JP7233381B2 - コテ仕上げ剤及びその使用方法 - Google Patents
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Description
より具体的な課題としては、(1)コンクリート表面のコテ仕上げの品質が向上し、コンクリート強度が増進するとともに、コテ仕上げが可能となるまでの時間を短縮できるコテ仕上げ剤、あるいは、(2)コンクリートの打設後、ブリーディングの発生が継続する状況でもコテ仕上げが可能なコテ仕上げ剤を提供するものである。
[2] コンクリート用である[1]に記載のコテ仕上げ剤。
[3] 前記流動パラフィンが50~95質量部、並びに、前記硫酸アルミニウム及び/又は前記カリウムミョウバンが5~50質量部である[1]又は[2]に記載のコテ仕上げ剤。
[4] コンクリートに対する前記コテ仕上げ剤の添加量が2~10kg/m3であって、練り混ぜ完了から90分後のコンクリートのスランプ又はスランプフロー値が、コテ仕上げ剤を添加しないコンクリートに対して、スランプ値が±2cm又はスランプフロー値が±5cmの範囲とする[1]~[3]のいずれかに記載のコテ仕上げ剤の使用方法。
より具体的には、(1)コンクリート表面のコテ仕上げの品質が向上し、コンクリート強度が増進するとともに、コンクリート打設からコテ仕上げが可能となるまでの時間を短縮できる、あるいは、(2)コンクリートを打設後、ブリーディングの発生が継続する状況でもコテ仕上げが可能で、コテ仕上げ後はブリーディングが収まるため、左官職人の業務効率化につながり、建設現場の残業を減らすことができるといった効果を奏する。
なお、上記(1)の課題は主に後述する本発明の第1の形態により達成され、上記(2)の課題は主に後述する本発明の第2の形態により達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、「部」や「%」は、特に規定しない限り質量基準である
本発明の第1の形態は、ギ酸又はその塩を70質量部以上95質量部以下、及び粘土鉱物を5質量部以上30質量部以下含有してなるコテ仕上げ剤である。
第1の形態におけるギ酸又はその塩は、特に限定されないが、例えば、ギ酸、ギ酸カルシウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウムなどが挙げられる。中でも、ギ酸カルシウムの使用が、アルカリ骨材反応を起こさないこと、並びに、セメントの水和反応に関わるカルシウムイオンを供給することから好ましい。
第1の形態の粘度鉱物は、コンクリート用コテ仕上げ剤100部中、5部以上30部以下が好ましく、10部以上20部以下がより好ましい。
本発明の第2の形態は、流動パラフィンと、硫酸アルミニウム及び/又はカリウムミョウバンとを含有してなるコテ仕上げ剤である。
第2の形態のコテ仕上げ剤は、コンクリートを打設後、ブリーディングの発生が収まるのを待たなくてもコテ仕上げに取り掛かることができるため、左官職人の業務効率化につながる。通常、コンクリートを打設後、左官職人が一次仕上げを行い、ブリーディングの発生が収まってから、再び最終仕上げを行うため、二度の左官作業が必要であった上に、一次仕上げから最終仕上げを行うまでに、待機時間が数時間にもおよぶ場合が多く、この待機時間が建設現場の残業につながっていた。
第2の形態のコテ仕上げ剤を用いることで、一次仕上げと最終仕上げを兼ねて、一度の左官作業で済ませることが可能となり、建設現場の残業を減らすことが可能となる。
第2の形態では、市販されているパラフィン系養生剤を用いることができる。その具体例としては、例えば、ポゾリス物産社製「マスターキュア」や、フォスロック社製「コンキュアー」などを挙げることができる。
なお、本明細書における「粒度」は、篩分けにより求めることができる。
(実験例1A)
単位セメント量300kg/m3、W/C=55%、s/a=47%、空気量4.5%、スランプ12cm、減水剤添加率=セメント×0.4%、のコンクリートを、50リットルの2軸ミキサを用いて作製した。
さらに、コンクリート用コテ仕上げ剤を、コンクリートの練り上げが完了した2軸ミキサ内に6kg/m3投入し30秒混和した。コテ仕上げ時間、コンクリート表面の目視観察結果、コンクリートの流動保持性、圧縮強度を表1に示す。
試験は、5℃、湿度60%の恒温室内にて実施した。
セメント:普通ポルトランドセメント、デンカ株式会社製
細骨材:姫川産川砂(密度:2.62g/m3)
粗骨材:姫川産砕石(密度:2.60g/m3)
減水剤:リグニン系減水剤、GCP株式会社製
水:水道水
ギ酸A:ギ酸カルシウム、試薬
ギ酸B:ギ酸、試薬
ギ酸C:ギ酸ナトリウム、試薬
ギ酸D:ギ酸カリウム、試薬
ギ酸E:ギ酸アンモニウム、試薬
粘土鉱物A:セピオライト、巴工業株式会社製、商品名「IGS」
粘土鉱物B:ベントナイト、株式会社ホージュン製、商品名「榛名」
コテ仕上げ時間:30×30×10cmの型枠を20個準備してコンクリートを充填し、コンクリートの打設から1時間ごとに1つずつ金コテでコンクリート表面のコテ仕上げを行った。コテ仕上げから24時間後の供試体表面の状況を観察し、(1)コンクリート表面が平滑であること、並びに、(2)コンクリート型枠上端からの沈下が見られないこと、の2つの条件を満たす供試体から、コンクリートの打設からコテ仕上げが可能となるまでの時間を決定した。
コンクリート表面の目視観察:コテ仕上げ時間を決定した供試体の表面を観察し、コンクリート表面に白華物が見られないものを○、白華物が見られたものを×とした。
コンクリートの流動保持性:コンクリートの打ち込み直後から90分後のスランプ又はスランプフロー値を測定し、コテ仕上げ剤を添加しないコンクリートのスランプ値又はスランプフロー値を基準値(0)として、基準値対する増減(±)で表した。
圧縮強度:φ10×20cmの型枠に充てんしたコンクリートについて、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して、材齢24時間で測定した。コテ仕上げ剤を添加しないコンクリートの圧縮強度を100として、相対値(%)で表した。
試験を20℃、湿度60%の恒温室内にて実施したこと以外は、実験例1Aと同様に行った。結果を表2示す。
スランプフローが65cmの高流動コンクリートとしたこと以外は,実験例1Aと同様の評価を行った。結果を表3に示す。
コンクリート配合は、単位セメント量300kg/m3、単位フライアッシュ量220kg/m3、水結合材比=40%、s/a=50%、空気量5%、スランプフロー65cm、減水剤添加率=結合材×1.5%、とした。
フライアッシュ:JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」に規定されるフライアッシュI種、四国電力株式会社製
減水剤:ポリカルボン酸塩系高性能AE減水剤、GCP株式会社製
試験を20℃、湿度60%の恒温室内において実施したこと以外は、実験例3Aと同様に行った。結果を表4示す。
実験No.1-4のコンクリート用コテ仕上げ剤の混和量を変化させたこと以外は、実験例1Aと同様に行った。結果を表5に示す。
実験No.2-5のコンクリート用コテ仕上げ剤の混和量を変化させたこと以外は、実験例2Aと同様に行った。結果を表6に示す。
(実験例1B)
単位セメント量310kg/m3、単位水量175kg/m3、s/a=43%、空気量4.5%、スランプ18±2.5cmのコンクリートを調製した。このコンクリートを用いて厚さ30cmの床を造成し、打設30分後に表1に示すコテ仕上げ剤を、コンクリート1m2当たり200g用いて左官作業(コテ仕上げ)を行った。コテ仕上げ性、コテ仕上げ後のブリーディングの発生の有無、及びプラスティクひび割れ抵抗性を評価した。結果を表7に示す。
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン比表面積3200cm2/g。
粗骨材:砕石、密度2.64g/cm3。
細骨材:海砂を洗浄したもの。塩化物含有量0.02%。密度2.62g/cm3。
水:水道水
コテ仕上げ剤A:市販のパラフィン系養生剤、ポゾリス物産社製、商品名「マスターキュア」
コテ仕上げ剤B:市販の硫酸アルミニウム、18水塩(粉末)、粒度325μm以下
コテ仕上げ剤C:市販のカリウムミョウバン、12水塩(粉末)、粒度325μm以下
コテ仕上げ剤D:コテ仕上げ剤A70部とコテ仕上げ剤B30部
コテ仕上げ剤E:コテ仕上げ剤A70部とコテ仕上げ剤C30部
コテ仕上げ性:コテにへばり付く場合は×、コテにはへばり付かないが、コンクリート表面が引っ張られて表面が滑らかに仕上がらない場合は△、コテはけ性が良好で、コンクリート表面も滑らかに仕上がる場合は○とした。
ブリーディングの有無:コテ仕上げ後に明らかなブリーディングが発生した場合は×、コテ仕上げ後から凝結までの間に“にじみ”が見られた場合は△、“にじみ”も認められない場合は○とした。
プラスチックひび割れ抵抗性:コテ仕上げ作業後から送風機を用いて、ビューフォート風力階級3の軟風(4.5m/s)を当て、ひび割れの発生状況を確認した。コンクリート1m2当たり複数のひび割れが発生した場合は×、1本発生した場合は△、ひび割れが発生しなかった場合は○とした。
又、コテ仕上げ剤を使用しない場合には、ブリーディング及びプラスティックひび割れが発生した上に、コテ仕上げ性も良くなかった。
コテ仕上げ剤D及びコテ仕上げ剤Eを使用し、コンクリート打設後のコテ仕上げ剤を使用するタイミングを表8に示すように変えたこと以外は、実験例1Bと同様に行った。結果を表8に示す。
コテ仕上げ剤D及びコテ仕上げ剤Eを使用し、1m2当たりの使用量を表9に示すように変えたこと以外は実験例1Bと同様に行った。結果を表9に示す。
コテ仕上げ剤中の、流動パラフィン、硫酸アルミニウム及びカリウムミョウバンの配合割合を表10に示すようにしたこと以外は、実験例1Bと同様に行った。結果を表10に示す。
流動パラフィン:市販のパラフィン系養生剤、ポゾリス物産社製、商品名「マスターキュア」
硫酸アルミニウム:市販の硫酸アルミニウム、18水塩(粉末)、粒度325μm以下
カリウムミョウバン:市販のカリウムミョウバン、12水塩(粉末)、粒度325μm以下
第2の形態のコテ仕上げ剤を使用することにより、コンクリートの打設後、ブリーディングの発生が継続する状況でもコテ仕上げが可能で、コテ仕上げ後はブリーディングが収まるため、左官職人の業務効率化につながり、建設現場の残業を減らすことができるといった効果を奏する。
Claims (4)
- ギ酸又はその塩を70質量部以上95質量部以下、及び粘土鉱物を5質量部以上30質量部以下含有してなり、ギ酸又はその塩と粘土鉱物との合計が90質量%以上であるか、あるいは、
流動パラフィンと、硫酸アルミニウム及び/又はカリウムミョウバンとを含有してなり、前記流動パラフィンが50~95質量部、並びに、前記硫酸アルミニウム及び/又は前記カリウムミョウバンが5~50質量部であり、前記流動パラフィンと、前記硫酸アルミニウム及び/又は前記カリウムミョウバンとの合計が90質量%以上であるコテ仕上げ剤。 - コンクリート用である請求項1に記載のコテ仕上げ剤。
- 前記流動パラフィンが50~90質量部、並びに、前記硫酸アルミニウム及び/又は前記カリウムミョウバンが10~50質量部である請求項1又は2に記載のコテ仕上げ剤。
- コンクリートに対する前記コテ仕上げ剤の添加量が2~10kg/m3であって、練り混ぜ完了から90分後のコンクリートのスランプ又はスランプフロー値が、コテ仕上げ剤を添加しないコンクリートに対して、スランプ値が±2cm又はスランプフロー値が±5cmの範囲とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコテ仕上げ剤の使用方法。
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