JP7224038B2 - 既設杭の撤去装置 - Google Patents
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Description
しかし、前記引き抜き装置では、前記ケーシングを土中に挿入する際に、前記把持爪の湾曲した先端部をケーシングの内周面に凹設した爪収容部内に待避させせるので、前記ケーシングの内周面に施す加工が煩雑となる問題点があった。
しかし、前記杭の撤去装置では、前記抵抗手段が前記羽根部材の下端面の中央付近(一部分)から下方に突起状物として設けられているため、該抵抗手段を含む前記羽根部材の形状が複雑で且つ製作し難いと共に、前記抵抗手段が破損し易く、安定した張り出し作用が得られにくい。更に、前記管材の先端面側に前記羽根部材を収容するための切り欠き加工が必要となる、という問題点があった。
即ち、本発明による既設杭の撤去装置は、既設杭に外装する管体と、該管体の先端面に設けられ、前記管体の中心軸側に移動可能な羽根部材と、を備えた土中に埋設された既設杭を撤去する装置であって、前記羽根材は、前記管体の先端面に回転可能に取り付けられ、前記管体を底面視で逆方向に回転させた時に、土の抵抗を受ける抵抗部を、当該羽根部材における前記管体の外周面の外方に延設しており、前記管体を底面視で正方向に回転させた時に、前記抵抗部による前記羽根部材の回転を規制するストッパを前記管体の外周面に設けている、ことを特徴とする。
しかも、前記管体に対して特別な加工を施す必要がなく、且つ前記抵抗部は、底面(平面)視で前記羽根部材の基端側を兼用しているため、破損などによる不具合を低減し、安定し且つ耐久性に優れた撤去作業が可能となる。
また、前記管体は、既設杭の外側を包囲(外装)するよう水平回転しつつ土中に挿入され、土中(深層)側の先端面に回転可能に取り付けた羽根部材によって前記既設杭の最深部分を支持した状態で、前記既設杭と共に地表側に引き上げられる。該管体は、撤去すべき既設杭の長さに応じて、所要数の円筒体を垂直に連設されている。
更に、前記羽根部材は、少なくも1枚が前記管体の先端面において回転可能に支持される。2枚以上の羽根部材を併用する場合には、前記管体の中心軸に対して点対称となる当該管体の先端面における位置ごとに、各羽根部材の回転中心を配置される。
更に、前記羽根部材の湾曲した先端部は、前記抵抗部が土の圧力を受けて回転した際に、前記管体の中心軸側に回転移動する。そのため、複数の羽根部材を併用する形態では、複数の羽根部材の各先端部が前記管体の中心軸側に点対称状に移動して互いに接近する。
加えて、前記管体の先端面のうち、前記羽根部材が取り付けられていない位置、あるいは、前記先端面に隣接する前記管体の外周面には、所要数の掘削刃(カッタービット)が取り付けられている。
かかる構成の撤去装置によれば、前記正回転時において土の抵抗圧力を受ける第1の抵抗面と前記法線との挟角が、前記逆回転時において土の抵抗圧力を受ける第2の抵抗面と前記法線との挟角よりも大きい。その結果、前記正回転時において受ける土の圧力を比較的少なくできるので、土中への回転を伴う挿入作業をスムーズに行えると共に、前記逆正回転時において受ける土の圧力を比較的大きくできるので、前記羽根部材の回転を確実に行え、該羽根部材の先端部によって既設杭の最深部を確実に支持した状態で、地表側へ引き抜きことができる。
尚、前記第1の抵抗面は、底面視で単一の長い斜辺となり、前記第2の抵抗面は、底面視で短い内外2つの斜辺と管材の法線に近接する1つの辺とからなる。
かかる構成の撤去装置によれば、前記正回転時において、側面視で前記羽根部材の抵抗部が前記ストッパに重なっているので、土の抵抗圧力を前記抵抗部における前記第1の抵抗面に集中させ得る。その結果、前記抵抗部における第2の抵抗面と、これに一部が面接触している前記ストッパとを防護することができる。
かかる構成の撤去装置によれば、前記羽根部材の抵抗部における前記ストッパとの重なり部分と該ストッパとの間に隙間が位置していることで、前記逆回転時において、前記隙間内に土が容易に進入するので、前記第2の抵抗面に対し前記土の圧力が効果的に加えられる。その結果、前記逆回転時における羽根部材の回転と、これに伴う前記既設杭の支持とを一層確実に行うことが可能となる。
尚、前記ストッパの底面視による形状は、ほぼ4分の1の円形状を呈し、その曲線部分を前記隙間側に面するように前記管材の外周面に固着されると共に、当該ストッパの底面は、前記管材の先端面よりも土中側に深く突出している。
図1(A)は、本発明による一形態の既設杭の撤去装置1を示す垂直断面図、(B)は、(A)中の矢印Bの視覚による前記撤去装置1の底面図である。尚、以下の図面において、底面視における管体2の正方向回転とは、平面視と反対方向となるため、各底面図では左回り(反時計回り)となり、底面視における管体2の逆方向回転とは、各底面図では右回り(時計回り)として表示される。
前記既設杭の撤去装置1は、例えば、建て替えるべき建物を取り壊した後、その敷地内の土中に埋設している既設杭Pを撤去するため、該既設杭P付近の地表上に配車した図示しないクレーン車の俯仰ブームの先端から回転駆動装置を介して吊り下げられ、図1(A)、(B)に示すように、正方向に回転しつつ土中に降下して、前記既設杭Pを包囲して外装する管体(ケーシング)2を有している。該管体2は、円柱形の中空部2sを内包する鋼製の円筒体であり、前記既設杭Pの長さに応じて、所要数が同軸心にして連結されている。
図示のように、前記管体2のリング形の先端面3における点対称の位置には、一対の羽根部材10a,10bが、前記先端面3から垂下したピン4を介して、水平回転可能に取り付けられている。該羽根部材10a,10bは、底面視で円弧形状の本体11と、先細形状の先端部18と、前記管体2の外周面から接線状に外方(基端側)に突出した抵抗部12とを備えた金属製の一体物である。前記抵抗部12の前記先端面3側には、前記ピン4を受け入れる軸受け穴19が形成されている。
図1(C)に示すように、前記管体2の先端面3の半径方向に沿った法線Lに対し、該法線Lと前記第1の抵抗面13とに挟まれた挟角(角度)αは、前記法線Lと前記第2の抵抗面17とに挟まれた挟角βよりも大きい。なお、挟角β2は前記法線Lに対して負(マイナス)方向の角度である。
更に、図1(A)、(B)に示すように、前記管体2を正方向に回転した時に、前記羽根部材10a,10bを図示の位置ごとに留まるようにするため、それらの抵抗部12の前記径面16に面接触する一対のストッパ7が前記管体2の外周面に点対称に固着(例えば、溶接)されている。
加えて、図1(A)、(B)に示すように、前記管体2の先端面3側には、該先端面3に隣接する外周面に基部が取り付けられた複数の掘削刃(カッタービット)5が等間隔に且つ下向きに突出している。
前記管体2を正回転しつつ土中に挿入する時において、図2(A),(C)に示すように、前記羽根部材10a,10bは、これらの抵抗部12を除いて、底面視で前記管体2の先端面3と重複している。この際、前記抵抗部12における第1の抵抗部13が、前記回転に伴って生じる土圧を主に受ける。かかる土圧に抗して、前記羽根部材10a,10bが前述の姿勢を保つため、これらにおける第2の抵抗面17と、前記管体2の外周面に固着した一対のストッパ7とが個別に面接触している。
尚、前記ストッパ7は、図2(C)に示すように、外方に常時露出する曲面8と前記径面9とを備えている。更に、該ストッパ7の曲面8と、前記第2の抵抗面17の斜面15との間には、横V字形状の隙間Sが位置している。
従って、前記管材2を正方向に回転させつつ土中に順次降下させることにより、土圧を比較的少なくして、前記図1(A)で示したように、当該管材2の中空部2s内に前記既設杭Pを包囲することができる。即ち、該管材2は、前記既設杭Pを外装する。
その結果、前記羽根部材10a,10bには、前記ピン4を回転中心とした回転モーメントが生じるので、図2(B),(D)に示すように、該羽根部材10a,10bの各先端部18が管材2の中心軸側に回転移動すると共に、各抵抗部12が法線Lにほぼ沿うように管材2の外方に突出する。
尚、図2(C),(D)中で示すように、前記管体2の内周面に底面視が扇形状を呈し、底面が前記先端面3よりも図示で下方に突出する内側ストッパ23を固着することより、羽根部材10a,10bの各先端部18が接触しない形態にも適用可能としても良い。前記内側ストッパ23は、羽根部材10a等側に曲面24を有している。
前記のように各先端部18を前記管体2の中心軸側に回転させ、各抵抗部12を外方に突出させた姿勢の羽根部材10a,10bを先端面3に有する当該管材2を、逆方向に回転しつつ地表側に順次引き上げる。その途中で、羽根部材10a,10bの厚肉部20が管材2の外周面に当接し、且つ互いに面接触している一対の先端部18が、前記既設杭Pを管材2の中空部2s内において支持した状態で地表側に引き上げる。
前記一対の羽根部材10a,10bを管材2の先端面3に取り付け、且つこれら付近の外周面に一対のストッパ7を設けた前記撤去装置1によれば、前記羽根部材10a,10bは管体2と共に、土中に埋設された撤去すべき既設杭Pの外周側に沿って下降し、前記逆回転時には、土圧を受ける抵抗部12によって羽根部材10a,10bの先端部18が前記管体2の中心軸側で当接ないし接近して、前記既設杭Pの最深部を支持可能とする。その結果、前記逆回転を継続することで、既設杭Pを管体2と共に、地表側に引き上げて撤去することができる。
また、前記管体2の正回転時において土圧を受ける第1の抵抗面13と前記法線Lとの挟角αが、前記管体2の逆回転時において土圧を受ける第2の抵抗面17と法線Lとの挟角βよりも大きいので、前記正回転時において受ける土圧を比較的少なくできるため、土中への回転を伴う挿入作業をスムーズに行える。一方、前記逆回転時において受ける土圧を比較的大きく受けるため、羽根部材10a,10bを管材2の径方向に沿った姿勢に回転できるので、これらの先端部18同士により既設杭Pを確実に支持した状態で、地表側へ引き抜きことができる。
加えて、前記羽根部材10a,10bの抵抗部12における前記ストッパ7との重なり部分と該ストッパ7との間に隙間Sが位置しているため、前記逆回転時において、前記隙間S内に土が容易に進入し、前記第2の抵抗面17に対し前記土圧が効果的に加えられる。その結果、前記逆回転時における羽根部材10a,10bの回転操作と、前記既設杭Pの支持とを一層確実に行うことができる。
上記撤去装置1aは、図3(A)に示すように、前記管体2の先端面3に1つの羽根部材10を前記同様に回転可能に取り付け、該羽根部材10の抵抗部12側の管体2の外周面に前記同様のストッパ7を固着すると共、該ストッパ7にほぼ隣接する管材2の内周面に前記同様の内側ストッパ20を固着したものである。
一方、図3(B)に示す逆回転時には、土圧を抵抗部12の前記第2の抵抗面17が受けることで、前記羽根部材10の先端部18側が管体2の中心軸側に回転する。この場合、図示のように、前記羽根部材10における前記厚肉部20の曲面21が管材2の外周面に面接触するか、あるいは根部材10の基端側の緩い曲面が内側ストッパ23の曲面24に面接触することにより、前記先端部18を管体2の中心軸付近の位置に保持することができる。
上記撤去装置1bは、図3(C)に示すように、前記管体2の先端面3に3つの羽根部材10a~10cを点対称の位置に回転可能に取り付け、該羽根部材10a~10cの各抵抗部12側の管体2の外周面ごとに前記同様である3つのストッパ7を点対称に固着したものである。
尚、羽根部材10a~10cの前記厚肉部20、あるいは、前記同様の内側ストッパ23を用いることで、3つの前記先端部18が互いに離れていても、管体2が外装した既設杭Pを支持することが可能となる。あるいは、羽根部材10a~10cの各先端部18を管材2の中心軸よりも反対側の位置まで回転させ、各先端部18の側面同士が底面視で巴状に当接するようにしても良い。
上記撤去装置1cは、図3(E)に示すように、前記管体2の先端面3に4つの羽根部材10a~10dを点対称の位置に回転可能に取り付け、該羽根部材10a~10dの各抵抗部12側の管体2の外周面ごとに前記同様である4つのストッパ7を点対称に固着したものである。
以上のような撤去装置1a~1cによっても、前記撤去装置1と同様な効果を奏することができる。
この例では、管材2と管材2との継ぎ目(溶接される)に隙間を設け、そこに羽根部材10a、10bを設けている。この例では、部品の共通化の観点から、この羽根部材10a、10bは管材2の先端に設けられるものと同一にしている。即ち、抵抗部20を備えており、管材2が正転するときは羽根部材10a、10bは管材2と管材2との継ぎ目に収まっているが、管材2が逆転すると、管材2より外訪へ張り出した抵抗部20が強い土の干渉を受けて管材2内に突出する。ここに、管材2内には杭が存在しているので、羽根部材10a、10bは杭の側面に当接する。その結果、羽根部材10a、10bがスクレイパの役割をして、杭側面の土をそぎ落す。よって、杭の引き抜き作業が容易になる。
したがって、羽根部材10a、10bは杭に接触できる長さを備えればよい。また、羽根部材は1本でもよい。
上記の例では、管材2と管材2との継ぎ目に羽根部材を配置したが、管材の途中にスリットを穿設して、そこに羽根部材を収めることもできる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
2…………………………管材
3…………………………先端面
7…………………………ストッパ
10,10a~10d…羽根部材
12………………………抵抗部
13………………………第1の抵抗面
14~16,17………第2の抵抗面
P…………………………既設杭
L…………………………法線
S…………………………隙間
α,β……………………挟角
Claims (4)
- 既設杭に外装する管体と、
前記管体の先端面に設けられ、前記管体の中心軸側に移動可能な羽根部材と、を備えた土中に埋設された既設杭を撤去する装置であって、
前記羽根部材は、前記管体の先端面に回転可能に取り付けられ、前記管体を底面視で逆方向に回転させた時に、土の抵抗を受ける抵抗部を、当該羽根部材における前記管体の外周面の外方に延設しており、
前記管体を底面視で正方向に回転させた時に、前記抵抗部による前記羽根部材の回転を規制するストッパを前記管体の外周面に設けている、
ことを特徴とする既設杭の撤去装置。 - 前記羽根部材の抵抗部は、前記管体の正方向回転時に土の抵抗を受ける第1の抵抗面と、前記管体の逆方向回転時に土の抵抗を受ける第2の抵抗面と有し、
前記管体の半径方向に沿った法線に対し、前記第1の抵抗面との挟角は、前記第2の抵抗面との挟角よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の既設杭の撤去装置。 - 前記管体を底面視で正方向に回転させた場合において、前記管体の外周面を側面視した際に、前記羽根部材の抵抗部は、前記ストッパに重なっている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の既設杭の撤去装置。 - 前記抵抗部における前記ストッパとの重なり部分と該ストッパとの間には、隙間が位置している、
ことを特徴とする請求項3に記載の既設杭の撤去装置。
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