JP7238888B2 - 自動車内装材用積層シート、自動車内装材用積層シートの製造方法、および積層体 - Google Patents

自動車内装材用積層シート、自動車内装材用積層シートの製造方法、および積層体 Download PDF

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Description

本発明は、自動車内装材用積層シート、自動車内装材用積層シートの製造方法、および積層体に関する。
可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層からなる表皮、および当該表皮に発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちしてなる積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品に用いる自動車内装材として、広く使用されている。そして、このような可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層からなる表皮には、意匠性および商品性を高めるために、縫製加工によるステッチ模様を施すことがある。
ここで、上述した表皮に縫製加工によるステッチ模様を施した後に発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちすると、縫い目を通じて、表皮上に発泡ポリウレタン樹脂層の成分が漏れ出てしまう問題がある。
このような問題に対し、例えば、表皮の裏面(即ち、発泡ポリウレタン樹脂層が裏打ちされる側の面)の縫製部分に、裏当て部材としてのテープを積層することにより、縫製部分の穴からの発泡ポリウレタン樹脂層の成分の漏出を防止することが考えられる。
ここで、裏面にテープが積層された表皮(以下、「自動車内装材用積層シート」と称することがある。)に対して、発泡ポリウレタン樹脂層が裏打ちされると、表皮(可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層)と発泡ポリウレタン樹脂層との間で、表皮および発泡ポリウレタン樹脂層のそれぞれに含まれている各種成分が移動し、表皮が変色していく。ところが、当該各種成分は裏当てテープが積層されている部分を通過しにくいため、表皮を表面(即ち、発泡ポリウレタン樹脂層が裏打ちされている側とは反対側の面)から見ると、裏当てテープが積層されている部分の跡が現れてきて、表皮の外観が悪くなる。
そこで、近年、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合に、裏当てテープの跡が出現することを抑制する技術の開発が求められていた。
例えば、特許文献1では、裏当てテープとして、多孔質構造を有する基材と粘着層とを備えるテープを使用し、当該粘着層が当該基材よりも塩化ビニル樹脂層側に位置するように当該テープを配置することが提案されている。
また、特許文献2では、裏当てテープとして、繊維編み込み構造を有する基材と粘着層とを備えるテープを使用し、特許文献1と同様に当該テープを配置することが提案されている。
国際公開第2016/147637号 国際公開第2016/147638号
しかしながら、上記従来の技術では、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちしたときの裏当てテープの跡の出現を抑制する点において、依然として改善の余地があった。
そこで、本発明は、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る自動車内装材用積層シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記自動車内装材用積層シートを備え、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープが塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置されてなる自動車内装材用積層シートであれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の自動車内装材用積層シートは、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置された裏当てテープとを備える自動車内装材用積層シートであり、前記裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする。このように、ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープが、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置されてなる自動車内装材用積層シートであれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制することができる。
ここで、本発明の自動車内装材用積層シートは、前記裏当てテープの120℃における溶融粘度が、40.0×10Pa・s以下であることが好ましい。前記裏当てテープの120℃における溶融粘度が、上記所定以下であれば、裏当てテープの塩化ビニル樹脂層に対する接着強度を高め得ると共に、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を更に良好に抑制することができる。
なお、本発明において、「溶融粘度」は、JIS K7210に記載の「プラスチックの流れ試験方法」に従い、ダイ内孔の寸法:直径0.5mm×長さ1.0mm、荷重:10kgf/cm、昇温速度:3℃/minの条件で測定することができる。
また、本発明の自動車内装材用積層シートは、前記裏当てテープの130℃における溶融粘度が、25.0×10Pa・s以下であることが好ましい。前記裏当てテープの130℃における溶融粘度が、上記所定以下であれば、裏当てテープの塩化ビニル樹脂層に対する接着強度を高め得ると共に、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を更に良好に抑制することができる。
さらに、本発明の自動車内装材用積層シートは、自動車インスツルメントパネル用として好適に用いることができる。
そして、本発明の自動車内装材用積層シートは、前記塩化ビニル樹脂層が縫製加工され、前記裏当てテープが、前記塩化ビニル樹脂層が縫製加工されている箇所を覆うように配置されることが好ましい。前記塩化ビニル樹脂層が縫製加工され、塩化ビニル樹脂層が縫製加工されている箇所を覆うように配置されていれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合に、表皮(塩化ビニル樹脂層)の表面に発泡ポリウレタン層の成分が漏れ出すことを防止しつつ、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制することができる。
さらに、本発明の自動車内装材用積層シートの製造方法は、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置された裏当てテープとを備える自動車内装材用積層シートを製造する方法であり、前記裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなり、前記裏当てテープの厚み方向の一方側に前記塩化ビニル樹脂層を配置し、前記厚み方向の他方側に離型フィルムを配置してなる積層物(X)を作製する工程Aと、前記積層物(X)において、前記離型フィルムを介して前記裏当てテープを加熱プレスし、前記裏当てテープを前記塩化ビニル樹脂層に接着させた後、前記離型フィルムを剥がす工程Bと、を含むことを特徴とする。このように、ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープの厚み方向の一方側に塩化ビニル樹脂層を配置し、他方側に離型フィルムを配置してなる積層物を作製する工程と、当該離型フィルムを介して当該裏当てテープを加熱プレスし、当該塩化ビニル樹脂層に接着させた後、当該離型フィルムを剥がす工程とを実施すれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る自動車内装材用積層シートを製造することができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、発泡ポリウレタン樹脂層と、上述したいずれかの自動車内装材用積層シートと、を有する積層体であり、前記発泡ポリウレタン樹脂層と前記塩化ビニル樹脂層との間に前記裏当てテープが配置されることを特徴とする。このように、上述したいずれかの自動車内装材用積層シートを、発泡ポリウレタン樹脂層と塩化ビニル樹脂層との間に裏当てテープが位置するように配置してなる積層体であれば、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制することができる。
本発明によれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る自動車内装材用積層シートを提供することができる。
また、本発明によれば、上記自動車内装材用積層シートを備え、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る積層体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の自動車内装材用積層シートは、例えば、本発明の積層体の製造に用いることができる。そして、本発明の自動車内装材用積層シートは、例えば、自動車インスツルメントパネルなどの自動車内装部品の表皮等の、自動車内装材として好適に用いることができる。また、本発明の自動車内装材用積層シートは、例えば、本発明の自動車内装材用積層シートの製造方法により製造することができる。
(自動車内装材用積層シート)
本発明の自動車内装材用積層シートは、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置された裏当てテープとを備える自動車内装材用積層シートであり、前記裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなることを特徴とする。そして、本発明の自動車内装材用積層シートは、ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープが、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置されてなるため、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制することができる。したがって、本発明の自動車内装材用積層シートは、自動車内装部材として、具体的には、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品の表皮として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネルの表皮用に好適に用いられる。
ここで、本発明の自動車内装材用積層シートは、通常は、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層の一方の表面の少なくとも一部に、裏当てテープを直接接着してなる構造を有するが、本発明の所望の効果を著しく損なわない限り、塩化ビニル樹脂層および裏当てテープ以外の層を更に備えていてもよい。具体的には、特に限定されることなく、本発明の自動車内装材用積層シートは、例えば、国際公開第2011/086813号に記載されているような耐熱老化性を向上させるための層を塩化ビニル樹脂層と裏当てテープとの間に有していてもよい。また、本発明の自動車内装材用積層シートは、例えば、自動車内装部材に意匠性を付与するための装飾層を塩化ビニル樹脂層の厚み方向の他方側(裏当てテープが配置される側とは反対側)に有していてもよい。
<塩化ビニル樹脂層>
塩化ビニル樹脂層は、本発明の自動車内装材用積層シートにおける表皮として機能し得る部材である。そして、本発明の自動車内装材用積層シートに用いられる塩化ビニル樹脂層は、可塑剤を含む。塩化ビニル樹脂層が可塑剤を含まなければ、本発明の自動車内装材用積層シートは、自動車内装部品の表皮としての良好な柔軟性を発揮することができない。
ここで、塩化ビニル樹脂層は、縫製加工されていることが好ましい。塩化ビニル樹脂層として縫製加工された塩化ビニル樹脂層を用いれば、得られる自動車内装材用積層シートを自動車内装部品の表皮用として更に好適に用いることができる。ここで、縫製加工の方法としては、針を用いた糸の縫い付け等の既知の縫製加工の方法を用いることができる。なお、本発明の自動車内装材用積層シートが塩化ビニル樹脂層と裏当てテープとの間に追加の層を有する場合には、特に限定されることなく、縫製加工は、塩化ビニル樹脂層単独に対して行なってもよいし、塩化ビニル樹脂層と当該追加の層との積層物に対して行なってもよい。
そして、塩化ビニル樹脂層の厚みは、特に限定されないが、100μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましく、800μm以上であることが更に好ましく、1000μm(1mm)以上であることが特に好ましく、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることが更に好ましい。塩化ビニル樹脂層の厚みが上記下限以上であれば、得られる自動車内装材用積層シートに良好な柔軟性と強度とを付与することができるからである。一方、塩化ビニル樹脂層の厚みが上記上限以下であれば、得られる自動車内装材用積層シートの質量を大きくなり過ぎないようにすることができるからである。
なお、塩化ビニル樹脂層は、通常、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物をシート状に成形することにより得られる。
<<塩化ビニル樹脂組成物>>
塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤とを含み、任意に、各種の添加剤などを更に含有してもよい。
[塩化ビニル樹脂]
ここで、塩化ビニル樹脂組成物が含む塩化ビニル樹脂としては、例えば、1種類または2種類以上の塩化ビニル樹脂粒子を含有することができ、任意に、1種類または2種類以上の塩化ビニル樹脂微粒子を更に含有することができる。中でも、塩化ビニル樹脂は、少なくとも塩化ビニル樹脂粒子を含有することが好ましく、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を含有することがより好ましい。
なお、本明細書において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。そして、塩化ビニル樹脂粒子は、通常、マトリックス樹脂(基材)として機能し、塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、ダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましく、塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
また、塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単量体単位からなる単独重合体の他、塩化ビニル単量体単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する塩化ビニル系共重合体が挙げられる。塩化ビニル系共重合体を構成し得る、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体(共単量体)の具体例としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル-3-クロロ-2-オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などが挙げられる。以上に例示される単量体は、共単量体の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75~104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの共単量体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。なお、上記塩化ビニル樹脂には、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含まれる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
[可塑剤]
塩化ビニル樹脂組成物が含む可塑剤としては、例えば、国際公開第2016/098344号に記載の一次可塑剤および二次可塑剤などを使用することができる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
上述した可塑剤の中でも、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂層を容易に良好に得られる観点から、可塑剤として、少なくとも一次可塑剤を用いることが好ましく、一次可塑剤および二次可塑剤を併用することがより好ましい。具体的には、可塑剤としては、トリメリット酸エステルおよび/またはピロメリット酸エステルを用いることが好ましく、少なくともトリメリット酸エステルを用いることがより好ましく、トリメリット酸エステルとエポキシ化大豆油とを併用することが更に好ましい。
ここで、可塑剤の含有量は、特に限定されないが、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して30質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、110質量部以上であることが特に好ましく、200質量部以下であることが好ましく、170質量部以下であることがより好ましく、160質量部以下であることが更に好ましい。可塑剤の含有量が上記下限以上であれば、得られる自動車内装材用積層シートに良好な柔軟性を付与することができるからである。また、可塑剤の含有量が上記上限以下であれば、得られる自動車内装材用積層シートの表面のべた付きをより抑制し、表面滑り性をより高めることができるからである。
[添加剤]
塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分以外に、各種添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、β-ジケトン、脂肪酸金属塩などの安定剤;離型剤;上記塩化ビニル樹脂微粒子以外のその他のダスティング剤;耐衝撃性改良剤;過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等);酸化防止剤;防カビ剤;難燃剤;帯電防止剤;充填剤;光安定剤;発泡剤;成形加工性調節剤(シリコーンオイル等);着色剤が挙げられる。
このような添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、国際公開第2016/098344号に記載のものを使用することができる。
[塩化ビニル樹脂組成物の調製方法]
塩化ビニル樹脂組成物は、特に制限されることなく、上述した成分を混合して調製することができる。
ここで、上記塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、必要に応じて更に使用される各種添加剤との混合方法としては、特に限定されることなく、例えば、塩化ビニル樹脂微粒子を含むダスティング剤を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、ダスティング剤を添加、混合する方法が挙げられる。ここで、ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、特に制限されることなく、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましい。
<<塩化ビニル樹脂層の形成方法>>
そして、塩化ビニル樹脂層は、例えば、上述した塩化ビニル樹脂組成物を、任意の方法で成形、好ましくは粉体成形、より好ましくはパウダースラッシュ成形することにより形成できる。
例えば、パウダースラッシュ成形では、特に限定されることなく、以下の方法を用いることができる。即ち、任意の温度範囲に加熱した金型に塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて、5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに、任意の温度下、30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた塩化ビニル樹脂層を金型から脱型する。そして、脱型された塩化ビニル樹脂層は、例えば、金型の形状および模様をかたどったシート状の成形体として得られる。
ここで、成形時に加熱する金型温度は、特に制限されることなく、200℃以上とすることが好ましく、220℃以上とすることがより好ましく、300℃以下とすることが好ましく、280℃以下とすることがより好ましい。
<裏当てテープ>
裏当てテープは、上述した塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置される。なお、通常、裏当てテープは上述した塩化ビニル樹脂層の一方の表面に直接接着されている。ただし、本発明の所望の効果を著しく損なわない限り、裏当てテープと塩化ビニル樹脂層との間に他の層が介在していてもよい。他の層の具体例としては、「自動車内装材用積層シート」の項で上述した耐熱老化性を向上させるための層などが挙げられる。
また、裏当てテープは、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側の任意の位置に配置される。ここで、裏当てテープは、通常、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側の一部に配置されている。例えば、裏当てテープは、通常、塩化ビニル樹脂層の一方の表面の一部に直接接着されている。
さらに、塩化ビニル樹脂層が縫製加工されている場合、裏当てテープは、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側の縫製加工がされている箇所を覆うように配置されることが好ましい。塩化ビニル樹脂層が縫製加工され、裏当てテープが、当該塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側の縫製加工がされている箇所を覆うように配置されれば、縫製加工により生じた塩化ビニル樹脂層の穴を裏当てテープにより塞ぐことができるため、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合に、表皮(塩化ビニル樹脂層)の表面上に発泡ポリウレタン樹脂層の成分が漏れ出すことを防止しつつ、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制することができる。
そして、裏当てテープはポリウレタン樹脂からなる。なお、通常、裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなる層のみを有する単層構造であり、基材などの他の層を有しない。裏当てテープを構成するポリウレタン樹脂は、本発明の所望の効果が得られる限り、特に限定されることはなく、既知のポリウレタン樹脂を用いることができる。また、当該ポリウレタン樹脂としては、1種類のポリウレタン樹脂を単独で用いてもよいし、複数種類のポリウレタン樹脂を任意の比率で混合して用いてもよい。そして、裏当てテープを構成するポリウレタン樹脂は、通常、熱可塑性ポリウレタン樹脂である。
ここで、熱可塑性ポリウレタン樹脂は、一般に、ポリオール類と、イソシアネート類と、鎖伸長剤とを、必要に応じて触媒を用いて重付加反応させることにより得られる、分子内にウレタン結合を有する重合体であり、加熱により軟化して流動性を示す。そして、熱可塑性ポリウレタン樹脂の調製に使用し得るポリオール類、イソシアネート類、鎖伸長剤、および触媒としてはいずれも既知のものを用いることができる。そして、ポリオール類、イソシアネート類、鎖伸長剤、および触媒の各成分は、いずれも1種類を単独で用いてもよいし、複数種類を任意の比率で混合して用いてもよい。
また、裏当てテープは、本発明の所望の効果が得られる範囲内で、上述したポリウレタン樹脂以外の成分を含んでいてもよい。
なお、通常、上記ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープは非発泡体であるものとする。
ここで、本発明の自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合、本発明の自動車内装材用積層シートが備える裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなり、塩化ビニル樹脂層と発泡ポリウレタン樹脂層との間に介在して配置されるため、理由は明らかではないが、表皮の表面に裏当てテープの跡が出現することを良好に抑制することができると推察される。
そして、裏当てテープの溶融粘度は、特に限定されないが、裏当てテープの120℃における溶融粘度が、5.0×10Pa・s以上であることが好ましく、6.0×10Pa・s以上であることがより好ましく、7.0×10Pa・s以上であることが更に好ましく、8.0×10Pa・s以上であることが一層好ましく、12.3×10Pa・s以上であることがより一層好ましく、16.7×10Pa・s以上であることが更に一層好ましく、40.0×10Pa・s以下であることが好ましく、38.0×10Pa・s以下であることがより好ましく、35.0×10Pa・s以下であることが更に好ましく、34.0×10Pa・s以下であることが一層好ましく、29.7×10Pa・s以下であることがより一層好ましく、25.3×10Pa・s以下であることが更に一層好ましく、21.0×10Pa・s以下であることが特に好ましい。裏当てテープの120℃における溶融粘度が上記下限以上であれば、自動車内装材用積層シートの製造時の加熱プレスにより裏当てテープが過度に軟化して、裏当てテープの形状が崩れることを防止することができる。一方、裏当てテープの120℃における溶融粘度が上記上限以下であれば、自動車内装材用積層シートの製造時の加熱プレスにより裏当てテープが十分に軟化して塩化ビニル樹脂シートに密着できるため、裏当てテープの塩化ビニル樹脂層に対する接着強度を高め得ると共に、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を更に良好に抑制することができる。
また、裏当てテープの130℃における溶融粘度は2.0×10Pa・s以上であることが好ましく、3.0×10Pa・s以上であることがより好ましく、4.0×10Pa・s以上であることが更に好ましく、5.0×10Pa・s以上であることが一層好ましく、7.2×10Pa・s以上であることがより一層好ましく、9.3×10Pa・s以上であることが更に一層好ましく、25.0×10Pa・s以下であることが好ましく、22.0×10Pa・s以下であることがより好ましく、20.0×10Pa・s以下であることが更に好ましく、18.0×10Pa・s以下であることが一層好ましく、15.8×10Pa・s以下であることがより一層好ましく、13.7×10Pa・s以下であることが更に一層好ましく、11.5×10Pa・s以下であることが特に好ましい。裏当てテープの130℃における溶融粘度が上記下限以上であれば、自動車内装材用積層シートの製造時の加熱プレスにより裏当てテープが過度に軟化して、裏当てテープの形状が崩れることを防止することができる。一方、裏当てテープの130℃における溶融粘度が上記上限以下であれば、自動車内装材用積層シートの製造時の加熱プレスにより裏当てテープが十分に軟化して塩化ビニル樹脂シートに密着できるため、裏当てテープの塩化ビニル樹脂層に対する接着強度を高め得ると共に、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を更に良好に抑制することができる。
裏当てテープの厚みは、特に限定されないが、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが更に好ましく、50μm以上であることが特に好ましく、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが更に好ましい。裏当てテープの厚みが上記下限以上であれば、裏当てテープの取り扱い性を良好に維持することができる。一方、裏当てテープの厚みが上記上限以下であれば、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を更に良好に抑制することができる。
裏当てテープを形成する方法は、特に限定されることはなく、例えば、上述したポリウレタン樹脂を既知の方法によりシート状に成形することにより、裏当てテープを形成することができる。
また、裏当てテープとしては、市販品を用いることもできる。例えば、裏当てテープとして、倉敷紡績社製「S-1700」、「S-1300」などを用いることができる。
(自動車内装材用積層シートの製造方法)
本発明の自動車内装材用積層シートの製造方法は、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置された裏当てテープとを備える自動車内装材用積層シートを製造する方法であり、前記裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなり、前記裏当てテープの厚み方向の一方側に前記塩化ビニル樹脂層を配置し、前記厚み方向の他方側に離型フィルムを配置してなる積層物(X)を作製する工程Aと、前記積層物(X)において、前記離型フィルムを介して前記裏当てテープを加熱プレスし、前記裏当てテープを前記塩化ビニル樹脂層に接着させた後、前記離型フィルムを剥がす工程Bと、を含むことを特徴とする。そして、本発明の自動車内装材用積層シートの製造方法によれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る自動車内装材用積層シートを製造することができる。なお、塩化ビニル樹脂層および裏当てテープとしては、「自動車内装材用積層シート」の項で上述したものを用いることができる。
<工程A>
工程Aでは、裏当てテープの厚み方向の一方側に塩化ビニル樹脂層を配置し、当該厚み方向の他方側に離型フィルムを配置してなる積層物(X)を作製する。なお、積層物(X)では、本発明の所望の効果を著しく損なわない限り、裏当てテープと塩化ビニル樹脂層との間、および/または、裏当てテープと離型フィルムとの間に他の層が配置されてもよいが、通常は、裏当てテープの一方の表面上に塩化ビニル樹脂層が直接配置され、他方の表面上に離型フィルムが直接配置されることで、塩化ビニル樹脂層、裏当てテープ、および離型フィルムが順番に厚み方向に直接積層されてなる構造が形成されている。また、通常、離型フィルムは裏当てテープの厚み方向の当該他方側の全部に配置される。さらに、上記積層物(X)は、塩化ビニル樹脂層と離型フィルムとが裏当てテープを介さずに厚み方向に隣接して配置されてなる構造を一部に有していてもよく、具体的には、塩化ビニル樹脂層と離型フィルムとが厚み方向に直接積層されてなる構造を一部に有していてもよい。なお、塩化ビニル樹脂層と裏当てテープとの配置は、「自動車内装材用積層シート」の項で上述した塩化ビニル樹脂層と裏当てテープとの配置と同様とすることができる。
ここで、離型フィルムとしては、特に限定されず、例えば、既知の樹脂からなる離型フィルムを用いることができる。また、離型フィルムとして、既知の樹脂を紙などの繊維状基材に塗布したものを用いることもできる。そして、離型フィルムを構成する樹脂としては、非極性樹脂を用いることが好ましい。離型フィルムを構成する樹脂として、非極性樹脂を用いれば、後述する工程Bで離型フィルムが加熱プレスされても、裏当てテープおよび塩化ビニル樹脂層とは接着し難いため、離型フィルムを裏当てテープから容易に剥がすことができるので、自動車内装材用積層シートを効率良く製造することができる。
そして、離型フィルムを構成し得る非極性樹脂の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等の結晶性樹脂などが挙げられる。そして、当該非極性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレンを用いることが特に好ましい。離型フィルムを構成する非極性樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを用いれば、後述する工程Bで、離型フィルムを更に容易に剥がすことができるので、自動車内装材用積層シートを更に効率良く製造することができる。
なお、離型フィルムを構成する樹脂が結晶性樹脂である場合、当該結晶性樹脂の融点は、特に限定されないが、130℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが更に好ましく、350℃以下であることが好ましく、327℃以下であることがより好ましい。離型フィルムを構成する結晶性樹脂の融点が130℃以上であれば、後述する工程Bで離型フィルムが加熱プレスされても、裏当てテープおよび塩化ビニル樹脂層とは接着し難いため、離型フィルムを容易に剥がすことができるので、自動車内装材用積層シートを効率良く製造することができる。一方、離型フィルムを構成する結晶性樹脂の融点が350℃以下であれば、離型フィルムの形状追随性が優れたものとなる。
なお、本明細書中において、「融点」は、JIS K7121の規格に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を指す。
また、離型フィルムの厚みは、特に限定されず、40μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが更に好ましく、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。離型フィルムの厚みが上記下限以上であれば、離型フィルムは取り扱い性に優れる。一方、離型フィルムの厚みが上記上限以下であれば、後述する工程Bで、離型フィルムを介して裏当てテープを十分に加熱し、塩化ビニル樹脂層に良好に接着させ得るため、自動車内装材用積層シートを効率良く製造することができる。
<工程B>
工程Bでは、積層物(X)において、離型フィルムを介して裏当てテープを加熱プレスし、当該裏当てテープを塩化ビニル樹脂層に接着させた後、当該離型フィルムを剥がす。工程Bとしては、特に限定されることはなく、例えば、加熱したローラーを積層物(X)の離型フィルムが配置される側の表面に押し当てることにより、離型フィルムを介して裏当てテープを加熱プレスし、当該裏当てテープを塩化ビニル樹脂層に接着させた後、積層物(X)の離型フィルムを剥がして、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に裏当てテープが配置されてなる自動車内装材用積層シートを得ることができる。なお、ローラーの材質は、金属であることが好ましいが、熱伝導性が良好で、作業中に固体状態を維持できるものであれば、特に限定されない。金属以外のローラーの材質の具体例としては、アルミナ等の金属酸化物、陶器、などを挙げることができる。
ここで、加熱したローラーの温度は、特に限定されず、使用する裏当てテープおよび離型フィルムの融点等を考慮して適宜設定できるが、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以下であることが好ましい。加熱したローラーの温度が上記下限以上であれば、裏当てテープを十分に軟化させて、良好な接着性を発揮させることができる。一方、加熱したローラーの温度が上記上限以下であれば、離型フィルムが溶融して加熱したローラーに付着することを防止できるため、自動車内装材用積層シートを効率良く製造することができる。
また、離型フィルムを介して裏当てテープを加熱プレスする時の圧力は、特に限定されず、自動車内装材用積層シートの製造に用いる塩化ビニル樹脂層、裏当てテープおよび離型フィルムの特性等に応じて適宜設定することができる。
(積層体)
本発明の積層体は、発泡ポリウレタン樹脂層と、上述した自動車内装材用積層シートとを有する積層体である。そして、本発明の積層体は、当該発泡ポリウレタン樹脂層と塩化ビニル樹脂層との間に裏当てテープが介在した構造を有する。なお、通常、発泡ポリウレタン樹脂層は、自動車内装材用積層シートの裏当てテープが配置されている側に裏打ちされており、発泡ポリウレタン樹脂層と自動車内装材用積層シートとは厚み方向に隣接している。
そして、上述した自動車内装材用積層シートは、通常、塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側の一部に裏当てテープが配置されてなる構造を有することから、本発明の積層体は、通常、塩化ビニル樹脂層と発泡ポリウレタン樹脂層とが裏当てテープを介して隣接する構造、および塩化ビニル樹脂層と発泡ポリウレタン樹脂層とが裏当てテープを介さずに隣接する構造の両方を有する。
本発明の積層体は、上述した自動車内装材用積層シートを備えるため、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制することができる。したがって、本発明の積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等といった自動車内装部品の自動車内装材として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネル用に好適に用いられる。
なお、本発明の積層体を製造する方法は、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、自動車内装材用積層シートの裏当てテープが配置されている側の表面上で発泡ポリウレタン樹脂層の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行い、自動車内装材用積層シートの裏当てテープが配置されている側の表面上に発泡ポリウレタン樹脂層を直接形成することにより、本発明の積層体の一例を製造することができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
なお、サイクル試験の実施方法および結果の評価方法は、下記の通りである。
<サイクル試験>
得られた積層体に対して、装置としていすゞ製作所社製「HPAV-120-40」を用いて、90℃4時間の加熱と-40℃1.5時間の冷却とを1サイクルとする処理を繰り返し実施し、10サイクル終了後および20サイクル終了後における裏当てテープの跡の出現の程度を以下の基準により目視観察で評価した。
A:裏当てテープの跡が見えない
B:裏当てテープの跡が正面からは見えないが角度を変えるとうっすらと見える
C:裏当てテープの跡が正面から角度を変えずにうっすらと見える
D:裏当てテープの跡が正面から角度を変えずに明瞭に見える
(実施例1)
<塩化ビニル樹脂組成物の調製>
表1に示す塩化ビニル樹脂層の配合成分のうち、可塑剤およびダスティング剤を除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で可塑剤を全て添加し、更に昇温することにより、ドライアップ(可塑剤が粒子状の熱可塑性樹脂に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が温度100℃以下に冷却された時点でダスティング剤を添加することにより、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
<塩化ビニル樹脂層の形成>
上述で得られた塩化ビニル樹脂組成物を、温度250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、8秒~20秒程度の任意の時間放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、上記塩化ビニル樹脂組成物を振りかけたシボ付き金型を、温度200℃に設定したオーブン内に静置し、静置から60秒経過した時点で当該シボ付き金型を水で冷却した。金型温度が40℃まで冷却された時点で、塩化ビニル樹脂層としての、サイズが縦150mm×横200mm×厚み1mmの塩化ビニル樹脂シートを金型から脱型した。
<自動車内装材用積層シートの製造>
上述で得られた塩化ビニル樹脂層の裏面(金型と直接接することなく、シボ模様の施されていない面)上に、熱可塑性ポリウレタン樹脂A(120℃における溶融粘度:8.0×10Pa・s、130℃における溶融粘度:5.0×10Pa・s)からなる裏当てテープ(厚み:50μm、長さ:140mm、幅:25mm)を1枚配置した。さらに、当該裏当てテープの塩化ビニル樹脂層と接する面とは反対の面側から、当該裏当てテープの全部を覆うように、ポリテトラフルオロエチレン(融点:327℃)からなる離型フィルム(日東電工社製「NITOFLON(登録商標) No.900UL」、厚み:100μm、長さ:150mm、幅:40mm)を配置することで、積層物(X)を作製した。そして、120℃に加熱したローラーを当該積層物(X)の離型フィルムが配置されている側の表面に押し当てることで、離型フィルムを介して裏当てテープを加熱プレスし、塩化ビニル樹脂層に接着させた。その後、離型フィルムを剥がすことで、自動車内装材用積層シートを取得した。
(積層体)
上述で得られた自動車内装材用積層シートを、縦200mm×横300mm×厚み10mmの金型の中に、自動車内装材用積層シートの表面(シボ模様が施された表皮面)を下にして敷いた。
別途、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)を50部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)を50部、水を2.5部、トリエチレンジアミンのエチレングリコール溶液(東ソー社製、商品名「TEDA-L33」)を0.2部、トリエタノールアミンを1.2部、トリエチルアミンを0.5部、および整泡剤(信越化学工業製、商品名「F-122」)を0.5部混合して、ポリオール混合物を得た。また、得られたポリオール混合物とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合した混合液を調製した。そして、調製した混合液を、上述の通り金型内に敷かれた自動車内装材用積層シートの裏面(裏当てテープが接着されている側の面)の上から注いだ。その後、348mm×255mm×10mmのアルミニウム板で上記金型に蓋をして、金型を密閉した。金型を密閉してから5分間放置することにより、自動車内装材用積層シートに発泡ポリウレタン層(厚み:9mm、密度:0.2g/cm)が裏打ちされた積層体が、金型内で形成された。
そして、形成された積層体を金型から取り出して、上述の方法に従って、サイクル試験を行なった。結果を表1に示す。
(実施例2~6)
裏当てテープとして、熱可塑性ポリウレタン樹脂A(120℃における溶融粘度:8.0×10Pa・s、130℃における溶融粘度:5.0×10Pa・s)と熱可塑性ポリウレタン樹脂B(120℃における溶融粘度:34.0×10Pa・s、130℃における溶融粘度:18.0×10Pa・s)とを表1に示す組成の比率で混合した熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープを用いることで、裏当てテープの溶融粘度を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂層、自動車内装材用積層シート、および積層体を製造した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
(実施例7)
裏当てテープとして、熱可塑性ポリウレタン樹脂B(120℃における溶融粘度:34.0×10Pa・s、130℃における溶融粘度:18.0×10Pa・s)からなる裏当てテープを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂層、自動車内装材用積層シート、および積層体を製造した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
(比較例1)
裏当てテープとして、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂からなる裏当てテープ(東レ社製「ルミラー(登録商標)」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂層、自動車内装材用積層シート、および積層体を製造した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
(比較例2)
裏当てテープとして、ポリイミド樹脂からなる裏当てテープ(東レ・デュポン社製「カプトン(登録商標)」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂層、自動車内装材用積層シート、および積層体を製造した。そして、実施例1と同様の方法により試験を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0007238888000001
1)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST(登録商標)2500Z」
2)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST PQLTX」
3)花王社製、製品名「トリメックスN-08」
4)ADEKA社製、製品名「アデカサイザー O-130S」
5)協和化学工業社製、製品名「アルカマイザー(登録商標)5」
6)水澤化学工業社製、製品名「MIZUKALIZER DS」
7)昭和電工社製、製品名「カレンズDK-1」
8)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ 522A」
9)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ LA-72」
10)堺化学工業社製、製品名「SAKAI SZ2000」
11)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ LS-12」
12)大日精化社製、製品名「DA PX 1720(A)ブラック」
表1より、ポリウレタン樹脂からなる裏当てテープを塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置してなる自動車内装材用積層シートを用いた実施例1~7の積層体であれば、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制できていることが分かる。
一方、ポリウレタン樹脂以外の樹脂からなる裏当てテープを使用した比較例1および2の積層体は、裏当てテープの跡の出現を抑制する性能に劣ることが分かる。
本発明によれば、発泡ポリウレタン樹脂層を裏打ちした場合における裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る自動車内装材用積層シートを提供することができる。
また、本発明によれば、上記自動車内装材用積層シートを備え、裏当てテープの跡の出現を良好に抑制し得る積層体を提供することができる。

Claims (6)

  1. 可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置された裏当てテープとを備える自動車内装材用積層シートであり、
    前記裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなり、
    前記裏当てテープの120℃における溶融粘度が、40.0×10 Pa・s以下である、自動車内装材用積層シート。
  2. 前記裏当てテープの130℃における溶融粘度が、25.0×10Pa・s以下である、請求項に記載の自動車内装材用積層シート。
  3. 自動車インスツルメントパネル用である、請求項1または2に記載の自動車内装材用積層シート。
  4. 前記塩化ビニル樹脂層が縫製加工され、
    前記裏当てテープが、前記塩化ビニル樹脂層が縫製加工されている箇所を覆うように配置される、請求項1~のいずれかに記載の自動車内装材用積層シート。
  5. 可塑剤を含む塩化ビニル樹脂層と、前記塩化ビニル樹脂層の厚み方向の一方側に配置された裏当てテープとを備える自動車内装材用積層シートを製造する方法であり、
    前記裏当てテープは、ポリウレタン樹脂からなり、
    前記裏当てテープの120℃における溶融粘度が、40.0×10 Pa・s以下であり、
    前記裏当てテープの厚み方向の一方側に前記塩化ビニル樹脂層を配置し、前記厚み方向の他方側に離型フィルムを配置してなる積層物(X)を作製する工程Aと、
    前記積層物(X)において、前記離型フィルムを介して前記裏当てテープを加熱プレスし、前記裏当てテープを前記塩化ビニル樹脂層に接着させた後、前記離型フィルムを剥がす工程Bと、
    を含む、自動車内装材用積層シートの製造方法。
  6. 発泡ポリウレタン樹脂層と、
    請求項1~のいずれかに記載の自動車内装材用積層シートと、
    を有する積層体であり、
    前記発泡ポリウレタン樹脂層と前記塩化ビニル樹脂層との間に前記裏当てテープが配置される、積層体。
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