JP7223908B1 - ハブシール - Google Patents

ハブシール Download PDF

Info

Publication number
JP7223908B1
JP7223908B1 JP2022148368A JP2022148368A JP7223908B1 JP 7223908 B1 JP7223908 B1 JP 7223908B1 JP 2022148368 A JP2022148368 A JP 2022148368A JP 2022148368 A JP2022148368 A JP 2022148368A JP 7223908 B1 JP7223908 B1 JP 7223908B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hub
seal
torque
lip
rotation speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022148368A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2024043272A (ja
Inventor
祐也 坂野
一貴 廣田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nok Corp
Original Assignee
Nok Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nok Corp filed Critical Nok Corp
Priority to JP2022148368A priority Critical patent/JP7223908B1/ja
Priority to JP2022207027A priority patent/JP2024043458A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7223908B1 publication Critical patent/JP7223908B1/ja
Priority to PCT/JP2023/033672 priority patent/WO2024058262A1/ja
Publication of JP2024043272A publication Critical patent/JP2024043272A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/04Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly
    • F16C19/06Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly with a single row or balls
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/14Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load
    • F16C19/18Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with two or more rows of balls
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/72Sealings
    • F16C33/76Sealings of ball or roller bearings
    • F16C33/78Sealings of ball or roller bearings with a diaphragm, disc, or ring, with or without resilient members
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J15/00Sealings
    • F16J15/16Sealings between relatively-moving surfaces
    • F16J15/32Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings
    • F16J15/3204Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings with at least one lip
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J15/00Sealings
    • F16J15/16Sealings between relatively-moving surfaces
    • F16J15/32Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings
    • F16J15/3248Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports
    • F16J15/3252Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports with rigid casings or supports
    • F16J15/3256Sealings between relatively-moving surfaces with elastic sealings, e.g. O-rings provided with casings or supports with rigid casings or supports comprising two casing or support elements, one attached to each surface, e.g. cartridge or cassette seals

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Sealing Of Bearings (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Sealing Devices (AREA)

Abstract

【課題】ハブシールのトルクの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができるハブシールを提供する。【解決手段】ハブシール1は、サイドリップ4を有し、ハブベアリング50の外輪51とハブ52との間の空間の密封を図るためのハブシールである。ハブシール1においては、所定の範囲の回転数で回転するハブベアリング50におけるハブシール1のトルクの値であるトルクTをハブベアリング50の軸の径の値である軸径Dで除した値(トルクT/軸径D)が、3N以下であり、泥水耐久摺動距離の値が、3000km以上である。【選択図】図7

Description

本発明は、ハブシールに関する。
車両、例えば自動車において、車輪を回転自在に支持するハブベアリングは、雨水、泥水及びダスト等の異物に直接曝される環境にある。このため、従来から、ハブベアリングには、軸線について相対回転可能な外輪とハブとの間に形成された空間の密封を図るために密封装置としてのハブシールが取り付けられている。このハブシールは、ハブベアリングの内部の潤滑剤の密封を図ると共に内部に異物が進入することの防止を図っている。また、このようなハブシールには、低燃費化の要求等から、ハブシールの回転に必要なトルクを低減するために、ハブシールの回転に対するシールリップの摺動抵抗(トルク抵抗)の低減が求められるようになっている。このため、従来のハブシールには、トルク抵抗の低減を図っているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
登録実用新案第3201207号公報
ハブシールのトルク抵抗の低減のために、シールリップがハブの外周面を締め付ける力(シールリップのリップ反力)を低減させる対策が考えられるが、シールリップのリップ反力の低下はシール性能を低下させるため、シールリップのリップ反力の低減には、必要とされるシール性能を維持するための限界がある。このように、従来のハブベアリングのハブシールにおいて、必要とされるシール性能を維持するには、シールリップのリップ反力の低減に限界があり、ハブシールのトルクの低減に限界があった。このため、従来のハブベアリングのハブシールに対しては、ハブシールのトルクの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができる構成が求められている。
本発明の課題は、ハブシールのトルクの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができるハブシールを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るハブシールは、サイドリップを有し、ハブベアリングの外輪とハブとの間の空間の密封を図るためのハブシールであって、所定の範囲の回転数で回転する前記ハブベアリングにおける前記ハブシールのトルクの値であるトルクTを前記ハブベアリングの軸の径の値である軸径Dで除した値(トルクT/軸径D)が、3N以下であり、泥水耐久摺動距離の値が、3000km以上であり、前記異物耐久摺動距離は、異物が密封対象物側に滲み出るまでに、前記サイドリップが摺動する距離である、ことを特徴とする。
本発明の一態様に係るハブシールにおいては、所定の範囲の回転数で前記ハブベアリングが回転する際の前記トルクTが、前記所定の範囲の回転数よりも小さい回転数で前記ハブベアリングが回転する際の前記トルクTよりも小さくなくような形状を前記サイドリップは有しており、前記小さくなった前記トルクTの大きさは、前記ハブシールの内部に侵入した異物が、前記ハブベアリングの回転によって外周側に移動する位置に基づいて設定されている
本発明の一態様に係るハブシールにおいて、前記サイドリップは、前記外輪及び前記ハブのうちの回転する方と共に回転するようになっており、また、内周側に面する面が前記密封のための接触面となるようになっている。
本発明の一態様に係るハブシールは、環状の部材であるスリーブを更に備え、前記スリーブは、前記外輪及び前記ハブのうちの回転しない方に固定され、前記サイドリップの前記接触面は、前記密封のために、前記スリーブに接触するようになっている。
本発明の一態様に係るハブシールにおいて、前記ハブシールのトルクは、前記サイドリップの反力の値であるリップ反力に基づく前記サイドリップの摺動抵抗に抗して、前記ハブシールを回転させるために必要なトルクである。
本発明の一態様に係るハブシールにおいて、前記ハブベアリングの前記軸は、前記外輪及び前記ハブのうちの回転する方が有する。
本発明に係るハブシールによれば、ハブシールのトルクの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るハブシールの軸線に沿う断面における断面図である。 図1に示すハブシールのサイドリップを拡大して示す拡大断面図である。 サイドリップの部分拡大断面図である。 ハブベアリングに取り付けられたハブシールの使用状態を示すための軸線に沿う断面におけるハブベアリングの断面図である。 図4におけるハブシールの近傍の部分拡大断面図である。 ハブシールの異物の振り切り作用を説明するための模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るハブシールにおける、トルク/軸径の値と異物耐久摺動距離の値の範囲を示すグラフを示す図である。 ハブシールのトルクとハブシールの回転数との関係、及び異物面位置とハブシールの回転数との関係を示すグラフを示す図である。 基本ハブシールの一例を示す、基本ハブシールの軸線に沿う断面における断面図である。 基本ハブシールのサイドリップを拡大して示す部分断面図である。 サイドリップの先端部の厚さとトルク性能との関係を示すグラフを示す図である。 サイドリップの根本部の厚さとトルク性能との関係を示すグラフを示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係るハブシールのトルク及び泥水耐久摺動距離を測定するための評価装置の概略構成を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るハブシールの軸線に沿う断面における断面図である。 本発明の実施の形態に係るハブシールが使用されるインホイールモータユニットの一例の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るハブシールの一例を示す図であり、本発明の第1の実施の形態に係るハブシール1の軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)における断面図である。なお、図1において、ハブシール1は、使用状態で示されている。本発明に係るハブシールは、サイドリップを有し、互いに相対回転可能な、外周側部材とこの外周側部材に少なくとも部分的に包囲された内周側部材との間の空間の密封を図るための密封装置である。本発明の第1の実施の形態に係るハブシール1は、具体的には、後述するように、自動車のハブベアリング50に用いられ、軸線について相対回転可能な外周側部材としての外輪51と内周側部材としてのハブ52との間の空間を密封するために用いられる(図4,5参照)。なお、本発明に係るハブシールの取付対象は、自動車等の車両のハブベアリングに限られず、本発明に係るハブシールは、例えば、産業機械や汎用機械等に使用されるベアリング等、車両のハブベアリングではない他のベアリング等にも適用可能である。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向の側を外側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向の側を内側とする。より具体的には、外側とは、軸線x方向において、密封対象空間である外輪51とハブ52との間の空間から離れる方向の側であり、内側とは、軸線x方向において、この密封対象空間に近づく方向の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)の側を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)の側を内周側とする。
ハブシール1は、図1に示すように、サイドリップ4を有し、後述するようにハブベアリング50の外輪51とハブ52との間の空間の密封を図るためのハブシールである(図4,5参照)。ハブシール1においては、所定の範囲の回転数で回転するハブベアリング50におけるハブシール1のトルクの値であるトルクTをハブベアリング50の軸の径の値である軸径Dで除した値(トルクT/軸径D)が、3N以下であり、泥水耐久摺動距離の値が、3000km以上である。以下、ハブシール1の構成について具体的に説明する。
ハブシール1のトルクは、サイドリップ4の反力の値であるリップ反力Fに基づくサイドリップ4の摺動抵抗に抗して、ハブシール1を回転させるために必要なトルクである。また、ハブベアリング50の軸は、外輪51及びハブ52のうちの回転する方が有する。また、サイドリップ4は、外輪51及びハブ52のうちの回転する方と共に回転するようになっており、また、内周側に面する面が密封のための接触面となるようになっている。ハブベアリング50においては、外輪51が固定側であり、ハブ52が回転側であり、ハブ52が外輪51に対して回転する。泥水耐久摺動距離は、雨水や泥水、ダスト等の異物がハブシール1を超えて密封対象空間に漏れ出るまでに、サイドリップ4がスリンガ3に対して摺動した距離である。
サイドリップ4は、所定の範囲の回転数でハブベアリング50が回転する際のトルクTが、この所定の範囲の回転数よりも小さい回転数でハブベアリング50が回転する際のトルクTよりも小さくなくような形状を有している。また、この小さくなったトルクTの大きさは、ハブシール1の内部に進入した雨水や泥水、ダスト等の異物が、ハブベアリング50の回転によって外周側に移動する位置に基づいて設定されている。上記ハブベアリング50の所定の範囲の回転数は、例えば、ハブベアリング50の実用回転数である。
ハブシール1は、具体的には例えば、図1に示すように、ハブベアリング50の回転側であるハブ52に取り付けられる第1のシール部材としてのシール本体2と、ハブベアリング50の固定側である外輪51に取り付けられる第2のシール部材としてのスリーブ3とを備えている。シール本体2及びスリーブ3は、軸線x周りに環状の部材である。シール本体2は、軸線x周りに環状のサイドリップ4を有している。なお、上述のように、図1において、シール本体2とスリーブ3とは、使用状態における相対位置で示されている。
シール本体2は、例えば図1に示すように、軸線x周りに環状の部材である補強環10と、補強環10に取り付けられ、軸線x周りに環状の弾性体から形成された弾性体部20とを備えている。弾性体部20は、サイドリップ4を有している。サイドリップ4は、後述するハブシール1がハブベアリング50に取り付けられた使用状態において、スリーブ3に外側(矢印a方向側)から接触するように形成された内側(矢印b方向側)に向かって延びるシールリップである。
補強環10は、例えば図1に示すように、軸線xを中心又は略中心とする円環状又は略円環状の金属製の部材であり、取付対象としての後述するハブベアリング50のハブ52が補強環10に圧入されて、補強環10がハブ52に嵌合されて嵌着されるように形成されている。補強環10は、例えば、内周側に位置する筒状の部分である筒部11と、筒部11の外側の端部から外周側に延びる環状の部分である円環部12とを有している。筒部11は、上述のように補強環10がハブ52に嵌着されるように、ハブ52が締まり嵌め方式で嵌め入れられるような形状となっている。また、円環部12は、径方向に平行に又は略平行に広がる円環状又は略円環状の部分を有している。補強環10には、概ね外周側及び内側から弾性体部20が取り付けられており、弾性体部20を補強している。なお、補強環10の材料は金属に限られない。
弾性体部20は、例えば図1に示すように、補強環10の円環部12の外周側の部分に取り付けられている部分である基体部21と、補強環10の円環部12の内周側の部分及び筒部11に取り付けられている部分である筒状部22とを有している。弾性体部20において、サイドリップ4は、基体部21から延びている。弾性体部20は、同一の弾性材料から一体に形成された部材であり、サイドリップ4、基体部21、及び筒状部22は、一体に形成された弾性体部20の一部である。
図2は、サイドリップ4を拡大して示す拡大断面図である。図2において、サイドリップ4は、スリーブ3に接触していない、外力が加わっていない、自然状態で示されている。サイドリップ4は、図1,2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸として環状に基体部21から内側に向かって延びており、サイドリップ4の内周側に面する面(内周面41c)が、外輪51とハブ52との間の空間の密封のための接触面4aを形成するようになっている。また、サイドリップ4は、後述するハブシール1の使用状態において、先端部41の接触面4aが所定の締め代を持ってスリーブ3の後述する接触面33に接触するように形成されている。
サイドリップ4は、図1,2に示すように、先端部41と、根元部42とを有している。根元部42は、サイドリップ4の基体部21につながる部分であり、先端部41は、サイドリップ4の根元部42よりも先端側(内側)に位置する部分である。根元部42は、軸xに平行又は略平行に延びており、例えば図2に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒状又は略円筒状の形状を有している。先端部41は、軸線xを中心軸又は略中心軸とする、軸線xに沿って内側に向かうに連れて拡径する形状を有している。
図2に示すように、先端部41の断面において、先端側の端(先端41a)の厚さは厚さT1となっており、また、根元側の端(根元端41b)の厚さは厚さT2となっている。なお、根元端41bは、先端部41の仮想の端である。先端部41は、図2に示すように、断面において、仮想線である延び方向線c1に沿って延びており、延び方向線c1に関して対称又は略対称な形状となっている。つまり、先端部41の内周側に面する面である内周面41cと、先端部41の外周側に面する面である外周面41dとは、延び方向線c1に関して対称又は略対称になっている。延び方向線c1は、例えば図2に示すように、内側に向かって外周側に傾斜するように軸線xに対して傾斜した直線である。なお、延び方向線c1は、直線でなくてもよく、曲線、直線と曲線とが組み合わされた線等であってもよい。また、内周面41cと外周面41dとは、延び方向線c1に関して部分的に対称になっていなくてもよく、また、延び方向線c1に関して対称でなくてもよい。
厚さT1,T2は、延び方向線c1に直交する方向における、内周面41cと外周面41dとの間の幅である。具体的には例えば図2に示すように、厚さT1は、内周面41cにおける先端41aである内周先端41eと、外周面41dにおける先端41aである外周先端41fとの間の、延び方向線c1に直交する方向における幅である。また、厚さT2は、外周面41dにおける根元端41bである外周根元端41hにおける延び方向線c1に直交する方向の幅である。
また、先端部41の延び方向線c1の方向における長さは、長さL1となっている。先端部41の長さL1は、具体的には例えば図2に示すように、延び方向線c1の方向における、内周先端41eと内周根元端41gとの間の長さである。なお、内周根元端41gは、内周面41cにおける根元端41bである。先端部41の長さL1は、延び方向線c1の方向における、外周先端41fと外周根元端41hとの間の長さであってもよい。
図2に示すように、根元部42の断面において、根元部42の厚さは一様な厚さ(厚さT3)となっている。根元部42の厚さは、厚さT3に略一様となっていてもよい。根元部42は、図2に示すように、断面において、仮想線である延び方向線c2に沿って延びており、延び方向線c2に関して対称又は略対称な形状となっている。つまり、根元部42の内周側に面する面である内周面42cと、根元部42の外周側に面する面である外周面42dとは、延び方向線c2に関して対称又は略対称になっている。延び方向線c2は、例えば図2に示すように、軸線xに平行又は略平行な直線である。なお、延び方向線c2は、直線でなくてもよく、曲線、直線と曲線とが組み合わされた線等であってもよい。また、内周面42cと外周面42dとは、延び方向線c2に関して部分的に対称になっていなくてもよく、また、延び方向線c2に関して対称でなくてもよい。また、延び方向線c2は、軸線xに対して傾斜していてもよい。
厚さT3は、延び方向線c2に直交する方向における、内周面42cと外周面42dとの間の幅である。具体的には例えば図2に示すように、厚さT3は、内周面42c又は外周面42d上の任意の点と、この点に延び方向線c2に直交する方向において対向する外周面42d又は内周面42c上の点との間の幅である。厚さT3は、内周面42cにおける基体部21側の端(根元端42b)である内周根元端42gと、外周面42dにおける根元端42bである外周根元端42hとの間の、延び方向線c2に直交する方向における幅であってもよく、厚さT3は、内周面42cにおける先端部41側の端(先端42a)である内周先端42eと、外周面42dにおける先端42aである外周先端42fとの間の、延び方向線c2に直交する方向における幅であってもよい。なお、先端42a及び根元端42bは、根元部42の仮想の端である。
また、根元部42の延び方向線c2の方向における長さが長さL2となっている。根元部42の長さL2は、具体的には例えば図2に示すように、延び方向線c2の方向における、内周先端42eと内周根元端42gとの間の長さである。根元部42の長さL2は、延び方向線c2の方向における、外周先端42fと外周根元端42hとの間の長さであってもよい。
先端部41と根元部42との間には、図3に示すように、先端部41と根元部42とが滑らかにつながるように移行部43が形成されていてもよく、また、根元部42と基体部21との間には、図3に示すように、根元部42と基体部21とが滑らかにつながるように移行部44が形成されていてもよい。移行部43は、具体的には図3に示すように、先端部41の内周面41cと根元部42の内周面42cとをつなぐ面である内周移行面43a、及び先端部41の外周面41dと根元部42の外周面42dとをつなぐ面である外周移行面43bである。内周移行面43aは、例えば図3に示すように、断面において、内周側に突出する曲線を描くような形状となっている。外周移行面43bは、例えば図3に示すように、断面において、内周側に凹む曲線を描くような形状となっている。
移行部44は、具体的には図3に示すように、根元部42の内周面42cと基体部21の内側面21aをつなぐ面である内周移行面44a、及び根元部42の外周面42dと基体部21の内側面21aをつなぐ面である外周移行面44bである。内周移行面44aは、例えば図3に示すように、断面において、外周側に凹む曲線を描くような形状となっている。外周移行面44bは、例えば図3に示すように、断面において、内周側に凹む曲線を描くような形状となっている。
この場合、先端部41の根本端41b及び根本部42の先端42aは、断面において、例えば図3に示すように、先端部41の内周面41cの仮想延長線と根元部42の内周面42cの仮想延長線との仮想交点vp1と、先端部41の外周面41dの仮想延長線と根元部42の外周面42dの仮想延長線との仮想交点vp2とを通る。
図2に示すように、先端部41において、例えば、厚さT1は厚さT2よりも大きくなっており、先端部41は、延び方向線c1に沿って根元端41bから先端41aに向かうに連れて、先端部41の厚さが厚くなるような形状になっている。なお、先端部41の厚さは、断面において、延び方向線c1に直交する方向における内周面41cと外周面41dとの間の幅である。また、延び方向線c1と延び方向線c2との間の角度(曲がり角θ)は、図2に示すように、90°よりも大きく180°よりも小さい角度(90°<θ<180°)となっている。
また、図2に示すように、根元部42において、例えば、厚さT3は、長さL2に亘って一様になっている。また、根元部42の厚さT3は、例えば、先端部41の根元端41bの厚さT2よりも小さくなっている。なお、根元部42の厚さT3は、先端部41の根元端41bの厚さT2よりも大きくなっていてもよい。
サイドリップ4は上述の形状を有しており、後述する使用状態において、先端部41の内周面41cの先端41a側の部分がスリーブ3の接触面33に所定の大きさの締め代(接触面4a)で接触して所定の大きさの反力(リップ反力)を生じる。シールリップの締め代は、外力によって変形していない自由状態のシールリップが、使用状態においてシールリップが接触する接触面よりも突き出る長さである。具体的には、サイドリップ4の締め代は、図2に仮想線Vで示す接触面であるスリーブ3の接触面33よりも突出するサイドリップ4の先端部41の内周面41cの部分の軸線x方向の長さである。
弾性体部20は、補強環10に一体的に取り付けられており、上述のサイドリップ4及び基体部21は、同一材料から一体に形成された弾性体部20の各部分であり、一体的に連続している。
スリーブ3は、例えば図1に示すように、軸線xを中心又は略中心とする円環状又は略円環状の金属製の部材であり、取付対象としての後述するハブベアリング50の外輪51に圧入されて、外輪51に嵌合されて嵌着されるように形成されている。スリーブ3は、例えば、外周側に位置する筒状の部分である筒部31と、筒部31の内側の端部から内周側に延びる円環状又は略円環状の部分である円環部32とを有している。筒部31は、上述のようにスリーブ3が外輪51に嵌着されるように、外輪51に締まり嵌め方式で嵌め入れられるような形状となっている。また、円環部32は、径方向に平行に又は略平行に広がる円環状又は略円環状の部分を有している。円環部32には、後述する使用状態において、サイドリップ4が接触する面である接触面33が形成されている。接触面33は、円環部32において外側に面する面であり、軸線xに直交又は略直交する平面に平行又は略平行に広がる軸線x周りに環状の平面又は略平面である。なお、スリーブ3の材料は金属に限られない。
上述したように、ハブシール1のトルクT/軸径D(以下、単位トルクともいう。)の値は、3N以下であり、また、ハブシール1の泥水耐久摺動距離の値は、3000km以上である。具体的には例えば、ハブシール1は、取付対象のハブベアリング50の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下の値となるようになっており、また、取付対象のハブベアリング50の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離が3000km以上となるようになっている。ハブシール1においては、上述のように単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるようなサイドリップ4の形態となっており、また、泥水耐久摺動距離が3000km以上となるよう上流空間Sの形態となっている。なお、上流空間Sは、後述するように、ハブシール1におけるサイドリップ4よりも密封空間S1から離れる側の空間である(図5参照)。このようなサイドリップ4の形態及び上流空間Sの形態については後述する。
また、軸径Dは、上述のように、ハブベアリング50の軸の径であり、例えば、ハブベアリング50の回転側のハブ52の径である。より具体的には、軸径Dは、例えば、シール本体2が取り付けられる後述するハブ52の内輪54の端部54aの外周面54bの径である。軸径Dは、ハブベアリング50の他の部分の径であってもよく、例えば、ハブベアリング50の大きさの規格に関わる径である。また、軸径Dは、ハブシール1のいずれかの部分の径に対応する径であってもよい。
次いで、上述のハブシール1の使用状態について説明する。図4は、ハブベアリング50に取り付けられたハブシール1の使用状態を示すための軸線xに沿う断面におけるハブベアリング50の断面図であり、図5は、図4におけるハブシール1の近傍の部分拡大断面図である。なお、図示の例においては、ハブシール1の軸線xにハブベアリング50の軸線が一致しており、ハブベアリング50は、ハブシール1と共通の軸線xを有している。
図4に示すように、ハブベアリング50は従来公知のハブベアリングであり、内輪回転型のハブベアリングであり、自動車等の車両等に設けられ、アクスル又は懸架装置において車輪を回転自在に支持する。ハブベアリング50は、具体的には、図4に示すように、外周側部材としての軸線xを中心軸又は略中心軸とする環状の外輪51と、外輪51に対して相対回転可能であり外輪51に部分的に包囲された軸線xを中心軸又は略中心軸とする内周側部材としてのハブ52と、外輪51とハブ52との間に2列に配設された複数のベアリングボール53とを備えている。車両等に取り付けられたハブベアリング50の使用状態において、外輪51は例えば車両の懸架装置に固定され、ハブ52が外輪51に対して相対回動可能になる。ハブ52は、具体的には、内輪54とハブ輪55とを有しており、ハブ輪55は、軸線xに沿って延びる略円筒状の軸部55aと、車輪取付フランジ55bとを有している。車輪取付フランジ55bは、軸部55aの外側の一端から外周側に向かって円環状に広がる部分であり、図示しない車輪が複数本のハブボルト59によって取り付けられる部分である。内輪54は、外輪51とハブ52との間の空間内にベアリングボール53を保持するために、ハブ輪55の軸部55aの内側の端部に嵌合されている。外輪51とハブ52との間の空間である密封空間S1内において、ベアリングボール53は保持器56によって保持されている。
外輪51は、軸線x方向に延びる貫通孔57を有しており、この貫通孔57には、ハブ52のハブ輪55の軸部55aが挿入されており、軸部55aと貫通孔57との間に軸線xに沿って延びる環状の密封空間S1が形成されている。また、密封空間S1内には、潤滑剤が塗布又は注入されている。軸部55aと貫通孔57との間の空間が内側において開放された開口を形成するハブベアリング50の内側開口部50aには、ハブシール1が取り付けられ、軸部55aと貫通孔57との間の空間が外側において開放された開口を形成するハブベアリング50の外側開口部50bには、他の密封装置58が取り付けられている。ハブシール1及び密封装置58によって、軸部55a及び内輪54と貫通孔57との間の空間の密封が図られており、この密封空間S1内の潤滑剤が外部に漏れ出ることの防止が図られており、外部から雨水や泥水、ダスト等の異物が内部に進入することの防止が図られている。密封装置58は、従来公知の密封装置であり、詳細な説明は省略する。なお、密封装置58として、ハブシール1を適用することもできる。ハブシール1が適用されるハブベアリングの構成は、上述のハブベアリング50の構成に限られない。
図4,5に示すように、具体的には、外輪51の内側の円筒状の端部51aに、ハブシール1のスリーブ3が取り付けられ、また、ハブ52の内輪54の内側の円筒状の端部54aに、ハブシール1のシール本体2の補強環10が取り付けられ、ハブシール1はハブベアリング50に取り付けられる。具体的には、スリーブ3は、筒部31が外輪51の内側開口部50a内に圧入されて嵌着されることにより、外輪51に固定されている。また、シール本体2は、補強環10の筒部11内に内輪54の端部54aが圧入されて、補強環10が内輪54に嵌着されることにより、内輪54に固定されている。
使用状態において、シール本体2とスリーブ3とは軸線x方向における間隔が所定の間隔となるように位置決めされ、サイドリップ4の先端部41の内周面41cの先端側の部分が、上述の所定の締め代に対応する部分(接触面4a)においてスリーブ3の接触面33に摺動可能に接触している。このサイドリップ4によって、密封空間S1内への異物の進入の防止が図られており、また、密封空間S1内からの潤滑剤の流出の防止が図られている。なお、ハブシール1において、サイドリップ4の内周面41cにグリースが塗布されていてもよく、これにより、使用状態において、サイドリップ4の接触面4aとスリーブ3の円環部32の接触面33との間にグリース(不図示)が介在していてもよい。
上述のように、使用状態において、サイドリップ4は接触面4aにおいて、所定の締め代でスリーブ3の接触面33に接触しており、サイドリップ4には、この接触に基づく反力(リップ反力F)が発生している。サイドリップ4のリップ反力Fは、図5に示すように、ハブシール1の使用状態において、サイドリップ4がスリーブ3の円環部32の接触面33に加える軸線x方向の力である。サイドリップ4のリップ反力Fは、ハブシール1の回転のトルク抵抗となる。つまり、ハブシール1のトルクTは、サイドリップ4のリップ反力Fに対応する値である。サイドリップ4のリップ反力Fを決めるサイドリップ4の要素には、一例として、図2に示す、サイドリップ4の先端部41の長さL1、サイドリップ4の先端部41の厚さT1,T2、サイドリップ4の根元部42の厚さT3、サイドリップ4の曲がり角度θ、及びサイドリップ4の先端部41の内周面41cの表面粗さがある。
サイドリップ4のリップ反力Fは、ハブ52の回転数に応じて変化する。これは、ハブ52の回転時に、ハブ52と共に軸線x周りに回転するシール本体2のサイドリップ4に加わる遠心力によって、サイドリップ4をスリーブ3の接触面33から離す方向の力が生じるからである。サイドリップ4に加わる遠心力は、ハブ52(シール本体2)の回転数が高くなるに連れて大きくなり、これに伴いサイドリップ4をスリーブ3の接触面33から離す方向の力も大きくなり、これによりサイドリップ4のリップ反力Fはハブ52の回転数が高くなるに連れて小さくなる。ハブ52の回転数が所定の回転数より高くなると、サイドリップ4をスリーブ3の接触面33から離す方向の力は、サイドリップ4をスリーブ3の接触面33から完全に離す大きさになり、サイドリップ4は、スリーブ3の接触面33から離れる。
このハブ52の回転数に応じたサイドリップ4のリップ反力Fの変化に対応して、ハブシール1のトルクTもハブ52の回転数に応じて変化する。具体的には例えば、ハブシール1のトルクTは、ハブ52の回転数が0から上昇していくと、これに対応して上昇していく。そして、ハブ52の回転数がサイドリップ4のリップ反力Fを低減させる回転数になると、ハブ52の回転数の上昇に伴うトルクTの上昇率は低下する。ハブ52の回転数が更に上昇すると、ハブシール1のトルクTは減少に転じ、以降、ハブシール1のトルクTは、ハブ52の回転数の上昇に伴って低下する。このように、ハブ52の回転数がサイドリップ4のリップ反力Fを低減させる回転数の範囲において、ハブ52の回転数がある回転数に達すると、ハブシール1のトルクTは、ハブ52の回転数の上昇に伴って低下する。
一方、ハブ52の回転によって発生する遠心力によって、ハブシール1内には振り切り作用が発生する。振り切り作用とは、図6に示すように、ハブシール1内に進入した異物、特に液状の異物をサイドリップ4側から外周側に移動させる作用である。振り切り作用によって、外周側に押し遣られた異物が位置する位置である異物面位置は、ハブ52(シール本体2)の回転数に応じて変化する。異物に対する振り切り作用は、所定の回転数より高い回転数でハブ52が回転する際に生じ、また、この所定の回転数よりも高い回転数の領域において、ハブ52の回転数が高くなるに連れて、振り切り作用の程度は強くなり、異物面位置はより外周側になり、つまり、軸線xから径方向にサイドリップ4からより離れた位置となる。図6に示すように、異物面位置は、ハブ52の回転数が所定の回転数までは径方向においてシール面Aの位置に位置し、所定の回転数より高い回転数でハブ52(シール本体2)が回転すると、異物面位置は径方向において外周側に移動する。なお、シール面Aは、サイドリップ4の接触面4aとスリーブ3の接触面33とである(図5参照)。
振り切り作用の程度は、ハブシール1におけるサイドリップ4よりも密封空間S1から離れる側の空間(上流空間S)の形態によって異なる。上流空間Sは、図5において網掛けで示す部分であり、サイドリップ4よりも上流側において、シール本体2とスリーブ3との間に形成される空間である。
ハブシール1においては、ハブベアリング50の実用回転数において、遠心力の作用によってハブ52の回転数に応じて変化するハブ52のトルクTと、遠心力の作用によってハブ52の回転数に応じて変化する異物面位置との関係から、図7に示すように、ハブ52の実用回転数におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値は3N以下に、ハブ52の実用回転数における泥水耐久摺動距離の値は3000km以上になっている。サイドリップのリップ反力はハブシールの回転のトルク抵抗となり、ハブシールのトルクに影響する。このため、ハブシール1においては、具体的には、サイドリップ4は、ハブ52の実用回転数におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるように調整された形態を有している。また、、ハブシール1においては、具体的には、上流空間Sは、ハブ52の実用回転数における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上になるように調整された形態を有している。
ハブシール1において、サイドリップ4の形状は、ハブシール1のトルクTとハブ52(シール本体2)の回転数との関係が、例えば図8のグラフが示すような関係となるような形状になっている。また、ハブシール1において、上流空間Sの形状は、異物面位置とハブ52(シール本体2)の回転数との関係が、例えば図8のグラフが示すような関係となるような形状になっている。なお、図8において、異物面位置は、径方向におけるシール面A(図5参照)からの距離によって示されている。また、ハブベアリング50の実用回転数は、例えば1000rpm以上である。
図8に示すように、ハブシール1は、ハブベアリング50の実用回転数において、振り切り作用によって異物面位置を外周側に十分に押し遣ることができる。これにより、ハブベアリング50の実用回転数において、異物面位置は高く、シール面Aの近傍に異物が存在しなくなる、又はシール面Aの近傍に存在する異物が僅かとなる。このため、図8に示すように、ハブベアリング50の実用回転数において、遠心力の作用によってリップ反力Fが低くなるようなサイドリップ4とすることができ、ハブシール1のトルクTを略1N・cm以下に低減することができる。また、図8に示すように、ハブベアリング50の実用回転数において、遠心力の作用によって異物面位置を軸線xから径方向外側に略15cmの位置に押し遣ることができ、シール面Aの近傍に異物が存在しなくなる、又はシール面Aの近傍に存在する異物が僅かとなる。このため、サイドリップ4のリップ反力Fが異物面位置がシール面Aの近傍に存在している場合に異物の進入を許す程に低くなっても、異物がサイドリップ4を超えて密封空間S1側に進入することはなく、ハブシール1のシール性能が所望のシール性能よりも低くなることはない。
このため、ハブシール1においては、図7に示すように、ハブ52の実用回転数におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値を3N以下に低減しても、ハブ52の実用回転数における泥水耐久摺動距離の値を3000km以上にすることができる。このように、ハブシール1は、必要とされるシール性能を維持しつつ、サイドリップ4のリップ反力Fを、必要とされるシール性能を維持するための従来のハブシールのサイドリップのリップ反力の下限値よりも低減することができる。
一方、実用回転数より低い回転数でハブベアリング50が回転している際は、振り切り作用の程度が低下し、異物面位置はシール面Aの位置に近づき又はシール面Aに位置し、異物面位置は低く、シール面Aの近傍に異物が存在する状況となる。一方、図8に示すように、実用回転数より低い回転数でハブベアリング50が回転している際は、十分なシール性能を保持できるように、実用回転数におけるリップ反力Fよりもリップ反力Fが高くなっている。このため、振り切り作用の程度が低く、異物面位置が低くなるハブベアリング50の回転領域でも、異物がサイドリップ4を超えて密封空間S1側に進入することはなく、ハブシール1のシール性能が所望のシール性能よりも低くなることはない。
サイドリップのリップ反力はハブシールの回転のトルク抵抗となり、ハブシールのトルク性能に影響する。したがって、サイドリップのリップ反力に影響するサイドリップの形状等の形態要素は、ハブシールのトルク性能に影響するサイドリップの形態要素となる。なお、ハブシールのトルク性能は、ハブシールの回転数と、各回転数のハブシールの回転に必要なトルクとの関係である。また、サイドリップ4に加わる遠心力の大きさは、サイドリップ4の形態が影響する。このため、ハブシール1においては、具体的には例えば、実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるように、サイドリップ4のリップ反力Fが設定されており、この設定されたリップ反力Fとなるようにサイドリップ4の形態要素が調整されている。
設定されるリップ反力Fは、例えば、ハブベアリング50の静止時におけるリップ反力Fである。形態要素が調整されたサイドリップ4のリップ反力Fは、例えば、コンピュータ解析によって算出することができる。このため、形態要素が調整されたサイドリップ4が所望のリップ反力Fを有しているか否かは、コンピュータ解析によって確認することができる。形態要素が調整されたサイドリップ4が所望のリップ反力Fを有しているか否かは、ハブベアリング50にハブシール1を取り付けて、サイドリップ4のリップ反力Fを測定することにより確認することもできる。
実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるようにするための、サイドリップ4の形態要素の調整は、例えば、ハブ52(シール本体2)の回転数毎のサイドリップ4のリップ反力F又はハブシール1のトルクTを、コンピュータ解析によって算出し、算出された値を確認しながら行うこともできる。なお、コンピュータ解析によって算出された回転数毎のリップ反力Fから、回転数毎のハブシール1のトルクを算出又は推定することもできる。
サイドリップ4の形態要素の調整は、例えば、図9,10に示す基本ハブシール5のサイドリップ6の形態要素を調整して行われる。図9は、基本ハブシール5の一例を示す、基本ハブシール5の軸線xに沿う断面における断面図であり、図10は、基本ハブシール5のサイドリップ6を拡大して示す部分断面図である。図9には、軸線xに対する一方の断面のみが示されている。また、図9には、シール本体2とスリーブ3が、使用状態の相対位置で示されている。基本ハブシール5は、上述のハブシール1に対して、サイドリップの形状のみが異なり、図9,10に示すように、先端部41の厚さが長さL1に亘って一様なサイドリップ6を有している。基本ハブシール5の補強環10及びスリーブ3の大きさや形状は、取付対象のハブベアリング50のハブシールが取り付けられるスペースに対応した大きさや形状になっている。
サイドリップ6の形態要素の調整によるリップ反力F又はトルクTの調整の一例を説明する。図11は、サイドリップ6の先端部41の調整される厚さT1とトルクTとの関係を示すグラフを示す図である。図11に示すように、サイドリップ6の先端部41の厚さT1が大きい値に調整されるほど、高回転数領域の基本ハブシール5のトルクは低下する。つまり、形態調整されたサイドリップ6の先端部41の厚さT1の値が大きいほど、サイドリップ6の先端部41に作用する遠心力が大きくなり、サイドリップ6の先端部41の先端41aをスリーブ3の接触面33から離そうとするようになる。
図12は、サイドリップ6の根本部42の調整される厚さT3とトルクTとの関係を示すグラフを示す図である。図12に示すように、サイドリップ6の根元部42の厚さT3が大きい値に調整されるほど、高回転数領域のトルクTは上昇する。つまり、形態調整されたサイドリップ6の根本部42の厚さT3の値が大きいほど、サイドリップ6は湾曲し難くなり、サイドリップ6の先端部41に遠心力が作用しても、サイドリップ6の先端部41の先端41aがスリーブ3の接触面33から離れにくくなる。
また、サイドリップ6の根本部42の長さL2が大きい値に調整されるほど、高回転数領域のトルクTは低下する。但し、先端部41の厚さT1が根本部42の厚さT3よりも十分に大きい場合である。つまり、厚さの小さいサイドリップ6の根本部42の長さL2の値が大きい値に調整されるほど、サイドリップ6の先端部41に遠心力が作用した際にサイドリップ6は撓みやすく、サイドリップ6の先端部41の先端41aがスリーブ3の接触面33から離れ易くなる。
上述のようなサイドリップ6の形態要素とトルクTとの関係から、サイドリップ6の形態要素を調整して、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるようなサイドリップ1の形状を特定する。ハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値は、ハブ52の実用回転数の範囲において3N以下の範囲の一部の範囲に亘るものであってもよい。
また、上述したように、ハブ52の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上になるようにするための、ハブシール1の上流空間Sの形態要素の調整がなされている。例えば、ハブ52の実用回転数の範囲において、異物面位置が径方向において外周側にシール面Aから所望の距離を離れた位置に位置するように、ハブシール1の上流空間Sの形状等の形態要素の調整がなされている。ハブシール1の上流空間Sの形態要素の調整は、例えば、ハブシール1又はハブシール6の異物振り切り性能を確認しながら行う。
異物振り切り性能の確認は、ハブベアリング50にハブシール1又はハブシール6を取り付け、このハブベアリング50を回転(外輪51とハブ52との相対回転)させて、各回転数での異物面位置を確認することによって行うことができる。また、異物振り切り性能の確認は、ハブベアリング50に模した治具にハブシール1又はハブシール6を取り付けて行ってもよい。また、異物面位置とハブシール1,6の回転数又はハブ52の回転数との関係を数式化し、この数式からハブシール1,6の異物振り切り性能を算出することによって異物振り切り性能の確認を行ってもよい。また、異物振り切り性能の確認は、コンピュータ解析で行ってもよく、上述の方法とは異なる方法で行ってもよい。
上述のように、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるように、サイドリップ6の形態要素が調整され、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるサイドリップ4が作られる。ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるように、サイドリップ4は、例えば図2のような形状を有する。
また、上述のように、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であっても、ハブ52の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上となり、ハブシール1が必要とされるシール性能を有するように、ハブシール1の上流空間Sの形態要素が調整され、ハブシール1の異物振り切り性能が調整される。この調整により、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であっても、ハブ52の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上となる異物振り切り性能を有する上流空間Sが作られる。ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であっても、ハブ52の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上となる異物振り切り性能を有する上流空間Sは、例えば図5に示すような形状を有する。
上述のように、ハブシール1は、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であり、トルクTは低い。また、ハブシール1は、ハブ52の実用回転数の範囲におけるハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であっても、ハブ52の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上となる異物振り切り性能を有している。
泥水耐久摺動距離は、例えば図13に示す評価装置E10を用いて行うことができる。評価装置E10は、軸線周りに回転可能な回転軸E11を有しており、回転軸E11の先端には、ハブ疑似体E12が取り付けられている。ハブ疑似体E12は、図4,5に示すハブシール1の使用状態において、シール本体2の補強環10が圧入される内輪54の端部54aの外周面54bと同じ形状の面E13を有している。また、評価装置E10は、外輪疑似体E14を有しており、外輪疑似体14は、図4に示すハブシール1の使用状態においてスリーブ3が圧入される、外輪51の端部51aと同じ形状の部分である固定部E15を有している。この外輪疑似体E14とハブ疑似体E12との間にハブシール1が取り付けられる。具体的には、外輪疑似体E14の固定部E15にスリーブ3が圧入され、また、ハブ疑似体E12の面E13にシール本体2の補強環10が圧入され、サイドリップ4の接触面4aが所定の締め代でスリーブ3の円環部33の接触面33に接触する。この時、図4,5に示すハブシール1の使用状態と同様に、サイドリップ4の接触面4aはスリーブ3の円環部33の接触面33に接触する。これにより、評価装置E10の内部が密閉される。評価装置E10において外輪疑似体E14及びハブ疑似体E12の外部には、泥水を貯める密閉空間を形成する密閉ヘッドE16が形成されており、密閉ヘッドE16内には泥水が封入されている。また、外輪疑似体E14の内周面には、ハブシール1近傍の位置に、漏水センサE17が取り付けられている。漏水センサE17は、泥水がハブシール1を超えて内部側に漏れ出た場合、この漏れ出た泥水を検知する。なお、ハブシール1を超えて漏れ出た泥水は、外輪疑似体E14の内周面の下側の部分上であって、ハブシール1の近傍の位置に溜まる。また、回転軸E11のトルクをトルク計測器E18を用いて検出する。例えば、トルク計測器E18は所定の周期で回転軸E11のトルクを検出する。
評価装置E10においては、サイドリップ4の接触面4aがスリンガ3の接触面33に対して摺動した距離が測定可能になっている。例えば、ハブ疑似体E12が1回転した際のサイドリップ4の接触面4aの摺動距離は、接触面4aの周長となる。泥水耐久摺動距離は、泥水がハブシール1を超えて内部側に漏れ出るまでに、サイドリップ4の接触面4aがスリンガ3の接触面33に対して摺動した距離である。つまり、評価装置E10において、泥水耐久摺動距離の計測開始後、漏水センサE17が泥水の漏れを検知するまでに、サイドリップ4の接触面4aがスリンガ3の接触面33に対して摺動した距離が泥水耐久摺動距離となる。評価装置E10において、ハブ52の実用回転数の範囲で回転軸E11を回転させた際に、トルク計測器E18が検出するハブシール1のトルクTは、ハブシール1の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となる値である。また、評価装置E10において、ハブ52の実用回転数の範囲で回転軸E11を回転させた際に、ハブシール1の泥水耐久摺動距離は3000km以上となる。
このように、ハブシール1は、サイドリップ4のリップ反力Fの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができる。このため、ハブシール1は、ハブシール1のトルクの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができる。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係るハブシール7について説明する。図14は、本発明の第2の実施の形態に係るハブシール7の軸線xに沿う断面における断面図である。なお、図14には、ハブシール7の断面の軸線xに対する一方が示されている。また、図14において、ハブシール14は、使用状態で示されている。本発明に係るハブシールは、上述のハブシール1のような内輪回転型のハブベアリングに適用されるものに限られず、外輪回転型のハブベアリングに適用されるものも含む。ハブシール7は、外輪回転型のハブベアリングに適用されるものである。以下、ハブシール7について、上述のハブシール1と同じ又は同様の機能を有する構成については、ハブシール1における符号と同じ符号を付してその説明を省略し、ハブシール1とは異なる構成について説明する。
図14に示すように、ハブシール7は、ハブシール1と同様にサイドリップ4を有している。また、ハブシール7においては、所定の範囲の回転数で回転するハブベアリングにおける単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であり、泥水耐久摺動距離の値が3000km以上である。
ハブシール7は、具体的には例えば、図14に示すように、ハブベアリング(不図示)の回転側の外輪(不図示)に取り付けられる第1のシール部材としてのシール本体8と、ハブベアリングの固定側の内輪(不図示)に取り付けられる第2のシール部材としてのスリーブ9とを備えている。シール本体8及びスリーブ9は、軸線x周りに環状の部材であり、シール本体8は、軸線x周りに環状のサイドリップ4を有している。シール本体8は、上述のシール本体2とは異なり、外周側に固定され、スリーブ9は、上述のスリーブ3とは異なり内周側に固定される。
スリーブ9は、スリーブ3と同様の断面形状を有しており、スリーブ3の筒部31に対応する筒部34と、スリーブ3の円環部32に対応する円環部35とを有している。筒部34は、スリーブ9が内輪に嵌着されるように、内輪に締まり嵌め方式で嵌め入れられるような形状となっている。円環部35は、ハブシール7の使用状態において、サイドリップ4が接触する面である接触面36が形成されている。接触面36は、円環部35において内側に面する面であり、軸線xに直交又は略直交する平面に平行又は略平行に広がる軸線x周りに環状の平面又は略平面である。
シール本体8は、シール本体2の補強環10に対応する補強環13と、シール本体2の弾性体部20に対応する弾性体部23とを有してる。補強環13は、補強環10と同様の断面形状を有しており、補強環10の筒部11に対応する筒部14と、補強環10の円環部12に対応する円環部15とを有している。筒部14は、補強環13が外輪に嵌着されるように、外輪が締まり嵌め方式で嵌め入れられるような形状となっている。
弾性体部23は、シール本体2の弾性体部20の基体部21及び筒状部22に夫々対応する部分である、基体部24及び筒状部25を有している。基体部24は、補強環13の円環部15の内周側の部分に取り付けられている部分であり、筒状部25は、補強環13の円環部15の外周側の部分及び筒部14に取り付けられている部分である。また、弾性体部23は、シールリップ26と、グリースリップ27とを有している。シールリップ26は、密封空間S1内への異物の進入の防止を図るものであり、また、密封空間S1内からの潤滑剤の流出の防止を図るものである。また、グリースリップ27は、密封空間S1内からの潤滑剤の流出の防止を図るものである。なお、ハブシール7は、シールリップ26を有していなくてもよい。同様に、ハブシール7は、グリースリップ27を有していなくてもよい。
シールリップ26は、補強環13の円環部15の内周側の端部近傍に位置する基体部24の内周側の端部(内周端部24a)から外側に延びており、グリースリップ27は、基体部24の内周端部24aから内側及び内周側に延びている。シールリップ26は、公知のシールリップと同様の形態を有しており、図14に示すように、先端側に、リップ先端部26aを有している。リップ先端部26aは、例えば断面楔型の部分であり、使用状態においてスリーブ8の筒部34の外周面34aに接触するようになっている。グリースリップ27は、公知のグリースリップと同様の形態を有しており、図14に示すように、リップ先端部27aが使用状態においてスリーブ8の筒部34の外周面34aに接触するようになっている。また、シールリップ26には、リップ先端部26aに背向する位置にガータスプリング28が取り付けられており、ガータスプリング28は、リップ先端部26aを内周側に押す緊迫力をシールリップ26に与えており、リップ先端部26aをスリーブ9の筒部34に押し付ける緊迫力を高めている。
また、上述のように、弾性体部23はサイドリップ4を有している。ハブシール7において、サイドリップ4は、図14に示すように、弾性体部23の基体部24から外側及び外周側に向かって延びており、サイドリップ4の内周面41cが、外輪と内輪との間の空間の密封のための接触面4aを形成するようになっている。また、サイドリップ4は、ハブシール7の使用状態において、先端部41の接触面4aが所定の締め代を持ってスリーブ8の接触面36に接触するように形成されている。
ハブシール7においても、ハブシール1と同様に、単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下となるようなサイドリップ4の形態となっており、また、泥水耐久摺動距離が3000km以上となるよう上流空間Sの形態となっている。
このように、ハブシール7の単位トルク(トルクT/軸径D)の値は、3N以下であり、また、ハブシール7の泥水耐久摺動距離の値は、3000km以上である。具体的には例えば、ハブシール7は、取付対象のハブベアリングの実用回転数の範囲におけるハブシール7の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下の値となるようになっており、また、取付対象のハブベアリング50の実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離が3000km以上となるようになっている。ハブシール7も上述のハブシール1と同様に作用し、トルクTを低くすることができ、ハブベアリングの実用回転数の範囲におけるハブシール7の単位トルク(トルクT/軸径D)の値が3N以下であっても、ハブベアリングの実用回転数の範囲における泥水耐久摺動距離の値が3000km以上となる異物振り切り性能を有している。
このように、ハブシール7は、サイドリップ4のリップ反力Fの低減の、必要とされるシール性能を維持するための限界を下げることができる。
また、ハブシール7には、シールリップ26及びグリースリップ27が設けられており、サイドリップ4に加えて、シールリップ26及びグリースリップ27によっても、異物の進入を防止でき、また、潤滑剤の流出を防止できる。また、シールリップ26にはガータスプリング28が取り付けられているため、シールリップ26は、ガータスプリング28によってスリーブ9の筒部34への緊迫力が高められている。このため、ハブベアリングの回転時に、特に高速回転時に、シールリップ26がスリーブ9の筒部34から離れることが抑制されており、潤滑剤の流出を抑制することができる。このように、ハブシール7は、潤滑剤がより流出し難くなっている。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係るハブシール1,7に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、ハブシール1,7は、個別の部材としてスリーブ3,9を有しているが、スリーブ3,9は、ハブベアリング50に一体に形成されていてもよい。例えば、スリーブ3の接触面33が、ハブベアリング50の外輪51の端部51aに形成されていてもよい。
例えば、本発明に係るハブシールは、インホイールモータユニットにも適用することができる。インホイールモータユニットは、ハブベアリングとモータとが一体になって構成する駆動装置であり、車両の車輪に取り付けられ、モータ出力をハブベアリングを介して車輪に供給して車輪に動力を与え、また、車輪の動力をモータジェネレータを介して電力に変換して電気を発生する。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係るハブシール7が使用されるインホイールモータユニットの一例の断面図である。例えば図15に示すように、インホイールモータユニット100は、内輪回転型のハブベアリング60と、ハブベアリング60に取り付けられた外側部材としての外側ケーシング101、内側部材としての内側ケーシング102、及びモータジェネレータ103とを備えている。具体的には、外側ケーシング101は、筒状の部材であり、ハブベアリング60を収容する内側の空間を形成している。外側ケーシング101は、ハブベアリング60の内輪61が備えるハブフランジ62とハブフランジ62に取り付けられるブレーキディスク110との間に挟まれ、ハブボルト63によって内輪61に車輪を固定することにより、ハブフランジ62とブレーキディスク110との間に固定される。
内側ケーシング102は、ハブベアリング60の外輪64を収容する内周側の空間を形成している筒状の部材である筒部102aと、筒部102aの内側の端部から外周側に広がる円板状の部分である円板部102bとを有している。筒部102aは、外輪64が内周側の空間に嵌合されて固定されるような形状となっている。外側ケーシング101及び内側ケーシング102は、図15に示すように、外側ケーシング101の内周側の面と、内側ケーシング102の筒部102aの外周側の面とが互いに対向して、外側ケーシング101と筒部102aとの間に環状の空間が形成される形状となっている。また、外側ケーシング101及び内側ケーシング102は、図15に示すように、外側ケーシング101の内側の端部(端部101a)が、軸線Ax方向において内側ケーシング102の円板部102bに対向する形状となっている。外側ケーシング101の端部101aと円板部102bとの間には環状の隙間が形成されている。
モータジェネレータ103は、軸線Axに沿って延びる筒状の部材であり、外側ケーシング101と内側ケーシング102の筒部102aとの間の環状の空間に設けられている。モータジェネレータ103は、具体的には、ロータ104と、ステータ105とを備えており、ロータ104は外側ケーシング101に固定されており、ステータ105は、内側ケーシング102の筒部102aに固定されている。
インホイールモータユニット100において、ハブシール7は、外側ケーシング101の端部101aと内側ケーシング102の円板部102bとの間の環状の隙間から、インホイールモータユニット100の内部に、異物が侵入することを防ぐために設けられている。例えば図15に示すように、ハブシール7は、外側ケーシング101の端部101aと内側ケーシング102の円板部102bとの間に取り付けられている。具体的には、スリーブ9が、内側ケーシング102の円板部102bの取付面102cに締まり嵌め方式で嵌着されて、スリーブ9は内側ケーシング102の円板部102bに固定されている。また、具体的には、シール本体8が、外側ケーシング101の端部101aの取付面101bに締まり嵌め方式で嵌着されて、シール本体8は外側ケーシング101に固定されている。なお、内側ケーシング102の円板部102bの取付面102cは、軸線Axに沿って延びる円筒面状の面であり、外側ケーシング101の端部101aの取付面101bは、軸線Axに沿って延びる円筒面状の面である。また、取付面101bと取付面102cとは、径方向において互いに対向している。
1,7…ハブシール、2,8…シール本体、3,9…スリーブ、4,6…サイドリップ、4a…接触面、5…基本ハブシール、10,13…補強環、11,14…筒部、12,15…円環部、20,23…弾性体部、21,24…基体部、21a…内側面、22,25…筒状部、24a…内周端部、26…シールリップ、26a…リップ先端部、27…グリースリップ、27a…リップ先端部、28…ガータスプリング、31,34…筒部、32,35…円環部、33,36…接触面、34a…外周面、41…先端部、41a…先端、41b…根元端、41c…内周面、41d…外周面、41e…内周先端、41f…外周先端、41g…内周根元端、41h…外周根元端、42…根元部、42a…先端、42b…根元端、42c…内周面、42d…外周面、42e…内周先端、42f…外周先端、42g…内周根元端、42h…外周根元端、43,44…移行部、43a,44a…内周移行面、43b,44b…外周移行面、50…ハブベアリング、50a…内側開口部、50b…外側開口部、51…外輪、51a…端部、52…ハブ、53…ベアリングボール、54…内輪、54a…端部、54b…外周面、55…ハブ輪、55a…軸部、55b…車輪取付フランジ、56…保持器、57…貫通孔、58…他のハブシール、59…ハブボルト、60…ハブベアリング、61…内輪、62…ハブフランジ、63…ハブボルト、64…外輪、100…インホイールモータユニット、101…外側ケーシング、101a…端部、101b…取付面、102…内側ケーシング、102a…筒部、102b…円板部、102c…取付面、103…モータジェネレータ、104…ロータ、105…ステータ、110…ブレーキディスク、A…シール面、c1,c2…延び方向線、E10…試験装置、E11…回転軸、E12…ハブ疑似体、E13…面、E14…外輪疑似体、E15…固定部、E16…密閉ヘッド、E17…漏水センサ、E18…トルク計測器、F…リップ反力、L1,L2…長さ、S…上流空間、S1…密封空間、T1,T2,T3…厚さ、x,Ax…軸線、V…仮想線、vp1,vp2…仮想交点、θ…曲がり角度

Claims (6)

  1. サイドリップを有し、ハブベアリングの外輪とハブとの間の空間の密封を図るためのハブシールであって、
    所定の範囲の回転数で回転する前記ハブベアリングにおける前記ハブシールのトルクの値であるトルクTを前記ハブベアリングの軸の径の値である軸径Dで除した値(トルクT/軸径D)が、3N以下であり、
    泥水耐久摺動距離の値が、3000km以上であり、
    前記泥水耐久摺動距離は、異物が密封対象物側に滲み出るまでに、前記サイドリップが摺動する距離であ
    前記所定の範囲の回転数は、前記ハブシールの内部に侵入した異物が、前記ハブベアリングの軸線周りの回転によって、前記軸線に直交する径方向において外周側に所望の位置に押し遣られる回転数であり、
    前記トルクTは、前記所定の範囲の回転数よりも低い回転数において、前記所定の範囲の回転数における前記トルクTよりも大きい値を含み、
    前記所定の範囲の回転数よりも低い回転数において、前記ハブシールの内部に侵入した異物は、前記径方向において前記所望の位置よりも内周側に位置する
    ことを特徴とするハブシール。
  2. 前記所定の範囲の回転数で前記ハブベアリングが回転する際の前記トルクTが、前記所定の範囲の回転数よりも小さい回転数で前記ハブベアリングが回転する際の前記トルクTよりも小さくなような形状を前記サイドリップは有しており、
    前記小さくなった前記トルクTの大きさは、前記ハブシールの内部に侵入した異物が、前記ハブベアリングの回転によって外周側に移動する位置に基づいて、前記異物の位置よりも前記径方向において内周側に前記異物が位置していた場合に前記異物の前記密封対象物側への滲み出を許す大きさに設定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のハブシール。
  3. 前記サイドリップは、前記外輪及び前記ハブのうちの回転する方と共に回転するようになっており、また、内周側に面する面が前記密封のための接触面となるようになっている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のハブシール。
  4. 環状の部材であるスリーブを更に備え、
    前記スリーブは、前記外輪及び前記ハブのうちの回転しない方に固定され、
    前記サイドリップの前記接触面は、前記密封のために、前記スリーブに接触するようになっている、
    ことを特徴とする請求項3に記載のハブシール。
  5. 前記ハブシールのトルクは、前記サイドリップの反力の値であるリップ反力に基づく前記サイドリップの摺動抵抗に抗して、前記ハブシールを回転させるために必要なトルクである、
    ことを特徴とする請求項1に記載のハブシール。
  6. 前記ハブベアリングの前記軸は、前記外輪及び前記ハブのうちの回転する方が有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のハブシール。
JP2022148368A 2022-09-16 2022-09-16 ハブシール Active JP7223908B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022148368A JP7223908B1 (ja) 2022-09-16 2022-09-16 ハブシール
JP2022207027A JP2024043458A (ja) 2022-09-16 2022-12-23 ハブシール
PCT/JP2023/033672 WO2024058262A1 (ja) 2022-09-16 2023-09-15 ハブシール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022148368A JP7223908B1 (ja) 2022-09-16 2022-09-16 ハブシール

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022207027A Division JP2024043458A (ja) 2022-09-16 2022-12-23 ハブシール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7223908B1 true JP7223908B1 (ja) 2023-02-16
JP2024043272A JP2024043272A (ja) 2024-03-29

Family

ID=85224896

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022148368A Active JP7223908B1 (ja) 2022-09-16 2022-09-16 ハブシール
JP2022207027A Pending JP2024043458A (ja) 2022-09-16 2022-12-23 ハブシール

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022207027A Pending JP2024043458A (ja) 2022-09-16 2022-12-23 ハブシール

Country Status (2)

Country Link
JP (2) JP7223908B1 (ja)
WO (1) WO2024058262A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001304278A (ja) 1999-10-08 2001-10-31 Nsk Ltd 密封形軸受装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4953022B2 (ja) * 2008-03-07 2012-06-13 株式会社ジェイテクト 軸受用密封装置
JP6590293B2 (ja) * 2014-10-14 2019-10-16 Nok株式会社 密封装置

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001304278A (ja) 1999-10-08 2001-10-31 Nsk Ltd 密封形軸受装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2024058262A1 (ja) 2024-03-21
JP2024043458A (ja) 2024-03-29
JP2024043272A (ja) 2024-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5327077B2 (ja) エンコーダ付車輪支持用転がり軸受ユニット
JP5334287B2 (ja) ベアリングシール
EP1770296A1 (en) Vehicle bearing device
US20070257665A1 (en) Rotor for rotation sensor
JP2010091036A (ja) 転がり軸受装置
JP7223908B1 (ja) ハブシール
JP2001065704A (ja) 密封装置
EP2045101B1 (en) Bearing device for drive wheel
JP7223907B1 (ja) ハブシールの製造方法
JP6654941B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP6765186B2 (ja) 密封装置
JP4239669B2 (ja) 車輪支持用転がり軸受ユニット
JP5790109B2 (ja) 転がり軸受装置
JP7135224B1 (ja) ハブシールの製造方法
KR20160000724A (ko) 엔코더 씰 어셈블리와 이를 이용한 차량용 휠 베어링
JP4300038B2 (ja) 軸受のシール構造
JP2005076730A (ja) 転がり軸受装置
JP2020051597A (ja) 車輪用軸受装置
WO2023189756A1 (ja) 車輪用軸受装置
JP5012392B2 (ja) センサ付き転がり軸受装置
WO2022244839A1 (ja) 密封装置
JP2009014181A (ja) シール構造及びその製造方法並びに軸受ユニット
JP2525795Y2 (ja) 回転速度検出装置
JP2021169833A (ja) 密封装置
JP2542859Y2 (ja) 回転速度検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220916

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230125

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7223908

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150