JP7237033B2 - チップピックアップ装置及びチップピックアップ方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

チップピックアップ装置及びチップピックアップ方法及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、チップピックアップ装置及びチップピックアップ方法及び半導体装置の製造方法に関するものである。
特許文献1には、粘着シートに貼り付けられた半導体チップ(以下、チップ)を粘着シートから剥離してピックアップするチップピックアップ装置が開示されている。当該チップピックアップ装置は、チップ下の粘着シートを吸着することでチップと粘着シートを部分的に剥離させ、チップと粘着シートとの部分的な剥離により生じた空間に流体を注入することでチップと粘着シートの剥離を促進し、チップを吸着したチップ吸着冶具を上昇させることでチップを粘着シートから完全に剥離させ、チップをピックアップしている。
特開2012-054344号公報
特許文献1では、チップと粘着シートとの部分的な剥離により生じた空間に注入した流体が漏れるという問題があった。
本開示は、このような問題を解決するためのものであり、粘着シートに貼り付けられたチップをピックアップする際に、チップ下の粘着シートを吸着することで生じた空間に注入した流体が漏れるという問題の起こらないチップピックアップ装置及びチップピックアップ方法及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本開示のチップピックアップ装置は、粘着シートに貼り付けられた半導体チップを粘着シートから剥離してピックアップするチップピックアップ装置であって、チップを吸着するチップ吸着冶具と、粘着シートに接触する接触面に粘着シートを吸引する凹部または吸引孔が設けられたシート吸引冶具と、を備え、シート吸引冶具は、凹部に対しまたは吸引孔内で進退自在に設けられた筒状の複数のニードルと、各ニードルの筒穴内に進退自在に配置された配管である複数の配管と、各ニードルの凹部側または吸引孔の吸引口側の端部の筒穴内に配管に接続して配置され、配管の進出により前記ニードル外に位置可能であり、配管から流体を内部に注入されることで膨張するバルーンである、複数のバルーンと、を備える、チップピックアップ装置、である。
また、本開示のチップピックアップ方法は、本開示のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法であって、シート吸引冶具の接触面を粘着シートに接触させる工程と、凹部または吸引孔により粘着シートの吸引を行うことで粘着シートとチップとの間に空間を作る工程と、複数のニードルそれぞれで粘着シートを突き破る工程と、複数の配管を進出させて複数のニードルそれぞれからバルーンを出すことで空間に複数のニードル外に位置する状態の複数のバルーンを挿入する工程と、複数の配管を通して流体を複数のバルーンそれぞれの内部に注入し、空間内で複数のバルーンを膨張させることによって、チップを粘着シートから剥離させる工程と、粘着シートから剥離したチップをチップ吸着冶具により吸着してピックアップする工程と、を備える、チップピックアップ方法、である。
また、本開示の半導体装置の製造方法は、本開示のチップピックアップ方法を用いた半導体装置の製造方法であって、半導体ウエハをウエハプロセスにより加工する工程と、ウエハプロセスにより加工されたウエハを粘着シートに貼り付ける工程と、ウエハを粘着シートに貼り付いた状態のまま複数のチップに切り分けるダイシング工程と、ウエハから切り分けられ粘着シートに貼り付いた状態のチップを本開示のチップピックアップ方法によりピックアップするピックアップ工程と、を備える、半導体装置の製造方法、である。
本開示のチップピックアップ装置において、シート吸引冶具は、各ニードルの凹部側または吸引孔の吸引口側の端部の筒穴内に配管に接続して配置され、配管の進出によりニードル外に位置可能であり、配管から流体を内部に注入されることで膨張するバルーンである、複数のバルーン、を備える。これにより、本開示のチップピックアップ装置、本開示のチップピックアップ方法、及び本開示の半導体装置の製造方法において、粘着シートに貼り付けられたチップをピックアップする際に、チップ下の粘着シートを吸着することで生じた空間に注入した流体が漏れるという問題が起こらない。
実施の形態1のチップピックアップ装置の断面図である。 実施の形態1から5のチップピックアップ装置のいずれかを用いたチップピックアップ方法の手順を示すフローチャートである。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のチップ吸着冶具下降工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のシート吸引冶具上昇工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のシート吸引冶具排気工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のニードル挿入工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のバルーン挿入工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のバルーン膨張工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態1のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法のチップ搬送工程における、チップピックアップ装置の状態を示す断面図である。 実施の形態2のチップピックアップ装置の断面図である。 実施の形態3のチップピックアップ装置の断面図である。 実施の形態4のチップピックアップ装置のシート吸引冶具の平面図である。 実施の形態5のチップピックアップ装置のシート吸引冶具の平面図である。 実施の形態6の半導体装置の製造方法の手順を示すフローチャートである。
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は、実施の形態1におけるチップピックアップ装置10の構成を示す断面図である。チップ21と粘着シート20はチップピックアップ装置10に含まれないが、図1及び他の図において説明の為必要に応じ記載されている。
粘着シート20は例えばダイシングテープであり、図1においてチップ21は粘着シート20に貼り付けられている。粘着シート20は、図示されない保持具により保持されている。チップ21は、例えば、ウエハが粘着シート20に貼り付けられた後に、ダイシング加工され複数のチップに分割されたもののうちの1つである。その場合、粘着シート20に複数のチップが貼り付けられているが、省略して1つのチップ21のみが示されている。但し、チップピックアップ装置10によるチップ21のピックアップは、このように粘着シート20に貼り付けられたウエハがダイシング加工され複数のチップに分割された場合でなくとも、チップ21が粘着シート20に貼り付けられている場合に実行可能である。
チップピックアップ装置10は、チップ吸着冶具30とシート吸引冶具40と、を備える。
チップ吸着冶具30は、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301と、を備える。
チップ吸着冶具30とシート吸引冶具40とは、粘着シート20に貼り付けられたチップ21をピックアップする際、図1のように、粘着シート20に貼り付けられているチップ21を間に挟むように、すなわち互いに対向するように配置される。その際、チップ21がチップ吸着冶具30側、粘着シート20がシート吸引冶具40側に配置される。
チップ吸着冶具30には、吸気孔31が設けられている。図1においてチップ吸着冶具30のチップ21側の表面である吸着面に吸気孔31の吸気口310が設けられている。吸着面は平面視において例えば矩形、円形、楕円形等の形状を有している。チップ吸着冶具30は、吸気部301により、吸気孔31を通して吸気口310の側から吸気可能であり、チップ21が吸着面に接する場合に、チップ21を吸着できる。
シート吸引冶具40は、複数のニードル42と、複数のバルーン45と、複数の配管46と、シート吸引冶具駆動部400と、排気部401と、ニードル駆動部420と、配管駆動部460と、流体注入部461と、を備える。
図1において、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301と、シート吸引冶具駆動部400と、排気部401と、ニードル駆動部420と、配管駆動部460と、流体注入部461と、は、詳細は省略してブロックとして描かれており、これらが他の要素を駆動等する機構も、省略して他の要素との間を繋ぐ線で示されている。
シート吸引冶具40の、図1における粘着シート20側の表面であり粘着シート20に接触する面である接触面には、粘着シートを吸引する凹部43が設けられている。チップ吸着冶具30の吸着面とシート吸引冶具40の接触面とは平行になるように構成されている。チップ吸着冶具駆動部300はチップ吸着冶具30を、シート吸引冶具駆動部400はシート吸引冶具40を、吸着面または接触面と垂直及び水平に移動可能である。
また、シート吸引冶具40には、シート吸引冶具40の接触面に接する粘着シートを凹部43が吸引できるよう、排気孔41が設けられており、排気部401により、凹部43の気体を、排気孔41を通して排気できる。凹部43は、平面視で、チップ21よりも小さい輪郭を持つ。
ニードル42はそれぞれ筒状であり、排気孔41に、凹部43に対し進退自在に設けられている。つまり、ニードル42は、ニードル駆動部420によって、凹部43に進出または凹部43から退出することが可能である。排気孔41の孔の太さや形状を調整することで、排気孔41の壁面は、ニードル42を進退させる際に位置ずれを防ぐガイドとして働く。ニードル42は、シート吸引冶具駆動部400によるシート吸引冶具40の移動に伴い、シート吸引冶具40との相対位置を保って移動することもできる。また、ニードル42の凹部43側の端は、粘着シート20を突き破れるような形状になっている。また、ニードル42の凹部43側の端部には、バルーン45がニードル42の筒穴内から外に出られるよう、バルーン出入口44が設けられている。チップピックアップ装置10が備えるニードル42の数は対象とするチップ21の面積に応じて変更可能であるが、チップピックアップ装置10は少なくとも2つのニードル42を備える。
配管46は、各ニードル42の筒穴内に進退自在に配置されている。各配管46は、配管駆動部460により、当該配管46が内部に配置されているニードル42の筒穴内で進退が可能である。また、各配管46は、当該配管46が内部に配置されているニードル42の移動に伴い、当該ニードル42と相対位置を保って移動することもできる。
バルーン45は、ニードル42の凹部43側の端部の筒穴内に配管に接続して配置され、配管46の進出によりニードル外に位置可能である。また、バルーン45は、流体注入部461の動作により当該バルーン45に繋がれた配管46から流体を内部に注入されることで膨張する。バルーン45は、例えばゴム材やシリコーン材で構成される。
<A-2.動作>
図2は、本実施の形態に係るチップピックアップ方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。本実施の形態に係るチップピックアップ方法は、チップピックアップ装置10を用いたチップピックアップ方法である。
図3から図9は、本実施の形態に係るチップピックアップ方法の各工程におけるチップピックアップ装置10の状態を示す断面図である。図3から図9において、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301と、シート吸引冶具駆動部400と、排気部401と、ニードル駆動部420と、配管駆動部460と、流体注入部461と、は、省略され示されていない。
図2に示すように、本実施の形態に係るチップピックアップ方法は、チップ吸着冶具下降工程(ステップS11)、シート吸引冶具上昇工程(ステップS12)、シート吸引冶具排気工程(ステップS13)、ニードル挿入工程(ステップS14)、バルーン挿入工程(ステップS15)、バルーン膨張工程(ステップS16)、チップ搬送工程(ステップS17)を備える。
なお、本実施の形態に係るチップピックアップ方法は、粘着シート20に貼り付けられたチップ21をピックアップするものである。チップ21は、例えば、予めウエハプロセスにより加工されチップ21が形成されたウエハが、粘着シート20に貼り付けられ、ダイシング加工装置により複数のチップ21に切り分けられたものである。粘着シート20は例えばダイシングテープである。本実施の形態及び他の実施の形態に係る図1、図3から図11では、ピックアップする対象である1つのチップ21のみが示されている。また、粘着シート20は、図示されない保持機構により保持されている。当該保持機構は、チップピックアップ装置10が備えていてもよいし、そうでなくてもよい。
初めに、チップ吸着冶具下降工程(ステップS11)を行う。ステップS11では、粘着シート20の上面に貼り付けられているチップ21の上面にチップ吸着冶具30を近づけて接触させずに待機させる。図3は、ステップS11を行う際のチップピックアップ装置10の状態を示す。
図3に示すように、例えば、チップ吸着冶具30が粘着シート20の上方にある状態で、平面視におけるチップ吸着冶具30とチップ21の相対位置が望ましいものになるように、チップ吸着冶具30の平面視における位置を調整する。例えば、平面視におけるチップ吸着冶具30の中心とチップ21の中心とが略一致するようにチップ吸着冶具30の平面視における位置を調整する。そして、平面視における位置が調整されたチップ吸着冶具30を下降させ、チップ21の上側にチップ21とは接触させずチップ吸着冶具30を待機させる。待機開始後、吸気部301により、吸気孔31を通して吸気口310からの吸気を開始する。但し、ステップS11で吸気口310からの吸気を開始する必要はなく、ステップS17の時点で、チップ吸着冶具30が吸気口310からの吸気をしていればよい。
次に、シート吸引冶具上昇工程(ステップS12)を行う。ステップS12では、平面視で凹部43の領域がチップ21の領域に含まれるように、シート吸引冶具40の接触面を粘着シート20に接触させる。図4は、ステップS12を行う際のチップピックアップ装置10の状態を示す。
図4に示すように、例えば、シート吸引冶具40が粘着シート20の下方にある状態で、平面視におけるシート吸引冶具40の中心とチップ21の中心とが略一致するように、シート吸引冶具40の水平面内の位置を調整しておく。ステップS12の終了後は、シート吸引冶具40の上面とチップ21下側の粘着シート20が接触しているため、凹部43と粘着シート20により形成される空間SPは、気密が確保される。
次に、シート吸引冶具排気工程(ステップS13)を行う。図5は、ステップS13を行う際のチップピックアップ装置10の状態を示す。ステップS13では、凹部43により粘着シート20の吸引を行うことで粘着シート20とチップ21との間に空間を作る。
図5に示すように、排気部401により、排気孔41を通して排気を行い、凹部43と粘着シート20により形成されている空間SPを減圧する。これにより、粘着シート20のうちチップ21の凹部43に対向する部分に貼り付けられている部分が剥離し、凹部43に向かって吸引される。粘着シート20のうちシート吸引冶具40の吸引によりチップ21と剥離した部分と、チップ21と、の間の空間をSPsとする。減圧の程度は、後述のステップS14で空間SPsにニードル42を挿入できるものであれば、粘着シート20とチップ21が凹部43の外周部を残して剥離する程度でもよい。
次に、ニードル挿入工程(ステップS14)を行う。ステップS14では、ニードル駆動部420によりニードル42を凹部43に向け進出させる。これにより、図6に示すように、ニードル42それぞれで粘着シート20を突き破り、ニードル42は空間SPsに挿入される。空間SPsへニードル42が挿入される度合いは、ニードル42がチップ21に接さず、ニードル42に設けられたバルーン出入口44からバルーン45をニードル42外に出した場合にバルーン45が空間SPsに挿入されるようなものであればよい。
次に、バルーン挿入工程(ステップS15)を行う。ステップS15では、配管駆動部460により配管46を凹部側に進出させることで、バルーン出入口44から、ニードル42に内包されたバルーン45を外に出し、ニードル42の外に位置する状態でバルーン45を空間SPsに挿入する。なお、ステップS14で空間SPsにニードル42を挿入した段階で既に位置的にはバルーン45が図5で示されている空間SPs内に位置していてもよく、その場合、ステップS15でバルーン45を空間SPsに挿入するとは、ニードル42の内に位置する状態から外に位置する状態でバルーン45を空間SPs内に位置させることを意味する。図7は、ステップS15を行う際のチップピックアップ装置10の状態を示す。図7では空間SPsに挿入された後のバルーン45は配管46と平行に延びているが、配管46と平行である必要はなく、例えばチップ21の面に沿うように折れ曲がっていてもよい。
次に、バルーン膨張工程(ステップS16)を行う。図8は、ステップS16を行う際のチップピックアップ装置10の状態を示す。ステップS16では、バルーン45を膨らませるため、まず、排気部401による排気孔41からの排気を停止する。その後、流体注入部461により配管46を通して流体FLをバルーン45それぞれの内部に注入し、空間SPs内でバルーン45を膨張させることによって、チップ21を粘着シート20から完全に剥離させる。これにより、チップ21と粘着シート20は図8に示されるように、互いに接していない状態になる。粘着シート20から剥離したチップ21はバルーン45上に安置される。流体FLは、バルーン45を溶融してしまうもの、例えば有機溶剤など、でなければ、気体でも液体でも、気体と液体が混ざったものでもよい。
次に、チップ搬送工程(ステップS17)を行う。図9は、ステップS17を行う際のチップピックアップ装置10の状態を示す。ステップS17では、ステップS16で粘着シート20から完全に剥離したチップ21をチップ吸着冶具30により吸着してピックアップする。
ステップS17では、ステップS16から継続して流体注入部461により配管46から流体FLをバルーン45内部へ注入し、バルーン45を膨張させる。これにより、ステップS16で粘着シート20から剥離されバルーン45上に安置されたチップ21が、バルーン45の膨張にしたがって持ち上げられ、チップ21の上側で待機しているチップ吸着冶具30まで搬送される。そして、チップ21は、吸気口310からの吸気を継続したままチップ21の上側に待機しているチップ吸着冶具30まで搬送され、チップ吸着冶具30により吸着されることで、チップピックアップ装置10にピックアップされる。
以上説明した本実施の形態に係るチップピックアップ方法には、以下の利点がある。
チップピックアップ装置10において、シート吸引冶具40は、各ニードル42の凹部43側の端部の筒穴内に配管46に接続して配置され、配管46の進出によりニードル42外に位置可能であり、配管46から流体FLを内部に注入されることで膨張するバルーン45である、複数のバルーン45、を備える。そして、ステップS16及びステップS17では、バルーン45を空間SPsに挿入しバルーン45に流体を注入している。そのため、特許文献1のように空間SPsに流体を注入しチップ21を粘着シート20から剥離させる場合と比べ、安定的に剥離させられる。チップピックアップ装置10及びチップピックアップ装置10を用いたピックアップ方法では、粘着シート20に貼り付けられたチップ21をピックアップする際に、チップ21下の粘着シート20を吸着することで生じた空間SPsに注入した流体が漏れるという問題が起こらない。チップピックアップ装置10及びチップピックアップ装置10を用いたピックアップ方法では、特許文献1で空間SPsに液体を注入する場合のように、液体がチップ21の角付近から漏れて、液体の表面張力によりチップ21のピックアップが困難になり、チップ吸着冶具30の吸引力を上げた場合にはチップ21表面に吸着痕ができる、といった問題が起こることが無い。
ステップS16でバルーン45を膨張させることでチップ21を粘着シート20から完全に剥離できるため、チップピックアップ装置10は、チップ21を粘着シート20から剥離する過程で、チップ吸着冶具30でチップ21を吸着する必要が無い。ステップS11の説明で示したように、チップ吸着冶具30はチップ21に接さず待機しており、その後のステップS16までのチップ21を粘着シート20から剥離する過程で、チップ21上面へチップ吸着冶具30からの力が加わることがない。これにより、従来のチップピックアップ装置で起こっていた、チップをピックアップする際のチップ下の突き上げ冶具からの力と、チップ吸着冶具のチップを上から押さえつける力により、チップが割れる、という問題が起こらない。また、チップ21上面の傷を抑制できるため、ピックアップ後のチップ21動作時の、チップ21上面の傷を起点とした破壊を防ぐことができる。
ステップS15からステップS17の説明で示したように、ニードル42がチップ21に接触することはなく、チップ21下面に接触する物体は粘着シート20を除けばバルーン45のみである。そのため、チップ21下面の傷を抑制でき、ピックアップ後のチップ21動作時の、傷を起点とした破壊を防ぐことができる。
さらに、粘着シート20を介してチップ21をニードルで突き上げる従来の手法よりもチップ21に生じる応力が小さいため、ピックアップ時にチップ21が割れることを抑制できる。
また、少なくとも2つのバルーン45でチップへ力を加えるため、複数の剥離起点が存在し、1つのバルーン45でチップへ力を加える場合と比べ、チップ21が粘着シート20から容易に剥離する。
<A-3.効果>
チップピックアップ装置10において、シート吸引冶具40は、各ニードル42の凹部43側の端部の筒穴内に配管46に接続して配置され、配管46の進出によりニードル42外に位置可能であり、配管46から流体FLを内部に注入されることで膨張するバルーン45である、複数のバルーン45、を備える。これにより、チップピックアップ装置10及びチップピックアップ装置10を用いたピックアップ方法では、粘着シート20に貼り付けられたチップ21をピックアップする際に、チップ21下の粘着シート20を吸着することで生じた空間SPsに注入した流体が漏れるという問題が起こらない。
<A-4.変形例>
<A-1.構成>では、シート吸引冶具40の粘着シートに接触する接触面には、粘着シートを吸引する凹部43が設けられており、排気部401は、凹部43の気体を、排気孔41を通して排気するとして説明した。変形例として、シート吸引冶具40には、凹部43及び排気孔41の代わりに、シート吸引冶具40の接触面に凹部43の開口と同程度の大きさの吸引口を持ち、当該吸引口が下方へと連通された、粘着シートを吸引する吸引孔(以下、吸引孔410とする)が設けられていてもよい。
本変形例では、複数のニードル42は、ステップS14で各ニードル42を空間SPsに挿入できるように、吸引孔410内に進退自在に設けられる。また、バルーン45は、各ニードル42の吸引孔410の吸引口側の端部の筒穴内に配管46に接続して配置され、配管46の進出によりニードル外に位置可能である。配管46は、<A-1.構成>で説明した場合と同様、各ニードル42の筒穴内に進退自在に配置される。排気部401は吸引孔410から排気することで吸引孔410を減圧する。
本変形例の構成によるチップピックアップ装置10でチップ21をピックアップする動作は基本的には<A-2.動作>と同じであるが、その説明において、凹部及び排気孔41を吸引孔410と置き換えたのに応じた変更が必要である。例えば、本変形例では、ステップS12では、平面視で吸引口の領域がチップ21の領域に含まれるように、シート吸引冶具40の接触面を粘着シート20に接触させる。ステップS13では、吸引孔410により粘着シート20の吸引を行うことで粘着シート20とチップ21との間に空間を作る。ステップS14では、ニードル駆動部420によりニードル42を吸引口に向け進出させる。これにより、ニードル42が粘着シート20を突き破り、ニードル42は空間SPsに挿入される。
本変形例の構成のチップピックアップ装置10では、シート吸引冶具40は、各ニードル42の吸引口側の端部の筒穴内に配管46に接続して配置され、配管46の進出によりニードル42外に位置可能であり、配管46から流体FLを内部に注入されることで膨張するバルーン45である、複数のバルーン45、を備える。これにより、チップ21をピックアップする際、チップ21下の粘着シート20を吸着することで生じた空間SPsに注入した流体が漏れるという問題が起こらない。
<B.実施の形態2>
<B-1.構成>
実施の形態2に係るチップピックアップ装置10bは、実施の形態1のチップピックアップ装置10(<A-4.変形例>で説明した変形例でもよい)と一部を除き同様であり、動作についても実施の形態1と同様である。したがって、実施の形態1と異なる箇所について説明し、共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
図10は、チップピックアップ装置10bの構成を示す断面図である。チップピックアップ装置10bはチップピックアップ装置10と比べ、チップ吸着冶具30の代わりにチップ吸着冶具30bを備える。チップピックアップ装置10bはその他の点はチップピックアップ装置10と同様である。
チップ吸着冶具30では吸着面の大きさは特に制限が無く、また、チップ吸着冶具30は吸着面より面直方向に突出した枠を備えていなかった。チップ吸着冶具30bの吸着面は、平面視で前記チップより大きく、チップ吸着冶具30bは吸着面より面直方向に突出した枠32を備える。なお、枠32が吸着面より面直方向に突出しているとは、吸着面でチップ21を吸着した際の吸着面よりもチップ21の側に枠32が位置するという意味であり、枠32が吸着面から垂直に突き出していることは意味しない。枠32は、チップ吸着冶具30bが平面視においてチップ21を枠32の内側で枠32との間に0.5mm以上の距離を保って吸着できるよう、配置されている。
チップ吸着冶具30bは、チップ吸着冶具30と同様、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301とを備える。チップ吸着冶具駆動部300は、チップ吸着冶具30bを吸着面と垂直及び水平に移動可能である。チップ吸着冶具30bには吸気孔31bが設けられており、チップ吸着冶具30bは、吸気部301により、吸気孔31bを通して、吸着面でチップ21を吸着できる。
以上で説明した点を除けば、チップ吸着冶具30bの構成はチップ吸着冶具30の構成と同様である。
図10において、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301と、シート吸引冶具駆動部400と、排気部401と、ニードル駆動部420と、配管駆動部460と、流体注入部461と、は、省略され示されていない。
<B-2.動作>
本実施の形態に係るチップピックアップ方法の各工程のフローチャートは、実施の形態1の場合同様、図2で示される。また、本実施の形態に係るチップピックアップ方法の各工程も、実施の形態1で説明した内容については、実施の形態1の場合と同様である。但し、本実施の形態に係るチップピックアップ方法はチップピックアップ装置10bを用いたチップピックアップ方法であり、当該説明中のチップピックアップ装置10をチップピックアップ装置10bに置き換える。
本実施の形態に係るチップピックアップ方法においては、ステップS11において、平面視で枠32の内側でチップ21をピックアップできるような位置に、チップ吸着冶具30bの平面視での位置を調整しておく。ステップS17においては、図10に示すように、チップ吸着冶具30bに設けられた枠32がチップ21搬送時のガイドの役割を果たす。これにより、チップ21搬送時に平面視でのチップ21の位置のズレが抑制され、チップ21のバルーン45からの落下が防がれる。
<B-3.効果>
チップ吸着冶具30bは吸着面より面直方向に突出した枠32を備える。これにより、ステップS17のチップ21搬送時に平面視でのチップ21の位置のズレが抑制され、チップ21のバルーン45からの落下が防がれる。
枠32は、チップ吸着冶具30bが平面視においてチップ21を枠32の内側で枠32との間に0.5mm以上の距離を保って吸着できるよう、配置されている。これにより、チップ21搬送時に平面視でのチップ21の位置のズレ度合いが問題ない範囲の場合には、チップ21が枠32と接することが無く、チップ21と枠32との不要な接触を避けることができる。
<C.実施の形態3>
<C-1.構成>
実施の形態3に係るチップピックアップ装置10cは、実施の形態2のチップピックアップ装置10bと一部を除き同様であり、動作についても実施の形態2と同様である。したがって、実施の形態2と異なる箇所について説明し、共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、チップピックアップ装置10cの構成を示す断面図である。
チップピックアップ装置10cは、チップピックアップ装置10bと比べると、チップ吸着冶具30bの代わりに、チップ吸着冶具30cを備える。その他の点は、チップピックアップ装置10cは、チップピックアップ装置10bと同様である。チップ吸着冶具30cは、チップ吸着冶具30bと異なり、緩衝材33を備える。その他の点は、チップ吸着冶具30cは、チップ吸着冶具30bと同様である。
チップ吸着冶具30cは、チップ吸着冶具30bの吸着面下側に緩衝材33が設けられた構造となっており、緩衝材33の下面がチップ吸着冶具30cの吸着面となっている。緩衝材33は、チップ吸着冶具30cのうち緩衝材33以外の部分よりも柔軟性があり、例えばゴム材やシリコーン材などで構成されている。
チップ吸着冶具30cでは吸気孔31cは緩衝材33を貫通しており、緩衝材33の下面である吸着面に吸気孔31cの吸気口が設けられている。
チップ吸着冶具30cは、チップ吸着冶具30bと同様、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301とを備える。チップ吸着冶具駆動部300は、チップ吸着冶具30cを吸着面と垂直及び水平に移動可能である。チップ吸着冶具30cは、吸気部301により、吸気孔31cを通して、吸着面でチップ21を吸着できる。
以上で説明した点を除けば、チップ吸着冶具30cの構成はチップ吸着冶具30bの構成と同様である。
図11において、チップ吸着冶具駆動部300と、吸気部301と、シート吸引冶具駆動部400と、排気部401と、ニードル駆動部420と、配管駆動部460と、流体注入部461と、は、省略され示されていない。
<C-2.動作>
本実施の形態に係るチップピックアップ方法の各工程のフローチャートは、実施の形態2の場合同様、図2で示される。また、本実施の形態に係るチップピックアップ方法の各工程も、実施の形態2で説明した内容については、実施の形態2の場合と同様である。但し、本実施の形態に係るチップピックアップ方法はチップピックアップ装置10cを用いたチップピックアップ方法であり、当該説明中のチップピックアップ装置10bをチップピックアップ装置10cに置き換える。
本実施の形態に係るチップピックアップ方法においては、ステップS17でチップ21がチップ吸着冶具30cにより吸着される際、チップ21には緩衝材33が接することで、吸着面の柔軟化により、実施の形態2の場合よりもチップ21の傷を抑制できる。図11は、チップピックアップ装置10cを用いたチップピックアップ方法のステップS17でのチップピックアップ装置10cの状態を示す断面図である。
<C-3.効果>
チップ21がチップ吸着冶具30cにより吸着される際、チップ21には緩衝材33が接することで、吸着面の柔軟化により、緩衝材33が無い場合よりもチップ21への傷を抑制できる。
<C-4.変形例>
チップ吸着冶具30cは実施の形態2に係るチップ吸着冶具30bの吸着面に緩衝材33が設けられたものとしたが、チップ吸着冶具30cは実施の形態1に係るチップ吸着冶具30の吸着面に緩衝材33が設けられたものであってもよい。その場合も、チップピックアップ装置10cでは、<C-2.動作>で新たに説明された動作により、チップピックアップ装置10と比べ、<C-3.効果>に記載の効果が得られる。
<D.実施の形態4>
<D-1.構成>
実施の形態4に係るチップピックアップ装置(以下これをチップピックアップ装置10dとする)は、実施の形態1に係るチップピックアップ装置10と比べ、シート吸引冶具40の代わりにシート吸引冶具40dを備える。その他の点はチップピックアップ装置10と同じである。また、シート吸引冶具40dは、<A-1.構成>または<A-4.変形例>で説明した範囲においては、シート吸引冶具40と同じ構成である。
シート吸引冶具40dにおいて、複数のニードル42は、複数のバルーン45それぞれをニードル42の外に位置させて予め定められた最大サイズまで膨張させてもバルーン45が互いに接触することが無いような距離をへだてて配置されている。
例えば、各ニードル42は、図12のように配置される。図12は、シート吸引冶具40dの構成例を示す平面図である。
図12に示される例において、各ニードル42は接触面に垂直に配置されている。図12において、最も近接した2つのニードル42の中心軸間の距離をd、またそれぞれに収容されているバルーン45それぞれの予め定められた最大膨張時の直径をφmaxとする。この場合、各ニードル42は、d≧2φmaxとなるように配置されている。
各バルーン45の最大サイズは、<D-2.動作>で説明されるステップS16及びステップS17で各バルーン45に注入する流体の量を予め定めておくことで、予め定めることができる。
<D-2.動作>
チップピックアップ装置10dを用いたチップピックアップ方法は、<A-2.動作>の項目で説明したチップピックアップ方法と、当該項目で説明した範囲において、同じである。但し、当該項目の説明において、チップピックアップ装置10をチップピックアップ装置10cに置き換える。チップピックアップ装置10dを用いたチップピックアップ方法のフローチャートは図2に示される。
チップピックアップ装置10dでは、複数のニードル42は、複数のバルーン45それぞれをニードル42の外に位置させて予め定められた最大サイズまで膨張させてもバルーン45が互いに接触することが無いような距離をへだてて配置されている。そのため、チップピックアップ装置10dを用いたチップピックアップ方法においては、ステップS16及びステップS17で、バルーン45を予め定められた最大サイズまで膨張させる際に、バルーン45の中心が各ニードルの中心軸からずれていても、バルーン45が互いに接触することが無い。これにより、バルーン45同士の接触に起因する、バルーン45の大きさの想定からのずれやバルーン45の破裂が無くなり、チップピックアップ装置10dは、チップ21をチップ吸着冶具30までより安定的に搬送できる。
<D-3.効果>
チップピックアップ装置10dでは、複数のニードル42は、複数のバルーン45それぞれをニードル42の外に位置させて予め定められた最大サイズまで膨張させてもバルーン45が互いに接触することが無いような距離をへだてて配置されている。これにより、チップ21をピックアップする際にバルーン45同士の接触が起きることがなく、バルーン45同士の接触に起因する、バルーン45の大きさの想定からのずれやバルーン45の破裂が無くなり、チップピックアップ装置10dは、チップ21をチップ吸着冶具30まで安定的に搬送できる。
<D-4.変形例>
上記の<D-1.構成>の説明ではチップピックアップ装置10dはチップ吸着冶具30を備えていたが、チップピックアップ装置10dは、チップ吸着冶具30の代わりに、チップ吸着冶具30bまたはチップ吸着冶具30cを備えていてもよい。また、そのようなチップピックアップ装置10dを用いたチップピックアップ方法も、<D-2.動作>説明同様に実行可能である。その場合も、チップピックアップ装置10dにより、チップピックアップ装置10bまたはチップピックアップ装置10cと比べ、さらに<D-3.効果>に記載の効果が得られる。
<E.実施の形態5>
<E-1.構成>
実施の形態5に係るチップピックアップ装置(以下これをチップピックアップ装置10eとする)は、構成としては実施の形態1で説明したチップピックアップ装置10と同じである。図13は、シート吸引冶具40eの構成を示す平面図である。シート吸引冶具40eが備えるバルーン45を、図13に示されるように、外周側から順にバルーン1、バルーン2、バルーン3とする。
<E-2.動作>
チップピックアップ装置10eを用いたチップピックアップ方法は、<A-2.動作>または<A-4.変形例>の項目で説明したチップピックアップ方法と、当該項目で説明した範囲において、同じである。但し、当該項目の説明において、チップピックアップ装置10をチップピックアップ装置10eに置き換える。チップピックアップ装置10eを用いたチップピックアップ方法のフローチャートは図2に示される。
チップピックアップ装置10eを用いたチップピックアップ方法においては、ステップS16でバルーン45を膨張させる際、チップ21に生じる曲げ応力を小さくするため、まずチップ21の外周側のバルーン45を膨張させ、粘着シート20とチップ21とを剥離させる。その後、外周側のバルーン45の膨張で剥離しきらなかった部分を剥離させるため、内側のバルーン45を、チップ中心へ向かう順番で膨張させる。図13に示されているシート吸引冶具40eの例の場合、バルーン3の位置にチップ21の中心があるとすると、最初に複数のバルーン1が、次に複数のバルーン2が、最後にバルーン3が膨張させられる。また、複数のバルーン1を膨張させる際は、複数のバルーン1を同時に膨張させてもよいし、同時ではなく例えば時計回りの順に膨らませてもよい。複数のバルーン2を膨らます際も同様である。
ある物体に異なる向きの力が加わる場合に当該物体に生ずる曲げ応力は、当該異なる向きの力が当該物体の近い点で働く方が、小さくなる。例えば片持ち梁において、片持ち梁の支点と外力が加わる点の間の距離をL、加わる外力の大きさをFとすると、片持ち梁に働く曲げモーメントMの最大値MmaxはMmax=F・Lで与えられる。また、物体に生ずる曲げ応力は、曲げモーメントMに比例する。このように、外力が加わる点と、外力と逆向きの力が働く支持点とが近い方が、曲げ応力は小さくなる。
つまり、ステップS16でバルーン45を膨張させることによってチップ21を粘着シートから剥離させる際に、チップ21外周側からチップ21中心へ向かう順番で膨張させることで、チップ21に生じる曲げ応力が小さくなり、チップ21の割れによる破壊が抑制される。
<E-3.効果>
チップピックアップ装置10eは、複数の配管46を通して流体FLを複数のバルーン45の内部に注入して複数のバルーン45を膨張させることによってチップ21を粘着シート20から完全に剥離させる際に、バルーン45をチップ21外周側からチップ21中心へ向かう順番で膨張させる。これにより、チップ21に生じる曲げ応力が小さくなり、チップ21の割れによる破壊が抑制される。
<E-4.変形例>
チップピックアップ装置10eは、実施の形態2から4またはその変形例で説明されたチップピックアップ装置10b、チップピックアップ装置10c、チップピックアップ装置10dであってもよい。その場合も、<E-2.動作>で新たに説明された動作により、<E-3.効果>に記載の効果が得られる。なお、図13で例として示されているシート吸引冶具40eは、説明のため、図12に示されているシート吸引冶具40dとは異なる数のニードル42を備えているが、シート吸引冶具40eは図12に示されているシート吸引冶具40dであってもよい。
<F.実施の形態6>
<F-1.構成>
本実施の形態では、実施の形態1から5及びその変形例のチップピックアップ方法のいずれかを用いた半導体装置の製造方法について説明する。当該半導体装置の製造方法では、用いるチップピックアップ方法に応じて、実施の形態1から5及びその変形例で説明されたチップピックアップ装置10、チップピックアップ装置10b、チップピックアップ装置10c、チップピックアップ装置10d、チップピックアップ装置10e、のいずれかを用いる。
<F-2.動作>
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャートは、図14に示される。
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、図14に示されるように、ウエハをウエハプロセスにより加工する工程(ステップS31)と、ウエハプロセスにより加工されたウエハを粘着シート20に貼り付ける工程(ステップS32)と、ウエハを粘着シート20に貼り付いた状態のまま複数のチップに切り分けるダイシング工程(ステップS33)と、ウエハから切り分けられ粘着シート20に貼り付いた状態のチップをピックアップするピックアップ工程(ステップS34)と、を備える。
ウエハプロセスは例えば不純物イオン注入や不純物活性化などである。
ステップS33では、ウエハは複数のチップに切り分けられるが、粘着シート20は切られず、ダイシング工程の後も繋がったままである。
ステップS34では、実施の形態1から5及びその変形例で説明されたチップピックアップ方法のいずれかにより、ダイシング工程でウエハから切り分けられたチップであるチップ21をピックアップする。
ステップS34の後、チップ21は、例えば、チップ吸着冶具30によりチップトレー等の搬送用冶具に収納され、次工程で用いるチップテスト装置に搬送される。
<F-3.効果>
本実施の形態の半導体装置の製造方法で用いるチップピックアップ装置(チップピックアップ装置10、チップピックアップ装置10b、チップピックアップ装置10c、チップピックアップ装置10d、チップピックアップ装置10e、のいずれか)において、シート吸引冶具(シート吸引冶具40、シート吸引冶具40d、シート吸引冶具40e、のいずれか)は、各ニードル42の凹部43側または吸引孔410の吸引口側の端部の筒穴内に配管46に接続して配置され、配管46の進出によりニードル42外に位置可能であり、配管46から流体を内部に注入されることで膨張するバルーン45である、複数のバルーン45、を備える。これにより、本実施の形態の半導体装置の製造方法でチップ21をピックアップする際、チップ21下の粘着シート20を吸着することで生じた空間SPsに注入した流体が漏れるという問題が起こらない。
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1,2,3,45 バルーン、10,10b,10c,10d,10e チップピックアップ装置、20 粘着シート、21 チップ、30,30b,30c チップ吸着冶具、31 吸気孔、32 枠、33 緩衝材、40,40d,40e シート吸引冶具、41 排気孔、42 ニードル、43 凹部、44 バルーン出入口、46 配管、300 チップ吸着冶具駆動部、301 吸気部、310 吸気口、400 シート吸引冶具駆動部、401 排気部、420 ニードル駆動部、460 配管駆動部、461 流体注入部、FL 流体、SP,SPs 空間。

Claims (8)

  1. 粘着シートに貼り付けられた半導体チップを前記粘着シートから剥離してピックアップするチップピックアップ装置であって、
    前記チップを吸着するチップ吸着冶具と、
    前記粘着シートに接触する接触面に前記粘着シートを吸引する凹部または吸引孔が設けられたシート吸引冶具と、
    を備え、
    前記シート吸引冶具は、
    前記凹部に対しまたは前記吸引孔内で進退自在に設けられた筒状の複数のニードルと、
    各前記ニードルの筒穴内に進退自在に配置された配管である複数の配管と、
    各前記ニードルの前記凹部側または前記吸引孔の吸引口側の端部の筒穴内に前記配管に接続して配置され、前記配管の進出により前記ニードル外に位置可能であり、前記配管から流体を内部に注入されることで膨張するバルーンである、複数のバルーンと、
    を備える、
    チップピックアップ装置。
  2. 請求項1に記載のチップピックアップ装置であって、
    前記チップ吸着冶具の面であって前記チップ吸着冶具が前記チップを吸着する際に前記チップと対向する面である吸着面は、平面視で前記チップより大きく、
    前記チップ吸着冶具は前記吸着面より面直方向に突出した枠を備え、
    前記チップ吸着冶具が平面視において前記チップを前記枠の内側で吸着できるよう、前記枠が配置されている、
    チップピックアップ装置。
  3. 請求項2に記載のチップピックアップ装置であって、
    前記チップ吸着冶具が平面視において前記チップを前記枠の内側で前記枠との間に0.5mm以上の距離を保って吸着できるよう、前記枠が配置されている、
    チップピックアップ装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のチップピックアップ装置であって、
    前記チップ吸着冶具は緩衝材を備え、
    前記緩衝材は、前記チップ吸着冶具が前記チップを吸着する際には前記緩衝材が前記チップと接するように配置されている、
    チップピックアップ装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のチップピックアップ装置であって、
    前記複数のニードルは、前記複数のバルーンそれぞれを前記ニードルの外に位置させて予め定められた最大サイズまで膨張させても前記バルーンが互いに接触することが無いような距離をへだてて配置されている、
    チップピックアップ装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のチップピックアップ装置であって、
    前記複数の配管を通して前記流体を前記複数のバルーンの内部に注入して前記複数のバルーンを膨張させることによって前記チップを前記粘着シートから剥離させる際に、前記バルーンを前記チップ外周側から前記チップ中心へ向かう順番で膨張させる、
    チップピックアップ装置。
  7. 請求項1に記載のチップピックアップ装置を用いたチップピックアップ方法であって、
    前記シート吸引冶具の前記接触面を前記粘着シートに接触させる工程と、
    前記凹部または前記吸引孔により前記粘着シートの吸引を行うことで前記粘着シートと前記チップとの間に空間を作る工程と、
    前記複数のニードルそれぞれで前記粘着シートを突き破る工程と、
    前記複数の配管を進出させて前記複数のニードルそれぞれから前記バルーンを出すことで前記空間に前記複数のニードル外に位置する状態の前記複数のバルーンを挿入する工程と、
    前記複数の配管を通して前記流体を前記複数のバルーンそれぞれの内部に注入し、前記空間内で前記複数のバルーンを膨張させることによって、前記チップを前記粘着シートから剥離させる工程と、
    前記粘着シートから剥離した前記チップを前記チップ吸着冶具により吸着してピックアップする工程と、
    を備える、
    チップピックアップ方法。
  8. 請求項7に記載のチップピックアップ方法を用いた半導体装置の製造方法であって、
    半導体ウエハをウエハプロセスにより加工する工程と、
    前記ウエハプロセスにより加工された前記ウエハを前記粘着シートに貼り付ける工程と、
    前記ウエハを前記粘着シートに貼り付いた状態のまま複数のチップに切り分けるダイシング工程と、
    前記ウエハから切り分けられ前記粘着シートに貼り付いた状態の前記チップを請求項7に記載のチップピックアップ方法によりピックアップするピックアップ工程と、
    を備える、
    半導体装置の製造方法。
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