JP7227317B2 - 覆工コンクリートの加温方法及び加温装置 - Google Patents
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Description
トンネルの内壁に打設された覆工コンクリートを加温する加温方法において、
覆工コンクリートの内周面を成型する金属製の型枠を、該型枠の内周面に突設された複数の補強凸部における2つの補強凸部の間に配設されて該型枠の内周面に当接しているPTCヒーターにより加温し、PTCヒーターの背後を前記間に配設された保温材で保温し、押圧機構のねじを補強凸部に螺合させることにより保温材を介してPTCヒーターを型枠の内周面に押圧することを特徴とする覆工コンクリートの加温方法。
トンネルの内壁に打設された覆工コンクリートを加温する加温装置において、
覆工コンクリートの内周面を成型する金属製の型枠と、該型枠の内周面に突設された複数の補強凸部における2つの補強凸部の間に配設されて該型枠の内周面に当接しているPTCヒーターと、PTCヒーターの背後を保温する前記間に配設された保温材と、補強凸部にねじを螺合させることにより保温材を介してPTCヒーターを型枠の内周面に押圧する押圧機構とを含み構成されたことを特徴とする覆工コンクリートの加温装置。
PTCヒーターは、線状であり、溝に収容されており、溝の開口から現れた部位が型枠の内周面に当接している態様を例示できる。
PTCヒーターは、PTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)特性を有するPTC素子を用いた電熱ヒーターである。PTC素子は、通電すると、最初は低温であるために抵抗値が小さいので大電流が流れ、素子温度が急激に上昇する。そして、素子温度がキューリー温度を超えると抵抗値が増大するために電流量が減少し、その結果、発熱量は減少する。そのため、PTCヒーターは、所定温度以上に温度が上がることなく、一定温度で安定して熱平衡状態を保つという、自己温度制御機能を有している。従って、温度制御や過熱防止のためのセンサーや回路を必要としない。
そして、金属製の型枠を、該型枠の内周面に当接しているPTCヒーターにより加温することにより、PTCヒーターの熱が金属製の型枠に効率よく伝わり、型枠の加温を介して覆工コンクリートを加温することができるとともに、上述した自己温度制御機能により、特許文献1のような複雑な制御手段を別途設ける必要がなくなる。
PTCヒーターとしては、特に限定されないが、複数のPTC素子を一方向に並設した線状のもの、複数のPTC素子を分散配置した面状のもの等を例示できる。PTCヒーターは、型枠への配設のしやすさから、線状のものが好ましい。
PTC素子としては、特に限定されないが、チタン酸バリウム、炭化珪素等からなるものを例示できる。
保温材としては、特に限定されないが、発泡樹脂、発泡ゴム、グラスウール、ロックウール、珪酸カルシウム、パーライト等からなるものを例示でき、前述のとおり発泡スチロール樹脂からなるものが好ましい。
保温材は、型枠への配設のしやすさから、板状(高さに比して幅が同等又は小さい棒状のものも含む。)に成形されたものが好ましい。
押圧機構としては、特に限定されないが、前述のねじを用いた押圧機構がシンプルな構造であることから好ましい。前述の剛性部材としては、特に限定されないが、板状、棒状、アングル状等をなすものを例示できる。
押圧機構として、その他にも、バネを用いた押圧機構構等を例示できる。
トンネルの床面には床レール(図示略)が敷設され、床レールには自走するセントル台車(図示略)が設置され、セントル台車には支柱等により後述する型枠10が支持されている。
吹付コンクリートSと型枠10との間には打設空間が形成され、打設空間には覆工コンクリートCが打設される。
型枠要素11は、打設空間を形成する部分円筒面状の表面部12と、表面部12の坑口側端と切羽側端から折曲してトンネル内側へ延びる扇面状の一対の側面部13と、表面部12の内周面に突設された複数の補強凸部14とを含み構成されている。補強凸部14は坑長方向に延びる型鋼である。型枠要素11は、トンネルの内壁の周方向に複数に分割形成されたものが接続されてなり、図3には内壁の天頂部に対応する部位のみを実線で示しているが、2点鎖線で示すように内壁の横部に対応する部位までを含んでいる。
(1)予め地上で、型枠10にPTCヒーター1、保温材2及び押圧機構4を上記のとおりセットし、PTCヒーター1に通電用の配線をしておく。
(2)この型枠10をセントルに支持させ、型枠10の内周面に当接しているPTCヒーター1に通電して、型枠10を所定温度に加温する。
(3)この加温状態で、支保コンクリートと型枠10との間の打設空間に覆工コンクリートCを打設する。
(4)打設後も所定時間は、型枠10を残置し、PTCヒーター1による加温を脱型まで継続する。
(ア)金属製の型枠10を、該型枠10の内周面に当接しているPTCヒーター1により加温することにより、PTCヒーター1の熱が金属製の型枠10に効率よく伝わり、型枠10の加温を介して覆工コンクリートCを加温することができるとともに、上述した自己温度制御機能により、特許文献1のような複雑な制御手段を別途設ける必要がない。また、PTCヒーター1は過熱しないことから、エネルギー消費に無駄がない。
(ウ)PTCヒーター1の背後を保温材2と剛体部材7で保護するので、PTCヒーター1が損傷しにくい。
(オ)押圧機構4は、補強凸部14に取着されることから、取着のための部材を別途設ける必要がない。
2 保温材
3 溝
4 押圧機構
5 雌ねじ
6 雄ねじ
7 剛性部材
10 型枠
11 型枠要素
12 表面部
13 側面部
14 補強凸部
C 覆工コンクリート
S 吹付コンクリート
Claims (6)
- トンネルの内壁に打設された覆工コンクリート(C)を加温する加温方法において、
覆工コンクリート(C)の内周面を成型する金属製の型枠(10)を、該型枠(10)の内周面に突設された複数の補強凸部(14)における2つの補強凸部(14)の間に配設されて該型枠(10)の内周面に当接しているPTCヒーター(1)により加温し、PTCヒーター(1)の背後を前記間に配設された保温材(2)で保温し、押圧機構(4)のねじ(6)を補強凸部(14)に螺合させることにより保温材(2)を介してPTCヒーター(1)を型枠(10)の内周面に押圧することを特徴とする覆工コンクリートの加温方法。 - 保温材(2)は発泡スチロール樹脂からなる請求項1記載の覆工コンクリートの加温方法。
- トンネルの内壁に打設された覆工コンクリート(C)を加温する加温装置において、
覆工コンクリート(C)の内周面を成型する金属製の型枠(10)と、該型枠(10)の内周面に突設された複数の補強凸部(14)における2つの補強凸部(14)の間に配設されて該型枠(10)の内周面に当接しているPTCヒーター(1)と、PTCヒーター(1)の背後を保温する前記間に配設された保温材(2)と、補強凸部(14)にねじ(6)を螺合させることにより保温材(2)を介してPTCヒーター(1)を型枠(10)の内周面に押圧する押圧機構(4)とを含み構成されたことを特徴とする覆工コンクリートの加温装置。 - 保温材(2)は発泡スチロール樹脂からなるものである請求項3記載の覆工コンクリートの加温装置。
- 押圧機構(4)は、ねじ(6)に押されて保温材(2)の背面を押す剛体部材(7)を含み、剛体部材(7)は保温材(2)の背面を押したときに変形しないものであり、剛体部材(7)は保温材(2)と別体であるか又は一体化されている請求項3又は4記載の覆工コンクリートの加温装置。
- 保温材(2)は、型枠(10)の内周面を向く面に溝(3)が形成された板状体であり、
PTCヒーター(1)は、線状であり、溝(3)に収容されており、溝(3)の開口から現れた部位が型枠(10)の内周面に当接している請求項3~5のいずれか一項に記載の覆工コンクリートの加温装置。
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