図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、電力変換装置1の内部構成を明確にするため、電力変換装置1の外側をなす筐体の一部について図示を省略している。以下において、互いに直交する3つの方向をX方向、Y方向、Z方向とする。
電力変換装置1は、電源が出力した電圧の大きさや周波数を所望の値に変換する装置である。電力変換装置1で電力を所望の値に変換することで、電気負荷を適切に駆動することが可能となる。電力変換装置1は、コンデンサユニット10と、リアクトルモジュール60とパワーモジュール80とを備えている。コンデンサユニット10の詳細な構成については、後に説明する。
リアクトルモジュール60は、リアクトル61とリアクトルケース62とリアクトル冷却器65とを備えている。リアクトル61は、電流が流れることで発熱する発熱部品である。リアクトル61は、端子が露出した状態で封止樹脂によって封止されている。リアクトル61は、リアクトルケース62の内部に収納されている。
リアクトルケース62は、例えば、金属などの熱伝導性能の良好な材料を主成分として構成されている。このため、リアクトルケース62を樹脂などの材料で構成した場合に比べて、リアクトル61で発生した熱を外部に放熱しやすい。
リアクトルケース62には、リアクトル61を冷却するための冷却媒体が内部を流れるリアクトル冷却器65が設けられている。リアクトル冷却器65は、冷却媒体の入口または出口として機能する出入口部66を備えている。リアクトル冷却器65は、冷却媒体の流路を形成している流路部67を備えている。
パワーモジュール80は、半導体装置81と半導体冷却器85とを備えている。半導体装置81は、MOSFETやIGBTなどのスイッチング素子を含んでいる。半導体装置81は、電流が流れることで発熱する発熱部品である。半導体装置81は、矩形板状である。半導体装置81は、複数枚設けられている。複数の半導体装置81は、X方向に並んでいる。
半導体冷却器85は、半導体装置81を冷却する冷却媒体が内部を流れる冷却器である。半導体冷却器85は、冷却媒体の流路のうち、円環状の流路をなす2本のヘッダ86を備えている。ヘッダ86は、X方向に沿って設けられている。半導体冷却器85は、2本のヘッダ86と連通して扁平状の流路をなす複数の扁平チューブ87を備えている。半導体装置81は、扁平チューブ87に挟まれて両面が冷却されることとなる。半導体冷却器85は、扁平チューブ87が複数積層されて構成されている積層型冷却器である。
図2において、リアクトルケース62は、リアクトル61を収納するリアクトル配置部とコンデンサユニット10が搭載される基部とを有している。リアクトル配置部と基部とは、連続して一体に構成されている。リアクトルケース62に形成されている流路部67は、基部の内側において、冷却媒体が循環可能な流路を形成している。流路部67は、リアクトル配置部の内側において、リアクトル61の周囲に冷却媒体が循環可能な流路を形成している。
コンデンサケース12からは、各端子部27p、27n、37p、37nが突出している。コンデンサケース12からは、グランド端子部17が突出している。リアクトルケース62の基部には、ケースボス63が設けられている。ケースボス63には、コンデンサユニット10を構成しているコンデンサケース12が固定されている。ケースボス63には、グランド端子部17が接続された状態である。コンデンサユニット10は、リアクトルケース62に載置された状態で固定されている。
電力変換装置1において、コンデンサユニット10とパワーモジュール80とは、互いに離間した状態でY方向に並んで配置されている。コンデンサユニット10とリアクトルケース62の基部とは、互いに接触した状態でY方向に並んで配置されている。言い換えると、コンデンサユニット10はY方向においてパワーモジュール80およびリアクトルケース62の基部と対向している。
以下に、電力変換装置1を利用する一例について説明する。図3は、電力変換装置1を用いて、直流電源2から出力される電力を変換し、モータ3を駆動する場合の回路図である。電力変換装置1には、直流電源2の高電位側が接続される正極入力端子2pが設けられている。電力変換装置1には、直流電源2の低電位側が接続される負極入力端子2nが設けられている。
電力変換装置1には、コンバータ部91が設けられている。コンバータ部91は、昇圧回路とも呼ばれる。コンバータ部91は、リアクトル61と半導体装置81とを備えている。半導体装置81は、高電位側のスイッチング素子と低電位側のスイッチング素子とを備えている。高電位側のスイッチング素子は、上アーム素子とも呼ばれる。低電位側のスイッチング素子は、下アーム素子とも呼ばれる。
コンバータ部91の半導体装置81において、高電位側のスイッチング素子のコレクタが高電位ラインと接続されている。さらに、高電位側のスイッチング素子のエミッタが低電位側のスイッチング素子のコレクタと接続されている。さらに、低電位側のスイッチング素子のエミッタが低電位ラインと接続されている。そして、各スイッチング素子のゲートが回路基板と接続されている。リアクトル61は、一端が正極入力端子2pに接続され、他端が高電位側のスイッチング素子のエミッタと低電位側のスイッチング素子のコレクタに接続されている。
電力変換装置1には、インバータ部92が設けられている。インバータ部92は、モータ3の各相に対応して、3つの半導体装置81を備えている。インバータ部92の各半導体装置81において、高電位側のスイッチング素子のコレクタが高電位ラインと接続されている。さらに、高電位側のスイッチング素子のエミッタが低電位側のスイッチング素子のコレクタと接続されている。さらに、低電位側のスイッチング素子のエミッタが低電位ラインと接続されている。そして、各スイッチング素子のゲートが回路基板と接続されている。また、高電位側のスイッチング素子のエミッタと低電位側のスイッチング素子のコレクタとが、モータ3の各相の端子であるU相端子3U、V相端子3V、W相端子3Wとのそれぞれに接続されている。
電力変換装置1には、ノイズ除去用コンデンサ11が設けられている。ノイズ除去用コンデンサ11は、直流電源2とコンバータ部91との間に設けられている。ノイズ除去用コンデンサ11は、2つのノイズ除去用コンデンサ素子11cで構成されている。一方のノイズ除去用コンデンサ11は、一端が正極入力端子2pと接続され、他端がグランドラインに接続されている。他方のノイズ除去用コンデンサ11は、一端が負極入力端子2nと接続され、他端がグランドラインに接続されている。ノイズ除去用コンデンサ11は、電流経路に伝搬したコモンモード電流をグランドラインに落として、コモンモードノイズを抑制する機能を備えている。ノイズ除去用コンデンサ11は、Yコンデンサとも呼ばれる。ノイズ除去用コンデンサ11は、コモンモードコンデンサとも呼ばれる。コモンモードノイズを低減する必要がない場合には、ノイズ除去用コンデンサ11を省略してもよい。
電力変換装置1には、フィルタコンデンサ21が設けられている。フィルタコンデンサ21は、直流電源2とコンバータ部91との間に設けられている。フィルタコンデンサ21は、一端が正極入力端子2pと接続され、他端が負極入力端子2nと接続されている。言い換えると、フィルタコンデンサ21は、直流電源2と並列に接続されている。フィルタコンデンサ21は、直流電源2からのノーマルモードノイズを抑制する機能を備えている。フィルタコンデンサ21は、Xコンデンサとも呼ばれる。フィルタコンデンサ21は、ノーマルモードコンデンサとも呼ばれる。
電力変換装置1には、平滑コンデンサ31が設けられている。平滑コンデンサ31は、インバータ部92の入力側に設けられている。平滑コンデンサ31は、コンバータ部91とインバータ部92との間に設けられている。平滑コンデンサ31は、一端が高電位ラインと接続され、他端が低電位ラインと接続されている。平滑コンデンサ31は、バッテリ電圧の変動を平滑化する機能を備えている。平滑コンデンサ31と並列に放電抵抗を備える構成としてもよい。
電力変換装置1の回路構成は、上述の例に限られない。例えば、電力変換装置1において、コンバータ部91やインバータ部92を複数備えてもよい。これによると、1つの電力変換装置1を用いて、複数台のモータ3を駆動できる。あるいは、電力変換装置1に昇圧機能が不要であれば、コンバータ部91を備えない構成としてもよい。また、周波数を変化させる機能が不要であれば、インバータ部92を備えない構成としてもよい。
コンデンサユニット10の詳細な構成について、以下に説明する。図4は、樹脂封止される前のコンデンサユニット10を示している。コンデンサユニット10は、ノイズ除去用コンデンサ11と、フィルタコンデンサ21と、平滑コンデンサ31との3つのコンデンサを備えている。コンデンサユニット10は、コンデンサケース12を備えている。コンデンサケース12には、3つのコンデンサが収納されている。コンデンサケース12に各コンデンサが収納された状態において、フィルタコンデンサ21と平滑コンデンサ31とは、X方向に並んで設けられている。
ノイズ除去用コンデンサ11は、2つのノイズ除去用コンデンサ素子11cを備えている。フィルタコンデンサ21は、2つのフィルタコンデンサ素子21cを備えている。平滑コンデンサ31は、7つの平滑コンデンサ素子31cを備えている。ノイズ除去用コンデンサ素子11cは、フィルタコンデンサ素子21cや平滑コンデンサ素子31cよりも静電容量の小さなコンデンサ素子である。このため、ノイズ除去用コンデンサ11は、フィルタコンデンサ素子21cや平滑コンデンサ素子31cよりも体格が小さい。フィルタコンデンサ21や平滑コンデンサ31を構成するコンデンサ素子の数は、上述の例に限られず、必要な静電容量を安定して確保できればよい。
コンデンサユニット10は、フィルタ側負極バスバ25nを備えている。フィルタ側負極バスバ25nは、フィルタ側負極接触部26nとフィルタ側負極端子部27nとを備えている。フィルタ側負極接触部26nは、各フィルタコンデンサ素子21cの表面をなす負極に溶接されて接触固定されている。言い換えると、2つのフィルタコンデンサ素子21cのそれぞれの負極と接触して、互いに接続している状態である。フィルタ側負極接触部26nは、2つ設けられているノイズ除去用コンデンサ素子11cの一方の端子と接続している。
フィルタ側負極端子部27nは、フィルタ側負極接触部26nから連続して延び出して設けられている。フィルタ側負極端子部27nの一部は、少なくともコンデンサケース12の外部まで延び出している。フィルタ側負極端子部27nは、直流電源2の負極側が接続されることとなる。
コンデンサユニット10は、フィルタ側正極バスバ25pを備えている。フィルタ側正極バスバ25pは、フィルタ側正極接触部とフィルタ側正極端子部とを備えている。フィルタ側正極接触部は、各フィルタコンデンサ素子21cの表面をなす正極に溶接されて接触固定されている。すなわち、2つのフィルタコンデンサ素子21cの正極と接触して、接続している状態である。フィルタ側正極接触部は、2つ設けられているノイズ除去用コンデンサ素子11cのうち、フィルタ側負極部と接続していない方と接続している。
フィルタ側正極端子部は、フィルタ側正極接触部から連続して延び出して設けられている。フィルタ側正極端子部の一部は、少なくともコンデンサケース12の外部まで延び出している。フィルタ側正極端子部は、直流電源2の正極側が接続されることとなる。
フィルタ側負極接触部26nとフィルタ側正極接触部とは、XZ平面と平行な面を有する電極面を形成している。フィルタコンデンサ素子21cは、Y方向においてフィルタ側負極接触部26nとフィルタ側正極接触部とに挟まれている。フィルタ側負極端子部27nの長手方向とフィルタ側正極端子部の長手方向とは、Z方向に沿う方向である。フィルタ側負極バスバ25nにおいて、フィルタ側負極接触部26nとフィルタ側負極端子部27nとの間の部分は、Y方向に沿って延びている。フィルタ側正極バスバ25pにおいて、フィルタ側正極接触部とフィルタ側正極端子部との間の部分は、Y方向に沿って延びている。
コンデンサユニット10は、2つのグランド端子部17を備えている。グランド端子部17は、ノイズ除去用コンデンサ素子11cのフィルタ側正極バスバ25pあるいはフィルタ側負極バスバ25nとは接続していない方の端子と接続している。グランド端子部17は、リアクトルケース62などをグランドとするグランドラインを構成している。
コンデンサユニット10は、平滑側負極バスバ35nを備えている。平滑側負極バスバ35nは、平滑側負極接触部36nと平滑側負極端子部37nとを備えている。平滑側負極接触部36nは、各平滑コンデンサ素子31cの表面をなす負極に溶接されて接触固定されている。言い換えると、7つの平滑コンデンサ素子31cのそれぞれの負極と接触して、互いに接続している状態である。
平滑側負極端子部37nは、平滑側負極接触部36nから連続して延び出して設けられている。平滑側負極端子部37nの一部は、少なくともコンデンサケース12の外部まで延び出している。平滑側負極端子部37nは、低電位ラインに接続されることとなる。平滑側負極バスバ35nにおいて、平滑側負極端子部37nは、2か所に設けられている。
コンデンサユニット10は、平滑側正極バスバ35pを備えている。平滑側正極バスバ35pは、平滑側正極接触部と平滑側正極端子部とを備えている。平滑側正極接触部は、各平滑コンデンサ素子31cの表面をなす正極に溶接されて接触固定されている。言い換えると、7つの平滑コンデンサ素子31cのそれぞれの正極と接触して、互いに接続している状態である。
平滑側正極端子部は、平滑側正極接触部から連続して延び出して設けられている。平滑側正極端子部の一部は、少なくともコンデンサケース12の外部まで延び出している。平滑側正極端子部は、高電位ラインに接続されることとなる。平滑側正極バスバ35pにおいて、平滑側正極端子部は、2か所に設けられている。
平滑側負極接触部36nと平滑側正極接触部とは、XZ平面と平行な面を有する電極面を形成している。平滑コンデンサ素子31cは、Y方向において平滑側負極接触部36nと平滑側正極接触部とに挟まれている。平滑側負極端子部37nの長手方向と平滑側正極端子部の長手方向とは、Z方向に沿う方向である。平滑側負極バスバ35nにおいて、平滑側負極接触部36nと平滑側負極端子部37nとの間の部分は、Y方向に沿って延びている。平滑側正極バスバ35pにおいて、平滑側正極接触部と平滑側正極端子部との間の部分は、Y方向に沿って延びている。
フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとは、接続バスバ15において接続されている。フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとは、接続バスバ15以外の部分では接続されておらず、互いに導通していない。接続バスバ15は、フィルタ側負極接触部26nとフィルタ側負極端子部27nとの間の部分と、平滑側負極接触部36nと平滑側負極端子部37nとの間の部分とを接続している。接続バスバ15は、コンデンサケース12の壁面に沿って設けられている。接続バスバ15は、長方形の板状である。接続バスバ15の長手方向は、フィルタコンデンサ21と平滑コンデンサ31との並び方向であるX方向に沿う方向である。
図5は、樹脂封止された後のコンデンサユニット10を示している。図において、封止樹脂材13によって覆われている部分を破線で示し、封止樹脂材13から露出している部分を実線で示している。ノイズ除去用コンデンサ11とフィルタコンデンサ21と平滑コンデンサ31とは、コンデンサケース12の収容空間に収納された状態で、封止樹脂材13によって封止されている。ノイズ除去用コンデンサ11とフィルタコンデンサ21と平滑コンデンサ31とは、封止樹脂材13によって覆われることで周囲の水分や外部からの衝撃などから保護されている状態である。ノイズ除去用コンデンサ11とフィルタコンデンサ21と平滑コンデンサ31とは、封止樹脂材13によって覆われることで、コンデンサケース12に対する相対的な移動が規制された状態である。
フィルタ側負極接触部26nとフィルタ側正極接触部とは、封止樹脂材13によって覆われることで保護されており、周囲との絶縁性が確保されている。一方、フィルタ側負極端子部27nとフィルタ側正極端子部とは、封止樹脂材13から露出している。
平滑側負極接触部36nと平滑側正極接触部とは、封止樹脂材13によって覆われることで保護されており、周囲との絶縁性が確保されている。一方、平滑側負極端子部37nと平滑側正極端子部とは、封止樹脂材13から露出している。
接続バスバ15は、封止樹脂材13によって覆われている封止部15fを備えている。接続バスバ15は、封止樹脂材13から露出している露出部15rを備えている。言い換えると、接続バスバ15は、下半分が封止部15fをなし、上半分が露出部15rをなしている。接続バスバ15は、封止樹脂材13によって覆われている封止部15fにおいて、コンデンサケース12に対する相対的な移動が規制された状態である。
コンデンサユニット10への通電に関して以下に説明する。電力変換装置1が電力変換を実施している間、フィルタコンデンサ21を介してフィルタ側正極バスバ25pからフィルタ側負極バスバ25nに向かって電流が流れる。これにより、フィルタコンデンサ21とフィルタ側正極バスバ25pとフィルタ側負極バスバ25nとにジュール熱が発生することとなる。ただし、フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとは、接続バスバ15によって接続されているため、平滑側負極バスバ35nにも一部の電流が流れることとなる。この場合、平滑側負極バスバ35nに流れる電流の多くは、接続バスバ15から平滑側負極端子部37nに向かって抵抗の小さい電流経路に集中して流れることとなる。言い換えると、平滑側負極接触部36n全体に電流が流れるのではなく、電流経路の最も短い接続バスバ15から平滑側負極端子部37nの間の部分に集中して流れることとなる。
電力変換装置1が電力変換を実施している間、平滑コンデンサ31を介して平滑側正極バスバ35pから平滑側負極バスバ35nに向かって電流が流れる。これにより、平滑コンデンサ31と平滑側正極バスバ35pと平滑側負極バスバ35nとにジュール熱が発生することとなる。ただし、フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとは、接続バスバ15によって接続されているため、フィルタ側負極バスバ25nにも一部の電流が流れることとなる。この場合、フィルタ側負極バスバ25nに流れる電流の多くは、接続バスバ15からフィルタ側負極端子部27nに向かって抵抗の小さい電流経路に集中して流れることとなる。言い換えると、フィルタ側負極接触部26n全体に電流が流れるのではなく、電流経路の最も短い接続バスバ15からフィルタ側負極端子部27nの間の部分に集中して流れることとなる。
以上のように、電力変換装置1が電力変換を実施することで、フィルタコンデンサ21や平滑コンデンサ31に直流電源2から出力された大きな電流が流れる場合がある。フィルタコンデンサ21に電流が流れる場合には、フィルタ側正極バスバ25pとフィルタコンデンサ21とフィルタ側負極バスバ25nに加えて、接続バスバ15と平滑側負極バスバ35nの一部に電流が流れる。一方、平滑コンデンサ31に電流が流れる場合には、平滑側正極バスバ35pと平滑コンデンサ31と平滑側負極バスバ35nに加えて、接続バスバ15とフィルタ側負極バスバ25nの一部に電流が流れる。まとめると、電力変換装置1が電力変換を実施している間、フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nと接続バスバ15とに電流が流れやすい。
フィルタ側負極バスバ25nは、封止樹脂材13から露出しているフィルタ側負極端子部27nから外部に積極的に放熱することができる。また、平滑側負極バスバ35nは、封止樹脂材13から露出している平滑側負極端子部37nから外部に積極的に放熱することができる。接続バスバ15は、封止樹脂材13から露出している露出部15rから外部に積極的に放熱することができる。このため、接続バスバ15を流れる電流で発生したジュール熱を露出部15rから外部に効果的に放熱できる。特に、接続バスバ15は、フィルタ側負極バスバ25nにおける電流経路や平滑側負極バスバ35nにおける電流経路よりも、断面積が小さい。このため、断面積の小さい接続バスバ15に集中して電流が流れることになる。したがって、接続バスバ15は、大きなジュール熱が発生しやすい電流経路である。よって、接続バスバ15に露出部15rを設けて放熱性能を向上させることは、非常に重要である。
フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとは、接続バスバ15で一体に接続されている。このため、接続バスバ15を介して、一方のバスバの熱が他方のバスバに熱伝導しやすい。しかしながら、接続バスバ15は、露出部15rを備えているため、接続バスバ15を介してフィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとの間で伝導される熱を外部に効果的に放熱できる。
接続バスバ15に電流が流れる場合、接続バスバ15の周囲には磁場が発生する。電流が流れた際に発生する磁場は、電磁誘導と呼ばれる現象により、周囲の電流経路にリプル電流などのノイズを発生させることになる。磁場を発生させている電流経路からの距離が短いほど、電磁誘導によるノイズが大きく発生しやすい。磁場を発生させている電流経路と並行する長さが長いほど、電磁誘導によるノイズが大きく発生しやすい。
接続バスバ15の近傍には、フィルタ側正極バスバ25pの一部が位置している。このため、接続バスバ15に電流が流れることで発生した磁場が、電磁誘導によりフィルタ側正極バスバ25pの一部にノイズとして影響を与えることとなる。接続バスバ15の長手方向は、X方向である。フィルタ側正極バスバ25pのうち接続バスバ15と最も近接している部分は、フィルタ側正極接触部とフィルタ側正極端子部との間の部分であり、その長手方向は、Y方向である。このため、接続バスバ15の長手方向と、フィルタ側正極バスバ25pのうち接続バスバ15と最も近接している部分の長手方向とは、直交する方向である。言い換えると、接続バスバ15における電流の流れ方向と、フィルタ側正極バスバ25pのうち接続バスバ15と最も近接している部分における電流の流れ方向とは、直交する方向である。したがって、フィルタ側正極バスバ25pのうち接続バスバ15と最も近接している部分は、接続バスバ15と並行する長さが最も短くなる角度に設けられている。
接続バスバ15の長手方向と、フィルタ側正極接触部とフィルタ側正極端子部との間の部分の長手方向とを直交する方向としなくてもよい。2つの長手方向が互いに平行とならない交差する角度であれば、接続バスバ15とフィルタ側正極バスバ25pのうち接続バスバ15と最も近接している部分とが並行する長さを短くして、ある程度ノイズの影響を低減できる。
また、接続バスバ15の一部をZ方向に屈曲させて、フィルタ側正極バスバ25pから離れるように構成してもよい。これによると、磁場を発生させている接続バスバ15とフィルタ側正極バスバ25pとの距離を長くすることができる。このため、電磁誘導によるノイズの影響を小さくできる。さらに、接続バスバ15の一部が実質的に撓んだような状態となる。このため、封止樹脂材13で封止する前にフィルタコンデンサ21と平滑コンデンサ31との相対的な距離に製造誤差が生じている場合であっても、接続バスバ15の撓み量を調整することで、この誤差を解消しやすい。
上述した実施形態によると、接続バスバ15は、封止樹脂材13に封止されている封止部15fと、封止樹脂材13から露出している露出部15rとを備えている。このため、接続バスバ15の熱を露出部15rから外部に放熱しやすい。したがって、接続バスバ15を介してフィルタコンデンサ21の熱と平滑コンデンサ31の熱とが互いに伝導することを抑制しやすい。さらに、封止部15fで封止樹脂材13に固定されている分、接続バスバ15の耐振性を高めることができる。よって、コンデンサへの通電で発生した熱を効果的に放熱可能なコンデンサユニット10を提供できる。また、封止部15fは、封止樹脂材13によって生じるデッドスペース内に収まることとなる。このため、接続バスバ15全体を封止樹脂材13から露出させる構成に比べて、コンデンサユニット10を小型化しやすい。
接続バスバ15は、フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとを接続している。このため、接続バスバ15に露出部15rを備えて積極的に外部に放熱することで、フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとの間での熱伝導を小さくすることができる。言い換えると、フィルタ側負極バスバ25nの熱が平滑側負極バスバ35nに大きく影響してしまうことを抑制しやすい。また、平滑側負極バスバ35nの熱がフィルタ側負極バスバ25nに大きく影響してしまうことを抑制しやすい。
フィルタコンデンサ素子21cや平滑コンデンサ素子31cなどに用いられるコンデンサ素子は、一般的に温度が高すぎると静電容量が低下しやすい。このため、各コンデンサを設計する際には、高温環境下を想定して必要な静電容量を確保できるように各コンデンサを構成するコンデンサ素子の数や静電容量を決める必要がある。ここで、接続バスバ15を介したフィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとの間での熱伝導を小さくすることができれば、設計時に想定する高温環境の条件を緩和しやすい。したがって、フィルタコンデンサ21や平滑コンデンサ31を構成するコンデンサ素子の数を減らしやすい。あるいは、1つのコンデンサ素子の静電容量を小さくできるため、体格の小さなコンデンサ素子を採用しやすい。よって、コンデンサユニット10を小型に設計しやすい。あるいは、コンデンサユニット10の熱余裕度を向上させやすい。
接続バスバ15は、フィルタ側負極接触部26nとフィルタ側負極端子部27nとの間に接続している。このため、平滑コンデンサ31に電流が流れる際に一部の電流がフィルタ側負極バスバ25nに流れる場合であっても、接続バスバ15からフィルタ側負極端子部27nの間の部分に集中して流れることとなる。言い換えると、フィルタ側負極接触部26nには、ほとんど電流が流れることがない。したがって、フィルタ側負極接触部26nにおいて大きなジュール熱が発生することを抑制できる。よって、フィルタコンデンサ21やノイズ除去用コンデンサ11の温度が大きく上昇することを抑制しやすい。
接続バスバ15とフィルタ側正極バスバ25pとが最も近接している部分において、接続バスバ15の長手方向とフィルタ側正極バスバ25pの長手方向とは、互いに交差する方向である。このため、接続バスバ15とフィルタ側正極バスバ25pとが並行に設けられている場合に比べて、電磁誘導によるノイズの影響を低く抑えやすい。
接続バスバ15とフィルタ側正極バスバ25pとが最も近接している部分において、接続バスバ15の長手方向とフィルタ側正極バスバ25pの長手方向とは、互いに直交する方向である。このため、接続バスバ15とフィルタ側正極バスバ25pとが取り得る相対的な角度の関係において、電磁誘導によるノイズの影響を最も低くすることができる。
フィルタ側負極バスバ25nと平滑側負極バスバ35nとは、接続バスバ15以外の部分では互いに接続されていない。このため、接続バスバ15以外の部分で接続バスバ15と同様にジュール熱が発生することや、熱伝導が引き起こされることを防ぐことができる。したがって、コンデンサユニット10に複数の接続バスバ15を設ける場合に比べて、コンデンサユニット10をシンプルで小型に設計しやすい。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、接続バスバ215がコンデンサケース12から突出している。
図6において、コンデンサユニット10は、接続バスバ215を備えている。Y方向における接続バスバ215の突出量は、Y方向におけるフィルタ側負極端子部27nの突出量よりも大きい。また、Y方向における接続バスバ215の突出量は、Y方向における平滑側負極端子部37nの突出量よりも大きい。コンデンサユニット10において、Y方向に最も大きく突出している部分は、接続バスバ215である。
接続バスバ215の露出部215rのY方向の大きさは、接続バスバ215のY方向の大きさの半分よりも大きい。言い換えると、接続バスバ215において、封止樹脂材13に封止されている部分よりも、封止樹脂材13から露出している部分の面積の方が大きい。
露出部215rは、半導体冷却器85に向かって近づく方向に突出している。露出部215rは、ヘッダ86で冷却されたヘッダ86の周囲の空気によって冷却可能な位置に設けられている。露出部215rは、半導体冷却器85に対向した位置に設けられている。露出部215rは、半導体冷却器85におけるヘッダ86のY方向の投影領域内に設けられている。コンデンサユニット10のうち、半導体冷却器85と最も近接している部分は、露出部215rである。半導体装置81は、発熱部品の一例を提供する。半導体冷却器85は、冷却部の一例を提供する。
露出部215rの絶縁性を確保した上で、露出部215rと半導体冷却器85とを接触させてもよい。また、露出部215rを、半導体冷却器85に向かって突出させるのではなく、リアクトル冷却器65などの別の冷却装置に向かって突出させてもよい。
上述した実施形態によると、露出部215rは、半導体装置81を冷却するための半導体冷却器85に対向した位置に設けられている。このため、半導体冷却器85の冷気によって露出部215rを積極的に冷却することができる。したがって、露出部215rにおける放熱性能を高めやすい。
接続バスバ215において、封止樹脂材13に封止されている部分よりも、封止樹脂材13から露出している部分の面積の方が大きい。このため、接続バスバ215のうち、空気にさらされる部分の面積を大きく確保できる。したがって、接続バスバ215の放熱性能を高めやすい。
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、1つの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。