図1は、本発明の第1の実施の形態に係る緩衝構造体1を示す側面図である。図2は、緩衝構造体1を示す縦断面図である。緩衝構造体1は、キャスクの落下時にキャスクと床面81との間にて衝撃を吸収する部材である。図1に示す例では、緩衝構造体1は、床面81上に載置される略直方体状の敷設型の緩衝構造体であり、例えば、上方から自由落下するキャスクを受ける。
キャスクは、使用済燃料集合体(以下、単に「燃料集合体」という。)が内部に収容される略柱状の容器である。キャスクは、放射線を遮蔽する遮蔽機能、放射性物質を密封する密封機能、燃料集合体を未臨界状態にて維持する未臨界維持機能、および、燃料集合体の熱を放散する除熱機能等を有する。キャスクが搬送される際には、例えば、キャスクの中心軸が向く方向(以下、「長手方向」とも呼ぶ。)が上下方向に略平行となるように、クレーン等によりキャスクが吊り上げられる。あるいは、キャスクは、中心軸が水平方向を向くように吊り上げられてもよい。
緩衝構造体1は、載置ブロック2と、ケーシング3と、カバー4とを備える。ケーシング3は、板部材により形成された底面部31および側壁部32を有する略直方体状の部材である。換言すれば、ケーシング3は、無蓋有底の箱状部材である。ケーシング3は、例えば、ステンレス鋼等の金属製である。ケーシング3の縦、横および高さは、例えば、2m~4m、4m~6m、および、2m~5mである。ケーシング3の材質および大きさは、様々に変更されてよい。載置ブロック2は、多孔質材料により形成された略直方体状の緩衝材である。載置ブロック2は、ケーシング3の略直方体状の内部空間に収容されて床面81上に載置され、上方から落下するキャスクを受ける。載置ブロック2の底面および側面は、ケーシング3により囲まれて被覆される。図2に示す例では、載置ブロック2の上面とケーシング3の上端とは、上下方向の略同じ位置に位置する。
ケーシング3の側壁部32には、複数の貫通孔33が設けられる。図1に示す例では、複数の貫通孔33はそれぞれ、水平方向に略平行に延びる略長円状または略長方形状である。複数の貫通孔33は、例えば、4つの側壁部32の略全面に亘って千鳥状に配置される。また、ケーシング3の側壁部32には、水平方向に略平行に延びる厚板状または略半円柱状の補強材34が設けられる。補強材34は、ケーシング3の周囲の略全周に亘って設けられる。図1に示す例では、複数の補強材34が上下方向に配列される。当該複数の補強材34は、ケーシング3の上下方向の中央部、および、当該中央部よりも下側に配置される。なお、貫通孔33の形状、数および配置、並びに、補強材34の形状、数および配置は、様々に変更されてよい。
カバー4は、載置ブロック2の上面を略全面に亘って被覆するシート状の部材である。カバー4は、例えば、不燃性かつ不透液性の不織布等により形成される。カバー4は、例えば、不燃性のロープ等(図示省略)によりケーシング3に固定される。
載置ブロック2は、第1部位21と、第2部位22とを含む。図2では、第1部位21および第2部位22に、異なる平行斜線を付す。第1部位21および第2部位22はそれぞれ、略直方体状の部位である。第1部位21と第2部位22とは、ケーシング3内において上下方向に重なっている。第1部位21は、載置ブロック2の最上段に位置する。換言すれば、第1部位21の上面は、載置ブロック2の上面である。第1部位21の上面は、キャスクの長手方向端面よりも大きく略水平方向に広がる略平面である。第2部位22は第1部位21の直下に位置し、第2部位22の上面は第1部位21の下面に当接している。平面視において、第1部位21と第2部位22とは略同形状であり、略全面に亘って重なっている。
第1部位21および第2部位22はそれぞれ、多孔質材料により形成されている。第1部位21および第2部位22はそれぞれ、多孔質状の様々な材料により形成されてよく、例えば、塑性変形可能な多孔質の樹脂または多孔質の金属により形成される。好ましくは、第1部位21および第2部位22はそれぞれ、発泡樹脂または発泡金属により形成される。第1部位21を形成する多孔質材料の材質(すなわち、多孔質材料を構成する素材の種類)と、第2部位22を形成する多孔質材料の材質とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施の形態では、第1部位21および第2部位22は、硬質発泡ポリウレタンにより形成される。
第1部位21を形成する多孔質材料の密度と、第2部位22を形成する多孔質材料の密度とは異なる。図2に示す例では、第1部位21の密度は、第2部位22の密度よりも低い。また、第1部位21の空隙率は、第2部位22の空隙率よりも高い。第1部位21(すなわち、密度が低い方の部位)の設計密度は、例えば、0.1g/cm3以上かつ0.65g/cm3以下であり、好ましくは、0.1g/cm3以上かつ0.3g/cm3以下である。第1部位21の実際の密度は、第1部位21の設計密度の90%以上かつ110%以下であり、好ましくは、95%以上かつ105%以下である。第2部位22(すなわち、密度が高い方の部位)の設計密度は、例えば、0.2g/cm3以上かつ0.8g/cm3以下であり、好ましくは、0.3g/cm3以上かつ0.65g/cm3以下である。第2部位22の実際の密度は、第2部位22の設計密度の90%以上かつ110%以下であり、好ましくは、95%以上かつ105%以下である。なお、上述の設計密度は、第1部位21および第2部位22を製造する際に、製造装置等にて設定される密度である。
図3は、載置ブロック2を示す斜視図である。図3では、載置ブロック2の構造を理解しやすくするために、第1部位21と第2部位22とを上下に離間させて描き、第1部位21および第2部位22の上下方向の中央部の図示を省略している。実際には、上述のように、第2部位22の上面は第1部位21の下面と当接している。
第1部位21は、上下方向に積層される略同形状の複数の第1緩衝層211を備える。各第1緩衝層211は、水平方向に広がる略平板状の部位である。各第1緩衝層211は、平面視において略長方形である。各第1緩衝層211の厚さは、例えば10mm~300mmであり、好ましくは50mm~200mmであり、より好ましくは70mm~100mmである。第1緩衝層211の数は、例えば、10層~20層である。第1緩衝層211の形状、厚さおよび数は、様々に変更されてよい。
各第1緩衝層211は、水平方向に連続的に配置された複数の第1板部材212を備える。各第1板部材212は、水平方向に広がる略平板状の部材である。各第1板部材212は、平面視において略長方形である。複数の第1板部材212は、上述のように、平面視において略長方形となるように配列される。各第1緩衝層211において、水平方向に隣接する2つの第1板部材212の側面は、互いに当接している。
第1部位21では、複数の第1緩衝層211の複数の第1板部材212が、いわゆる網代積みで上下方向に積層されている。換言すれば、一の第1緩衝層211における複数の第1板部材212の配列状態は、当該一の第1緩衝層211と上下方向に隣接する他の第1緩衝層211における複数の第1板部材212の配列状態と異なる。したがって、一の第1緩衝層211において水平方向に隣接する2つの第1板部材212の境界線は、当該一の第1緩衝層211と上下方向に隣接する他の第1緩衝層211における第1板部材212の主面(すなわち、図3中における上面または下面)と重なる。
各第1板部材212の4つの角部近傍には接着剤が点状(例えば、直径約30mmの略円状)に塗布される。第1板部材212は、当該接着剤(図示省略)を介して上下方向に隣接する他の第1板部材212と点接合される。なお、第1板部材212において接着剤が塗布される複数の領域(すなわち、複数の接着箇所)は、必ずしも角部近傍には限定されず、第1板部材212の外縁部に位置していればよい。
第2部位22は、上下方向に積層される略同形状の複数の第2緩衝層221を備える。各第2緩衝層221は、第1緩衝層211と同様に、水平方向に広がる略平板状の部位である。各第2緩衝層221は、平面視において、第1緩衝層211と略同形状の略長方形である。各第2緩衝層221の厚さは、第1緩衝層211と同様に、例えば10mm~300mmであり、好ましくは50mm~200mmであり、より好ましくは70mm~100mmである。第2緩衝層221の数は、例えば、10層~20層である。第2緩衝層221の形状、厚さおよび数は、様々に変更されてよい。
各第2緩衝層221は、水平方向に連続的に配置された複数の第2板部材222を備える。各第2板部材222は、水平方向に広がる略平板状の部材である。各第2板部材222は、平面視において略長方形である。複数の第2板部材222は、上述のように、平面視において略長方形となるように配列される。各第2緩衝層221において、水平方向に隣接する2つの第2板部材222の側面は、互いに当接している。
第2部位22では、複数の第2緩衝層221の複数の第2板部材222が、いわゆる網代積みで上下方向に積層されている。換言すれば、一の第2緩衝層221における複数の第2板部材222の配列状態は、当該一の第2緩衝層221と上下方向に隣接する他の第2緩衝層221における複数の第2板部材222の配列状態と異なる。したがって、一の第2緩衝層221において水平方向に隣接する2つの第2板部材222の境界線は、当該一の第2緩衝層221と上下方向に隣接する他の第2緩衝層221における第2板部材222の主面(すなわち、図3中における上面または下面)と重なる。
各第2板部材222の4つの角部近傍には、第1板部材212と同様に、接着剤が点状(例えば、直径約30mmの略円状)に塗布される。第2板部材222は、当該接着剤(図示省略)を介して上下方向に隣接する他の第2板部材222と点接合される。また、第2部位22の最上段に位置する第2板部材222は、4つの角部近傍に塗布された接着剤により、第1部位21の最下段に位置する第1板部材212と点接合される。なお、第2板部材222において接着剤が塗布される複数の領域(すなわち、複数の接着箇所)も、第1板部材212と同様に、必ずしも角部近傍には限定されず、第2板部材222の外縁部に位置していればよい。
図4および図5は、上方から落下したキャスク9を緩衝構造体1により受けた状態の一例を示す断面図である。図4に示す例は、想定される最大落下高さ(例えば、約40m上方)からキャスク9が落下した場合を示す。図4に示す例では、キャスク9の下端が、緩衝構造体1の載置ブロック2の上面に衝突し、キャスク9は、低密度の第1部位21を変形させつつ第1部位21の内部を下方へと移動する。このとき、キャスク9の落下によるエネルギーは、第1部位21の変形により吸収される。そして、キャスク9の下端が第1部位21の下面に到達すると、キャスク9は、高密度の第2部位22を変形させつつ第2部位22の内部を下方へと移動する。このとき、キャスク9の落下によるエネルギーは、第2部位22の変形により吸収される。キャスク9は、最終的に、載置ブロック2に刺さった状態で停止する。
図5に示す例は、上述の最大落下高さよりも低い位置からキャスク9が落下した場合を示す。図5に示す例では、落下したキャスク9は、低密度の第1部位21を変形させつつ第1部位21の内部を下方へと移動し、第2部位22に到達することなく、第1部位21に刺さった状態で停止する。この場合、キャスク9の落下によるエネルギーは、ほぼ第1部位21のみにより吸収される。キャスク9は、最終的に、載置ブロック2に刺さった状態で停止する。
ここで、上述の載置ブロック2と略同じ大きさで全体が略一様な密度を有し、略同様の落下エネルギーを吸収可能な載置ブロック(以下、「第1の比較例の載置ブロック」と呼ぶ。)を想定する。当該第1の比較例の載置ブロックの密度は、上述の緩衝構造体1の載置ブロック2における第1部位21の密度よりも高く、第2部位22の密度よりも低い。緩衝構造体1の載置ブロック2では、上述のように、キャスク9との衝突により、まず低密度の第1部位21が優先的に変形する。このとき、第1部位21の変形量は、第1の比較例の載置ブロックにキャスク9が衝突した場合に比べて大きくなる。このため、緩衝構造体1では、第1の比較例の載置ブロックを有する緩衝構造体に比べて、衝突時にキャスク9に作用する荷重を低減することができる。特に、図5のように、キャスク9の落下によるエネルギーの大部分が第1部位21により吸収される場合、衝突時にキャスク9に作用する荷重を、第1の比較例の載置ブロックに比べて、さらに大きく低減することができる。
なお、緩衝構造体1では、第2部位22の変形量は、第1の比較例の載置ブロックにキャスク9が衝突した場合に比べて小さくなる。ただし、図4のように第2部位22に変形が生じる場合であっても、当該変形は、落下によるエネルギーが大きいキャスク9との衝突直後ではなく、当該エネルギーがかなり吸収された後のキャスク9の下降停止直前に生じる。したがって、第2部位22の変形によりキャスク9に作用する荷重はあまり大きくなく、キャスク9に与える影響は小さい。
一方、低密度の第1部位21と同じ密度を有し、上述の載置ブロック2と略同様の落下エネルギーを吸収可能な一様密度の載置ブロック(以下、「第2の比較例の載置ブロック」と呼ぶ。)を想定すると、当該第2の比較例の載置ブロックの高さは、載置ブロック2に比べて非常に高くする(例えば、6倍~8倍の高さにする)必要がある。これに対し、上述の緩衝構造体1では、載置ブロック2が低密度の第1部位21と高密度の第2部位22とを備えることにより、緩衝構造体1を上下方向に小型化することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る緩衝構造体1aについて説明する。図6は、緩衝構造体1aを示す縦断面図である。緩衝構造体1aは、図2に示す載置ブロック2に代えて、載置ブロック2とは構造が異なる載置ブロック2aを備える。載置ブロック2aでは、第1部位21aの密度は、第2部位22aの密度よりも高い。この点を除き、緩衝構造体1aは、緩衝構造体1と略同様の構成を備える。以下の説明では、図1ないし図3に示す緩衝構造体1の構成と対応する緩衝構造体1aの構成に同符号を付す。
図7は、上方から落下したキャスク9を緩衝構造体1aにより受けた状態の一例を示す断面図である。図7に示す例は、上述の最大落下高さからキャスク9が落下した場合を示す。図7に示す例では、キャスク9の下端が、緩衝構造体1aの載置ブロック2aの上面に衝突し、キャスク9は、低密度の第2部位22aを優先的に変形させつつ、あまり変形していない高密度の第1部位21aと共に下方へと移動する。このとき、キャスク9の落下によるエネルギーは、主に第2部位22aの変形により吸収される。そして、第2部位22aの変形がある程度進行すると、キャスク9は、第1部位21aを変形させつつ第1部位21a内部を下方へと移動する。このとき、キャスク9の落下によるエネルギーは、第1部位21aおよび第2部位22aの変形により吸収される。キャスク9は、最終的に、載置ブロック2aに刺さった状態で停止する。
緩衝構造体1aの載置ブロック2aでは、上述のように、キャスク9との衝突により、まず低密度の第2部位22aが優先的に変形する。このとき、第2部位22aの変形量は、第1の比較例の載置ブロックにキャスク9が衝突した場合に比べて大きくなる。このため、緩衝構造体1aにおいても、緩衝構造体1と同様に、第1の比較例の載置ブロックを有する緩衝構造体に比べて、衝突時にキャスク9に作用する荷重を低減することができる。
以上に説明したように、緩衝構造体1,1aは、燃料集合体が収容される柱状のキャスク9の落下時に、キャスク9と床面81との間にて衝撃を吸収する。緩衝構造体1,1aは、第1部位21,21aと、第2部位22,22aとを備える。第1部位21,21aは、多孔質材料により形成されている。第2部位22,22aは、第1部位21,21aと異なる密度を有する多孔質材料により形成されており、第1部位21,21aと上下方向に重なる。これにより、上述のように、一様密度の載置ブロックを備える緩衝構造体に比べて、緩衝構造体1,1aを小型化しつつ、衝突時にキャスク9に作用する荷重を低減することができる。
上述のように、第1部位21,21aおよび第2部位22,22aはそれぞれ、発泡樹脂または発泡金属により形成されることが好ましい。これにより、それぞれ所望の密度を有する第1部位21,21aおよび第2部位22,22aを、容易に製造することができる。
上述のように、第1部位21,21aおよび第2部位22,22aのうち、密度が低い方の部位の設計密度は、0.1g/cm3以上かつ0.65g/cm3以下であり、密度が高い方の部位の設計密度は、0.2g/cm3以上かつ0.8g/cm3以下であることが好ましい。また、第1部位21,21aの実際の密度は、第1部位21,21aの設計密度の90%以上かつ110%以下であり、第2部位22,22aの実際の密度は、第2部位22,22aの設計密度の90%以上かつ110%以下であることが好ましい。これにより、第1部位21,21aおよび第2部位22,22aの密度の設計値からのずれを抑制し、それぞれ所望の密度を有する第1部位21,21aおよび第2部位22,22aを、容易に得ることができる。
上述のように、緩衝構造体1,1aは、第1部位21,21aおよび第2部位22,22aを含むとともに、床面81に載置されて上方から落下するキャスク9を受ける載置ブロック2,2aをさらに備えることが好ましい。第1部位21,21aは、載置ブロック2,2aの最上段に位置し、キャスク9の端面よりも大きく水平方向に広がる上面を有する。第2部位22,22aは、第1部位21,21aの下面に当接する。これにより、緩衝構造体1,1aを上下方向に小型化することができるとともに、床面81に向けて上方から落下するキャスク9との衝突時に、キャスク9に作用する荷重を低減することができる。
上述のように、図2に示す緩衝構造体1では、第1部位21の密度は、第2部位22の密度よりも低い。このように、落下したキャスク9を最初に低密度の第1部位21により受けることにより、キャスク9との接触箇所において第1部位21が大きく変形する。その結果、載置ブロック2との接触直後にキャスク9に作用する荷重を小さくすることができる。また、落下したキャスク9が緩衝構造体1上にて停止した状態において、キャスク9の載置ブロック2への埋没長(すなわち、キャスク9のうち載置ブロック2に刺さっている部分の長さ)が大きくなるため、キャスク9が載置ブロック2から跳ね返ったり、周囲に向かって倒れることを好適に抑制することができる。
一方、図6に示す緩衝構造体1aでは、第1部位21aの密度は、第2部位22aの密度よりも高い。このように、落下したキャスク9を最初に高密度の第1部位21aにより受けることにより、キャスク9の落下時の応力が、第1部位21aを伝播して低密度の第2部位22aに到達するまでに、水平方向に大きく広がる。このため、第2部位22aが広範囲に亘って大きく変形する。その結果、載置ブロック2aとの接触直後にキャスク9に作用する荷重を小さくすることができる。
上述のように、第1部位21,21aは、それぞれが水平方向に広がる平板状であって上下方向に積層される複数の第1緩衝層211を備えることが好ましい。これにより、キャスク9の落下時の応力が第1部位21,21aを下方に伝播する際に、当該応力の水平方向における広がりが、上下方向に隣接する各2つの第1緩衝層211の滑り等により抑制される。その結果、第1部位21,21aが割裂して落下エネルギーの吸収量が大きく低下することを抑制することができ、キャスク9が第1部位21,21aを貫通することを抑制することができる。
また、第2部位22,22aは、それぞれが水平方向に広がる平板状であって上下方向に積層される複数の第2緩衝層221を備えることが好ましい。これにより、キャスク9の落下時の応力が第2部位22,22aを下方に伝播する際に、当該応力の水平方向における広がりが、上下方向に隣接する各2つの第2緩衝層221の滑り等により抑制される。その結果、第2部位22,22aが割裂して落下エネルギーの吸収量が大きく低下することを抑制することができ、キャスク9が第2部位22,22aを貫通することを抑制することができる。
上述のように、複数の第1緩衝層211はそれぞれ、水平方向に連続的に配置された複数の第1板部材212を備えることが好ましい。また、一の第1緩衝層211において水平方向に隣接する2つの第1板部材212の境界線は、当該一の第1緩衝層211と上下方向に隣接する他の第1緩衝層211における第1板部材212の主面と重なることが好ましい。このように、第1部位21,21aにおいて、複数の第1板部材212が網代積みにて積層されることにより、キャスク9が第1板部材212同士の境界線に沿って第1部位21,21aを貫通することを抑制することができる。
また、複数の第2緩衝層221はそれぞれ、水平方向に連続的に配置された複数の第2板部材222を備えることが好ましい。また、一の第2緩衝層221において水平方向に隣接する2つの第2板部材222の境界線は、当該一の第2緩衝層221と上下方向に隣接する他の第2緩衝層221における第2板部材222の主面と重なることが好ましい。このように、第2部位22,22aにおいて、複数の第2板部材222が網代積みにて積層されることにより、キャスク9が第2板部材222同士の境界線に沿って第2部位22,22aを貫通することを抑制することができる。
上述のように、各第1板部材212は、外縁部に位置する複数の接着箇所において、上下方向に隣接する他の第1板部材212と接着剤により点接合されることが好ましい。このように、上下方向に隣接する第1板部材212同士が接着されることにより、キャスク9との衝突によって第1板部材212が上方へと飛散することを抑制することができる。また、第1部位21,21aの運搬、および、製造時における第1板部材212の位置決め等を容易とすることができる。さらに、上下方向に隣接する第1板部材212同士の接着を点接合とすることにより、上下方向に隣接する第1緩衝層211間の滑りが阻害されることを抑制し、第1部位21,21aにおいて応力が下方に伝播する際に、当該応力の水平方向への広がりを好適に抑制することができる。その結果、第1部位21,21aの割裂を抑制することができる。
また、各第2板部材222は、外縁部に位置する複数の接着箇所において、上下方向に隣接する他の第2板部材222と接着剤により点接合されることが好ましい。このように、上下方向に隣接する第2板部材222同士が接着されることにより、キャスク9との衝突によって第2板部材222が上方へと飛散することを抑制することができる。また、第2部位22,22aの運搬、および、製造時における第2板部材222の位置決め等を容易とすることができる。さらに、上下方向に隣接する第2板部材222同士の接着を点接合とすることにより、上下方向に隣接する第2緩衝層221間の滑りが阻害されることを抑制し、第2部位22,22aにおいて応力が下方に伝播する際に、当該応力の水平方向への広がりを好適に抑制することができる。その結果、第2部位22,22aの割裂を抑制することができる。
各第1板部材212は、水平方向に隣接する他の第1板部材212と、接着剤により側面同士が接合されてもよい。これにより、キャスク9との衝突によって第1板部材212が上方へと飛散することを抑制することができる。また、第1部位21,21aの運搬、および、製造時における第1板部材212の位置決め等を容易とすることができる。
また、各第2板部材222は、水平方向に隣接する他の第2板部材222と、接着剤により側面同士が接合されてもよい。これにより、キャスク9との衝突によって第2板部材222が上方へと飛散することを抑制することができる。また、第2部位22,22aの運搬、および、製造時における第2板部材222の位置決め等を容易とすることができる。
上述のように、緩衝構造体1,1aは、載置ブロック2,2aの側面を被覆するケーシング3をさらに備えることが好ましい。これにより、落下したキャスク9が衝突することにより載置ブロック2,2aが側方へと膨張することを抑制することができる。その結果、載置ブロック2,2aが割裂することを抑制することができ、衝突時にキャスク9に作用する荷重を好適に低減することができる。
上述のように、ケーシング3の側壁部32には、それぞれが水平方向に延びる複数の貫通孔33が設けられることが好ましい。これにより、ケーシング3が上下方向に変形しやすくなる。したがって、上方から落下するキャスクが、仮にケーシング3の上端部に衝突したとしても、ケーシング3が容易に下方へと変形して衝撃を吸収するため、衝突時にキャスク9に作用する荷重を低減することができる。また、載置ブロック2,2aによりキャスク9を受けた場合も、貫通孔33からケーシング3内の空気が抜けるため、載置ブロック2,2aの変形を促進することができる。
上述のように、ケーシング3の側壁部32には、水平方向に延びる補強材34が設けられる。このため、キャスク9との衝突時に載置ブロック2,2aからケーシング3の側壁部32へと伝わる力により、側壁部32が変形する(すなわち、外方へと膨らむ)ことを抑制することができる。
また、図2に示す緩衝構造体1では、キャスク9との衝突時において、高密度の第2部位22から側壁部32に伝わる力は、低密度の第1部位21から側壁部32に伝わる力よりも大きい。したがって、ケーシング3において、複数の補強材34は、側壁部32の上下方向の中央部以下の領域(すなわち、第2部位22と対向する領域)に配置されることが好ましい。これにより、キャスク9との衝突時における側壁部32の変形をさらに抑制することができる。
上述のように、緩衝構造体1,1aは、載置ブロック2,2aの上面を被覆するカバー4をさらに備えることが好ましい。これにより、キャスク9との衝突時に載置ブロック2,2aが上方へと飛散することを抑制することができる。また、水等の液体との接触による載置ブロック2,2aの品質劣化、および、紫外線による載置ブロック2,2aの品質劣化等を防止することができる。
上述の緩衝構造体1,1aでは、様々な変更が可能である。
例えば、第1部位21,21aおよび第2部位22,22aの設計密度は、必ずしも上述の範囲には限定されず、様々に変更されてよい。また、第1部位21,21aおよび第2部位22,22aの設計密度と実際の密度との差も、必ずしも上述の範囲には限定されない。
載置ブロック2,2aでは、上下方向に隣接する第1板部材212同士の接着箇所の形状、位置、数等の接合態様は、上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。また、第1板部材212同士の接合は、行われなくてもよい。第2板部材222同士の接合、および、第1板部材212と第2板部材222との接合についても同様である。
第1部位21,21aでは、複数の第1板部材212は、必ずしも網代積みにて積層される必要はなく、他の積層方法により積層されてもよい。また、第1板部材212は、必ずしも平板状である必要はなく、例えば、湾曲した板状であってもよい。あるいは、複数の第1板部材212では、積層可能な形状の凹凸が主面に設けられてもよい。各第1緩衝層211は、必ずしも複数の第1板部材212により形成される必要はなく、水平方向に広がる1枚の多孔質状の板部材であってもよい。また、第1部位21,21aは、必ずしも複数の第1緩衝層211の積層体である必要はなく、1つの多孔質状の部材であってもよい。
第2部位22,22aでは、複数の第2板部材222は、必ずしも網代積みにて積層される必要はなく、他の積層方法により積層されてもよい。また、第2板部材222は、必ずしも平板状である必要はなく、例えば、湾曲した板状であってもよい。あるいは、複数の第2板部材222では、積層可能な形状の凹凸が主面に設けられてもよい。各第2緩衝層221は、必ずしも複数の第2板部材222により形成される必要はなく、水平方向に広がる1枚の多孔質状の板部材であってもよい。また、第2部位22,22aは、必ずしも複数の第2緩衝層221の積層体である必要はなく、1つの多孔質状の部材であってもよい。
載置ブロック2は、第1部位21および第2部位22以外の部位を含んでいてもよい。例えば、載置ブロック2は、第2部位22の下面に当接する第3部位を備える3段構造であってもよい。当該第3部位の密度は、例えば、第2部位22の密度以上であってもよく、第1部位21と第2部位22との間の密度であってもよく、第1部位21の密度以下であってもよい。載置ブロック2は、4段以上の構造を有していてもよい。
載置ブロック2aも同様に、第1部位21aおよび第2部位22a以外の部位を含んでいてもよい。例えば、載置ブロック2aは、第2部位22aの下面に当接する第3部位を備える3段構造であってもよい。当該第3部位の密度は、例えば、第2部位22aの密度以下であってもよく、第1部位21aと第2部位22aとの間の密度であってもよく、第1部位21aの密度以上であってもよい。載置ブロック2aは、4段以上の構造を有していてもよい。
載置ブロック2,2aおよびケーシング3の形状は、様々に変更されてよく、例えば円柱状であってもよい。また、ケーシング3では、貫通孔33および補強材34はそれぞれ、省略されてもよい。緩衝構造体1,1aでは、ケーシング3およびカバー4はそれぞれ、省略されてもよい。
上述の例では、敷設型の緩衝構造体1,1aについて説明したが、本発明の関連技術においては、上記構造は、図8に示すように、キャスク9の長手方向の端部に取り付けられる取付型の緩衝構造体1bに適用されてもよい。図8では、キャスク9の一方側の端部のみを図示しているが、緩衝構造体1bは、キャスク9の長手方向の両端部に取り付けられる。
図8に示すように、緩衝構造体1bは、多孔質材料により形成されている第1部位21bと、第1部位21bと上下方向に重なる第2部位22bとを備える。第2部位22bは、第1部位21bとは異なる密度を有する多孔質材料により形成されている。これにより、上述の緩衝構造体1,1aと略同様に、緩衝構造体1bを小型化しつつ、衝突時にキャスク9に作用する荷重を低減することができる。
図8に示す例では、緩衝構造体1bは略円筒状であり、キャスク9の長手方向端部の側面、および、長手方向端面の外周部に当接する。第1部位21bは、緩衝構造体1bのうちキャスク9に当接する部位(すなわち、内周部)に配置される。第2部位22bは、第1部位21bの径方向外側、および、長手方向のキャスク9とは反対側に設けられる。第1部位21bの密度は、第2部位22bの密度よりも低い。これにより、キャスク9が様々な姿勢で落下した場合であっても、落下時のエネルギーは低密度の第1部位21bが大きく変形することにより吸収されるため、キャスク9に作用する荷重が低減される。なお、第1部位21bの密度は、第2部位22bの密度よりも高くてもよい。
なお、キャスク9の落下とは、つり上げられた状態からの自由落下、および、垂直姿勢(すなわち、長手方向が上下方向に平行な姿勢)のキャスク9の転倒によるキャスク9上端部の下方への移動(すなわち、上端部の落下)を含む概念である。また、キャスク9の様々な姿勢の落下とは、キャスク9の中心軸が上下方向を向く姿勢で落下する垂直落下、当該中心軸が水平方向を向く姿勢で落下する水平落下、および、当該中心軸が上下方向および水平方向に対して傾斜する方向を向く姿勢で落下するコーナー落下を含む概念である。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。