JP2007077757A - 加熱養生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリート製の壁や基礎の打設、あるいは壁への化粧材(タイル等)を貼着固定する際に、汎用性に優れた加熱養生方法を提供する。
【解決手段】PTC素子を熱源としている発熱体1の複数の発熱部20〜24を壁パネル10の平面状の表面部26からその垂直方向に第一距離だけ離すとともに、発熱部20〜24どうしを表面部26の幅方向に第二距離だけ離して並べている。そして、第一距離と第二距離とを、隣合う発熱部20〜24間に相当する領域の表面部26aに対して隣合う発熱部20〜24の双方から所定の熱エネルギーを付与するよう設定し、その上で前記発熱部20〜24を保持して発熱体1に通電し、壁パネル10の表面部26に輻射熱を発生させるようにしている。なお、発熱部20〜24を保持するために、前記複数の係止部12と複数の結束材13とを用いている。
【選択図】図1
【解決手段】PTC素子を熱源としている発熱体1の複数の発熱部20〜24を壁パネル10の平面状の表面部26からその垂直方向に第一距離だけ離すとともに、発熱部20〜24どうしを表面部26の幅方向に第二距離だけ離して並べている。そして、第一距離と第二距離とを、隣合う発熱部20〜24間に相当する領域の表面部26aに対して隣合う発熱部20〜24の双方から所定の熱エネルギーを付与するよう設定し、その上で前記発熱部20〜24を保持して発熱体1に通電し、壁パネル10の表面部26に輻射熱を発生させるようにしている。なお、発熱部20〜24を保持するために、前記複数の係止部12と複数の結束材13とを用いている。
【選択図】図1
Description
本発明は、発熱体を用いて養生対象物を加熱して養生する加熱養生方法に関する。
一般に建築物を構成するコンクリート製の壁や基礎の打設、あるいは壁への化粧材(タイル等)を貼着固定する際等に、これらの必要強度を得るために養生が行われる。この場合、外気温度によっては、打設コンクリートの硬化不良や、化粧材を貼着固定するための接着剤等の硬化不良が発生してしまうことがあり、このような不具合を防止するために加熱による養生が行われる。
そこで、従来の加熱養生方法として、養生対象物であるコンクリート中に電熱線を埋め込むようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、電熱線に通電してコンクリートを内部から加温することでこれを養生(固化)するものである。上記以外の養生のための加熱方法として、温風を養生対象物に吹付ける方法、赤外線ランプによる赤外線を養生対象物に照射する方法が用いられている。
ところで、コンクリート等の養生対象物では、部分的な品質(例えば強度)の相違の発生を防止するために均一な加熱が必要となる。しかしながら、コンクリート中に電熱線を埋め込むようにした加熱方法では、電熱線の接する部分と接しない部分とで温度差(温度むら)が発生してしまうから、均一な加熱は難しかった。
また、温風を養生対象物に吹付けて養生する方法、赤外線ランプによる赤外線を養生対象物に照射して養生する方法では、養生対象物の厚み方向、および面方向に大きな温度差が発生してしまい易く、やはり均一な加熱は難しかった。
そこで、電熱養生シートでコンクリート(基礎型枠)の表面を覆って加熱する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これは、湾曲部と直線部とをそれぞれ複数有した1本の線状の発熱体をシート体で挟むように内蔵固定することで電熱養生シートとし、この電熱養生シートで基礎型枠を覆うようにしている。そして、線状ヒータに通電して電熱養生シート全体を加熱することで養生対象物としてのコンクリートを均等に加熱しようとするものである。
しかしながら、養生対象物の大きさやそれが設置されている現場環境は必ずしも一定ではないため、上記電熱養生シートを汎用的に用いることができない場合がある。すなわち、養生対象物の条件ごとに発熱体の直線部間の距離を予め調節して固定した電熱養生シートを準備しなければならないという煩雑さがあった。
そこで、本発明は上記問題に鑑み、汎用性に優れた加熱養生方法の提供を課題とする。
本発明の加熱養生方法は、発熱体の複数の発熱部を養生対象物の平面状の表面部からその垂直方向に離して保持し、発熱部どうしを長さ調節可能な帯状の結束材を用いて前記表面部に平行に沿う方向に離して保持しながら、発熱部を発熱させることを特徴としている。
上記のように、現場環境ごとに、長さ調節可能な結束材を用いて発熱部どうしの間を所要距離だけ離すようにすることで、汎用性に優れた養生対象物の加熱養生を行うことが可能になる。
本発明の加熱養生方法は、柔軟性のある線状の発熱体を湾曲させて接続部とし、接続部間を直線状の発熱部とすることを特徴としている。
上記のように、柔軟性のある線状の発熱体を折曲げるようにして使用することで、現場環境ごとの養生対象物の大きさに対して対応性を良好にすることができる。
本発明の加熱養生方法は、平面状の表面部に沿う発熱部の間の距離を、表面部から発熱部までの垂直方向の距離の3.5倍以下とすることを特徴としている。
発熱部の間の距離と、表面部から発熱部までの垂直方向の距離との関係を上記のように設定することで、養生対象物の表面部に付与される熱エネルギーが均等になるように近付き、均等な養生が可能となる。
本発明の加熱養生方法は、発熱体の接続部を養生対象物側に設けた係止部を用いて保持することを特徴としている。
接続部を係止部に係止するという簡単な動作で保持できるとともに、発熱部と養生対象物との間の距離を容易に保持することができる。
本発明の加熱養生方法では、発熱体はPTC素子を熱源としていることにより、制御装置等を設けなくても一定の温度を保つことができる。特に、PTC素子を直線状の発熱部にのみ設けることにより、接続部の曲げ角度の変化あるいは、ねじれの影響をPTC素子が受け難くなって好ましい。
本発明の加熱養生方法は、発熱部の外側に、養生対象物の表面部に対向するように、発熱部を介して断熱シートを配置することを特徴としている。
断熱シートにより、発熱部の熱エネルギーが外側に逃げにくくなり、その分だけ養生対象物に効果的に輻射熱が与えられ、断熱シートのシート面によって、発熱部からの熱エネルギーが分散するから、断熱シートと養生対象物の表面部との間に熱エネルギーが滞り易くなり、均一な加熱養生ができる。
本発明の加熱養生方法によれば、発熱部どうしの間を所要距離だけ離すようにして現場環境ごとに対応することができるから、汎用性に優れる。
以下、本発明の実施形態に係る加熱養生方法を、図面に基づいて説明する。先ず、この実施形態にかかる加熱養生方法に用いる発熱体の構造を図面に基づいて説明する。図1は加熱養生方法を説明する正面図、図2は加熱養生方法を説明する側面断面図、図3は加熱養生方法の概念を示す平面図である。
本発明の実施形態に係る加熱養生方法は、複数の直線状の発熱部を養生対象物の平面状の表面部からその垂直方向に所定の距離だけ離して保持具で保持し、これら発熱部どうしを平面状の表面部に平行に沿う方向で発熱部の間を所定の距離だけ離して、長さ調節可能な帯状の結束材で保持した状態で前記発熱部を発熱させて養生対象物を加熱養生するもので、熱エネルギーを、隣合う発熱部の双方から、可及的に均等に隣合う発熱部に対応する表面部の領域に付与して、該領域に輻射熱を発生させるようにしている。
図において、符号1は発熱体、10は養生対象物としてのコンクリート製の壁パネル、11は発熱体1を壁パネル10側に保持するための保持具である。保持具11は、後述するように複数の係止部12と複数の結束材13によってなる。14,15はそれぞれ壁パネル10の上下部に取付けた上下の枠体であり、例えば木材等から形成されており、保持具11のうち前記係止部12を取付けている。なお、この実施形態における床パネル10はユニットとして形成されている。
後述するように、発熱体1は全体として柔軟性(可撓性)を有して折曲げ可能な線状に形成されている。これらの図では、一本の発熱体1を折曲げることで、直線状の発熱部20,21,22,23,24を複数設け、これら発熱部20〜24の端部20a,21a,22a,23a,24aどうしを弧状に湾曲させた接続部25で連続させてなり、全体として蛇行形状としている。
このような発熱体1を用いて壁パネル10を加熱することで養生(硬化)させるために、発熱部20〜24を壁パネル10の平面状の表面部26からその垂直方向に第一距離だけ離すとともに、発熱部20〜24どうしを表面部26の幅方向に第二距離だけ離して並べている。そして、第一距離と第二距離とを、隣合う発熱部20〜24間に相当する領域の表面部26aに対して隣合う発熱部20〜24の双方から所定の熱エネルギーを付与するよう設定し、その上で前記発熱部20〜24を保持して発熱体1に通電し、壁パネル10の表面部26に輻射熱を発生させるようにしている。なお、発熱部20〜24を保持するために、前記複数の係止部12と複数の結束材13とを用いている。
また、図2に示すように、発熱部20〜24の外側に、壁パネル10の表面部26に対向するように断熱シート27を配置し、そのシート面27aが表面部26に平行になるようにしている。
ここで、図3に基づいて壁パネル10の表面部26に輻射熱を発生させるための条件、すなわち前述のように、隣合う発熱部20,21(21,22),(22,23),(23,24)間に相当する領域の表面部26aに対して隣合う発熱部20,21の双方から熱エネルギーを付与させるための第一距離と第二距離との関係をさらに具体的に説明する。
先ず、この加熱養生方法では、各発熱部20〜24(その中心)と壁パネル10の表面部26との間の第一距離はそれぞれ実質的に等しく設定し、且つ発熱部20〜24どうしを表面部26に平行に沿う面内で平行となるよう保持しているとともに、発熱部20〜24間の第二距離をそれぞれ等しくなるよう設定して保持している。
そして、或る発熱部(図2では発熱部20,図3では発熱部20,21)から、当該発熱部20,21の中心から壁パネル10までの垂直距離を第一距離をL1とし、この発熱部20に対応する表面部26の点をC1とし、発熱部20から点C1に与えられる熱エネルギーをQ1とする。また、平行に配置した二本の発熱部20〜24の、それぞれの中心間の間隔である第二距離をL2とし、発熱部20〜24間(発熱部20,21の中間点である)に対応する表面部26の点をC2とし、発熱部20から点C2に与えられる熱エネルギーをQ2とする。点C1,C2に与えられる熱量の差が理論上最大の量となる。
また、表面部26の点C2からの垂線30と、発熱部20の中心と点C2を結ぶ直線31とのなす角度をθとすると、θ=60°であれば、Lambertの余弦法則により、
Q2=(1/2)・Q1
となる。すなわち、点C2には、両発熱部20,21により、合計Q1の熱エネルギーが与えられる。点C1に発熱部21から与えられる熱エネルギーは0.27Q程度である。したがって、点C1,C2にそれぞれ与えられる熱量は1.5倍程度の差に保たれることになる。つまり、第二距離L2を第一距離L1の3.5倍以下とすることで、壁パネル10の表面部26(26a)各点に与えられる熱量の最大差は上記の値以下に維持できるようになるから、この実施形態では第一距離L1と第二距離L2との関係は、第二距離L2を第一距離L1の3.5倍以下とするよう設定している。このような関係により、壁パネル10の表面部26における任意の点での温度差を低く抑え、表面部26をその全域に亙って均一に加熱することが可能になって、壁パネル10の養生が面方向および厚み方向で均一に行なわれる。
Q2=(1/2)・Q1
となる。すなわち、点C2には、両発熱部20,21により、合計Q1の熱エネルギーが与えられる。点C1に発熱部21から与えられる熱エネルギーは0.27Q程度である。したがって、点C1,C2にそれぞれ与えられる熱量は1.5倍程度の差に保たれることになる。つまり、第二距離L2を第一距離L1の3.5倍以下とすることで、壁パネル10の表面部26(26a)各点に与えられる熱量の最大差は上記の値以下に維持できるようになるから、この実施形態では第一距離L1と第二距離L2との関係は、第二距離L2を第一距離L1の3.5倍以下とするよう設定している。このような関係により、壁パネル10の表面部26における任意の点での温度差を低く抑え、表面部26をその全域に亙って均一に加熱することが可能になって、壁パネル10の養生が面方向および厚み方向で均一に行なわれる。
なお、発熱部20〜24から発生する熱エネルギーを同一で比較した場合には、壁パネル10に与える熱エネルギーは、第二距離L2の間隔をできるだけ狭くした方が多く与えられることは当然であるが、ランニングコスト等を考慮して第二距離L2を設定する必要がある。
次に、図4および図5に基づいて、発熱体1の構造の説明をする。図4(イ)は発熱体終端部の正面図、(ロ)は発熱体終端部の平面図、(ハ)は発熱体電源側接続部の平面図、(ニ)は(ロ)のA断面図、(ホ)は発熱体中間部の平面図である。図5は図4(ホ)に示すPTCヒータを示しており、(イ)はPTC素子に端子を接続する前の状態を示す平面図、(ロ)は(イ)の端子接続後の状態を示す平面図、(ハ)は(ロ)の側面図、(ニ)は電線にPTC素子を接続する前の状態を示す正面図、(ホ)は(ニ)のPTC素子を電線接続後の状態を示す平面図である。
発熱体1は、図4(イ)、(ロ)に示すように短手方向の断面形状が長円形となる線状に成形されており、その端末となる位置には端末を密封するための端末封止1aが設けられている。端末封止1aには、合成樹脂キャップで蓋をして防水処置を施している。
図4(ロ)に示すように発熱体1は複数の凹部1bを有している。また、図4(ハ)に示すように発熱体1は接続部8aに接続されており、接続部8aには電源コード8が接続されて電源から電気を供給できるように構成されている。なお、柔軟性のある線状の発熱体としては、紐状、テープ状、帯状及びベルト状など線状に形成された発熱体を蛇行形状に配置でき、且つ、加熱養生に使用して取り除く際の巻き取りが可能な柔らかさを有することが好ましい。
図4(ニ)に示すように、発熱体1は、テープ状、即ち、偏平の断面形状(略トラック状の断面形状)を有するものである。この断面形状の寸法の一例を挙げれば、幅(長辺の長さ)が16mmで厚み(短辺の長さ)が4.5mmである。
発熱体1の内部構造は、図4(ニ)に示すように、その中心の位置に熱源となるPTC素子5(Positive Temperature Coefficient)が配置されており、PTC素子5の両側に導体4が設けられている。PTC素子5と導体4の間には、導体4とPTC素子5とを接続するための接続端子6が設けられている。発熱体1は、これらPTC素子5と導体4と接続端子6とを柔軟性を有する合成樹脂からなる絶縁体1cで被覆して成形されている。さらに、発熱体1の内部構造について図4(ホ)により説明すると、導体4は発熱体1の短手方向の両側に、それぞれ発熱体1の長手方向に延びるように配置されている。PTC素子5は導体4と導体4との間に設けられている。PTC素子5は発熱体1の長手方向に間隔をおいて設けられている。PTC素子5としては、熱伝導性の優れた抵抗体、即ち、チタン酸バリウムを用いたセラミック系抵抗体などや高分子組成物にカーボンブラックなどの粒子状導電剤を含有させた導電性ポリマーなどが使用できる。本実施形態におけるPTC素子5は、例えば、上述のチタン酸バリウムを主成分とするほぼ直方体形状のセラミックス半導体であり、室温からキューリー温度(抵抗急変温度)までは低抵抗であるが、キューリー温度を超えると急に抵抗値が増大する特性を有する感熱素子である。この特性により、PTC素子5は、キューリー温度を下回る温度下において電圧が印加されると、最初は低温であるために抵抗値が小さいので大電流が流れ、PTC素子5の温度が急激に上昇する。そして、PTC素子5の温度がキューリー温度を超えると抵抗値が急に増大するために電流量が減少し、その結果、PTC素子5の発熱量は減少する。そのため、PTC素子5は、所定温度以上に温度が上がることなく、一定温度で安定して熱平衡状態を保つ。即ち、PTC素子5は自己温度制御機能を有している。したがって、発熱量制御のための温度制御回路や過熱防止回路などを別途設ける必要がない。因みに、PTC素子5は、例えば、幅6mm×長さ8.3mm×厚み1.7mmの直方体形状に形成されている。したがって、上記に述べた発熱部20〜24の中心とは、この場合、PTC素子5の中心を意味する。
ここで、発熱体1の成形方法について図5(イ)〜(ホ)により説明する。図5(イ)に示すように、PTC素子5の対向する2辺にそれぞれ接続端子6の素子接続部6bを圧着する。次に、PTC素子5に素子接続部6bを圧着した状態で加熱する。この接続端子6には、半田合金がメッキされており、この加熱によりメッキされた半田合金が溶融して、PTC素子5と素子接続部6bとをしっかりと接続する。次に、図5(ニ)に示すように導体4を接続端子6の導体接続部6aで挟み込み圧着する。このようにして、図5(ホ)に示すように、PTC素子5を発熱体1の長手方向に間隔をおいて(例えば、35mm程度〜100mm程度の間隔)複数個接続する。次に、導体4及びPTC素子5を、柔軟性を有する合成樹脂からなる絶縁体1c(被覆材)の押し出し成形により被覆する。なお、被覆材としては、例えば、最大点伸度280%を有する軟質塩化ビニル樹脂が使用されている。
前記係止部12は、特にその構成が限定されるものではなく、この実施形態では、発熱体1の接続部25を係止する湾曲した鉤部35と、前記枠体14,15に固定される(例えば枠体14,15の前面に螺合される)取付け部36とを有している。そして、枠体14,15の前面からの突出量を調節可能であることが好ましい。枠体14,15の前面からの突出量を調節可能とすることは、壁パネル10の表面部26からの突出量すなわち、第一距離L1を調節して設定することが可能である。
前記結束材13を、図6に基づいて説明する。図6(イ)は結束材の使用状態を示す平面図、(ロ)は結束材をその幅方向に伸ばした状態の正面図、(ハ)は結束材をその幅方向に伸ばした状態の平面図である。
結束材13は帯状の本体部40の途中に複数個の止め孔41を並べて形成してなり、両側端部は円弧状に面取り43されている。そして、各両側端部に止め孔41に挿通嵌合する突起44が形成されている。これら各突起44は、基部45が小円柱状に形成されており、その先端に止め孔41の径よりわずかに大きな径を有する球状の先端部46が一体に形成されている。
結束材13は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂が使用できる。そして、発熱部20〜24間の第二距離L2を設定した後に、本体部40の幅方向外側部を幅方向中心側に折曲げて、図6(イ)に示すように発熱部20〜24の外周を包み込むようにして、第二距離L2に対応した位置にある所定の止め孔41を選択し、その止め孔41に突起44を弾性的に嵌合するように用いる。なお、各発熱部20〜24が平行になれば、図6(イ)の仮想線に示すように、幅方向外側部の折曲げ量を左右で等しくなるように用いることも可能であるし、異なるようにして用いることも可能である。
上記構成を有する発熱体1は柔軟性を有するから、これを蛇行させるように変形して用いることが可能である。また、一本の発熱体1は所望の長さに容易に形成することが可能である。したがって、或る程度の長尺の発熱体1を準備しておき、壁パネル10の面積や現場の気温などの気候条件である現場環境に応じて、発熱部20〜24のそれぞれの長さ(接続部25の長さ)、第一距離L1、第二距離L2を設定するようにする。すなわち、発熱部20〜24間の第二距離L2を上記のように結束材13を用いて等しくするとともに、上下の係止部12の鉤部35に接続部25を掛け渡すようにして発熱体1を保持する。なお、この実施形態では、上下の係止部12それぞれにおける表面部26に沿う水平距離L3は、第二距離L2の丁度二倍になるよう設定している。また、発熱部20〜24はそれぞれ壁パネル10の高さと等しくなるよう設定することが好ましい。
結束材13は発熱部20〜24をそれぞれ包み込むようにしているから、上下の係止部12の鉤部35に接続部25を掛け渡すようにした後は、必要に応じて、結束材13が水平になるようにしつつ包み込み部分に対して発熱部20〜24をスライドさせるようにして第二距離L2を細かく設定することが可能である。
なお、この実施形態では接続部25を円弧状に折曲げるようにしており、発熱体1は柔軟性を有しているから、発熱部20〜24の端部20a〜24aに近付くほど隣合う発熱部20〜24は接近する傾向にある。したがって、特に接続部25の始端部25a近傍でも発熱部20〜24どうしが第二距離L2を保持するよう、結束材13は少なくとも接続部25の始端部25a近傍に配置することが好ましい。この実施形態では、結束材13は接続部25の始端部25a近傍と、該始端部25a近傍から発熱部20〜24の長手方向に距離を置いた個所に、隣合う発熱部20〜24間に渡すように取付けている。なお、接続部25の円弧径は第二距離L2に等しくすることが好ましい。
発熱体1の保持が終了したら、発熱部20〜24の外側に、壁パネル10の表面部26に対向するように断熱シート27を配置し、そのシート面27aが表面部26に平行になるように設置する。そして、発熱体1に通電することで発熱体1が発熱し、熱エネルギーが壁パネル10の表面部26に与えられる。壁パネル10の表面から断熱シート27のシート面27aまでの距離Lは、現場環境に応じて適宜調節するようにして設定する。
上記のように、壁パネル10の表面部26の加熱を、一本の発熱体1をその柔軟性を利用して蛇行形状にして、第一距離L1と第二距離L2とが上記関係となるように結束材13を用いて発熱部20〜24間を設定するとともに係止部12に接続部25を掛け、断熱シート27を配置して発熱体1に通電するという簡単な方法で、壁パネル10を加熱養生することができる。
そして、第一距離L1、第二距離L2の関係を上記した関係となるように設定して発熱体1に通電することで、発熱部20〜24によって、発熱シート(電熱養生シート)のような発熱面が形成された状態になり、壁パネル10の表面部26に輻射熱を付与して、その全域をほぼ均等に加熱することができるから、部分的に集中した加熱を回避することができ、また、発熱部20〜24を第一距離L1だけ壁パネル10の表面部26から離間させているから、表面部26に加熱痕跡を残すこともない。さらに、壁パネル10の表面部26に輻射熱を付与して、表面部26での任意の点での温度差を低く抑えてその全域をほぼ均等に加熱することになるから、エネルギー効率が良好である。
従来用いていた電熱養生シート等では、熱源そのものの位置が現場における風等影響を受けて変化し易い。そうすると、経時的には均一な加熱がなされ難くなる。しかしながらこの実施形態では、熱源となる発熱体1をシートに内蔵させることなく露出させているものであり、その表面積は電熱養生シート等に比べて小さい。したがって風(風荷重)の影響を受け難いから、発熱体1と表面部26との距離を保持し易くなる。このことに加え、発熱体1は保持具11によって位置保持されているから、いっそう確実にその位置が確保されることになり、経時的にも均等な加熱がし易くなる。そして、断熱シート27を配置することで、風が吹く環境下であっても、発熱体1から表面部26に不要する熱エネルギーを風の影響を受け難い状態で与えることが可能になる。
特に、無風状態、あるいはそれに近い状態の現場環境下では、断熱シート27を発熱部20〜24の外側に配置することで、発熱部20〜24からの熱エネルギーが外側に逃げにくくなり、その分だけ壁パネル10に効果的に輻射熱が与えられることになり、断熱シート27のシート面27aによって、発熱部20〜24からの熱エネルギーが表面部26に沿うように分散し、断熱シート27と壁パネル10の表面部26との間に熱エネルギーが滞り易くなる。したがって壁パネル10の表面部26の一部に熱エネルギーが集中して与えられてしまう状態を回避して、いっそう効果的に壁パネル10の表面部26をその面方向に均等に加熱することが可能になる。
このような断熱シート27は、現場環境等に応じて用いるか用いないかを適宜選択するこが可能である。すなわち、断熱シート27を設けずとも壁パネル10の表面部26を均等に加熱することが可能であれば、必ずしも設ける必要はない。
壁パネル10の加熱養生が終了すると、接続部25を係止部12の鉤部35から取外すことで、発熱体1を係止部12から取外す。また、突起44の弾性に抗してこれを止め孔41から取外す。このような簡単な動作で壁パネル10に対して発熱体1を除去することが可能である。
さらに、結束材13は合成樹脂から形成されており柔軟性(弾性)を有するから、結束材13はその形状が特別に外力を付与することなくほぼ原形に復元されることになる。そして結束材13は、帯状であるから、複数まとめる(束ねる)ことが容易である。また、発熱体1は柔軟性を有するから、結束材13を発熱体1から取外した後は、これを巻取ることで小さくする(束ねる)ことができるから、持ち運びや収納が楽であり、容易である。
あるいは、結束材13は発熱体1に取付けたままでもよく、この場合でも、発熱体1は柔軟性を有するから、上記のような加熱養生のために同一平面内で蛇行形状にした姿勢に比べて小さくまとめることが可能である。そして、このような発熱体1、結束材13、係止部12は再利用が可能であり、経済的である。
図7に別の実施形態を示す。図7は、別の加熱養生方法を説明する側面断面図である。図7の実施形態は、壁パネル10の表面部26に接着剤50を塗布し、接着剤50を介して壁パネル10にタイル51を貼着する場合の、前記接着剤50の加熱養生方法である。
図7に示す実施形態では、接着剤50としてエポキシ樹脂系接着剤(2液型)、シリコン樹脂系接着剤(1液型)等が用いられる。これらは常温硬化するものの、寒冷地(あるいは寒冷な時期)では硬化がしにくく、また、硬化の際に接着剤50と外気温との関係により、接着剤50の表面や裏面に結露水が発生する場合がある。そこで、図7の実施形態は、硬化を促進するとともに結露水の発生防止のための加熱養生方法としている。
図7に示す加熱養生方法が、図1〜図6に示した加熱養生方法と異なる点は、図7では接着剤50の前面にタイル51が敷設されているから、接着剤50はタイル51を介して加熱養生されることになることである。換言すれば、直接的な加熱対象物はタイル51であり、養生対象物は発熱体1によってタイル51を介して間接的に加熱される接着剤50である点である。そして、第一距離L1は、発熱体1からタイル51の表面部26までの距離となる。したがって、このように養生対象物を間接的に養生する場合は、直接的に加熱される部材を含めて養生対象物となる。
そして、図1〜図6に示した場合と同様に第一距離L1、第二距離L2を設定し、係止部12、結束材13を用いて発熱体1を保持し、発熱体1に通電することでタイル51の表面部26を均一に加熱する。この場合、接着剤50に結露水を発生させないために、接着剤50が所定の温度以下にならないよう設定する必要がある。この所定の温度としては、例えば5°Cである。
上記各実施形態に示したように養生対象物としてコンクリート製の壁パネル10、合成樹脂製の接着剤50を例示したがこれに限定されるものではなく、発熱部20〜24を複数設けて均等に加熱することが必要な或る程度の大きさの表面部を有する養生対象物、例えば床材ユニット等にも適応可能である。また、発熱体1を加熱により硬化させる養生対象物は、直接的または間接的に加熱することは問うものではない。
また、発熱体1はその最表面に絶縁体1cを有する。この絶縁体1cにその表面の黒度を上昇させる塗料を、絶縁体1cを製造する際に添加するようにしてもよい。絶縁体1cの黒度が上昇すれば、発熱体1の熱源であるPTC素子5からの熱エネルギーの放射率を向上させることができる。
発熱体1の発熱部20〜24を確実に直線状に保持するために、例えば、図8に示すような伝熱カバー2を用いることも可能である。伝熱カバー2は、図8(イ)〜(ハ)に示すように短手方向の断面形状が矩形状となる筒状(中空状)に成形されている。伝熱カバー2は、養生対象物の表面側となる底面部2aと、その反対側の上面部2bと、両側面部2c,2dを有している。底面部2aと上面部2bの内面間の離間幅L4は、発熱体1の厚みと同等かわずかに小さいことが好ましく、また、両側面部2c,2dの内面間の離間幅L5は発熱体1の幅と同等かわずかに小さい断面とすることが好ましい。
中空の伝熱材で形成された伝熱カバー2としては、発熱体1の発熱部20〜24を直線状に収容できれば良く、部分的に切断部が形成された形状でもよく、分割できるものであっても良い。また、伝熱材としては、発熱体1の熱を伝熱できる素材であれば良く、例えば、アルミニウム(A6062)、ステンレス、及び鉄などが使用できる。さらに、伝熱カバー2に塗装やメッキなどの表面処理をしたものは、意匠性や耐久性などが向上するのでより好ましい。
そして、発熱体1を養生対象物に対して保持する際に、発熱体1の発熱部20〜24を伝熱カバー2に挿通するようにし、前述の結束材13で伝熱カバー2の間隔を設定して第二距離L2を保持する。
底面部2aと上面部2bの内面間の離間幅L4を、発熱体1の厚みと同等かわずかに小さくし、両側面部2c,2dの内面間の離間幅L5を、発熱体1の幅と同等かわずかに小さい断面とすることで、発熱体1を伝熱カバー2に挿通すると、発熱体1の絶縁体1cが伝熱カバー2の内面に弾性的に摺動し、挿通を止めると絶縁体1cは伝熱カバー2の内面に弾性的に嵌合しているから、その弾性により位置保持されることになる。そして、伝熱カバー2は筒状であるから剛性が大きい。したがって、発熱部20〜24を確実に直線状に保持することが可能となり、養生対象物の表面部26を均等に加熱することが可能である。
なお、加熱養生が終了したの後は、発熱体1から取外してもよいし、装着したままで発熱体1をまとめ(束ねて)もよい。また、接着剤としてモルタルを用い、このモルタルを養生対象物とすることも考えられる。
1…発熱体、10…壁パネル、11…保持具、12…係止部、13…結束材、14,15…枠体、20,21,22,23,24…発熱部、20a,21a,22a,23a,24a…発熱部の端部、25…接続部、26…表面部、27…断熱シート、40…結束材の本体部、41…止め孔、44…突起、L1…第一距離、L2…第二距離
Claims (6)
- 発熱体の複数の発熱部を養生対象物の平面状の表面部からその垂直方向に離して保持し、発熱部どうしを長さ調節可能な帯状の結束材を用いて前記表面部に平行に沿う方向に離して保持しながら、発熱部を発熱させることを特徴とする加熱養生方法。
- 柔軟性のある線状の発熱体を湾曲させて接続部とし、接続部間を直線状の発熱部とすることを特徴とする請求項1記載の加熱養生方法。
- 平面状の表面部に沿う発熱部の間の距離を、表面部から発熱部までの垂直方向の距離の3.5倍以下とすることを特徴とする請求項2記載の加熱養生方法。
- 発熱体の接続部を養生対象物側に設けた係止部を用いて保持することを特徴とする請求項2または請求項3の何れかに記載の加熱養生方法。
- 発熱体はPTC素子を熱源としていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の加熱養生方法。
- 発熱部の外側に、養生対象物の表面部に対向するように、発熱部を介して断熱シートを配置することを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の加熱養生方法。
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