロトン性極性溶媒である、請求項1に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記極性溶媒が、アルコール系溶媒である、請求項1又は2に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記アルコール系溶媒が、炭素原子数1以上3以下のアルコールである、請求項3に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記アルコール系溶媒が、メタノールである、請求項3又は4に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記非極性溶媒が、鎖式又は環式の飽和炭化水素である、請求項1~5のいずれか1項に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記非極性溶媒がヘキサンである、請求項6に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記混合液の調製に用いられる、前記極性溶媒の質量と、前記非極性溶媒の質量との比率が、極性溶媒/非極性溶媒として1/0.1~1/10である、請求項1~7のいずれか1項に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記粗製ポリエーテルと、前記極性溶媒と、前記非極性溶媒との混合を、0℃以上140℃以下の温度にて行う、請求項1~8のいずれか1項に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記不純物の除去が、静置分離、遠心分離、及びろ過より選択される分離操作により行われる請求項1~9のいずれか1項に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 前記不純物除去工程において、前記不純物を除去する分離操作を1回又は複数回行う、請求項1~10のいずれか1項に記載の精製ポリエーテルの製造方法。
- 精製ポリエーテルを含む硬化性組成物の製造方法であって、
前記精製ポリエーテルが、前記不飽和基末端ポリエーテル、又は前記反応性ケイ素基末端ポリエーテルであり、
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法に従って前記精製ポリエーテルを製造する精製ポリエーテル製造工程と、
前記精製ポリエーテルを、前記精製ポリエーテル以外の前記硬化性組成物の成分と混合する混合工程と、
を含む方法。
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