JP2005194789A - 鋼管杭の回転装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軽量且つ簡易な構成で、径の異なる鋼管杭に適確に回転力を伝達することができる鋼管杭の回転装置を提供する。
【解決手段】 本鋼管杭の回転装置100は、鋼管杭本体1Aの基端部を遊嵌するキャップ101と、鋼管杭本体1Aの凸片4と係合する係止部材102と、該係止部材102をキャップ101の内周から半径方向へ出没可能に案内するガイド部材103と、係止部材102の突出位置を所望位置に規制するために係止部材102及びガイド部材103に適宜穿設された位置決め孔23,24に挿通されて係止部材102の半径方向の移動を抑止するストッパ104とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼管杭を回転させて地中へ圧入するための鋼管杭の回転装置に関するものである。
軟弱地盤等において建築物の支持力を高めるために基礎杭を打設することがあり、住宅等の中低層建造物が建築される宅地においては高層建造物を支持するような基礎杭は不要であり、無排土で振動や騒音の少ないという利点から鋼管杭が用いられている。該鋼管杭を打設する際には、杭打ち機を用いて鋼管杭を回転させながら地盤に圧入する。該杭打ち機は、図13に示すように、クレーン900のブーム901に昇降タワー902が垂直方向に設けられ、該昇降タワー902に油圧回転軸903が昇降可能に設けられてなり、該油圧回転軸903に鋼管杭1を取り付けて回転させながら油圧回転軸903を降下させることにより、鋼管杭1が地盤に打設される。
前記杭打ち機の油圧回転軸903と鋼管杭1との接続には回転装置が用いられる。図14〜図16は従来の回転装置の例であり、図14に示すように、鋼管杭904の基端部に外周面から水平方向に突出する凸片905を設け、一方、杭打ち機側には、該凸片905と係合する溝906が形成された円筒の回転装置907を配設する。回転装置907を鋼管杭904の基端部に外嵌するとともに凸片905と溝906とを係合することにより、前記油圧回転軸903に装着されて回転する回転装置907の回転が鋼管杭904に伝達される(例えば特許文献1,2参照)。
また、図15に示すように、鋼管杭908の基端部に軸線と直交する方向に孔909を穿ち、一方、杭打ち機側には、同様に軸線と直交する方向に孔910が穿たれた円筒の回転装置911を配設する。回転装置911を鋼管杭908の基端部に外嵌するとともに孔909及び孔910にピン912を挿通することにより、該ピン912を介して回転装置911の回転が鋼管杭908に伝達される。
また、図16に示すように、鋼管杭913の基端部の内空に径方向に係止板914を設け、一方、杭打ち機側には、該係止板914と係合する溝915が形成された円筒の回転装置916を配設する。回転装置916の溝915を係止板914と係合するように鋼管杭913の基端部に内挿することにより、回転装置916の回転が鋼管杭913に伝達される。
このようにして地盤に打設される鋼管杭は、地盤の状態や要求される支持力等によって径や長さが異なる。また、径の異なる複数の鋼管杭を継合して打設する場合もある(特許文献3参照)。このように径の異なる鋼管杭を打設する場合には、各鋼管杭の基端部に外嵌される円筒の径が異なる回転装置を複数用意するか、最大径の鋼管杭を外嵌可能な円筒を備えた回転装置を、径小の鋼管杭にも用いていた。
特開2000−248551号公報 特開平10−331158号公報 特願2003−125479号
しかし、施工現場毎に打設すべき種々の鋼管杭の径に合致する回転装置を複数準備すれば施工コストが高くなり、鋼管杭の径が変わる度に回転装置の付替え作業が必要となるので作業時間も長くなるという問題がある。一方、最大径の鋼管杭に合致する回転装置を径小の鋼管杭に用いるには、例えば前記鋼管杭904では、凸片905の突出長を、径大の円筒の溝906と係合できる程度に長くする必要があり、該凸片905の支点と溝906との係合個所とが離れるので、凸片905への負荷が過大となって変形や破損のおそれがある。また、凸片905を長くすれば回転圧入する際の摩擦抵抗が大きくなるという弊害もある。さらに、回転装置の円筒に対して鋼管杭904が径小となれば、該円筒と鋼管杭904の軸中心が合わせ難いという問題もある。したがって、このような問題が生じることなく径の異なる鋼管杭に対応可能な回転装置が望まれるが、該回転装置は、杭打ち機への着脱されることや油圧回転軸903とともに昇降されることを考慮すると、軽量且つ簡易な構成のものが好ましい。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、軽量且つ簡易な構成で、径の異なる鋼管杭に適確に回転力を伝達することができる鋼管杭の回転装置を提供することを目的とする。
本発明に係る鋼管杭の回転装置は、鋼管杭の基端部に外嵌されるとともに該基端部に突設された凸片と係合することにより、鋼管杭を回転させて地中へ圧入するための鋼管杭の回転装置であって、鋼管杭の基端部を遊嵌するキャップと、鋼管杭の凸片と係合する係止部材と、該係止部材を前記キャップ内周から半径方向へ出没可能に案内するガイド部材と、係止部材の突出位置を所望位置に規制するために係止部材及びガイド部材に適宜穿設された位置決め孔に挿通されて係止部材の半径方向の移動を抑止するストッパと、を具備することを特徴とする。
また、本発明は、前記係止部材に凸片の下側と係合する担持部が設けられたことを特徴とする。
また、本発明は、前記担持部がキャップの正反転により前記キャップに遊嵌された鋼管杭の凸片と係脱可能に設けられたものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記ガイド部材が、係止部材の両側面を案内するとともに、係止部材の両側面と当接して回転トルクを伝達するガイド板を具備するものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記係止部材の先端部を取替可能としたことを特徴とする。
本発明によれば、鋼管杭の基端部を遊嵌するキャップに、鋼管杭の凸片と係合する係止部材をキャップ内周から半径方向へ出没可能としたので、係止部材によりキャップに挿入される鋼管杭の軸中心が位置決めされるとともに、鋼管杭の凸片と係止部材とが係合することにより回転伝達がなされる。これにより、軽量且つ簡易な構成で、径の異なる種々の鋼管杭に適確に回転力を伝達することができる。
また、本発明によれば、前記係止部材に凸片の下側と係合する担持部が設けられたので、該担持部により鋼管杭が担持されて鋼管杭に引抜力を与える。
また、本発明によれば、前記担持部がキャップの正反転により前記キャップに挿入された鋼管杭の凸片と係脱可能に設けられたので、キャップへ鋼管杭を挿入する際には凸片と担持部とが係合せず、嵌脱が容易であり、且つ鋼管杭を引き抜く際には逆回転を与えることにより担持部と凸片とは係合して引抜力を付与することができる。
また、本発明によれば、ガイド板により、係止部材の両側面と当接して回転トルクを伝達するので、ストッパに過剰な負荷が加わることがなく、ストッパの破損を防止することができる。
また、本発明によれば、鋼管杭の凸片と当接して磨耗し易い係止部材の先端部を取替可能としたので、係止部材の使用限界が長くなりコストの抑制に寄与する。
以下、本発明の実施の形態に係る鋼管杭の回転装置について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る鋼管杭の回転装置100の構成を示すものであり、本回転装置100は、鋼管杭の基端部を遊嵌するキャップ101と、鋼管杭の凸片と係合する係止部材102と、係止部材102をキャップ内周101から半径方向へ出没可能に案内するガイド部材103と、係止部材102の突出位置を規制するストッパ104とを具備するものである。
図2は、本鋼管杭の回転装置100により地盤に打設される鋼管杭の一例を示すものである。図に示すように、本鋼管杭1は、円筒状の鋼管杭本体1A,1B,1Cが同軸線上に継合され、鋼管杭本体1Aの先端部分に、螺旋翼2が突設されてなる先端部材3が取り付けられてなる。鋼管杭本体1A,1B,1Cと先端部材3とは各々別個の部材として構成されており、施工現場において継合される。
各鋼管杭本体1A,1B,1Cは、その径が順次大きくなっており、鋼管杭本体1Aの基端側に鋼管杭本体1Bの先端側を外嵌することにより鋼管杭本体1A,1Bが継合され、また、鋼管杭本体1Bの基端側に鋼管杭本体1Cの先端側を外嵌することにより鋼管杭本体1B,1Cが継合されて、最終的に1本の鋼管杭1となる。各継合部について鋼管杭本体1A,1Bを例に説明するに、図3に示すように、鋼管杭本体1Aの基端部には、凸片4及び挿通孔5が設けられている。該凸片4は、鋼管杭本体1Aの外周面に沿って湾曲された平板からなるものであり、図1に示すように、鋼管杭本体1Aの基端部に軸線対称となるように2ヶ所に溶接等により固定されている。一方、挿通孔5は、鋼管杭本体1Aの軸線と略直交する方向に貫通されたものであり、前記凸片4の上方に穿設されている。なお、凸片4の個数及び位置は適宜変更可能である。
一方、鋼管杭本体1Bには、先端から軸線方向に切欠溝6が形成されるとともに、該切欠溝6の上方であって鋼管杭本体1Aに外嵌される部分に挿通孔7が穿設されている。鋼管杭本体1Bの内径は鋼管杭本体1Aの外径と略同一であり、鋼管杭本体1Bの先端側が鋼管杭本体1Aの基端側に外嵌可能となっている。切欠溝6は、鋼管杭本体1Bの周方向に一定幅若しくは上側へ向かって若干狭くなるように形成されており、その切欠深さは、鋼管杭本体1Aの凸片4の軸線方向の長さと略同一である。このような切欠溝6が、鋼管杭本体1Bの先端部に軸線対称となるように2ヶ所に形成されている。勿論、切欠溝6も2ヶ所に限定されるものではなく、前記凸片4の個数に応じて適宜増減することができる。一方、挿通孔7は、前記挿通孔5と同様に、鋼管杭本体1Bの軸線と略直交する方向に貫通されたものであり、鋼管杭本体1Aの挿通孔5と対応する位置に穿設されている。即ち、鋼管杭本体1Bが鋼管杭本体1Aに外嵌され、凸片4と切欠溝6とが嵌合した場合に、挿通孔5,7は略同一直線上に位置するものとなる。
鋼管杭本体1A,1Bを継合する際には、図4に示すように、鋼管杭本体1Bの先端側を、切欠溝6と凸片4とが嵌合するように鋼管杭本体1Aの基端側に外嵌する。切欠溝6の上端と凸片4の上端とが当接することにより、鋼管杭本体1Bの外嵌位置が決定され、且つ、鋼管杭1の打設時には下方向への力が、打設後には建築物等からの圧縮力が鋼管杭本体1Bから鋼管杭本体1Aへ伝達される。一方、切欠溝6の側端と凸片4の側端との間には若干の隙間があるが、鋼管杭1の打設時に鋼管杭本体1Bが回転されることにより該側端同士が当接して、鋼管杭本体1Bの回転力が鋼管杭本体1Aへ伝達される。このようにして、鋼管杭本体1Aと鋼管杭本体1Bとが、鋼管杭1のねじ込み方向及び回転方向に対して固定された状態で継合される。
また、図に示すように、鋼管杭本体1Aの挿通孔5及び鋼管杭本体1Bの挿通孔7に、座金を介してボルト8を挿通してナット9で固定する。これにより、鋼管杭1の引抜方向に対して、鋼管杭本体1Aと鋼管杭本体1Bとが固定される。前記挿通孔5,7の径は、ボルト8の径に対して十分に大きなものであり、ボルト8が挿通された状態でも十分な余裕寸法が生じるようになっている。従って、挿通孔5,7にボルト8が挿通されて継合状態の鋼管杭本体1A,1Bは、該余裕寸法だけ軸線中心に相互に回転可能となっている。前述したように、鋼管杭本体1Bの切欠溝6の側端と鋼管杭本体1Aの凸片4の側端との間には若干の隙間があるので、鋼管杭1を打設する際に、該側端同士が当接するまで、鋼管杭本体1Bが鋼管杭本体1Aに対して相対的に回転されるが、挿通孔5,7の余裕寸法により、切欠溝6の側端と凸片4の側端とが当接するまで、鋼管杭本体1A,1Bが軸線中心に相互に回転可能であるので、鋼管杭本体1A,1B間で伝達される回転力がボルト8に負荷されることがなく、鋼管杭1の打設時にボルト8が破断することがない。本鋼管杭の回転装置100は、このような径の異なる鋼管杭本体1A,1B,1Cから構成される鋼管杭1を打設するに特に適している。
図1に示すように、鋼管杭の基端部を遊嵌するキャップ101は、鋼管10に円盤状の天板11が溶接固定されたものであり、最大径である鋼管杭本体1Cの基端部を内挿可能な内径のものである。該キャップ101は、主として鋼管杭本体1A,1B,1Cに押圧力を付与するためのものなので、径方向に対しては各鋼管杭本体1A,1B,1Cと精度よく嵌合する必要はなく、最大径の鋼管杭本体1Cが遊嵌できる内径であればよい。また、キャップ101の上端には多角形状の軸12が、キャップ101の軸線上に突設されており、該軸12が杭打ち機の油圧回転軸に連結される。
キャップ101の下端にはガイド部材103が設けられている。該ガイド部材103は、図5及び図6に示すように、キャップ101の鋼管10に対応した中穴を有する2枚の円環状の円板30が上下方向に対向して配置され、該円板30がガイド板31及び補強板32で連結されたものである。各円板30は鋼管10より径大のものであり、キャップ101の下端に溶接固定されることにより水平方向へ鍔状に突出している。円板30の径は、係止部材102の大きさや出没範囲により適宜設定される。一方、円板30の中穴は前記鋼管10の内径と略同一であり、これら中穴と鋼管10の軸線が合致するように各円板30が配設されている。これにより、ガイド部材103の下方から各円板30の中穴を通じて、鋼管杭本体1A,1B,1Cの各基端部がキャップ101内へ挿入可能となっている。
ガイド板31は2枚の矩形の平板からなり、前記2枚の円板30間において一定間隔で且つ軸線に対して対称位置に配設されている。ガイド板31の上下端は各円板30と夫々溶接固定されており、これにより2枚の円板30が上下方向に一定間隔で連結されている。ガイド板31間の距離は係止部材102の幅に合わせて設定されており、詳細には、係止部材102の幅より若干広いものである。これにより、2枚のガイド板31が、2つの係止部材102が対向してキャップ101の内周から出没するように各係止部材102の両側面を案内するとともに、キャップ101及びガイド部材31が回転する際には、各係止部材102の両側面と夫々当接して回転トルクを伝達するようになっている。
前記2枚のガイド板31の外側には、各ガイド板31と直交する方向に補強板32が夫々設けられている。該補強板32は、ガイド板31による2枚の円板30の連結を補強するとともに、ガイド板31が受ける回転トルクに対して各ガイド板31を補強するものであり、上下端において2枚の円板30と夫々溶接固定され、さらに側端において各ガイド板31と夫々溶接固定されている。また、各ガイド板31の内側の下端に沿って支持台33が配設されている。該支持台33は係止部材102の下面の両側部分を担持するものであり、これにより、2枚のガイド板31間に挿入される係止部材102が下側のガイド板31から所定の高さに支持され、後述する担持部22のように係止部材102の下端面から突出した部分が該ガイド板31に当接しないようにして、係止部材102の挿抜を容易にしている。
また、前記2枚の円板30であって、前記2枚のガイド板31間となる位置には、複数の位置決め孔34が2枚の円板30に同軸となるように夫々穿設されている。該位置決め孔34は、ガイド板31間に挿抜される2つの係止部材102に対応して、軸線に対して対称となる位置に各々6つの位置決め孔34が一群となって穿たれている。該一群となっている6つの位置決め孔34は左右対称であって、掛止部材102に挿抜方向に略直交するように一列に穿設されており、中央の2つの位置決め孔34aから両側へいくにつれキャップ101側へ近づくように配列されている。このような位置決め孔34の配置は、係止部材102に穿たれた位置決め孔23の配置との関係で相対的に決まるものであるが、各位置決め孔34は左右一対で係止部材102の出没位置を規制するものとなっており、両側へ向かうほど係止部材102の突出が大きくなるように配置されている。なお、図に示すように、前記支持台33と両側の位置決め孔34cが重なるような場合には、位置決め孔34cと重複する部分だけ、支持台33を切り欠いてもよい。
前記係止部材102は、図1及び図7に示すように、鋼製であって略直方体形状をなしており、前記ガイド部材102に挿入された際にキャップ101の内周から突出する側に、平面視において左右対称となるように2つの係止部20L,20Rが突設されている。各係止部20L,20Rは、平面視が山形のものであり、該山形の外側面20aが鋼管杭本体1A,1B,1Cの凸片4と当接する。本鋼管杭の回転装置100は時計方向に正回転しながら各鋼管杭1を地盤に圧入するものなので、時計方向側の係止部20Lが正回転時に凸片4と当接する。一方、鋼管杭1を引き抜く際には回転装置100が反時計方向に反転されるので、反対側の係止部20Rが凸片4と当接する。前記回転装置100は、通常、正回転で使用することが多く、回転トルクも大きいので、正回転時に凸片4と当接する時計方向側の係止部20Lが磨耗し易い。これを考慮して、該係止部20Lの先端部21はボルト留め等により着脱でき、取替え可能となっている。したがって、使用により先端部21が磨耗すれば新しい先端部21と取り替えることができ、係止部材102の使用限界が長くなる。勿論、反対側の係止部20Rの先端部も同様に取替え可能としてもよい。また、反対側の係止部20Rの下面には、該係止部20Rの外側面20aから突出する担持部22が配設されている。該担持部22は、外側面20aから突出した部分が鋼管杭本体1A,1B,1Cの凸片4の下側と係合することにより、鋼管杭1を引き抜く際に上方向の引抜力を鋼管杭1に付与するためのものである。
さらに、係止部材102の中央付近には、複数の位置決め孔23が係止部20の突出方向と略直交するように一列に穿設されている。位置決め孔23は、前記円板30に穿設された位置決め孔34に対応して6ヶ所に穿たれており、係止部材102を前記ガイド部材103の挿入して径方向に移動させることにより、係止部20L,20Rの突出位置毎に、中央の2つの位置決め孔23aが前記位置決め孔34aと、その両側の2つの位置決め孔23bが前記位置決め孔34bと、最も外側の2つの位置決め孔23cが前記位置決め孔34cと夫々合致し、中央の2つの位置決め孔23aが前記位置決め孔34aとが合致した状態で係止部20L,20Rの突出が最も小さく、合致する位置決め孔23,34が両側へ向かうほど係止部20L,20Rの突出が大きくなる。また、係止部材102の外側、即ち係止部20と反対側には把手24が配設されている。該把手24は係止部材102の挿抜作業を容易とすべく設けられたものである。
前述したように、前記係止部材102はガイド部材103のガイド板31間に挿入されてキャップ101の内周から係止部20L,20Rが突出するが、該係止部20L,20Rの突出位置は、係止部材102の位置決め孔23と円板30の位置決め孔34とを合致させ、該位置決め孔23,34に棒状のストッパ104を挿通することにより決められる。即ち、前述したように、係止部材102の中央の2つの位置決め孔23aが円板30の位置決め孔34aと合致した状態が係止部20L,20Rの突出が最も小さく、合致する位置決め孔23,34が両側へ向かうほど係止部20L,20Rの突出が小さくなるので、鋼管杭本体1A,1B,1Cの径に合わせて、係止部20が所望の突出位置となるように位置決め孔23,34を合わせ、該位置決め孔23,34にストッパ104を挿通する。これにより、その位置で係止部材102の径方向の移動が抑止され、係止部20L,20Rの突出位置が規制される。
前記ストッパ104は、図1に示すように、上下一対の円板30の位置決め孔34をともに挿通できる長さの棒状の挿通部40と、該挿通部40の上側に設けられて位置決め孔34の周縁と当接することによりストッパ104の挿通位置を規制する径大部41と、該径大部41の上側に設けられた把手42とからなり、上側の円板30の上方から挿通部40が該円板30の位置決め孔34及び係止部材102の位置決め孔23へ挿通され、さらに該挿通部40の先端が下側の円板30の位置決め孔34に挿通された状態で、径大部41が該円板30の上面に当接してストッパ104の挿通位置を規制し、ストッパ104が下方へ脱落することが防止されるようになっている。また、前記挿通部40の径は、位置決め孔23,34に挿通可能であって、前記係止部材102がガイド板31間の挿入された際に、係止部材102の側面がガイド板31と密接するまで水平方向へ移動可能なものとなっている。即ち、ストッパ104により係方向の移動が抑止された係止部材102は、2枚のガイド板31間において、該ガイド板31と密接するまでは移動できるものとなっている。これにより、ガイド板31から係止部材102へ伝達される回転トルクがストッパ104の挿通部40に負荷されないようにしている。
以下、本鋼管杭の回転装置100による鋼管杭1の打設方法について図面に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、図8〜図11においては上側の円板30を省略している。
まず、本鋼管杭の回転装置100を杭打ち機に装着する。杭打ち機は従来と同様であるので詳細な説明は省略するが、鋼管杭の回転装置100のキャップ101の上端に設けられた多角形状の軸12が杭打ち機の油圧回転軸に連結されることにより、本回転装置100が杭打ち機により回転且つ昇降可能となる。つぎに、ガイド部材103のガイド板31間に一対の係止部材102を夫々挿入する。
本鋼管杭の回転装置100では、打設すべき鋼管杭1を構成する鋼管杭本体1A,1B,1Cの径に対応して、ガイド部材103の円板30に各位置決め孔34が穿設されている。これら鋼管杭本体1A,1B,1Cの径は規格等により定められているのが一般的であり、予め各位置決め孔34の穿設位置を設定することは容易である。また、例えば鋼管杭本体1A,1B,1Cの各1本の長さが6mとすれば、3種の鋼管杭本体1A,1B,1Cに対応可能に位置決め孔34を穿設すれば6〜18mの長さの鋼管杭の打設に対応でき、中低層の一般住宅の基礎杭として打設する鋼管杭としては十分な範囲である。勿論、4種以上の鋼管杭本体を継合することを考慮して更に径大又は径小の鋼管杭本体のための位置決め孔34を穿設しておくことも可能である。
したがって、まず最初に打設する鋼管杭本体1Aの径にあわせるために、図8に示すように、係止部材102の両外側の2つ位置決め孔23cを、ガイド部材103の円板30の両外側の2つの位置決め孔34cに合わせて、ストッパ104を位置決め孔34c,23cに挿通して、係止部材102の係止部20L,20Rの突出位置を決める。
その後、鋼管杭本体1Aを打設すべき地盤の所定の位置に立設させて、杭打ち機により本鋼管杭の回転装置100を降下させることにより、該鋼管杭本体1Aの基端部を回転装置100のキャップ101内へ挿入する。図8に示すように、各係止部材102の両係止部20L,20Rの外側面20aと鋼管杭本体1Aの各凸片4との間には所定の間隙があり、また、係止部20Rに設けられて外側面20aから突出した担持部22は該間隙に位置しており凸片4とは係合していない。したがって、鋼管杭本体1Aの凸片4が一対の係止部材102間に位置するようにして、該鋼管杭本体1Aの基端部をガイド部材103の下方からキャップ101内へ挿入することにより、2つの係止部材102の係止部20L,20Rにより鋼管杭本体1Aの軸線の位置がキャップ101の軸線と略同一となるように位置決めされ、また、凸片4は係止部材102間を通過し、係止部20L,20R及び担持部22とは当接しないので、鋼管杭本体1Aはキャップ101内へ挿抜自在である。
キャップ101の天板11に鋼管杭本体1Aの基端面が当接するまで挿入した後、杭打ち機により回転装置100を正回転させる。詳細には、杭打ち機の油圧回転軸と連結された軸12とともに、キャップ101が回転するとともに、一対の円板30間に配設されたガイド板31も回転する。図9に示すように、該ガイド板31が係止部材102の両側面と当接して回転トルクを伝達するので、各係止部材102も回転する。これにより、各係止部材102の係止部20Lの外側面20aが鋼管杭本体1Aの凸片4と当接して係合し、鋼管杭本体1Aへ回転トルクが伝達されて鋼管杭本体1Aが回転する。この状態で回転装置100を降下することにより鋼管杭本体1Aの基端面がキャップ101の天板11に押圧され、鋼管杭本体1Aが地盤へ回転圧入される。また、前述したように、ストッパ104により径方向の移動が規制された係止部材102は、ガイド板31と密接する程度には移動可能であるので、ストッパ104に回転トルクのような過剰な負荷がかからないので、回転によりストッパ104が破損することがない。
所定位置まで鋼管杭本体1Aを回転圧入した後、回転装置100を上昇させて鋼管杭本体1Aの基端部からキャップ101を抜く。正回転により各係止部材102の係止部20Lが鋼管杭本体1Aの凸片4と係合している状態では、係止部20Rに設けられた担持部22と凸片4とは係合していないので、キャップ101を鋼管杭本体1Aの基端部から容易に抜くことができる。
つぎに、図4で説明したように、鋼管杭本体1Aの基端部に鋼管杭本体1Bの先端部を外嵌し、鋼管杭本体1Aの凸片4と鋼管杭本体1Bの切欠溝6とを嵌合することにより、鋼管杭本体1Bから鋼管杭本体1Aへ押圧力及び回転力が伝達可能に継合される。
一方、鋼管杭の回転装置100においては、ストッパ104を一旦抜き取り、各係止部材102を径方向へ移動可能にする。つぎに回転すべき鋼管杭本体1Bは鋼管杭本体1Aより径大であるので、各係止部材102を径方向外側へ移動して、図10に示すように、係止部材102の位置決め孔23bを円板30の位置決め孔34bにあわせて、ストッパ104を位置決め孔34b,23bに挿通して、係止部材102の係止部20L,20Rの突出位置を決める。
その後、鋼管杭本体1Aと継合された鋼管杭本体1Bの基端部をキャップ101内へ挿入する。前述と同様に、各係止部材102の両係止部20L,20Rと鋼管杭本体1Bの各凸片4との間には所定の間隙があり、また、係止部20Rに設けられた担持部22は凸片4と係合していないので、鋼管杭本体1Bの凸片4が一対の係止部材102間に位置するようにして、該鋼管杭本体1Bの基端部をキャップ101内へ挿入することにより、2つの係止部材102の係止部20L,20Rにより鋼管杭本体1Bの軸線の位置がキャップ101の軸線と略同一となるように位置決めされ、また、凸片4は係止部材102間を通過し、係止部20L,20R及び担持部22とは当接しないので、鋼管杭本体1Bはキャップ101内へ挿抜自在である。鋼管杭本体1Bの基端部をキャップ101に挿入した後、杭打ち機により回転装置100を正回転させると、前述と同様に、各係止部材102の係止部20Lの外側面20aが鋼管杭本体1Bの凸片4と当接して係合し、鋼管杭本体1Bへ回転トルクが伝達され、さらに鋼管杭本体1Bから鋼管杭本体1Aへ回転力が伝達される。これにより、鋼管杭本体1A及び鋼管杭本体1Bが一体となって地盤へ回転圧入される。
同様に、所定位置まで鋼管杭本体1Bを回転圧入した後、回転装置100を上昇させて鋼管杭本体1Bの基端部からキャップ101を抜き、鋼管杭本体1Bの基端部に鋼管杭本体1Cの先端部を外嵌して継合し、鋼管杭の回転装置100においては、各係止部材102を径方向外側へ移動して、図11に示すように、係止部材102の中央の位置決め孔23aを円板30の中央の位置決め孔34aにあわせ、ストッパ104を挿通して係止部20L,20Rの突出位置を決め、鋼管杭本体1Bと継合された鋼管杭本体1Cの基端部をキャップ101内へ挿入する。その後、前述と同様に、回転装置100により、鋼管杭本体1A、鋼管杭本体1B、及び鋼管杭本体1Cが一体となって地盤へ回転圧入され、鋼管杭1の打設が完了する。
このように、各鋼管杭本体1A,1B,1Cの基端部を遊嵌するキャップ101に、各鋼管杭本体1A,1B,1Cの凸片4と係合する係止部材102をキャップ101の内周から径方向へ出没可能としたので、係止部材102の係止部20L,20Rによりキャップ101に嵌挿される各鋼管杭本体1A,1B,1Cの軸中心が容易に位置決めされるとともに、径の異なる各鋼管杭本体1A,1B,1Cの凸片4と係止部材102の係止部20Lとを係合させて適確に回転伝達できる。
また、鋼管杭1の打設作業の際に、地盤に岩石等の障害物が存在したり、鋼管杭1が垂直に打設できていない場合には、回転圧入している鋼管杭1を若干引き抜いて再度回転圧入することを繰り返したり、一旦引き抜いて打設し直すこともある。そのような場合には、鋼管杭の回転装置100を反時計方向へ反転しながら回転装置100を上昇する。
例えば、図12に示すように鋼管杭本体1Aを引き抜く際には、回転装置100を反転させることにより、係止部材102の係止部20Rの外側面20aが凸片4と当接するとともに、担持部22が該凸片4の下側に回り込んで凸片4の下面と係合する。したがって、回転装置100を反転させながら上昇させることにより、係止部20Rにより凸片4に回転トルクが伝達されるとともに、担持部22により凸片4に上側ヘの引抜力が伝達されて、鋼管杭本体1Aが反転させながら引き抜くことができる。このように、担持部22を回転装置100の正反転により鋼管杭本体1Aの凸片4と係脱可能とすることにより、前述したように、キャップ101へ鋼管杭本体1Aを挿抜する際には凸片4と担持部22とが係合していない状態で挿抜容易であり、一方、鋼管杭本体1Aを引き抜く際には回転装置100を反転することにより担持部22と凸片4と係合させて引抜力を付与することができる。
なお、本実施の形態に係る鋼管杭の回転装置100では、一対の係止部材102を軸線に対して対向位置から挿抜することとしたが、係止部材102の個数や挿抜位置は鋼管杭の凸片の位置等にあわせて変更することが可能である。また、本実施の形態では、時計方向の正転により鋼管杭を回転圧入し、反時計方向の反転により鋼管杭を引き抜くこととしているが、正反転の方向も適宜可能である。さらに、本実施の形態で示した鋼管杭1の構成は、本鋼管杭の回転装置100により回転圧入可能な鋼管杭の一態様にすぎず、鋼管杭1以外の構成の鋼管杭にも本鋼管杭の回転装置100が使用可能であることは当然である。
本発明に係る鋼管杭の回転装置は、径の異なる鋼管杭を打設して地盤の支持力を高める基礎工法において利用することができる。
本発明の実施の形態に係る鋼管杭の回転装置100の構成を示す概略斜視図である。 鋼管杭1の概略構成を示す正面図である。 鋼管杭本体1Aと鋼管杭本体1Bとの継合部の構成を示す部分拡大図である。 継合状態の鋼管杭本体1A及び鋼管杭本体1Bを示す部分拡大図である。 キャップ101及びガイド部材103の構成を示す平面図である。 キャップ101及びガイド部材103の構成を示す正面図である。 係止部材102の構成を示す斜視図である。 鋼管杭本体1Aを挿抜する状態を示す図である。 鋼管杭本体1Aを回転する状態を示す図である。 鋼管杭本体1Bを挿抜する状態を示す図である。 鋼管杭本体1Cを挿抜する状態を示す図である。 鋼管杭本体1Cを引き抜く状態を示す図である。 杭打ち機の概略構成を示す図である。 従来の鋼管杭の回転装置907の構成を示す概略斜視図である。 従来の鋼管杭の回転装置911の構成を示す概略斜視図である。 従来の鋼管杭の回転装置916の構成を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 鋼管杭
1A,1B,1C 鋼管杭本体
4 凸片
21 先端部
22 担持部
23a−23c,34a−34c 位置決め孔
31 ガイド板
100 鋼管杭の回転装置
101 キャップ
102 係止部材
103 ガイド部材
104 ストッパ

Claims (5)

  1. 鋼管杭の基端部に外嵌されるとともに該基端部に突設された凸片と係合することにより、鋼管杭を回転させて地中へ圧入するための鋼管杭の回転装置であって、
    鋼管杭の基端部を遊嵌するキャップと、
    鋼管杭の凸片と係合する係止部材と、
    該係止部材を前記キャップ内周から半径方向へ出没可能に案内するガイド部材と、
    係止部材の突出位置を所望位置に規制するために係止部材及びガイド部材に適宜穿設された位置決め孔に挿通されて係止部材の半径方向の移動を抑止するストッパと、を具備することを特徴とする鋼管杭の回転装置。
  2. 前記係止部材に、凸片の下側と係合する担持部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の鋼管杭の回転装置。
  3. 前記担持部は、キャップの正反転により前記キャップに遊嵌された鋼管杭の凸片と係脱可能に設けられたものであることを特徴とする請求項2記載の鋼管杭の回転装置。
  4. 前記ガイド部材は、係止部材の両側面を案内するとともに、係止部材の両側面と当接して回転トルクを伝達するガイド板を具備するものであることを特徴とする請求項1乃至3記載の鋼管杭の回転装置。
  5. 前記係止部材の先端部を取替可能としたことを特徴とする請求項1乃至4記載の鋼管杭の回転装置。
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