JP7044737B2 - 低温下でのグラウトの打設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低温下でのグラウトの打設方法に関し、さらに詳しくは、使用中の冷蔵施設における低温環境下の施工現場で、冷蔵施設のストック物に特別な影響を与えることなく、打設したグラウトに十分な強度を発現させることができるグラウトの打設方法に関するものである。
鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などの構造物を補強する施工には、鉄骨枠付きブレースなどの補強部材を既設部分に取り付ける工法が知られている。この工法では、補強部材と既設部分との間にグラウトを打設して硬化させることで両者のすき間を無くして補強部材が強固に固定される。グラウトは、その他の様々な施工に使用されている。
グラウトは低温下では硬化し難くなり、十分な強度を発現させることができない。例えば、JASS5(社団法人日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事」)などでは、5℃を下回る環境条件ではコンクリートの使用は控えるように定められ、同じセメント水和反応で硬化するグラウトも低温環境下では使用されていない。そのため、冷蔵施設(冷凍倉庫、冷蔵倉庫)や寒冷地などの環境温度が低い施工現場では、グラウトを打設する範囲およびその周辺を、グラウトが硬化可能な温度に加熱、維持しなければならない(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の提案では、加熱装置を既設コンクリートに接触させて加熱することで、既設コンクリートに隣接して打設されるグラウトやコンクリートが加熱される。しかしながら、加熱装置による熱が既設コンクリートを通じて打設範囲に伝わるまでには、相当量の熱が拡散、散逸する。特に、既設コンクリートを加熱する位置と打設範囲とが離れている場合は、打設範囲を加熱することが実質的に不可能になる。
従来、冷蔵施設を改修施工する際には、まず、冷蔵施設にストックされているストック物を別の冷蔵施設に移動させて改修施工範囲およびその周辺範囲にはストック物がない状態にする。その後、冷凍機の稼働を停止または弱くして、改修施工範囲およびその周辺範囲の空間を施工に適した温度にまで昇温した状態にして改修施工を行う。これにより、打設したグラウトに十分な強度を発現させることができる。
しかしながら、冷蔵施設の改修前にはストック物を別の冷蔵施設に移動させ、その後、改修後の冷蔵施設に戻す作業が必要になる。また、移動させるストック物の品質維持にも多大な注意が必要になる。そのため、従来の改修施工全体の工程を考慮すると、作業効率、作業コスト等の観点で改善の余地がある。
実用新案登録第3191381号公報
本発明の目的は、使用中の冷蔵施設における低温環境下の施工現場で、冷蔵施設のストック物に特別な影響を与えることなく、打設したグラウトに十分な強度を発現させることができるグラウトの打設方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の低温下でのグラウトの打設方法は、使用中の冷蔵施設での所定温度未満の環境下の施工現場で、設定された打設範囲にグラウトを打設する打設期間の後、所定の養生期間を経て前記グラウトを硬化させる低温下でのグラウトの打設方法において、前記打設範囲を、不燃性の部材により区画した状態にするとともに、前記部材の少なくとも一部にコンクリートよりも熱伝熱率が高い伝熱性部材を使用し、前記打設期間の直前の予熱期間では、前記伝熱性部材の外表面に取付けた加熱装置によってこの伝熱性部材の内表面を、前記グラウトを打設する前に、前記所定温度よりも高温の5℃以上の加熱温度範囲に加熱しておき、前記養生期間の50%以上の期間で前記加熱装置によって前記伝熱性部材の内表面を前記加熱温度範囲に加熱し、順次連続する前記予熱期間、前記打設期間および前記養生期間では、前記打設範囲の周辺空間は前記所定温度未満の環境下のままにすることを特徴とする。
本発明によれば、グラウトの打設範囲を不燃性の部材により区画した状態にするとともに、前記部材の少なくとも一部にコンクリートよりも熱伝熱率が高い伝熱性部材を使用して、伝熱性部材の外表面に加熱装置を取り付ける。そのため、加熱装置による付与される熱を効率的に打設範囲に伝えることができる。これに伴い、前記加熱装置を取り付けた前記伝熱性部材の内表面を、前記所定温度よりも高温の5℃以上の加熱温度範囲に加熱しておき、前記養生期間の50%以上の期間でも前記加熱温度範囲に加熱することで、打設したグラウトを加熱して十分な強度を発現させることが可能になる。
しかも、加熱装置による加熱は、打設範囲に対して局部的、集中的に行われるので、この加熱よって打設範囲の周辺空間の温度が上昇することを回避できる。そのため、使用中の冷蔵施設のストック物の保存状況が実質的に変化することがなく、ストック物を別の冷蔵施設に移動させる必要がない。このように冷蔵施設のストック物に特別な影響を与えることがないので、加熱装置による加熱のためのエネルギは必要になるが、施工全体の工程を考慮すると、作業効率の改善、作業コストの削減が可能になる。
冷凍倉庫の補強領域を正面視で例示する説明図である。 図1の補強領域に鉄骨枠付きブレースを配置した状態を例示する説明図である。 図2のA-A断面図である。 図3の打設範囲を型枠で囲んだ状態を例示する説明図である。 図4のB矢視図である。 図4のC-C断面図である。 グラウトの打設工程での打設範囲周辺の温度を模式的に例示する説明図である。 図4の打設範囲にグラウトを打設する工程を例示する説明図である。 図8の打設範囲に打設したグラウトを養生する工程を例示する説明図である。 図9のグラウトの養生期間が終了して鉄骨枠付きブレースが既設部分に固定された状態を例示する説明図である。 別の実施形態のグラウトの打設工程での打設範囲周辺の温度を模式的に例示する説明図である。
以下、本発明の低温下でのグラウトの打設方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
この実施形態では図1~図3に例示するように、冷凍倉庫1の既設部分2に、鉄骨枠付きブレース4を取り付けて補強する施工を行う。冷凍倉庫1は通常通り稼働させた状態で施工を行うため、施工現場の環境温度は、マイナス25℃~マイナス18℃程度の極低温になる。本発明は、このように使用中の冷凍倉庫1、冷蔵倉庫やこれらに類する冷蔵施設における所定温度未満の環境下の施工現場に適用される。この所定温度が例えば5℃、より好ましくはマイナス5℃、さらに好ましくはマイナス10℃であると、本発明の効果を得易くなる。
コンクリートの既設部分2として、左右の柱部2a、上方の梁部2bおよび下方の床部2cが露出していて、これら既設部分2の露出した部分に鉄骨枠付きブレース4が取り付けられる。この既設部分2にはアンカーボルト3が突設されている。
鉄骨枠付きブレース4は、左右の柱部2a、梁部2bおよび床部2cに囲まれた領域に配置される。鉄骨枠付きブレース4は、四角形状に枠組みされた鉄骨枠4aを有している。鉄骨枠4aには、既設部分2に設置した際に対向する柱部2a、梁部2b、床部2cに向かってスタッドボルト4b(金属製ボルト部材)が突設されている。
図3に例示するように、鉄骨枠4aと梁部2bとの間には、スパイラル筋などの鉄筋5が配置されている。鉄骨枠4aと柱部2aとの間、鉄骨枠4aと床部2cとの間にも同様に鉄筋5が配置されている。
次いで、図4~図6に例示するように、鉄骨枠4aの外周縁に沿って型枠6が設置される。この実施形態では、金属製の型枠6が使用されている。鉄骨枠4aの外周面と既設部分2(柱部2a、梁部2b、床部2c)と型枠6とで囲まれた空間がグラウトGの打設範囲Sになる。即ち、打設範囲Sは、鉄骨枠4aの外周面と既設部分2(柱部2a、梁部2b、床部2c)と型枠6により区画された状態にする。打設範囲Sには、アンカーボルト3、スタッドボルト4bが突出し、鉄筋5が配置された状態になる。
本発明では、施工時の火災防止の観点から、打設範囲Sを不燃性の部材により区画した状態にする。不燃性とは、建築基準法施行令第108条の2の要件を具備することを意味する。さらに、打設範囲Sを区画する部材の少なくとも一部にコンクリートよりも熱伝熱率が高い伝熱性部材を使用する。普通コンクリートの熱伝導率は1.637(W/m・K)なので、伝熱性部材の熱伝導率は1.637(W/m・K)よりも高い値になる。伝熱性部材には各種金属が該当する。打設範囲Sを区画する部材と打設範囲Sとの境界面積のうち、伝熱性部材と打設範囲Sとの境界面積が占める割合は50%以上、好ましくは70%以上にする。
この実施形態では、鉄骨枠4a、型枠6および既設コンクリートの梁部2bが不燃性の部材になっている。また、鉄骨枠4aおよび金属製の型枠6が伝熱性部材になっている。木材や樹脂等であっても、処理や加工を施すことで、不燃性の部材にすることができる。そのため、打設範囲Sを区画する部材の一部に鉄骨枠4aが用いられていれば、不燃性の木製または樹脂製の型枠6を用いることができる。また、木材や樹脂等であっても、処理や加工を施すことで、伝熱性部材にすることもできる。
この型枠6および鉄骨枠4aの外表面(打設範囲Sに対して外側になる面)には、加熱装置となるシートヒータ8a、8bと取付ける。また、型枠6および鉄骨枠4aの外表面には、断熱材9がシートヒータ8a、8bおよびその周辺範囲を覆うように取り付ける。即ち、打設範囲Sを覆うように断熱材9が配置されている。型枠6および断熱材9には、打設範囲Sを外部と連通させる注入管7aおよびエア抜き管7bが貫通している。
シートヒータ8a、8bは、型枠6および鉄骨枠4aの内表面(打設範囲Sとの境界面)を5℃以上の所定の加熱温度範囲Tzに加熱する。型枠6および鉄骨枠4aの内表面を加熱温度範囲Tzに加熱することができればシートヒータ8a、8bに限らず、他の加熱装置を用いることもできる。
シートヒータ8a、8bは、打設範囲Sの周囲をできるだけ均等に加熱できるように、適切な配置および数に設定される。この実施形態では、型枠6の外表面においては、既設部分2と隣接する位置にシートヒータ8aが配置されて型枠6の延在方向に延在している。また、鉄骨枠4aの外表面においては、スタッドボルト4bの位置に相当する位置にシートヒータ8bが配置されて鉄骨枠4aの延在方向に延在している。
シートヒータ8a、8bは、打設範囲Sを囲む四方壁面のうち、三方壁面(型枠6および鉄骨枠4aのそれぞれの外表面)に配置することがより好ましいが、二方壁面、一方壁面に配置することもできる。即ち、金属製の型枠6のみ、或いは、鉄骨枠4aのみにシートヒータ8a、8bを取り付けることもできる。
型枠6の外表面において既設部分2と隣接する位置にシートヒータ8aを配置することで、環境温度と同程度の低温になっている既設部分2からの冷熱が打設範囲Sに及ぼす影響を抑えるには有利になる。また、鉄骨枠4aの外表面においてスタッドボルト4bの位置に相当する位置にシートヒータ8bを配置することで、スタッドボルト4bが加熱され易くなるので、打設範囲Sの温度を効率的に高くするには有利になる。
断熱材9も型枠6の延在方向に延在していて、型枠6および鉄骨枠4aの露出面積をできるだけ小さくするように配置することが望ましい。断熱材9としては、建材用断熱材として一般的に使用されるロックウール、グラスウール等を用いることができる。
打設するグラウトGは公知の様々な仕様のものを採用することができる。例えば、セメントペースト、モルタル(無収縮モルタル)等を例示できる。
本発明では図4~図6に例示するように打設範囲Sを区画した状態にして、図7に例示するように、グラウトGを打設する前に予熱期間L1として、シートヒータ8a、8bを発熱させて型枠6および鉄骨枠4aの内表面を加熱温度範囲Tzに加熱する。図7に記載されている温度Tiは、施工現場の環境温度である。
予熱期間L1は例えば、24時間~72時間程度である。予熱期間L1を設けることにより、グラウトGを打設する時にはシートヒータ8a、8bの加熱によって型枠6および鉄骨枠4aの内表面を加熱温度範囲Tzに加熱した状態にしておく。
この状態で、図8に例示するようにグラウトGを注入管7aから注入して打設範囲Sに打設する。グラウトGの温度は特に限定されず常温でよい。打設範囲Sの空気aはエア抜き管7bから外部に排出されて、図9に例示するように打設範囲Sは、流動性の高いグラウトGで充填される。グラウトGの打設開始からグラウトGの充填が完了するまでの時間が打設期間L2である。
打設期間L2の後は、所定の養生期間L3を経て、グラウトGを硬化させる(流動性が低くなる)。養生期間L3は例えば72時間~144時間程度である。養生期間の50%以上の期間で、シートヒータ8a、8bの加熱によって型枠6および鉄骨枠4aの内表面を加熱温度範囲Tzに加熱する。この実施形態のように予熱期間L1、打設期間L2、養生期間L3の全期間に渡って加熱することもできる。尚、打設期間L2(例えば数分から数時間)は、予熱期間L1、養生期間L3に比して非常に短い。
養生期間L3が経過した後は、図10に例示するように断熱材9、シートヒータ8a、8b、注入管7a、エア抜き管7bを撤去する。この実施形態では使用した金属製の型枠6を既設部分2および鉄骨枠付きブレース4に取付けたままにするが、必要に応じてグラウトGの養生期間L3が経過後に撤去することもできる。硬化したグラウトGは、所定の強度を発現して、既設部分2と鉄骨枠4aとのすき間を塞いで、鉄骨枠付きブレース4が既設部分2に強固に固定される。
グラウトGの十分な強度を確保するには、加熱温度範囲Tzを10℃以上、より好ましくは20℃以上にする。一方、シートヒータ8a、8bの加熱に要するエネルギを抑えるには、加熱温度範囲Tzを80℃以下、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下にする。
また、予熱期間L1と養生期間L3とで、加熱温度範囲Tzを同じにすることもできるが、予熱期間L1に比して養生期間L3の加熱温度範囲Tzを低温側に設定することもできる。例えば、予熱期間L1での加熱温度範囲Tzを50℃以上80℃以下、養生期間L3での加熱温度範囲Tzを20℃以上40℃以下に設定することもできる。
上述したように、打設範囲Sを区画した状態にする部材の少なくとも一部にコンクリートよりも熱伝熱率が高い伝熱性部材(型枠6および鉄骨枠4a)を使用して、型枠6および鉄骨枠4aの外表面にシートヒータ8a、8bを取り付ける。そのため、シートヒータ8a、8bによる付与される熱を効率的に打設範囲Sに伝えることができる。これに伴い、シートヒータ8a、8bを取り付けた型枠6および鉄骨枠4aの内表面を、加熱温度範囲Tzに安定して予熱するとともに、養生期間L3の50%以上の期間で加熱温度範囲Tzに安定して加熱することができる。その結果、打設したグラウトGを加熱して十分な強度を発現させることができる。
シートヒータ8a、8bによる加熱は、従来の施工方法のように温風ヒータ等での打設範囲Sの周辺空間に対して行われるのではなく、打設範囲Sに対して局部的、集中的に行われる。そのため、シートヒータ8a、8bによる加熱よって打設範囲Sの周辺空間の温度が上昇することを回避できる。したがって、使用中の冷凍倉庫1のストック物(冷凍物、冷蔵物)の保存状況が実質的に変化することがない。それ故、冷凍倉庫1のストック物を施工中に別の冷蔵施設に移動させる必要がない。
断熱材9は、予熱期間L1の開始時点から養生期間L3の終了時点までの間のできるだけ長期間、設置したままにすることが好ましい。これにより、シートヒータ8a、8bの発熱を周辺空間に拡散、散逸させずに、打設範囲Sの加熱に利用するには有利になる。この実施形態のように、予熱期間L1の開始時点から養生期間L3の終了時点まで継続して断熱材9によって、シートヒータ8a、8bおよびその周辺を覆った状態にすることがより好ましい。
シートヒータ8a、8bによる加熱は、冷凍倉庫1の冷凍機の稼働を停止して倉庫全体を常温化する場合や、施工する階、施工する冷凍室全体を常温化する場合に比して、より多くのエネルギが必要となるのでコスト高になる。しかしながら、上述したように、施工を行う冷凍倉庫1のストック物に特別な影響を与えることがないので、施工全体の工程を考慮すると、従来の施工方法に比して作業効率の改善、作業コストの削減が可能になる。
別の実施形態として、図11に例示するようにシートヒータ8a、8bによってグラウトGを加熱することもできる。この実施形態と先の実施形態との相違点は、養生期間L3のうち少なくとも一部を、シートヒータ8a、8bによる積極的な加熱を停止する非加熱期間Lxにすることである。非加熱期間Lxでは、シートヒータ8a、8bによる加熱が停止されるので、型枠6および鉄骨枠4aの温度は、加熱温度範囲Tzから施工現場の環境温度Tiに向かって低下する。
この実施形態では、非加熱期間Lxで環境温度Tiまで低下した時間が所定時間継続した後、再びシートヒータ8a、8bを発熱させている。この再発熱によって、型枠6および鉄骨枠4aの内表面を、加熱温度範囲Tzまで加熱して維持している。
このように養生期間L3では、シートヒータ8a、8bによる積極的な加熱を停止する非加熱期間Lxを設けることで、養生期間L3の全期間に渡ってシートヒータ8a、8bを用いて加熱する場合に比してグラウトGの加熱に要する追加的なエネルギを削減することが可能になる。従来の当業者の常識からすると、低温環境下の施工現場では養生期間L3の全期間に渡って加熱することが一般的なので、非加熱期間Lxを設けることは特異な方法になっている。
非加熱期間Lxを設けても、グラウトGの打設時に打設範囲Sの周辺を5℃以上の加熱温度範囲Tzにし、打設後一定期間、加熱・保温したのちに加熱を停止しても、グラウトGの硬化反応が、実用上の強度発現に対して支障が生じることなく進行することが可能になっている。その理由の一つは、グラウトGの硬化反応が始まるとグラウトG自体が発熱するので、硬化反応の高まりに合わせて加熱を停止してもグラウトGの硬化反応の進行が確保できるためであると考えられる。
非加熱期間Lxの時期(タイミング)および長さを設定するには例えば、グラウトGの養生経過時間と硬化反応の進行具合との相関関係を、予め実験データ等に基づいて把握しておく。この相関関係に基づいて、非加熱期間Lxの時期および長さを設定する。グラウトGの硬化反応の進行具合はグラウトGの温度履歴などの特性指標によって把握できる。そして、グラウトGの十分な発現強度を得るために必要となる特性指標に対する許容値を確認しておく。そして、養生期間L3の間にグラウトGの特性指標が許容値を満足するように、非加熱期間Lxの時期および長さを設定する。
非加熱期間Lxの長さは、シートヒータ8a、8bの加熱に要するエネルギを抑える観点からは例えば、養生期間L3の長さの20%以上、より好ましくは30%以上に設定する。一方で、グラウトGの十分な発現強度を確保する観点からは例えば、非加熱期間Lxの長さは、養生期間L3の長さの80%以下、より好ましくは70%以下に設定する。
非加熱期間Lxの時期は例えば、養生期間L3の開始から養生期間L3の10%の時間が経過するまでの期間を除外するように設定するとよく、養生期間L3の開始から養生期間L3の15%の時間が経過するまでの期間を除外することがより好ましい。養生期間L3の最初の所定期間を経過した初期段階では、グラウトGの硬化反応が十分に活発になっているので、非加熱期間Lxを設けても発現強度に大きな影響が生じ難いと考えらえる。
図4~図6に例示した構造においてアンカーボルト3および鉄筋5を省略した試験モデルを用いて、表1に示すようにシートヒータの位置とグラウトを練る際に加える水の温度とを異ならせた4通り(ケース1~4)の条件にして、マイナス20℃~マイナス15℃の環境下でグラウトを打設範囲に打設した。型枠には1.2mmの鋼板を使用し、断熱材にはロックウールを使用した。養生期間(72時間)の経過後の硬化したグラウト(材齢28日)からφ100mmのコアサンプルを採取した。それぞれのコアサンプルについて一軸圧縮試験を行って圧縮強度を測定し、その結果を表1に示す。グラウトとしては一般的な無収縮モルタルを使用した。
ケース1~4では、図7に例示したグラフに準拠してシートヒータを設置した部材を加熱した。予熱期間は72時間として加熱温度を80℃程度(加熱温度範囲Tz)に維持した。打設期間および養生期間でも加熱温度80℃程度を維持した。
Figure 0007044737000001
表1に示すようにケース1~4では採取したコアサンプルが実用可能な一軸圧縮強度(45N/mm2以上)を有していて、極低温の環境下においてもグラウトが十分な強度を発現したことが分かる。
さらに、図4~図6に例示した構造においてアンカーボルト3および鉄筋5を省略した試験モデルを用いて、シートヒータの位置を図8に記載したように、左右の型枠および鉄骨枠の外表面に取付けて、表2に示すように予熱期間の長さとシートヒータを設置した部材の加熱温度(加熱温度範囲Tz)とを異ならせた4通り(ケース5~8)の条件にして、マイナス20℃~マイナス15℃の環境下でグラウトを打設範囲に打設した。グラウトを練る際に加える水は温水とし、グラウト練り上がりの温度は20℃程度にした。型枠には1.2mmの鋼板を使用し、断熱材にはロックウールを使用した。養生期間(72時間)の経過後の硬化したグラウト(材齢28日)からφ100mmのコアサンプルを採取した。それぞれのコアサンプルについて一軸圧縮試験を行って圧縮強度を測定し、その結果を表2に示す。グラウトとしては一般的な無収縮モルタルを使用した。尚、ケース5~8では打設期間では養生期間での加熱温度で加熱した。また、養生期間の途中で1時間の間、シートヒータの加熱を停止した。
Figure 0007044737000002
表2に示すようにケース5~8では採取したコアサンプルが実用可能な一軸圧縮強度(45N/mm2以上)を有していて、極低温の環境下においてもグラウトが十分な強度を発現したことが分かる。
1 冷凍倉庫
2 既設部分
2a 柱部
2b 梁部
2c 床部
3 アンカーボルト
4 鉄骨枠付きブレース
4a 鉄骨枠
4b スタッドボルト
5 鉄筋
6 型枠
7a 注入管
7b エア抜き管
8a、8b シートヒータ(加熱装置)
9 断熱材
G グラウト

Claims (6)

  1. 使用中の冷蔵施設での所定温度未満の環境下の施工現場で、設定された打設範囲にグラウトを打設する打設期間の後、所定の養生期間を経て前記グラウトを硬化させる低温下でのグラウトの打設方法において、
    前記打設範囲を、不燃性の部材により区画した状態にするとともに、前記部材の少なくとも一部にコンクリートよりも熱伝熱率が高い伝熱性部材を使用し、前記打設期間の直前の予熱期間では、前記伝熱性部材の外表面に取付けた加熱装置によってこの伝熱性部材の内表面を、前記グラウトを打設する前に、前記所定温度よりも高温の5℃以上の加熱温度範囲に加熱しておき、前記養生期間の50%以上の期間で前記加熱装置によって前記伝熱性部材の内表面を前記加熱温度範囲に加熱し、順次連続する前記予熱期間、前記打設期間および前記養生期間では、前記打設範囲の周辺空間は前記所定温度未満の環境下のままにすることを特徴とする低温下でのグラウトの打設方法。
  2. 前記加熱温度範囲が10℃以上80℃以下である請求項1に記載の低温下でのグラウトの打設方法。
  3. 前記伝熱性部材が金属であり、前記グラウトを打設する前に、前記部材に前記打設範囲に突出する金属ボルト部材を取り付けておく請求項1または2に記載のグラウトの打設方法。
  4. 前記グラウトを打設する前から前記養生期間が終了するまでの間、前記加熱装置および前記加熱装置の周辺を断熱材によって覆った状態にする請求項1~3のいずれかに記載のグラウトの打設方法。
  5. 前記養生期間のうち少なくとも一部を、前記加熱装置による加熱を停止する非加熱期間にする請求項1~4のいずれかに記載のグラウトの打設方法。
  6. 前記非加熱期間は、前記養生期間の開始から前記養生期間の10%の時間が経過するまでの期間を除外して設定する請求項5に記載のグラウトの打設方法
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