JP2005076730A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レゾルバステータの変形を防止可能にする。
【解決手段】カバー9と、このカバー9の内周面の所定位置に取り付けられるレゾルバ10のステータ14とを備え、ステータ14は、カバー9の内周面にすきまばめもしくは中間ばめにより取り付けられている。カバー9の前記ステータ取り付け位置に対応する外輪1の内周面に、カバー9の径方向外方への変形を許容する環状の凹部11aが形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、外輪の内周面に取り付けられるカバーと、このカバーの内周面の所定位置に取り付けられるレゾルバのステータとを備える転がり軸受装置に関する。
鉄道車両や自動車においては、車軸を回転自在に支持するとともに、その車軸の回転数や回転速度等を検出するために、回転センサ付きの転がり軸受装置が使用されている。
従来、この種の転がり軸受装置では、円周方向に沿って多数の磁極を有するパルサーリングを被検出部として、このパルサーリングに対して、磁気センサを設けたものがある(特許文献1参照)。
特開平11−174069号公報
転がり軸受装置では、前記の磁気センサのほかに、回転センサとしてレゾルバを用いることが考えられるが、レゾルバによれば、非回転状態や、回転角度、回転方向も検出することができて、しかも分解能が高い。特に、バリアブル・リラクタンス型のレゾルバでは、被検出部には断面が非円形、もしくは偏心した円形のロータを設ければよく、実施が容易である。
ところで、レゾルバの組み込みに当たっては、レゾルバのステータは、固定輪である外輪の側に取り付けられるが、その取り付け方は、一定しておらず、取り付け方によっては、ステータ、特にその鉄心が変形し応力が加わることがある。ステータに応力が加わると、透磁率が変化し、回転検出の精度に悪影響を及ぼす。
本発明は、外輪の軸方向一端部の内周面に取り付けられるカバーと、このカバーの内周面に取り付けられるレゾルバのステータとを備える転がり軸受装置であって、前記レゾルバのステータは、前記カバーの内周面にすきまばめもしくは中間ばめにより取り付けられており、前記カバーのステータ取り付け位置に対応する前記外輪の内周面に、前記カバーの径方向外方への変形を許容する環状の凹部が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、カバーを外輪に圧入する以前の状態で、レゾルバのステータとカバーとが緩いはめあいであっても、カバーは、外輪への圧入に伴い、微量的に小径に絞られるから、カバーとステータとの嵌合が強固になり、ステータはその取り付け位置でカバーと一体化する。
この場合、ステータとカバーとは、すきまばめもしくは中間ばめとしているから、カバー自体からステータに過大な締め付け力が作用しない。また、カバーを外輪の内周に圧入した状態では、外輪の内周面からカバーに締め付け力が作用するが、カバーは、上記環状の凹部により径方向外方への変形が許容されているから、カバーにかかる締め付け力を外径側に逃がすことができ、カバーからステータには過大な力が作用しない。
このように、レゾルバのステータには2段階的に過大な締め付け力が作用しないようにしているから、ステータは変形することがなく、ステータの変形に伴う検出精度の低下は生じない。
本発明の場合、好ましくは、前記外輪に対して前記カバーの軸方向の位置を定める位置決め部を備えている構造とすると、レゾルバのステータが内輪側のレゾルバのロータと正対する位置に正確に位置決めされるばかりでなく、ステータが外輪の深い位置に挿入されて外輪や内輪に干渉することが未然に防止される。そのため、ステータの取り付け姿勢のずれや、破損が生じない。
さらに、組み立てに際しては、まず、カバーの内周面にレゾルバのステータを取り付け、そのステータのリード線の接続等、必要な配線処理をすべてカバーの側で済ませてから、そのステータ付きのカバーを外輪の内周面に圧入すればよく、ステータとカバーとを各別に外輪に取り付ける場合に比べ、組み立て作業を効率よく行える。
このほか、ステータの軸方向外側を覆うカバーは、外輪と金属どうしのはめあいとなるから、長く使用しても、両者間に水が浸入するすきまができるおそれがなく、ステータに対する防水が確実である。
本発明は、好ましくは、上記位置決め部を、カバーの外周面に設けた鍔状構造として外輪の軸方向端面と当接しうる構造とすると、外部からカバーの位置決め部と、外輪の軸方向端面との当接状態を視認することで、外輪内周でステータが適正な軸方向位置にあるか否かを確認することが可能で、ステータの位置決め不良を少なくすることができる。
本発明は、好ましくは、上記位置決め部を、外輪の内周面に設けた段落状の構造としてカバーの内端を受け止める構造として、外輪内周でのステータの軸方向位置が規制される構成とする場合もある。
本発明は、好ましくは、カバーに、ステータのコイルから引き出されたリード線に接続されるコネクタを取り付け、このコネクタ、リード線およびバステータのうち、少なくともリード線をカバーの内面に対して樹脂により被覆固定した構造としてもよい。この構造の場合、リード線を被覆固定することで、断線や接続不良等の事故を防ぐことができ、また、リード線等に対する防水性が良好で、水濡れに伴う事故を防止することができる。
本発明によれば、レゾルバのステータの変形に伴う検出精度の低下を防止することができる。
以下、本発明の詳細を図面に基づいて説明すると、図1ないし図3は、本発明の最良の実施形態に係り、図1は転がり軸受装置の軸方向に沿った断面図、図2は、図1の(2)−(2)線での断面図、図3は、図1の要部の拡大断面図である。
図1において、左側が車両アウタ側(車輪側)で、右側が車両インナ側(反車輪側)である。本実施形態の転がり軸受装置は、自動車の従動輪を支持する複列アンギュラ玉軸受タイプの転がり軸受装置であって、外輪1と、内軸2と、内輪3と、複数の玉からなる転動体4,5と、二つの保持器6,7と、単一のシール8と、カバー9と、回転センサとしてのレゾルバ10とを含むものである。
外輪1は、キャリアのような車体側の部材に非回転に固定されるもので、内周に複列に軌道部1a,1bを有する。内軸2は、車両アウタ側にインロー部21と車輪取り付け用のフランジ部22とを有し、このフランジ部22よりも車両インナ側の外周面に、外輪1の一方(車両アウタ側)の軌道部1aに対応する軌道部2aが形成されている。フランジ部22には、これを貫通する状態で、車輪やブレーキ用のディスクロータ(いずれも図示せず)を固定するためのボルト12が固定されている。
内輪3は、外輪1の他方(車両インナ側)の軌道部1bに対応する軌道部3bを有するもので、内軸2の車両インナ側に形成された小径部23の外周に嵌着されて、小径部23よりも車両インナ側に形成されたねじ部24に螺合されたナット13の締め付けにより、内軸2に対して固定されている。転動体4,5は、複数の玉からなり、外輪1の一方の軌道部1aと内軸2の軌道部2aとの間、および外輪1の他方の軌道部1bと内輪3の軌道部3bとの間に、それぞれ介装されて、保持器6,7により転動自在に保持されている。シール8は、外輪1の車両アウタ側端部と内軸2との間に設けられている。
カバー9は、ほぼ有底円筒形の形状により外輪1の車両インナ側の開放部を閉塞するもので、その円筒部91が、外輪1の車両インナ側に円筒状に形成された突出部11の内周に圧入により嵌着されている。
レゾルバ10は、ブラシレスタイプの1種であるバリアブル・リラクタンス型(磁気抵抗変化型)で、ステータ14と、ロータ15とからなり、励磁電圧に対する出力電圧の位相差が内輪3の回転に比例することで該内輪3の回転検出を行うものである。そして、レゾルバ10は、そのため、ステータ14が固定輪である外輪1の内周側に設けられ、ロータ15が回転輪である内輪3の側に設けられている。
レゾルバ10のステータ14は、図2に示すように、リング状で内径側に多数の極歯141aを有する鉄心141と、鉄心141の各極歯141aに巻装したコイル142とから構成されている。各コイル142は、励磁用の巻線部142aと検出用の巻線部142bとからなる。
本発明では、転がり軸受装置へのレゾルバ10の組み込み方、特に、レゾルバのステータ14の外輪1の内周側への組み込み方に特徴があり、ステータ14は、カバー9を介して外輪1の突出部11の内周側に設けられている。
すなわち、カバー9の円筒部91の内端側の内周面には、円筒部91を内径側から薄肉に切削することにより、ステータ14の取り付け部91aが形成されている。そして、カバー9のステータ取り付け部91aの内周に、ステータ14がすきまばめもしくは中間ばめにより取り付けられている。
この場合、ステータ14とカバー9とは一体化されることが望ましいが、カバー9の円筒部91は、外輪1内周への圧入に伴い、微量的に小径に絞られて、ステータ14と一体化するから、外輪1内周にカバー円筒部91が圧入される前の状態では、ステータ14はカバー円筒部91に中間ばめもしくはすきまばめにより取り付けられていればよい。もちろん、ステータ14は、カバー円筒部91とはめあいの上、接着剤や樹脂によりカバー円筒部91の内周に取り付けられていてもよい。ステータ14のコイル142からのリード線142cは、カバー9に設けたコネクタ16に接続されている。
また、カバー9の円筒部91の外周面には、鍔状の位置決め部17が形成されている。この位置決め部17は、カバー円筒部91の軸方向中途部分を外径側に折り曲げ折り返すことで、カバー円筒部91の全周にわたって形成されている。この位置決め部17は、カバー円筒部91を外輪1の突出部11の内周に圧入した際、外輪1の軸方向端面と当接して、カバー円筒部91の圧入深さを所定深さに限定するものであり、このカバー円筒部91の圧入深さの限定を通じて、カバー円筒部91内に取り付けられているステータ14の外輪1内周での軸方向位置を規制するものでもある。
一方、外輪1の突出部11の内周には、図3に拡大して示すように、圧入されるカバー円筒部91に対応して、環状の凹部11aが形成されている。この環状の凹部11aは、カバー円筒部91が外輪1の突出部11の内周に所定深さまで圧入された状態では、カバー9のステータ取り付け部91aの外周に臨み、ステータ取り付け部91aの径方向外方への変形を許容する部分である。
そして、カバー9は、その円筒部91の内周にステータ14を保持する状態で、外輪1の突出部11の内周に所定深さまで圧入されて外輪突出部11に嵌着されている。カバー9が外輪1内周に所定深さまで圧入された状態では、カバー9の位置決め部17が外輪1の軸方向端面に当接している。外輪1の突出部11の内周では、カバー9のステータ取り付け部91aが、環状の凹部11aの内周に臨んでいる。
レゾルバ10のロータ15は、内輪3の肩部を径方向断面が偏心した円形もしくは非円形になるよう切削することにより、内輪3に一体に設けられている。
上記の構成において、レゾルバ10のステータ14とカバー9との嵌合は、すきまばめもしくは中間ばめとなっており、しかも、カバー9のステータ取り付け部91aは、環状の凹部11bの内周に位置して、径方向外方への変形が許容されているから、カバー9からステータ14には過大な締め付け力が作用せず、ステータ14が変形することがない。
また、外輪1の軸方向端面とカバー9の位置決め部17との当接により、外輪1内周でのステータ14の軸方向位置が規制されるから、ステータ14が所要の位置に正確に位置決めされるばかりでなく、ステータ14よりも軸方向内方にスペースを確保でき、ステータ14が外輪1の内周部や内輪3に干渉することが未然に防止される。
しかも、外部からカバー9の位置決め17と、外輪1の軸方向端面との当接状態を視認することで、ステータ14が適正な軸方向位置にあるか否かを確認することが可能で、ステータ14の位置決め不良を少なくすることができる。
さらに、組み立てに際しては、カバー9の側で、ステータ14の取り付け、配線処理等を済ませてから、そのステータ14付きのカバー9を外輪1の内周面に圧入すればよく、組み立て作業を効率よく行える。
このほか、ステータ14の軸方向外側を覆うカバー9は、外輪1と金属どうしのはめあいとなるから、長く使用しても、両者間に水が浸入するすきまができるおそれがなく、ステータ14に対する防水が確実である。
図4および図5は、本発明の他の実施形態に係り、図4は、他の実施形態に係る転がり軸受装置の軸方向に沿った半断面図、図5は、図4の要部の拡大断面図である。
この実施形態でも、レゾルバ10のステータ14は、カバー9を介して外輪1の突出部11の内周側に設けられている。
すなわち、カバー9の円筒部91の内端側の内周面は、ステータ14の取り付け部91aとされ、この取り付け部91aの内周に、ステータ14がすきまばめもしくは中間ばめにより取り付けられている。ステータ14のコイル142からのリード線142cは、カバー9に設けたコネクタ16に接続されている。ステータ14、リード線142c、およびコネクタ16のうち、少なくともリード線142cが、樹脂18で被覆され、カバー9の内面に対して固定されていればよいが、図示例では、リード線142cと、これに接続するステータ14のコイル142の一部と、コネクタ16の一部とが樹脂18で被覆固定されている。
一方、外輪1の突出部11の内周には、図5に拡大して示すように、カバー円筒部91の内端を受け止める段落状の位置決め部19が円周方向に沿って形成されるとともに、この位置決め部19より軸方向外側には、カバー9のステータ取り付け部91aの拡径を許容する環状の凹部11aが形成されている。
カバー9は、その円筒部91の内周にステータ14を保持する状態で、外輪1の突出部11の内周に所定深さまで圧入されて嵌着されている。カバー9が外輪1の内周に所定深さまで圧入された状態では、カバー円筒部91の内端が外輪1の位置決め部19に当接している。また、カバー9のステータ取り付け部91aが、環状の凹部11aの内周に臨んでいる。他の構成は、図1ないし図3の実施形態のものと変わりがないので、共通する部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
上記の構成において、ステータ14とカバー9との嵌合は、すきまばめもしくは中間ばめとなっており、しかも、カバー9のステータ取り付け部91aは、径方向外方への変形が許容されているから、カバー9からステータ14には過大な力が作用せず、ステータ14が変形することがない。
カバー9の円筒部91の内端が、外輪1内周の位置決め部19に当接することにより、カバー円筒部91の外輪1内周への圧入深さが限定されており、このカバー円筒部91の圧入深さの限定により、外輪1内周でのステータ14の軸方向位置が規制されている。これで、ステータ14が正確に位置決めされるばかりでなく、ステータ14が外輪1の内周部や内輪3に干渉することがない。
このほか、カバー9にステータ14の取り付け、配線接続等の必要な処理をしてから、そのカバー9の外輪1の内周に圧入すればよく、組み立て作業を効率よく行える点、また、外輪1とカバー9とは、金属どうしのはめあいとなるから、長く使用しても、両者間に水が浸入するすきまができるおそれがなく、防水性に優れている点は、図1ないし図3の実施形態の場合と同じである。
上記の各実施形態では、内輪3の肩部を切削することにより、レゾルバ10のロータ15を内輪3と一体に設けたが、ロータ15を内輪3とは別部材として構成し、これを内輪3に取り付けるようにしてもよい。また、各実施形態では、内軸2のねじ部24に螺合されるナット12の締め付けで、内輪3を内軸2に固定したが、内軸2の一部を外径側にかしめることで、内輪3を内軸2に固定するようにしてもよく、また、内軸2の中心部を貫通するねじ軸と、これに螺合するナットとで、内輪3を内軸2に固定するようにしてもよい。さらに、転動体は玉に限らず、円すいころであってもよい。
このほか、本発明は、内軸2の外周に内輪3を単列に設けるタイプの転がり軸受装置に限らず、内軸の外周に内輪を複列に設けるタイプの転がり軸受装置にも実施することができる。
本発明の最良の形態に係る転がり軸受装置の軸方向に沿った断面図 図1の(2)−(2)線での断面図 図1の要部の拡大断面図 本発明の他の形態に係る転がり軸受装置の軸方向に沿った半断面図 図4の要部の拡大断面図
符号の説明
1 外輪
9 カバー
10 レゾルバ
14 レゾルバのステータ
11a 環状凹部

Claims (2)

  1. 外輪の軸方向一端部の内周面に取り付けられるカバーと、このカバーの内周面に取り付けられるレゾルバのステータとを備える転がり軸受装置であって、
    前記レゾルバのステータは、前記カバーの内周面にすきまばめもしくは中間ばめにより取り付けられており、前記カバーのステータ取り付け位置に対応する前記外輪の内周面に、前記カバーの径方向外方への変形を許容する環状の凹部が形成されている、ことを特徴とする転がり軸受装置。
  2. 前記外輪に対して前記カバーの軸方向の位置を定める位置決め部を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受装置。
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