JP7226429B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
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Description
偏光板を用いない液晶表示素子として、液晶の透過状態(透明状態ともいう。)と散乱状態との間でスイッチングを行う素子がある。一般的には、高分子分散型液晶(PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)ともいう。)や高分子ネットワーク型液晶(PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)ともいう。)を用いたものが知られている。
以上の点から、本発明は、良好な光学特性を発現し、液晶層と電極との密着性が高く、更には、液晶表示素子の駆動電圧が低くなる液晶表示素子を提供することを目的とする。特に、長時間、高温高湿や光の照射に曝される過酷な環境においても、素子の剥がれや気泡の発生、及び光学特性の低下を抑制できる液晶表示素子を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、電極を備えた一対の基板の間に配置した液晶及び重合性化合物を含む液晶組成物に対し、紫外線を照射して硬化させた液晶層を有し、かつ基板の少なくとも一方に樹脂膜を備える、電圧無印加時に散乱状態となり、電圧印加時には透明状態となる液晶表示素子であって、
前記液晶が、正の誘電異方性を有し、前記液晶組成物が、下記式[1]で表される化合物を含み、かつ、前記樹脂膜が、下記式[2-a]~式[2-i]からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する重合体を含む樹脂組成物から得られることを特徴とする液晶表示素子にある。
本発明に使用される液晶組成物は、正の誘電異方性を有する液晶、重合性化合物及び前記式[1]で示される化合物(特定化合物ともいう。)を含有する。特定化合物は、ベンゼン環やシクロヘキサン環といった剛直構造の部位と、式[1]中のX1で示される紫外線により重合反応する部位とを有する。そのため、かかる特定化合物を液晶組成物中に含めると、特定化合物の剛直構造の部位が、液晶の垂直配向性を高め、電圧印加に伴う液晶の駆動を促進させ、液晶表示素子の駆動電圧を低くできる。また、式[1]中のX1の部位が重合性化合物と反応することで、ポリマーネットワークを密な状態に保つことができる。
これら特定構造は、液晶表示素子を作製する際の工程である紫外線を照射する工程において、液晶組成物中の重合性化合物の反応基と光反応し、液晶層と樹脂膜との密着性が強固なものとなる。また、樹脂膜は、特定構造を有する特定重合体を含む樹脂組成物から得られるため、低分子量の重合性化合物からなる液晶層に比べて、電極との密着性が高くなると考えられる。
以上の点から、本発明における液晶組成物及び樹脂膜を用いた液晶表示素子は、光学特性が良好で、液晶層と電極との密着性が高く、更には、液晶表示素子の駆動電圧が低くなる。特に、長時間、高温高湿や光の照射に曝される過酷な環境においても、素子の剥がれや気泡の発生、及び光学特性の低下を抑制できるノーマル型素子となる。
液晶には、ネマチック液晶、スメクチック液晶又はコレステリック液晶を用いることができる。なかでも、本発明においては、正の誘電異方性を有する。また、低電圧駆動及び散乱特性の点からは、誘電率の異方性が大きく、屈折率の異方性が大きいものが好ましい。また、液晶には、前記の相転移温度、誘電率異方性及び屈折率異方性の各物性値に応じて、2種類以上の液晶を混合して用いることができる。
液晶表示素子をTFT(Thin Film Transistor)などの能動素子として駆動させるためには、液晶の電気抵抗が高くて電圧保持率(VHRともいう。)が高いことが求められる。そのため、液晶には、電気抵抗が高くて紫外線などの活性エネルギー線によりVHRが低下しないフッ素系や塩素系の液晶を用いることが好ましい。
重合性化合物は、液晶に溶解すれば、特に限定されないが、重合性化合物を液晶に溶解した際に、液晶組成物の一部又は全体が液晶相を示す温度が存在することが必要となる。液晶組成物の一部が液晶相を示す場合であっても、液晶表示素子を肉眼で確認して、素子内全体がほぼ一様な透明性と散乱特性が得られていれば良い。
なかでも、重合性化合物の反応形式は、液晶表示素子の光学特性の点から、ラジカル重合が好ましい。その際、重合性化合物としては、下記のラジカル型の重合性化合物、又はそのオリゴマーを用いることができる。また、前記の通り、これらの重合性化合物を重合反応させたポリマーを用いることもできる。
ラジカル型の重合性化合物又はそのオリゴマーの具体例は、国際公開第2015/146987の69~71頁に記載されるラジカル型の重合性化合物が挙げられる。
前記硬化性樹脂の形成を促進させるため、液晶組成物中には、重合性化合物のラジカル重合を促進させる目的で、紫外線により、ラジカルを発生するラジカル開始剤(重合開始剤ともいう)を導入することが好ましい。
具体的には、国際公開第2015/146987の71~72頁に記載されるラジカル開始剤が挙げられる。
特定化合物は、前記式[1]で表される化合物である。
X1は前記式[1-a]、式[1-b]、式[1-c]、式[1-d]、式[1-e]又は式[1-f]が好ましい。より好ましいのは、式[1-a]、式[1-b]、式[1-c]又は式[1-e]である。最も好ましいのは、式[1-a]又は式[1-b]である。
X2は単結合、-O-、-CH2O-、-CONH-、-COO-又は-OCO-が好ましい。より好ましいのは、単結合、-O-、-COO-又は-OCO-である。
X4は単結合、-O-又は-COO-が好ましい。より好ましいのは、-O-である。
X5はベンゼン環又はシクロヘキサン環、又はステロイド骨格を有する炭素数17~51の2価の有機基が好ましい。より好ましいのは、ベンゼン環又はステロイド骨格を有する炭素数17~51の2価の有機基である。
X6は単結合、-O-、-COO-又は-OCO-が好ましい。より好ましいのは、単結合、-COO-又は-OCO-である。
X7はベンゼン環又はシクロヘキサン環が好ましい。
X8は炭素数1~18のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数2~18のアルケニル基が好ましい。より好ましいのは、炭素数1~12のアルキル基又はアルコキシ基である。
Xmは0~2の整数が好ましい。
複数種の重合性化合物を用いる場合、それらを混合する際に重合性化合物の溶解性に応じて、加熱することもできる。その際の温度は100℃未満が好ましい。また、重合性化合物と特定化合物とを混合する場合、及び液晶と特定化合物とを混合する場合も同様である。
樹脂膜は、前記式[2-a]~式[2-i]の特定構造を有する重合体を含む樹脂組成物から得られる。
特定構造としては、前記式[2-a]~式[2-c]、式[2-e]、式[2-h]又は式[2-i]が好ましい。より好ましいのは、式[2-a]、式[2-b]、式[2-h]又は式[2-i]である。
特定構造を有する特定重合体としては、特に限定されないが、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体が好ましい。より好ましいのは、ポリイミド前駆体、ポリイミド又はポリシロキサンである。
ポリイミド前駆体とは、下記式[A]の構造を有する。
ジアミン成分としては、分子内に1級又は2級のアミノ基を2個有するジアミンであり、テトラカルボン酸成分としては、テトラカルボン酸化合物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジハライド化合物、テトラカルボン酸ジアルキルエステル化合物又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物が挙げられる。
特定構造をポリイミド系重合体に導入する方法としては、特定構造を有するジアミンを原料の一部に用いることが好ましい。特に下記式[2]の構造を有するジアミン(特定ジアミンともいう。)を用いることが好ましい。
Y2は単結合、炭素数1~18のアルキレン基、又はベンゼン環、シクロヘキサン環及び複素環から選ばれる環状基を有する炭素数6~24の有機基を示し、これら環状基上の任意の水素原子は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシル基、炭素数1~3のフッ素含有アルキル基、炭素数1~3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。なかでも、単結合、炭素数1~12のアルキレン基、ベンゼン環又はシクロヘキサン環が好ましい。より好ましいのは、単結合又は炭素数1~12のアルキレン基である。
Y4は前記式[2-a]~式[2-i]からなる群から選ばれる構造を示す。なかでも、式[2-a]~式[2-e]、式[2-h]又は式[2-i]が好ましい。より好ましいのは、式[2-a]、式[2-b]、式[2-d]、式[2-e]又は式[2-i]である。最も好ましいのは、式[2-a]、式[2-b]又は式[2-i]である。Ymは1~4の整数を示す。なかでも、1又は2が好ましい。
Ynは1~4の整数を示す。なかでも、1が好ましい。
なかでも、式[2a-1]、式[2a-2]、式[2a-5]~式[2a-7]、式[2a-11]又は式[2a-12]が好ましい。より好ましいのは、式[2a-5]~式[2a-7]、式[2a-11]又は式[2a-12]である。
特定ジアミンの使用割合は、ジアミン成分全体に対し10~70モル%が好ましい。より好ましいのは、20~60モル%である。また、特定ジアミンは、各特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用できる。
Wmは1~4の整数を示す。なかでも、1が好ましい。
bは0~4の整数を示す。なかでも、0又は1が好ましい。
WA及びWBは、炭素数1~12のアルキル基を示す。
WCは炭素数1~5のアルキル基を示す。
例えば、2,4-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノベンジルアルコール、2,4-ジアミノベンジルアルコール、4,6-ジアミノレゾルシノール、2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸の他に、下記式[3a-1]及び[3a-2]のジアミンが挙げられる。
具体的には、国際公開第WO2015/012368の27~30頁に記載されるその他のジアミン化合物、及び同公報の30頁~32頁に記載される式[DA1]~式[DA14]のジアミン化合物が挙げられる。また、その他ジアミンは、各特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用できる。
具体的には、国際公開第WO2015/012368の34~35頁に記載されるその他のテトラカルボン酸成分が挙げられる。
特定テトラカルボン酸成分及びその他のテトラカルボン酸成分は、各特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用できる。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応は、通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを含む溶媒中で行う。その際に用いる溶媒としては、生成したポリイミド前駆体が溶解するものであれば特に限定されない。
ポリイミドはポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドであり、このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう。)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調製できる。なかでも、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性の点から、30~80%が好ましい。より好ましいのは、40~70%である。
特定重合体にポリシロキサンを用いる場合、下記式[A1]のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は該式[A1]のアルコキシシランと下記式[A2]のアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサンを用いることが好ましい。
A2は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましい。A3は炭素数1~5のアルキル基であり、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。mは1又は2の整数であり、1が好ましい。nは0~2の整数である。pは0~3の整数であり、1~3の整数が好ましく、2又は3の整数がより好ましい。m+n+pは4である。
例えば、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3-(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート又は3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートであり、これらを用いることが好ましい。
式[A1]のアルコキシシランは、各特性に応じて、1種又は2種以上を混合して使用できる。
B2は炭素数1~5のアルキル基であり、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。nは0~3の整数である。
また、式[A2]中、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランが挙げられる。式[A2]のアルコキシシランとしては、これらのアルコキシシランを用いることが好ましい。
式[A2]のアルコキシシランは、各特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用できる。
なかでも、重縮合の反応性やポリシロキサン系重合体の溶媒への溶解性の点から、複数種のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンが好ましい。即ち、式[A1]と式[A2]の2種類のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサンを用いることが好ましい。その際、式[A1]のアルコキシシランの使用割合は、全てのアルコキシシラン中、1~70モル%が好ましく、1~50モル%がより好ましく、1~30モル%が特に好ましい。
また、式[A2]のアルコキシシランの使用割合は、全てのアルコキシシラン中、30~99モル%が好ましく、50~99モル%がより好ましく、70~99モル%が特に好ましい。
ポリシロキサン系重合体を作製する重縮合反応において、式[A1]及び式[A2]のアルコキシシランを複種用いる場合は、複数種のアルコキシシランを予め混合した混合物を用いて反応しても、複数種のアルコキシシランを順次添加しながら反応してもよい。
希釈する際に用いる溶媒(添加溶媒ともいう。)は、重縮合反応に用いる溶媒やその他の溶媒であってもよい。この添加溶媒は、ポリシロキサン系重合体が均一に溶解している限りにおいては特に限定されず、1種又は2種以上を任意に選択できる。このような添加溶媒としては、前記重縮合反応に用いる溶媒に加え、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒などが挙げられる。
樹脂組成物は、樹脂膜を形成するための溶液であり、特定構造を有する特定重合体及び溶媒を含有する溶液である。その際、特定重合体は、2種類以上のものを用いることができる。
樹脂組成物における重合体成分は、すべてが特定重合体であっても良く、それ以外の重合体が混合されていても良い。その際、それ以外の重合体の含有量は、特定重合体100質量部に対して、0.5~15質量部が好ましい。より好ましいのは、1~10質量部である。それ以外の重合体としては、特定構造を持たない前記の重合体が挙げられる。
樹脂組成物に用いる溶媒は、特定重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。なかでも、特定重合体がポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド又はポリエステルの場合、或いは、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、セルロース又はポリシロキサンの溶媒への溶解性が低い場合は、下記の溶媒(溶媒Aともいう。)を用いることが好ましい。
溶媒B類の具体例は、国際公開第WO2014/171493の58~60頁に記載される溶媒Bが挙げられる。なかでも、1-ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は前記式[D1]~式[D3]が好ましい。
これら溶媒B類は、樹脂組成物を塗布する際の樹脂膜の塗膜性や表面平滑性を高めることができるため、特定重合体にポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド又はポリエステルを用いた場合、前記溶媒A類と併用して用いることが好ましい。その際、溶媒B類は、樹脂組成物に含まれる溶媒全体の1~99質量%が好ましい。なかでも、10~99質量%が好ましい。より好ましいのは、20~95質量%である。
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物の具体例は、国際公開第WO2014/171493の63~64頁に記載されるエポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物が挙げられる。
オキセタン基を有する架橋性化合物の具体例は、国際公開第WO2011/132751の58~59頁に掲載される式[4a]~式[4k]の架橋性化合物が挙げられる。
ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基を有する架橋性化合物の具体例は、国際公開第2014/171493の65~66頁に記載されるメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体、及び国際公開第WO2011/132751の62~66頁に掲載される、式[6-1]~式[6-48]の架橋性化合物が挙げられる。
樹脂組成物には、光ラジカル発生剤、光酸発生剤及び光塩基発生剤から選ばれる少なくとも1種の発生剤(特定発生剤ともいう。)を導入することが好ましい。
樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、樹脂組成物を塗布した際の樹脂膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。更に、樹脂膜と基板との密着性を向上させる化合物などを用いることもできる。
樹脂組成物には、前記以外の化合物の他に、樹脂膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板、ポリカーボネート基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板、更には、それらのフィルムを用いることができる。特に、調光窓などに用いる場合には、プラスチック基板やフィルムが好ましい。また、プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO電極、IZO(Indium Zinc Oxide)電極、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)電極、有機導電膜などが形成された基板を用いることが好ましい。また、反射型の液晶表示素子とする場合には、片側の基板のみにならば、シリコンウエハやアルミニウムなどの金属や誘電体多層膜が形成された基板を使用できる。
樹脂組成物の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、基板の種類や目的とする樹脂膜の膜厚に応じて、適宜選択できる。
焼成後の樹脂膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましいのは、5~500nmである。より好ましいのは、10~300nmであり、特に好ましいのは、10~250nmである。
液晶組成物の注入方法は、特に限定されないが、例えば、次の方法が挙げられる。即ち、基板にガラス基板を用いる場合、樹脂膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の4片を、一部分を除いてシール剤を塗布し、その後、樹脂膜の面が内側になるようにして、もう片側の基板を貼り合わせた空セルを作製する。そして、シール剤が塗布されていない場所から液晶組成物を減圧注入して、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。更に、基板にプラスチック基板やフィルムを用いる場合には、樹脂膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の上にODF(One Drop Filling)法やインクジェット法などで、液晶組成物を滴下し、その後、もう片側の基板を貼り合わせて、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。本発明の液晶表示素子では、液晶層と電極との密着性が高いため、基板の4片にシール剤を塗布しなくても良い。
液晶表示素子のギャップの大きさは、1~100μmが好ましい。より好ましいのは、1~50μmである。特に好ましいのは、2~30μmである。ギャップが小さすぎると、液晶表示素子のコントラストが低下し、大きすぎると、素子の駆動電圧が高くなる。
R1:IBXA(大阪有機化学工業社製)
R2:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
R3:KAYARAD FM-400(日本化薬社製)
R4:EBECRYL 230(ダイセル・オルネクス社製)
R5:カレンズMT PE1(昭和電工社製)
<光ラジカル開始剤>
P1:IRGACURE 184(BASF社製)
<液晶>
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
γ-BL:γ-ブチロラクトン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
ECS:エチレングリコールモノエチルエーテル
EC:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)(昭和電工社製)、カラム(KD-803,KD-805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム-水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW-ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm~10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1-α・x/y)×100
(xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。)
<合成例1>
D2(3.06g,12.2mmol)、A1(4.10g,15.5mmol)及びC1(1.68g,15.5mmol)をNMP(33.2g)中で混合し、80℃で4時間反応させた後、D1(3.60g,18.4mmol)とNMP(16.6g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(1)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量(Mnともいう。)は18,500、重量平均分子量(Mwともいう。)は66,500であった。
合成例1の手法で得られたポリアミド酸溶液(1)(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.60g)及びピリジン(2.30g)を加え、60℃で1.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(450ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(2)を得た。このポリイミドのイミド化率は51%であり、Mnは16,100、Mwは43,500であった。
D4(1.01g,5.10mmol)及びA1(3.41g,12.9mmol)をγ-BL(15.8g)中で混合し、60℃で6時間反応させた後、D1(1.50g,7.65mmol)とγ-BL(7.90g)を加え、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(3)を得た。このポリアミド酸のMnは10,500、Mwは34,700であった。
D2(1.70g,6.80mmol)、A2(2.80g,13.8mmol)及びB1(0.52g,3.44mmol)をγ-BL(18.7g)中で混合し、60℃で6時間反応させた後、D1(2.00g,10.2mmol)とγ-BL(9.37g)を加え、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(4)を得た。このポリアミド酸のMnは10,900、Mwは35,100であった。
D2(1.62g,6.46mmol)、A3(2.32g,6.54mmol)、B1(1.00g,6.54mmol)及びC1(0.35g,3.27mmol)をγ-BL(19.2g)中で混合し、60℃で6時間反応させた後、D1(1.90g,9.69mmol)とγ-BL(9.58g)を加え、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(5)を得た。このポリアミド酸のMnは13,200、Mwは45,100であった。
D3(3.80g,17.0mmol)、A1(2.72g,10.3mmol)、A2(0.70g,3.44mmol)及びC1(0.37g,3.43mmol)をNMP(30.4g)中で混合し、40℃で12時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(6)を得た。このポリアミド酸のMnは15,800、Mwは52,500であった。
合成例7の手法で得られたポリアミド酸溶液(7)(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.60g)及びピリジン(2.35g)を加え、60℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(450ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(7)を得た。このポリイミドのイミド化率は48%であり、Mnは14,600、Mwは40,900であった。
D2(2.13g,8.50mmol)及びC1(2.33g,21.5mmol)をNMP(18.5g)中で混合し、80℃で4時間反応させた後、D1(2.50g,12.8mmol)とNMP(9.27g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(8)を得た。このポリアミド酸のMnは22,800、Mwは70,200であった。
D4(1.35g,6.80mmol)、B1(1.31g,8.61mmol)及びC1(0.93g,8.61mmol)をγ-BL(14.9g)中で混合し、60℃で6時間反応させた後、D1(2.00g,10.2mmol)とγ-BL(7.45g)を加え、40℃で8時間反応させ、樹脂固形分濃度が20質量%のポリアミド酸溶液(9)を得た。このポリアミド酸のMnは14,800、Mwは43,200であった。
<合成例10>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(29.0g)、E1(8.80g)及びE2(36.2g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めEC(14.5g)、水(11.0g)及び触媒として蓚酸(0.50g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、放冷してSiO2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(1)を得た。
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(29.0g)、E1(11.5g)及びE2(33.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めECS(14.0g)、水(11.0g)及び触媒として蓚酸(0.50g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、さらに25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、放冷してSiO2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(2)を得た。
<合成例12>
合成例1の手法で得られたポリアミド酸溶液(1)(5.40g)に、NMP(12.1g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、BCS(10.4g)及びPB(2.98g)を加え、25℃で4時間撹拌して、樹脂組成物(1)を得た。
<合成例13>
合成例2の手法で得られたポリイミド粉末(2)(1.20g)に、NMP(15.8g)を加え、70℃で24時間撹拌して溶解させた。その後、BCS(4.32g)及びPB(8.64g)を加え、25℃で4時間撹拌して、樹脂組成物(2)を得た。
合成例3の手法で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.00g)に、γ-BL(0.15g)及びPGME(22.9g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(3)を得た。
<合成例15>
合成例3の手法で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.00g)に、γ-BL(0.15g)、PGME(22.9g)及びK2(0.042g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(4)を得た。
合成例3の手法で得られたポリアミド酸溶液(3)(3.00g)に、γ-BL(0.15g)、PGME(22.9g)、K2(0.042g)及びN1(0.018g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(5)を得た。
<合成例17>
合成例4の手法で得られたポリアミド酸溶液(4)(3.00g)に、γ-BL(3.97g)、PGME(19.1g)及びK1(0.018g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(6)を得た。
合成例5の手法で得られたポリアミド酸溶液(5)(3.00g)に、γ-BL(0.15g)、PGME(22.9g)、K2(0.060g)及びN1(0.030g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(7)を得た。
<合成例19>
合成例6の手法で得られたポリアミド酸溶液(6)(5.40g)に、NMP(13.6g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、PB(11.9g)及びK2(0.054g)を加え、25℃で4時間撹拌して、樹脂組成物(8)を得た。
合成例7の手法で得られたポリイミド粉末(7)(1.20g)に、NMP(15.8g)を加え、70℃で24時間撹拌して溶解させた。その後、BCS(2.88g)、PB(10.1g)、K2(0.084g)及びN1(0.036g)を加え、25℃で4時間撹拌して、樹脂組成物(9)を得た。
<合成例21>
合成例10の手法で得られたポリシロキサン溶液(1)(10.0g)に、EC(3.93g)及びPB(12.7g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(10)を得た。
合成例11の手法で得られたポリシロキサン溶液(2)(10.0g)に、ECS(4.78g)、PGME(25.2g)及びN1(0.036g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(11)を得た。
<合成例23>
合成例8の手法で得られたポリアミド酸溶液(8)(5.40g)に、NMP(12.1g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、BCS(10.4g)及びPB(2.98g)を加え、25℃で4時間撹拌して、樹脂組成物(12)を得た。
合成例9の手法で得られたポリアミド酸溶液(9)(3.00g)に、γ-BL(0.15g)及びPGME(22.9g)を加え、25℃で6時間撹拌して、樹脂組成物(13)を得た。
なお、表12において、樹脂組成物に添加される特定架橋性化合物及び特定発生剤についての括弧内の数値は、特定重合体100質量部に対する含有量を示す。
R1(1.20g)、R2(0.30g)、R3(1.20g)、R4(0.90g)及びR5(0.30g)を混合し、60℃で2時間撹拌して、重合性化合物の溶液を作製した。その一方で、S1(0.20g)及びL1(5.80g)を混合し、25℃で2時間撹拌して特定化合物を含む液晶を作製した。その後、作製した重合性化合物の溶液、特定化合物を含む液晶、及びP1(0.10g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(A)を得た。
R1(1.20g)、R2(0.30g)、R3(1.20g)、R4(0.90g)及びR5(0.30g)を混合し、60℃で2時間撹拌して、重合性化合物の溶液を作製した。その一方で、S1(0.80g)及びL1(5.20g)を混合し、25℃で2時間撹拌して特定化合物を含む液晶を作製した。その後、作製した重合性化合物の溶液、特定化合物を含む液晶、及びP1(0.10g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(B)を得た。
R1(1.20g)、R2(0.30g)、R3(1.20g)、R4(0.90g)及びR5(0.30g)を混合し、60℃で2時間撹拌して、重合性化合物の溶液を作製した。その一方で、S2(0.40g)及びL1(5.60g)を混合し、25℃で2時間撹拌して特定化合物を含む液晶を作製した。その後、作製した重合性化合物の溶液、特定化合物を含む液晶、及びP1(0.10g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(C)を得た。
R1(1.20g)、R2(0.30g)、R3(1.20g)、R4(0.90g)及びR5(0.30g)を混合し、60℃で2時間撹拌して、重合性化合物の溶液を作製した。その一方で、S1(0.20g)、S2(0.10g)及びL1(5.70g)を混合し、25℃で2時間撹拌して特定化合物を含む液晶を作製した。その後、作製した重合性化合物の溶液、特定化合物を含む液晶、及びP1(0.10g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(D)を得た。
R1(1.20g)、R2(0.30g)、R3(1.20g)、R4(0.90g)及びR5(0.30g)を混合し、60℃で2時間撹拌して、重合性化合物の溶液を作製した。その後、作製した重合性化合物の溶液、L1(6.00g)及びP1(0.10g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(E)を得た。
前記の合成例の手法で得られた樹脂組成物を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。得られた溶液を純水及びIPA(イソプロピルアルコール)で洗浄したITO電極付きガラス基板(縦:100mm、横:100mm、厚さ:0.7mm)のITO面上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて210℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmの樹脂膜付きのITO基板を得た。この樹脂膜付きのITO基板を2枚用意し、その一方の基板の樹脂膜面に、粒子径15μmのスペーサー(商品名:ミクロパール、積水化学社製)を塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した樹脂膜面に、ODF(One Drop Filling)法にて前記の液晶組成物(A)~(E)を滴下し、次いで、他方の基板の樹脂膜面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。なお、比較例1では、樹脂膜を作製せずにITO基板のITO面に、粒子径20μmのスペーサーを塗布し、前記と同様の手法で液晶組成物を滴下して貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を作製した。
この処理前の液晶表示素子に、照度20mW/cm2のメタルハライドランプを用いて、350nm以下の波長をカットし、照射時間60秒で紫外線照射を行った。これにより、液晶表示素子(ガラス基板)を得た。
前記の合成例の手法で得られた樹脂組成物を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。得られた溶液を純水で洗浄したITO電極付きPET基板(縦:150mm、横:150mm、厚さ:0.1mm)のITO面上にバーコーターにて塗布をし、熱循環型オーブンにて120℃で2分間加熱処理をして、膜厚が100nmの樹脂膜付きのITO基板を得た。この樹脂膜付きのITO基板を2枚用意し、その一方の基板の樹脂膜面に、前記の20μmのスペーサーを塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した樹脂膜面に、ODF(One Drop Filling)法にて前記の液晶組成物(A)~(E)を滴下し、次いで、他方の基板の樹脂膜面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。なお、ODF法にて、液晶組成物の滴下及び貼り合わせを行う際には、ITO電極付きPET基板の支持基板としてガラス基板を用いた。その後、紫外線を照射する前に、その支持基板を外した。また、比較例2では、樹脂膜を作製せずにITO基板のITO面に、粒子径20μmのスペーサーを塗布し、前記と同様の手法で液晶組成物を滴下して貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を作製した。
この処理前の液晶表示素子に、前記の「液晶表示素子の作製(ガラス基板)」と同様の手法で紫外線を照射し、液晶表示素子(プラスチック基板)を得た。
本評価は、液晶表示素子(ガラス基板及びプラスチック基板)の電圧無印加状態(0V)及び電圧印加状態(交流駆動:10V~50V)のHaze(曇り度)を測定することで行った。その際、Hazeは、JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(HZ-V3,スガ試験機社製)で測定した。なお、本評価では、電圧無印加状態のHazeが高いほど散乱特性に優れ、電圧印加状態でのHazeが低いほど透明性に優れるとした。
また、液晶表示素子の高温高湿環境下の安定性試験として、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に24時間保管した後の測定も行った。具体的には、初期のHazeに対して、恒温恒湿槽保管後のHazeの変化が小さいものほど、本評価に優れるとした。
更に、液晶表示素子の光の照射に対する安定性試験として、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX-1)(センライト社製)を用いて、365nm換算で5J/cm2の紫外線を照射した後の観察も行った。具体的には、初期のHazeに対して、紫外線照射後のHazeの変化が小さいものほど、本評価に優れるとした。
初期、恒温恒湿槽保管後(恒温恒湿)及び紫外線照射後(紫外線)のHazeの測定結果を、表13~15にまとめて示す。
本評価は、液晶表示素子(ガラス基板及びプラスチック基板)を、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に24時間保管し、液晶表示素子の剥離と気泡の有無を確認することで行った(液晶表示素子の高温高湿環境下の安定性試験として)。具体的には、素子の剥離(液晶層と樹脂膜、或いは樹脂膜と電極とが剥がれている状態)が起こっていないもの、及び素子内に気泡が発生していないものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。その際、実施例3~5においては、前記の標準試験に加え、強調試験として、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に72時間保管した後の確認も行った。なお、評価方法は前記と同様である。
また、液晶表示素子に、卓上型UV硬化装置(HCT3B28HEX-1)(センライト社製)を用いて、波長365nm換算で5J/cm2の紫外線を照射した後の確認も行った(液晶表示素子の光の照射に対する安定性試験として)。具体的には、素子の剥離が起こっていないもの、及び素子内に気泡が発生していないものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。
初期、恒温恒湿槽保管後(恒温恒湿)及び紫外線照射後(紫外線)の液晶層と樹脂膜(樹脂膜と電極)との密着性の結果(密着性)を、表16~18にまとめて示す。
前記の合成例の手法で得られた樹脂組成物(1)~(13)のいずれかと、前記の液晶組成物(A)~(E)を用いて、前記の手法で液晶表示素子の作製、光学特性(散乱特性と透明性)の評価、及び液晶層と樹脂膜(樹脂膜と電極)との密着性の評価を行った。その際、実施例1、実施例2、実施例11~13、比較例1、比較例3及び比較例5は、ガラス基板を用いて液晶表示素子の作製と各評価を行い、実施例3~10、実施例14、15、比較例2、4、6では、プラスチック基板を用いた。また、前記の通り、比較例1及び2では、樹脂膜を作製せずに液晶表示素子を作製して各評価を行った。
更に、実施例3~5における液晶層と樹脂膜(樹脂膜と電極)との密着性の評価では、前記の標準試験とともに、強調試験として、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に72時間保管した際の評価も行った(その他の条件は、前記の条件と同様である。)。
更に、実施例では、恒温恒湿槽保管後及び紫外線照射後でも、液晶表示素子の剥離や気泡の発生は見られなかった。
これらの結果は、液晶表示素子の基板にプラスチック基板を用いても同様であった。具体的には、実施例1と比較例1、3、5との比較、及び実施例3と比較例2、4、6との比較である。
更に、特定架橋性化合物に加えて、樹脂組成物中に特定発生剤を導入した場合、強調試験において、液晶表示素子中に気泡は発生しなかった。具体的には、同一の条件での比較において、実施例4と実施例5との比較である。
なお、2018年3月20日に出願された日本特許出願2018-052663号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (12)
- 電極を備えた一対の基板の間に配置した液晶及び重合性化合物を含む液晶組成物に対し、紫外線を照射して硬化させた液晶層を有し、かつ基板の少なくとも一方に樹脂膜を備える、電圧無印加時に散乱状態となり、電圧印加時には透明状態となる液晶表示素子であって、
前記液晶が、正の誘電異方性を有し、
前記液晶組成物が、下記式[1]で表される化合物を含み、かつ、
前記樹脂膜が、下記式[2-a]~式[2-i]からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するジアミンを用いて得られるポリイミド前駆体若しくはポリイミド、下記式[A1]のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は、下記式[A1]のアルコキシシランと下記式[A2]のアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサンを含む樹脂組成物から得られることを特徴とする液晶表示素子。
- 前記式[1]で表される化合物の含有量が、液晶100質量部に対して、0.5~20質量部である請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記式[1]中のX1が、前記式[1-a]、式[1-b]、式[1-c]、式[1-d]、式[1-e]又は式[1-f]である請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
- 前記式[1]で表される化合物が、下記式[1a-1]~式[1a-11]からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の液晶表示素子。
- 前記式[2-a]~式[2-i]からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有するジアミンが、下記式[2]の構造を有するジアミンである請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記樹脂組成物が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、シクロカーボネート基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基又は低級アルコキシアルキル基を有する化合物を含む請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記樹脂組成物が、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン及びγ-ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1~9のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶表示素子の基板が、ガラス基板又はプラスチック基板である請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶表示素子が、調光窓又は光シャッター素子である請求項1~11のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
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