JP2007191885A - 多軸オーガ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多軸オーガ装置において、ロッドの弾性変形や継手部のガタを押さえて、掘削精度を高め、またその施工コストを低減する。
【解決手段】多軸オーガ装置は、先端に設けられるオーガヘッドとこのオーガヘッドの上方に連結されるロッド4a〜cとを有するオーガ軸を複数並設して各オーガ軸を回転させて地盤を掘削するものである。この多軸装置の各ロッド4a〜cの周囲にこれが挿通されるケーシング5a〜cを装備する。ケーシング5a〜cの横断面の外形形状は非円形に形成されており、隣り合うケーシング5a〜cはそれらの回転軌跡(掘削半径R)の一部が重なり合うように配設されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ソイルセメント地中連続壁の造成などにおいて地盤を削孔するための多軸オーガ装置に関する。
従来、ソイルセメント地中連続壁(SMW)の造成は、アースオーガ掘削機を用いて行っている。このアースオーガ掘削機としては、例えば、図4、5に示すように、オーガ軸22a〜cを三本並設して装備する三軸式オーガ装置21を用いるものがある。このオーガ軸22a〜cは、先端に設けられるオーガヘッド23a〜cとこのオーガヘッド23a〜cの上方に連結されるロッド24a〜cとを有している。そして、各オーガ軸22a〜cを駆動装置29によって回転させて地盤を掘削しつつ固化材を注入、混練することにより地中連続壁を造成する。図5中、二点鎖線R2は掘削径を表している。
ところで、ソイルセメント地中連続壁工法は、その安価な施工費と広い適用範囲により、止水壁の有力な工法として普及が進み、施工の大深度化や止水性の更なる向上が求められている。これらのニーズに応じ、近年では掘削精度を監視しながら掘進を行うことが広く行われている(例えば、特許文献1参照。)。さらに、検出結果に応じて掘進方向を修正可能な施工装置が開発されつつある(例えば、特許文献2参照)。
特開平1−278687号公報 特開2002−266370号公報
しかし、オーガ軸は、一般的に直径200〜300mm、長さ5〜10mのロッドがその端部の継手部どうしを接続して施工上必要な長さとして構成されている。そのため、高精度の監視システムや掘進方向の修正装置を備えていても、ロッドの弾性変形や継手部のガタにより、所望の作動を継続することが困難になるという欠点があった。また、掘削先端部の近傍に修正装置を設けることによって、掘進性能を低下させるという欠点もあった。さらに、それらの装置は、その費用が高額であるとともに、メンテナンスに細心の配慮が要求されていた。
本発明の課題は、多軸オーガ装置において、ロッドの弾性変形や継手部のガタを押さえて、掘削精度を高め、またその施工コストを低減することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば図1、2に示すように、先端に設けられるオーガヘッド3a〜cとこのオーガヘッド3a〜cの上方に連結されるロッド4a〜cとを有するオーガ軸2a〜cを複数並設して各オーガ軸2a〜cを回転させて地盤を掘削する多軸オーガ装置1であって、前記各ロッド4a〜cの周囲にこれが挿通されるケーシング5a〜cを装備しており、これらケーシング5a〜cの横断面の外形形状は非円形に形成されており、隣り合うケーシング5a〜cはそれらの回転軌跡の一部が重なり合うように配設されていることを特徴とする。
このように、横断面の外形形状を非円形に形成したケーシング5a〜cを各ロッド4a〜cに挿通し、隣り合うケーシング5a〜cを回転軌跡(掘削径R)の一部が重なり合うように配設することにより、多軸オーガ装置において従来のロッドに比べ断面性能の大きなケーシング5a〜cを装備することができる。したがって、地盤を深く掘削する場合であっても、ケーシング5a〜cに生じる弾性変形は小さく、掘削孔の曲がり、ねじれの変位量を小さくすることができる。また、ケーシング5a〜cの継手部は、ロッド4a〜cの継手部よりも大型になるので、そのガタにより発生する変位角も小さくすることができる。そして、変位の小さい施工を行うことができるため、従来のような高価な監視システムや修正装置を用いることなく、多軸オーガ装置のイニシャルコスト及びランニングコストを低減することができる。
請求項2に記載の発明は、例えば図2に示すように、請求項1に記載の多軸オーガ装置1において、前記ケーシング5a〜cの横断面の外形形状は方形に形成されており、隣り合うケーシング5a〜cはそれらの回転軌跡が重なり合う位置において頂部7と辺部8とが対向するようになっていることを特徴とする。
このように、横断面の外形形状を方形に形成したケーシング5a〜cを各ロッド4a〜cに挿通し、隣り合うケーシング5a〜cを回転軌跡の一部が重なり合う位置において頂部7と辺部8とが対向させることにより、ケーシング5a〜cは単純な形状で断面性能を大きくすることができる。
請求項3に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項1に記載の多軸オーガ装置において、前記ケーシング15a〜cの横断面の外形形状は凸部17と凹部18とを有して形成されており、隣り合うケーシング15a〜cはそれらの回転軌跡が重なり合う位置において凸部17と凹部18とが対向するようになっていることを特徴とする。
このように、横断面の外形形状を凸部17と凹部18とを有して形成したケーシング15a〜cを各ロッド4a〜cに挿通し、隣り合うケーシング15a〜cを回転軌跡(掘削径R1)の一部が重なり合う位置において凸部17と凹部18とが対向させることにより、ケーシング15a〜cの外形をより大きくすることができ、断面性能をさらに向上させることができる。
本発明によれば、多軸オーガ装置において、先端に設けられたオーガヘッドの上方に連結されるロッドを挿通し、横断面の外形形状は非円形に形成されたケーシングを装備しており、隣り合うケーシングはそれらの回転軌跡の一部が重なり合うように配設されているので、従来のロッドに比べ断面性能の大きなケーシングを装備して地盤を掘削することができる。このため、長尺の施工に際して、ロッドなどの変形、継手部のガタなどによる変位を僅少に押さえ、掘削孔の曲がり、ねじれを小さくすることができる。そして、変位の小さい施工を行うことにより、従来のような高価な監視システムや修正装置は不要となり、多軸オーガ装置を用いた施工のコストを低減することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本実施の形態の多軸オーガ装置は、ソイルセメント地中連続壁の造成に用いられるアースオーガ掘削機(攪拌混練機)に備えられ、例えばクローラクレーンに支持されたリーダより昇降可能に吊支されるものである。
この多軸オーガ装置1は、図1に示すように、3本のオーガ軸2a〜cを互いに所要間隔をおいて並設して備えている。各オーガ軸2a〜cは、その先端に設けられるオーガヘッド3a〜cと、このオーガヘッド3a〜cの上方に連結されるロッド4a〜cとを有している。さらに、多軸オーガ装置1は、各ロッド4a〜cの周囲にこれが挿通されるケーシング5a〜cを装備している。そして、各オーガ軸2a〜c及び各ケーシング5a〜cは、それぞれの上端部が駆動装置9に回転駆動可能に垂下連結されている。なお、ロッド4a〜c及びケーシング5a〜cは適宜数のものを接続して構成されるものである。
オーガ軸2a〜cは、従来と同様に、中空状に形成され、掘削時にその中空部より掘削孔内に固化材等を注入できるようになっている。オーガヘッド3a〜cも、従来と同様に、互いに干渉しないように、中央のオーガ軸2bのオーガヘッド3bが、両端側のオーガ軸2a、2cのオーガヘッド3a、3cよりも高い位置にある。
ケーシング5a〜cは、鋼製などで筒状のものであり、その先端には円筒状のケーシングヘッド6a〜cが設けられている。このケーシングヘッド6a〜cで地盤をドーナツ状に切取って掘削することができるようになっている。そのドーナツ状の内部をオーガヘッド3a〜cで掘削できるようになっている。また、両端側のケーシング5a、5cの下端部は、中央のケーシングヘッド6bの回転の邪魔にならないように、径を小さくして形成されている。
そして、ケーシング5a〜cの横断面(ケーシング5a〜cの軸方向と直角方向の断面)の外形形状は、ケーシング5a〜cどうしが互いに干渉しないように、非円形に形成されている。そして、隣り合うケーシング5a〜cは、それらの回転軌跡の一部が重なり合うように配設されている。
具体的には、図2に示すように、その外形形状が、ほぼ正方形にそれぞれ4つの頂部7と辺部8を有して形成されている。そして、隣り合うケーシング5a〜cは、それらの回転軌跡が重なり合う位置において頂部7と辺部8とが対向するようになっている。なお、各頂部7は外側に向かって凸の円弧状に形成されている。図2中の2点鎖線Rは、掘削径を表している。
ここで、駆動装置9は、その内部構造については図示しないが、両端側のオーガ軸2a、2cを同じ方向に回転駆動し、中央のオーガ軸2bを逆方向に回転駆動可能になっている。ケーシング5a〜cも同様な回転駆動が可能になっている。また、それぞれ回転方向を逆転させることが可能であり、オーガ軸2a〜cとケーシング5a〜cとを逆方向に回転することも可能である。
このような構成の多軸オーガ装置1、11を用いて、各オーガ軸2a〜c及びケーシング5a〜cを回転させて、オーガヘッド3a〜c及びケーシングヘッド6a〜cで地盤を掘削しつつ、固化材を注入、混練することによりソイルセメント地中連続壁が造成される。
また、図3に示す他の実施の形態は、ケーシング15a〜cの横断面の外形形状が、それぞれ4つの凸部17と凹部18とを交互に有して回転対称に形成されている。そして、隣り合うケーシング15a〜cは、それらの回転軌跡が重なり合う位置において凸部17と凹部18とが対向するようになっている。なお、凸部17と凹部18はそれぞれ外側、内側に向かって凸の円弧状に形成されている。図3中の2点鎖線R1は、掘削径を表している。その他の構成は、図1、2の多軸オーガ装置1に同じである。
以上の実施の形態によれば、ケーシングの横断面の外形形状が非円形に形成され、このようなケーシング5a〜c、15a〜cを各ロッド4a〜cに挿通し隣り合うケーシング5a〜c、15a〜cを回転軌跡の一部が重なり合うように配設して、多軸オーガ装置1において従来のロッド4a〜c、14a〜cに比べ断面性能の大きなケーシング5a〜c、15a〜cを装備している。よって、地盤を深く掘削する場合であっても、ロッド4a〜c、14a〜cやケーシング5a〜c、15a〜cに生じる弾性変形が小さくなり、掘削孔の曲がり、ねじれの変位量を小さくすることができる。また、ケーシング5a〜c、15a〜cの継手部は、ロッド4a〜c、14a〜cの継手部よりも大型になるので、そのガタにより発生する変位角も小さくすることができる。そして、変位の小さい施工を行うことができるため、従来のような高価な監視システムや修正装置を用いることなく、多軸オーガ装置1、11のイニシャルコスト及びランニングコストを低減することができる。
ケーシングの横断面の外形形状を方形に形成して、隣り合うケーシング5a〜cを回転軌跡の一部が重なり合う位置において長部と辺部8とが対向させた場合には、ケーシング5a〜cは単純な形状で大きな断面性能を得ることができる。また、外形形状を凸部17と凹部18とを有して形成して、隣り合うケーシング15a〜cを回転軌跡の一部が重なり合う位置において凸部17と凹部18とが対向させた場合には、ケーシング5a〜cの外形をより大きくすることができ、さらに大きな断面性能を得ることができる。
また、従来、多軸式による掘削の前に、ガイドホールとして一軸式による先行削孔を行うことがあるが、掘削精度を高めたことによって先行削孔を不要とし、全体の施工コストを大きく低減することができる。
なお、以上の実施の形態においては、本発明の多軸オーガ装置をソイルセメント地中連続壁の造成に用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、基礎、地盤改良などの工法に用いても良い。また、オーガ軸及びケーシングの本数は、3本に限らず、2本又は4本以上の複数本であってもよい。さらに、ケーシングの形状は、正方形以外の三角形や五角形などの多角形であってもよく、凸部や凹部の形状、数も適宜に変更してもよい。その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本発明を適用した一実施の形態に係る多軸オーガ装置の構成を示す正面図である。 図1のA−A断面図である。 他の実施の形態に係る多軸オーガ装置における、図1のA−A位置に相当する断面図である。 従来の多軸オーガ装置の構成を示す正面図である。 図2の断面図である。
符号の説明
1、11、21 多軸オーガ装置
2a〜c、22a〜c オーガ軸
3a〜c、23a〜c オーガヘッド
4a〜c、14a〜c,24a〜c ロッド
5a〜c、15a〜c ケーシング
6a〜c ケーシングヘッド
7 頂部
8 辺部
17 凸部
18 凹部
9、29 駆動装置
R、R1、R2 掘削径

Claims (3)

  1. 先端に設けられるオーガヘッドとこのオーガヘッドの上方に連結されるロッドとを有するオーガ軸を複数並設して各オーガ軸を回転させて地盤を掘削する多軸オーガ装置であって、
    前記各ロッドの周囲にこれが挿通されるケーシングを装備しており、
    これらケーシングの横断面の外形形状は非円形に形成されており、
    隣り合うケーシングはそれらの回転軌跡の一部が重なり合うように配設されていることを特徴とする多軸オーガ装置。
  2. 前記ケーシングの横断面の外形形状は方形に形成されており、
    隣り合うケーシングはそれらの回転軌跡が重なり合う位置において頂部と辺部とが対向するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の多軸オーガ装置。
  3. 前記ケーシングの横断面の外形形状は凸部と凹部とを有して形成されており、
    隣り合うケーシングはそれらの回転軌跡が重なり合う位置において凸部と凹部とが対向するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の多軸オーガ装置。
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