JP7234347B2 - ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法 - Google Patents

ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法 Download PDF

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Description

本発明は金属鋳造の分野に属し、特に鋳造スラブを現場で後処理または後加工するための方法に関する。
鋼の連続鋳造において、外部冷却によって、鋳造スラブの表面が内部よりも早く凝固するため、表面が内部よりも大きく収縮し、凝固・結晶化の終了につれ、いくつかの局所領域の両側で柱状結晶が橋を架け、橋を取り巻く液体が凝固すると、液体コア内部の橋の上方からの溶鋼の補充が妨害されることにより、橋の下方の溶鋼が凝固する時に収縮空孔と緩みが発生してしまい、収縮空孔と緩みの形成により、真空の収縮空孔はデンドライト間の溶質に富む液体を吸引して中心部に向かって流させると同時に、マクロ偏析が発生してしまう。
軽圧下は圧縮鋳造に相当するため、収縮空孔、緩み及びマクロ偏析を同時に解消する作用を有し、鋳造スラブのフラットロールによる軽圧下技術はその原因で連続鋳造の分野で幅広く適用されている。
鋳造スラブの表面が内部よりも早く凝固するため、凝固完了点に近いほど鋳造スラブの凝固シェルが厚くなり、温度が低くなり、凝固シェルの両側が完全に凝固しており、圧下工程において凝固完了点に近いほど変形抵抗が大きくなることから、従来技術はいずれも1ペアのフラットロールを用いて圧縮するが、テンションレベラーの交換の原因で、それらは全て同様に作成され、圧下力も同様になることにより、前部テンションレベラーの圧力に余剰があるが、後部テンションレベラーの圧力が不足になる。高合金鋼の生産量が増えてくるにつれ、この矛盾はより顕著になった。凸ロールを用いて未凝固部でより効果的な軽圧下を行う技術は提案された。
出願の公開番号がCN105983668Aで、出願の公開日が2016年10月05日である中国発明特許出願では、「軽圧下ロール、それを備える軽圧下装置及び鋳造スラブの製造方法」が開示され、その軽圧下ロールの端部の直径は中央部の直径よりも小さく、ただし、軽圧下ロールの回転軸線を含む断面視で、中央部と端部の間の外周は、端部側に回転軸線に向けて隆起する第1円弧を有し、中央部側に第1円弧の隆起方向とは反対方向に向けて隆起する第2円弧を有し、第1円弧と第2円弧の両方と相接する接線は、回転軸線とのなす角が40°以下である。該技術方案は、定常な曲率を持つラグボス無しの凸形ロール(ドラム型ロール)を固相比率0.2の位置に取り付け、それを用いて大きな圧下量を施し、緩やかな曲率を持つラグボス付きの凸形ロールを凝固終点に位置させ、中心部の固相比率0.2の位置及び凝固終点の2箇所のみで、順次に大変形量で圧下を行うことにより、化学成分の偏析及び凝固中心部の収縮空孔、並びに酷い緩みによる品質の欠陥を解決する。しかしながら、鋳造スラブが凝固する原理によれば、軽圧下は圧縮鋳造に相当し、その圧下量は現有の溶鋼の収縮量を補償し、デンドライト間の低融点不純物に富む溶鋼の中心部への流動を制限するためのものであり、過剰の圧下量は凝固偏析の改善に有利ではない。
上記の中国発明特許出願では、後段の工程の鋼圧延プロセスにおいて鋳造スラブの窪みで生じる折り畳み欠陥を減らす目的で、その凸ロールの遷移曲線は、内側へ凹入するものと、外側へ凸出するものとを含み、互いに相接する2つの円弧線からなり、2つの円弧の半径は等しくなく、外側へ凸出する第1円弧の半径は通常、内側へ凹入する第2円弧の半径よりも小さい軽圧下装置も開示された。
出願の公開番号がCN107377919Aで、出願の公開日が2017年11月24日である中国発明特許出願では、「軸受鋼鋳造スラブの中心部の緻密度を上げる方法」が開示され、その連続鋳造プロセスにおいて、鋳造機の絞り速度を0.50m/min~0.65m/minに制御し、タンディッシュにおける溶鋼の過熱度を20℃~30℃に制御し、凝固完了点大圧下方式を採用し、分配された固相率に応じて軽圧下、大圧下を行い、大圧下はfs=0.9から始まり、fs=1.0になると、凸形ロールを用いて大圧下を行う。本技術方案は、凝固完了点大圧下方式を採用し、fs=0.9~1.0の時に単一の凸形ロールを用いて大圧下を行うことで、収縮空孔を低減させる。しかし、それはどのように軽圧下を行うという課題に触れていない。
本発明で解決しようとする課題は、ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法を提供することである。ただし、ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法で、凸ロール部分を用いてテンションレベラーの圧下力を低減させ、スラブ絞り抵抗を低減させる。ただし、異なるテンションレベラーの凸ロールに異なる長さのラグボスを適用することで、最終に鋳造スラブ上面で発生する圧痕形状の開口が広くなり、後段の工程の鋼圧延プロセスにおける折り畳み欠陥の発生を避けると共に、圧下力の低減に有利であり、且つ凸ロールテンションレベラーの圧下力の低減にも有利である。
本発明の技術方案は、連続鋳造ラインに複数のテンションレベラーを順次に設置して鋳造スラブを圧縮鋳造することを含むブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法であって、下記のことを特徴とする方法を提供することである:
1)鋳造スラブのブルーム連続鋳造の凝固熱伝達と液体コアのモデルデータを取得する;該モデルデータを取得する一つの実施形態は、連続鋳造プロセスと鋳造スラブ成形理論に従い、ブルーム連続鋳造の凝固熱伝達と液体コアについてモデルによる計算を行い、さまざまな鋼種、スラブ絞り速度、冷却条件、過熱度に基づき、キャスティング方向に沿った三次元温度場分布、二相領域、固相領域の厚さ、及び固相分率を計算する;
2)前記モデルデータまたはモデル計算に基づき、圧下の開始ロールと終了ロールの位置を決定し、且つ前記モデルデータを連続鋳造ラインにおける各テンションレベラーと関連付け、連続鋳造ラインにおける各テンションレベラーを鋳造スラブの相応の三次元温度場分布、二相領域、固相領域の厚さ、及び固相分率に対応させる;
3)鋳造スラブの体積収縮量を取得し、該体積収縮量に基づき、各テンションレベラーのロールの圧下量を決定する;鋳造スラブの体積収縮量を取得する実施形態は、鋳造条件に応じて実験式によって取得することを含む;
さらに、工程3)において、鋳造スラブの
Figure 0007234347000001
の区間で、鋳造スラブに大圧下の作業モードを施し、即ち、
Figure 0007234347000002
の場合、凸ロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造し、各テンションレベラーによる圧下量は、単一ロールの圧下率で1%~10%であり、一つの実施形態において、圧下量は最大で単一ロールで10mmである;また、工程3)において、鋳造スラブの
Figure 0007234347000003
の区間で、鋳造スラブに軽圧下の作業モードを施し、相応に、各テンションレベラーによる圧下量は、単一ロールの圧下率で2%以下であり、一つの実施形態において、圧下量は5mm以下である。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、
Figure 0007234347000004
の場合、フラットロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造するが、
Figure 0007234347000005
の場合、凸ロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造する。
圧下率は、圧下量を鋳造スラブ厚さで割ったものである。
前記形態によれば、凝固完了点から遠く離れた前部テンションレベラーの場合にも、フラットロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造する;
凝固完了点に近い後部テンションレベラーの場合には、凸ロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造する;
前記軽圧下方法によれば、フラットロールテンションレベラーと凸ロールテンションレベラーの組み合わせによる軽圧下方法を用いて、鋳造スラブに凝固完了点の軽圧下制御をすることで、鋳造スラブの中心部の緩み、収縮空孔及び偏析を低減させ、圧延材の内部品質を改善する;
前記軽圧下方法によれば、凸ロールテンションレベラーの圧下力を低減させると共に、鋳造スラブの連続鋳造プロセスにおけるスラブ絞り抵抗を低減させることができる。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記凸ロールテンションレベラーの上部ロールは凸ロールであり、ロールギャップを調整するために上昇・下降することができ、前記凸ロールはモーターと減速機に接続される;前記凸ロールテンションレベラーの下部ロールはフラットロールである;前記上部ロールと下部ロールはフレームで接続されており、4ペアの駆動油圧シリンダーを介して中央の鋳造スラブに圧下力を掛ける。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記上部ロールは凸ロールであり、駆動ロールでもある。前記下部ロールはフラットロールであり、動かずに固定される従動ロールでもある。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記凸ロールのロール本体の作業部の輪郭曲線は、第1直線分ABと、第1遷移曲線分BCと、第2直線分CDと、第2遷移曲線分DEと、第3直線分EFとが順次に連結してなる;ただし、第1直線分ABは第3直線分EFと同軸にまたは同一平面に設置され、第2直線分CDは第1直線分ABまたは第3直線分EFと平行に設置される;第1遷移曲線分BCと第2遷移曲線分DEはそれぞれ正弦曲線からなり、或いは内側へ凹入するものと、外側へ凸出するものとを含み、互いに相接する2つの円弧線からなり、2つの円弧の半径は等しい若しくは等しくない;凸ロールの長手方向の断面について、第1遷移曲線分BCと、第2直線分CDと、第2遷移曲線分DEとは、凸ロールの表面でラグボス形態の凸構造を形成する。
前記軽圧下方法によれば、鋳造スラブ上面で発生する圧痕形状の開口を広くし、後段の工程の鋼圧延プロセスにおける折り畳み欠陥の発生を避けると共に、圧下力の低減に有利であり、且つ凸ロールテンションレベラーの圧下力の低減にも有利である。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記ラグボスの第1遷移曲線分BC曲線の正弦曲線の方程式は:
Figure 0007234347000006
である;
式中:Hはラグボス高さであり;nはラグボスの第1遷移曲線分BCのx軸への投影長さである。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記第2遷移曲線分DEと第1遷移曲線分BCは鏡映対称である;それらの鏡映対称中心線は、第2直線分CDの中点を通り、且つ第2直線分CDに垂直する直線である。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、鋳造スラブの
Figure 0007234347000007
の区間で、各テンションレベラーは、鋳造スラブ上面で発生する圧痕形状の開口が凸ロールのロール本体の第2直線分CDの長さに等しい。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記各テンションレベラーの凸ロールのロール本体の第2直線分CDの長さは、連続鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の未凝固二相領域の幅Dによるものである。
前記軽圧下方法の一つまたは複数の実施形態において、前記各テンションレベラーの凸ロールのロール本体の第2直線分CDの長さは≧D+40mmである。
従来技術に比べて、本発明の利点は:
1.ある実施形態によれば、ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法によって凝固完了点の軽圧下制御をすることで、統合利用によって鋳造スラブの中心部の緩み、収縮空孔及び偏析を低減させ、圧延材の内部品質を改善する;
2.ある実施形態によれば、両側の凝固した凝固シェルによる大きな変形抵抗を回避し、凸ロールテンションレベラーの圧下力を低減させることができる;摩擦力が小さくなるので、鋳造スラブの連続鋳造プロセスのスラブ絞り抵抗も小さくなる;
3.ある実施形態によれば、軽圧下は、単一の凸形ロールによる大きな圧下量ではなく、分散圧下によって実現され、しかも異なる長さのラグボス付き圧下ロールにより、軽圧下終了後、最終に鋳造スラブ上面で発生する圧痕形状の開口が広くなり、後段の工程の鋼圧延プロセスにおける折り畳み欠陥の発生を避けると共に、凸ロールテンションレベラーの圧下力の低減にも有利である。
図1は本技術方案における連続鋳造の凝固熱伝達の計算プロセスの模式図である。 図2は本発明のブルームを軽圧下テンションレベラーに適用する場合の取り付け位置の模式図である。 図3は本発明のブルームの凝固完了点の二相領域の幅の模式図である。 図4は本発明のブルームのテンションレベラーの凸ロールによる圧下の模式図である。 図5は凸形圧延ロールの輪郭形状の模式図である。 図6は鋳造スラブ上面の圧痕形状の模式図である。
以下、図面および実施例に基づいて本発明をさらに説明する。
図1において、まず従来の連続鋳造プロセスと鋳造スラブ成形理論に従い、ブルーム連続鋳造の凝固熱伝達と液体コアについてモデルによる計算を行う:
凝固熱伝達方程式:
Figure 0007234347000008
に基づき、
初期条件:
Figure 0007234347000009
と、境界条件:
第1種境界条件:
Figure 0007234347000010
第2種境界条件:
Figure 0007234347000011
第3種境界条件:
Figure 0007234347000012
とを指定し、鋼の物性パラメーターを代入することで、有限要素計算により、さまざまな鋼種、スラブ絞り速度、冷却条件、過熱度での鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の三次元温度場分布、二相領域、固相領域の厚さ、及び固相分率を計算することができる。
図1は連続鋳造の凝固熱伝達の計算のフローチャートである。ただし、「開始」とは、計算の開始である;「データを入力する」とは、鋼の物性パラメーター、鋼種、スラブ絞り速度、過熱度などを入力することである;「水量データベースを調査する」とは、各冷却領域の各冷却回路における冷却水量を調査することである;「スライスを初期化する」とは、有限要素スライス計算の開始時にスライスを初期化することである;「スライスの時間と位置を記録(更新)する」とは、スライスが形成される時間と到達する位置を記録(更新)することである;「節点位置を判断する」とは、節点位置が結晶器内にあるか、それとも二次冷却領域にあるかを判断することである;「結晶器」内にあると、結晶器の熱の流れを計算する;「二次冷却領域」にあると、各二次冷却領域の熱の流れを計算し、もし「二次冷却領域」に水冷領域、即ち空冷領域が無ければ、空冷領域の熱の流れを計算する;「節点相領域を判断する」とは、節点が「液相領域」にあるか、「二相領域」にあるか、それとも「固相領域」にあるかを判断し、「節点位置を判断する」と同時に、節点が鋳造スラブの「中心部」にあるか、「内部」にあるか、それとも「表面」にあるかを判断することである;「スライスの温度を求める」とは、各スライスの温度値を計算することである;「結果を出力する」とは、鋳造スラブの三次元温度場分布、二相領域の厚さ、固相領域の厚さ、固相分率などの計算結果を出力することである。
図2において、連続鋳造ラインにおける各テンションレベラー(i=1~n、nは一つの連続鋳造ラインにおけるテンションレベラーの総数である)の場所または位置が示される。
図中、矢印は連続鋳造プロセスの方向、即ち鋳造スラブの進行方向を示す。
図3において、鋳造スラブの二相領域及び固相領域の厚さが示される。
図中、ハッチング部分は固相領域を、空白領域は二相領域を、Dは二相領域の幅を、Pは
Figure 0007234347000013
の圧下区間を、矢印は連続鋳造プロセスの方向、即ち鋳造スラブの進行方向を示す。
図3の計算結果からみれば、凝固完了点から遠く離れたテンションレベラー(即ち前部テンションレベラー、その番号iは小さく、i値は1~4の間から選択される)の場合、凝固シェルが薄く、鋳造スラブの温度が高く、必要な軽圧下力が小さいことから、軽圧下の要求を満たせるが、凝固完了点に近いテンションレベラー(即ち後部テンションレベラー、その番号iは大きく、i値は5~8の間から選択される)の場合、凝固シェルが厚く、鋳造スラブの温度が低く、必要な軽圧下力が大きいことから、軽圧下の要求を満たせない。
従って、本発明の技術方案はフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法を採用し、前部テンションレベラーの場合にも、フラットロールによる方案を適用するが、後部テンションレベラーの場合には、凸ロールによる方案を適用する。特に従来の連続鋳造機の場合、後部テンションレベラーの圧下能が不十分であるので、このような組み合わせ方案による軽圧下は極めて適切である。前部テンションレベラーと後部テンションレベラーの境界は通常
Figure 0007234347000014
によるが、発明者らの推薦によれば、鋳造スラブの固相分率が
Figure 0007234347000015
の場合、フラットロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造するが、
Figure 0007234347000016
の場合、凸ロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造する。
図4において、凸ロールテンションレベラーの模式図が示され、上部ロール1は凸ロールであり、駆動ロールでもあり、ロールギャップを調整するために上昇・下降することができ、モーターと減速機に接続される;下部ロール3はフラットロールであり、動かずに固定される従動ロールでもあり、上部ロールと下部ロールはフレームで接続されており、4ペアの駆動油圧シリンダーを介して中央の鋳造スラブに圧下力を掛ける。
上部ロールと下部ロールの間にあるのは鋳造スラブ2である。
図5において、本技術方案における凸ロールテンションレベラーの凸ロール形状の構造模式図が示され、図面から分かるように、前記凸形ロール(凸ロールと略称される)のロール本体の作業部の輪郭曲線は、第1直線分ABと、第1遷移曲線分BCと、第2直線分CDと、第2遷移曲線分DEと、第3直線分EFとからなる。
ただし、第1遷移曲線分BCと第2遷移曲線分DEは正弦曲線からなり、或いは内側へ凹入するものと、外側へ凸出するものとを含み、互いに隣接の直線分と相接する2つの円弧線からなり、2つの円弧の半径は等しい若しくは等しくない。
各凸ロールの長手方向の縦断面について、第1遷移曲線分BCと、第2直線分CDと、第2遷移曲線分DEとは、凸ロールの表面でラグボス形態の凸構造4を形成することは明らかになる。
図5の座標系において、B点は座標の原点であり、x軸はロールの中心軸に平行し、y軸はロールの中心軸線に垂直する。
前記第1遷移曲線分BCの正弦曲線の方程式は:
Figure 0007234347000017
である;
式中:Hはラグボス高さである。nはラグボスの第1遷移曲線分BCのx軸への投影長さである。
nはラグボス高さHの倍数であり、即ちラグボスの第1遷移曲線分BCのx軸への投影長さは
Figure 0007234347000018
である。
第2遷移曲線分DEは、線分CDの中点に沿ったものを中心線として、第1遷移曲線分BCに鏡映を施すことによって形成することができる。
特に、凸ロールのロール本体中央の第2直線分CDの長さは、図3における連続鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の未凝固二相領域の幅Dによるものである。
鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の未凝固二相領域の幅Dが相違することから、テンションレベラーの位置によって、各凸ロールの第2直線分(中間直線分とも言う)CDの長さも相違する。
理論的には、各テンションレベラーに対応する凸ロールの第2直線分の長さCDi(ただし、i=連続鋳造ラインにおける各テンションレベラーの位置番号)は、鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の未凝固二相領域の幅Di(ただし、i=連続鋳造ライン上の各テンションレベラーの位置番号)と同等若しくはそれ以上である必要があるが、鋳造速度、鋼種、過熱度、冷却強度の違いによって、Di値は変化するため、汎用性のことも考慮すると、実際には、各テンションレベラーについて、それらに対応する凸ロールの第2直線分CDiの長さは、鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の未凝固二相領域の幅Diよりも長くする必要がある。鋳造スラブを下方に絞る過程において、鋳造スラブがストランド中心線から逸れること(偏流と言う)も考慮すると、フラットロールは常に鋳造スラブの中心部の未凝固二相領域に加圧できるゆえ、小さい偏流がフラットロールテンションレベラーに大きく影響しないが、凸ロールの突出部(即ち前記ラグボス)も鋳造スラブの中心部の未凝固二相領域に加圧できることは要求される。
まとめて考慮すると、各テンションレベラーiについて、対応する凸ロールの第2直線分CDiの長さ≧Di+40mmであることを薦める(ただし、i=連続鋳造ラインにおける各テンションレベラーの位置番号)。
ラグボス高さHは、全てのテンションレベラーの圧下区間における総凝固体積収縮及び線収縮によって決定されるが、汎用性も考慮すると、それを理論計算値よりも30%大きくする。
図6は、異なる長さのラグボス付き圧下ロールにより、軽圧下終了後、最終に鋳造スラブ上面で発生する圧痕形状である。
圧痕Tの開口が広くなり(正確に言えば、開口の底部から上に向かって徐々に広がる傾向があり、ほぼ上下逆の等脚台形になり)、後段の工程の鋼圧延プロセスにおける折り畳み欠陥の発生を避けると共に、凸ロールテンションレベラーの圧下力の低減にも有利であることは明らかになる。
本発明の技術方案によれば、ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法によって凝固完了点の軽圧下制御をすることで、統合利用によって鋳造スラブの中心部の緩み、収縮空孔及び偏析を低減させ、圧延材の内部品質を改善する。
鋳造スラブは鋳造スラブの凝固過程において大きな体積収縮が発生するため、鋳造スラブの体積収縮を補償するために、より大きな圧下量が必要になるが、圧下プロセスにおいて、鋳造スラブには主に両側の凝固した凝固シェルに集中する変形抵抗が発生する。
本発明にかかるブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法によれば、両側の凝固した凝固シェルによる大きな変形抵抗を回避し、凸ロールテンションレベラーの圧下力を低減させることができる。鋳造スラブの凝固完了点で
Figure 0007234347000019
で大圧下を行い、鋳造スラブの中心部の緻密度を上げることができると共に、凸ロールと鋳造スラブの接触面積が小さくなり、摩擦力が小さくなるので、鋳造スラブの連続鋳造プロセスのスラブ絞り抵抗も小さくなる。
それらと共に、本発明にかかるフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法によれば、軽圧下は、単一の凸形ロールによる大きな圧下量ではなく、分散圧下によって実現され、しかも異なる長さのラグボス付き圧下ロールにより、軽圧下終了後、最終に鋳造スラブ上面で発生する圧痕形状の開口が広くなり、後段の工程の鋼圧延プロセスにおける折り畳み欠陥の発生を避けると共に、凸ロールテンションレベラーの圧下力の低減にも有利である。
実施例一:
連続鋳造ラインのプロセスの進行方向に沿って、9つのテンションレベラーを順次に設置し、各テンションレベラーの番号を順番に1番から9番にした。
まず、連続鋳造プロセスと鋳造スラブ成形理論に従い、ブルーム連続鋳造の凝固熱伝達と液体コアについてモデルによる計算を行い、さまざまな鋼種、スラブ絞り速度、冷却条件、過熱度に基づき、鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の三次元温度場分布、二相領域、固相領域の厚さ、及び固相分率を計算した;その後、モデル計算に基づき、圧下の開始ロールと終了ロールの位置を決定し、且つ連続鋳造ラインにおける各テンションレベラーと関連付けたところ、以下の結果が得られた:
1~5番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmであるフラットロールを取り付けた。
6番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分(即ち前記第1と第3直線分、以下同じ)の長さがAB=EF=90mmで、中間直線分(即ち前記第2直線分、以下同じ)CDの長さが240mmで、遷移曲線分BCとDE(即ち前記第1遷移曲線分BCと第2遷移曲線分DE、以下同じ)の水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
7番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=105mmで、中間直線分CDの長さが210mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
8番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=120mmで、中間直線分CDの長さが180mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
9番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=135mmで、中間直線分CDの長さが150mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
実施例二:
1~5番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmであるフラットロールを取り付けた。
6番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=85mmで、中間直線分CDの長さが250mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
7番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=95mmで、中間直線分CDの長さが230mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
8番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=105mmで、中間直線分CDの長さが210mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
9番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=115mmで、中間直線分CDの長さが190mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
残りは実施例一と同様にした。
実施例三:
1~5番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmであるフラットロールを取り付けた。
6番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=90mmで、中間直線分CDの長さが240mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
7番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=105mmで、中間直線分CDの長さが210mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
8番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=120mmで、中間直線分CDの長さが180mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
9番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmであるフラットロールを取り付けた。
残りは実施例一と同様にした。
実施例四:
1~4番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmであるフラットロールを取り付けた。
5番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=85mmで、中間直線分CDの長さが250mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
6番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=95mmで、中間直線分CDの長さが230mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
7番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=105mmで、中間直線分CDの長さが210mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
8番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmで、ラグボス高さH=20mmで、両端の直線分の長さがAB=EF=115mmで、中間直線分CDの長さが190mmで、遷移曲線分BCとDEの水平方向への投影長さが40mmである凸ロールを取り付けた。
9番のテンションレベラーには、圧延ロールの作業部のロール本体の長さが500mmで、ロール径が500mmであるフラットロールを取り付けた。
残りは実施例一と同様にした。
以上のように、本発明を実施する時、まず本発明の方法に従い、さまざまな鋼種、スラブ絞り速度、冷却条件、過熱度に基づき、鋳造スラブが各テンションレベラーに到達する時の三次元温度場分布、二相領域、固相領域の厚さ、及び
Figure 0007234347000020
を計算し、
Figure 0007234347000021
を軽圧下区間とし、モデル計算に基づき、圧下の開始ロールと終了ロールの位置を決定し、体積収縮量に基づき、各ロールを圧下量を決定し、鋳造スラブが圧下区間に入ると、単一ロールの圧下量を5mm以下とし、
Figure 0007234347000022
の場合に、単一ロールの圧下量を最大で10mmとする。
本発明の技術方案は、ブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法により、両側の凝固した凝固シェルによる大きな変形抵抗を回避し、凸ロールテンションレベラーの圧下力を低減させることができる。鋳造スラブの凝固完了点で
Figure 0007234347000023
で大圧下を行い、鋳造スラブの中心部の緻密度を上げることができると共に、凸ロールと鋳造スラブの接触面積が小さくなり、摩擦力が小さくなるので、鋳造スラブの連続鋳造プロセスのスラブ絞り抵抗も小さくなる。
本発明は金属鋳造の分野に幅広く適用できる。

Claims (9)

  1. 連続鋳造ラインに複数のテンションレベラーを順次に設置して鋳造スラブ圧縮鋳造することを含むブルーム連続鋳造用のフラットロールと凸ロールの組み合わせによる軽圧下方法であって、下記のことを特徴とする方法:
    鋳造スラブで成形する鋼の鋼種、スラブ絞り速度、冷却条件、過熱度に基づき、キャスティング方向に沿った三次元温度場分布、二相領域、固相領域の厚さ、及び
    Figure 0007234347000024

    を含む鋳造スラブのブルーム連続鋳造の凝固熱伝達と液体コアのモデルデータを取得する;
    前記モデルデータに基づき、圧下の開始ロールと終了ロールの位置を決定し、且つ前記
    モデルデータを連続鋳造ラインにおける各テンションレベラーと関連付ける;
    鋳造スラブの体積収縮量を取得し、前記体積収縮量に基づき、各テンションレベラーの
    ロールの圧下量を決定し、且つ鋳造スラブの
    Figure 0007234347000025

    の区間で、鋳造スラブに大圧下の作業モードを施し、各テンションレベラーによる圧下量は、単一ロールの圧下率で1%~10%である;
    鋳造スラブの
    Figure 0007234347000026

    の区間で、鋳造スラブに軽圧下の作業モードを施し、相応に、各テンションレベラーによ
    る圧下量は、単一ロールの圧下率で2%以下である;
    ただし、前記複数のテンションレベラーは、前部テンションレベラーと後部テンションレベラーに分けられ、前記後部テンションレベラーは前記前部テンションレベラーよりも鋳造スラブの凝固完了点に接近し、前記後部テンションレベラー凸ロールテンションレベラーであり、前記前部テンションレベラーはフラットロールテンションレベラーであり、
    鋳造スラブの
    Figure 0007234347000027

    の場合、フラットロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造するが、
    Figure 0007234347000028

    の場合、凸ロールテンションレベラーで鋳造スラブを圧縮鋳造する。
  2. 前記凸ロールテンションレベラーの上部の凸ロールは、ロールギャップを調整するために上昇・下降することができ、前記上部の凸ロールはモーターと減速機に接続される;
    前記上部の凸ロールと前記凸ロールテンションレベラーの下部のフラットロールはフレームで接続されており、中央の鋳造ブルームに圧下力を掛ける
    ことを特徴とする、請求項1に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  3. 前記上部の凸ロールは、駆動ロールでもあることを特徴とする、請求項1に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  4. 前記下部のフラットロールは、動かずに固定される従動ロールでもあることを特徴とする、請求項1に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  5. 前記上部の凸ロールのロール本体の作業部の輪郭曲線は、第1直線分(AB)と、第1遷移曲線分(BC)と、第2直線分(CD)と、第2遷移曲線分(DE)と、第3直線分(EF)とが順次に連結してなる;
    ただし、第1直線分(AB)は第3直線分(EF)と同軸にまたは同一平面に設置され、第2直線分(CD)は第1直線分(AB)または第3直線分(EF)と平行に設置される;
    第1遷移曲線分(BC)と第2遷移曲線分(DE)はそれぞれ正弦曲線からなり、或いは内側へ凹入するものと、外側へ凸出するものとを含む2つの円弧線からなり、2つの円弧の半径は等しい若しくは等しくない;
    前記上部の凸ロールの長手方向の断面について、第1遷移曲線分(BC)と、第2直線分(CD)と、第2遷移曲線分(DE)とは、前記上部の凸ロールの表面でラグボス形態の凸構造を形成する
    ことを特徴とする、請求項1に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  6. 前記第2遷移曲線分(DE)と第1遷移曲線分(BC)は鏡映対称である;それらの鏡映対称中心線は、前記第2直線分(CD)の中点を通り、且つ前記第2直線分(CD)に垂直する直線であることを特徴とする、請求項5に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  7. 前記各テンションレベラーの前記上部の凸ロールのロール本体の第2直線分(CD)の長さは、鋳造ブルームが各ロールに到達する時の未凝固二相領域の幅(D)であることを特徴とする、請求項5に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  8. 前記各テンションレベラーの前記上部の凸ロールのロール本体の第2直線分(CD)の長さは≧D+40mmであることを特徴とする、請求項7に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
  9. 鋳造スラブに大圧下の作業モードを施す各テンションレベラーによる圧下量は、最大で単一ロールで10mmである;鋳造スラブに軽圧下の作業モードを施す各テンションレベラーによる圧下量は、単一ロールで5mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のブルーム連続鋳造用の軽圧下方法。
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