JP2015206208A - 鋼管杭のチャック装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鋼管杭の把持・開放動作を回転駆動軸の回転操作のみで確実に行うことができる、構造が簡単で耐久性があり且つ製作コストの安い、鋼管杭のチャック装置を提供する。
【解決手段】 ねじ軸2の上端部を鋼管杭回転圧入装置の回転駆動軸に連結し、鋼管杭Pの上端に受け座4を押し当てた状態でねじ軸2を回転し、第1のナット部材3と第2のナット部材5を上下から接近させると、各チャック片6は半径方向外側に変位し、それぞれの外周面が鋼管杭Pの上端部内周面を押圧して把持する。また、ねじ軸2を逆転して、第1のナット部材3と第2のナット部材5を離間させると、各チャック片6は、弾性リング9の付勢力によって半径方向内側に変位して鋼管杭Pを開放する。
【選択図】 図10
【解決手段】 ねじ軸2の上端部を鋼管杭回転圧入装置の回転駆動軸に連結し、鋼管杭Pの上端に受け座4を押し当てた状態でねじ軸2を回転し、第1のナット部材3と第2のナット部材5を上下から接近させると、各チャック片6は半径方向外側に変位し、それぞれの外周面が鋼管杭Pの上端部内周面を押圧して把持する。また、ねじ軸2を逆転して、第1のナット部材3と第2のナット部材5を離間させると、各チャック片6は、弾性リング9の付勢力によって半径方向内側に変位して鋼管杭Pを開放する。
【選択図】 図10
Description
本発明は、鋼管杭回転圧入装置の回転駆動軸に取り付けて、当該回転駆動軸の回転力を鋼管杭に伝達するチャック装置に関する。
従来、小規模住宅等の基礎の下に設置する杭としては、一般に、小径鋼管からなる鋼管杭が用いられている。この設置作業は、鋼管杭回転圧入装置の駆動ヘッドに設けられた回転駆動軸の下端に鋼管杭の上端部を連結し、前記回転駆動軸を回転させながら駆動ヘッドを下降することで、前記鋼管杭を基礎地盤の中に圧入している。
この作業においては、回転駆動軸の回転を鋼管杭に伝達するために、上面の中心部に連結軸を突設した鋼製の円板を鋼管杭の上端面に熔接し、この連結軸を介して鋼管杭と回転駆動軸を連結している。
そのため、鋼管杭の打設後には、鋼管杭の上端から前記円板を取り外す作業が必要であるため、多数の鋼管杭を設置する場合には、この作業に多くの手間と時間を費やしてしまう問題があった。
そこで、特許文献1や特許文献2に示すような、オーガの出力軸に連結して、基礎地盤中に回転しながら圧入される鋼管杭を内側から把持するチャック装置が提案されている。特許文献1に記載されている「鋼管チャック装置」では、オーガの中空の出力軸の上方に設けたチャックシリンダで、前記出力軸の中を貫通するチャックロッドを介してその下端に設けた複数のスライドブロックを上下動するようになっている。
これらのスライドブロックは、鋼管内に差し込まれて出力軸とともに回転するケーシングの窓に装着された、複数のチャックブロックとそれぞれテーパ面で摺接しており、前記チャックシリンダでチャックロッドを引き上げることで、これらのチャックブロックが水平方向外側に押し出されて鋼管を内側から把持し、出力軸の回転が鋼管に伝達される構造になっている。
また、特許文献2に記載されている「鋼管杭チャック装置」では、オーガ等の駆動装置に取り付けられる、外形が多角面に形成された軸部とその上部に連設されたテーパ状の受面部を有するコアシャフトと、前記受面部に対応したテーパ状の押面部が上部に形成されて、前記軸部の各面に対応するように、軸部の各面に沿って配置される複数のクランプピースと、これらのクランプピースの上部が拡径方向に変位可能に各クランプピースの上部を束ねて保持する保持リングと、これらのクランプピースの下部を拡径方向に変位可能に束ねて保持するリテーナとを備えている。
この「鋼管杭チャック装置」は、鋼管杭内へ挿入して前記押面部と受面部を摺接させて各クランプピースの上部を拡径方向に傾けて鋼管杭の内面上端部分を保持し、この状態でコアシャフトを回転させると、軸部の多角面のそれぞれの角部が各クランプピースを拡径方向へ押し出し、これらのクランプピースの外面によって鋼管杭を内側から把持することができる。
前述した特許文献1に記載されている「鋼管チャック装置」は、チャックシリンダを動作させるための油圧機器や配管等が必要であり、構造が複雑になって製作コストが高くなる問題があった。
また、特許文献2に記載されている「鋼管杭チャック装置」は、コアシャフトを回転させることにより、軸部の多角面のそれぞれの角部が各クランプピースを拡径方向へ押し出して鋼管杭を把持する構造であるため、クランプピースと摺動接触するこれらの角部が早期に摩耗する可能性があるとともに、クランプピースの把持力は、主として軸部の多角面との相対回転による楔作用に依存しているため、クランプピースの把持力が不足して鋼管内面との間でスリップを生じる可能性があり、耐久性や信頼性に問題があった。
そこで、本発明は、前述したような従来技術における問題を解消し、鋼管杭の把持・開放動作を回転駆動軸の回転操作のみで確実に行うことができる、構造が簡単で耐久性があり且つ製作コストの安い、鋼管杭のチャック装置を提供することを目的とする。
前記目的のために提供される本発明の鋼管杭のチャック装置は、上端から所定長さの範囲に形成された第1のねじ部と、当該ねじ部と同一ピッチの逆ねじで下端から所定長さの範囲に形成された第2のねじ部と、前記2つのねじ部の間に設けられた案内鍔部とを有し、上端部が鋼管杭の回転圧入装置の回転駆動軸に連結されて略垂直軸線回りに回転駆動されるねじ軸と、前記ねじ軸の第1のねじ部に螺合するねじ孔が中心部に形成されているとともに、下端から上方に径が拡大するテーパ状外周面を有する第1のナット部材と、前記第1のナット部材と一体に連結され、鋼管杭の上端面に当接する受け面を有する受け座と、前記ねじ軸の第2のねじ部に螺合するねじ孔が中心部に形成されているとともに、上端から下方に径が拡大する、第1のナット部材のテーパ状外周面と同じテーパ角のテーパ状外周面を有する第2のナット部材と、前記ねじ軸の周囲に放射状に配置され、それぞれの半径方向外側の面が鋼管杭上端部内周面と当接してこれを内側から把持する把持面として機能する、横断面扇状の複数のチャック片と、これらのチャック片を結束して半径方向内側に付勢する少なくとも1つの弾性リングとを備えている。
前記それぞれのチャック片には、半径方向外側の面に前記弾性リングを収容する弾性リング収容溝が隣どうし環状に連続するように、円周方向に形成されているとともに、半径方向内側の面の長手方向中央部に、前記ねじ軸の案内鍔部がその半径方向及び円周方向に摺動可能に嵌入する溝部が形成され、前記溝部の上方には、前記第1のナット部材のテーパ状外周面に案内される第1のテーパ状受け面が形成されているとともに、当該溝部の下方には、前記第2のナット部材のテーパ状外周面に案内される第2のテーパ状受け面が形成され、第1のナット部材のテーパ状外周面と第1のテーパ状受け面の間、ならびに、第2のナット部材のテーパ状外周面と第2のテーパ状受け面の間には、それぞれキーが組み込まれてそれぞれの対向面間の相対回動変位が規制されている。
鋼管杭上端に管端受け部を押し当てた状態でねじ軸を回転させて、第1のナット部材と第2のナット部材を接近させることにより、各チャック片が半径方向外側に変位して各把持面が鋼管杭の上端部内周面を押圧して把持し、ねじ軸を逆転させて、第1のナット部材と第2のナット部材を離間させることにより、各チャック片が弾性リングの付勢力によって半径方向内側に変位して鋼管杭を開放する。
本発明の鋼管杭のチャック装置においては、第2のナット部材の下端面に、下面に鋼管杭内へ案内するためのガイド部材を有する防塵カバーが、取り外し可能に装着されていることが望ましい。
請求項1に記載された発明に係る鋼管杭のチャック装置によれば、鋼管杭回転圧入装置の回転駆動軸の回転操作によって、鋼管杭の把持動作及び開放動作が自動的に行われるため、鋼管杭の回転圧入作業の前後に、鋼管杭の上端に回転駆動軸に連結するための連結軸を取り付けたり取り外したりする作業が不要であり、作業効率を高めることができる。
また、従来より提案されている、複数の把持部材を鋼管杭の上端部内周面に押し当てて把持する形式の種々のチャック装置と比較して構造が簡単で耐久性があり、大きな把持力が得られる。
また、ねじ軸に作用するトルクの増加につれて、各チャック片の外周面が鋼管杭の内周面を押圧する力が増加して両者の間に作用する摩擦力が増加するため、回転駆動軸の回転力を鋼管杭に確実に伝達することができる。
請求項2に記載された発明に係る鋼管杭のチャック装置によれば、第2のナット部材の下端面に装着された防塵カバーによって、当該ナット部材のねじ孔内への土砂等の異物の侵入を防止することができる。また防塵カバーは取り外し可能であるため、前記ねじ孔内の清掃を容易に行うことができる。
さらに、防塵カバーの下面に設けられているガイド部材によって、チャック装置を鋼管杭の上端から挿入する際に、その中心軸線が鋼管杭の中心軸線と整合するように案内されるため、鋼管杭内へチャック装置の挿入を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のチャック装置(以下、単にチャック装置という。)を備えた鋼管杭回転圧入装置の側面図であって、本発明のチャック装置1は、鋼管杭回転圧入装置Aの駆動ヘッドBに設けられている回転駆動軸Cの下端に取り付けられて、当該回転駆動軸Cを鋼管杭Pの上端部に連結するために用いられる。
前記鋼管杭回転圧入装置Aは、作業車DのアームEに連結して支持されているガイド柱Fを有しており、駆動ヘッドBは、このガイド柱Fに沿って昇降移動可能に設けられている。また、回転駆動軸Cは、その途中に自在継手Gが組み込まれていて、前記回転駆動軸Cの回転軸線と鋼管杭Pの中心軸線の角度のずれをここで吸収できるようにしてある。
また、同図に示す鋼管杭Pは、その下端部外周にスクリューSが設けられていて、駆動ヘッドBをガイド柱Fに沿って下降させながら回転駆動軸Cを回転駆動し、前記スクリューSを地中で螺進させて鋼管杭Pを地盤表面GLから所望の深さまで打設した後は、前記スクリューSは、鋼管杭Pに上方から作用する荷重を地中に分散して、鋼管杭Pの沈降を防止する役割を果たしている。なお、鋼管杭Pが支持する荷重が小さい場合には、スクリューSは設けなくてもよい。
チャック装置1は、図2に示すように、ねじ軸2、第1のナット部材3、受け座4、第2のナット部材5、及び、ねじ軸2の周囲に放射状に配置された4つのチャック片6を主要な構成部品として備えている。
前記ねじ軸2は、図3に示すように、その上端から所定長さの範囲に、第1のねじ部2Aが形成されている。本実施形態においては、第1のねじ部2Aは左ねじになっていて、その上端部は、図4に示すように、回転駆動軸Cの下端面に左ねじで形成されているねじ穴C1に螺合し、ねじ軸2の上端付近に直径方向に形成されたピン孔2Bに、固定ピンHを通してねじ軸2を回転駆動軸Cに対して取り外し可能に固定できるようにしてある。
また、ねじ軸2には、図3に示すように、その下端から所定長さの範囲に、第1のねじ部2Aと同一ピッチで、これと逆ねじ(すなわちここでは右ねじ)の第2のねじ部2Cが形成されており、さらに、第1のねじ部2Aと第2のねじ部2Cの間には、ねじ軸2と同心状の円形の外周面を有する案内鍔部2Dが設けられている。
図2に示すように、第1のねじ部2Aには、第1のナット部材3が装着されている。本実施形態においては、前記ナット部材3は、後述する受け座4と一体に形成されており、これらの中心部には、前記第1のねじ部2Aと螺合するねじ孔n1が貫通して形成されている。
図5は、第1のナット部材3及び受け座4の斜視図であり、(A)はこれらを斜め上方から見た図、(B)は斜め下方から見た図である。同図に示すように、第1のナット部材3は、下端から上方に径が拡大するテーパ状外周面3Aを有している。
このテーパ状外周面3Aには、図2に示す各チャック片6を案内するキーk1を保持するためのキー嵌入凹部3Bが、円周方向に等間隔に4箇所、母線方向に沿って形成されている。
また、受け座4は、図2及び図5(B)に示すように、下面に前記鋼管杭Pの上端面に当接する円環状の受け面4Aを有するとともに、その外側に、当該鋼管杭Pの上端面を受け面4Aに整合するように案内するガイドフランジ4Bを有している。
図2に示すように、第2のねじ部2Cには、第2のナット部材5が装着されている。本実施形態においては、前記ナット部材5は、前記ねじ部2Cに螺合するねじ孔n2を有しており、その下端面には円板状の防塵カバー7が取り外し可能に装着されている。また、前記防塵カバー7の下面には、後述するガイド部材8が一体に設けられている。
図6は、第2のナット部材5及びこれに付属する防塵カバー7等の付属部品の斜視図であって、(A)は斜め上方から見た図、(B)は斜め下方から見た図である。同図に示すように、第2のナット部材5は、上端から下方に径が拡大する、前述した第1のナット部材3のテーパ状外周面3Aと同じテーパ角を有するテーパ状外周面5Aを有している。
このテーパ状外周面5Aには、図2に示す各チャック片6を案内するキーk2を保持するためのキー嵌入凹部5Bが、前述した第1のナット部材3と同様に、円周方向に等間隔に4箇所、母線方向に沿って形成されている。
また、第2のナット部材5の下端部には、テーパ状外周面5Aの下端より大径で、前記防塵カバー7と同じ外径を有するフランジ部5Cが設けられており、防塵カバー7はこのフランジ部5Cの下面周縁部の4箇所で、取付ボルト7Aにより取り外し可能に締結固定されるようにしてある。
また、ガイド部材8は、防塵カバー7の下面中央部で互いに直交する、2つの直角2等辺3角形を組み合わせたヒレ状をしており、鋼板を熔接して防塵カバー7と一体に製作されている。
図7は、4つのチャック片6を組み合わせた状態を示す斜視図、図8は、これらの各チャック片6の内面側の斜視図であって、これらの図に示すチャック片6は全て同一形状で、中心角が略90度の扇形の横断面を有しており、図7のように4つ組み合わせると、全体の外周輪郭が、把持する鋼管杭の内径よりもやや小さい外径を有する円筒状になるように構成されている。
図7に示すように、それぞれのチャック片6の外周面の上下2箇所には、弾性リング9を収容する弾性リング収容溝6Aが、隣どうし環状に連続するように円周方向に形成されている。
弾性リング9は扁平な矩形断面を有する、1箇所が切り離された円環状のばね材で形成されており、チャック片6の各弾性リング収容溝6内へそれぞれ2つずつ上下に並べて装着されている。
これらの弾性リング9は4つのチャック片6を結束し、外力が作用しない状態では、それぞれの円周方向の端面どうしが互いに当接しているように、これらのチャック片6を半径方向内側に付勢する役割を有している。
図8に示すように、それぞれのチャック片6の内面側の長手方向中央部には、溝部6Bが形成されている。図2に示すように、前記溝部6Bにはねじ軸2の案内鍔部2Dがその半径方向及び円周方向に摺動可能に嵌入して、ねじ軸2に対するチャック片6の軸方向の移動を規制している。
また、図8に示すように、前記溝部6Bの上方には、前述した第1のナット部材3のテーパ状外周面3Aに案内される、第1のテーパ状受け面6Cが形成されている。また、当該溝部6Bの下方には、これも前述した第2のナット部材5のテーパ状外周面5Aに案内される第2のテーパ状受け面6Dが形成されている。
前記第1のテーパ状受け面6Cと第2のテーパ状受け面6Dは、チャック片6の円周方向の端面どうしが互いに当接した状態で、第1のナット部材3のテーパ状外周面3Aと第2のナット部材5のテーパ状外周面5Aにそれぞれ適合する形状を有している。
また、第1のテーパ状受け面6Cと第2のテーパ状受け面6Dには、それぞれの母線方向に沿ってキー溝6E、6Fが形成されている。図2に示すように、これらのキー溝6E、6Fには前述したキーK1とキーK2をそれぞれ嵌入させることで、第1のナット部材3とチャック片6間、ならびに、第2のナット部材5と当該チャック片6間の相対回動変位が規制されるようにしてある。
次に、前述したように構成されているチャック装置1が鋼管杭Pを把持して回転駆動軸Cから鋼管杭Pに回転力が伝達される過程を図9及び図10に基づいて説明する。なお、図10の右半分は、チャック装置1が鋼管杭Pを把持した状態、同図の左半分は、鋼管杭Pを開放した状態をそれぞれ示している。
図9(a)は、地上に直立させた鋼管杭Pの上端開口部から回転駆動軸Cの下端部に取り付けたチャック装置1を挿入する過程を示しており、このとき、回転駆動軸Cは、回転は停止させた状態で降下させる。
また、この過程においては、各チャック片6は、円周方向に隣合う端面どうしが弾性リング9の付勢力によって当接していて、これらのチャック片6の外径が鋼管杭Pの内径よりも小さくなっているため、鋼管杭P内への挿入が可能である。
なお、本実施形態においては、 チャック装置1を鋼管杭Pに挿入する際に、その中心軸線が鋼管杭の中心軸線と整合するようにガイド部材8によって案内されるため、チャック装置の挿入を容易に行うことができる。
同図(b)は、チャック装置1が鋼管杭P内へ完全に挿入され、受け座4が鋼管杭Pの上端で支持された状態を示している。この状態は、図10の左半分に示すように、第1のナット部材3と第2のナット部材5は上下方向に離間した位置にあり、それぞれのチャック片6は、各弾性リング9の付勢力によって半径方向内側に寄った退避位置にあって、それぞれのチャック片6の外周面は、鋼管杭Pの内周面から離れている。
また、受け座4のガイドフランジ4Bは、鋼管杭Pの上端部外周に係合し、受け面4Aが鋼管杭Pの上端面に当接している。なお、受け座4は、鋼管杭P内に、上方から落下するゴミ等の侵入を防ぐカバーの役割も兼ねている。
次に、図9の(c)に示すように、回転駆動軸Cを上方から見て時計回りに回転させる。なお、この回転の向きは、図1において、この向きに鋼管杭Pを回転させたときに、鋼管杭Pの下端部に設けられているスクリューSが地盤の中を下方に向かって螺進する向きになっている。
そうすると、前述したように、ねじ軸2の第1のねじ部2Aは左ねじ、第2のねじ部2Cは右ねじに形成されているため、図10の右半分に示すように、ねじ軸2の回転に伴って第1のナット部材3は下方に移動し、また、第2のナット部材5は上方に移動する。
その結果、第1のナット部材3のテーパ状外周面3Aと第2のナット部材5のテーパ状外周面5Aが、それぞれのチャック片6の、図8に示す第1のテーパ状受け面6Cと第2のテーパ状受け面6Dの上を摺動して、これらのチャック片6を弾性リング9の付勢力に抗して半径方向外側に押し出す。こうして、各チャック片6の外周面は、鋼管杭Pの内周面に押し付けられ、鋼管杭Pが内側から把持される。
なお、第1のナット部材3と一体に設けられている受け座4の受け面4Aは、鋼管杭Pの上端面との摩擦で回転が阻止されているため、第1のナット部材3がねじ軸2に引きずられて回ってしまうことはない。
さらに、第2のナット部材5も、それぞれキーk1、k2で結合されたチャック片6を介して、第1のナット部材3と間接的に結合されているため、ねじ軸2に引きずられて回ってしまうことはない。
また、それぞれのチャック片6は、ねじ軸2が回転する際に、案内鍔部2Dに溝部6Bが案内されてねじ軸2に対して半径方向にのみ変位し軸方向の両者の位置関係が変化することはない。
鋼管杭Pがチャック装置1に把持されると、図9の(d)に示すように、回転駆動軸Cの回転力は、鋼管チャック装置1を介して鋼管杭Pに伝達されるため、鋼管杭Pは回転駆動軸Cと一体となって回転する。
こうして、鋼管杭Pを回転させながら、その下端のスクリューSのピッチに合わせて、図1に示すガイド柱Fに沿って駆動ヘッドBを下降させ、スクリューSの螺進によって鋼管杭Pを地盤の中に侵入させていく。
次いで、鋼管杭Pの下端が所望の深さまで達したら、図11(a)に示すように、回転駆動軸Cの回転を停止する。次いで同図(b)のように、回転駆動軸Cを逆転(上方から見て反時計回りに回転)すると、図10の左半分に示すように、第1のナット部材3と第2のナット部材5は、上下方向に離間するため、各チャック片6は弾性リング9の付勢力によって半径方向内側に退避して鋼管杭Pを開放する。
なお、図10の左半分においては、受け座4の受け面4Aは、鋼管杭Pの上端面に当接しているが、図11(b)の過程において、回転駆動軸Cを定位置で逆回転させると、第1のナット部材3は上方に変位するため、実際は、鋼管杭Pの上端面から離脱する。
こうして、チャック装置1が鋼管杭Pから分離したら、回転駆動軸Cを停止させた後、同図(c)のように、回転駆動軸C上昇させて、鋼管杭Pの上方へチャック装置1を抜き出し、鋼管杭Pの設置が完了する。
なお、前述した実施形態においては、ねじ軸2の周囲に4つのチャック片6を放射状に配置しているが、チャック片の数はこれに限定するものではなく、2つ以上で鋼管杭を内側から把持できるものであればよい。
また、本実施形態においては、ねじ軸2の第1のねじ部2Aを左ねじで、第2のねじ部2Cを右ねじでそれぞれ形成しているが、これに限定するものではなく、例えば、既設の鋼管杭Pを撤去する場合に用いるチャック装置は、第1のねじ部を右ねじで、第2のねじ部を左ねじでそれぞれ形成し、第1のナット部材と第2のナット部材のねじ孔をそれぞれこれらのねじ部に適合するように構成することができる。
さらに、ガイド部材8は必ずしも設けなくてもよく、例えば、これに代えて、第2のナット部材の下端の周縁部を大きく面取り加工して、チャック装置を鋼管杭の上端開口部へ挿入する際のガイド面を形成してもよい。
また、本実施形態においては、防塵カバー7は、第2のナット部材5のねじ孔n2内へ下方から土砂等の異物の侵入を防ぐために設けているが、特に必要がない場合には設けなくてもよい。
小規模住宅等の基礎杭として用いる小径の鋼管杭を設置する鋼管杭回転圧入装置の回転駆動軸に取り付けて、当該回転駆動軸の回転力を鋼管杭に伝達するチャック装置として、広く利用可能である。
1 チャック装置
2 ねじ軸
2A 第1のねじ部
2B ピン孔
2C 第2のねじ部
2D 案内鍔部
3 第1のナット部材
3A テーパ状外周面
3B キー嵌入凹部
4 受け座
4A 受け面
4B ガイドフランジ
5 第2のナット部材
5A テーパ状外周面
5B キー嵌入凹部
5C フランジ部
6 チャック片
6A 弾性リング収容溝
6B 溝部
6C 第1のテーパ状受け面
6D 第2のテーパ状受け面
6E、6F キー溝
7 防塵カバー
7A 取付ボルト
8 ガイド部材
9 弾性リング
A 鋼管杭回転圧入装置
B 駆動ヘッド
C 回転駆動軸
C1 ねじ穴
D 作業車
E アーム
F ガイド柱
G 自在継手
H 固定ピン
P 鋼管杭
S スクリュー
k1、k2 キー
n1、n2 ねじ孔
2 ねじ軸
2A 第1のねじ部
2B ピン孔
2C 第2のねじ部
2D 案内鍔部
3 第1のナット部材
3A テーパ状外周面
3B キー嵌入凹部
4 受け座
4A 受け面
4B ガイドフランジ
5 第2のナット部材
5A テーパ状外周面
5B キー嵌入凹部
5C フランジ部
6 チャック片
6A 弾性リング収容溝
6B 溝部
6C 第1のテーパ状受け面
6D 第2のテーパ状受け面
6E、6F キー溝
7 防塵カバー
7A 取付ボルト
8 ガイド部材
9 弾性リング
A 鋼管杭回転圧入装置
B 駆動ヘッド
C 回転駆動軸
C1 ねじ穴
D 作業車
E アーム
F ガイド柱
G 自在継手
H 固定ピン
P 鋼管杭
S スクリュー
k1、k2 キー
n1、n2 ねじ孔
Claims (2)
- 上端から所定長さの範囲に形成された第1のねじ部と、当該ねじ部と同一ピッチの逆ねじで下端から所定長さの範囲に形成された第2のねじ部と、前記2つのねじ部の間に設けられた案内鍔部とを有し、上端部が鋼管杭の回転圧入装置の回転駆動軸に連結されて略垂直軸線回りに回転駆動されるねじ軸と、
前記ねじ軸の第1のねじ部に螺合するねじ孔が中心部に形成されているとともに、下端から上方に径が拡大するテーパ状外周面を有する第1のナット部材と、
前記第1のナット部材と一体に連結され、鋼管杭の上端面に当接する受け面を有する受け座と、
前記ねじ軸の第2のねじ部に螺合するねじ孔が中心部に形成されているとともに、上端から下方に径が拡大する、第1のナット部材のテーパ状外周面と同じテーパ角のテーパ状外周面を有する第2のナット部材と、
前記ねじ軸の周囲に放射状に配置され、それぞれの半径方向外側の面が鋼管杭上端部内周面と当接してこれを内側から把持する把持面として機能する、横断面扇状の複数のチャック片と、
これらのチャック片を結束して半径方向内側に付勢する少なくとも1つの弾性リングとを備え、
前記それぞれのチャック片には、半径方向外側の面に前記弾性リングを収容する弾性リング収容溝が隣どうし環状に連続するように、円周方向に形成されているとともに、半径方向内側の面の長手方向中央部に、前記ねじ軸の案内鍔部がその半径方向及び円周方向に摺動可能に嵌入する溝部が形成され、前記溝部の上方には、前記第1のナット部材のテーパ状外周面に案内される第1のテーパ状受け面が形成されているとともに、当該溝部の下方には、前記第2のナット部材のテーパ状外周面に案内される第2のテーパ状受け面が形成され、第1のナット部材のテーパ状外周面と第1のテーパ状受け面の間、ならびに、第2のナット部材のテーパ状外周面と第2のテーパ状受け面の間には、それぞれキーが組み込まれてそれぞれの対向面間の相対回動変位が規制され、
鋼管杭上端に管端受け部を押し当てた状態でねじ軸を回転させて、第1のナット部材と第2のナット部材を接近させることにより、各チャック片が半径方向外側に変位して各把持面が鋼管杭の上端部内周面を押圧して把持し、ねじ軸を逆転させて、第1のナット部材と第2のナット部材を離間させることにより、各チャック片が弾性リングの付勢力によって半径方向内側に変位して鋼管杭を開放することを特徴とする鋼管杭のチャック装置。 - 第2のナット部材の下端面に、下面に鋼管杭内へ案内するためのガイド部材を有する防塵カバーが、取り外し可能に装着されていることを特徴する請求項1に記載の鋼管杭のチャック装置。
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JP2014087475A JP2015206208A (ja) | 2014-04-21 | 2014-04-21 | 鋼管杭のチャック装置 |
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2014
- 2014-04-21 JP JP2014087475A patent/JP2015206208A/ja active Pending
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