JP6406472B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
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Description
偏光板を用いずに光の利用効率の高い液晶表示素子として、液晶の透過状態(透明状態ともいう)と散乱状態との間でスイッチングを行う素子がある。一般的には、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)や高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)を用いたものが知られている。
一方、電圧無印加時に透過状態となり、電圧印加時には散乱状態になるPDLCを用いた液晶表示素子(リバース型素子ともいう。)が提案されている(特許文献1、2参照)。
本発明は、電極を備えた一対の基板の間に配置した液晶及び重合性化合物を含む液晶組成物に対する紫外線の照射による硬化物からなる液晶層を有し、かつ基板の少なくとも一方が液晶を垂直に配向させる液晶配向膜を備える、電圧無印加時に透明状態となり、電圧印加時に散乱状態となるリバース型の液晶表示素子であって、
前記液晶組成物が、下記式[1−1a]の化合物及び下記式[2−1a]の化合物を含み、前記液晶配向膜が、下記式[4−1a]又は式[4−2a]の側鎖構造を有する重合体を含む液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示素子にある。
本発明の液晶表示素子に使用される液晶組成物に含有される、式[1−1a]の化合物(特定化合物(1)ともいう。)は、ベンゼン環やシクロヘキサン環といった剛直構造の部位を有するので液晶の垂直配向性を高めると考えられる。
また、本発明の液晶組成物に含有される、式[2−1a]の化合物(特定化合物(2)ともいう。)は、式[2−1a]中のS1の、紫外線により重合反応する部位を有するため、紫外線の照射により、液晶組成物中の重合性化合物と重合反応し、また、特定化合物(2)の有するイソシアネート基(−N=C=O)は、特定化合物(1)の有する式[1−1a]中のT1の極性基と付加反応する。この結果、液晶層中に剛直構造をもたらすので、液晶の垂直配向性を高め、かつ液晶層のポリマーネットワークを密な状態する。これにより、素子における光学特性、特に透明性の改善や過酷環境下での耐久性が高くなる。
本発明の液晶組成物は、前記式[1−1a]の特定化合物(1)及び前記式[2−1a]の特定化合物(2)を含む。
液晶には、ネマチック液晶、スメクチック液晶又はコレステリック液晶を用いることができる。なかでも、負の誘電異方性を有するものが好ましい。また、低電圧駆動及び散乱特性の点からは、誘電率の異方性が大きく、屈折率の異方性が大きいものが好ましい。また、液晶には、前記の相転移温度、誘電率異方性及び屈折率異方性の各物性値に応じて、2種類以上の液晶を用いることができる。
液晶表示素子をTFT(Thin Film Transistor)などの能動素子として駆動させるためには、液晶の電気抵抗が高くて、電圧保持率(VHRともいう)が高いことが求められる。そのため、液晶には、電気抵抗が高くて、紫外線などの活性エネルギー線によりVHRが低下しないフッ素系や塩素系の液晶を用いることが好ましい。
重合性化合物は、紫外線により重合する化合物であればよく、どのような反応形式で重合が進み、ポリマーネットワークを形成させてもよい。具体的な反応形式は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合又は重付加反応が挙げられる。
液晶組成物中における重合性化合物又はそのポリマーオリゴマーを含むポリマーの含有割合は、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性などの点から、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、70〜150質量部が好ましく、より好ましくは、80〜120質量部である。
ラジカル開始剤の使用割合は、液晶表示素子の液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは、0.05〜5質量部である。また、ラジカル開始剤は、各特性に応じて1種又は2種以上を使用できる。
なかでも、T1は特定化合物(2)との付加反応の点から、式[1−b]、式[1−c]又は式[1−e]が好ましく、より好ましくは、式[1−b]又は式[1−c]である。T2は単結合又は炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−NH−、−CON(CH3)−、−S−又は−SO2−で置換されていてもよい。T2は、より好ましくは、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基である。
T6は素子の光学特性の点から、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又はアルコキシ基である。nTは0〜3が好ましく、より好ましくは、1又は2である。
なかでも、S1は液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、式[2−a]、式[2−b]、式[2−c]又は式[2−e]が好ましく、より好ましくは、式[2−a]又は式[2−b]である。
特定化合物(2)の使用割合は、素子の光学特性の点から、液晶組成物中の液晶100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、より好ましくは、1〜30質量部である。
また、特定化合物(2)は、各特性に応じて1種又は2種以上を使用できる。
特定化合物(3)は、最も好ましくは、素子の光学特性の点から、式[3a−1]又は式[3a−2]の化合物である。
液晶配向膜は、前記式[4−1a]又は式[4−2a]の特定側鎖構造を有する重合体を含む液晶配向処理剤から得られる。
なかでも、X7は単結合、−O−、−CH2O−、−CONH−、−CON(CH3)−又は−COO−が好ましく、より好ましくは、単結合、−O−、−CONH−又は−COO−である。X8は炭素数8〜18のアルキル基が好ましい。
本発明における特定側鎖構造は、上述の通り、高くて安定な液晶の垂直配向性を得ることができる点から、式[4−1a]が好ましい。
特定重合体にポリイミド前駆体又はポリイミド(総称してポリイミド系重合体ともいう。)を用いる場合、それらは、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体又はポリイミドであることが好ましい。
ポリイミド系重合体は、下記式[B]のテトラカルボン酸二無水物と下記式[C]のジアミンとを原料とすることにより、比較的簡便に得られることから、下記式[D]の構造を有するポリアミド酸又は該ポリアミド酸をイミド化させたポリイミドが好ましい。
前記の特定側鎖構造をポリイミド系重合体に導入する方法としては、特定側鎖構造を有するジアミンを原料の一部に用いることが好ましい。
最も好ましいのは、素子の光学特性の点から、前記式[4a−35]〜式[4a−37]、式[4a−40]又は式[4a−41]のジアミンである。
Xgは下記式[4−a]〜式[4−f]から選ばれる構造を示す。特に、合成の容易さ及び液晶層と液晶配向膜との密着性の点から、式[4−a]、式[4−b]又は式[4−e]が好ましい。
具体的には、国際公開公報WO2015/012368の27頁〜30頁に記載されるその他のジアミン化合物、及び該公報の30頁〜32頁に記載される式[DA1]〜式[DA14]が挙げられる。その他ジアミンは、各特性に応じて、1種又は2種以上を使用できる。
前記ポリイミド系重合体の原料テトラカルボン酸成分としては、下記式[5]のテトラカルボン酸二無水物や、その誘導体であるテトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸ジアルキルエステル又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド(総称して特定テトラカルボン酸成分ともいう。)が好ましい。
特定テトラカルボン酸成分の使用割合は、全テトラカルボン酸成分に対して1モル%以上が好ましく、より好ましくは、5モル%以上であり、特に好ましくは、10モル%以上である。最も好ましくは、10〜90モル%である。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分との反応は、通常、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを含む溶媒中で行う。その際に用いる溶媒としては、生成したポリイミド前駆体が溶解するものであれば特に限定されない。
ポリイミドはポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドであり、このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう。)は100%である必要はなく、ポリイミド系重合体の溶媒への溶解性などの点から、30〜80%が好ましく。より好ましくは、40〜70%である。
特定重合体にポリシロキサンを用いる場合、下記式[A1]のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は、下記式[A1]のアルコキシシランと、下記式[A2]及び/又は下記式[A3]のアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサン(総称してポリシロキサン系重合体ともいう。)が好ましい。
また、前記式[A3]中、nが0であるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランが挙げられ、前記式[A1]〜[A3]のアルコキシシランは、各特性に応じて1種又は2種以上を使用できる。
ポリシロキサン系重合体を作製する重縮合反応において、前記式[A1]、前記式[A2]又は前記式[A3]のアルコキシシランを複種用いる場合は、複数種のアルコキシシランを予め混合した混合物を用いて反応しても、複数種のアルコキシシランを順次添加しながら反応してもよい。
希釈する際に用いる溶媒(添加溶媒ともいう。)は、重縮合反応に用いる溶媒やその他の溶媒であってもよい。添加溶媒は、ポリシロキサン系重合体が均一に溶解している限りにおいては特に限定されず、1種又は2種以上を任意に選択できる。 添加溶媒としては、前記重縮合反応に用いる溶媒に加え、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶媒が挙げられる。
更に、特定重合体にポリシロキサン系重合体とそれ以外の重合体を用いる場合、ポリシロキサン系重合体にそれ以外の重合体を混合する前に、ポリシロキサン系重合体の重縮合反応の際に発生するアルコールを常圧又は減圧で留去しておくことが好ましい。
特定側鎖構造を有する特定重合体としては、特に限定は無いが、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であることが好ましい。なかでも、ポリイミド前駆体、ポリイミド又はポリシロキサンが好ましい。また、特定重合体には、これら重合体のなかの1種、あるいは2種以上を用いることができる。
液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は、液晶配向処理剤の塗布方法や目的とする膜厚を得るという観点から、適宜選択することができる。なかでも、塗布により均一な垂直液晶配向膜を形成するとい観点から、液晶配向処理剤中の溶媒の含有量は50〜99.9質量%が好ましく、60〜99質量%が好ましく、特に好ましくは、65〜99質量%である。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどである。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。また、これらは単独でも、混合して使用してもよい。
また、溶媒B類を用いる際、液晶配向処理剤の塗布性を改善する目的で、前記溶媒A類である、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン又はγ−ブチロラクトン、特にγ−ブチロラクトンを併用することが好ましい。
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物の具体例は、国際公開公報WO2014/171493の63頁〜64頁に記載されるものが挙げられる。
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物の具体例は、国際公開公報WO2012/014898の76頁〜82頁に掲載の式[5−1]〜式[5−42]が挙げられる。
ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する架橋性化合物の具体例は、国際公開公報2014/171493の65頁〜66頁に記載されるメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体、及び国際公開公報WO2011/132751の62頁〜66頁に掲載される式[6−1]〜式[6−48]が挙げられる。
液晶配向処理剤は、光ラジカル発生剤、光酸発生剤及び光塩基発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の発生剤(特定発生剤ともいう。)を含有することが好ましい。
液晶配向処理剤は、液晶層と垂直液晶配向膜との密着性を高める目的で、下記式[e−1]〜式[e−8]からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物(特定密着性化合物ともいう。)を含有することが好ましい。
液晶配向処理剤における特定密着性化合物の含有量は、全重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部が好ましく、架橋反応の進行、目的効果を発現のために、1〜100質量部がより好ましく、1〜50質量部が最も好ましい。特定密着性化合物は、各特性に応じて1種又は2種以上を使用できる。
液晶配向処理剤には、前記以外の化合物の他に、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的の誘電体や導電物質を添加してもよい。
液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板の他、アクリル基板、ポリカーボネート基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板、更には、それらのフィルムを用いることができる。液晶表示素子をリバース型素子として、調光窓などに用いる場合には、プラスチック基板やフィルムであることが好ましい。また、プロセスの簡素化の観点からは、液晶駆動のためのITO(Indium Tin Oxide)電極、IZO(Indium Zinc Oxide)電極、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)電極、有機導電膜などが形成された基板が好ましい。また、反射型のリバース型素子とする場合には、片側の基板のみにならば、シリコンウエハやアルミニウムなどの金属や誘電体多層膜が形成された基板を使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、基板の種類や液晶配向膜の膜厚に応じて、適宜選択できる。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、厚すぎると消費電力の面で不利となり、薄すぎると素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜500nmであり、より好ましくは10〜300nmであり、特に好ましくは10〜250nmである。
液晶組成物の注入方法は、特に限定されないが、例えば、次の方法が挙げられる。即ち、基板にガラス基板を用いる場合、液晶配向膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の4片を、一部分を除いてシール剤を塗布し、その後、液晶配向膜の面が内側になるようにして、もう片側の基板を貼り合わせた空セルを作製する。そして、シール剤が塗布されていない場所から、液晶組成物を減圧注入して、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。更に、基板にプラスチック基板やフィルムを用いる場合には、液晶配向膜が形成された一対の基板を用意し、片側の基板の上にODF(One Drop Filling)法やインクジェット法などで、液晶組成物を滴下し、その後、もう片側の基板を貼り合わせて、液晶組成物注入セルを得る方法が挙げられる。本発明の液晶表示素子では、液晶層と液晶配向膜との密着性が高いため、基板の4片にシール剤を塗布しなくてもよい。
液晶表示素子のギャップの大きさは、1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmであり、特に好ましくは2〜30μmである。ギャップが小さすぎると、素子のコントラストが低下し、大きすぎると、素子の駆動電圧が高くなる。
E1:下記式[E1]のアルコキシシランモノマー、E2:オクタデシルトリエトキシシラン、E3:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、E4:3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、E5:テトラエトキシシラン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン、γ−BL:γ−ブチロラクトン、BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル、PB:プロピレングリコールモノブチルエーテル、PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル、ECS:エチレングリコールモノエチルエーテル、EC:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)(昭和電工社製)、カラム(KD−803,KD−805)(Shodex社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N’−ジメチルホルムアミド(添加剤:臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O):30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o−リン酸):30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF):10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
ポリイミド粉末20mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
(xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。)
D2(3.83g,15.3mmol)、A1(5.90g,15.5mmol)及びC1(2.51g,23.2mmol)をNMP(33.5g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(4.50g,22.9mmol)とNMP(16.7g)を加え、40℃で6時間反応させ、樹脂固形分濃度が25質量%(以下、CR25%という)のポリアミド酸溶液(1)を得た。このポリアミド酸の数平均分子量(Mn)は18,300、重量平均分子量(Mw)は61,300であった。
上記ポリアミド酸溶液(1)(30.0g)に、NMPを加え6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.85g)及びピリジン(2.35g)を加え、60℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(450ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(2)を得た。このポリイミドのイミド化率は55%であり、Mnは15,700、Mwは43,200であった。
D2(1.53g,6.12mmol)、A1(2.36g,6.20mmol)、B2(2.05g,7.76mmol)及びC1(0.17g,1.57mmol)をNMP(15.8g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(1.80g,9.18mmol)とNMP(7.90g)を加え、40℃で6時間反応させ、CR25%のポリアミド酸溶液(3)を得た。このポリアミド酸のMnは16,100、Mwは57,300であった。
D4(1.01g,5.10mmol)、A2(2.04g,5.17mmol)、B1(0.20g,1.31mmol)及びB2(1.71g,6.47mmol)をγ−BL(17.2g)中で混合し、60℃で4時間反応させた後、D1(1.50g,7.65mmol)とγ−BL(8.60g)を加え、40℃で6時間反応させ、CR20%のポリアミド酸溶液(4)を得た。このポリアミド酸のMnは13,100、Mwは44,500であった。
D4(0.51g,2.57mmol)、A3(1.68g,3.88mmol)、B1(0.79g,5.19mmol)及びB3(1.37g,3.87mmol)をγ−BL(16.9g)中で混合し、60℃で4時間反応させた後、D1(2.00g,10.2mmol)とγ−BL(8.45g)を加え、40℃で6時間反応させ、CR20%のポリアミド酸溶液(5)を得た。このポリアミド酸のMnは11,600、Mwは39,800であった。
D3(3.50g,15.6mmol)、A2(2.50g,6.34mmol)、B1(0.96g,6.31mmol)及びB2(0.84g,3.18mmol)をNMP(23.4g)中で混合し、40℃で12時間反応させ、CR25%のポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液(30.0g)にNMPを加え、6質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(3.80g)及びピリジン(2.50g)を加え、60℃で2時間反応させた。この反応溶液をメタノール(450ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、100℃で減圧乾燥しポリイミド粉末(6)を得た。このポリイミドのイミド化率は58%であり、Mnは17,200、Mwは47,500であった。
D3(2.00g,8.92mmol)、A4(1.34g,2.72mmol)、B1(0.28g,1.84mmol)及びB2(1.19g,4.50mmol)をγ−BL(27.2g)中で混合し、40℃で12時間反応させ、CR15%のポリアミド酸溶液(7)を得た。このポリアミド酸のMnは10,500、Mwは37,500であった。
D2(1.87g,7.47mmol)、A5(2.85g,7.57mmol)及びC1(1.23g,11.4mmol)をNMP(16.3g)中で混合し、80℃で5時間反応させた後、D1(2.20g,11.2mmol)とNMP(8.15g)を加え、40℃で6時間反応させ、CR25%のポリアミド酸溶液(8)を得た。このポリアミド酸のMnは17,500、Mwは60,200であった。
D2(2.38g,9.51mmol)及びC1(2.61g,24.1mmol)をNMP(15.6g)中で混合し、40℃で2時間反応させた後、D1(2.80g,14.3mmol)とNMP(7.80g)を加え、25℃で6時間反応させ、CR25%のポリアミド酸溶液(9)を得た。このポリアミド酸のMnは25,800、Mwは73,500であった。
合成例1〜9で得られたポリイミド系重合体を表1に示す。表1中、*1はポリアミド酸を表す。
<合成例10>
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(28.3g)、E1(4.10g)、E3(7.45g)及びE5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めECS(14.2g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱し、30分間還流させた後、予め調製しておいたE4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(1)を得た。
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、EC(29.2g)、E1(4.10g)及びE5(38.8g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めEC(14.6g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(0.50g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱し、30分間還流させた後、予め調製しておいたE4の含有量92質量%のメタノール溶液(1.20g)とEC(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(2)を得た。
温度計及び還流管を備え付けた200mlの四つ口反応フラスコ中で、ECS(28.3g)、E2(4.07g)、E3(7.45g)及びE5(32.5g)を混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めECS(14.2g)、水(10.8g)、及び触媒として蓚酸(0.70g)を混合して調製しておいた溶液を、25℃にて30分かけて滴下し、更に25℃にて30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて加熱し、30分間還流させた後、予め調製しておいたE4の含有量が92質量%のメタノール溶液(1.20g)とECS(0.90g)の混合溶液を加えた。更に30分間還流させた後、放冷してSiO2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(3)を得た。
合成例10〜12で得られたポリシロキサン系重合体を表2に示す。
<合成例13>
合成例1で得られたポリアミド酸溶液(1)(10.0g)に、NMP(25.5g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、BCS(27.0g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(1)を得た。
<合成例14>
合成例2で得られたポリイミド粉末(2)(2.55g)に、NMP(36.7g)を加え、70℃で24時間撹拌して溶解させた。その後、PB(24.5g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(2)を得た。
合成例3で得られたポリアミド酸溶液(3)(10.5g)に、NMP(26.8g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、BCS(28.4g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(3)を得た。
<合成例16>
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(4)(10.0g)に、γ−BL(1.70g)及びPGME(55.0g)を加え、25℃で6時間撹拌して、液晶配向処理剤(4)を得た。
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(4)(10.0g)に、γ−BL(1.70g)及びPGME(55.0g)を加え、25℃で2時間撹拌した。その後、Q1(0.14g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(5)を得た。
<合成例18>
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(4)(10.0g)に、γ−BL(1.70g)及びPGME(55.0g)を加え、25℃で2時間撹拌した。その後、K1(0.14g)を加え25℃で4時間撹拌して液晶配向処理剤(6)を得た。
合成例4で得られたポリアミド酸溶液(4)(10.0g)に、γ−BL(1.70g)及びPGME(55.0g)を加え、25℃で2時間撹拌した。その後、Q1(0.14g)及びK1(0.14g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(7)を得た。
<合成例20>
合成例5で得られたポリアミド酸溶液(5)(10.0g)に、γ−BL(4.93g)、PB(6.47g)及びPGME(45.3g)を加え、25℃で2時間撹拌した。その後、Q1(0.14g)、K2(0.06g)及びN1(0.04g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(8)を得た。
合成例6で得られたポリイミド粉末(6)(2.50g)に、NMP(33.0g)を加え、70℃で24時間撹拌して溶解させた。その後、Q1(0.25g)、K1(0.125g)、M1(0.075g)及びPB(27.0g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(9)を得た。
<合成例22>
合成例7で得られたポリアミド酸溶液(7)(15.0g)に、γ−BL(9.08g)及びPGME(50.9g)を加え、25℃で2時間撹拌した。その後、Q1(0.113g)、K2(0.158g)、N1(0.045g)及びM2(0.113g)を加え、25℃で4時間撹拌して液晶配向処理剤(10)を得た。
合成例8で得られたポリアミド酸溶液(8)(10.0g)に、NMP(25.5g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、BCS(27.0g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(11)を得た。
<合成例24>
合成例9で得られたポリアミド酸溶液(9)(10.0g)に、NMP(25.5g)を加え、25℃で1時間撹拌した。その後、BCS(27.0g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(12)を得た。
合成例10で得られたポリシロキサン溶液(1)(10.0g)に、ECS(17.7g)及びPGME(6.62g)を加え、25℃で6時間撹拌して、液晶配向処理剤(13)を得た。
<合成例26>
合成例11で得られたポリシロキサン溶液(2)(10.0g)に、EC(1.13g)、PB(13.2g)及びPGME(9.93g)を加え、25℃で2時間撹拌した。その後、Q1(0.06g)を加え、25℃で4時間撹拌して、液晶配向処理剤(14)を得た。
<合成例27>
合成例12で得られたポリシロキサン溶液(3)(10.0g)に、ECS(17.7g)及びPGME(6.62g)を加え、25℃で6時間撹拌して、液晶配向処理剤(15)を得た。
なお、表3及び4において、液晶配向処理剤に添加される、特定化合物(A)、特定架橋性化合物、特定発生剤、及び特定密着性化合物についての括弧内の数値は、それぞれの特定重合体100質量部に対する含有量(質量部)を示す。また、表中の「−」は、未使用であることを示す。
<液晶組成物(1)>
L1(3.04g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、P1(0.012g)、T1(0.202g)、S1(0.202g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(1)を得た。
<液晶組成物(2)>
L1(3.24g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、P1(0.012g)、T2(0.202g)、S1(0.403g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(2)を得た。
L1(3.24g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、P1(0.012g)、T1(0.202g)、S1(0.202g)及びW1(0.202g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(3)を得た。
L1(3.45g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、P1(0.012g)、T1(0.202g)、S1(0.403g)及びW1(0.202g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(4)を得た。
<液晶組成物(5)>
L1(2.64g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)及びP1(0.012g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(5)を得た。
L1(2.84g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、P1(0.012g)及びT1(0.202g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(6)を得た。
<液晶組成物(7)>
L1(2.84g)、R1(1.20g)、R2(1.20g)、P1(0.012g)及びS1(0.202g)を混合し、25℃で6時間撹拌して、液晶組成物(7)を得た。
前記合成例で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。得られた溶液を純水及びIPA(イソプロピルアルコール)で洗浄したITO電極付きガラス基板(縦:100mm、横:100mm、厚さ:0.7mm)のITO面上にスピンコートし、ホットプレート上にて100℃で5分間、熱循環型クリーンオーブンにて210℃で30分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、その一方の基板の液晶配向膜面に、粒径が6μmのスペーサーを塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した液晶配向膜面に、ODF(One Drop Filling)法にて前記の液晶組成物を滴下し、次いで、他方の基板の液晶配向膜界面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子を用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、素子を偏光顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE E600WPOL)で観察し、液晶が垂直に配向しているかどうかを確認した。その結果、実施例及び比較例2〜4の液晶表示素子では、液晶は垂直に配向していた。しかし、比較例1の液晶表示素子では、液晶が垂直に配向していなかった。
前記合成例で得られた液晶配向処理剤を、細孔径1μmのメンブランフィルタで加圧濾過した。得られた溶液を純水で洗浄したITO電極付きPET(ポリエチレンテレフタレート)基板(縦:150mm、横:150mm、厚さ:0.2mm)のITO面上にバーコーターにて塗布をし、熱循環型クリーンオーブンにて120℃で2分間加熱処理をして、膜厚が100nmの液晶配向膜付きのITO基板を得た。得られた液晶配向膜付きのITO基板を2枚用意し、その一方の基板の液晶配向膜面に、6μmのスペーサーを塗布した。その後、その基板のスペーサーを塗布した液晶配向膜面に、ODF法にて前記の液晶組成物を滴下し、次いで、他方の基板の液晶配向膜界面が向き合うように貼り合わせを行い、処理前の液晶表示素子を得た。
この液晶表示素子を用いて、液晶配向性の評価を行った。液晶配向性は、素子を偏光顕微鏡(ニコン社製、ECLIPSE E600WPOL)で観察し、液晶が垂直に配向しているかどうかを確認した。その結果、実施例の液晶表示素子では、液晶は垂直に配向していた。
電圧無印加時の透明性の評価は、電圧無印加状態での液晶表示素子(ガラス基板及びプラスチック基板)の透過率を測定することで行った。具体的には、測定装置にUV−3600(島津製作所社製)を用い、温度25℃、スキャン波長を300〜800nmの条件で、透過率を測定した。その際、液晶表示素子(ガラス基板)の場合は、リファレンス(参照例)に上記ITO電極付きガラス基板を、液晶表示素子(プラスチック基板)の場合は、上記のITO電極付きPET基板を用いて行った。評価は、450nmの波長の透過率を基準として、透過率が高いものほど、透明性に優れるとした。
更に、液晶表示素子の光の照射に対する安定性試験として、卓上型UV硬化装置(センライト社製、HCT3B28HEX−1)を用いて、365nm換算で5J/cm2の紫外線を照射した後の透過率の評価も行った。具体的には、液晶表示素子作製直後の透過率(初期値)に対して、紫外線照射後の透過率の低下割合が低いものほど、本評価に優れるとした。
また、液晶表示素子の高温高湿環境下の安定性試験として、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に36時間保管した後の液晶の配向状態の確認も行った。具体的には、液晶表示素子が白濁したもの、即ち、散乱特性が得られたものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。
液晶表示素子作製直後(初期)、恒温恒湿槽保管後(恒温恒湿)及び紫外線照射後(紫外線)の透過率(%)、及び散乱特性の評価結果を表5〜7にまとめて示す。
この評価は、液晶表示素子(ガラス基板及びプラスチック基板)を、温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内に36時間保管し、液晶表示素子内の気泡の有無及び素子の剥離を確認することで行った(液晶表示素子の高温高湿環境下の安定性試験として)。具体的には、素子内に気泡が見られずに素子の剥離(液晶層と液晶配向膜とが剥がれている状態)が起こっていないものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。
また、液晶表示素子に、卓上型UV硬化装置(センライト社製、HCT3B28HEX−1)を用いて、365nm換算で5J/cm2の紫外線を照射した後の、液晶表示素子内の気泡の有無及び素子の剥離も確認した(液晶表示素子の光の照射に対する安定性試験として)。具体的には、素子内に気泡が見られずに素子の剥離が起こっていないものを、本評価に優れるとした(表中の良好表示)。
恒温恒湿槽保管後(恒温恒湿)及び紫外線照射後(紫外線)の液晶層と液晶配向膜との密着性の結果(密着性)を、表8〜10にまとめて示す。
下記の表5〜10に示されるように、液晶配向処理剤(1)〜(15)のいずれかと、前記液晶組成物(1)〜(7)のいずれかを用いて、前記の光学特性(透明性と散乱特性)の評価、及び液晶層と液晶配向膜との密着性の評価を行った。
なお、実施例1〜3、11、13、16、及び比較例1〜4は、ガラス基板で液晶表示素子を作製して各評価を行い、実施例4〜10、12、14、15、17、及び比較例5〜7は、プラスチック基板で液晶表示素子を作製して各評価を行った。これらの評価の結果を、表5〜10にまとめて示した。
また、実施例の液晶表示素子は、比較例に比べて、良好な光学特性、即ち、初期、恒温恒湿槽保管後、及び紫外線照射後における電圧無印加時の透明性が良好で、液晶層と液晶配向膜の密着性も高かった。特に、液晶表示素子の基板に、プラスチック基板を用いた場合も、これらの特性は良好であった。
また、特定側鎖構造を有するジアミンを用いていない比較例は、液晶が垂直に配向しなかった。具体的には、比較例1である。
液晶配向処理剤の特定重合体における特定側鎖構造のなかで、式[4−1a]の特定側鎖構造を有するジアミンを用いた場合、式[4−2a]を有するジアミンを用いた場合に比べて、光学特性、特に透明性が高くなった。更に、強調試験として行った、長時間、恒温恒湿槽に保管した後においても透明性が高い結果となった。
また、液晶層と液晶配向膜との密着性の評価においても、式[4−1a]のジアミンを用いた場合は、強調試験として行った、長時間、恒温恒湿槽に保管した後においても、密着性が高い結果となった。具体的には、同一の条件での実施例1と13との比較、及び実施例14と17との比較である。
液晶配向剤に特定化合物(A)を含有せしめた場合、光学特性、特に透明性が高くなった。具体的には、同一の条件での、実施例4と5との比較である。
液晶配向剤に、特定架橋性化合物を導入した場合は、特に、過酷条件下における液晶層と液晶配向膜との密着性が高くなった。具体的には、実施例4と6との比較である。
Claims (14)
- 電極を備えた一対の基板の間に配置した液晶及び重合性化合物を含む液晶組成物に対する紫外線の照射による硬化物からなる液晶層を有し、かつ基板の少なくとも一方が液晶を垂直に配向させる液晶配向膜を備える、電圧無印加時に透明状態となり、電圧印加時に散乱状態となるリバース型の液晶表示素子であって、
前記液晶組成物が、下記式[1−1a]の化合物及び下記式[2−1a]の化合物を含み、
前記液晶配向膜が、下記式[4−1a]又は式[4−2a]の側鎖構造を有する重合体を含む液晶配向処理剤から得られる液晶配向膜であることを特徴とする液晶表示素子。
- 前記液晶組成物が、更に、下記式[3−1a]の化合物を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向処理剤が、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、セルロース及びポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向処理剤が、前記式[4−1a]又は式[4−2a]の側鎖構造を有するジアミンを含有するジアミン成分と、テトラカルボン酸成分との反応で得られるポリイミド前駆体又は該ポリイミド前駆体をイミド化したポリイミドを含む請求項5に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向処理剤が、下記式[A1]のアルコキシシランを重縮合させて得られるポリシロキサン、又は、該式[A1]のアルコキシシランと、下記式[A2]及び/又は式[A3]のアルコキシシランとを重縮合させて得られるポリシロキサンを含む請求項5に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向処理剤が、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基、シクロカーボネート基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有する化合物を含有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記液晶配向処理剤が、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン及びγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
- 前記基板が、プラスチック基板である請求項1〜13のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
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