JP6296509B2 - 鋼管を回転圧入するための把持装置と、鋼管を把持する方法。 - Google Patents

鋼管を回転圧入するための把持装置と、鋼管を把持する方法。 Download PDF

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Description

本発明は鋼管を地中に回転させて圧入するための把持装置と、鋼管を把持する方法に関するものである。
従来の装置として、例えば鋼管の内周面或いは外周面に突起を溶接し、この突起に対応した溝を有した機械側治具へ係止することで回転及び圧入力を伝達させて鋼管を地中に埋設する構造が知られている。
あるいは突起を用いずに鋼管外周をクサビで締め付けて把持して回転および圧入力を伝達する構造も知られている。
特開2000−248551号公報。
前記した従来の鋼管を回転圧入するための把持装置にあっては、次のような問題点がある。
<1>鋼管の内周面或いは外周面に突起を溶接し、この突起に対応した溝を有した機械側治具へ係止することで回転及び圧入力を伝達させて鋼管を地中に埋設する構造では、予め突起を治具に合わせた位置に現場または出荷工場にて溶接しておく必要があり不経済である。
<2>また、その構造では把持装置は対象とする鋼管の直径ごとに別々のものが必要であり、やはり不経済である。
<3>鋼管と切離しを行う際には、鋼管側突起部が機械側治具の溝に引掛り、共上りを生じることがある。
<4>突起を用いずに鋼管外周をクサビで加圧して把持し、回転や圧入力を伝達する方法では、クサビを収納するためのケースが鋼管外径よりも大きなものとなり重量も増えるため、圧入作業の効率が悪く、危険でもある。
上記のような課題を解決した本発明の鋼管を回転圧入するための把持装置は、リーダーに沿って昇降するモータの下端に取り付けて鋼管を把持して回転と圧入力を伝達するための装置であって、テーパー支柱と、テーパー支柱が挿入可能な中空管である回転伝達管と、回転伝達管を挿入して一体化可能な中空管である外筒とによって構成し、回転伝達管の外周面と、外筒の内周面の間に圧入対象の鋼管の頭部を挿入し、回転伝達管のくさび窓に設置したクサビを、テーパー支柱のテーパー部で押し出して、鋼管内壁に押圧して把持する構造であり、回転伝達管の側面には、三角形の一辺を下の縁とした三角窓を開口し、鋼管ストッパを環状に突設し、テーパー支柱を横断方向に貫通したピンの両端を三角窓内に位置させて、テーパー支柱の回転をピンと三角窓を介して回転伝達管と外筒に伝達し、鋼管ストッパで鋼管の頭部を押圧することで、鋼管に回転と軸方向の圧入力を与え得るように構成したものである。
また本発明の鋼管を把持する方法は、上記の把持装置を使用し、テーパー支柱を回転、加圧して、テーパー支柱のテーパー部によってクサビを外筒の内面側に押し出して鋼管を把持し、テーパー支柱の側面から突出したピンを三角窓の側部に当てることによってテーパー支柱の回転と加圧を鋼管に伝達し、テーパー支柱を逆方向に回転し、ピンを三角窓の側部から離間させ、テーパー支柱を引き上げることによってクサビの押圧を解除して鋼管の把持を開放することを特徴としたものである。
また本発明の鋼管を把持する方法は、上記の把持装置を使用し、テーパー支柱を回転、加圧して、テーパー支柱のテーパー部によってクサビを外筒の内面側に押し出して鋼管を把持し、テーパー支柱の側面から突出したピンを三角窓の側部に当てることによってテーパー支柱の回転と加圧を鋼管に伝達し、ピンを三角窓の側部に当てた状態でテーパー支柱を引き上げることによって鋼管の把持を持続しつつ鋼管の引き上げを行うことを特徴としたものである。
本発明の鋼管を回転圧入するための把持装置と把持する方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1>圧入対象の多数の鋼管杭を1本ごとに加工する必要がないから、きわめて経済的である。
<2>テーパー支柱を共用とし、クサビなどの一部の部品を交換するだけで、外径の異なる鋼管を圧入することができ、経済的である。
<3>クサビを用いる構造であっても、従来の類似の構造のように外径が極端に大きくなることがなく、扱いが容易である。
本発明の把持装置の実施例の断面図。 テーパー支柱と回転伝達管を組み合わせた外観図。 テーパー支柱の実施例の説明図。 回転伝達管の実施例の外観図。 外筒の断面図。 把持装置で回転、圧入する状態の説明図。 把持装置の把持を開放した状態の説明図。 円環状のフランジを突設して重ねる構造の説明図。 鋼管を回転圧入する状態の説明図。
以下図面を参照にしながら本発明の鋼管を回転圧入するための把持装置と把持方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
<1>全体の構成。
本発明の把持装置1は、図9に示すようにクレーンで吊ったリーダーに沿って昇降する回転圧入装置の下端に取り付けて鋼管Aを把持して回転と圧入力を伝達するための装置である。
この把持装置1は、テーパー支柱10と、回転伝達管20と、外筒50とによって構成する。
回転伝達管20の外周面と、外筒50の内周面の間に圧入対象の鋼管Aの頭部を挿入し、回転伝達管20のクサビ装着窓24に設置したクサビ40を、テーパー支柱10のテーパー部13で押し出して、鋼管Aを把持する構造である。
なお独立した部材としては「鉛直」も「上下」もないが、以下の説明では、実際の装置が鋼管Aを鉛直方向に回転、圧入するものであることから、使用上の形態を想定して「鉛直」、「横断」、「上下」などと表現する。
<2>テーパー支柱。(図3)
公知の回転圧入装置の回転駆動、圧入駆動を、回転伝達管20に伝達するための部材である。
テーパー支柱10は、その上端には公知の回転圧入装置に取り付ける角柱状の角柱部11を備え、角柱部11の中心に鉛直方向の支柱を備えている。
この支柱の角柱部11側の軸部12は、同一の直径をもつ円柱であり、その軸部12の先端部分は、先細りのテーパー部13を形成してある。
このテーパー部13を、後述する複数のクサビ40の間に圧入することで、クサビ40を外側に押し出すことができる。
さらに軸部12には、横断方向に貫通するピン貫通穴14を形成し、その中に後述する回転伝達ピン30を挿入して、回転伝達管20に回転および上下作動を与える。
<3>回転伝達管。(図4)
回転伝達管20は、基本的には上下に貫通した中空の筒体であり、その内径は前記したテーパー支柱10の外形よりわずかに大きく形成する。
回転伝達管20の頭部の外面には、後述する外筒50の内面ネジ51に螺合して接続するネジ部21を形成する。
さらに中段には、鋼管Aの頭部を突き当てる鋼管ストッパ23を環状に突設する。
環状に突設した鋼管ストッパ23とネジ部21との間の円周溝は、外筒50から螺入する緩み止めボルト60を受け入れる緩み止めボルト溝25として構成する。
鋼管ストッパ23より下部の外径は、ネジ部21の外径よりも多少、小さく形成してあり、そこには複数個所にクサビ装着窓24を形成する。
この装着窓に、円弧状のクサビ40をセットする。
<4>クサビ。(図4)
クサビ40は外径が一定で、上部の内径より下部の内径が大きい先細りの貫通穴を開口した円筒を、鉛直線で等分に分割した形状の円弧体である。
そして円弧上のクサビ40群の中心に、前記したテーパー支柱10を押し込むと、テーパー部13による押し出し力で、クサビ40を外側に押し出すことができ、クサビ40の外面が鋼管Aの内面を加圧する。
鋼管Aの内面との接触面であるクサビ40の外周面にはチャッキング効率向上のためロレット加工やネジなどの凹凸加工を施す。
<5>三角窓。(図2,4)
回転伝達管20の上部のネジ部21には、中心軸を横断する方向に一対の三角窓22を開口する。
この三角窓22は、おむすび状に角部を曲線としたほぼ正三角形であり、底辺を下に、頂点を上に向けて配置する。
この三角窓22の空間に、後述する回転伝達ピン30を位置させることによって、テーパー支柱10の回転と上下作動を、回転伝達管20に伝達することができる。
そのために三角窓22の空間は、回転伝達ピン30の外径よりも広く開口する。
さらにこの三角窓22と回転伝達ピン30の関係については後述する。
<6>外筒。(図5)
外筒50も上下に貫通した中空の筒体である。
外筒50の上部の内面に内面ネジ51を形成してあり、この内面ネジ51を回転伝達管20のネジ部21に螺合することによって、外筒50を回転伝達管20の外周に一体化して取り付けることができる。
この外筒50は、圧入対象の鋼管Aの外周に位置して、圧入対象の鋼管Aの頭部のクサビ40の押出しによる拡がりを抑制するためのものである。
そのために、外筒50の内径は圧入対象の鋼管Aの外径よりもわずかに大きく形成する。
外筒50の内面ネジ51よりも下部には、メスネジ穴52を、中心軸を横断する方向に貫通する。
このネジ穴52に緩み止めボルト60を螺入することで回転伝達管20の緩み止めボルト溝25に入り込み、外筒50の上下移動が制限されて自由な回転を阻止できるから、回転伝達管20の外周に螺合した外筒50が、回転力を受けても緩むことがない。
また外筒50の長さは、回転伝達管20の外周に組み合わせた場合に、外筒50の下端が回転伝達管20にセットしたクサビ40の下端付近に位置する長さを有するので、クサビ40の外側への離脱を外側から防止することができ、圧入対象の鋼管Aの上端を把持することができる。
また外筒50は後述する回転伝達ピン30の位置を規制する機能を備えているが、その位置関係は後述する。
<7>回転伝達ピン。(図1、2)
駆動装置の回転力は、テーパー支柱10の貫通穴14に、水平方向に貫通した回転伝達ピン30を介して回転伝達管20に伝達する。
この回転伝達ピン30の水平方向の長さは、テーパー支柱10の軸部12の外径よりも大きく、かつ回転伝達管20の外径よりわずかに短く形成する。
そのために、テーパー支柱10を回転伝達管20の中空内部に挿入してセットし、その後、外部からテーパー支柱10の貫通穴14に回転伝達ピン30を挿入すると、回転伝達ピン30の両端は回転伝達管20の三角窓22の内部に露出することになる。
さらに回転伝達ピン30の外径は、前記した三角窓22の内空面積よりも小さく形成して、回転伝達ピン30が三角窓22の内部で上下、左右で距離を移動することができるように構成する。
<8>ばね。(図1)
回転伝達管20の内部に挿入したテーパー支柱10が下降すると、テーパー部13が下降してクサビ40を外側に押し出すことになる。
しかし常時、クサビ40が押し出されていては、回転伝達管20と外筒50の間に圧入対象の鋼管Aの頭部を挿入することができない。
そこでテーパー支柱10の上端の角柱部11の下面と、回転伝達管20の上端の間にばね70を介在させる。
するとテーパー支柱10と回転伝達管20との距離を離すことができ、テーパー部13の侵入によるクサビ40の押し出しを阻止し、鋼管Aの挿入時に、外筒50の先端が鋼管Aに当たって持ち上がってしまう弊害を、ばね70で吸収して阻止することができる。
<9>鋼管の挿入。(図6)
ばね70の弾性でテーパー支柱10には回転伝達管20から引き抜く方向の力が作用しているので、クサビ40に押し出し力は作用していない。
その状態の外筒50と回転伝達管20の間に圧入対象の鋼管Aの上端を挿入し、鋼管ストッパ23に突き当てる。
<10>鋼管の把持及び回転、圧入時の作動。(図6)
テーパー支柱10の角柱部11を、公知の駆動装置で把持して回転と、下向きの圧入力を伝達する。
すると回転伝達管20に対してテーパー支柱10が下降するから、テーパー部13がクサビ40を外側へ押し出し、鋼管Aの内壁とクサビ40の外面とで鋼管Aを強固に把持することができる。
駆動装置の回転により、テーパー支柱10を横断方向に貫通する回転伝達ピン30の両端部が、回転伝達管20に開口した三角窓22の側部を加圧する。また、駆動装置の圧入により、テーパー支柱10のテーパー部13、クサビ40、および外筒50を介して、回転伝達管20が押し下げられ、回転伝達管20の鋼管ストッパ23が鋼管Aの頭部を加圧する。
そのために回転伝達管20には回転と下向きの加圧力が伝達し、クサビ40で把持している鋼管Aに回転と下向きの力が伝わり、鋼管Aを回転しつつ地中に圧入することができる。
<11>開放時。(図7)
鋼管Aを所定の深さまで圧入したら、把持を開放する必要がある。
その場合には駆動装置を引き上げる。
するとテーパー支柱10が上昇し、テーパー部13が上昇するから、クサビ40の押し出し力が失われ、鋼管Aの把持力が失われる。
同時に、テーパー支柱10に、逆方向に回転を与えて引き上げると、ピンが回転伝達管20の三角窓22の側部に沿って移動し三角窓22の最上部に位置する。
そうすると、テーパー支柱10の引き上げ力が回転伝達管20に伝達し、回転伝達管20と一体の外筒50とともに上昇し、鋼管Aから離れて作業を終了する。
<12>三角窓の機能。
本発明の装置では上記したように、駆動装置の回転力をピンが三角窓22の側部に当たることで鋼管Aに伝達させることができ、鋼管Aの把持を開放して装置を鋼管Aから離すことができる。
ただしそれだけの用途であれば、窓を三角にせず、横長の窓によっても目的を達成できる。
しかし作業には、鋼管Aを把持したまま引き上げ・引き下げを行うという要求が発生する場合がある。
これは作業において、鋼管Aが地盤中の地中障害物に当たり鋼管A全体を引き抜く場合や、鋼管Aと地盤との摩擦を切って回転力を低減したり、圧入深さを微小に調整するためである。
その場合にはテーパー支柱10を、回転力を付与した状態のままピンを三角窓22の側部に位置させておく。(図6)
その状態では三角窓22の側部の傾斜によってピンには下向きの力が作用するのでテーパー支柱10は上昇せず、クサビ40は押し出されたままであって、鋼管Aの把持力は失われていない。
その状態で角柱部11を引き上げれば、クサビ40で把持された鋼管Aを引き上げることができ、鋼管Aの圧入深さの微調整も行うことが可能となる。
把持を開放するには、上記のようにテーパー支柱10を逆方向に回転して引き上げれば、ピンは三角窓22の頂部まで上昇できて、テーパー支柱10のテーパー部13の上昇が許容されるのでクサビ40が後退して鋼管Aの把持は開放されることとなる。(図7)
<13>鋼管の肉厚に対する対応。
予めテーパー支柱10のクサビ40当接テーパー部13を長くするか、クサビ40の厚さを調整することで同径で肉厚の異なる鋼管Aに対応することができる。
テーパー支柱10を供用とし、外筒50及び回転伝達管20及びクサビ40を変えることで異なった直径の鋼管Aに対応することもできるので経済的である。
<14>フランジ構造。(図8)
回転伝達部材及び外筒50の接続をフランジとした構成を採用することもできる。
すなわち外筒50の上端と、回転伝達管20の上端に、各々円環状にフランジ53、26を突設する。
そして回転伝達管20の外周のフランジ26を上にして2枚を重ね、両フランジ間を鉛直方向のボルト80で締結して一体化した構造である。
打撃などを加える場合には、ネジによる接続は緩む可能性があるが、フランジ間を鉛直ボルト80で締結するとそのような可能性がなくなる。
<15>三角窓のギア。
三角窓22の斜辺部と回転伝達ピン30とをギア形式にして、チャッキング時に噛み合ったところで鋼管Aを引上げられるように構成することもできる。
この場合回転伝達ピン30とテーパー支柱10とは固定しておく。
当接箇所が鋼管Aの肉厚によってほぼ同一位置となるため部分的摩耗が激しくなるという問題点も備えている。
1 把持装置
10 テーパー支柱
11 角柱部
12 軸部
13 テーパー部
14 貫通穴
20 回転伝達管
21 ネジ部
22 三角窓
23 鋼管ストッパ
24 くさび装着窓
25 緩み止めボルト溝
26 フランジ
30 回転伝達ピン
40 クサビ
50 外筒
51 内面ネジ
52 ネジ穴
53 フランジ
60 緩み止めボルト
70 ばね
80 ボルト
A 鋼管

Claims (3)

  1. リーダーに沿って昇降するモータの下端に取り付けて鋼管を把持して回転と圧入力を伝達するための装置であって、
    テーパー支柱と、
    テーパー支柱が挿入可能な中空管である回転伝達管と、
    回転伝達管を挿入して一体化可能な中空管である外筒とによって構成し、
    回転伝達管の外周面と、外筒の内周面の間に圧入対象の鋼管の頭部を挿入し、回転伝達管のくさび窓に設置したクサビを、テーパー支柱のテーパー部で押し出して、鋼管内壁に押圧して把持する構造であり、
    回転伝達管の側面には、三角形の一辺を下の縁とした三角窓を開口し、鋼管ストッパを環状に突設し、
    テーパー支柱を横断方向に貫通したピンの両端を三角窓内に位置させて、
    テーパー支柱の回転をピンと三角窓を介して回転伝達管と外筒に伝達し、鋼管ストッパで鋼管の頭部を押圧することで、鋼管に回転と軸方向の圧入力を与え得るように構成した、
    鋼管を回転圧入するための把持装置の構造。
  2. 請求項1記載の把持装置を使用し、
    テーパー支柱を回転、加圧して、
    テーパー支柱のテーパー部によってクサビを外筒の内面側に押し出して鋼管を把持し、
    テーパー支柱の側面から突出したピンを三角窓の側部に当てることによってテーパー支柱の回転と加圧を鋼管に伝達し、
    テーパー支柱を逆方向に回転し、ピンを三角窓の側部から離間させ、テーパー支柱を引き上げることによってクサビの押圧を解除して鋼管の把持を開放する、
    鋼管を把持する方法。
  3. 請求項1記載の把持装置を使用し、
    テーパー支柱を回転、加圧して、
    テーパー支柱のテーパー部によってクサビを外筒の内面側に押し出して鋼管を把持し、
    テーパー支柱の側面から突出したピンを三角窓の側部に当てることによってテーパー支柱の回転と加圧を鋼管に伝達し、
    ピンを三角窓の側部に当てた状態でテーパー支柱を引き上げることによって鋼管の把持を持続しつつ鋼管の引き上げを行う、
    鋼管を把持する方法。
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