JP6754586B2 - 放射性物質含有廃棄物収容容器 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性物質含有廃棄物を収容するための放射性物質含有廃棄物収容容器に関するものである。
東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所の事故により、原子炉建屋内に滞留している汚染水は、多核種除去設備などを含む複数の浄化設備で処理されている。現在までに貯蔵タンクの底に残る水を除いたストロンチウムを含む高濃度汚染水の全ての浄化処理が完了している。
汚染水を処理する際に多核種除去設備から発生した使用済みの吸着材や沈殿処理生成物は、ポリエチレン製の高性能容器(High Integrity Container)(以下、HICと記す。)に貯蔵されている。今後、一部の汚染水処理と並行して、廃炉に向けた作業に伴い発生する放射性物質含有廃棄物の処理、処分をする必要がある。
これらの放射性物質含有廃棄物の形態や保管要領については、現時点では未定であるが、ポリエチレン製HICとは別の仕様で、様々な環境下で安定的に貯蔵・保管できる放射性物質含有廃棄物収容容器(以下、収容容器と記す。)があれば、処理、処分の方法の幅が広がる。
従来から、放射性物質含有廃棄物を収容するために、コンクリート製の収容容器が利用されている。
例えば、特許文献1には、放射性物質含有廃棄物を収容する内缶と、内缶が装填されて密閉される金属製の外缶とを有することを特徴とする放射性物質含有廃棄物収容容器が記載されている。この内缶は、セメントと、セメントに対する重量比が1〜4の範囲で添加され平均粒径100〜250μmの粉末状ないし球状の小鋼球群と、セメントに対する重量比が1〜4の範囲で添加され平均粒径600〜850μmの粉末状又は球状の大鋼球群とを含み、硬化後の密度が4.0g/cm3以上である放射線遮蔽用コンクリートで構成されている。この収容容器は、内缶と外缶の2層構造からなり、内缶の密度が高く、かつ小鋼球及び大鋼球が均一に分布するため、高い放射線遮蔽能力を均一に発揮することができる。
また、コンクリート材料として、鋼繊維補強ポリマー含浸コンクリート(Steel Fiber reinfoced Polymer Impregnated Concrete)(以下、SFPICと記す。)が知られている。
SFPICは、鋼繊維補強コンクリートの細孔にポリマーを含浸・重合させたものであり、通常のコンクリートに比べ、気密性に優れている。そのため、SFPIC製の収容容器は、潮解性をもつ物質を内部に収容した場合でも、外部へ漏出することを防ぐことができる。また、SFPICは、通常のコンクリートよりも強度が高いことが知られ、基材となるコンクリートは、無機材料であるため、化学的に安定であるという特徴をもつ。
特開2009−276194号
収容容器は、運搬する過程で、クレーンによって持ち上げられるため、運搬の途中で落下するおそれがある。また、運搬や貯蔵の際、収容容器は縦に積まれることもあるため、地面に落下するおそれもある。収容容器が落下し、その衝撃によって収容容器に外力が加わり、収容容器が破損あるいは破壊し、密閉性が保たれなくなると、収容容器の外部に放射性物質含有廃棄物が漏出してしまう。そのため、収容容器には、外力を緩和する高い耐衝撃性が要求される。
本発明は、落下時の衝撃を緩和できる耐衝撃性に優れた放射性物質含有廃棄物収容容器を提供することを目的とする。
本発明に係る放射性物質含有廃棄物収容容器は、本体容器の底部の下面に緩衝部材が取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る放射性物質含有廃棄物収容容器は、本体容器の底部の縁は、本体容器の側壁部の下端に巻き込まれて結合され、緩衝部材が、本体容器の底部の下面に固着されたことを特徴とする。
また、本発明に係る放射性物質含有廃棄物収容容器は、緩衝部材が円環状であることを特徴とする。
また、本発明に係る放射性物質含有廃棄物収容容器は、放射性物質含有廃棄物を収容する内側容器が、本体容器の内部に配置され、本体容器の蓋部と内側容器の蓋部との間に補強材が設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る放射性物質含有廃棄物収容容器は、内側容器の側壁部の上端が内側容器の蓋部の下端と結合部材により結合され、結合部材と本体容器の蓋部との間に補強材が設けられていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る放射性物質含有廃棄物収容容器は、内側容器の側壁部と内側容器の底部との間にハンチ部が形成されていることを特徴とする。
本発明の放射性物質含有廃棄物収容容器は、本体容器の底部の下面に緩衝部材が取り付けられているため、地面に落下した場合、緩衝部材が地面から衝撃を受け、外力を吸収する。緩衝部材が外力を吸収することで、衝撃により本体容器が変形することを防止でき、本体容器の耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の放射性物質含有廃棄物収容容器は、本体容器の底部の縁が本体容器の側壁部の下端に巻き込まれて結合され、緩衝部材が本体容器の底部の下面に固着されているため、落下により緩衝部材が外力を受けた場合でも、本体容器の底部全体が、本体容器の内部に押し込まれることを防止できる。
本発明の放射性物質含有廃棄物収容容器は、緩衝部材が円環状であるため、緩衝部材を本体容器の底部の下面全体に設ける場合と比較して、コストを削減することができる。さらに、地面から受ける外力は、円環状の緩衝部材が折れ曲がるのに使われるため、本体容器の底部に加わる外力が低減される。そのため、落下の衝撃により外力が加わったときに、本体容器が変形することを防止できる。
本発明の放射性物質含有廃棄物収容容器は、放射性物質含有廃棄物を収容する内側容器が本体容器の内部に配置され、本体容器の蓋部と内側容器の蓋部との間に補強材が設けられているため、補強材は、本体容器の蓋部と内側容器の蓋部の間の空間の一部を埋める。そうすると、内側容器の蓋部の上方向への移動が規制されるため、放射性物質含有廃棄物収容容器が下方向から外力を受けた場合、内側容器の蓋部が本体容器の蓋部に衝突することを防止できる。したがって、内側容器の蓋部が破損、破壊することを防止でき、放射性物質含有廃棄物が内側容器の外部に漏出することを防止できる。
本発明の放射性物質含有廃棄物収容容器は、結合部材と本体容器の蓋部との間に補強材が設けられているため、結合部材はより強固に固定される。したがって、内側容器の蓋部と内側容器の側壁部は、より強固に固定され、内側容器の蓋部がずれたり、外れたりすることを防止できる。
本発明の放射性物質含有廃棄物収容容器は、内側容器の側壁部と底部との間にハンチ部が形成されているため、ハンチ部付近の充填材の層を厚く形成することができる。そうすると、放射性物質含有廃棄物収容容器が、外力を受けた場合、ハンチ部が形成されていない場合と比べ、充填材はより大きな力を吸収する。
したがって、内側容器に加わる外力を低減することができ、内側容器の破損や破壊を防止することができる。
本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器を示す図である。(a)断面図、(b)底面図 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器の本体容器を示す図である。(a)本体容器の断面図、(b)本体蓋部の平面図、(c)本体側壁部の平面図 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器の内側容器を示す図である。(a)内側容器の断面図、(b)内側蓋部の平面図、(c)小蓋の平面図、(d)内側側壁部の平面図 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器の鉄筋が含まれている内側容器の断面図である。 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器の充填材を示す図である。(a)断面図、(b)平面図 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器を製造するための手順を示した図である。 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器に放射性物質含有廃棄物を収容する手順を示した図である。 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器に放射性物質含有廃棄物を収容する手順を示した図である。 本発明の実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器の図8(b)の部分拡大図である。
本実施形態に係る放射性物質含有廃棄物収容容器1(以下、収容容器1と記す。)を、図1〜図4を参照して、説明する。
収容容器1は、放射性物質含有廃棄物を収容する容器であり、図1に示すとおり、放射性物質含有廃棄物が収容される内側容器30と、内側容器30が内部に配置される本体容器10と、内側容器30と本体容器10との間に充填される充填材50とを備えている。そして、本体容器10は、本体蓋部11、本体側壁部12および本体底部13を有し、その本体底部13の下面に緩衝部材20が取り付けられている。
[本体容器10]
本体容器10は、図2(a)に示すとおり、本体蓋部11、本体側壁部12および本体底部13を有している。
本体容器10は金属製の円筒状の容器であり、本体容器10には、例えば、ステンレス製鋼板を使用できる。
本体蓋部11は、円形状であり、本体蓋部11の下端には、蓋側フランジ部16が形成されている(図2(b))。この蓋側フランジ部16には、上下を貫通する貫通孔15が複数、等間隔に形成されている(本実施形態では12個)。
本体側壁部12の上端には、側壁側フランジ部18が形成されている(図2(c))。この側壁側フランジ部18は、本体蓋部11の蓋側フランジ部16と重なり合わされる。側壁側フランジ部18には、上下を貫通する貫通孔19が複数形成されている。この貫通孔19は、本体蓋部11の貫通孔15と対応する位置にそれぞれ形成されている。また、本体側壁部12の上側の外周には、互いに対向する吊り部17,17が2組形成されている。収容容器1は、この吊り部17にワイヤを接続し、クレーンによって運搬される。
本体底部13は、本体側壁部12の直径よりも大きい直径を有する円板であり、その外縁が本体側壁部12の下端に巻き込まれて、本体側壁部12と結合される。そのため、本体底部13の外径は、本体側壁部12の外径よりも大きくなっている。
この本体底部13の下面には、緩衝部材20が、本体容器10(本体底部13)とは別体で取り付け、固着されている(図1(b))。この緩衝部材20は、円環状であり、本体底部13の下面の円周に沿って、取り付けられている。緩衝部材20は、金属製であり、緩衝部材20には、例えば、ステンレス製鋼板を使用することができる。この緩衝部材20は、本体底部13に対して、溶接によって固着されている。
この本体容器10の強度は、内側容器30よりも大きく、本体容器10の降伏強度は、205MPa以上400MPa以下である。
[内側容器30]
内側容器30は、本体容器10の内部に配置され、放射性物質含有廃棄物を収容するためのものである。内側容器30は、図3(a)に示すとおり、内側蓋部31、内側側壁部32、および内側底部33を有し、内側側壁部32と内側底部33の間には、内側底部33に向かって内側容器30の内径および外径が小さくなるようにハンチ部35が形成されている。このハンチ部35は、内側容器30の内側および外側の両側とも傾斜している。
また、内側容器30の外径は、本体容器10の内径よりも小さく、内側容器30の高さは本体容器10の高さよりも低くなるように、それぞれ設計されている。
内側容器30は、円筒状の容器であり、内側容器30には、ポリマー含浸コンクリート(Polymer Impregnated Concrete)(以下、PICと記す。)又は鋼繊維補強ポリマー含浸コンクリート(Steel Fiber reinfoced Polymer Impregnated Concrete)(以下、SFPICと記す。)を使用する。
なお、内側容器30の厚さは、100mm以下に設計されている。
内側蓋部31は、円形状であり、内側側壁部32に嵌められることで、内側容器30は密閉される(図3(b))。その内側蓋部31の上面の円周には、上下を貫通する貫通孔36が複数形成されている(本実施形態では12個)。また、この内側蓋部31の中央には、内側蓋部31を上下に貫通する窓部37が形成されている。窓部37の周囲には、穴42が複数形成されている。この窓部37には、小蓋38が取り付けられる。
小蓋38には、上下を貫通する貫通孔43が複数形成されており、この貫通孔43を介して、ボルト等によって、窓部37に取り付けられる(図3(c))。
内側側壁部32の上端面には、穴34が複数形成されている(図3(d))。この穴34は、貫通孔36と対応する位置に形成されている。
また、内側容器30は、図4に示したように、鉄筋39が含まれているものを使用することもできる。この鉄筋39は、内側側壁32の内部に螺旋状に設けられ、内側底部33の内部には、網目状に設けられている。
この内側容器30の圧縮強度は、120MPa以上250MPa以下である。
[充填材50]
充填材50は、図5(a)に示すように、本体容器10と内側容器30との間に形成される隙間に充填されるものである。充填材50は、充填材50の層の強度が、本体容器10および内側容器30よりも小さくなるものを使用し、この充填材50には、ペースト、モルタル、コンクリートの何れかを使用できる。
ここで、コンクリートとは、セメント、水、細骨材、粗骨材および必要に応じて加える混和材料を構成材料であり、これらを練り混ぜたものやその他の方法によって混合したもの、又は硬化させたものをいう。また、コンクリートのうち、粗骨材を含まないものがモルタルであり、モルタルのうち、細骨材を含まないものがペーストである。なお、細骨材とは、10mm網ふるいを全部通り、5mm網ふるいを質量で85%以上通る骨材をいう。粗骨材とは、5mm網ふるいに質量で85%以上とどまる骨材をいう。
充填材50は、本体容器10と内側容器30の間の隙間に充填された後、硬化し、層を形成する。この充填材50の層は、本体容器10と内側容器30の間に円環状に配置される。ペースト、モルタル、コンクリートの選択は、本体容器10と内側容器30の間の隙間の幅によって使い分けることができる。隙間の幅が、5cm未満の場合はペースト、5cmから10cmの場合はモルタル、10cmから30cmの場合はコンクリートをそれぞれ使用する。
また、充填材50の圧縮強度は、15MPa以上60MPa以下である。
次に、収容容器1の製造方法と、放射性物質含有廃棄物を収容容器1に収容する手順について、図6〜図9を参照して、説明する。
まず、本体底部13にかさ上げ部材(図示しない)を配置し、本体容器10の内部に内側容器30を配置する(図6(a))。内側容器30の外径は、本体容器10の内径よりも小さいため、本体側壁部12と内側側壁部32の間には、隙間が形成される。また、内側容器30は、この隙間の大きさがほぼ等しくなるように、本体容器10の内部に配置されている。また、かさ上げ部材によって、本体底部13と内側底部33の間にも隙間が形成される。そのため、内側容器30の周囲全体に隙間が形成される。
次に、充填材50が隙間から流し込まれ、隙間全体に充填される(図6(b))。この充填材50は、内側容器30の内側側壁部32の上端面と同じ高さまで充填される。充填材50は、一定時間経過すると硬化し、充填材50の層を形成する。
本体側壁部12と内側側壁部32との間の隙間の大きさはほぼ等しいため、本体側壁部12と内側側壁部32との間の充填材50の層は、ほぼ等しい厚さとなる。一方、内側容器30の内側側壁部32と内側底部33の間には、ハンチ部35が形成されているため、ハンチ部35と、本体側壁部12および本体底部13の間付近には、充填材50が本体壁部12と内側側壁部32(あるいは、本体底部13と内側底部33)の間の隙間よりも多く充填される。そのため、ハンチ部35付近に形成される充填材50の層は、内側側壁部32と内側底部33の隙間の充填材50の層よりも厚くなる。
次に、せき止めスポンジとエポキシ樹脂接着剤45を内側側壁部32の上端部全体に設け、その上から内側蓋部31をセットし、内側蓋部31を内側側壁部32に接着し、固定する(図6(c))。さらに、内側側壁部32の上端と内側蓋部31の下端を結合部材としてのボルト44によって、結合することにより、内側側壁部32に内側蓋部31を固定する。この際、内側蓋部31は、小蓋38が設けられていない状態で固定される。
そして、円環状のせき止めリング40を内側蓋部31の上面に設け、せき止めリング40と本体容器10の本体側壁部12よって形成される領域に補強材41を流し込む(図7(a))。この際、補強材41は、内側蓋部31と内側側壁部32とを固定しているボルト44を覆い、本体側壁部12の上端面と同じ高さとなるように設けられ、硬化する。この補強材41には、例えば、モルタルを使用することができる。
次に、放射性物質含有廃棄物が、窓部37を介して、内側容器30の内部に詰め込まれ、収容される(図7(b))。放射性物質含有廃棄物を収容した後、穴42と貫通孔43が重なり合うように小蓋38を窓部37にセットし、ボルトで固定し、内側容器30を密閉する(図7(c))。
そして、貫通孔15と貫通孔19が重なり合うように、本体蓋部11を本体側壁部12の上端にセットし、貫通孔15、19を介して、ボルトで固定する(図8(a))。補強材41は、本体側壁部32の上端面と同じ高さに設けられているため、本体蓋部11の下面と接し、本体蓋部11と内側蓋部31の間に配置される(図8(b))。
補強材41は、図9に示すように、充填材50、内側蓋部31およびボルト44の上に配置され、内側蓋部31と本体蓋部11の間の空間を埋めるように配置される。また、この補強材41は、円環状に設けられる。
放射性物質含有廃棄物が収容された収容容器1は、図8(c)に示すように、吊り部17にワイヤが取りつけられ、クレーンによって運搬される。
次に収容容器1の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る収容容器1は、本体容器10の本体底部13の下面に、本体10とは別部材で緩衝部材20が設けられていることに大きな特徴を有する。
収容容器1は、クレーンによって運搬されている途中で、地面に落下した場合、強い衝撃を受ける。例えば、収容容器1が垂直に地面に落下した場合、まず緩衝部材20が地面から衝撃を受け、外力を吸収し、変形する。この緩衝部材20は、本体容器10とは別部材で構成されているため、緩衝部材20が外力を受けて変形しても、本体容器10は応力を受けない。そのため、衝撃により本体容器10が変形することを防止できる。また、緩衝部材20が外力を吸収すれば、内側容器30は大きな外力を受けないため、内側容器30の破損や破壊を防止でき、放射性物質含有廃棄物が内側容器30の外部に漏出することを防止できる。
本実施形態に係る収容容器1は、本体底部13の縁が本体側壁部13の下端に巻き込まれて結合されているため、本体底部13の外径は、本体側壁部12の外径よりも大きく形成されている。そのため、落下により緩衝部材が外力を受けた場合でも、本体底部13全体が、本体容器10の内部に押し込まれることを防止できる。
また、本実施形態に係る収容容器1において、緩衝部材20は円環状のものを使用するため、緩衝部材20を本体底部13の下面全体に設けた場合と比較し、コストを削減することができる。さらに、落下により地面から受ける外力は、円環状の緩衝部材20が折れ曲がるのに使われるため、本体底部13に加わる外力が低減される。そのため、収容容器1に落下の衝撃により外力が加わったときに、本体容器1が変形することを防止できる。
本実施形態に係る収容容器1の本体蓋部11と内側蓋部31との間には、補強材41が設けられている。この補強材41は、本体蓋部11と内側蓋部31の間の空間の一部を埋める。そのため、内側蓋部31(内側容器30)の上方向への移動が規制される。そうすると、収容容器1が下方向から外力を受けた場合、内側蓋部31(内側容器30)の上方向に移動が規制されるため、内側蓋部31が本体蓋部11に衝突することを防止できる。
このように、内側蓋部31が本体蓋部11に衝突することを防止できるため、内側蓋部31(内側容器30)が破損、破壊することを防止でき、放射性物質含有廃棄物が内側容器30の外部に漏出することを防止できる。
また、補強材41は、内側蓋部31と内側側壁部32を固定するボルト44の上に流し込まれ、硬化する。補強材41が、ボルト44上で硬化することで、ボルト44はより強固に固定される。したがって、内側蓋部31と内側側壁部32をより強固に固定され、内側蓋部31がずれたり、外れたりすることを防止でき、放射性物質含有廃棄物が内側容器30の外部に漏出することを防止できる。
本実施形態に係る収容容器1の内側容器30の内側側壁部32と内側底部33との間には、ハンチ部35が形成されている。ハンチ部35は、内側容器30の外径が内側底部33に向けて小さくなるように形成されているため、ハンチ部35が設けられていない場合に比べ、ハンチ部35付近の充填材50の層を厚く形成することができる。
そうすると、収容容器1が、例えば、本体側壁部12と本体底部13とが結合している縁部分から外力を受けた場合、ハンチ部35が形成されていない場合と比べ、充填材50はより大きな力を吸収する。
したがって、ハンチ部35を形成することで、充填材50の層を厚く形成でき、外力を吸収できるため、内側容器30に加わる外力を低減することができ、内側容器30の破損や破壊を防止することができる。
本実施形態に係る収容容器1の内側容器30は、PIC又はSFPICで構成されている。PICやSFPICは、通常のコンクリートと比較し、耐衝撃性に優れている。そのため、本体容器10および充填材50が力を吸収しきれず、内側容器30に力が加わった場合でも、内側容器30が破損、破壊することを防止できる。また、PICやSFPICは、通常のコンクリートと比較し、緻密性に優れている。そのため、内側容器30に放射性物質含有廃棄物を収容しても、この放射性物質含有廃棄物が内側容器30を浸透して、内側容器30の外部に漏出することを防止ができる。さらに、本体容器10の外部から水が浸入してきた場合でも、内側容器30の外部から内部に水が浸透することはない。さらに、PICやSFPICは、通常のコンクリートと比較し、化学的安定性に優れている。そのため、内側容器30は、収容された放射性物質含有廃棄物と化学反応を起こすことはなく、内側容器30が放射性物質含有廃棄物によって劣化することを防止できる。
本実施形態に係る収容容器1には、鉄筋39が含まれている内側容器30を使用することもできる。内側容器30に鉄筋39が含まれていることで、内側容器30の強度を大きくすることができる。したがって、収容容器1が強い衝撃を受けた場合や本体容器10および充填材50によって外力を吸収できず、内側容器30に強い外力が加わった場合でもでも、放射性物質含有廃棄物が内側容器30の外部に漏出することをより確実に防止できる。
本実施形態に係る収容容器1は、本体容器10と内側容器30との間に充填材50を設けた、3層構造を有する。収容容器1に大きな外力が加わった場合、充填材50が外力を吸収し、放射性物質含有廃棄物が収容されている内側容器30には、大きな外力が加わらない。このように、本体容器10および充填材50が外力を吸収すると、内側容器30に大きな外力が加わらず、内側容器30が破損、破壊することを防止できる。したがって、収容容器1は、落下等により強い衝撃を受けた場合でも、放射性物質含有廃棄物が内側容器30の外部に漏出することを防止できる。
また、本実施形態に係る収容容器1の充填材50には、ペースト、モルタル、コンクリートのいずれかを使用できる。ペースト、モルタル、コンクリートの何れかを使用することで、様々な幅の隙間に応じて、充填材50を充填することができる。
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。本実施形態では、円筒状の収容容器1について説明したが、収容容器1の形状は円筒状に限定されず、角筒状の収容容器としてもよい。
また、本実施形態では、金属製かつ円環状の緩衝部材20について説明したが、緩衝部材20は円環状に限定されず、収容容器1が衝撃を受けたときに外力を吸収し、収容容器の重量に耐えることができるものであればよい。例えば、3つの緩衝部材を本体底部13の下面の円周に沿って、等間隔に設けることもできる。
さらに、本実施形態では、補強材41は、結合部材としてのボルト44の上に設けたが、補強材41を設ける位置が本体蓋部11と内側蓋部31の間の空間であれば、内側蓋部31が上方向に移動することが規制され、内側蓋部31が破損、破壊されることを防止することができるため、設けられる位置は限定されない。
1 放射性物質含有廃棄物収容容器(収容容器)
10 本体容器
11 本体蓋部
12 本体側壁部
13 本体底部
15 貫通孔
16 蓋側フランジ部
17 吊り部
18 側壁側フランジ部
19 貫通孔
20 緩衝部材
30 内側容器
31 内側蓋部
32 内側側壁部
33 内側底部
34 穴
35 ハンチ部
36 貫通孔
37 窓部
38 小
39 鉄筋
40 せき止めリング(リング部材)
41 補強材
42 穴
43 貫通孔
44 ボルト(結合部材)
45 エポキシ樹脂接着剤
50 充填材

Claims (2)

  1. 放射性物質含有廃棄物が収容される本体容器が備えられた放射性物質含有廃棄物収容容器において、
    前記本体容器の底部の下面に緩衝部材が取り付けられ、
    放射性物質含有廃棄物を収容する内側容器が、前記本体容器の内部に配置され、
    前記内側容器の側壁部の上端が、前記内側容器の蓋部と結合部材により結合され、
    前記内側容器の蓋部の上にリング部材が配置され、
    前記本体容器の蓋部と前記内側容器の蓋部との間であって、前記リング部材と前記本体容器の側壁部との間に充填された補強材が、前記結合部材を覆って硬化している、
    ことを特徴とする放射性物質含有廃棄物収容容器。
  2. 前記内側容器の蓋部に窓部が形成され、この窓部に着脱される小蓋を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の放射性物質含有廃棄物収容容器。
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